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本会議会議録

答弁文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年6月静岡県議会定例会

市川 秀之 議員(自民改革会議)の 代表質問 に対する答弁

(質問日:06/16/2022番目)
答 弁 者知事


○知事(川勝平太君) 市川議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてであります。
 リニア中央新幹線工事の水問題についてでありますが、昨年十二月国土交通省が設置した有識者会議が大井川水資源問題に関する中間報告をまとめました。そこに明記されている一文、工事期間中も含めてトンネル湧水を戻さなければ全量戻しにならないと書かれております。そして具体的な全量戻しの方策は県や流域市町等の関係者とJR東海との対話に委ねられました。
 本年四月に再開された県地質構造・水資源専門部会におきまして、JR東海から県外流出量と同量を大井川に戻す方策として二つの案が出されました。どちらの方策も静岡県内のトンネル湧水が県外に流出することはそのままで県外流出量と同量をその他の水で補するという方法であります。このどちらの方法も流域の健全な水循環を維持すべきとする水循環基本法の基本理念に反しております。加えて有識者会議が報告でまとめたトンネル湧水の全量戻しには当たらないという代替策であると受け止めております。
 しかし、重要なことは水資源に影響を与えないことであります。JR東海のお示しになった方策については、トンネル湧水の全量戻しには当たらない代替策であるから提案を退けるという必要はありません。
 田代ダムの取水抑制で県外流出量を補するという案につきましてはまた問題もあります。渇水期でも田代ダムにおいて取水抑制ができるのかどうか、河川の維持量というのが、これが定められておりまして、渇水期すなわち十二月から三月にかけては極めて水量が少ないと、それが維持できるかどうかと。一方発電に必要な水量もあると。しかし大井川の流量を維持すべき、その水量も規定されています。それが保てた上でかつこちらのほうに戻せるかどうかという、そういう技術的な問題。また取水抑制ができない場合どのような対応をするのかといったような技術的な問題もございまして、これは専門部会において科学的な根拠に基づきまして対話を進めればよろしいかというふうに思っております。
 広く会議を興し万機公論に決すべしという私の信条は全く変わりません。これ日本の、欧米の影響を受ける前にいわば静岡が作り上げたといいますか、徳川家がつくり上げた武士道の最終のこの理念の一つがこれであるというふうに思っております。明治元年に出されたものの、五箇条の御誓文の第一条でございますから。
 リニア中央新幹線整備を促進するという観点からも、工事着手後に誰もが後悔することのないよう県民の皆様が抱かれている不安とか懸念が払拭されるまでは、やはりJR東海としっかり対話を尽くしていかなければならないというふうに考えております。
 次に、熱海市伊豆山地区土石流災害を教訓とした対応についてのうち、行政対応に関する私の認識についてであります。
 熱海市伊豆山地区土石流災害の発生から七月三日で一年となります。二十七名もの死者・行方不明者が出ました。こうした事態となったことは痛恨の極みであります。このような災害は二度と発生させてはならないという思いを新たにしております。
 議員から御指摘のございました三つの課題についての私の認識でありますが、まず一点目の森林法の対応につきましては逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会の最終報告書におきまして、林地開発許可の申請を求め審査、調査を行い審査基準に照らし不許可とするのか、林地開発許可違反の疑いありとして是正措置など法的対応の可能性を追求することもあり得たと思われる、本件について県森林当局として林地開発許可対象にできない案件だから森林法のらち外であるとする考え方は妥当でないと考えるという、そういう検証結果が示されました。この検証結果につきましては私もしっかりと受け止めたいと考えております。
 二点目の砂防法による逢初川の規制区域の指定につきましては、砂防堰堤等の砂防設備の設置に伴い国は一九九九年に新規に砂防指定地を指定なさいました。その後現在に至るまで砂防堰堤より上流域について砂防指定地の指定は行われておりません。砂防指定地の指定につきましては他の法令による管理状況や現場の管理状況等を考慮し個別具体に判断されるものでありますが、砂防法に基づく砂防指定地にしなくてもよいとの判断によるものです。これまでの判断は行政裁量として認められる範囲内であったと考えております。一方砂防指定地の追加指定の問題ではなく砂防堰堤の捕捉容量を超える盛土量が上流に存在することについて、強い危機感を持つべきであったと考えております。
