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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2015

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 「いのち」を保証する取り組みについて              
 (1) 生活困窮者自立支援制度の実効ある取り組み           
 (2) 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置                             
 (3) 特別養子縁組の仕組みづくり                  
 (4) 精神障害者の医療費充実 
2 教育の充実について                       
 (1) 子供の力を生かした地域づくり                 
 (2) 小中一貫教育                         
 (3) 学校現場の多忙化解消  


○副議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十六番 佐野愛子君。
       (三十六番 佐野愛子君登壇 拍手)
○三十六番(佐野愛子君) 私はふじのくに県民クラブの一員として、今回は今日的課題である弱者の目線に立った福祉、そして未来を担う教育に焦点を絞って分割方式で質問をいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに、命を保証する取り組みについてのうち、生活困窮者自立支援制度の実効ある取り組みについて伺います。
 このところ、子供の貧困、生活困窮などの言葉を目にしない日はないほどです。政府の経済成長戦略は一部に波及しただけで、格差だけが広がる格差社会をつくり出す結果となってしまいました。実際、平成二十四年時点で平均的な所得の半分、百二十二万円以下で暮らす世帯の貧困率は一六・一%、子供の貧困率は一六・三%、子供六人に一人、よく言われます。貧困の中で暮らしています。特に母子家庭を中心としたひとり親家庭での貧困率は五四・六%と深刻です。しかも今日の貧困は昔と違って、支え合いや頑張りにつながるのではなくて逆に孤立や諦めを生み、ますます貧困から脱却できなくなるという悪循環です。
 このような現象を背景に、ことし四月に生活困窮者自立支援法が施行されました。これまで生活困窮者が頼る制度は生活保護しかなく、それは最終のセーフティーネットです。この法律は生活保護の手前で支えて地域社会、雇用へとつなぐという、まさに現在の貧困解決に不可欠な制度です。必須の事業である自立相談支援事業によって福祉事務所のある全国の自治体に生活相談窓口が開設されました。そこでは相談者の支援プランを作成し、専門の支援員がほかの機関とも連携して解決を目指します。必要によってフードバンクなどの支援機関につなげるのも窓口の役割です。
 しかし、この後が問題です。法律に定められた自立につなぐ任意の支援メニューを実施しない自治体が多いのです。就労準備支援事業等のメニューごとに見ると、県内では二、三割の自治体しか実施していないのです。例えば親から子供への貧困の連鎖を断ち切る打開策とされる学習支援事業を実施しているのは十二町を所管する県と六市だけです。経済的理由により塾に行くことができない子などに寄り添いながら指導する大変効果がある事業であるのに取り組まないのは残念であり、国の施策を市民に行き渡らせないのでは不公平感が拭えません。
 県としての周知徹底が必要と考えますが見解を伺います。
 そして、一番重要であるのは就労支援への橋渡しです。縦割り行政の壁を打ち破り地域全体で取り組む姿勢が必要で、さらに相談者を早く見つける早期把握も大切です。また支援事業を取り入れた自治体でも人材派遣会社や学習塾に委託だけするという非効率な事例もあります。行政がしっかり関与する仕組みも求められます。
 県内には、富士宮市で福祉総合相談課が中心となって専門的な支援員が親身になって地域資源のネットワークを構築しているお手本となる支援例があります。まちづくりの視点から生活困窮者の支援を取り入れて地域の力を高めていくことが一番重要であると思われます。
 生活困窮者自立支援法の実効ある取り組みのために、これらの課題の克服と今後の方向性について、県の御所見を伺います。
 次に、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置について伺います。
 内閣府は、平成二十四年五月に性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター設立の手引を公表し、全国にワンストップ支援センターの設立を促進しています。
 県警によると、ことし届けられた性犯罪被害者は平成二十六年中、強姦三十三件、強制わいせつ百五十件であります。しかしながら平成二十五年犯罪被害者実態調査では警察に被害を届ける女性は一八・五%と報告されており、多くの被害を受けた方は羞恥心や無力感のため届けていないと推測されます。また性被害について誰にも相談しなかったという被害者が六七・九%と、ほとんどの被害者は専門機関へ相談もせず支援につながることもなく一人で問題を抱え込んでいるのが現状です。このような実態から被害者が安心して医療を受け警察に届けを出し、心理的ケアその他十分な支援を受けることが求められます。それにはまず性犯罪・性暴力について正しい理解、知識のある相談員が常駐する相談機関を設立し、初診に限らず検査等の治療費を公費負担として、その後も支援機関へつなげていくようなシステムをつくることが必要です。
 静岡県では、平成二十六年二月に静岡県産婦人科医会、静岡犯罪被害者支援センター及び警察の三者が協定を締結し、性犯罪の被害者が産婦人科医療、法律相談、事件捜査における支援を受けることができる取り組みを始めました。しかしまだまだワンストップセンターと言うにはほど遠く、被害を受けた方はあちらこちらに足を運ばなければなりませんし、昼間だけの対応となっています。岐阜県では去る十月十五日に性暴力の相談や心理的ケア医療、法的支援など総合的な支援を一元的に二十四時間受け付ける、ぎふ性暴力被害者支援センターが開設されました。全国にも今年度だけでも五県に新規設立されるなど進展があります。
 地理的な問題や地域の実情を踏まえての開設が前提ですが、県のセンター設置に向けての見解を伺います。
 次に、特別養子縁組の仕組みについて伺います。
 少子化は国を挙げての課題であり、県でも若者の婚活支援など子供を産む環境を少しでも整えようと取り組んでいます。しかしながら晩婚化が進んだり子供が欲しくても不妊に悩む方が多くいらしたりして、出生率を上げていくのはなかなか難しい状況です。
 しかし、その一方では児童虐待や虐待死は年々増加し大きな社会問題となっています。貴重で何にもかえがたい命を救うための方策を立てなければなりません。虐待児童死亡例に占めるゼロ歳の割合は四割以上、その中でゼロカ月の割合は四割、またその中でゼロ日が八割以上というショッキングな調査結果があります。加害者の九割は実母で若年の望まない妊娠、トイレ、風呂場での自宅出産が六割などと続いています。
 そんな実態で、もし望まない妊娠の場合または育てる自信がない、産んでも育てる環境にないなどという事情を抱える親が、特別養子縁組を前提に新生児を直接子供を育てたいと願っている里親に委託することができる仕組みは注目すべき制度です。妊娠中の女性が安心して出産を迎えることができる、迎える里親も自然に親子関係を紡ぐことができるという利点があります。赤ちゃんポストやこうのとりのゆりかご等を設置して話題になった熊本慈恵病院など民間の医療施設で積極的に進めている例もありますが、福岡市、名古屋市、横須賀市、愛知県など先進的に取り組んでいる自治体もあります。
 隣県である愛知県を例に挙げると、平成二十一年から平成二十六年までの六年間で養子縁組の新規委託数百二十一件、そのうち新生児の委託数は五十八例もあります。県内の児童相談センターに里親担当職員が二、三名兼務でいること、さらに里親委託推進員が嘱託として二名います。実親、里親へのきめ細やかな支援はしっかりとマニュアル化しており、専門相談員や里親サロンなど周囲から支える仕組みも工夫されています。もちろんさまざまな事情から全ての養子縁組が成立するとは限りませんが、赤ちゃん委託で虐待死をなくすというわかりやすい目的であるため、若い職員も取り組みやすいとも言っていました。
 県でも特別養子縁組の仕組みづくりに積極的に取り組むべきと考えますが御所見を伺います。
 次に、精神障害者の医療費充実について伺います。
 この二、三年の障害者関係法制の動きとしては、この後施行予定のものを含め虐待防止、保護者制度廃止、精神障害者の雇用率算定化、差別解消、権利条約批准と集中的に進み、法的な環境は整備されてきました。しかしながら周りの社会は急に変わるわけではなく、国の障害福祉サービス関係予算は増加はしていますが十分とは言えず、どうしたら障害者が安心して暮らすことができるか、まだまだ解決に向けて取り組まなければなりません。
 障害福祉サービスを受けるには、身体、知的、精神の三つの障害種別は問われませんが、精神障害はまだまだ理解や制度がおくれていることは周知のとおりです。重度障害児・者の医療費助成については平成二十四年十月から精神障害者保健福祉手帳一級所持者が助成対象となり、長期にわたる入院費の負担が大幅に軽減され大変助かっているとの声を聞いています。しかし二級及び三級の方については多くの要望があるにもかかわらず、いまだ助成対象にはなっていません。またこの助成制度は重度の障害がある方を対象としていますが、対象者の割合は精神障害は約九%に過ぎず、約五〇%の身体障害や約三五%の知的障害とは大きな差があります。精神障害二級及び三級の方も状態が悪化して入院するときは重度の状態にありますので、風邪などの内科や外科など一般に通院する場合ではなくて、精神科に入院する場合に限って助成対象にしてほしいと要望しているのです。先般浜松市で開催された甲州・東海ブロックの精神保健福祉促進研修大会においての情報交換では、岐阜県が平成十八年から、愛知県が平成二十年から一級及び二級の方に医療費助成を実施していることが報告されました。また本県でも政令市を除く県内全ての市町議会から知事宛ての意見書が提出されています。
 多くの方から要望のある精神障害者の医療費助成の充実に向けて、精神障害者保健福祉手帳二級及び三級所持者が精神科に入院する場合の医療費を助成対象に加えることについて、県の考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 佐野議員にお答えいたします。
 命を保証する取り組みについてのうち、生活困窮者自立支援制度の実効ある取り組みについてであります。
 生活の困窮を抱えている方、あるいは子供の貧困を抱えているという方に対しましては支援が必要であります。生活困窮者自立支援制度につきましては、ことし四月から全市町で自立相談支援事業が開始されまして、就労や住居の確保などについてほぼ四千件余りの相談を受けました。相談者に対しましてはお一人お一人の状況に応じたきめ細かな支援をすることとしておりまして、四百人の方が就職すると。十分の一ということでございますが、それなりの成果が出てきております。
 県としましては、生活に困窮する方々が今後確実に自立できるように就労に向けた準備や生活の立て直しのための家計相談などの自立支援について取り組むこととしております。またこれらの事業実施につきましては市に対しまして事業の効果を十分に理解していただき積極的な実施を働きかけているところであります。特に子供を対象とした学習支援事業につきましては貧困の連鎖防止に大変有効でありますので、未実施の市に対しては早期の取り組みを強く促しているところであります。
 次に、就労支援でありますが、就労することを通して自立をするということなので、ただ支援するだけではなくて就労支援ということが極めて大切です。関係機関との連携によって就職につながった成功事例がございますので、これらを参考にいたしまして縦割りの弊害を排し生活困窮者の自立を支援してまいります。また生活習慣が整っておらず通常の就労に不安がある方々に対しましては、生活の改善を図りながら段階的に就労を進めるいわゆる就労準備支援事業を活用した支援に努めているところであります。
 県議の地元であります藤枝市につきましては、ことしの四月から半年間で二百五十一件の相談がありまして、そのうち三十九名の方が就職に結びついています。したがって一五・五%ということです。県下全体では先ほど申しましたように一〇%ということでありますが、しかし非常に高いところでは、高いところを三つ挙げますと相談件数に対して就職者数の割合でありますけれども掛川市では四三%です。富士宮市でも三五%、伊豆の国市で三四%とこういうすばらしい成果を上げられているモデルケースがあります。一方就職者数にほとんど結びつかない、そうですね、最低二%というところを挙げますと磐田市、御前崎市、そして静岡市とこの三つが相談件数はたくさんありますけれども就職に結びついていないという、そういう状況でございます。
 生活困窮者の自立につきましては、早期に状況を把握し事情と段階に応じた支援を行うことが非常に効果的であることが既にわかっております。このため地域の実情に精通した民生委員、児童委員や関係機関が生活に困窮する方を速やかに相談窓口につなげ、早い段階で課題が解決できますように、地域力を高めて関係者の密接な連携を図らねばならないと考えております。
 今後、有効な自立支援事業の実施拡大に努めまして、市町や関係団体と地域が一丸となって自立を支援することにより生活に困窮している方々が仕事を得て安定した生活を取り戻すことができるよう、「住んでよし 働いてよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、特別養子縁組の仕組みづくりについてであります。
 特別養子縁組といいますのは、原則として六歳未満――五歳以下の子供の監督保護。これが著しく困難または不適当であるときに、その子供の実親側と法律上の親族関係を消滅させまして実の親子関係に準じる安定した法律上の親子関係を成立させる縁組制度のことでございまして、児童相談所のあっせんによる場合には知事ほか県に申請をしていただいて、その認定を受けねばならないということでございます。子供は将来を担う社会の宝でございますので、どのような境遇に生まれた子供でも最低限その命は保証されて、そして子供が安心して育てられ、また安心して育つ環境のもとで心身の発達が確保されて健やかに成長していくことが重要です。
 私どもは、妊産婦やその家庭を初め幅広く県民の皆様に対しまして望まない妊娠等について相談を受けるということで、その窓口しずおか妊娠SOSというものを設け、それの有効利用や高校生など若い世代を対象とした妊娠と出産に関する正しい知識についての講習会を開催するなど、積極的な普及啓発を行っているところです。望まない妊娠などによって命が守られないというおそれがある乳幼児がふえております。虐待により家庭を離れて生活しなければならない子供たちが命を大切にされて家庭的な環境で落ちついて暮らせるように、児童養護施設の環境改善や里親による養護などの積極的な推進を通じまして、生まれてきた全ての子供たちが安心して健全な生活ができるように努力しているところであります。
 ちなみに、これは厚労省の検証結果ですけれども、心中以外の虐待死ということでゼロ歳児すなわち生まれてすぐということですけれども、その虐待死が何と四四%です。そして二歳児まで合わせると何と三分の二と、六七%ということで、そして生後零カ月という生まれたばかりの赤ちゃんがですね、虐待死されて四〇%という高い率を示しております。
 どうしてかということで、その問題として統計によりますれば欲しくなかった、望まない妊娠だったというのが二二%、十代の妊娠だったというのが六人に一人ということで、あるいは子供の存在を拒否する、否定するというのが十人に一人ということで極めてすさまじい状況でございますが、こうしたことを踏まえまして特別養子縁組という制度が設けられているわけですが、この特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託につきましては静岡県の児童相談所においても実施している例がございます。その取り組みの効果につきまして先進的な自治体の例も参考にしながら、関係者や学識経験者の御意見も承りながら、親子関係の調整や医療機関との連携などこの制度が抱える課題への対応につきましても十分に検証しながら、特別養子縁組の仕組みづくりを進めてまいりたいと思っております。
 本県に関しまして、平成二十六年度でございますけれども里親制度でうまくいった例がございます。六歳未満で二十二件の相談がありましてそのうち新生児が四件と――四人ということでございます。ゼロ歳児が八人ということでございますから、こういう子供たちが里親によって安心して暮らせる、そういう環境を確保したということでございます。
 県といたしましては、幼くとうとい命を守り保証する対策をしっかりと進めまして、子供が笑顔で喜び希望を持って暮らし、笑顔のあふれるふじのくにづくりを進めてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 池谷くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 池谷 廣君登壇)
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 命を保証する取り組みについてのうち、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置についてお答えいたします。
 過去五年間の本県の性犯罪認知件数は年平均二百件に達しますが、これは氷山の一角に過ぎず、性犯罪・性暴力の被害者は相当数に上るものと思われます。こうした被害者は心身に大きなダメージを受けているにもかかわらず多くは誰にも相談できず、また相談しようとしても支援機関にたどり着く前に気持ちがなえてしまい、結局支援を受けられないことも少なくありません。こうした中、大阪府を嚆矢として全国的にワンストップ支援センターの整備が進んでいますが、こうしたセンターの核となる機能は支援のコーディネートと産婦人科医療であります。
 本県では、平成十年に設立された静岡犯罪被害者支援センターが静岡県警、静岡県産婦人科医会などと連携し平成二十六年度には五十五件の相談を受けるなど、相談員等関係者の方々の熱意を持った対応により一定の役割を担っていただいております。
 しかしながら、相談機能と医療機能が一体化している拠点型に比して被害者ニーズへの対応が弱いこと、また支援サービスを知らない方も多いことから、まずは現行の体制について周知に努めるとともに、より被害者に寄り添った支援体制の構築についてその形態、担う機能や組織、運営方法などを含め関係者等の意見を十分に伺いながら検討してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 命を保証する取り組みについてのうち、精神障害者の医療費充実についてお答えいたします。
 重度障害児や重度障害者の医療費助成制度を初めとする福祉医療費助成は、県民の命と健康を支える大事な施策でありますことから、障害のある方々の要望を踏まえ、市町とも連携して制度の改善や対象の拡大に努めてまいりました。
 精神障害者の医療費の充実といたしましては、平成二十四年十月からそれまで対象外であった精神障害のある方への支援として一級の方を医療費助成の対象とし、重度の精神障害のある方が適切な医療を受けられるように経済的負担を軽減することといたしました。重度の精神障害のある方や御家族からは、入院費等の負担軽減につながったことや安心して医療を受けることができるようになったことなどの御意見を多くいただいております。
 重度の障害児や障害者への医療費助成制度は、日常生活において常時援助を必要とし、就労することが難しく医療費の負担が多い状況にある重度の障害のある方が身近な地域で安心して暮らしていけるように支援することを目的としております。このため精神障害のある方への対象拡大につきましては身体障害や知的障害のある方の対象を重度の方に限定していることなども考慮して、制度全体の中で検討していく必要がございます。
 また、今後とも持続可能な公平で安心をもたらす制度として運用していくことが重要であることから、二級及び三級の精神障害のある方の入院に伴う医療費負担の状況などを把握した上で事業主体となる市町に財政負担についての意見を伺うなど、さまざまな観点から検討し、よりよい制度となるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 佐野愛子君。
       (三十六番 佐野愛子君登壇)
○三十六番(佐野愛子君) 御答弁ありがとうございました。再質問をとりあえず一点いたします。
 性犯罪のワンストップ支援センターですが、やはり国連では女性の人口二十万人に一カ所の開設をするようにという試算もあります。県内にせめて一カ所でもモデル的に開設していただくことが必要だと思いますがいかがでしょうか。
 そして、現在は県民相談窓口ということでくらし・環境部が所管しているようですが、設立に当たっては病院併設型等、どうしても健康福祉部の役割も大きくなると思いますが庁内での連携はいかがでしょうかお伺いいたします。
○副議長(杉山盛雄君) 池谷くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(池谷 廣君) 再質問にお答えいたします。
 性犯罪・性暴力の被害者へのワンストップサービスですけれども、足りない機能と申し上げたところは現行の体制でやはり医療体制が非常に弱いということです。現在の相談センターに来ている相談も最近は非常に性犯罪もふえておりますが、全般的に全ての犯罪に対しての被害者支援の中で性犯罪が非常にふえていると。ただその相談が例えば被害に遭ってすぐに来るということよりも、ある程度期間を置いてということでの対応になっているということを伺っております。
 そうした意味では、やはりまずは心身へのダメージについていかに対応していくかという意味では非常に産婦人科医療というのが必要になってくるわけですが、そこの点が非常に今弱いということで、そうした点を踏まえて十分これからの体制を考えていかなければいけないということと、それからそうした意味ではもちろん私どものほうは今性犯罪被害の対策の所管も持っておりまして、今答弁申し上げましたけれども、まさに全庁という中では健康福祉部の役割も非常に強くなってくると思いますので、そうした形で対応していきたいと思っております。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 佐野愛子君。
       (三十六番 佐野愛子君登壇)
○三十六番(佐野愛子君) ありがとうございました。要望と質問を一点させていただきます。
 性犯罪被害者のワンストップ支援センター、また精神障害者の医療費等、この東海圏でも静岡県がおくれをとらないように、他県の先進例、養子縁組もそうですが参考にして、ぜひともふじのくにの充実に向かって他県の例も参考にして進めていっていただきたいと要望します。
 そしてもう一件、知事に質問いたします。
 この困窮家庭への自立促進等ですが、子供の貧困率、貧困による経済的損失が一学年だけで約二・九兆円という推計が日本財団から出されました。やはり貧困を下から支えること、底辺を支えることがこのふじのくにの発展につながっていくと考えます。また児童養護施設等、ただそこに入れるのではなくて温かい里親によって育てること。それが経済的にも大変効率があると考えます。そのようなふじのくにの下支え、下を支えて伸びていく構想について知事のお考えを伺いたいと思います。
○副議長(杉山盛雄君) 佐野愛子君に申し上げます。ただいまの質問につきましては再質問をしておりません。ですから再々質問ということにはなりませんので答弁の必要は生じませんので御了解ください。
○三十六番(佐野愛子君) はい。では残念ですがいいにします。それでは次の質問に移ります。
 教育の充実についてのうち、子供の力を生かした地域づくりについて伺います。
 地方創生が叫ばれて、特色ある地域づくりや地域の活性化を図る手だてが全国的に注目されています。私の住む藤枝市瀬戸谷地域では過疎、高齢化で中山間地域に共通の課題を抱えた地区であります。そしてこのたび地域の自治会から瀬戸谷地区未来構想を策定して市へ提言書を提出しました。その提言作成に大きくかかわったのは地元の中学生の意見です。学区の中学校は生徒数四十九名の小規模校でありますが、総合学習で地域の未来構想を展開しました。地域の将来、学校を想定して地域で生活している中学生が今をどう捉え、どのようにしていきたいのかを真剣に話し合ったのです。多くの学校では子供たちが総合学習で学区の歴史や産業などの特色を学んでいますが、それだけで終わらせることなく、子供たちの思い、例えば地域の名物をつくろう、バスがないと不便、宿泊施設があるといい、また勉強できる図書館が近くに欲しい。そんな子供たちの思いを実際に地域づくりに役立てていけばいいのです。地域に目を向けて提案していくことは、今求められている主権者教育とも大きくつながっていきます。これから何十年後に地域で活躍する今の子供たちが地域の将来を一番真剣に考えるのは当然といえば当然です。
 地域の皆さんが学校に協力してくれるように、子供たちみずからが持っている力をどんどん地域のために活用していく視点を取り入れるべきであると考えますが、教育長の見解を伺います。
 次に、小中一貫教育について伺います。
 県内で小中一貫教育の実施を推進する、また市内全校で実施するという計画を上げる市町が幾つか出てきました。小中一貫教育は学校教育法改正で義務教育学校が創設されたことに伴い義務教育の九年間を柔軟に対応できる制度で、今後より多くの導入が予想されます。県内では浜松市立引佐北部小中学校、沼津市立静浦小中一貫学校、浜松市立庄内学園の三校で現在実施されています。さらに中部学園も開校予定であります。
 小中一貫教育の効果として、まず中一ギャップの解消が挙げられます。環境の変化で適応がうまくいかずに不登校やいじめの原因になるという事例を解消できるということもあります。また学力面では小学校高学年から中学のように教科ごと専門の教師が指導したほうが効果的であるという期待もあります。
 しかしながら、逆に小学校と中学校が分かれているメリットはどうでしょうか。小学校の卒業、中学の入学、中学へ行ったら制服を着たり先輩、部活は何を選ぼうか、自転車通学になる。そんな不安と期待の入りまじりは子供にとって大きな飛躍と成長の節目になっていると思います。また九年間同じ固定的な人間関係の中で生活することが望ましいとは限りません。また小学校高学年の子供たちが児童会活動などリーダーとして活躍する場がなくなることにもなります。新たな義務教育学校をつくるというのは初等教育、中等教育の大きな根幹を変えることにもなります。
 教育課程上の懸念もあります。市町村教育委員会にカリキュラムの設定の裁量は与えられたものの、現行の学習指導要領は小学校、中学校で分かれていて、その区分を変更した指導内容や教科書は策定されていません。さらにこのようにカリキュラムや学年区分に独自性がある一貫校に他校から転校してきた子供たちは適応に苦慮しますし、普通の学校に転校する場合も同じことが言えます。
 また、免許制度上、他校種の免許が必要となり教師の負担がふえることも予想されます。特に僻地校の統廃合問題を小中一貫校にして解決するという単なる行財政改革の視点だけで導入するというのでは本末転倒です。本県で実施されている先行の三校のように地域と保護者が共通の認識と展望を持って設立を推進していくことが必要です。
 小中一貫教育は、少子化や現在の学校教育における課題に対応した制度となり得ることは言うまでもありませんが、導入に当たってはまず子供本位で考えなければなりません。県教育委員会として実施するに当たって多くの課題や問題点を内包する小中一貫教育に対してどのような方向性を考えているのか御所見を伺います。
 次に、学校現場の多忙化解消について伺います。
 先生方は忙し過ぎる、親の対応や部活など大変そうと学校現場の多忙化は多くの県民の一致した課題となってきました。教職員の皆さんからはどんなに大変でも子供たちのためのこと。子供と一緒に進めることなら楽しいしやりがいがある。でもそれ以外の仕事が多くて一番とりたい子供のための時間が足りないのが大きなストレスとなるという切なる訴えを聞きます。静岡県の教育の向上を図るにはしっかりと子供たちと向き合うための効率的な方策を打つことが必要です。もちろん教職員の数をふやすことが一番の得策ですが、限られた財源の中、定数増を待っていたのでは解決していかないのも事実です。これまで学校行事の精選や見直し、報告調査の削減などの観点では改革を進めてきました。今後はそれだけではなく自分たちでできる工夫や改善の視点での見直しが必要であると考えます。ひとり一改革運動を学校にも取り入れて教職員にも効率的に仕事のやり方を見直すことが多忙化解消の具体的方策につながっていくと考えますが、教育長のお考えを伺います。
 さらに、もっと掘り下げて仕事の内容を精選する必要があると考えます。日本の教員の守備範囲は大変広く、教員の本務は一体何なのか見失ってしまいがちです。フィンランドなどの諸外国は教員は授業だけを任されていますが、日本は校舎やグラウンドの管理、清掃指導、備品の管理や修理、トイレ清掃、部活の指導はもちろんですが、そのような業務も多くこなしています。
 県内でも、コミュニティスクールの導入が進んで花壇の世話や通学路での登下校指導などで地域の方々が活躍していますが、場合によっては有償ボランティアとして外部の方にできる仕事をお願いすることが方策の一つであると考えます。
 それと並行して、教職員以上の専門性が必要とされる仕事は専門の職種に任せることも必要です。複雑な家庭環境を抱える児童生徒への対応、モンスターペアレントへの対応、校外での非行などに対してはスクールソーシャルワーカーやスクールサポーター、弁護士など専門機関に任せていくべきであると考えます。教育委員会や福祉、警察など連携して一層の充実を図っていただきたく思います。
 学校現場の多忙化を解消するため、教職員の意識改革への取り組みと職務内容に応じた外部人材の活用が必要であると考えますが、教育長のお考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) それではただいまから、まず教育の充実についてのうち、子供の力を生かした地域づくりについてお答えいたします。
 本県の子供たちは、これまでも地域の行事には積極的に参加しており、今年度の全国学力・学習状況調査の結果によると小学生の約七四%、中学生の約六九%が地域の行事に参加していると回答しております。この結果は全国平均と比較して小学生が八ポイント、中学生が二十四ポイントも上回っている状況であります。
 県教育委員会では、学校と地域が密着した教育活動をさらに充実させるために地域とともにある学校づくりという方針を掲げ学校支援地域本部やコミュニティスクールの取り組みを推進し、学校と地域がより身近で密接な関係となる環境づくりに努めております。また学年の異なる小学生が宿泊を伴い共同生活をする通学合宿や学校等を避難所とした生活体験を行う防災キャンプにおいて中高生が地域の一員として積極的に参加し活躍しております。
 県教育委員会といたしましては、地域の子供は地域で育てるという考えのもとで、学校と地域との連携協働の中で地元の将来について提案していくなど、子供たちの豊かな発想力を地域づくりに生かす環境の整備に努めてまいります。
 次に、小中一貫教育についてであります。
 現在、県内においては沼津市で一校、浜松市で二校の施設一体型の小中一貫校が設置されています。また磐田市や掛川市でも中学校区を単位とした小中連携教育の取り組みが行われております。小中一貫教育については小学校から中学校への円滑な接続により、いわゆる中一ギャップの緩和や系統性、連続性のある教育活動が展開できるなどの効果が見られますが、県教育委員会では地域の実情に応じ地域に即した形で行われることが重要であると考えております。制度上、施設一体型の小中一貫校の導入は設置者である市町の判断によるところでありますが、子供たちにとって最適な環境となるよう、地域とともにある学校づくりの考えのもと、地域住民の十分な理解や協力を得ながら進めていくことが不可欠であると考えています。
 そのため、県教育委員会では市町教育委員会から施設一体型の小中一貫校の設置やそれに伴う統廃合の相談等があった場合は、地域住民と保護者の意見を十分に酌み取り尊重することや今後の見通しを地域住民に丁寧に説明することなどについて指導しているところであります。
 今後、県教育委員会といたしましては各地域の実情により、よりよい教育が推進されるよう先進地区の取り組みを研修会等で紹介したり、小中一貫校の成果や課題について市町教育委員会との情報共有に努めてまいります。
 次に、学校現場の多忙化解消についてであります。
 教員の多忙化の問題が指摘される中、県教育委員会では特に小中学校の教員の多忙化解消を喫緊の課題と捉え会議や研修会、調査や報告文書等の見直しを進めるとともに、学校の運営改善について管理職へ働きかけを行っております。
 また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど教員以外の専門職が学校に配置され力を発揮することで学校にゆとりを生み、教員が本来の教授活動に専念できるという成果が報告されています。こうしたチーム学校の考え方を推進していくため、県教育委員会といたしましては国に予算の増額を求めていくとともに、学校への外部ボランティア等の配置充実に努めてまいります。
 一方、議員御指摘のとおり人的配置を増員するだけでは多忙化の解消は解決できません。教職員自身も仕事の仕方を見直すなどの意識改革が必要であり、学校現場における業務の精査や効率化に係る取り組みを取りまとめ、その共有を通じて多忙化の解消を推進してまいります。
 さらに、教育委員会としてより実効性のある取り組みを進めるため、来年度はモデル校を指定し外部の有識者の知見も活用しながら研究を行ってまいります。さらに本年七月文部科学省が示した学校現場における業務改善のためのガイドラインを活用し、市町教育委員会とも連携して多忙化解消の取り組みを進めるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 佐野愛子君。
       (三十六番 佐野愛子君登壇)
○三十六番(佐野愛子君) 御答弁ありがとうございました。では要望を一点と再質問を一点お願いします。
 小中一貫教育ですが、小学校と中学校が並立する小中並立の小中一貫教育でしたらいいんですが、統廃合して一校にするというのはやはり今教育長がおっしゃったように地域と保護者との共通理解を慎重に進めていって実行していっていただきたいと思います。先ほどお話ししたように学校はやはり地域の活性化の核となります。地域から子供たちの声がなくなること、また子供たちの学ぶ姿がなくなることは地域の活性化を失うことになってしまうと思います。子供たちが公民館祭りだとか敬老会に出演するだけでお年寄りも喜びますし、地域に元気が出ます。そういった意味でやはり一貫校として設置する場合はそのような教育の機会均等という意味からも慎重に進めていくことを要望いたします。
 もう一点、多忙化についての再質問ですが、本当に今、県内の小中学校の教職員の勤務時間の終了時間を御存じでしょうか。午後四時半です。四時半に帰る教職員はまず少ないと思います。中学の部活は六時半までやりますし、四時半から子供が帰った後研修をやるというのも当たり前のようになっています。日本の教職員は一番勤務時間が長いという報告もされています。
 本当に、そういった中やはり業務は有償ボランティアだけでは成り立たないところもありますので、業務員とか事務員をふやすというのも一つの方策と考えますがいかがでしょうか。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 今御指摘のように、教員だけの努力ではいきませんのでソーシャルワーカー含めていろいろな方々にお世話になっていますし、それから教員と事務局の方々ですね。事務員との連携も大事ですし、できるだけいろいろその多忙になっている要因を精査してそれぞれできるところから簡略化するということも含めて、やはり教員が余りにも勤務時間が長いということも承知しておりまして、よって先ほども申しましたようにモデル校を来年は指定して、そこで試験的に幾つかやってみてそれを全体に広げていきたいと、こういうように考えております。
○副議長(杉山盛雄君) 佐野愛子君。
       (三十六番 佐野愛子君登壇)
○三十六番(佐野愛子君) ありがとうございました。
 本当に今、休職をしてしまう教職員も相次いでおりましてぎりぎりのところまで来ています。モデル校の実績等に期待してぜひとも早急な取り組みを求めます。以上で質問を終わります。(拍手)

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