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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/10/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 市町DXの推進について
2 新型コロナウイルス感染症の再拡大への備えについて
3 世界遺産富士山の眺望を生かした山麓地域の周遊促進について
4 富士市東部地域における治水対策について
5 富士地区における工業用水の安定的な供給について


○議長(宮沢正美君) これで小長井由雄君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、五十八番 植田 徹君。
(五十八番 植田 徹君登壇 拍手)
○五十八番(植田 徹君) 今議会最後の質問者となりました。もうしばらくの御清聴をお願いをいたします。
 私は、自民改革会議の所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事、関係部局長に一括質問方式にてお伺いをいたします。
 まず初めに、市町のDXの推進について伺います。
 新型コロナウイルス感染症への対応において国や地方の情報システムが個々にばらばらで十分な連携がなされていなかったことや社会全体を俯瞰した視点が十分でなかったことにより、地域間、組織間における横断的かつ効果的なデータ活用ができないなどデジタル技術の利活用における様々な課題が浮き彫りとなりました。とりわけ感染爆発のさなか医療情報のファックスでのやり取りや給付金を配るために多額の経費をかけた人海戦術に頼らざるを得ない状況にまで追い込まれるなど、もはやデジタル化については日本は先進国とは言えない状況となっております。
 こうしたデジタル化の遅れに対しては何より迅速に対処することが必要なことはもとより、新しい日常の実現に向け制度や組織の在り方などをデジタル技術で変革していく社会全体のDXデジタルトランスフォーメーションが求められていることは今や国民の共通認識となっています。
 総務省では、昨年末に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画における自治体関連の各種の施策として行政デジタル化の基礎となる自治体情報システムの標準化・共通化や行政手続のオンライン化、マイナンバーカードの普及促進など自治体が重点的に取り組むべき事項、内容を具体化するとともに、総務省や関係省庁による支援策等を取りまとめた自治体DX推進計画が策定されました。平成二十七年度に開始されたマイナンバー制度により国や自治体の間ではデジタルデータによる情報連携が順次拡大され事務のデジタル化が進められていますが、申請や届出などの窓口の手続ではまだまだ紙での処理が数多く残っており行政手続のデジタル化をその入り口で妨げる形となっております。
 児童手当や年金などの各種行政手続では、なりすましや取り違えなどを防止するため受付時点での本人確認が極めて重要ですが、インターネットを通じたオンラインでの申請手続においてもマイナンバーカードに搭載された公的個人認証の電子証明書を活用すれば窓口で行う場合と同様に安全、確実な本人確認をすることができ、今後進められる自治体情報システムの標準化・共通化と相まって行政手続のデジタル化を加速することが期待できます。
 しかしながら、マイナンバーカードについてはまだまだ十分な状況ではありません。平成二十八年一月に交付が開始されてから今月末で丸六年となります。これまでも国を中心として普及に向けた取組が行われ最近ではテレビのCMやマイナポイントの付与などさらなる取組の強化が図られていることは承知しておりますが、令和四年度中に国民のほとんどが所有するという国の目標に対して今年十一月時点での交付率が全国で三九・四%、静岡県では全国をやや上回る三九・八%にとどまっているのが実情であります。加えて市町村における行政手続のオンライン化の目標時期が令和四年度末までとされていることや情報システムの標準化・共通化の目標時期が令和七年度末までとされているなど、市町に求められる一連の取組を定められた期限までに実現するには現行のシステムの状況把握やスケジュールの策定をはじめとして計画的な導入を進めていく必要があります。
