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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

相坂 摂治 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/24/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 静岡医療圏の医療体制について
2 地震防災センターのリニューアルについて
3 東静岡地区における文化力の拠点整備と大学コンソーシア
 ムについて
4 人・農地プランについて
5 清水港江尻・日の出地区における今後の整備について
6 学校におけるスクールロイヤーの活用について


○副議長(中沢公彦君) これで諸田洋之君の質問は終わりました。(拍手)
 ここであらかじめ会議時間を延長します。
 次に、四十一番 相坂摂治君。
       (四十一番 相坂摂治君登壇 拍手)
○四十一番(相坂摂治君) 通告に従い、一括して質問をいたします。
 今開かれている九月静岡市議会定例会には、清水区役所の庁舎移転経費、清水区日の出地区における海洋文化施設の整備経費が債務負担行為の議案として上程されております。それぞれ九十五億円、百七十億円という大規模な公的投資であります。今後静岡市域内においては、静岡市のみならず私たち静岡県からも数々の投資がなされる時期を迎えます。その代表的なものは清水港、東静岡駅南口、さらには教育面、防災面でも建設事業を伴う新たな展開がなされます。静岡市においてはサッカー場の整備、駿府城公園のリニューアル、静岡市民文化会館の老朽化対策とかねてから要望されてきたアリーナの整備等、今後事業の優先順位をつけていくこととなります。
 こうした公的な投資が民間の力を引き出す呼び水となって直面する人口転出の問題、人手不足による工事の停滞、そして中央リニア新幹線や中部横断自動車道など国土を横断する超広域の交通網の整備による次の経済変化に対しても力強く解決策を提示しなくてはならないと、期待と同時に県都静岡への公的役割の重大さを感じております。大切なことは、行政みずからがその役割と限界を正しく捉え各分野の専門家、関係諸団体、先行する企業そして市民、県民の方々にそのことを十分理解していただくことであり、行政が提案する政策や事業の不足と新たな展望をあらゆる角度から補っていただくその体制をつくり上げることであります。
 きょうの質問では、こうした観点に立って静岡市で展開されている幾つかの事業について取り上げてまいります。
 初めに、静岡医療圏の医療体制について伺います。
 これは、あらゆる投資に乗り出す前に解決しておかなくてはならない桜ヶ丘病院の移転の問題です。
 知事と市政との見解は一致しておりません。この問題は、四月の市長選挙でも清水区では大きな争点となりました。結果的には田辺市政の続投によって区役所は清水駅前に移転され、その後現清水庁舎が解体それから桜ヶ丘病院がここに移設されることになります。
 川勝知事は、かねてから津波浸水区域に病院を移設することは危険だとしてその反対を唱えてこられました。しかしこの津波対策は県政の責任において実施すべき事業でもあります。清水区を囲む清水港にはいまだ無堤防区間が残っており、一刻も早くレベルワンの津波を防ぎ切る防潮堤を完成させ残された津波対策の課題を整理し、その後の対策に何が必要なのかを明確に示すことが必要であります。とはいえ、私自身もこれまでの病院移転の議論については若干の異論を持っております。
 清水駅前の土地利用を補うような区役所の移転と市民の医療を預かる病院の課題とが同じ机上で議論されたことは、極めて残念な政策決定であったと言わざるを得ません。老朽化や狭隘化に直面し医療人材と患者の減少に直面する桜ヶ丘病院の問題は、清水区行政において何よりも重要な政治課題であります。それがまるで玉突き事業のように他の政策の動向を見守る形で待機しているという状況はまさに遺憾であります。区役所の移転先をどうするかの議論は後回しにしてでも市街地唯一の病院に必要な機能とは何か、どこに整備されるのが市民にとって最も安全で利便性が高いのか、これを満たすために医師や看護師はどのようにして確保するのか、本来ならこうした事項こそが真っ先に明らかにされなくてはならなかったと思うのであります。
