• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

遠藤 行洋 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2014

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 オリンピックでメダルが取れる県内選手の育成について       
2 「プラサ ヴェルデ」を活用した県東部地域の活性化について                               
3 富士山の自然環境保全について                  
4 県立静岡がんセンターの医療連携について             
5 児童養護施設の生徒の自立支援について


○副議長(渥美泰一君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、五番 遠藤行洋君。
       (五番 遠藤行洋君登壇 拍手)
○五番(遠藤行洋君) 私はふじのくに県議団所属議員といたしまして通告に従い、当面する県政の諸課題について知事及び関係部局長、がんセンター局長、教育長に、一括質問方式で伺います。
 初めに、オリンピックでメダルが取れる県内選手の育成について伺います。
 ソチ・オリンピックが感動と興奮の余韻を残して閉幕しました。日本勢のメダル獲得数は金が一個、銀が四個、銅が三個、合計八個でした。スノーボードハーフパイプ銀メダルの平野歩夢選手が十五歳、フィギュアスケート金メダルの羽生結弦選手が十九歳と十代のメダリストが台頭する中、四十一歳、七回目のオリンピックで不撓不屈の精神で初めて個人のメダルを獲得した葛西紀明選手の活躍は、私たち世代に夢と希望そして勇気を与えてくれました。
 静岡県出身選手では、今回ショートトラックで伊藤亜由子選手と清水小百合選手が出場しました。女子三千メートルリレーで五位入賞、惜しくもメダル獲得はなりませんでした。温暖な静岡県からも冬季オリンピック代表選手がいるのです。
 さて、これまでオリンピックで静岡県勢が獲得したメダルは全部で三十個あります。金メダル第一号は一九三二年――昭和七年、ロサンゼルス・オリンピックで浜松一中の宮崎康二選手が競泳百メートル自由形で獲得しました。記憶に新しいところでは、バルセロナ・オリンピック水泳二百メートル平泳ぎ金メダルの岩崎恭子選手。同じくバルセロナ女子柔道五十二キロ級銀メダルの溝口紀子選手。さらにアテネ・オリンピック体操団体金メダルの水鳥寿思選手ら本県選手の活躍は地元を大いに沸かせました。特に岩崎恭子選手は、沼津市内でパレードを行うなど地元に熱気と歓喜と元気を与えてくれました。
 ところが、北京オリンピック、レスリングフリースタイルで松永共広選手が銀メダルを獲得したのを最後に前回のロンドン・オリンピックでは、静岡県勢はメダルゼロに終わっています。二年後のリオ、六年後の東京を初め今後県内出身選手の活躍がまさに期待されるところです。オリンピックメダリストのようなスター選手の輩出は、スポーツに携わる県民の意識の高揚のみならず地域の活性化にもつながります。
 県では、このほど東京オリンピックに向けた指定強化選手として県内関係選手六十人に対して、社会人、大学生は百二十万円、高校生以下は六十万円を上限に支援することを決めました。これは選手にとって本当にありがたいことです。ただメダルを取るためには、もう一歩踏み込んだ支援が必要です。それは優秀な監督やコーチの存在。そしてトップアスリートと接する機会を持つことです。
 ここで、話を葛西選手に戻します。私が初めて葛西選手に会ったのは葛西選手がまだ中学生のときでした。場所は北海道下川町の町営ジャンプ台。当時日本ジャンプ界のエース、秋元正博選手が下川町で自主トレをしていたときのことです。そのとき一人で飛ぶのも寂しいからと秋元選手から声をかけて一緒に練習をすることになりました。中学生の葛西少年が日本のエースと一緒に練習できたことは、葛西選手のジャンプ人生に大きな影響を与えました。葛西選手は、秋元選手との出会いが自分のジャンプ人生の原点であると後に語っています。私は多くのスポーツ選手を取材してきて思うことがあります。それは、憧れのスター選手やコーチと出会うことでスポーツ選手としての才能が開花することが多いのです。