 これに対し、県では本年度県全体のデジタル化を強力に進めることを目的とするふじのくにDX推進計画の策定が進められていますが、県民の最も身近にあり数多くの行政手続が行われる市町の対応が確実に進まなければ本県が策定する計画自体が絵に描いた餅となってしまうのではないかと危惧しています。誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化の実現に向け一つの市町も取り残すことなく足並みをそろえてデジタル化を進めていくためには、こうした現状や課題を把握した上で市町に寄り添ったきめ細やかな支援も含め静岡県のふじのくにDX推進計画をどのように位置づけどのように進めていくのか、県の所見を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症の再拡大への備えについて伺います。
 今夏の第五波では、感染力の強いデルタ株が猛威を振るい新規感染者数は七月から九月までの三か月間で一万七千人を上回りました。県内で最初の感染者が確認された昨年二月末から今年六月末までの一年四か月の累計が九千人余りだったことと比べると爆発的な拡大と言えます。そのため県全体の病床使用率は八月下旬に最大で七三・一%と、いつ医療崩壊が起こってもおかしくない状況となりました。
 感染の急拡大により濃厚接触者への検査などのやり方が見直され、以前であればPCR検査等を受けることができたのに検査自体が実施されなくなったことが県民に分かりやすく伝わらなかったこと、保健所業務が急増し患者への連絡に時間を要したり、本来であれば入院が必要な方もやむを得ず宿泊療養施設や自宅で療養せざるを得ないケースも発生し県民は大きな不安を抱えて過ごしていました。また八月臨時会の補正予算に計上した入院待機ステーションも医療人材の確保などの課題から現在に至るまで実現できておりません。
 このように、第五波への対応を振り返ってみますとかねてから指摘されていたとおり本県の医療提供体制の脆弱さが露呈したと言わざるを得ません。その後九月に入り全国的にも新規感染者数は急激に減少し本県を含む全ての緊急事態措置とまん延防止等重点措置は九月末をもって終了し、その後感染状況は落ち着いております。
 しかしながら、一年前の十一月を振り返ると複数のクラスターの発生を契機に感染が再拡大し年末年始の人流拡大とも相まって一月には第三波のピークを迎えました。現在県内の新型コロナワクチンの接種率は全年代で七五%、高齢者では九〇%を超える水準まで進んでおり第三波の頃とは状況は違いますが、ブレークスルー感染も散見されクラスターも十一月には高齢者施設でそして今月に入り私の地元である富士市内の学校でも確認をされました。また海外に目を向けますとワクチン接種が進んだヨーロッパでの感染再拡大や十一月下旬に確認されたオミクロン株の広がりなどいつ再拡大に転じてもおかしくない状況であります。
 政府は去る十一月十二日に次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像を取りまとめました。これによりますと基本的な考え方として、今夏のピーク時を踏まえて最悪の事態を想定して次の感染拡大に備え今後感染力が二倍となった場合にも対応できるよう医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進、治療薬の確保を進めることとし、その上で想定以上の感染拡大が生じた場合には強い行動制限を機動的に国民に求めつつ国の責任において通常医療を制限し緊急的な病床等を確保するための具体的措置を講ずることが示されました。
 県においても、病床確保の見直しや入院待機ステーションの検討、自宅療養者への支援、市町との連携事業実施のための覚書の締結、ワクチン接種会場の運営など様々な取組や準備を行っていることは伝わっておりますが今後想定される第六波に向けた全体像が見えてまいりません。第五波のときのように県民が不安を感じる状況に置かれることは繰り返してはなりません。
 そこで、第五波のような感染爆発が再度発生することを想定し今後どのような体制を構築し乗り切ろうとしているのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、世界遺産富士山の眺望を生かした山麓地域の周遊促進についてお伺いいたします。
 昨年は、コロナウイルス拡大の影響により開山が見送られるという長い富士山の歴史においても前代未聞の事態となりました。富士登山あるいは五合目観光を目的に山麓地域を訪れる人が多いことから観光事業者や交通事業者など富士山麓地域の産業も大きな打撃を受けました。今年こそは大勢の人が富士山を目指して訪れてくれるものと期待しておりましたが、緊急事態宣言が発出された影響や盆休みの天候不順などが重なり登山者数は例年に遠く及ばず少ない結果となりました。山麓地域の観光についても大変残念な夏となりました。
 さて、富士山というと山頂を目指す富士登山をイメージする人が多いと思いますが、四季を通じ様々な表情を見せる世界遺産富士山のすばらしい眺望を慈しみながら歴史文化や食を楽しむことも大変趣深いものがあり、いにしえの文人墨客も大いに楽しんだと聞き及んでおります。私自身これまで本会議での質問において何度となく富士山の眺望を活用した観光振興の必要性を訴えてきました。
