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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和2年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

10/01/2020

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 ウイズコロナ、アフターコロナの政策について
(1) 新型コロナウイルス感染症がもたらす危機の克服に向け
  た感染予防と経済再生の両立
(2) 若者世代の移住促進
(3) 医療健康産業の基盤強化
(4) 来夏の富士山開山に向けた取組と富士山観光の振興
2 富士山の眺望を生かした田子の浦港のにぎわいづくりにつ
 いて
3 富士地域における治水対策の推進について
4 富士地域におけるスポーツを生かした地域振興について


○議長(山田 誠君) 次に、五十八番 植田 徹君。
       (五十八番 植田 徹君登壇 拍手)
○五十八番(植田 徹君) 昔の先人はよく言ったものであります。暑さ寒さも彼岸まで。今宵は中秋の名月であります。とはいっても今宵は満月ではないようでありますが、コロナが早く収束をしてゆっくりとお月見をしてみたいものであります。
 一般質問も最後になりました。もうしばらくの御清聴をお願いをいたします。
 私は、自民改革会議の所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事並びに関係部局長に一括質問方式にて質問をいたします。
 新型コロナウイルス感染症は、依然として世界中で猛威を振るい世界の感染者は三千三万人に上り百万人を超える方が亡くなったと報じられております。本県においては七月から八月にかけて複数のクラスターが発生し感染拡大が急速に進みました。現在は拡大のペースは緩やかになっているようにも見えますが油断できない状況が続いていると感じています。
 入院、療養中の方の回復をお祈りするとともに、これを支える医療従事者の皆様の献身的な御尽力に敬意と感謝の意を表するものであります。
 それでは質問に入ります。
 初めに、ウイズコロナ、アフターコロナの政策についてのうち、新型コロナウイルス感染症がもたらす危機の克服に向けた感染予防と経済再生の両立について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の蔓延は、現在も国民の生命や生活、社会経済活動に甚大な影響を与えています。去る五月二十五日に緊急事態宣言が約一か月半ぶりに全面解除されましたが、国内の新型コロナウイルス感染者数を見ると大都市を中心に依然として感染の拡大に歯止めがかかっておりません。さきにも述べましたが本県でも断続的に感染者が確認される状況が続いており、累計感染者数は先月上旬には五百人を超え現在は約五百四十人といまだ終息したとは言えない事態となっています。
 一方で、経済活動においても我が国はかつてない苦境に直面しています。八月十七日に公表された二〇二〇年四月から六月期の実質GDP速報値については、年率換算で二七・八%減と戦後最悪の落ち込みを記録しました。また七月の有効求人倍率についても七か月連続で低下し二〇一四年四月以来の低水準となり、多くの失業者や休業者を生み出すなど厳しい雇用環境が続いております。これらを見るとまさに新型コロナウイルス感染拡大による経済的打撃の深刻さがうかがえます。
 外出の自粛や店舗の休業等をきっかけに宿泊や飲食、娯楽等のサービス消費が大幅に落ち込むなど個人消費が低迷しているほか、製造業をはじめ企業の生産活動が停滞し海外需要の激減により輸出も大幅に落ち込んでいます。こうした状況は本県も決して例外ではなく中小企業や個人事業主を中心として地域経済に暗い影を落としております。治療薬やワクチンの実用化がなされない限り感染症の早期終息は当面期待できません。また地域の経済活動も伸び悩んでおり、人々の安心と安定した経済を取り戻すには中長期的な視点に立った取組が求められています。
 こうした中、今後の県政運営に当たっては、まずは県民の安全・安心を最優先に感染の予防、拡大防止に万全の対策を講じるとともに、社会経済活動の安定化に向けてリスクに強い経済の再構築と活性化を図ることが重要と考えます。