 ちなみに、静岡市とJCHOは平成二十九年三月共同記者会見という形で区役所跡地への移転を発表し、具体的な病院の機能については言及されておらず市が有する財産の使用についても客観的な方法で双方の意思確認はなされておりません。
 さらに清水区の医療体制について申し上げると、旧清水市には総合病院が三つありますが二次救急病院群の当番制における当番日数は旧静岡市の医療機関が補完する広域対応を採用しており、旧清水市内の医療機関が当番を担っているのは約七割にとどまっています。また平成二十六年から平成三十一年までの五年間で内科は一月当たりで四日、外科は二日当番日が減少、さらに二次救急を担っている病院の手術件数についても平成三十年度には旧静岡市が三千三十一件に対し旧清水市は四百八十七件となっており、医療機能全般の低下が懸念される状況です。
 こうした中、本年七月三日静岡市も参加している県主催の静岡地域医療構想調整会議の場で県から静岡市の医療提供体制の現状を議題としました。
 そこで伺いますが、旧清水市を初めとする静岡医療圏の医療体制の改善に向け、今後県と市の間でどのように進め必要な対策に取り組んでいくのか、協議のあり方や支援策について当局の御所見を伺います。
 次に、地震防災センターのリニューアルについて伺います。
 災害は毎年日本のどこかに大きな傷跡を残し、大規模に被害の甚大化が続いています。行政は新たな被害が発生したり被害の長期化や甚大化が明らかになるたびに制度の見直しを繰り返しながら国土の強靱化を進めておりますが、やはり大切なことはどのような災害であっても現場の被害状況が正確に行政にもたらされること、人為的な事務手続によるミスや対策のおくれがないよう絶えず検証を重ね訓練を繰り返すことだと改めて気づかされる思いであります。
 さて、地震防災センターは県民が東海地震に備えるために知識や技術を習得したり自主防災組織の活性化を図るための啓発施設として平成元年に開館いたしました。開館以来、県民ばかりでなく全国からもさらには海外からも百三十万人を超える方々が来館し、平成六年と二十九年には天皇皇后両陛下も御視察をされるなど防災先進県静岡の象徴的な施設として利用されてきました。しかしながら開館から三十年近くが経過し、施設が老朽化してきたことや近年多発している風水害や火山災害への対策など新たなニーズにも応えるため、平成二十八年度からリニューアルについて検討が始まりいよいよ来年三月にオープンを迎えようとしております。
 これからの地震防災センターには、新たな知見を迅速に取り入れる体制に加え防災情報の発信拠点としての役割を一層充実させるとともに、来館者に正しい知識を提供し命を守るための適切な行動を促す施設となるよう期待しております。ともすれば災害発生から年数を経ることで次第に住民生活の中から意識が薄くなりその備えがおろそかになってしまうことを防ぐためにも、地域の防災力の点検を促すよう地域の自主防災組織への働きかけを日ごろのセンターの運営の中に組み入れ身近で親しみやすくかつ頼りがいのある存在であってほしいものです。
 これらの期待を踏まえ、来年リニューアルする地震防災センターの新しい展示施設のセールスポイントと地域の防災活動への支援に向けた役割について、県はどのように考えているのか伺います。
 次に、東静岡地区における文化力の拠点整備と大学コンソーシアムについて伺います。
 現在、グランシップの駐車場として利用されている東静岡駅南口の県有地には駿河区谷田にある県立中央図書館が全面移転すること、新たに立体駐車場を整備すること、そして隣接するグランシップ以下の高さで民間活力を活用して新たに文化力の拠点を整備することがこれまでの議論で決定されてきました。これまで私は東静岡地区の県有地の活用について必ず質問を続けてきました。これまでの議論では、今申し上げた三つの施設整備の中で中央図書館にはまちづくりや企業活動のシンクタンクとしての役割を担うことや専門職の人材を広く登用すること、蔵書冊数も増量を目指しつつ蔵書のデータ化とその活用も示されました。文化力の拠点については留学生の寮や宿泊施設、隣接する図書館を活用したラボ型の共同研究の空間利用、教育機関の誘致などが議論されてきましたが、今年七月には民間事業者から実現可能な事業手法や導入機能などの提案を受けたところであり、目下こうした提案内容について整備方針決定の最終段階に入ったものとの認識しております。