 そこでメダルを取れる選手の育成のためには、一流選手と接することや優秀なコーチの指導が必要であると考えておりますが、今後県ではどのような支援をしていくのか、所見を伺います。
 次に、「プラサ ヴェルデ」を活用した県東部地域の活性化について伺います。
 いよいよことし七月に県東部地域の待望の新しいコンベンション施設ふじのくに千本松フォーラム「プラサ ヴェルデ」がグランドオープンを迎えます。建設地の沼津駅北口には白を基調とした施設の壁面に、つる性植物のテイカカズラを伝わせおよそ二百メートルのガラス張りのエントランスギャラリーには杉の丸太が柱状に並ぶなど緑を意識した特徴的な外観が姿をあらわしています。
 「プラサ ヴェルデ」は、県の会議場施設、沼津市の展示イベント施設、民間のホテルが一体となった全国でも数少ない総合コンベンション施設です。中部のグランシップや西部のアクトシティに並ぶ交流人口拡大のための拠点施設となるものです。観光を主な産業とする伊豆地域を初めとした県東部地域におきまして、今後経済の水準を維持向上させていくためには、従来の観光による誘客に加え会議やビジネスなどで来訪される方を含め交流人口の拡大を図っていく必要があります。こうした中、集客の促進や交流人口拡大のキーワードとして注目されているのがMICEです。MICEとは、会議をあらわすミーティング(Meeting)の「M」、企業などの報奨・研修旅行のインセンティブツアー(Incentivetour)の「I」、国際団体や学会などが行う国際会議のコンベンション(Convention)の「C」、展示会、見本市のエキシビション(Exhibition)またはイベント(Event)の「E」と、それぞれの頭文字をとった造語です。このMICEを推進していくことは、海外からの誘客も期待されます。物販や飲食などによる経済波及効果にも大きなものがあります。シンガポールや韓国などのアジア諸国は、MICEを国の成長分野として位置づけておりまして、誘致合戦が激化しています。
 我が国でも、去年六月に観光立国推進閣僚会議で決定されました観光立国実現に向けたアクション・プログラムの主要な柱の一つとしてMICEを位置づけ、国としての取り組みを一層強化していくということです。
 「プラサ ヴェルデ」が立地する県東部地域には、世界遺産富士山の景観や温泉はもちろんですが私の地元三島市にも源兵衛川のせせらぎや三嶋大社など会議の前後や合間に訪れたくなる観光スポットが数多くあり、MICEの開催には最適な地域です。東部地域の活性化のためには、こうした地域の特色や強みを生かし「プラサ ヴェルデ」をMICEの拠点施設として活用していくことが重要であると考えています。
 そこで、「プラサ ヴェルデ」開業の効果を県東部地域の観光振興や地域経済の活性化にどのようにつなげてくのか伺います。
 次に、富士山の自然環境保全について伺います。
 世界文化遺産に登録されて初めて迎えた富士山の日――二月二十三日に静岡・山梨両県共催で開催される予定でした富士山の日フェスタ二〇一四は、二月十四日から十五日にかけて降り続いた大雪の影響により中止となりました。しかしながら静岡県内におきましては、富士山こどもの国やプレ葉ウォーク浜北での富士山の日フェスタ遊びと学びのイベントを初めとして、数多くの協賛イベントが行われました。県民を挙げて富士山の日を楽しんでいただき、富士山を仰ぎ見る静岡県に生まれ育った者として改めて感慨深いものを感じました。
 今の季節、真っ白い雪をまとった富士山はため息が出るほど美しく、気高さと荘厳さとそれでいて気品と優雅さを兼ね備えたその立ち姿は、究極の自然美だと感じています。その美しい富士山。かつて自然遺産登録を目指しましたが、悔いを残して無念を残してあきらめた経緯があります。そもそも文化遺産登録は、富士山の過去への評価です。次の目標は未来まで宝として引き継いでいくことです。今の富士山を評価するのは自然遺産です。自然遺産としても認められ、最終的に複合遺産として登録を目指すことができれば、私たち静岡県民のみならず国民にとって最高の形ではないでしょうか。世界の宝を後世にしっかりと伝承していくこと。それがふじのくにに住む私たちの責任であり、義務であると考えています。