 三点目の逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会の検証作業の問題につきましては、委員の皆様には県と市が公開した膨大な行政資料を読み込んでいただきました。各種法令に基づく行政対応の一つ一つを経緯として網羅的に取りまとめて丁寧に検証していただいたものと認識しております。私は検証結果の客観性、公平性、十分性については、報告書に書かれている検証結果の内容そのものでもって評価されるものであると考えております。
 今回のような災害を二度と発生させないためには、県職員は所管する法令の射程を尊重しつつ県民の生命財産等を守り抜くという観点から行政として何をすべきかを考え、最悪の事態の想定も視野に入れて行動できるよう個々人と組織の対応力の強化を図っていくことが重要であります。
 今後は今回の検証結果と御提言を県庁全体で共有し職員と組織の意識改革を進めるとともに、市、関係機関と密接に連携しながら被災者の皆様が一日も早く通常の生活に戻れるように諸対策に全力で取り組んでまいる所存であります。
 次に、デジタル田園都市国家構想の具現化に向けた取組についてであります。
 デジタル田園都市国家構想の理念は、本年六月に閣議決定された基本方針において具体化されているところであり、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指しデジタル技術の活用による地方の社会課題解決や魅力向上を図るものとされております。
 私はこれまで、大平元総理が当時の日本の最後の知性のお一人であった梅棹忠夫さんを中心にまとめられたものの一つがこの田園都市国家構想でありました。その当時静岡県では竹内宏さんという「路地裏の経済学」を書かれた知識人がそこに加わっておられましたけれども、誠に見事な報告書であります。私は生前の梅棹先生、竹内さんも含めてですけれども懇意にしておりまして、この構想は日本にとってとても重要であるという認識を持っておりました。
 そもそも田園都市と言っておりますけれども、これはガーデンシティーの日本語訳です。そのガーデンシティーという言葉がどこで生まれたかというと、私は幕末、明治維新期に日本に来た西洋人なかんずくイギリス人が、この横浜から入ってきた江戸を見てですね、百万都市でありながら緑がこのあふれていると、これをガーデンシティーと称したわけです。ですから田園都市というのはちょっと違うと。田園は郊外、江戸郊外に広がっておりましたから実は江戸のその都市そのものをガーデンシティーと言ったわけですね。ですから私はガーデンシティーのままで使えるかなという考えを当時から持っておりました。これが政策になり、今回岸田総理の下で国家の戦略の一つになったということを喜んでおります。私自身は知事になる前からガーデニングでまちづくりといったような本をまとめて優良事例を紹介したり励ましたりしていた経緯もございます。
 県の中におきましては、現在、県の東部・伊豆地域では豊かな自然の中で医療、教育、文化が調和したメディカル田園都市――メディカルガーデンシティというふうに山口建総長は言われていますが――を目指した取組が進められております。また市町におきましても御殿場市の前の若林さんが進められていたエコガーデンシティ、あるいは三島の豊岡さんが進められておられるガーデンシティみしま、あるいは吉田町の田村さんが進められておりますシーガーデンシティ構想等々が今動いているということでございまして、環境、景観、自然と調和したまちづくりの好事例が続々と出てきているなというふうに思っております。
 また、静岡県の新ビジョン後期アクションプランの政策の柱にデジタル社会の形成を位置づけております。それとともに具体的施策を明示したふじのくにDX推進計画を本年三月に策定いたしました。計画におきましては誰もがデジタル化の恩恵を受けられる豊かな共創社会の実現を目指し、国の基本方針にも掲げられた各政策分野へのデジタル実装をはじめ、デジタル人材の確保・育成やデジタル機器等に不慣れな方々に対する支援などの環境整備に取り組んでおります。
 こうした取組におきましては、既にデジタル田園都市国家構想推進交付金など国の集中的支援を活用して本県の取組を積極的に進めているところであります。今後国におきましては年末をめどにデジタル田園都市国家構想総合戦略――仮称でございますけれども――の策定が予定されており、これまでの取組の一層の充実や構想実現に向けた新たな取組が示されるものと考えております。
 県といたしましては、地域の実情や特色を踏まえながら県の取組方針を検討するとともに、県の課題解決に必要な国の施策を積極的に取り入れてまいります。
 世界遺産富士山をはじめ美しい自然、豊かな地域資源を最大限に生かしてそこにデジタルの力を加え、世界に誇る豊かな自然環境と都市の利便性が融合したポスト東京時代のロールモデルとなる地域をつくり上げるなど、デジタルガーデンシティ構想を通じた地方活性化に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、中小企業の脱炭素化支援についてであります。
 県が第四次静岡県地球温暖化対策実行計画の中で設定した国を上回る削減目標を達成するためには、第一次産業、第二次産業の産業部門を中心に全県を挙げた取組が不可欠です。特に事業者数の九割を占め本県産業の屋台骨を形成している中小企業の脱炭素化は、サプライチェーン全体の脱炭素化を図る上でも極めて重要です。