 特に、富士市の南西に位置する岩本山についてはあらゆる機会を通じてそのすばらしさを力説してまいりました。その山頂には梅や桜、アジサイなど季節の色とりどりの花々が咲き誇り訪れる人々の心を和ませてくれる岩本山公園。そしてそれらの花々越しに望む富士山はまさに絶景であります。さらに西には日本三大急流に数えられ日本一の河口幅を有する富士川、南には二千五百メートルの水深を誇り日本で最も深い湾とされる駿河湾と世界ジオパークの伊豆半島を一望することができる岩本山公園は世界に誇るビューポイントであります。その岩本山と通じかつては西に比叡山、東に実相寺と称されたほどの威容を誇る実相寺など歴史的資源も豊富にあります。
 新年には伊豆や県東部地域も舞台となっている大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」の放送が開始されますが、岩本山から望む富士川流域こそ名高い富士川の合戦の舞台でありより広い世代の関心が高まることを期待しております。
 そして、人々を引きつける食文化であります。北に富士山の大パノラマ、南に駿河湾のオーシャンビューを見渡す田子の浦港ではその眺望を楽しみながら港で水揚げされ抜群の鮮度が自慢の生シラスといった食を楽しむことができます。これら富士市が誇る自慢の観光スポットがまだまだ十分に活用されていないと感じております。
 富士山麓が有する様々な魅力をより多くの人に知ってもらい、訪れてもらうことで世界遺産富士山の価値をさらに世界にアピールできると考えますが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、富士市東部地域における治水対策について伺います。
 本年七月一日から三日にかけて発生した豪雨は、熱海市伊豆山の土砂災害をはじめとして静岡県東部を中心に大きな被害をもたらしました。熱海市伊豆山の土砂災害では死者二十六名、行方不明者一名、さらに被災した家屋は百三十棟以上に上り改めてお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々に対しまして心からお見舞いを申し上げるところであります。
 このたびの豪雨による災害は、私の地元である富士市の東部地域においても七月一日から降り続いた雨が三日未明に非常に強い豪雨となり、愛鷹の雨量計では総雨量六百五十ミリを上回る雨量を記録し平地部は湖と化し床上浸水家屋二十三戸を含む約八十戸以上もの住宅が被害に見舞われました。また広い範囲で水田が冠水し場所によっては四日間も水が引かず農作物にも大きな被害を与えました。今回の豪雨では多数の住宅被害が発生したほか水田などにも大きな影響を与えたことによりこれらの復旧作業など日々の生活に支障を来す事態となってしまいました。
 富士市の東部地域はかつて浮島沼と呼ばれた低い平地が広がっており、愛鷹山麓から一気に流下する河川がこの低平地を横断し緩い勾配で海岸沿いを東西に流れる沼川に合流しております。現在は優良な農業地帯であり新たな住宅地の進展も見られていますが、この土地の地形的な要因から昔から大雨が降ると平地部では浸水被害を受けやすいところであります。
 昭和五十一年八月に大きな洪水被害を受けたことを契機に、県が沼川や滝川、赤淵川など本格的な河川改修を進めたことにより大いに地域の発展にもつながりました。また富士市の一番東部に位置する春山川でも過去に河川の整備が行われ昨年度も河川のしゅんせつや除草などしっかりと維持管理を行っていただいたことにより、今回の豪雨では水田が冠水したことにより稲作には影響が出たものの住宅への被害は受けなかったと当地域の代表者からも伺っております。しかしながら江尾江川については河川整備が進んでいないことから住宅が浸水する被害に見舞われてしまいました。
 このように、一定規模の改修が済んでいる河川ではその事業効果が改めて認識されたところです。このため引き続き計画的に河川整備を進めることは大変重要であり、特に住宅の浸水被害を受けた未整備の河川については早急に整備を進めることが必要であります。
 さらに、河川の流れを阻害する堆積土砂の撤去や繁茂した草木の除去など継続的な維持管理をしっかり進めていくことが当地域における住宅地の浸水被害のほか水田など優良農地の被害を軽減させることにも大きく寄与するものであります。重要な対策であると考えています。
 そこで、富士市東部地域における治水対策を今後どのように進めていくのかお伺いをいたします。
 最後に、富士地区における工業用水の安定的な供給について伺います。