 しかしながら現在、その富士山には喫緊の課題があります。それは観光、レジャーなど富士山を利用することにスポットライトが当たっている今、そのスポットライトの光が強くなればなるほど長く大きくなっている影の部分です。影の部分とは、不十分な装備で登山しようとする登山者や夜を徹して登る弾丸登山者、利用者の増加に伴い影響を受ける自然環境の劣化などです。
 現在、ユネスコ世界遺産センターへの提出を要請されている保全状況報告書の提出期限が二〇一六年二月一日であることを考えますと、いずれについても速やかに対策をとっていかなければなりません。中でも富士山の神聖さ美しさの維持の観点から私は、富士山の自然環境保全に全力で取り組む必要があると考えています。例えば富士山環境基本条例のようなものをつくり、景観や環境を破壊するような行為には罰則を設けることも、時には必要かもしれません。環境保全にはお金もかかります。本議会において富士山後世継承基金を設置することを提案されておりますけれども、それだけでは決して十分とは言えません。
 以前から県は、行動規範としての富士山憲章に基づき県民などとの協働により富士山環境保全対策を進めてきたことは承知しています。世界文化遺産に登録され、より一層必要性、重要性が増した富士山の自然環境保全に対して今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、県立静岡がんセンターの医療連携について伺います。
 静岡がんセンターは、症例数のみならず患者・家族支援など日本トップレベルのがん専門病院として、日本のがん治療をリードしています。また先進医療として認められている陽子線治療のほか、手術支援ロボットダビンチを用いたがんの手術に取り組むなど高度医療の提供と開発研究、医療従事者の人材育成に取り組んでいます。去年大学病院、ナショナルセンター以外では三施設目となる特定機能病院として承認を受けたと聞いています。今後もますます県民の期待に応える医療サービスを提供していただけると確信をしております。このような評判を聞き全国津々浦々から優秀な医療者が集まり、臨床や研究に励んでいることは、県民にとってはまことに頼もしいものと受けとめています。
 この静岡がんセンターの高度がん専門医療をがんに苦しむ多くの患者さんにできるだけ早く提供することが、患者さんのお気持ちに応える第一だと思っております。そのためには、検診などを通じて最初に患者さんの症状を把握する地域の医療機関と静岡がんセンターとのスムーズな医療連携体制の構築がまずもって重要です。
 私もがんを経験しました。そのとき受診したクリニックから県立総合病院へと医療連携していただき、がんを克服することができました。クリニックの医師と病院の医師の双方が私の病状を把握し、サポートしていただき勇気を持って手術に臨むことができました。最近は分子標的薬などさまざまな新しい抗がん剤が登場するなどがん治療は日進月歩で発達しています。在宅で地域の医療機関に通院しながら治療を受ける患者さんが増えています。がん治療において地域の医療機関の担う役割は大きいと言えるのではないでしょうか。しかしながら静岡がんセンターのある県東部地域を病院数と病床数で見てみますと中部、西部地域では、大病院に多くの病床が集中しているのに対しまして東部地域では、二百床以下の中小規模の病院に五割弱の病床があることからも大病院が少ない地域と言えます。この東部地域の医療環境を考えますと患者さんが今後、身近な地域の医療機関で十分ながん治療やがんセンターとのスムーズな医療連携を受けることができるのか、私は大変危惧しています。
 そこで、静岡がんセンターが取り組んでいる医療連携の状況と今後の方針について、がんセンター局長に伺います。
 最後に、児童養護施設の生徒の自立支援について伺います。
 親による子供への虐待が後を絶ちません。暴行、育児放棄などで子供が死に至るケースが毎日のように報道されています。ことしに入ってからも一月には、東京都葛飾区のマンションで二歳の女の子が死亡する事件があり、顔や背中にはおよそ三十カ所のあざがあったそうです。日常的に虐待していた疑いもあるとして逮捕された父親は、二、三日前に近くの公園の滑り台から落ちたなどと話しているということです。厚生労働省によりますと平成二十三年度には、一年間で九十九人の子供が虐待で死亡に至っています。静岡県内でも、ここ三年の間に二人の子供が虐待で亡くなっています。全国の児童相談所で対応した児童虐待の相談件数は、平成二十四年度で六万六千七百一件でした。表面化していない数を加えますと実数は何人になるのかわからないのが実情ではないでしょうか。