 この拠点整備は、全国的に見ても深刻な課題となっている本県、本市の人口減少問題への処方せんとしての意味合いも強く、高度な外国人の受け入れにつながる環境整備、社会人の転出にも歯どめをかけるため静岡市に進出している県外資本の各種企業、団体の構成員にとって魅力的な学問、研究の機会が求められており、さきに策定された施設整備に係る県の方針には大学コンソーシアムの拠点がここに盛り込まれてきたところであります。
 一方、現在静岡県では国立大学の統廃合問題が議論されているさなかであります。浜松医科大学と静岡大学との間で文部科学省が主導して国立大学の再編を打ち出す中で全国でも最初の再編グループに位置づけられたところであり、これまでの議論では浜松市にある静岡大学の工学部、情報学部を浜松医科大学と統合し、現在の静岡大学には人文社会科学部、教育学部、理学部、農学部が残ることとなり、これら二つの大学を一つの法人で経営しようとするものです。決して一筋縄で進められている再編議論ではなく静岡大学の一部の教員からは反対運動も起こっていることが耳にされます。
 さて、県が進める大学コンソーシアムの将来像とは何か。この中身によっては、この国立大学再編の動きも法人本部の設置場所や他大学との連携のあり方、情報集約拠点、研究拠点として東静岡地区との連携など留学生、社会人の教育機関として既存の大学を補完するばかりでなく、むしろ大学本体にとって魅力的な拠点となりその求心力を発揮することが重要であると考えます。
 そこで、大学コンソーシアムの将来像について、またこの機関は東静岡地区の文化力の拠点にどのように位置づけられていくのか、県の方針を伺います。
 次に、人・農地プランについて伺います。
 国では、令和五年度までに全農地の八割を担い手へ集積するという目標の達成に向け、令和元年五月農地中間管理事業の推進に関する法律等を改正し効率的な農地利用を通じて農業の生産性の向上と産業力の強化を目指し、人・農地プランを核に担い手への農地の集積・集約化を進めることとしました。これまでの農地利用は地域密着型の農業としての側面が強く農地の継承は基本的に家族継承が一般的だと言われてきましたが、平成十二年ごろから急激に増加を始めた耕作放棄地の発生は担い手の高齢化と家族継承の困難な時代の到来をはっきりと告げたと思います。
 平成二十六年に農地中間管理機構を設立し市町農業委員会と連携し農地の貸し出しを願い出る者と新たな農地を必要とする借り手農業者との橋渡しを進めてきましたが、近年農地中間管理機構を通じて新たに担い手に集積した農地面積の伸びは鈍化しており、昨年度末現在本県において農地中間管理機構を介した担い手への農地集積面積は全耕地面積の三・七%にとどまっています。今回の法改正による人・農地プランは、現在の農地所有者及び耕作者の営農意向の調査に加え将来にわたって継承すべき人材が見込まれているのか、この見通しを地域の農地全体を広く見渡してまとめ上げるのが狙いであり、これらの情報を地図にマップ化をしてこれからの将来において農業の産業力強化につなげるため誰に農地を委ねていくのかを地域内の話し合いにより決めていくこととなります。そして令和二年度末がこのプラン策定の目標時期とされております。
 そこで、県は今後人・農地プランの実質化とプランに基づく農地の集積・集約化をどのように進めていくのか、さらにプラン実現後、農地を集積・集約化した担い手の方々が生産力を高められるようにどのような支援を展開していくのか伺います。
 次に、清水港の江尻・日の出地区における今後の整備について伺います。
 今年八月四日、清水港開港百二十周年を記念して清水港開港百二十周年記念式典が開催されました。当日は約二百人の関係者が会場の日本平ホテルに集い、清水港が一八九九年に開港場に指定されたのを機に茶葉、ミカンの輸出で栄え戦後は特定重要港湾として高度経済成長を支えてきたこと、また港の発展とともに清水を支えてきた産業の盛衰が振り返られました。そしてことし八月静岡県は清水港長期構想をまとめ、これを公表しました。
 これと時を同じくして、七月には県、静岡市及び地元企業などで設立した清水みなとまちづくり公民連携協議会が清水港及び周辺のおおむね二十年内のあるべき姿となすべき計画を検討し、清水みなとまちづくりグランドデザインを策定したところであります。