 そこで、新型コロナウイルス感染症がもたらす危機の克服に向けて、今後感染予防と経済再生の両立にどのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
 次に、若者世代の移住促進について伺います。
 令和二年三月に公表された内閣府の意識調査によれば、東京圏在住者の二十代から五十代の四九・八%が地方暮らしに関心を持っており、全体的に現役世代の方の関心が高いことが分かります。また出身地別では地方圏出身者の方が東京圏出身者よりも関心が高くなっております。さらに令和二年六月に民間の調査機関が東京都内に住む二十代以上の男女を対象に行った地方暮らしに関するアンケートの結果では、地方暮らしに関心がある人の割合は三年前に比べて増えており、四六%が新型コロナで関心が高まったと回答しております。
 さて、静岡県に目を移しますと、都市住民への移住支援、情報提供を行っている認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの二〇一九年移住希望地ランキングで静岡県は三位、年代別では二十代で五位、三十代から六十代で四位、七十代で一位と全ての年代で五位以内となっており、全国的に見ても大変人気が高い地域となっております。令和元年度の県内への移住者数は千二百八十三人で三年連続千人を超えており、移住された世帯主の年代は二十代から三十代の世代が全体の約七割を占めているとのことであります。
 また、この移住者数を市町別に見ますと、富士市、沼津市、藤枝市など若者世帯の住宅取得を支援している市町が上位となっております。例えば二年連続で一位となった富士市では、スミドキアンダーフォーティーという四十歳未満の若者世帯を対象に住宅取得に係る費用に対して最大二百万円の奨励金を交付したり、移住相談者と先輩移住者が交流できるような移住交流ツアーを実施して相談者が実際に現地に訪問する機会を数多く提供するなどし昨年度は百二人の移住者を受け入れております。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け大都市圏での三密の生活様式を避け地方回帰の機運が高まる今、若者世代の移住をさらに促進することにより魅力的で活力あふれ、持続可能な地域づくりを目指すことが重要であります。
 そこで、地域に活力をもたらすことが期待される若者世代の移住促進に向け、市町と連携してどのような取組を行っているのか伺います。
 次に、医療健康産業の基盤強化について伺います。
 新型コロナウイルスの感染拡大により様々な物資のサプライチェーンが世界各地で寸断され、中国からの輸入が大部分を占めるマスクや医療用ガウンなどの衛生資材や海外に依存する人工呼吸器や治療薬など国民の健康や生命に関わる製品が全国的に不足しました。その結果医療機関で治療や検査に当たる医療従事者は感染の危険にさらされることとなり、大阪では市長が医療用ガウンの代替品として雨がっぱの提供をお願いする呼びかけを行うほどの状況になりました。
 このような中、国は不織布マスクや医療用ガウンなど国民の健康に関わる重要な物資の生産とサプライチェーンの国内確保や中国に頼らない海外サプライチェーンの多元化による調達先の分散化等の取組を推進しており、県内においても興和株式会社の富士工場がマスクの増産に取り組むなど国内生産の強化が図られております。政府の発表によれば八月のマスクの国内供給は月約十億枚が見込まれ、その五割程度が国内生産となりますが引き続き緊急時にも柔軟に対応できる生産体制を構築できるように進めていくこととしております。
 県も四月及び六月補正予算においてマスク等の生産に必要な設備投資への助成制度を創設し県内企業の新たな挑戦を支援してきました。また六月補正予算では新型コロナウイルス感染症の影響により医療現場で様々な課題が顕在化したことから、医療機器の開発などに取り組む地域企業に助成し医療機器産業等の基盤強化を図っています。
 しかしながら、医療用ガウンや医療用防護服は依然として需給が不安定であり、安定的に供給するためには原材料となる不織布の確保が重要な要因の一つであると考えています。県は今議会に医療用ガウン等の原材料となる不織布について緊急時に生産するための事業を上程しており、富士市を中心として集積している製紙産業の新たな取組としても期待しているところであります。
 本県は医療健康産業の分野において日本を牽引する地域でありますことから、国を挙げてウイズコロナ、アフターコロナに向けた取組を推進していくに当たっては本県の果たす役割が極めて大きいと考えています。
 そこで、県は新たな時代を見据え医療健康産業の基盤強化に今後どのように取り組むのか伺います。
 次に、来夏の富士山開山に向けた取組と富士山観光の振興について伺います。
 私の地元富士地域は、富士山を大きな観光資源として毎年多くの観光客でにぎわっておりましたが、今年のコロナ禍にあってはひときわ大きな打撃を受けております。
 まず、富士山の開山ができず県内、日本中からそして外国から訪れていた登山客が静岡県側だけでも約十万人の減少となりました。来年の富士山が開山できるかどうかは新型コロナウイルス感染症の状況にもよりますが、東京オリンピックを控え来訪者が増えることも十分考えられることから、何としてもウイズコロナの体制を確立し登山者を迎えることができるように今から開山に向けた努力をしてほしいと考えます。
 また、山梨県では五合目への立入り人数の制限を設けるなど感染症対策を取りながら今夏の五合目観光を維持しました。が、静岡県側では開山できないことに合わせて五合目までのアクセス道路も通行止めとなり、登山客だけでなく五合目を目的とした観光客も皆無となりました。これについては、万一来訪者が発症した場合の地元医療体制への負荷や強行登山する者の抑制などを総合的に勘案した決断だったとは思いますが、麓の交通事業者や宿泊事業者など観光関連事業者からの通行止め解除の要望の声もあったかと思いますので、来夏に向けては幅広く観光関連事業者の声を聞きながら開山、五合目観光の再開に向けた議論をすることをお願いいたします。
 地元観光業界は、このまま富士山観光が下火になりアフターコロナでも客足が戻らないのではないかとの不安を抱えております。私は山頂を目指す登山だけが富士山の魅力ではなく、宝永火口周辺や富士宮口五合目よりも下方の御殿場口まで広がる樹林帯のハイキングコース、須走口の小富士や雪解けの時期だけに見られる「まぼろしの滝」など様々な楽しみ方があると考えています。五合目以上の登山が難しい場合でも、このような観光資源を生かした誘客をすべきではないでしょうか。我々が誇る世界遺産富士山は未来永劫観光客の憧れの地であり続けなくてはなりません。
 そこで、県として来年度の開山に向けた準備をどのように進めていくのか。さらに今後の富士山観光をどのように振興していくのか、県の考えを伺います。
 次に、富士山の眺望を生かした田子の浦港のにぎわいづくりについて伺います。
 富士山は観光の目的地としての魅力はもちろん、その姿を眺めること自体に大きな魅力を感じる方も多く、富士山のある風景は周辺に住む我々にとってはアイデンティティの一つと言っても過言ではありません。奈良時代の代表的な歌人の一人として広く知られる山部赤人も、その優れた眺望について、「田子の浦ゆ打ち出でてみれば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける」と田子の浦を通って雄大な富士山の全容を目にしたときの感動をうたっています。このように田子の浦港は、北に富士山の大パノラマを望み南に世界で最も美しい湾クラブに加盟する駿河湾のオーシャンビューを有する風光明媚な港であります。また田子の浦港に水揚げされる鮮度抜群な生しらすは、田子の浦しらすとして農林水産省に地理的表示産品登録されており、これを目当てに県内外から多くの観光客が訪れるなど水産資源にも恵まれています。
 ところで、かつて田子の浦港は高度成長期に産業、物流機能を優先させて建設された経緯があります。しかし多様化する港湾への要請に対応すべく平成十七年度からは産業、物流機能に加えにぎわいづくりも展開するため、県はふじのくに田子の浦みなと公園と鈴川海浜スポーツ公園を相次いで整備してきました。このうち特に鈴川海浜スポーツ公園が昨年供用開始されたことについては建設に当たって地元との事業調整に携わった身として感慨深いものがあり、本年二月に予定されていた当公園の完成式典が新型コロナウイルスの影響で延期になったことはやむを得ませんが誠に残念でなりません。
 さて、これらのにぎわいづくりの拠点は、地元住民に活用されるのみならず地域振興につながるように国内外からの人的交流にも生かすべきだと思いますが、現在のところ十分な活用がされているとは言い難いと認識しています。富士山の眺望をはじめとした景観や自然、歴史、文化などの田子の浦港周辺の豊富な地域資源とうまく融合させながら、SNSなどを利用して国内外に発信するなど、そのすばらしさをもっと多くの方に知ってもらうための積極的な取組が必要だと考えております。
 そこで、田子の浦港における富士山の眺望をはじめとする地域資源を生かしたにぎわいづくりについて、今後の県の取組や地元へのさらなる支援をお願いするものですが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、富士地域における治水対策の推進について伺います。
 本年七月に九州地方を襲った梅雨前線による豪雨は想像を絶するものであり、町全体を濁流が飲み込んだ光景は今なお目に焼きついております。また昨年十月の東日本台風におきましても関東甲信越や東北地方において甚大な浸水被害が発生するなど、毎年のように痛ましい豪雨災害が全国各地で発生している状況です。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。
 さて、私の地元である富士地域は富士山の麓に位置し東西交通の要衝であるとともに、富士山の豊富な地下水と湧き水が川となり町中を潤す自然環境に富んだ地域であることから非常に住みやすい町であります。昭和五十一年八月この地に甚大な被害をもたらした洪水を契機に沼川、和田川、滝川など六河川で緊急的な河川改修が進められました。しかしこの地特有の地形的要因とさらなる市街化の進展により雨水排水の状況が変化し、平成十年代以降富士市街地では集中豪雨のたびに河川の水位は一気に上昇し住宅の被害が多発するなど住民の浸水被害に対する不安は年々増しております。
 こうした中、浸水被害が多発していた伝法沢川や小潤井川及び和田川流域において緊急的な対策を進めていただき、私も地域と一緒になって支援してきた伝法沢川の調整池が完成するなどその整備効果は着実に発揮されていると感じております。加えて春山川、潤井川、凡夫川、血流川など地域から要望のあった河川についても、護岸の再整備や堆積土砂の撤去など順次整備を手がけていただいていることは大変感謝しているところであります。
 しかしながら、昨今の頻発化、激甚化する集中豪雨がいつこの地を襲ってもおかしくありません。既に緊急的な改修が行われ引き続き抜本的な河川整備を進めるには、重要な国道や鉄道が交差していることなどなかなか整備が進まない河川もあると思いますが、さらなる治水対策の推進は必要不可欠であり、地域住民からも切望されているところであります。
 そこで、富士地域における近年実施した治水対策の成果と今後の見通しについてお伺いいたします。
 最後に、富士地域におけるスポーツを生かした地域振興について伺います。
 二〇一八年四月私の地元富士市の大淵にある常葉大学富士キャンパスが閉校し静岡市内に全面移転しました。このことは富士市から大学がなくなったことだけでなく、そこに在籍した若者が市外に流出することで、この状況に非常に心配したところでありました。しばらく大学撤退後の跡地利用について決まっておりませんでしたが、先頃この富士キャンパスの跡地利用について民間事業者に土地を貸与、建物を譲渡する形でホテルを併設する複合スポーツ施設エスプラットフジスパークとして活用する方向が決まり本年八月に開業をいたしました。
 新設したフジスパークは、大学では図書館として使われていた広いスペースを改装し最大で三十台の卓球台を置ける専用卓球場を設けております。床には東京オリンピックで使用される国際仕様の床材を敷くなど国内最大級の卓球施設を目玉としております。また施設内のアリーナではバスケットボールやバレーボールなどの各種屋内競技に対応するほか、付近には野球場や全天候型の陸上競技場があり様々なスポーツ交流に対応できるとのことであります。加えて二百人収容のホテル棟を併設しており、今後は地ビールやウイスキーを楽しめるよう醸造施設を設けるなど観光需要を応えられるように工夫を凝らしているとのことであります。
 この施設を中心に周辺には静岡県富士水泳場、富士市の総合運動公園もあり、学生のスポーツ合宿をはじめ一般のスポーツ愛好家など全国から誘客効果などスポーツを生かした地域振興やスポーツ交流の誕生が期待されるところであります。現在富士市ではこの地域一帯をスポーツウエルネス交流ゾーンとして位置づけており、スポーツや健康を通じた交流拠点を目指しているところであります。まさしくこの地域はスポーツウエルネスの具現化に向けて歩みを進め始めたところであります。
 そこで、こうした状況を踏まえ富士地域のスポーツ資源を生かした地域振興に向けて県はどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 確かに議員御指摘のとおり暑さ寒さも彼岸までと昔から言われてきましたけれども、まだ日中は蒸し暑さが残りますけれども朝夕秋らしくなってまいりまして月を見て物思う頃と相なりました。この九月のセッションも議員の御質問をもってトリということでございました。トリにふさわしい堂々たる御質問七点ございましたけれども、私はそのうちの二つにつきまして御答弁を差し上げたく存じます。
 まず、ウイズコロナ、アフターコロナの政策についてのうち、新型コロナウイルス感染症がもたらす危機の克服に向けた感染予防と経済再生の両立についてであります。
 新型コロナウイルス感染症はいまだ予断を許さない状況であります。県民、国民の皆様の不安を解消するためには、議員御指摘のとおり何よりも治療薬、ワクチンの早期実用化が不可欠であります。これまで我が国が有する優れた技術を生かした早期開発を国に強く要望してまいりました。開発の動向を注視し有効性等が確認された暁には、国と連携して速やかにワクチンの接種、治療薬の投与ができる体制を整えていきたいと考えております。
 当面の対応といたしましては、国の専門家会議による新たな流行シナリオに基づき入院病床と軽症者療養施設の確保に全力で取り組んでおります。またPCR検査に加え短時間で行うことができる唾液抗原定量検査も活用いたしまして検査数を大幅に拡充いたします。いつでも誰でも何度でもと検査が受けられる体制を構築するのが目的でございます。
 一方、こうした状況の中、感染予防と経済再生の両立、言ってみればヘルスとウエルスの両立を図らねばなりません。それを図るのが言うところのフジノミクスであります。デマンドとサプライの両面から地域経済の活性化を図るという政策でございます。
 デマンド――消費あるいは需要という面におきましては、山梨県、長野県、新潟各県と連携した山の洲(くに)の広域地域経済圏を目指しまして、域内の産品の購入や観光交流を呼びかけております。これは個人消費をターゲットにしているものであります。個人消費は日本全体の経済、GDPの五割以上を占めております。本県でも五三%でございます。それが一つの理由です。
 もう一つは個人消費は幸せに結びついていると思います。例えば植田議員と私に同じ一万円を頂いたと。植田議員は恐らく、うん、中秋の名月であると。それならば田子の月のまんじゅうでも買って、そして家族御一緒に月見を楽しむかと。私はどうするでしょうか。多分、本を買いたいなと思うのではないかと思うのです。このように一人一人のその好み、一人一人のこの思いが消費というものを通して実現できると。ですから何を買うかというのはその人自身なわけですね。ですからそれは幸せにつながっているということでございます。
 そういう意味で経済的にも大きな割合を占め幸せと結びついている個人消費を喚起するという政策を今、バイ・静岡、バイ・ふじのくに、バイ・山の洲(くに)というところで協力しながらやっているということで、これを通して域内の経済循環の拡大を目指そうということでございます。
 サプライ・サイド――供給側におきましては、県内企業と連携し、今必要なのは緊急時でございますので、例えば医療用ガウンであるとか医療用防護服を安定的に供給できる仕組みを構築することが必要でございます。一方静岡県は医療健康産業の集積地でありまして日本一であります。医薬品と医療器具、これは一兆円で過去九年間連続一位を記録しているということでございますから、この命を守る産業をリーディング産業として育成するのにもっともふさわしい県であると。しかも医薬品、医療器具合わせて日本は海外に毎年三兆円余りを支払っております。すなわち赤字産業ですので、これを仮に国産化でもできれば、今度はこの輸出先、輸入元のところにも今度は逆輸出ができるようになりますし国内の経済の言わば牽引役にもなると。それがリーディングセクターということで、これをリーディング産業として育成していこうというのが我々の中長期の目標としております。
 こういう厳しい状況にある中で、一番厳しく状況をかみしめていらっしゃるのが中小企業でありますので、この中小企業の事業継続を資金面から今はしっかりと支えなければならないと考えております。一人が生きていくために物を食べねばいけない。ですからそれが実は経済力につながっているので一人も取り残さないというのはその意味でも重要で、特に厳しい状況にある中小企業、小企業というところに対しては資金を今は回さなければならないと考えております。
 加えて、デジタル化あるいはリモートワーク、業種転換など危機の克服に向けた県内企業の取組に対する支援を一層強化してまいります。ウイズコロナ、アフターコロナ時代を見据えリスクの高い社会経済システムに替わる持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。
 次に、来夏の富士山開山に向けた取組と富士山観光の振興についてであります。
 今年の夏は地元自治体、山小屋等関係する皆様から御意見を賜り、中には五合目観光だけでも可能にしてほしいという御意見もありました。しかし検討の結果新型コロナウイルス感染症のため来訪者を安全に迎え入れることは難しいと判断いたしまして、誠に残念ではございますけれども富士山の開山を見送るとともに、五合目観光も断念をしたという経緯がございます。
 しかし、富士登山の再開や富士山観光に対する皆様の期待は大変高いものがございます。今議員からこの点については強く御強調賜りまして、改めてこの期待が大きいということを実感した次第でございますが、そこで来年の開山を実現するため万全の対策を講じてまいりたいと考えております。
 来年の開山に向けて、山小屋新型コロナ対策マニュアル、登山者のための新しい登山ルール、登山道における感染防止対策を早急に取りまとめて、来年の開山までに新たなルールに基づく対策を進めてまいります。既に八月から山小屋関係者との意見交換を開始しております。九月には地元自治体、観光協会、交通事業者等も含めた検討会を設置いたしました。こうしたことを通じて、具体的な対応策につきましてこれから検討を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、北アルプス等におけるコロナ対策の事例調査、登山へのアンケートによる意向調査、国内外の入山者管理手法の調査を行った上で、山岳医療の専門家にアドバイスを頂きながらより実効性の高い新しい富士登山の在り方を確立してまいります。
 山麓を巡る観光につきましては、今年は仰ぎ見る富士山がテーマということでございます。麓の構成資産の周遊を促すデジタルスタンプラリーの実施やウェブサイト等で山麓を巡るハイキングコースを紹介するなど多くの観光客やハイカーの皆様に楽しんでいただいているところであります。これは岩本山にとって絶好の機会ではなかったかと。富士山を仰ぎ見、駿河湾を眼下に見、そして富士川の流れを見ると前にはお茶畑と。これはビューポイントとして最高ではないでしょうか。こうした機会に岩本山のPRを議員によってさらに推し進めていただければと思う次第であります。
 今後につきましても、地元観光協会や自治体と協力してすばらしい富士山麓の自然や景観を楽しんでいただけるよう富士山観光を積極的に進めてまいります。
 富士山は世界の人々にとっての宝であります。多くの方に山頂からのすばらしい眺望を堪能していただくとともに、山麓の構成資産を巡っていただいてその価値やすばらしさもまた実感していただけるよう引き続き関係機関と連携を密にし、特にまた山梨県との連携も密にいたしまして富士山の開山準備と観光振興に全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 市川敏之君登壇)
○くらし・環境部長(市川敏之君) ウイズコロナ、アフターコロナの政策についてのうち、若者世代の移住促進についてお答えいたします。
 移住促進は地域づくりの政策であり、特に若者世代の移住を促進することは将来にわたる地域活力の維持拡大に大きく貢献する重要な取組であると考えております。
 県では、先月の中旬から自然豊かな本県でテレワークをしながら子育てやマリンレジャーを楽しむなど多彩なライフスタイルを実現している移住者の暮らし等を紹介する動画の配信を始めております。これに併せて首都圏の若者をターゲットとしたウェブ広告を行い、テレワークをキーワードに具体的な移住検討のきっかけとなるような情報発信を行っております。
 また、若者世代の移住を促進するためには、仕事と住まいに加え移住先での暮らしぶりに関する情報提供が重要となります。市町の協力を得て各市町の魅力や支援策などの情報を県の移住・定住情報サイトに掲載するとともに、市町、地域団体等合わせて五十以上の団体に参加頂く全県規模の移住相談会を開催するほか、仕事や働き方、趣味を楽しむ暮らし方など様々なテーマで先輩移住者の話を聞くことができるセミナーを市町との共催により実施しております。
 県といたしましては、移住に際して若者が抱える仕事や住まい、子育て等の課題を解消し移住までのステップが順調に進み理想とする暮らしを送ることができるよう、本県で実現可能な多彩なライフスタイルの提案と移住希望者に寄り添ったきめ細かな相談対応を行うとともに、今後も市町と連携し地域における受入れ体制の強化を進め若者世代の移住促進に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) ウイズコロナ、アフターコロナの政策についてのうち、医療健康産業の基盤強化についてお答えをいたします。
 新型コロナ危機では、県民や医療従事者の命に関わる医療用のマスクやガウン、消毒液、人工呼吸器などの重要物資や医療機器などが深刻な不足状態となりました。それらの物資や原材料の多くが、海外からの輸入に依存していたからであります。
 このため、県では医薬品、医療機器の合計生産金額が一兆円を超え九年連続で全国第一位という場の力を生かし医療用の重要物資や機器などの県内生産を積極的に推進していくことといたしました。今年度の補正予算によるマスク等の生産設備導入助成に十社を採択し新型コロナ対策用の医療機器の研究開発助成には十七社を採択いたしました。マスク等の生産設備導入の十社はいずれも異業種からの参入であり、既に一部企業はマスクの生産を開始しております。
 また、新型コロナ対策用の医療機器開発につきましても浜松医科大学発ベンチャーなど十七社が、例えばPCR検査と同程度の精度を確保しつつ結果を短時間で判定できる安価な検査装置の開発などに取り組んでおります。一刻も早く製品化に結びつけ医療機関で利用されることを目指し支援を強化してまいります。
 一方、感染拡大期に医療機関等で在庫が逼迫した医療用のガウンや防護服につきましては、県内で生産しても価格面で海外製品に対抗できないことや原材料となる不織布等の海外依存度が高く緊急時の入手が困難であること等の課題が明らかとなりました。このため緊急時に医療用ガウン等を供給できる体制を整えるため、既存設備の改良、転用により不織布の生産に挑戦する製紙会社等の県内企業を公募し試作品開発を実証委託することといたしました。開発に当たりましては静岡がんセンターなどの医療機関の御意見を伺いながら改良に取り組むこととしており、所要の予算を本議会でお諮りしているところであります。
 県といたしましては、こうした取組を通じ喫緊の課題となっております重要物資や医薬品、医療機器等の国産化を着実に進め、先ほど知事から御答弁ございましたように将来の輸出産業化までを見据えた命を守る産業の一層の基盤強化を図ってまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 長繩交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長繩知行君登壇)
○交通基盤部長(長繩知行君) 富士山の眺望を生かした田子の浦港のにぎわいづくりについてお答えいたします。
 県では田子の浦港におきまして、県東部地域の産業を支える重要な物流拠点としての機能の保全と強化を図るとともに、地域資源を生かした港のにぎわいづくりに取り組んでいるところであります。
 港湾緑地として整備したふじのくに田子の浦みなと公園では、海面から山頂までの高低差を最も間近で一望できる展望施設富士山ドラゴンタワーが平成三十年二月に完成し多くの人々が訪れております。今後のにぎわいづくりにつきましては、富士市が主体となり県も参画して平成三十年三月に策定された田子の浦港振興ビジョンにおきまして、富士山と駿河湾の眺望を活用することを基本方針に定めみなと公園の周辺において先行的に取り組むこととしております。具体的には地元が主催する田子の浦みなとマルシェや田子の浦漁協しらすまつりなどのイベントへの来客状況等を踏まえ、にぎわいの拠点をつなぐ臨港道路が富士山を眺めながら楽しく歩ける空間となるよう改良してまいります。
 県といたしましては、振興ビジョンに基づく施設整備に加え港越しに望む四季折々の富士山などの様々な魅力をSNSを活用して情報発信するなど富士市や観光関係者と連携してにぎわいづくりを推進してまいります。
 次に、富士地域における治水対策の推進についてであります。
 富士地域では、市街地における住宅の浸水被害が頻発したことから、平成十九年度に和田川、小潤井川、伝法沢川流域の豪雨災害対策アクションプランを策定し総合的な治水対策を推進してまいりました。近年の主要な成果である伝法沢川調整池は、平成二十六年の完成直後からこれまでに三十七回の洪水を貯留し過去に浸水被害が発生した豪雨と同規模の豪雨に対しまして大幅に被害を低減させる効果を発揮しているところであります。
 現在は小潤井川や江尾江川などにおきまして、河川整備計画に基づく改修工事や用地買収を進めているところであります。今後の改修には交通量の多い複数の橋梁の架け替えや住宅密集地に配慮した施工などが必要であり、相応の期間を要することが見込まれております。
 このため、浸水被害のリスクが高い河川を対象に気候変動による影響や地域の特性を踏まえた水災害対策プランを策定し関係機関と連携して流域全体で安全度の向上を図ってまいります。
 県といたしましては、ますます頻発化、激甚化する豪雨に対し富士地域における治水対策を着実に進め安全で安心なまちづくりに努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
       (スポーツ・文化観光部長 植田基靖君登壇)
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 富士地域におけるスポーツを生かした地域振興についてお答えいたします。
 県では、スポーツを活用した交流を促進するため、富士山女子駅伝の開催支援や富士市を含む五市町との富士山麓準高地トレーニング推進会議による合宿受入れ可能性調査の実施などスポーツ大会や合宿の誘致に取り組んでおります。議員から御紹介のありましたエスプラットフジスパークの開業はこうした交流の中核的な拠点となることが期待されております。
 富士地域ではこれに加えて、プロサイクリングチーム、レバンテフジ静岡の活動開始や常設のマウンテンバイクコース、フジヤマ・パワーライントレイルのオープンなどスポーツに関する様々な動きが活発化してきており、こうした機運の盛り上がりをスポーツ交流の一層の拡大につなげることが重要と考えております。
 このため、首都圏からの交通アクセスや温暖な気候など地域の特徴を生かした合宿モデルを構築し大学や実業団チーム等へ提案するとともに、スポーツビジネス産業展へ出展するなど合宿の誘致活動を強化してまいります。あわせて地域のスポーツ関連団体をはじめ宿泊施設や交通事業者、プロスポーツチームなどと連携し受入れ体制の整備を促進してまいります。
 県といたしましては、富士市をはじめ関係自治体や地域団体と連携して富士山の眺望に優れ恵まれた自然環境を有する富士地域においてスポーツを生かした交流を創出することで地域の振興につなげてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) これで、植田徹君の質問は終わりました。(拍手)

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

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