 このような中で、さまざまな理由で家族と一緒に暮らすことができず児童養護施設や里親のもとで生活している子供は、全国でおよそ四万七千人に及びます。県内では平成二十五年三月三十一日現在、乳児院に五十六人、児童養護施設に五百六十九人、里親委託に二百十人、合計で八百三十五人が社会的養護を受けています。
 三島市に静岡恵明学園という児童養護施設があります。ここでは心に傷を負った子供たちを本当に時間をかけてケアしています。子供たちが立ち直るためには、まず夢や目標を持つこと。そして目標に向かって努力すれば必ず夢はかなうと思ってもらえるかが大きな要素だといいます。子供にとってまず一番身近な目標は進学です。支援する側にとっても進学は、その後の自立すなわち就職に向けた大きな一歩となります。しかしながら県内の児童養護施設の入所児童の高校への進学率は六割程度にとどまっています。大学進学となるとかなり少数です。
 恵明学園にある少年がいました。彼の夢は大学ラグビー日本一になること。志望校は全国大学ラグビー優勝六回の名門関東学院大学でした。児童福祉法では、十八歳未満の者が対象ですから原則として支援の対象とはなりません。奨学金とアルバイトで自活しながら大学に通うことを考えていましたが、合宿や遠征費などが年間三百万円以上かかることがわかり、その夢を一度は諦めかけました。しかし彼の夢をかなえてあげたいと恵明学園の職員の皆さんがお金を出し合い、銀行からも借金をして彼を大学に送り出しました。同級生はほとんどが花園経験者ばかりでした。それでも、努力すれば夢はかなうという学園の教えを信じて一生懸命練習に励みました。彼は四年間で二回しか試合に出られませんでしたが、卒業までラグビーを続けることができ社会へと巣立っていきました。高校でも大学でも進学ができ、そこで学生生活を過ごした何かをやり遂げたという自信が、その後の人生に大きくかかわってくるのだと思います。
 養護施設を退所した子供たちにとって、就職に関しても厳しい状況には変わりありません。児童養護施設協議会が平成二十三年度に施設を退所して就職した生徒について調査した結果では、中卒の生徒では一〇〇%全員が高卒の生徒ではおよそ三割が、退所したときの就職先から三年以内にやめているという状況にあります。進学・就職は、自立して生活していくためには不可欠のものです。彼らの人生を左右すると言っても過言ではありません。保護者を失ったり保護者と一緒に暮らすことの難しい子供は社会が育てる。夢や目標を持って第一歩を踏み出そうとしている子供たちの希望の芽を摘むようなことがあってはならないと思います。
 社会的養護が必要な生徒の自立に向けての支援について、県の御所見を伺います。
 それぞれ御答弁を期待いたしまして、以上で私の質問を終わります。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 遠藤行洋議員にお答えいたしますが、明解でわかりやすい質問構成、質問ごとに喉を潤される、めり張りのきいた朗読の仕方、また何より朗読されるその美声に聞きほれました。その内容につきまして、御答弁させていただきます。
 まず、「プラサ ヴェルデ」を活用した県東部地域の活性化についてであります。
 「プラサ ヴェルデ」は、会議場、展示場及び宿泊機能が一体となった全国でも数少ない総合コンベンション施設であります。このことはこれに匹敵するものが日本にはほかに三つしかありません。一つは大阪の国際会議場であります。ここは沖縄でのサミットのときにサミット会場を争ったところであります。もう一つは新潟の朱鷺メッセですね。それからもう一つが実は浜松にございますアクトシティです。そしてこの「プラサ ヴェルデ」なんですけれども「プラサ ヴェルデ」は首都圏からの利便性がございます。また近隣には、議員御指摘のごとく世界遺産富士山も伊豆半島ジオパークも、さらに温泉、ゴルフ場、海の幸、山の幸など来場者をおもてなしするさまざまな観光資源に恵まれております。こうした日本の数少ない総合コンベンション施設の強みを生かしまして首都圏、地元の企業・団体等への誘致活動を積極的に行っております。おかげさまでこの七月のグランドオープンから、その年の暮れ十二月までにもう既に二十を超えるさまざまなイベントが予定に入っているという状況でございます。国際会議場、全国大会、学会、展示会などの開催によりまして多くのお客様に御利用いただけるものと確信しておりまして、その経済効果を地域全体に広げていくことが重要であると考えます。このため豊富で多彩な観光資源、歴史・文化、食など沼津とその周辺地域のその地域ならではの魅力を生かしたアフターコンベンションの企画を提案することによりまして、国内外からのいわゆるMICE参加者に東部地域の観光地へ足を伸ばしていただけるよう取り組んでいるところでございます。