 このため県では、本年四月に中小企業の脱炭素化を促進するプラットフォームとして静岡県産業振興財団に企業脱炭素化支援センターを設置いたしました。普及啓発・人材育成、計画づくり・診断支援、設備導入支援、これら三つのプロジェクトを柱として活動を進めてまいります。
 具体的には、まず商工団体の会員企業等を対象とした基礎セミナーを開催します。あるいは企業内人材向けの講座を開催いたします。こうしたことにより中小企業の意識啓発や脱炭素を担う人材の育成を図ろうということでございます。またセンター内にワンストップ相談窓口を開設し、技術士や環境カウンセラーなど専門的な資格を有するお二人の業務アドバイザーが各企業の相談にきめ細かく対応するというシステムになります。あわせて外部の専門家と連携して省エネ診断やCO2等の削減計画策定なども支援をいたします。
 さらに、本年度創設した省エネ設備導入促進補助金やEV、FCVなどの購入にも使える県制度融資脱炭素支援資金の活用を促してまいります。こうしたことで幅広い設備の導入が後押しされるのではないかというふうに思っております。
 これらに加え、産官学金が参画する推進組織、静岡県企業脱炭素化推進フォーラムを昨日立ち上げました。今後趣旨に賛同する会員を募り先進的な取組事例の共有や会員相互が連携、交流する機会を創出しまして全県的展開を図ってまいりたいと考えております。またそのセンターの本格稼働とフォーラムの設立記念を兼ねたキックオフイベントを七月二十九日に開催する予定でございます。
 県といたしましては、世界的な脱炭素化の動きをチャンスと捉えておりまして、既に先行的な支援を進めている次世代自動車センター浜松などの関係機関とも連携して幅広い中小企業が脱炭素化を加速できるようにオール静岡の体制で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組と静岡県のエネルギー政策についてのうち、浜岡原子力発電所の再稼働についてであります。
 現在、世界的に石油をはじめとするエネルギーの価格が高騰しておりますが、エネルギーの安定供給のため原子力の利用を求める意見が経済団体等から出されていることは承知しております。
 一方で、東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故とその後の経過を見ますと、一たび過酷事故が起こりますとその影響は計り知れないものがございます。いまだに帰還困難な区域が残されておりますし、また数万人の福島県民の方々が地元から離れた生活を余儀なくされているのが現実であります。
 原子力発電所につきましては、それゆえ何よりも安全の確保が大前提であります。その再稼働の検討に当たりましては各発電所ごとに行うべきではないかと。あるいは各電力会社ごとにその依存電力が違います。例えば九州電力ですと四割ぐらいが原子力に依存していました。東京でも東京電力もそうですね。静岡県の場合には中部電力は一割前後だったということがございまして、それは結果的には幸いしているかと思いますけれども各電力会社ごとに発電所の事情が異なります。それはやっぱり考慮するべきであるというふうに思います。それゆえ私はこの再稼働の検討に当たりましては発電所ごとに行うべきであるという考えです。
 本県に立地する浜岡原子力発電所につきましては、現在津波対策工事等を実施中であります。原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査も継続をしております。さらに使用済み燃料の処理方法が確立されていないということは重大な問題です。使用済み燃料のプールの空き容量は現在一千八体しかありません。大体三百体ずつ十三か月ごとに入れ替えますので置き場があっという間になくなります。そういうことになりますと仮にですね、再稼働すれば新たに発生する使用済み燃料、三号機、四号機、五号機ですね、これを動かしますと一、二年で使用済み核燃料、置き場所がなくなるということです。これは関係者はみんな知っているわけですね。それゆえこのような状況から浜岡原子力発電所は再稼働できる状況にはないという認識に変わりはありません。
 また、中部電力は発電所内に原子力安全技術研究所を設置しておりまして原子力発電所の安全性向上のための研究活動に取り組まれていると。これは立派なことであると思います。さらにそれはオープンになっております。さらに全国の大学等からも研究を公募して、公募された研究も全部公開されております。これらの取組が浜岡原子力発電所の安全性の向上につながって安全文化を醸成していくと期待しているところであります。
 県といたしましては、県民の皆様の安全また安心のために国に対して厳正な審査を求めるとともに、中部電力に対しても徹底した安全確保を引き続き求めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。

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