 令和二年六月一日現在で実施した工業統計調査によれば、令和元年の本県における製造品出荷額等は十七兆一千五百四十億円であり、私の地元富士市では約一兆四千二百五十億円で全体の約八%を占めております。また富士市内の従業者数四人以上の事業所数は七百七十一となっておりますが、このうちの約一割がこの地域に整備されている富士川工業用水と東駿河湾工業用水を利用しており地域の製造業、特に製紙産業を支える重要な産業インフラとなっています。
 富士地域は、かつて地下水の過剰揚水に伴い地下水位の低下や塩水化等の障害が発生したことから工業用水が整備されましたが、工業用水の維持と適正な活用は富士地域における地下水の保全と産業の発展を両立させSDGsの理念にかなうものであると考えます。しかしながら両工業用水道事業の経営状況は大口ユーザーの利用廃止が相次いだことから急速に悪化し、令和二年度の決算では企業局が経営する七つの工業用水道事業の中でこの二つの工業用水道事業のみが赤字となり赤字額は合わせて一億五千万円余にも上ります。
 一方で、先日も和歌山県で水管橋の崩落事故が発生しインフラの老朽化と日常的な維持管理が問題となりましたが、両工業用水道施設も建設から四十年以上を経過し老朽化していることから計画的に補修や更新を行っていく必要があります。また近年では各地で大規模な災害が発生しており県内では令和元年の台風十九号による大雨の影響により駿豆水道が破断し熱海市と函南町の一部で長期間にわたる断水が発生したことから地域住民の生活に大きな影響を与えました。
 工業用水においても、ひとたび長期断水が発生すれば生産活動の休止や縮小を余儀なくされ企業の経営に大きな影響を与えることからこのような事態に備えた対策を取る必要があります。平成二十八年度に県が策定した水道施設更新マスタープランによると施設のダウンサイジングを行ったとしても施設の更新に必要な費用は富士川工業用水で百六十三億円、東駿河湾工業用水で千八百七十億円と試算されておりますが、これらへの莫大な費用をユーザーの負担とした場合将来的に利用料金の大幅な値上げが必要となりユーザー企業の経営を大きく圧迫することが危惧されます。
 以上のことから、私は令和元年六月議会においてユーザーへの影響を最小限にとどめつつ良質な工業用水を将来にわたって安定的に供給していくために企業局としてどのように対応していくのか伺いましたが、企業局長からは維持管理費と改築に係る費用の縮減やリスクの軽減等様々な視点から、二つの工業用水の間での効率的な水運用や施設及び管路網の再編案の企画検討を行いユーザーの意見を聞きながら対応策を決定していくとの答弁がありました。
 企業局では、日頃から様々なコスト削減に努めていると伺っておりますが全国を見ると昨今では熊本県や大阪市、宮城県等で工業用水道事業への官民連携手法の導入により経営改善を図る事例も少しずつ見られるようになりました。前回の質問時と比べ両工業用水道事業を取り巻く環境はさらに厳しくなっております。改めて企業局としてユーザーの負担を抑えつつ富士地区における工業用水の安定供給に向けてどのような対応策を取るのかお伺いをいたしまして、私の質問といたします。ありがとうございました。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 植田議員におかれましては、本議会のトリとなる質問者として当面する県政の課題について五点、うち二つは県政全体に関わるもの、あと三点は御地元の課題に関わるものにまとめていただきました。傾聴いたしました。
 私のほうは、全体に関わるもの並びに地元に関わるものそれぞれ一つずつにつきまして御答弁をさせていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症の再拡大への備えについてであります。
 今回県では、今後の感染拡大に備え新しい保健・医療提供体制確保計画を策定するに当たり第五波と同様な感染拡大を前提として必要となる体制を確保することといたしました。
 初めに、感染者を確実に医療、療養につなげることが重要でありますことからこれまで陽性判明後に振り分け外来を行う医療機関と保健所が調整の上、患者の受入れ先を決定しておりましたが、今後は感染拡大時における保健所の業務負担を軽減するとともに患者急増時におきましても迅速かつ確実に医療、療養につなげるため・・・・・・
○議長(宮沢正美君) 議事の都合により、暫時休憩します。

○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を再開します。
 知事、答弁をお願いいたします。
○知事(川勝平太君) それでは、答弁最初からさせていただきます。
 新型コロナウイルス感染症の再拡大への備えについてであります。
今回県では、今後の感染拡大に備え新しい保健・医療提供体制確保計画を策定するに当たり第五波と同様な感染拡大を前提として必要となる体制を確保することといたしました。