 昨年九月にプラサヴェルデ連絡会というのを設立いたしました。ここで県、沼津市、東部地域コンベンションビューロー、商店街、交通、観光事業者等々が協力をいたしまして、周辺の飲食店や交通機関に関するマップの作成、案内サインの拡充など町なかの回遊性と周辺観光地へのアクセス利便性の向上に取り組んで、消費の拡大につなげていこうという目的で活動をすることになりました。
 「プラサ ヴェルデ」が、MICEの拠点施設として観光、交通、飲食、宿泊など幅広い業種における新しいビジネス機会を創出することで東部地域の皆様とともに、にぎわいの創出と地域の活性化を図ってまいろうと考えております。
 続きまして、富士山の自然環境保全についてであります。
 世界遺産富士山を世界に誇るべき国民の財産として確実に後世に引き継ぐことは、ふじのくにに住む私たちの使命であります。とりわけ富士山の豊かな自然環境を守ることがより一層重要になってきたと認識しております。何といいましても富士山の普遍的な価値の基礎となっているのは、まさにその自然環境にほかならないからでございます。
 差し当たって県では、富士山憲章がございますので、その理念に基づきまして富士山を愛する多くの人々の思いを結集して、第一に環境負荷を軽減する、第二に富士山保全意識を高揚させる、第三に生物の多様性を確保する。この三つの柱をもちまして、環境保全対策に全力を傾注して取り組むとともに、富士山の自然環境に影響を及ぼす行為に対しましては既存の自然公園法などに基づきまして厳格かつ的確に対応してまいろうと考えております。もちろん県議の御提案の環境保全基本条例なども念頭に置かねばならないかもしれませんけれども、そうしたことがなくとも富士山の環境が保全されるということが大切だと思っております。
 来年度は、増加が予想される国内外からの来訪者に対する、まずは登山マナーの周知啓発。またボランティア等の方々と協働して清掃活動とかオフロード車の乗り入れ防止対策を拡充するほか富士山麓に不法投棄された産業廃棄物を撤去する活動への支援制度を創設することといたしておりまして、関連する予算を今議会にお諮りしているところでございます。これらの取り組みを包括的保全管理計画に呼応した静岡県行動計画の改定に反映させて、自然環境の保全を強力に推進してまいろうと考えております。
 富士山が世界文化遺産になりましたが、自然遺産としての価値も持っていることは議員の御指摘のとおりだと存じます。一方でその自然それ自体に精神性、宗教性、あるいは芸術性といいますか、そうした性格をはらんでいるのが富士山でございますので、したがって富士山が世界文化遺産に自然物が世界文化遺産になっているということの中に既に複合遺産的性格があるというふうに存じます。差し当たっては、富士山の全体的なこの文化的な景観というものとそして本県にございます構成資産のここをみんなで特に当事者の方たちが管理をしっかりしていくということが大事です。
 私どもが一番心配しているのは三保松原ですけれども、この間、民間の方々がその松の数が三万六百九十九本だというふうに報告されて、そしてそれを市のほうに届けられたわけですが、市のほうでは一万本が――実際には二万数千本が誤差があるということなんですが、一万本近くは松枯れ対策によったというふうに報道されていますが、松枯れをさせる対策であったのかと思ったくらい従来の松枯れを防ぐ対策が功を奏していなかったということがございます。こうしたことはやはり松林をしっかりと保全していくということがございます。
 ですから、そうしたものは一見遠いようですけれどもいわゆる文化的、精神的なものとして、富士山の曼荼羅図にもございますように、一体のものでありますから全体をきれいにしていくということがとても大切です。特にそういう構成資産については、そしてその中でも三保松原についてはこれから研究していかなくちゃならないと思います。