 さて、この長期構想はまさに遠大な構想に満ちており、地元清水の方々ばかりでなく本県にとっても、また中部横断自動車道や東名、新東名高速道といった高規格幹線道路で結ばれた中部圏域の方々にも大きな期待を持って受けとめられるはずです。次の時代を感じさせるロマンがふんだんに盛り込まれております。
 まず、港湾北東部の新興津、興津地区ではAIの導入と輸送車両の自動隊列走行を見据えた次世代型のコンテナターミナルの形成とROROターミナルの拡大、流通加工を港湾エリアで実施するためのロジスティクスセンターの導入も盛り込まれ、将来的には内陸部にもこれを拡大する一大流通加工拠点の形成が打ち出されております。
 袖師地区ではパルプや液体燃料の輸入の拠点性を強化するため、埠頭の延伸が計画され環境問題にも対応するLNGバンカリング機能の導入も盛り込まれました。
 そして、にぎわい交流の拠点である江尻地区ではJR清水駅を結節点とする駿河湾フェリーや港内水上交通の拠点として、また河岸の市を中心に食の拠点として海産物の消費機能の強化を図るとともに、日の出地区では海外クルーズ船の寄港拡大に向けたゲンティン香港との連携によってファーストポートへの挑戦がうたわれており、静岡市が整備を計画する海洋文化拠点を含めた交流、にぎわいの創出が打ち出されています。将来的にはこのにぎわいの拠点を中心に港湾を周遊する緑の道を整備し小型モビリティーの導入も検討したいとの方針であり、海外の富裕層をターゲットにスーパーヨットの寄港も期待されています。
 そのほか、富士見地区は物流関連ゾーンとして、民間開発が具体的な検討段階に入ったとされる折戸地区は新たなリゾートエリアの玄関口に、そして貝島から三保にかけては産学官の連携による海洋研究拠点の形成とレクリエーション空間の整備が示されております。
 さきに紹介した百二十周年記念式典では鈴与株式会社の鈴木与平会長も講演に立ち、この長期構想とグランドデザインの連携を促すと同時に市が進める都市計画との整合性を強く求めておられました。特に清水区の若者の転出や点在する区内商店街の一体的な再生についてはこの再開発、港の再整備こそが牽引役となると期待を込めて話をされておりました。中でも既にグランドデザインや長期構想の内容とも一致した県の施策が展開されている江尻地区、日の出地区でまさにその一体的な整備が求められているところです。
 江尻地区では、今年度から新たに一般社団法人富士山駿河湾フェリーが運航を引き継いだ駿河湾フェリーの発着所が移転することと決定され現在その発着岸壁の整備の検討が始められており、さらには清水駅とも連動してにぎわいの創出を期待し食の拠点と位置づけられた河岸の市周辺はにぎわい空間の創出や防災面から岸壁を約十メートル沖へ埋め立てることが計画されています。さらに日の出地区では、クルーズ船の二隻同時接岸を将来目標に掲げ岸壁の強化や水深確保が図られると同時に、現在の清水マリンターミナルには税関、出入国管理、検疫といった手続を行う機能を持つターミナルが二〇二〇年四月を目標に整備される見通しとなり、クルーズ船の寄港増加に加えファーストポートへの挑戦がなされようとしています。
 さて、こうした港湾内部の整備とあわせて期待されるのが静岡市行政による港湾と町の連携、物理的な道路整備による誘客、内陸部における商業活性化、海外や県外の観光客に向けた新たな品ぞろえを促す地域社会の経済的な革新であります。既に静岡市では日の出地区から現清水区役所へ向けた遊歩道の整備が完成し、今後は江尻、日の出地区の交流空間、直線にして約一・五キロメートルに及ぶにぎわい空間の移動手段、交流、消費機会の創出が議論されなくてはなりません。
 そこで伺いますが、江尻地区、日の出地区における長期構想で打ち出された各種政策の進め方、そして静岡市や地域、企業が進めるまちづくりに向けた取り組みとの連携について県の方針を伺います。
 最後に教育長に伺います。学校におけるスクールロイヤーの活用についてです。
 学校現場では、いじめの深刻化や不登校児童生徒の増加など児童生徒の心にかかわるさまざまな問題が生じています。近年は、子供を取り巻く環境や社会情勢の変化に伴いそうした問題の要因や背景も複雑化、多様化していることから、教員だけでなく専門的な知識を有する人材を活用することが求められております。児童生徒の悩み事や心理的な問題を解決するために既に平成七年度から心の専門家としてスクールカウンセラーが配置され、家庭における課題等に対しては配置人数はまだまだ少ないもののスクールソーシャルワーカーの全市町への配置が実現しています。そしてことし四月には文部科学省の研究委託事業として県立高校への弁護士の配置、いわゆるスクールロイヤーの導入も方針決定がなされ、七月には県教育委員会と県弁護士会の協定が結ばれ現在法律相談や出前講座などの事業が実施されていると伺っています。
 特に弁護士の配置は、いまだ学校社会の不安として残されてきたいじめの問題について加害児童や生徒の更生、被害児童や生徒、その家族の法的な保護と問題解決に大きな期待が寄せられるところであり、恐らくは教員の最大の心理的負担となってきたこうした問題について学校の負担を軽減すると同時に、問題の本質的な解決と後世への範を示すものとして早急な実現が必要であります。
 そこで、県教育委員会として今後のスクールロイヤーの活用についてどのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
 東静岡地区における文化力の拠点整備と大学コンソーシアムについてであります。
 ふじのくに地域・大学コンソーシアムは平成二十六年に設立されました。以来行政、経済界等と広範なネットワークを形成いたしまして単位互換授業の実施、学生による地域課題の研究等々に取り組み、本年三月には二〇一九年から五年間の中期計画を取りまとめられたところであります。
 この計画は四つのミッションを掲げております。第一、静岡県ならではの教育の推進、第二、地域で活躍する人の育成と地域活性化への貢献、第三、国内外問わず幅広く活躍できる人材の育成と環境づくり、第四、高等教育機関の基盤強化の四つでございます。国立、公立、私立の垣根を越えた県内全ての高等教育機関の連携を深め、教育力や研究力の一層の向上を図ることとされております。
 文化力の拠点につきましては、有識者の皆様に取りまとめていただきました基本構想並びに基本計画案の考え方を踏襲し、また新たな県立中央図書館を中心とした知の拠点として整備する方針を立てております。この方針のもとで、多様な交流やにぎわいの創出に向けて民間事業者からの御意見を伺いながら事業手法や導入機能などについて検討中であります。
 こうした中、大学コンソーシアムはふじのくにならではの学び、人づくりを担う拠点であり、本県の文化を体験し新たな創造につなげる新しい知的空間の中に位置づけ、留学生や社会人等の多様な人々が学び交流し創造する場を県民の皆様に提供する重要な機関であると考えております。
 具体的には、大学間連携によるふじのくに学の講座の開催、また共同研究を初め本年度から新たに設置した留学コーディネーターを活用したグローバル人材育成事業の実施や県内経済四団体との包括連携協定に基づくリカレント教育の推進などを期待しているところです。
 私どもといたしましては、本県の文化の向上、知的創造、知的発信の文化力の拠点の早期形成に向けてスピード感を持って取り組んでまいりますとともに、本県の次代を担う多様な人材の育成に向けまして大学コンソーシアムが魅力的な拠点となり学生のみならず世代を超えた県民の皆様を対象とした高等教育が展開されるように積極的に支援をしてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(中沢公彦君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 静岡医療圏の医療体制についてお答えをいたします。
 地域の医療ニーズに応じた効率的で質の高い医療体制を構築していくためには、地域内の医療機関がそれぞれの役割を明確にし相互連携を強め補完し合うことが必要であります。静岡医療圏では特に旧清水市地域の医療機能が低下しており、県が担う第三次救急などの広域的な医療機能や災害への対応力に影響を及ぼすことが懸念されます。当医療圏に責任を有する静岡市と問題意識を共有し、課題解決に必要な医療体制を構築していくことが重要と考えております。
 このため、本年七月には医療機関や市医師会に加えまして静岡市も参画する県の地域医療構想調整会議におきまして、喫緊の課題となっております当圏域の救急や入院、手術などの医療の現状を共有し改善に向けた方策につきまして御議論をいただきました。この中で、救急医療体制は旧静岡市地域と旧清水市地域の市全体で考えていくことが重要であるなどの御意見をいただきましたことから、静岡市が設置をいたします静岡市救急医療体制協議会に県も新たに参画をし圏域の救急医療体制の安定的な確保に向けて検討を進めていくことになりました。
 県といたしましては、病院をあえて浸水区域に移転することなく医療従事者が安全な環境のもと質の高い医療を提供し、市民の皆様がいつでも安心して受療できる医療体制を一日でも早く実現することが必要であり、これは医療従事者の確保にも寄与するものであるというふうに考えております。
 今後も、地域医療構想調整会議等におきまして地域の医療機関、市医師会等の御意見を伺いながら救急医療に限らず災害時の医療も含めた医療体制全体のあり方を検討いたしますとともに、その中で桜ヶ丘病院を初め圏域内の医療機関に対し地域の医療ニーズから求められる役割を確実に果たしますよう働きかけをしてまいります。
 その上で県と静岡市、医療関係者の間で共有できた目指すべき医療体制につきまして地域医療介護総合確保基金などを活用して早期の実現を支援するほか、地域医療を支える医療従事者の確保も効果的に進め市民の皆様に安心して暮らしていただける地域の実現に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 地震防災センターのリニューアルについてお答えいたします。
 地震防災センターは、県民の防災力向上を目指し体系的、効果的な学びの場として、また県内外への情報発信拠点として整備を進めております。具体的には、南海トラフ地震に備えるため過去の地震・津波の映像と実際の揺れを体験することで災害のリスクを自分のこととして正しく理解し、それに備えるために必要となる食料、水の備蓄など自助の取り組み、避難所運営など共助の取り組みにつなげる展示といたします。また近年多発する風水害や火山災害に関する展示も導入し防災に必要な知識や技術を学べる場となるよう配慮しております。
 地域の防災活動への支援につきましては、DIG、HUG等の研修会や防災関連の講演会を定期的に開催するとともに、自主防災組織等からの相談には地域の特性を踏まえた助言を行うなど丁寧に対応してまいります。さらに出張展示用の機材も充実させ出前講座等で活用してまいります。
 県といたしましては、地震防災センターが多くの県民の皆様に訪れていただき防災先進県にふさわしい防災の啓発、発信拠点となるよう、来年三月のリニューアルオープンに向け万全の準備を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 人・農地プランについてお答えいたします。
 本県では本年三月末時点で百三十九の人・農地プランが作成されておりますが、地域の話し合いに基づき農地の集積・集約化を進めるという本来の趣旨から乖離した担い手をリスト化しただけの形式的なプランも多く存在しますことから、実効性のあるプランの作成が喫緊の課題となっております。 このため、プランの実質化とこれに基づく農地の集積・集約化の進め方につきましては、県ではまず本年八月にJA静岡中央会や県農業会議などの関係五機関と連名で農地の集積・集約化に向けた人・農地プランの実質化に係る推進方針を策定し、話し合いの単位や地区設定の考え方、推進体制と役割分担等を明確に示しました。また各市町には実質化に取り組む地区を選定して九月末までに工程表を公表することを求めまして、その結果百七十三地区が選定されたところであります。
 今後は、農林事務所が市町やJA等と連携しこれらの地区における農業者の話し合いに加わり地区内の担い手の確保や将来の農地利用のあり方についてやマップ化などの支援を行うとともに、農地中間管理事業を活用して農地の貸し手と借り手を結びつけ集積・集約化を進めてまいります。
 さらに、農地を集積・集約化した担い手の生産力を高めるための支援につきましては、担い手への集積を条件に農家の負担を軽減する基盤整備事業を活用して農地の区画整理や排水改良などを進めるとともに、規模拡大した農地におきましてより効率的な経営を行うため茶の乗用型管理機の導入や野菜の集出荷施設整備など作目に応じた農業機械の導入や施設の整備を支援してまいります。
 県といたしましては、市町、JA、農地中間管理機構等と連携して人・農地プランの実質化による農地の集積・集約化を進め担い手の農業生産力の強化を図ってまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 清水港江尻・日の出地区における今後の整備についてお答えをいたします。
 県は、八月に公表した清水港長期構想におきまして江尻地区では新しいフェリーの発着場と周辺施設を活用し、また日の出地区では国際旅客船ターミナルを拠点として交流、にぎわいの創出を目指すこととしております。具体的には、江尻地区では駿河湾フェリーの新たなターミナルと食の拠点である河岸の市との連携を図り、デザインの統一や動線の工夫などさらなるにぎわいを創出いたします。また日の出地区では、国際旅客船ターミナルを中心として静岡市の新たな施設や石づくり倉庫群の町並みのリノベーションなどと連携することにより散策できるにぎわい空間としてまいります。
 これらの実現のためには、県だけではなくて静岡市、地域、企業が進める取り組みとの連携によるまちづくりが大変重要であります。現在、これら関係者が参画する清水みなとまちづくり公民連携協議会におきまして、にぎわい創出のための空間利用の方策としてこの地区を訪れる方々へのおもてなしの工夫などにつきましてさまざまな方向から具体的な検討を進めているところでございます。
 県といたしましては、長期構想に示す公共整備を着実に進めるとともに、清水みなとまちづくり公民連携協議会を通じ静岡市や地域、企業との連携を積極的に図ることで港とまちが融合した観光交流空間の創出に一体となって取り組んでまいります。以上であります
○副議長(中沢公彦君) 鈴木教育部長。
       (教育部長 鈴木一吉君登壇)
○教育部長(鈴木一吉君) 学校におけるスクールロイヤーの活用についてお答えいたします。
 近年いじめの認知件数や不登校が増加し、その原因や背景が多様化、複雑化しており、学校現場では法律的な解釈や判断に基づいた対応が必要となるケースが見受けられます。このため県立高校につきましては、本年七月県弁護士会と県立高等学校におけるいじめ防止等のためのスクールロイヤー活用事業に関する協定書を締結し、いじめ等に係る法律相談のほか生徒や教職員を対象としたいじめの予防に関連する授業や教員対象の研修を行うこととしております。
 八月から始まった法律相談には二カ月で十五校から相談があり、教員からは法律の専門家の助言で学校が行うべきことが明確になったなどの声が聞かれております。現在協定の対象となっていない特別支援学校につきましては、支援の具体的な方策やいじめの有無などをめぐり学校や保護者間でのトラブルになった事案があり、今後も法的根拠を踏まえた対応が必要なケースが考えられますことから、県立高校における成果を見ながらスクールロイヤーの導入について具体的に検討してまいります。
 また、小中学校ではいじめの認知件数や不登校が県立学校と比較して格段に多く、学校や市町教育委員会において関係者からのさまざまな意見への対応に苦慮することがあると伺っております。このため高校での成果や課題について情報提供しながら法律的な知見を活用できる環境の整備について市町教育委員会と検討してまいります。
 県教育委員会といたしましては、法律の専門的知見を有するスクールロイヤーを積極的に活用しいじめや不登校等の解決と教員の負担軽減に努め、児童生徒だけでなく保護者、教職員が安心できる学校の実現に向け社会総がかりの教育を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 相坂摂治君。
       (四十一番 相坂摂治君登壇)
○四十一番(相坂摂治君) それぞれ答弁をいただきました。
 要望を三点、それから再質問を一点させていただきます。
 まず、病院については御要望申し上げます。
 一つはやはり防潮堤の整備、これを津波浸水区域の中でという御答弁が副知事からもありましたが、やはりこれを担っているのは静岡県でありまして、これだけが例えばこの病院建設の不安材料というふうに位置づけてこれを反対するということは非常にこれは県としては自分たちの責任も片方にはあるということがありますので、とにかくこれを早く解決策、防潮堤整備の方針を位置づけてこういうふうにやります、どこまでやりますということをはっきり示すべきというふうに思います。
 もう一つの要望は静岡医療圏、つまり旧清水市の中の必要とされる病院の診療科目あるいは医師あるいは医療人材についての必要な相当量はどのぐらいなのかということを市のこの協議会に参加をされていくことになるわけですから、ここではっきりと示すことだと思います。JCHOと静岡市は協議を、協定を結んだあるいは記者会見を開いたといってもJCHOがどの程度の規模の病院をここに開設するかは全く明らかになっておりません。ですから、これは県としてあるいは県の全体の圏域の中でこの清水区域の医療の規模というものがどの程度必要になるのか、どういう不足があるのかをはっきりと示すということが必要だと思います。これは会議の場でぜひ持ち込んでいただきたいと思います。
 二つ目の要望は清水港であります。清水港です。清水港については二つ御要望を申し上げます。
 一つは、これから整備される港湾計画の中にやはり財政フレームをきちんと示すということ。それからこの中に各地域に示されているそれぞれの事業について工程表をしっかりと示して目標管理をしていただきたいと。その上で県はどこまでやるのか。この長期構想、恐らく県だけではなくさまざまなグランドデザインに示されている民間の活力を活用した施策も盛り込まれていくはずでありますから県がどこまでやるのか、県はここまでしかやらないということをむしろ示すことで不足を補っていただくという姿勢がやっぱり必要だろうと思います。
 それからもう一つの要望は、県がしっかりと、そうはいってもリーダーシップを発揮することだと思います。ともすれば小さなコミュニティーを守ろうとする住民の意向と大きな開発の案件というのは衝突することがよくあります。しかし開発というと聞こえは悪いんですが、しかしそれは未来につながる投資の集積であると。そこから人口問題やあるいは新しい技術のそこへの集積や産業の創出につながるということを自信を持ってしっかりと県が伝えていく、そのリーダーシップをきっちりとしっかりと発揮をしていただきたいというふうに思います。
 それから三点目の要望はスクールロイヤーであります。まだまだ人数がそろわないというところからのスタートになると思います。当初、発足当初は、けさの新聞にもこのスタートが明示をされましたけれども、発足当初はぜひこのロイヤーの採用が各学校へしっかりと行き渡るような工夫をすることからスタートを切ってほしいなというふうに思います。
 再質問を一点申し上げます。東静岡についてです。
 この大学コンソーシアムの具体的な内容について、随分知事から御丁寧に説明をいただきました。これが民間がつくっていく文化力の拠点の中にどのように位置づけられていくのか、再度この点を質問したいと思います。お願いします。
○副議長(中沢公彦君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 再質問にお答えいたします。
 ふじのくに地域・大学コンソーシアムなんですけれども、今度文化力の拠点の中の知の拠点の中にですね、主要な機能として位置づけていこうと思っております。その中でもやはりリカレント教育、企業様とも連携して、特に社会人教育でありますとか、あと留学生の方々との交流でありますとか、あとさまざまなやはり外国の方々との交流の場としてですね、活用していきたいと思っております。そこにさまざまな方々が集まって、その今までの大学コンソーシアムをさらに機能が上がっていくような方向で進めていきたいと思っております。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 相坂摂治君。
       (四十一番 相坂摂治君登壇)
○四十一番(相坂摂治君) ありがとうございました。
 要望を二点だけして質問を終わります。
 一つは、大学コンソーシアムの運営の財源機能をしっかりと準備していただきたいということであります。それが各大学の研究につながるような財源確保ということです。
 もう一点は道路、交通網の整備等も含めて東静岡周辺の関係者にそろそろ働きかけを行って協議の場をしっかりと設置していただきたいということであります。以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(中沢公彦君) これで相坂摂治君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 九月二十五日午後一時会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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