 感染者を確実に医療、療養につなげることが重要であります。これまでは陽性判明後、振り分け外来を行う医療機関と保健所が調整の上、患者の受入れ先を決定しておりました。今後は感染拡大時における保健所の業務負担を軽減するとともに患者急増時におきましても迅速かつ確実に医療、療養につなげるため最初に受診した医療機関において入院、宿泊療養、自宅療養を振り分けることといたしました。
 次に、医療体制の確保につきましてはまず入院病床を第五波の最大病床数と同規模の七百五十床を確保するとともに、即時入院できない場合に備えまして第五波では設置に至りませんでした入院待機ステーションを一部の宿泊療養施設内に七十五人分用意いたしまして第五波を上回る患者発生に対応いたします。
 なお、患者急増時への対応といたしましては患者の受入れ状況を病院間で共有し感染状況レベルに応じて速やかに病床が確保できるように各医療機関に対し必要な病床の確保を依頼したところでございます。
 また、早期の抗体療法により重症化を防ぐことは入院者を抑制し病床の逼迫を軽減することにつながりますので、療養先決定時に抗体療法の必要性を判断して治療を実施する医療機関等へ速やかにつなげる仕組みを医療圏域ごとに構築いたしました。さらに自宅で療養される方の見守りにつきましては毎日の健康観察に加え体調悪化時に往診や外来診療により治療に当たっていただく三百八十七の協力医療機関を確保するとともに、市町との連携によりまして自宅療養に必要な食料支援あるいは健康観察に応答のない方への安否確認を実施することで安心して自宅療養のできる環境を整えてまいります。
加えまして、感染拡大の傾向が見られた場合宿泊療養施設の増設や健康観察担当者の増員のほか保健所への県庁内からの応援要員の確保など速やかに体制を整えることとしております。
 ワクチン三回目の接種を促進するとともに、新型コロナウイルス感染症に罹患した場合でも安心して療養できるよう医療関係者をはじめ市町や関係団体の皆様と共に一丸となって取り組んでまいります。
 次に、世界遺産富士山の眺望を生かした山麓地域の周遊促進についてでございます。
 富士山信仰は山麓から山頂を望む遥拝が起源とされております。国内外の芸術に影響を与えてきたのはその荘厳にして類いまれな美しい姿であります。春夏秋冬を通じいにしえより人々の心を引きつけてきた富士山の眺望は世界に誇るべき財産であります。
 富士山とその山麓地域の周遊、観光は、夏の登山時期はもとより一年を通じ富士山の眺望のほか周辺地域の歴史や食文化などの多彩な魅力があることを多くの方々に知っていただくことが重要であります。そのためには情報発信が必要なことは言うまでもありませんけれども問題はその在り方でございます。従来のような周遊場所やコースを伝えるという一方的情報発信では不十分です。情報を受け取る側の属性、好み、関心等々を考慮しその方々の心を引きつけるような情報を提供し、それを基に訪れる人々が感動し、あるいは新たな魅力を発見し、旬な情報が口コミで拡散されるような仕組みづくりが必要であります。
 このため、新たに写真愛好の方々を対象にいたしましてビューポイントとして議員の思い入れの深い岩本山公園はもとよりでございますが白糸の滝、しらす街道などの山麓地域の様々なスポットの現地取材をしていただきその魅力的な写真をSNS等で発信していただくとともに、来訪者の皆様が参加できるインスタグラム上の写真投稿コンテストを開催いたします。
 また、本年四月には富士山周辺四市一町の観光協会がしずおか富士山利活用推進協議会を設立されました、山麓周遊促進の機運が高まってまいりました。今後は協議会とも連携し富士山麓を訪れた皆様がどのような観光スポットを巡り滞在したかなど来訪者の嗜好に関するデータ等を蓄積いたしまして、より満足頂ける山麓周遊を来訪者に提案できるよう観光デジタル情報プラットフォームを活用いたしましてコンテンツの充実を図るなど地域と一体となった取組を進めてまいります。
 本年八月二十九日御案内のとおり中部横断自動車道の静岡―山梨間が全線開通いたしました。これにより中央日本四県のアクセスが飛躍的に向上したところであります。既に新東名高速道路が東富士五湖道路とつながっておりまして、これと相まって富士山周辺の回遊性が向上いたしました。観光地としての魅力が大いに高まっていると認識しております。この好機を逃がすことなく今後山麓の各地域、山梨県等と一層連携を深め富士山の美しい眺望や多彩な観光資源を生かした取組を積極的に進めることで多くの方々に富士山麓地域を訪れていただくとともに世界の宝、富士山の価値を国内外に発信してまいりたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 山口デジタル戦略担当部長。
○デジタル戦略担当部長(山口武史君) 市町DXの推進についてお答えいたします。
 コロナ禍において顕著となった行政のデジタル化の遅れについては住民の皆様に身近な市町の対応が極めて重要であり市町DXの推進が鍵を握っていることは議員御指摘のとおりであります。
 県では、これまでも光ファイバー網の整備やマイナンバー制度の周知啓発など市町の取組を幅広く支援してまいりました。また現在策定中のふじのくにDX推進計画においては市町DXの推進への支援を基本方針に掲げ行政手続のオンライン化の検討やAI等新技術の導入実証なども既に市町と共同で進めております。
 一方、市町基幹システムの標準化・共通化や行政手続オンライン化の推進、マイナンバーカードのさらなる普及など市町に求められる取組には定められた期限までに限られた人材で対応する必要があります。
 県といたしましては、市町のデジタル化への取組状況を詳細に把握するとともに行政経営研究会ICT利活用部会を通じた国の最新情報の提供や研修の実施、システム事業者との勉強会などきめ細かな支援を行うことで一つの市町も取り残すことなく足並みをそろえて県全体の行政のデジタル化を推進してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 和田交通基盤部長。
○交通基盤部長(和田直隆君) 富士市東部地域における治水対策についてお答えいたします。
 近年頻発している水害では、河川内に堆積した土砂や樹木等による流下阻害が洪水氾濫の原因の一つとなっております。このため県では平成三十年度から防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策を活用しこれらの撤去を集中的に進めてまいりました。春山川など富士市東部地域の河川におきましても三年間で五億円余を投じ約五万立方メートルの土砂等の撤去を行った結果家屋の浸水被害を軽減する効果が得られております。今後も定期的な河川パトロールや地域の声を基に現地の状況を把握し流下阻害による水害リスクが高い箇所について堆積土砂や樹木等の撤去を継続的かつ計画的に実施してまいります。
 一方、市街化の進展に伴い浸水被害が多発している江尾江川では五メートルに満たない川幅を約三十五メートルに広げる抜本的な河川改修を進めております。これまでに計画延長一・九キロメートルのうち沼川合流点付近の約四百メートル区間につきまして河川の付け替えに向けた堤防の整備が概成したところであり、引き続き上流に向け用地取得と河川の拡幅工事を早急に進めてまいります。
県といたしましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策等の予算を最大限活用し富士市東部地域における河川整備の推進と継続的な維持管理を行い頻発化、激甚化する豪雨による被害を軽減することにより安全・安心に暮らせる地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 松下企業局長。
○企業局長(松下育蔵君) 富士地区における工業用水の安定的な供給についてお答えいたします。
 企業局では、地域の発展を支える良質で廉価な工業用水を供給していくため更新費用一千億円を削減する大胆な抜本的改革と毎年四億円の収支を改善する着実なイノベーション・マネジメントを実施しております。
 富士川工業用水道と東駿河湾工業用水道につきましては、給水区域の隣接等の利点を最大限に活用し両施設の統合を行ってまいります。統合後の名称は日本一の給水能力を誇ることから「ふじさん工業用水」とし、これにより浄水費と動力費を毎年二・五億円、更新費用を三十四億円削減してまいります。またSDGsへの貢献として電気設備の配置の最適化によりCO2排出量を五〇%以上削減し名実ともに「ふじさん」の名にふさわしい工業用水が誕生いたします。移行時期は令和十一年度を予定しておりますが、水源の複数化による断水リスクの最小化等の効果を早期に実現するため令和四年度から一部運用の準備を進めてまいります。
 訴求力の高い名称を生かして、統合後も民間事業者のノウハウの活用など県内外の英知を集めてさらなるコストカット、効率化に努め全国のモデルとなる事業スキームに必ず仕上げてまいります。
 今後とも、ユーザーの皆さんの御負担を最小限に抑えつつありとあらゆる経営革新に取り組み工業用水が地域の産業振興と発展に大いなる貢献ができますよう全力を尽くしてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) これで植田徹君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で質疑及び一般質問を終わります。

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