 富士山は日本の国土の象徴ですから、その国土の象徴である富士山の自然環境を保全するということは、同時に日本の国土全体の自然環境を保全していくということと結びついていなければならないというふうに思います。その意味でこの富士山の自然環境の保全は、国民的な運動として展開しなくちゃならないと存じますし、さらにまた富士山の清掃活動、それを通して保全活動を通して、それが日本の自然、日本の国土全体の環境をよくしていくという、そういう運動に広がっていくということも大切だと存じます。そのような意味におきまして、富士山の自然環境の保全というのは極めて重要な課題であるというふうに認識している次第でございます。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) オリンピックでメダルが取れる県内選手の育成についてお答えいたします。
 地元出身選手がオリンピックのメダリストになることは、県民に夢と希望を届け地域を元気にする力となります。また議員から御紹介がありましたように過去の本県出身メダリストは、郷土の誇りとしてその名が深く記憶に残されております。
 県教育委員会では、今年度トップアスリート等派遣事業を通してバレーボール元日本代表の杉山祥子さんやサッカー元日本代表の名波浩さんなどから実技指導だけでなく、スポーツの楽しさやすばらしさも伝えていただきました。こうした一流選手との出会いは、将来のオリンピック選手を輩出する第一歩となることから、今後も事業の充実に努めてまいります。
 また、メダル獲得には選手の日々の努力はもちろんのこと指導者の存在や練習環境の充実も重要であります。そこで来年度二〇二〇フレーフレー東京オリンピックふじのくにスポーツ推進事業を新たに開始し指定強化選手が優秀なコーチの指導を受けるための費用のほか合宿や遠征を行うために必要な費用も支援することを計画しております。
 今後は、これらの事業の効果を検証しながらさらに競技力向上につながる支援策を検討し本県関係選手がメダル獲得を目指してオリンピックに多く出場できるよう、選手の育成に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 石野がんセンター局長。
       (がんセンター局長 石野眞澄君登壇)
○がんセンター局長(石野眞澄君) 県立静岡がんセンターの医療連携についてお答えいたします。
 静岡がんセンターでは、開院当初から原則紹介予約制をとっており、地域の医療機関との連携を担う疾病管理センター内に患者の予約受付と静岡がんセンターから地域の医療機関への紹介を行う医療連携担当を置き、地域の医療機関との円滑な連携を推進しております。
 また、在宅で療養する患者さんが地域で安心して治療ができるよう静岡がんセンターのカルテをかかりつけの診療所や病院の医師、訪問看護ステーションの看護師などがインターネットを経由して閲覧することができる医療連携カルテシステムを構築し、静岡がんセンターでの検査結果のデータ等を随時、診療や看護に活用していただいております。静岡がんセンターが開院当初から全国に先駆けて取り組み、平成二十四年には保険診療にも認められた医科歯科連携やがん患者の退院後の治療を地域の医療機関と共同で行うための治療計画である地域連携クリティカルパスの県内へのさらなる普及を図っております。加えて東部地域の病院を主な連携先として在宅や地域での緩和ケアを希望する患者を受け入れていただく取り組みも進めているところであり、引き続き地域全体で患者を支える体制の構築に一層取り組んでまいります。
 今後も、こうした取り組みにより地域の医療機関との連携を強化し県民の皆様に最善の高度がん専門医療が提供できるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 児童養護施設の生徒の自立支援についてお答えいたします。
 児童養護施設の児童が社会で自立していくためには、入所中の養育支援により自立生活に必要な力を身につけさせることやその力が十分でない児童については、進学・就職後も引き続き支援することが重要であります。
