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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成18年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小楠 和男 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/03/2006

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○副議長 (中澤通訓君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 五十三番 小楠和男君。
            (五十三番 小楠和男君登壇 拍手)
    ○五十三番 (小楠和男君)  私は自由民主党所属議員として当面する県政の諸課題について、 知事及び関係部局長にお伺いします。
     まず初めに、 三位一体の改革についてであります。
     三位一体の改革とは地方分権の流れの中で地方自治体が自立した財政基盤を持ち、 住民のニーズにこたえた各種行政サービスをみずからの裁量で提供できるようにする。 そのために国庫補助負担金を削減するかわりに税源移譲を行うとともに地方交付税改革に取り組むとのことであり、 地方の我々は大きな期待を持って議論の行方を見守ってきました。
     しかしながら昨年十一月の政府与党の最終合意に至るまでの約三年半の過程では相も変わらぬ中央省庁の強い抵抗とともに、 地方六団体は小異を捨てて大同につきみずからの手で補助金削減案を取りまとめたものの、 各団体間、 団体内での考え方の相違や温度差が改めて浮き彫りになりました。 数字の上では三兆円の税源移譲が実現したものの、 そのための補助金削減の数字合わせに終始したとの印象はぬぐえません。 また今回先送りにされた地方交付税改革の行方は今後も不透明だと言わざるを得ません。
     さて、 佐賀県では三位一体改革の結果を県民の満足度が高まったかどうかを基準に評価しています。 県民の満足度が高まるためには地方の自由度の拡大と官の仕事の効率化の両方もしくはいずれかが満たされたときと規定し、 三兆円の税源移譲に結びつく改革のうち両方が満たされているのはわずか一千億円でしかありませんでした。 事務の効率化に結びついただけの金額は五千億円強であり、 両方合わせても県民の満足度が高まったのは三兆円のうちの二割程度の六千億円強にすぎないとし、 三位一体改革は県民満足度を高めるものではなかったと結論づけています。 石川知事は三年半に及んだ第一期三位一体改革についてどのように評価されるのか伺います。
     次に、 三位一体改革による本県及び県内市町への影響について伺います。
     まず、 財政についてであります。 本県の場合、 地方交付税は減収が続いていますが、 第一期分の国庫補助負担金改革による減収が六百四十一億円あるものの税源移譲による増収が六百五十四億円あり、 むしろ十億円余のプラスになると数字上は読み取れますが、 これを額面どおり受け取っていいのか伺います。 また県内市町の財政運営にもどのような影響を及ぼすと考えられているのか伺います。
     さらに、 前段の佐賀県の事例で評価項目に官の仕事の効率化があったと申し上げましたが、 今回の三位一体の改革の中で国庫補助負担金の削減が目的の一つとされたにもかかわらず、 かなりの補助金が交付金と名を変えて生き延びようとしています。 例えば、 内閣府が受け持つ地域再生基盤強化交付金が新設され、 道、 港、 汚水処理施設それぞれの整備交付金が用意されています。 これらの申請窓口は内閣府となりましたが実際には補助金当時の窓口であり、 交付金化された現在も事業を直接担当する省庁との協議が依然必要であることから、 交付金化により屋上屋を重ねただけでかえって事務手続きが煩雑になり時間がかかるようになったとの指摘もあります。 新たに作成しなければならない地域再生計画はかなり手間のかかる仕事であり、 いずれも行政の効率化の面からはデメリットであると言わざるを得ません。 行政事務の効率化の点から見た三位一体の改革が本県と県内市町へどのように影響しているのか伺います。
     三位一体改革の最後に、 真の地方分権をかち取るために何をなすべきかお伺いしたいと思います。 今回まとめられた第一期の三位一体改革は我々地方自治にかかわる者にとって到底満足のいくものではありませんでした。 しかしながら悲観するのでなく、 踏み出した第一歩をさらに二歩三歩と目的達成に向けて歩みを進めていかねばなりません。
     かつて中央集権国家の代表格であったフランスは、 一九八二年に地方分権法が成立して急速に地方分権の考えが進展し、 その後の二〇〇三年の憲法改正では国の基本理念として地方分権が明記されました。 我が国ではこれからもさまざまな抵抗や課題を克服して、 ことし六月にも発表される骨太の方針二〇〇六に第二期の三位一体改革案を盛り込まねばならないと思います。 それだけにとどまらず、 真の地方分権をかち取るために何をなすべきか知事のお考えをお伺いいたします。
     次に、 県と政令指定都市について伺います。
     石川知事は平成十五年一月に政令県及び徴税一元化の提案を含む内政制度改革試案を発表され、 さらに専門家による学問的な検証を経て静岡県内政改革研究会の報告書が平成十五年十一月に発表されました。 この中で、 我が県に誕生が予定されている政令指定都市は従来の大都市型指定都市と異なり、 都市部から農村部まで含む自然豊かな田園型指定都市となるので、 行政サービスも都市的なものから農山村的なものまで担うことになる。 よって、 法令による移譲事務に加えて農林漁業関係の事務等県が実施しているその他の事務をできる限り指定都市に移譲するとしており、 このような指定都市を新型指定都市あるいは静岡型政令指定都市としていました。 その後、 昨年四月には静岡市が政令指定都市としてスタートを切り、 浜松市は来年四月の政令指定都市移行に向けて準備が進められています。
     新型政令指定都市である二つの市への権限移譲について、 他の政令指定都市との異なる特徴をお伺いします。
     また、 静岡市と浜松市は人口規模で十万人しか違わず、 海岸部から都市部そして中山間地までを持つよく似た市です。 しかしながら決定的な違いは、 静岡市は明治九年の静岡県誕生以来の県庁所在地。 片や浜松市は静岡県の西端、 県庁からは六十キロメートルの距離にあります。 静岡型政令指定都市の考え方の中で、 静岡市と浜松市とはどのように位置づけられていたのかお伺いをいたします。
     次に、 県は現在、 平成十四年四月に策定した総合計画の中間検討を実施し、 今後五年間の県政運営の基本方針を取りまとめていくとのことです。 総合計画途中での二つの政令指定都市の誕生が総合計画の見直しにどのように反映されていくのか伺います。
     次に、 県と政令指定都市の二重行政について伺います。
     我が国の地方制度は都道府県と市町村という二層性であり、 明治二十二年の市制施行以来、 府県と大都市の二重行政、 二重監督の弊害が存在し、 大都市が府県から独立し特別市となる制度をめぐっては府県と大都市間の深刻な対立も見られ、 いわば妥協の産物として昭和三十一年の地方自治法の改正で導入されたのが政令指定都市制度であります。 つまり、 二重行政は今も続いており、 その様子は次の三つに大別されるものと思っております。
     一つは公営施設です。 ホールや美術館、 図書館等の文化施設、 スポーツ施設、 青少年・女性関係施設、 公園、 病院等の公営施設が県と市により二重配置されています。 我が県の県土は東西に長く、 その中央に県庁所在地である静岡市があることから静岡市の政令指定都市移行以前より二重の配置がなされていましたが、 県民は余り気にすることもなく受け入れてきました。 しかしながらこの状態は明らかに二重投資であります。
     二つ目は県民の目線から見た二重行政です。 福祉行政や消費者相談等の窓口が県、 市の両方にあり、 どちらに相談すべきか迷うところでありますし、 交通安全対策や観光、 企業誘致なども県、 市それぞれで行われており二重行政と言われております。  三つ目は大都市に対する国と県による二重監督の問題です。 政令指定都市が国からの直接補助を受けた場合でも県は全県下の状況把握に努めねばならず、 政令指定都市に対して情報提供を求めることになり、 やはり国と県による二重の監督下に置かれることとなります。
     これらの二重行政の解消には先月二十八日の第二十八次地方制度調査会の答申のように、 道州制を導入すればすべてが解決するという意見もありますが、 きょうここではそこまでの議論に踏み込む余裕はありません。 今現在政令指定都市も道府県に包含されているという状況の中で、 二重行政の解消にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
     次に、 県民サービスの公平性の確保について伺います。
     平成十七年度、 福岡県では県単独補助事業のうち八つの事業が政令指定都市を適用除外としていました。 例えば乳幼児医療費助成、 重度心身障害者医療費助成等であります。 実際、 福岡市では適用除外による平成十七年度の歳入不足は二十二億円に達すると試算しています。
     我が県の平成十七、 十八年度予算を見ましても、 先ほど例に挙げた二つの医療費助成制度では一般の市町に対しては二分の一補助であるのに対し、 政令指定都市に対しては三分の一に減額されています。 適用除外の福岡県よりはましとはいえ静岡市との協議では三年間の経過措置とされており、 その後どうなるかは予断を許しません。 特別な財源の根拠もなく政令指定都市の住民だけが県の補助金の減額対象となるのは、 県民サービスの公平性からすると問題があると思われます。
     今後も、 政令指定都市は豊かであるという実態を伴わないイメージが先行し、 政令指定都市に対する財源の根拠もないまま補助金や交付金等の差別化がされることはあってはならないと思います。 県民サービスの公平性について、 今後どのように考えていかれるのかお伺いをいたします。
     次に、 人づくり日本一について伺います。
     昨年十一月に発覚したマンションやホテル建築の耐震強度偽装問題や全国展開するビジネスホテルチェーンで建築物の違法改造が組織的に行われた事件は我が県にも波及し、 今も大きく揺れ動いています。 安全性や社会的弱者への配慮がされた法律や条例を無視して利益追求にひた走ったこの二つの事件は、 大変腹立たしくただただあきれるばかりであります。 テレビ画面を通じて映し出された事件の関係者からは企業人としての責任感や倫理観はみじんも感じられなかっただけでなく、 その態度に対して社会の批判が高まった後の手のひらを返したような謝罪の姿は腹立たしいことを超えて不快感を覚えたのは私だけではないと思います。 日本の行く末が案じられる事件でありました。
     現在ベストセラーとなっている 「国家の品格」 の著者である藤原正彦氏はある雑誌のインタビューに答えて、 現在の我が国では歴史上なかったほどの国民の質が低下していると述べられています。 先ほど申し上げた二つの事件は氷山の一角でしかないということでしょうか。 また六十年かけて低下した国民の質を回復させるためには数十年かかるが、 今の大人には期待できないので子供たちに真の教育を施す、 つまり人間をつくることが重要であるとしています。
     今年度私は少子・高齢化対策特別委員会委員長として、 少子化対策について一年間議論してまいりました。 その議論の渦中にもたらされた人口減少社会が現実のものとなったとの情報には驚かされました。 人口が減少しても我が国が活力を維持し続けて国際社会の一員として尊敬を得られるような社会をつくっていくためには、 我が国に暮らす人間一人一人の能力を高めていく必要があると思います。 我が国の将来は有能な人材を育てること、 つまり人づくりにかかっていると考えるようになりました。
     アメリカ合衆国大統領は毎年一月に施政方針を議会と国民に示す一般教書を発表します。 今年のブッシュ大統領による一般教書で特に強調されていたのはアメリカが世界一であり続けるための競争力の強化でした。 中でも特に注目されるのが子供の教育の強化です。 アメリカが常に世界をリードしていくためには才能と創造力を持った国民を育てなければならない。 子供の教育が成功すればアメリカは世界一であり続けると結んで、 人づくりの重要性を強調しました。 時を同じくして我が国の小泉首相も一月の通常国会における施政方針演説の中で、 今後の日本を支えていくのは人であり、 新しい時代を切り開く心豊かでたくましい人材を育てていかなければならないと、 人間力の向上やそれを発揮することの重要性に触れ、 表現こそ違うものの人づくりの重要性を改めて強調されました。
     ところで、 この人づくりに関しては本県は既に平成十年から故草柳大蔵氏を座長とする人づくり百年の計委員会を設けて検討を行い、 その後も得られた提言の普及に努めるなど全国でも先駆的な取り組みを進めてきました。 さらに昨年からは人づくり運動を一層進めていくための有識者による創知協働人づくり推進県民会議を新たに設置して、 幅広い視点からこれからの人づくりの方向性について議論を重ねてきたと聞いております。 人口減少社会を迎え人づくりの重要性が広く認識される中、 人づくり日本一を目指す本県のこれからの人づくりの方向性とはどのようなものであるのかお伺いをします。
     次に、 遠州灘海岸について伺います。
     遠州灘海岸は東は御前崎、 西は愛知県の伊良湖岬に至る全長約百十七キロメートルの海岸で、 そのうち静岡県が約七十キロメートルを有しております。 天竜川河口を頂点として東西に緩やかな弧を描くこの海岸は我が国有数の長大な砂浜であり、 浜松市の中田島砂丘や御前崎市の浜岡砂丘に代表される砂丘がほぼ全域にわたって発達し、 背後を覆うクロマツ林とともに白砂青松の美しい景観を誇っています。 またこの海岸はハマボウ等の海岸植物の生育の場であるとともに、 ほぼその全域がアカウミガメの産卵の場ともなっている豊かな自然環境に恵まれており、 釣りやウインドサーフィンなどのレジャーの場としても多くの人々に親しまれています。
     そこでまず、 白砂すなわち海岸の侵食について伺います。
     天竜川におけるダム建設や砂利採取などにより天竜川からの土砂供給量が激減したことや、 太田川、 馬込川、 都田川の河口部における突堤などの人工的な構造物の建設に伴い砂の流れが遮断されたことなどにより、 豊かな白砂の海岸は急速にやせ細っていきました。 天竜川の河口に近い磐田市竜洋海岸や浜松市五島海岸など一部で見られていた海岸侵食は急速に遠州灘全域に広がり、 平成十四年七月の新居町浜名バイパス南側の侵食や平成十五年十月の浜松市中田島海岸でのごみ流出に代表されるような急激な侵食が浅羽海岸、 浜松篠原海岸、 新居海岸等の各所で見られるようになりました。
     平成十六年二月議会で、 私が天竜川ダム再編事業と海岸管理にかかわる問題として海岸侵食の課題を質問いたしましたが、 その後の機運の盛り上がりもあり、 平成十六年末には有志の県議会議員による遠州灘の砂浜減少を考える会がスタートしました。 この会と地元団体の主催により昨年二月には相良町で、 七月には福田町、 十月には浜松市でシンポジウムが開催され、 広く住民に海岸侵食の深刻さを理解していただく場が提供されたものと思います。
     また昨年には、 中田島砂丘の地元住民有志が風で飛ばされる砂をとめることにより砂丘の復活につなげようと堆砂垣を設置して効果があったことを受け、 本年一月二十九日には県で用意した堆砂垣を地元住民約百五十人が五百メートルにわたって設置するというコラボレート事業も実施されました。 参加者の一人は昔は入り口から海岸線まで三十分近くかかったけれどきょうは八分で来たと話されていたことは印象的でした。 またボランティアとして参加してくれた地元の小中学生は幾重もの砂丘を越えなければ海岸線に到達できないころの中田島砂丘を知りません。 本来の砂丘の姿を後世に残していく責任の重大さを改めて痛感しました。 去る二月十五日には御前崎市から湖西市までの沿岸六市一町の市長、 町長さんによる遠州灘沿岸保全対策促進期成同盟会が設立されるなど、 海岸侵食を憂える人の輪はますます大きくなっています。 このような中、 県では遠州灘海岸の侵食対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
     また、 中田島海岸や五島海岸では台風時には海水が人家のすぐ近くまで達するようになっています。 スマトラ沖地震の映像は沿岸住民にとっては大変ショッキングであり、 心配される東海地震による津波とダブって映ったと思われます。 これらの地域の浸水対策についてもあわせてお伺いをします。
     次に、 青松、 海岸保安林の松くい虫対策について伺います。
     先ほど申し上げたように、 遠州灘海岸はほぼその全域にクロマツ林の砂丘列が形成されております。 昔の遠州灘の海岸は広漠たる不毛の砂地が広がっており、 冬には飛砂を伴った強い西風が吹き、 砂は近くの田畑や河口を埋め時には集落までも埋めてしまうような災害をもたらしたそうです。 また一四九八年、 明応東海地震では浜名湖が外海につながるとともに遠州灘沿岸の村々で津波被害があったことが記録に残っています。 このころから砂地の開拓や飛砂防止さらには津波被害対策のために海岸防災林の造成が地元の人々の手により始まったと考えられます。 江戸期後半には何列もの堤防が並んでいたとの記録もあります。 私の住んでいる町は浜松市堤町といい、 まさしく堤防の上に築かれた集落だと伝えられています。
     その後、 明治、 大正、 昭和にわたり堤防とクロマツ林の造成はその時々の役所と地元住民の手により進められ、 現在の最南端の防潮堤は静岡県が海岸防災林造成事業として昭和五十一年から六十三年にかけて造成しました。 これらの堤防とクロマツ林は飛砂防止、 塩害防止、 さらには津波対策上も重要な役割を担っています。 しかし、 全国的な松くい虫被害は海岸のクロマツ林にも及び県や当該市町による伐採や薬剤散布等のさまざまな努力にもかかわらず、 その被害は勢いを増していると感じられます。
     昨年十月に地元住民の方々と海岸の様子を見て回った折に、 浜松市五島海岸のある地区の範囲ではほとんど松くい虫の被害がなく、 何かここには特別な理由があるんではないかと話をしていたわけですが、 年明けて一月に再度その場を訪れたとき赤く枯れた松が連なっていましたし、 住民の皆さんと堆砂垣を設置した中田島砂丘でも海岸から北側を振り返るとそこにも松の枯れた無残な林が見られ、 観光として中田島を訪れ海岸で遊んだ帰りに赤く枯れた松の放列を目にしたのでは観光気分も吹き飛んでしまうというものです。 作業に参加していた西部農林事務所の若手職員も昨年秋から数カ月で一気に松枯れが進んだようだと話していました。
     その時々の役所と地域住民の手で進められてきた堤防とクロマツ林の造成は海岸沿いに住む人々の生命と財産を守る防波堤として、 昔も今もその期待の大きさには変わりはありません。 我々の想像を超えた速さで進む松くい虫の猛威に今後どのように対策を進めるのか所見を伺いまして私の質問を終わります。 (拍手)
    ○副議長 (中澤通訓君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  小楠議員にお答えをいたします。
     初めに、 三位一体改革の評価と今後のあり方についてであります。
     今回の三位一体改革により国から地方への税源移譲は実行されたものの、 その内容たるや国の財政再建を優先し既存の予算や権限を維持するための数字合わせに終始したもので、 地方の自由度を拡大し地方分権改革に資するという本来の理念からはほど遠い非常に不満が残る内容になったと考えております。 考えるまでもなく感じております。
     国庫補助負担金改革につきましては先行実施分を含めて約五兆円の廃止、 縮減が行われましたが、 国庫負担率の引き下げや交付金化などが中心で、 そうなりますと、 申請や配分事務、 会計検査院による検査などの事務が残る上に通達により事業内容が縛られて実質従来の補助金と変わらない交付金も見受けられるわけでありますので、 これでは何のための三位一体改革だったのかというふうに感ずるわけであります。 地方公共団体の自由度の拡大につながった部分は大きく見積もっても全体の一割程度にすぎないと積算をいたしております。
     また、 地方交付税改革につきましても平成十六年度において国の予算編成の中で年末に一方的な大幅削減が決定された結果、 地方財政運営に大きな支障を来したことなどを考慮いたしますと、 三年間に及ぶ第一期改革は評価に値するものはほとんどなかったと考えております。
     なお、 税源移譲とこれに対応する国庫補助負担金改革の本県への影響につきましては県分では十三億円、 県内の市と町の分では合計して五十七億円、 それぞれ税源移譲額が国庫補助負担金の廃止、 縮減額を上回っておりますので一見得をしたような感じになりかねませんけども、 これは地方交付税制度を通じて調整されますから財政上の影響はないと、 プラスマイナスないというふうに考えて間違えないところであります。
     今後の第二期改革に向けた取り組みにつきましては、 九月に自民党の総理・総裁の交代があるということでもありましょうし、 果たしてポスト小泉の方がこれの第二期を本当にやるのかどうかそういうことも定かでありませんし、 仮に何かやるにしてもこれまでの国の対応を考えますと、 余り過大な期待を持たないということも必要でありますし、 相当何か地方団体側も作戦を立てないとうまくいい結果が出てこないというふうに思います。
     現在地方交付税の総額抑制に関する検討が国で行われておりますので、 第二期改革と称して重点は交付税の総額削減にもっぱら焦点が当てられたようなものが行われる可能性があります。 その総額の抑制については私も現下の国、 地方を通ずる財政危機を考えますと、 ある程度のものはいたし方ないと思いますけれども、 問題はそのある程度というのがどのレベルなのかですね。 これは中央政府と地方団体側に随分認識の差があるようにも思いますし、 またそこのレベルをどの程度にするかによっては地方行政、 大混乱になりかねませんから、 いろんな状態を見ながらこれは慎重に対応していかなければいけないテーマだというふうに思っております。
     したがって、 今後、 我々は健全財政を堅持しながら少なくとも地方でこんなふらちなことをやってるから、 何て言うか、 総額を抑制して締め上げないと規律が保てないんだと言われるような、 そういうすきを見せないようにやってかなければいけないと考えております。
     そのような三位一体改革というような手法と言うんでしょうか、 看板のもとに今後もいろいろ地方行財政改革を中央政府からもいろいろ押しつけてくるというのか仕掛けてくると思いますけれども、 そういうものを待って我々が対応するのではなくて、 みずから正すべきものは正しその上で本当にいい地域をつくるためにはこういう事業が必要なんだと。 それについては国でこういうことをやるべきだと思うのにそれに対する財源が十分でないとか、 権限とか能力をきちんと自治体に与えてないのはだめだというような説得力のある提案ですね、 こういうことを出していくことが非常に重要ではないかというふうに思うわけであります。
     そういうことも考えて、 政令県制度とか地方税徴税一元化などあるいは広域連合制度の活用などいろいろこれまでも模索をしてまいりました。 その考え方は三位一体改革がひとまず終わった段階あるいは道州制の提案がされつつある今日においてもその有効性は私は失われていないと思いますので、 これまで考えてまいりました我々の自治能力を高めるためにみずから取り得るいろいろな方策、 これについて静岡県は静岡県内でその実現に向けて努力をしていく考えであります。
     次に、 人づくり日本一についてであります。
     小楠議員の御指摘のように、 今日やっと小泉総理もアメリカのブッシュ大統領も我々が今までやってこられましたような認識にやっと追いついてきたかと、 感慨深くお話を拝聴したわけでありますが、 それにつけても、 事の重要性をいかに県民の皆様にきちんと受けとめてもらって本当に何かやらなきゃいけないんだというそういう行動にまで持っていくと、 実現するということの難しさ、 これ痛感しながら過ごしてきた五年間であります。
     そこで、 何とかもう一度体制を立て直して、 この人づくり百年の計委員会ですばらしい提言をしていただきましたものを本当に定着させるために新たないろんな方策を提言してもらおうということで、 有馬朗人さんを座長とする創知協働人づくり推進県民会議を設置をして実践方策等について検討していただきました。 去る一月二十四日の参与会で具体的な方策の提案もいただきました。 これをもとに今後いろいろ各方面にも働きかけてその具体化に努めてまいりたいと考えております。
     今回の予算の中にもいろんな提言に基づくものが盛り込まれてお願いをしているわけでありますが、 例えば匠の技の育成強化とか少子化社会での児童の健全育成などの取り組みについて、 例の県版マイスター制度であるとかあるいは通学合宿などこのようなものを予算でお願いしているわけでありますが、 引き続き県民各分野の皆様との協働によって県民運動的なものにまで高めて人づくりに取り組んでいきたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (中澤通訓君)  白岩総務部長。
            (総務部長 白岩 俊君登壇)
    ○総務部長 (白岩 俊君)  県と政令指定都市についてのうち、 初めに、 静岡型政令指定都市についてお答えいたします。
     本県初の政令指定都市として誕生しました静岡市に対しまして、 県ではNPO法人の設立の認証事務や森林組合の設立認可事務など他の政令指定都市に類を見ないさまざまな法律に関する権限移譲をいわゆる事務処理特例条例によって行ってきております。
     静岡市は現在全国最多の権限を有する政令指定都市となっております。 ちなみに、 これまで一番多かったのは横浜と川崎の四十八でございます。 それに対しまして静岡市に対して八十六の権限移譲が行われているということでございます。 最小は京都で六件でございますので、 それに比べて格段の権限が移譲されていることを御理解いただけると思います。
     平成十九年四月の政令指定都市移行を目指しております浜松市に対しましては昨年十月権限移譲等に関する基本協定を締結し、 原則として静岡市と同様の権限移譲を行うこととしております。 さらに、 全国有数のものづくりの都市である浜松市からは 「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」 に基づく事業環境整備構想の策定事務や中核的支援機関の認定事務についても特に要望があったので、 移譲する予定であります。
     県といたしましては以上にとどまらず、 来年度策定する予定の新たな権限移譲推進計画でも、 両市からの要望も踏まえながらそれぞれの地域の持つ特性を生かした政策展開ができるよう必要な措置を盛り込みたいと考えております。
     次に、 二重行政についてであります。
     政令指定都市に対しては県が処理する事務のうち民生、 保健衛生、 都市計画、 県管理国道や県道の管理に関する事務など住民に身近な事務の多くが移譲されるとともに、 知事の承認、 許可、 認可等の監督を要している事務について、 県の関与をなくし直接主務大臣の監督となることが法令によって定められております。
     さらに本県では政令指定都市に対して法令で定めるもの以外であっても現在県が処理している事務事業について可能な限り移譲し、 政令指定都市が住民に身近なサービスを自己完結的に実施できるようにする一方、 県は大型の社会資本整備や高度専門医療の充実、 大規模地震対策など広域的・戦略的な施策を担うことを目指しており、 現にそのような考え方に立って静岡市とは役割分担をしてきたところでございます。 その上で政令指定都市移行後も不断の連携が必要と考えており、 静岡市とは政策調整会議を設置するなど必要に応じ行っており特に重要な施策については県市間の連絡調整を図っております。
     今後も引き続き積極的な権限移譲と連携の強化により県と市を通じた効率的な行政サービス体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
     次に、 県民サービスの公平性の確保についてであります。
     静岡市及び浜松市の政令指定都市移行に伴う権限移譲等に関する基本協定の締結に当たっては、 普通交付税、 道路特定財源、 宝くじ販売収益金の配分など移譲される税財源と国・県道に関する県債償還金、 県単独助成事業など市負担分の増加などを総合的に勘案し、 政令指定都市移行後の財政見通し等も踏まえて市の負担額等を決定したところであり、 基本的に権限移譲等に見合った財源が確保されているものと考えております。
     また、 政令指定都市につきましては他の市や町と比べて充実した財政基盤を有することから原則として県単独助成事業は行わず市独自に実施していただくこととしておりますが、 県民の生命、 財産の安全、 保全にかかわる補助金のうち県主導で進めている施策で緊急に実施する必要があるものや県全体で一定の水準維持が望ましい継続事業につきましては政令指定都市に対しましても引き続き財政支援を実施しているところであります。
     このように政令指定都市の持つ権限や財源を考慮して県と市の適切な役割分担のもと、 必要な県民サービスの提供に努めているところであります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  花森企画部長。
            (企画部長 花森憲一君登壇)
    ○企画部長 (花森憲一君)  県と政令指定都市についてのうち、 総合計画の中間見直しへの反映についてお答えいたします。
     平成の大合併による市町村の再編や政令指定都市の誕生などにより、 地域の構造が大きく変化している中、 一昨年度、 学識経験者などを中心にまとめました静岡県内政改革研究会報告書では将来的に二つの政令指定都市のエリアと複数の広域連合のエリアに再編していく新たな県土構造が提案されております。
     こうしたことを踏まえ、 総合計画の中間見直しにおきまして、 県内を五つの地域区分による新たな地域計画の策定を進めているところであります。 政令指定都市との関係では将来的に静岡市と浜松市と一体的に発展することが期待される地域を中部地域、 西部地域として設定いたしました。 両地域につきましては県と政令指定都市との適切な役割分担と連携により効率的で効果的な行政を展開するとの基本的な考え方に立ちまして、 高次都市機能の集積促進や新産業の育成支援、 広域幹線道路の整備など今後の県づくりの中核的機能を担う拠点地域として発展していくための施策を計画に盛り込み、 魅力ある都市圏づくりを推進していくこととしております。
    ○副議長 (中澤通訓君)  古川土木部長。
            (土木部長 古川博一君登壇)
    ○土木部長 (古川博一君)  遠州灘海岸についてのうち、 侵食対策についてお答えいたします。
     昨年十二月、 学識経験者や県、 地元自治体などで構成する遠州灘沿岸侵食対策検討委員会において、 中田島海岸を対象として早急に措置すべき事項についての提言が取りまとめられました。 その内容は 「豊かな自然環境の保全を図るため天竜川や海岸に堆積した土砂を侵食域に継続的に運搬・投入する養浜を基本とするが、 大量の養浜材料の安定供給が困難なため沿岸漂砂を捕捉する離岸堤などの海岸構造物を必要最小限設置すること」 としております。 これを受けまして、 県では現在、 対策の早急な着手に向けて養浜に必要となる土砂の量と質の検討やある程度の漂砂を捕捉するとともに、 遠州灘特有の雄大な景観やアカウミガメなどに代表される豊かな自然環境などと調和した海岸構造物の検討を進めております。
     遠州灘沿岸の海岸侵食は極めて広域的な問題であることから、 今後は今回の提言をもとに国や愛知県及び沿岸の市や町など関係機関と連携を密にして沿岸全域における保全対策に取り組んでまいります。 また中田島海岸等の浸水対策については県が行う海浜の保全と浜松市が行う中田島砂丘への進入路のかさ上げなどにより地域の安全の確保に努めてまいります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  府川環境森林部長。
            (環境森林部長 府川博明君登壇)
    ○環境森林部長 (府川博明君)  遠州灘海岸についてのうち、 松くい虫対策についてお答えいたします。
     県では松林の規模、 地形、 周辺環境と被害状況や地域の意向を勘案し、 薬剤散布、 枯れた松を切り倒す伐倒駆除などにより被害防止に努めてまいりました。 しかし、 薬剤散布による健康被害を懸念する住民の声が強い地域で散布区域を狭めたことや一部で被害木を徹底駆除できなかったことなどから、 中遠、 西部地域の海岸松林を中心に現在被害が拡大しております。 このため、 人々の生命と財産を保全する松林の大切さを理解していただくとともに住民の声を被害防止対策に反映するため、 遠州灘地域でも住民と行政が協力して海岸防災林の管理のための活動方針を作成し松くい虫に強い抵抗性松や広葉樹の植栽、 伐倒駆除を実施しております。
     平成十八年度は防除活動を重点化するため防除事業計画を見直し、 海岸から遠い森林は松くい虫被害のない広葉樹林化を進め、 重要な松林は市や町と連携し薬剤散布や抵抗性松の植栽を行い、 治山事業で移動式破砕機を使って効果的で徹底した伐倒駆除を進めるなど鋭意海岸松林の松くい虫被害の撲滅を目指してまいります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  これで小楠和男君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     三月六日午前十時三十分会議を開き、 質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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