 このため、施設では自立支援計画を立てて養育支援を行っているほか、県では高校進学に必要な経費や就職あるいは大学等への進学のための支度費などの支援に加え就職先の開拓、就職後の相談支援等を行う事業を県内二カ所で実施しているところであります。
 また、大学等への進学後の生活が不安定で継続的な養育を必要とする場合には、満二十歳までの間は引き続き施設で生活できるよう措置の延長が認められていることから県の児童相談所ではこの措置を積極的に活用し、本年度は五人が対象となっております。
 さらに、本年度から県の委託により児童養護施設が大学生などを活用して実施している個別指導の取り組みでは、児童の学習意欲の向上が見られることからこの成果を踏まえ国に対して施策を提言することとしているほか、入所児童が大学等へ進学した場合の措置費の創設についても国に対して働きかけてまいります。
 県といたしましては、今後とも児童養護施設等関係する皆様の御意見も伺いながら、入所児童が夢や希望を持ちながら生活できるよう自立に向けて積極的に支援してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 五番 遠藤行洋君。
       (五番 遠藤行洋君登壇)
○五番(遠藤行洋君) 御答弁ありがとうございました。要望を一点、再質問を一点させていただきます。
 要望でございますが、オリンピックメダリストの輩出に向けて、今のような一流選手――トップアスリートと接するような機会をもっともっとつくっていただきたい。それと知事は日ごろから、スポーツ大国静岡の復活、そしてスポーツでもっと幸せな県へということをおっしゃっておりますので、ぜひ知事にはスポーツ選手の応援団長として、これからも頑張っていただきたいと思います。以上、要望でございます。
 再質問ですが、児童養護施設の自立支援について正直言って今新しい御答弁、措置延長を五人が対象ということもありました。それから二十まで、それから措置の新しい創設。こういったことで、かなり一歩踏み込んだ御答弁をしていただいたなというふうに思っておりますが、一番児童養護施設の生徒にとってひっかかるのがやっぱり児童福祉法ですね。これは十八歳未満が対象内ということになっているので、高校を卒業する時点では、ほとんどの生徒が十八歳になっています。ですから、ここがいつもひっかかっている部分なんですね。これは法律の壁なんですけれども実は地元選出の国会議員もこの問題を国で今本当に一生懸命取り組んでいるところです。児童虐待それから児童養護施設の子供たちの自立支援については、国会議員も本当にこの児童福祉法の壁に当たっています。
 私はやっぱり、その十八歳という年齢が非常にネックだなと思うんですけれども、やはり知事の理想郷ふじのくには、「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」で「学んでよし 働いてよし」ですね。児童養護施設の子供たちにとってみると、今正直言って「学んでよし 働いてよし」という状況にないんです。ですからここを何とか県としても、子供たちのためにバックアップしていただきたいなと。
 できれば知事の御所見を伺いたいんですけれども、この辺について御答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(渥美泰一君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 児童養護施設の生徒の自立支援についての再質問にお答えいたします。
 確かに児童福祉法では、十八歳というふうなところで文字どおりこのとおりにやってしまうと高校に入っている方々がそこで途切れてしまうような状況になりがちでございます。ですから県のほうでは、こういうふうなある一定の学校のまとまりのところまでは措置延長というふうな形で対応しておりますし、今二十までは、学校にそのまま通ったり、あとは勤めていても不安定なときについては延長されるようになっておりますけれども、今議員から御提案がございましたようにやはり子供が自立していくためには、しっかりと支えていくことが大切ですので今議員から御提案があったことも含めて、一層の支援の充実を私どもも頑張りますし国のほうに働きかけてまいりたいと思います。以上でございます。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp