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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

相坂 摂治 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/28/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 自民改革会議が実施した県政検証結果
 (2) 地方創生人口ビジョン
  ア 数値目標の妥当性
  イ 県内大学の果たす役割
 (3) 県都構想の撤回
 (4) 東静岡「文化力の拠点」整備事業に見る施設整備のあり方
2 浜松市篠原地区における野球場の整備について
3 障害者差別解消条例の制定と施行後の取り組みについて


○議長(鈴木洋佑君) これで増田享大君の質問は終わりました。
 次に、十八番 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇 拍手)
○十八番(相坂摂治君) 通告に従い分割質問方式で質問をいたします。
 私たち自民改革会議は、去る二月六日、静岡県政の検証を実施しその結果を公表しました。
 その後、知事は定例記者会見でこの評価について読んではいないが恣意的だと評されました。また内陸フロンティアの取り組みについて国の総合特区で一位であったにもかかわらず評価が低いとのコメントもされましたが、全ての内陸フロンティアの指定区域が国の特区に指定されているわけではありません。中には評価時点においてその進捗が乏しかった区域は約六割にも上っていたのです。さらに県の総合計画後期アクションプランを評価した白書について知事が会見で述べられたとおり、二百六十八の数値目標、五百一の具体的取り組みは相応の進捗を示していることは事実です。職員の方々のたゆまざる仕事への情熱があったものとして高く評価しなくてはなりません。
 しかし、私たちが検証の対象としたのは後期アクションプランの評価指標のうち最上位に置かれた三十二本の戦略目標です。二百六十八の数値目標は五百一の具体的取り組みによる成果であって効果ではありません。効果はこの最上位に置かれた三十二本にこそあらわれるべきであって、白書とは評価の手法が異なり、かつ恣意的ではありません。なぜならこの三十二本については白書においてもC判定以下が十九本とされており、率にして五九・四%に相当します。私どもの評価結果二・二点とそれほどの乖離はありません。さらに指摘するならば白書のB判定は期待値に対する上下三〇%分までを包括しており、言うならば百三十点と七十点とが同じ評価区分に置かれています。この評価の幅については再考すべきだと御提案申し上げます。
 それでは本題です。私たちは全十二分野において八十一項目、百七十六本の指標を用い五点満点で採点を試みました。その評価基準は施策の独自性と先進性があるか、他県との比較において優位性が認められるか、県民生活にどのような貢献をしているかなどの視点に立ったものです。結果を申し上げれば評価五点となったものは十八指標、評価四点台となったものが十九、評価三点台は二十、評価二点台となったものが四十一、そして評価一点台以下のものが七十二指標となりました。データ公表前等の理由で採点できなかった指標六本を加え全百七十六指標分の結果であります。
 評価一点台以下が集中したのは全十二分野のうち七分野です。具体的にはまず沿岸部からの人口転出に歯どめがかかっておらず、津波防潮堤に対する取り組みがおくれ、さらに地域間での進捗に格差が大きく生じていること、また県庁危機管理部における専門的な職員の配置はなされておらず県庁の体制に不安があること、これらは防災における課題として低く評価をいたしました。
 次に、人口減少については言うまでもなく転出人口全国ワースト四位であり、残念ながら転出増人口の全国順位は低迷が続いています。
 三番目の健康長寿も低い評価といたしましたが、実は本県は全国第二位の健康長寿県です。にもかかわらず施策の進捗状況は芳しくありません。自立高齢者の割合、子供を産み育てやすいと感じている県民の割合は基準値にも達しておらず、医療・福祉の人材は過度に不足しており偏在は顕著であります。
 四番目の産業分野においては、企業誘致で全国有数の立地件数を誇りながら名目GDPの伸び率は全国水準以下にとどまっております。
 五番目の県都構想については、いまだ協力者はあらわれず、この間メリットもスケジュールも移行に伴うコストすら示されてはおりません。
 六番目は施設整備です。特に提案の初期にコストを示さず、採算性の確保も経済効果もさらには県民の文化的効果も何ら検証されないまま建設に突入する今のシステムは早急な見直しが必要であります。
 最後に人材育成の分野では、児童生徒の学力向上の効果は高く評価する一方、予算における教育費の低さ、問題行動に対する解決率の低さ、さらに教員の多忙化は解消されず教員の七割以上が子供と向き合う時間に不足を感じているという状態です。
 知事は、こうして浮き彫りとなった課題についてどのような御認識でいらっしゃいますでしょうか。またその原因はどのようなところにあったのか、県政運営全般の評価を踏まえてお答えをいただきたいと思います。答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 相坂議員にお答えいたします。
 知事の政治姿勢についてのうち、自民改革会議が実施した県政検証結果についてであります。
 県政に対しまして、自民改革会議の皆様を初めさまざまな皆様から検証、評価をいただいておりますことに感謝を申し上げます。
 本県では、県政の推進に当たりましては第三者による客観性の高い評価をいただきそれを施策に反映することが望ましいとの考えから、PDCAサイクルを活用した本県独自の評価の仕組みを導入しております。総合計画の進捗状況や今後の施策展開につきまして県議会を初め専門家で構成いたします評価部会、総合計画審議会など幅広い皆様から外部評価をいただき、その結果を毎年度“ふじのくに”づくり白書として公表をしております。今月十四日に公表した本年度の白書では県政全般についておおむね順調に進捗が図られているとの評価をいただいていたところでございます。
 一方、議員の御指摘がありましたように県民の命を守る津波対策を加速することや東京一極集中による転出超過が続いていることへの対応、世界トップクラスを誇る健康寿命のさらなる延伸、世界規模の社会経済情勢等の影響で低迷する本県経済を本格的な回復軌道に乗せていく取り組みなどは、より一層の取り組み強化に努める必要があると、そういった課題であると認識をしております。
 その原因は、東日本大震災やリーマンショック、円高不況、我が国が直面する人口減少社会の到来など予期せぬ社会経済情勢の変化を初めとするさまざまな要因も大きく影響しているものでございますが、そうした状況を克服し県民幸福度の最大化を図っていく必要があります。
 このため、静岡モデル防潮堤づくりの推進や移住・定住を促進するための首都圏での市町の合同の相談会の開催、ふじのくにバーチャルメディカルカレッジによる本県の医療を支える医師の確保、静岡新産業集積クラスターの推進体制の強化など大きな課題に対する効果的な施策を来年度の当初予算案に重点的に盛り込んで議会の御審議をお願いしているところでございます。
 今後とも、自民改革会議の皆様の検証結果など県議会の皆様の御指摘を真摯に受けとめまして、県民の皆様のために施策の改善等を徹底し、後期アクションプランの総仕上げに向けて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇)
○十八番(相坂摂治君) 総合計画に置かれている戦略目標、上位目標についてのお答えもいただきたかったと思いますが、先ほど申し上げましたとおり成果を評価することは数千人の県庁の職員の皆さんそれから一兆二千億を超える予算を投資すれば事業は必ず進捗します。それが県民生活にどのような効果をもたらしたかということが本来の検証であるべきだと思います。
 ただ、申し添えておきますが私どもが行ったこの県政検証は決して当局の皆さんにあるいは知事にこんなにだめなんだということを示したかったわけではありません。私たち議員にとってもこの幾つもの低く点数を我々もつけたこの課題について我々にとっても同じく政策課題であります。今後は私ども自民改革会議からもこうした評価あるいは検証に沿って改めて政策提言の機会をつくりながら当局の皆様にお伝えをしていきたいと思っております。
 次の質問に入ります。
 私たちが行った県政検証では、人口減少社会への挑戦の分野において十六の指標を用意しましたが、うち十二指標が一点台という結果で県都構想の必要性と並んで全十二分野で最も低い評価となりました。本県の人口問題は全国でも際立った深刻さを有しています。
 さて、本県の地方創生人口ビジョンは、二〇二〇年に合計特殊出生率を二・〇七にまで引き上げることと社会移動を均衡させることを目標として明示しています。この志は非常に高邁で勇気あるものと言えます。しかしどんなに目標にインパクトがあっても達成できる根拠がセットで示されなくては現実的な目標設定であるとは言えません。二〇二〇年に合計特殊出生率二・〇七という目標を掲げているのは全国で本県だけです。本県の出生率は上昇してはいるものの全国順位は下降の一途をたどっています。二〇二〇年までのわずか三年でこの目標は本当に実現できるのでしょうか。県内市町が定めたビジョンとの乖離も指摘しておかなくてはなりません。この出生率の目標設定は妥当であると言えますでしょうか。
 また、一月三十一日に公表された人口移動データによれば、昨年本県は六千三百九十人の転出超過で全国ワースト四位でした。二〇一五年に比べてもわずかとはいえ転出者は増加しています。転出増を防ぐためどのような手段が最も有効なのか、こうした結果については知事はどのような御所見をお持ちでしょうか。
 次に、本県から転出する年齢別人口を見ると十代が全体の八・九%を占め、二十代で三八・八%、三十代で二〇・八%と分析されます。さらに本県の大学、短大、高等専門学校及び専門学校の定員は二〇一六年四月一日現在で一万七千二百七十人、二〇一六年三月の高校卒業生は三万二千飛んで五十八人で高卒就職率二二・二%を根拠に算出すると進学を希望する高校生は二万四千九百五十人に上り、本県進学先の定員は七千六百八十人分不足していることがわかります。つまり本県が十八歳の青年を失うのは必然なのです。
 知事は先日、学生時代には静岡を離れるのがよいとの発言をされました。知事のお立場で井の中のカワズと例えたことは実に寂しい限りです。本県には国立大学も医科大学も県立大学もあり私立大学の集積もあります。知事御指摘のとおり大学の創立には多額の費用を伴うことも事実でありましょう。
 しかし、知事はみずからの著書の中で道州制の導入を提言していらっしゃいます。世界の連邦型の国家ではそれぞれの州の中で高等教育の充実を実現しており、人材の供給においては自己完結型と言えます。そして大学の経営そのものも受験料や授業料を主たる収入源にするのではなく大学としての社会的意義を高め、多くの投資や寄附によってむしろ安定した経営を実現しています。知事が最も専門としてこられた高等教育について日本の理想郷をつくるなら、本県でこそ積極的な政策展開をすべきではないでしょうか。人口転出の根本的な解決策、大学の定員増についても真剣に考えるべきであり、首都圏がこれまで青年層に用意してきたさまざまな機会以上の魅力を本県がどのように備えていくべきかを議論すべきだと思います。
 本県大学の果たすべき役割についてどうお考えになっているのか、知事の御所見を伺います。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
○政策企画部長(森 貴志君) 知事の政治姿勢についてのうち、地方創生人口ビジョンについてお答えいたします。
 数値目標の妥当性についてでありますが、合計特殊出生率二・〇七は本県の若者たちの子供を二人以上持ちたいという希望をかなえるための目標であり、非常に高い目標ではありますが次代を担う若い世代のためにも我々大人世代が力を合わせ実現しなければならないものと考えております。県の方針に呼応して二・〇七の目標を掲げ意欲的な取り組みを進めている市町も見られ、裾野市と長泉町は既に国の目標を上回る一・八二を達成しております。決して荒唐無稽なというような目標ではないというふうに考えております。
 目標に向けて結婚機運の醸成や就業支援における若者が安心して家庭を築ける環境整備、不妊治療や産科医開設への支援、社会全体で子育てを応援する取り組みなど結婚、出産、子育て、切れ目ない支援に全県を挙げて取り組んでいるところであります。
 一方、社会移動の均衡に向けては、本県は二十歳代の若者の転出超過が多く、進学や就職の際に主に東京圏など県外に流出しそのまま定着していることが主な要因と考えられますことから、その克服に向けて就職サポートセンターの充実や県外大学との就職協定の締結などを通じて本県へのU・Iターン就職の促進に力を入れてまいります。また誰もが活躍できる魅力ある雇用の場の創出や大都会では体験できない自然と調和した暮らしの空間の創出など多様なライフスタイルを選択できる地域づくりを進め、若者を呼び込み定着を図ってまいります。
 人口減少を克服し本県の未来を切り開くため、この高い目標ではありますが達成に向け引き続き県民の皆様とともに英知を結集し、施策のより一層の充実に努め、実効性の高い戦略をオール静岡で推進してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) 知事の政治姿勢についてのうち、地方創生人口ビジョンについてお答えいたします。
 県内大学の果たす役割についてでありますが、地方創生が喫緊の課題となっている中、地方の大学の役割は教育を通して立派な人材を育成しその人材を地域社会に輩出するとともに、研究成果を地元産業界に還元し県内経済の活性化や社会の発展に貢献することであると認識しております。
 県内大学等の入学定員については近年九千人台半ばで推移しており、今後も十八歳人口の減少が見込まれることや現状でも定員割れの学科等が見られることから各大学ではより多くの高校生が魅力を感じる大学となるよう教育研究機能の充実に取り組んでおります。具体的には静岡大学が本年度から地域課題に取り組む人材を育成する地域創造学環を創設したほか静岡理工科大学が本年四月に県内初となる建築学科の設置を予定しており、また静岡県立大学及び静岡文化芸術大学の両県立大学では新たに観光や伝統建築等に関する学科等の設置に向けた検討を進めているところであります。
 さらに、ふじのくに地域・大学コンソーシアムでは、大学等が連携して実施する単位互換授業や共同研究、ゼミ学生による地域貢献活動を支援しているほか大学教員の高校出張講座の開催など高大連携に取り組んでおり、来年度は新たに高校生が県内大学のさまざまな教員の授業を一日で体験できる合同オープンカレッジを実施することとしております。
 県といたしましては、県内の大学がその役割を踏まえ地方創生の一端を担うべく、教育研究機能の向上が図られるよう県立大学の教育環境の充実を図るとともに、コンソーシアムの取り組み等を通じて支援してまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇)
○十八番(相坂摂治君) 要望を申し上げます。
 以前も御指摘申し上げましたけれども地方創生の本当の意味は、私は東京にあって地方にないものを東京から、言い方は少し乱暴ですがやはり奪い取る行為だと思います。東京にあるから東京に若者が集まるわけです。ぜひ東京に集積している各種の大学あるいは高等機関について本県でもその誘致あるいは学部の増設等も含めて調査研究をぜひ始めていただきたいと思います。
 次の質問に入ります。
 知事は、この七年余りの任期中に実に多くの事柄について静岡市政にコメントされてきました。その発言の場はサミットの場であったりこの議場であったり記者会見の場であったり所構わずです。
 知事の発言の全てが言いっ放しだったとは言いません。中には具体的な政策に結びついて事業化され、停滞していたものを動かした実績は評価されなくてはなりません。県と静岡市の実務者協議の場である地域政策会議では実に前向きな議論が行われてきており、日本平山頂整備における両者の役割分担は知事の発言がその職責の範囲内のものであり正式な政治的歩みへとつながることを示した例だと言えると思います。
 しかし、問題は知事の職務権限を越え、かつ時と場をわきまえず受け取る側に唐突さを感じさせる発言については一層の熟慮を求めなくてはなりません。例えば御幸通りの景観形成について県が整備すると表明したこと、東静岡地区の市有地にサッカー場をつくったほうがいいとの御発言、最近では清水区の桜ヶ丘病院の移転問題に絡み津波対策に関して危険性を警告したことはまだしも反対運動を起こすとの発言は権限の逸脱どころか市政への過剰な干渉であり議論で解決すべき政治家の立場を見失ったものと言わざるを得ません。知事はかつて根回しの川勝と表明されましたが、静岡市への発言では相手への配慮は全く感じられません。こうした経緯こそが私たちが検証の対象に県都構想を盛り込んだ理由であります。
 御推察のとおり県都構想の必要性に対する評価は最も低く、地方分権の流れに逆行していること、県都構想のメリット、移行のスケジュール、コスト、サービスの質、具体的な内容が何ら明らかにされていないことがその理由です。全国的にもこうした制度改革の提唱はありますが、知事の県都構想には表明から二年が経過した今日においてもいまだ賛同者はあらわれず、法改正の見込みも立っておりません。いたずらに静岡市政を混乱させてきただけではなかったでしょうか。この点については単刀直入に知事をただしたいと思いますが、この際県都構想は撤回すべきだと思いますがいかがでしょうか。答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 私の政治姿勢についてのうち、県都構想の撤回についてお答えいたします。
 撤回の意思はさらさらございません。本年一月一日付で地方分権・大都市制度担当の県理事を配置いたしまして、この県都構想の推進体制の強化を図りました。去る二十日――今月二十日でございますけれども一般財団法人の地方財務協会から御依頼を受けまして月間「公営企業」二月号の巻頭言を寄稿するように求められ、そこでも県都構想について国の関係省庁や全国の地方自治体に対し広く発信したところであります。
 議員御案内のように、その背景にございますのは昨年四月に地方自治法が改正されまして指定都市都道府県調整会議が設置されました。目的は何か。これは道府県と指定都市との二重行政を解消することにあります。二重行政の存在は国の共通認識であります。もちろんその背景には議員も先刻御承知のとおり昭和二十二年に大阪、京都、名古屋、横浜、神戸、当時五大都市と言われましたけれどもそこを府県から独立させる特別市の制度が導入されました。それに府県側が強硬に反対をしましたため足かけ十年たった昭和三十一年、政府のほうが折れまして、同府県の中に同等の権限を持つ指定都市いわゆる政令市を誕生させたという経緯がございます。以後、一そうの船の中に二人の船頭がいるという状態が続いているということです。
 指定都市市長会――政令市市長会は全会一致で道府県からの独立を目指す特別自治市の提案を行っております。これは法制化されておりません。私どもはできる限り、日本一の権限移譲をしている県であることは御案内のとおりでありますが、ともかく特別自治市というのは法令化されていないということです。
 数年前、これも御案内のとおり大阪都構想の実現の動きが全国的に注目されました。これも二重行政の解消が目的でした。そして大阪市を解体し選挙で選ばれた区長、区議会を置く五つの特別区から成る大阪都にする運動でした。大阪には現在二十四の区がありますからこれを五分の一の五区にするというんですから大変なエネルギーの要る改革であったわけですが、ほとんどフィフティー・フィフティーでございましたけれどもこの構想はついえました。
 この根拠法がございます。それは大都市地域における特別区の設置に関する法律いわゆる大都市地域特別区設置法であります。この法律には人口二百万以上という要件が書かれております。二百万以上の大都市というのは大阪市を除きますと名古屋市と横浜市のみです。名古屋市は中京都を目指されている。内容はわかりません。横浜市は市域がコンパクトなので特別区の設置を必要とされていないので特別自治市を目指されているということであります。したがいまして実質的にこの法律は大阪市だけに適用されるものですから法の公平性を欠いているのであります。
 ですから、この大都市地域特別区設置法を全政令市に適用できる法改正が望まれますが差し当たっては道府県庁の所在する十五の政令市――静岡市もそうですが――に適用できる方向への法改正が急務であります。同じ場所に同じ権限を持つ二重の主体がいる現状の行政は非効率が目立っているのは議員もお気づきのことではないかと存じます。この法の改正には「道府県庁が所在する指定都市」この十三文字を書き込むことだけで足りるのです。
 静岡県には政令市が浜松市と静岡市、二つ存在します。浜松市は御案内のように東三河、遠州、南信州の広域連合で人口二百万を超えますので特別自治市になり得るこの潜在力がございます。一方静岡市は人口が政令市で最も少ない状況で現在七十万七百五十八人です、この二月一日で。ですからことし中に七十万を切るでしょう。来年の今ごろは六十万台になっているというふうに存じます。これが政令市であるでしょうか。そもそも平成十五年、担当の片山虎之助大臣がぜひ政令市を目指したいというところが全国に何カ所かあって、その第一号が静岡、清水、これが七十万なんですね。こういうことになりますとやはり拠点性がありますから、これから静岡、清水が合併しますと人口も相当ふえにふえてくる、そう思いますと虎之助大臣が予算委員会で国務大臣として発言されているんですがこの予想が完全に外れたということであります。面積は札幌市よりも広いんですね、静岡市は。そして川崎市の十倍あります。川崎市は一番面積は少ないんですが百四十三平方キロメートルです。一方人口は川崎市の二分の一以下です。財政力は、予算はこれも二分の一以下です。
 したがいまして広域行政をする能力を、客観的な能力がですね、不足しているということはデータ的に明らかですね。ですから解決する方法として市域の行政区、ここは三つがちょうどありますので新たに行政区を合併、整理する必要はありませんで、これを選挙で選ばれた区長、区議会から成る特別区に変えますれば各区の自治能力が確実に高まります。市域全体の行政は県と市の行政を一元化いたしまして静岡市としての広域行政の実績がございますのでこれを例えば政令市担当のその特別自治市ができるまでは副知事に担当させるとか特別自治市と特別区はこれは両立可能ですね。
 ですから、こうしたこの一元化をするということを通してこの住民に身近な行政を特別区が行うことにするというのが静岡型の県都構想でございます。政令市と言うのは三百七十万を超す横浜市から、本県のように来年には七十万を切るというそのような状況にある静岡市のような政令市もございます。ですからこの面積、財政規模、人口に大きな違いがありますので、大都市の制度設計には地域づくりの主体である住民のために地域の実情に応じた選択の幅があることが求められるのではないでしょうか。
 引き続き、行政コストの削減効果などより詳細な検証を行いまして、道州制など将来のこの国の形も見据えながら静岡型県都構想とそれからまた特別自治市、この両者を住民を交えてですね、選択可能な制度として考えて提示し、県民、市民の幸せを最優先に――これはまた日本のためにもなると私は思っておりますが――そういう問題意識に立って議論を深めてまいりたいと考えておりますので静岡市御選出の相坂議員もですね、よくこの点お踏まえいただきまして御理解と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。以上であります。ありがとうございました。
○議長(鈴木洋佑君) 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇)
○十八番(相坂摂治君) 再質問いたします。
 制度的な話で十三文字で法改正が可能だということで、既にこの県都構想ができ上がればどのような効果が出るかということあるいは政令指定都市の限界について知事からはるる御説明をいただきましたが再質問いたします。
 この法改正に協力的な国会議員の方々あるいは今の国政の動きというものはどの程度あるのでしょうか、あるいは御承知でしょうか、お答えを求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) これは、まず十五の政令市のうち横浜市、名古屋市を除きまして京都市ほか幾つもの市において潜在的に、このつまり表に出ない形でですね、府市共生、共同とかこちらですと県市協力といったような言葉が躍っておりますが、一皮むけばその実態がどうであるかということはよく私は承知しているところであります。あとはこれがどのような形に顕在化するかということが課題ではないでしょうか。どこかが声を上げないとこの状態は半永久的に続く、これは県民のあるいは府民の税金の無駄遣いになるというふうに思っておりまして、私はあえて火中のクリを拾うつもりでまずは静岡市から声を上げることが実はほかの人たちの潜在力を引き出すことになるというふうに考えております。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇)
○十八番(相坂摂治君) くどいようですが再々質問させていただきます。
 お聞きしたのは、国政の中で御理解をいただいている賛同者はいらっしゃるかということであります。お答えを求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) いらっしゃいます。しかしその方たちもそれぞれの政令市また府県の動きを待つという態度であるということであります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇)
○十八番(相坂摂治君) 意見を申し上げます。(発言する者あり)もうだめですか。
○議長(鈴木洋佑君) はい。
○十八番(相坂摂治君) はい、わかりました。
 次の質問に行きます。
 次に、東静岡文化力の拠点整備事業に見る施設整備のあり方についてでありますが、私たちが検証にこの分野を設けた背景には近年の施設整備に対する県における議論の混乱ぶりがあります。平成二十七年の仮称富士山世界遺産センターの建設費の修正、今年度は空港新駅への予備費十億円は結果的に不用額となり、公募にかけた空港敷地内のホテル整備では民間事業者からの応募はなく、いまだ整備の見通しも立っておりません。こうした経緯の一方、東静岡地区や浜松市篠原地区の施設整備に加え日本平山頂の展望施設、沼津駅付近鉄道高架事業、清水港のクルーズ船対応の一体的整備、島田市におけるお茶の都施設の整備等数々の箱物が進められようとしています。
 私たちの検証では、県の施設整備に関して整備ありきの提案が目立ち必要性の議論が不足していることや、既存の施設経営においても収支バランスを欠くものもあり収入全体に占める指定管理料の比率が極めて高く独自の採算性が全く図られていないなど課題を明らかにしています。
 さて、現在検討中の施設整備は知事の号令によるものが目立ちますが、検討が開始されてから議会に予算が提案されるまでの政策形成プロセスについては正直なところ議会軽視ではないかと感じざるを得ない点があります。現在その政策形成は知事の号令に始まり、調査費名目での最初の予算計上を経て知事の選んだ専門家、有識者による審議会での協議、その会議結果をもってパブリックコメントを直ちに実施し担当課による計画決定へと進み整備費が予算化されるという流れであります。
 事実、東静岡地区における文化力の拠点の整備については審議会の結果を受けてから極めて短期間で計画案と称し、当局の予定では直ちにパブリックコメントの実施がスケジュール化されておりました。私たち自民改革会議は内容に対する疑問に加え議会や常任委員会での議論も実質的には何ら行われていないことを理由にこの計画案にはもろ手を挙げて賛同するわけにはいかず、会派政調会にプロジェクトチームを設置、現在も議論の最中であります。その後の展開では県立図書館の移転問題や大学コンソーシアムの県内各大学の負担問題等が解決していないことが判明し、パブリックコメントの実施時期はいまだ不透明です。
 さて、自民改革会議のプロジェクトチームでは少子高齢社会において一層硬直化する財政を考慮し、決して公設民営にこだわらず民間の活力を最大限に引き出す方法について議会と県当局とがどのようなプロセスを経て合意形成をしていくのが適当であるかなど施設整備の根本から問い直し、文化力の拠点の整備を今後の施設整備の妥当性を図る上での試金石としたいと考えております。
 そこで伺いますが、大規模な県予算を必要とする今後の施設整備において県議会との情報共有や審議を行うに当たり、どのようなプロセスを経て合意形成を図れば無用な疑念やあつれきを生まずに前向きで有益な議論を行うことができると考えておられるのか。また事業コストの試算と採算性の確保、さらには県民への経済的効果と施設の性格に見合った県民への効果について政策形成過程のどの時点でこれを明らかにすることが適当であると認識しておられるのか伺います。答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 森政策企画部長。
○政策企画部長(森 貴志君) 知事の政治姿勢についてのうち、東静岡文化力の拠点整備事業に見る施設整備のあり方についてお答えいたします。
 県では、東静岡駅南口県有地への文化力の拠点について有識者会議を立ち上げ検討していく旨を平成二十六年六月県議会本会議で表明し、以来県議会本会議や常任委員会で御議論をいただきながら検討を進めてまいりました。検討を深めるために設置した有識者会議、専門家会議では全てオープンとし資料も広く公開するとともに、進捗状況等を節目節目で県議会、常任委員会等に報告し御審議をいただくなど県議会の皆様方の御理解が得られるよう努めながら取り組んできたところであります。
 議員御指摘のとおり、議会制民主主義のもと県議会と県当局とが活発な議論を行い、真に県民のためになる結論を導き出していくことが重要であります。今後とも県議会や県民の皆様に対し協議状況、検討内容をオープンにし、県議会本会議、常任委員会などで御審議をいただきながら合意形成を図ってまいりたいと考えております。
 また、大規模な県予算を必要とする施設整備を行う政策形成過程においては、コンセプトに加え事業コストや導入効果等を明らかにし検討を進めていくことが大切であると認識しております。現在公的な施設整備の調整に加え、民間活力の導入によるコスト縮減やサービスの向上を目指した民間事業者へのマーケットサウンディング調査を行うなど事業スキームの構築に向け検討を進めているところであります。
 これらの結果を踏まえ、文化力の拠点の概算事業費や導入効果を試算した上で県議会に対して丁寧な説明を行いますとともに、パブリックコメントによる情報提供に努め県民の皆様に施設整備についての御理解がいただけるよう取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇)
○十八番(相坂摂治君) 御要望を申し上げます。
 文化力の拠点については計画案と称して冊子が配られた際にですね、直ちにパブリックコメントのスケジュール化が見えていました。パブリックコメントにかける段階ではやはり議会、常任委員会での議論を少なくともワンサイクルは回してですね、かつそのときには採算性やコストや事業費というものもしっかりと示してから県民の方々へのパブリックコメントに付すべきだと思います。政策形成のその順序については今後しっかりとした手順に沿ってですね、議会軽視と指摘をしなくても済むような情報提供をいただきたいと思います。
 次に、浜松市篠原地区における県営野球場の整備問題について伺います。
 この事案は、平成二十七年度当初予算に三千万円の調査費が計上されておりましたが、ちょうど一年前の議会において市民のコンセンサスが得られていない、県と浜松市との負担のあり方が不明確である、東京オリンピック・パラリンピックの開催までは建設物価の高騰が必至であるなどを理由に九千七百万円の予算予定を二千四百九十万円へと下方修正し公園整備の関連予算に限って可決したという経緯があります。今年度に入ってからは公園整備予定区域における測量と地質調査だけが進められるにとどまり、一方浜松市議会の特別委員会ではその是非をめぐって一年間協議が続き、今月八日には篠原地区における野球場整備の妥当性を判断するため六項目にわたって来年度調査するべきとのまとめがなされました。
 さて、この混乱ぶりの要因は何だったのでしょうか。まず第一に整備目的が今なお曖昧であること、第二に野球場の規模、予算、採算性、集客力等基本的なスキームが明らかになっていないこと、そして第三に現在の市営野球場がある四ツ池公園の将来像も描かれておらず浜松市におけるスポーツ施設の統合配置の問題に県がどの程度関与すべきなのかという根本的な疑問があるにもかかわらず、エコパの第一種陸上競技場と競合する施設の整備にまで話が及んでおり、結果、事態は混乱するばかりで県は来年度予算に野球場整備に関するものを一切計上しておりません。
 知事は、これまで篠原地区の野球場整備は人助けであるとしてこれが野球場整備の目的であると述べてこられましたが、既に全ての県民が共有しているとおり津波からの避難対策は専ら市の業務であり、篠原地区における周辺居住者の避難については既に整備が完了しております。つまりここに県が何らからの施設を新設する場合にはその新たな施設利用者と公園利用者の避難について考えれば十分なのであり、さも今の地域の方々に対して避難施設を用意していくかのような論調は市の業務を無視した行為であると言わざるを得ません。
 もっとわかりやすく言えば、県が篠原地区に避難対策を目的に人助けを目的に新たに施設を新設する必要はどこにもないのです。県がなすべきことは袋井市にあるエコパの陸上競技場のさらなる活性化であり、西部地区で必要とされる県営野球場の規模、予算、採算性、活用目的と経営見通しなど基本的なスキームづくりであります。場所の選定はこれらが明らかになってから提案するのが本来の政策形成であろうと思います。
 今後は、篠原地区への人助けという論拠の表明については厳に慎んでいただくことを要請したいと思います。現状では篠原地区では強風の問題、交通アクセスの問題、周辺地区が野球場経営を支えるまちづくりに前向きであるのかどうかなど幾つもの課題があり、四ツ池公園内の陸上競技場を第一種とすることにはエコパでさえも第一種利用が年一回という現状を考慮すれば極めて非現実的であると言わざるを得ず、市営球場の存廃についても市民のコンセンサスは不明です。これらの事項は要望書を提出する前に浜松市がみずから解決しておくべき問題であったと言わざるを得ません。
 以上を踏まえ、今後の篠原地区における野球場整備に関する県の御所見を伺います。答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 村松交通基盤部長。
○交通基盤部長(村松 篤君) 浜松市篠原地区における野球場の整備についてお答えいたします。
 県では、浜松市沿岸域において防潮堤の整備を進めており、完成後にはレベルツー津波に対して一部の地域で浸水域が残るものの、避難場所を確保することにより防潮堤背後地は安全・安心な土地に生まれ変わることになり沿岸地域の活性化が期待されているところであります。
 こうした中、篠原地区には公園として都市計画決定されてから五十年以上が経過し現在も公園として利用されていない一団の土地があり、公園整備について長年にわたり浜松市、浜松市経済界及び自治会のオール浜松市から強い要望をいただいておりました。こうした要望を踏まえて昨年策定した公園基本構想では当地区を防災・スポーツエリアと位置づけ、導入することが望ましい大規模スポーツ施設として防災機能を兼ね備えた野球場を選定したところであります。この野球場は平時には多くの方々でにぎわう県西部地域のスポーツ拠点として、また有事には海岸利用者や公園利用者の津波避難や復旧支援活動に利用される施設であり、沿岸地域における安全・安心のランドマークとしてその周辺地域への波及効果が期待され、東日本大震災以降土地利用が停滞傾向にある県下の沿岸都市部のリノベーションモデルになるものと考えております。
 現在、浜松市議会大型スポーツ施設調査特別委員会において篠原地区の野球場計画及び市営四ツ池公園の再編計画についてさまざまな議論が行われています。今月八日に開催された第十回の特別委員会において野球場計画については篠原地区が候補地としてふさわしいかを判断するための六項目の調査を実施することについて了承されたところであります。
 県といたしましては、浜松市が早期に方向性を固め篠原地区の用地調査費を予算計上した段階で市民の皆様の合意形成が図られたと判断し、県議会にも丁寧に説明した上で基本計画策定に係る予算を計上し、採算性、集客力等の基本的なスキームについても検討していく考えであります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) 相坂摂治君。
       (十八番 相坂摂治君登壇)
○十八番(相坂摂治君) 篠原地区の野球場の整備を契機にその地域が活性化する、あるいはスポーツ産業も含めてさまざまなスポーツ施設あるいは人の集いが、にぎわいが創出されるということは決して反対するようなものではありません。むしろ市を挙げてあるいは県を挙げて協力をしてよりいいものをつくっていくべきだとは思います。しかしながら陸上競技場のエコパと四ツ池の問題、さらに浜松の市営球場が県営の野球場に取ってかわるのではないかという疑問の問題、さらには浜松市と県との予算の割合についてもまだ明らかになっていません。市民コンセンサスを得るということも含めて、先ほども申し上げましたが施設整備には政策形成プロセスをしっかりと大事にしていただいて適切な判断をして適切な時期に情報提供をいただきたいと思います。
 最後に、障害者差別解消条例について伺います。
 昨年六月議会の代表質問で私はこの条例の制定を求め、当局から有識者や当事者などから広く意見や要望を伺いながら検討するとの答弁が示されておりましたが、この定例会には無事条例案が提案されてまいりました。着実な取り組みに敬意を表したいと思います。
 さて、前回の質問以来私も障害をお持ちの方々とこの条例の中身や制定後の対応などについてたびたび意見を交わしてまいりました。当事者の方々はさまざまな不安を抱えていると同時に具体的な提案もお持ちになっており、その中から私なりに重要な事項として三つ確認したいと思います。
 一点目は、紛争解決の手段についてです。障害をお持ちの方々が活動の範囲を広げていけばさまざまな方々と出会います。懸念されるのは障害に対する理解の不足によって思わぬ衝突が起こり、当事者が不当に差別され活動意欲を失ってしまうのではないかという点です。これを解決するためには相談窓口ができる限り身近に備えられ、紛争解決に精通した者が公平かつ公正に中立することが求められます。
 二点目は、紛争解決の事例を蓄積することの重要性についてです。既にこの条例を施行している富山県では紛争解決の事例を収集し、紛争の発生から解決に至るまでの経緯をガイドラインにまとめ上げています。これは社会における裁判所判例のような役割を担い、より迅速に紛争を解決するとともに差別解消の実効性を上げる努力だと思います。
 三点目は、施行後に条例の趣旨がどの程度社会に浸透しているかを的確に把握し、制度のさらなる充実を図ろうとするための組織体制の必要性についてです。この組織には当事者はもちろん相談を受ける者、県や市町の担当者に加え経済界、交通機関など幅広い層からの参加が必要だと感じます。
 以上を踏まえ、県は障害者差別解消条例の制定によってどのようにして障害者に対する偏見や誤解を払拭し、障害を理由とする差別のない静岡県を目指していくのか御所見を伺います。答弁を求めます。
○議長(鈴木洋佑君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 障害者差別解消条例の制定と施行後の取り組みについてお答えいたします。
 今議会にお諮りしている静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例は、県民の皆様方とともに障害のある方に対する差別の解消に取り組む県の意思を広く明らかにするだけでなく、差別の解消に積極的に取り組むものであります。このため差別解消についての理念の普及だけでなく、差別解消を推進とするための手続や仕組みを取り入れ実効性あるものとしております。
 差別等に係る紛争解決の手段につきましては、障害福祉に専門的な知識を有し相談業務にも精通している有資格者による相談窓口を新設いたします。相談では解決できない事案については第三者機関である障害者差別解消支援協議会による助言やあっせんを行うなど差別事案の解決に有効な仕組みを設けました。県では相談窓口の担当者や企業等を対象とした研修会の実施など人材育成にも取り組み、この仕組みを効果的に機能させてまいります。相談などを通じて得た差別事例や解決事例を初めさまざまな事例につきましては幅広く収集し蓄積を行い、市町とも連携して事例についての検討を行います。検討内容につきましてはホームページでの公表や関係団体へ情報提供することなどにより、障害者差別に対する県民の皆様の理解を一層深めることや差別の解消に役立ててまいります。
 また、県と県民の皆様が一体となって障害を理由とする差別の解消を推進するには、県民一人一人がその役割を自覚しみずから行動していくことが望まれております。このため障害のある方や関係団体などオール静岡から成る障害を理由とする差別の解消の推進に関する県民会議を設置し障害に対する正しい理解と条例の理念の浸透を図り、広く県民の皆様の意見を伺い、障害のある方もない方もともに取り組める施策の実施につなげ社会全体の意識改革を目指してまいります。
 県といたしましては、条例に基づく取り組みを着実に進めることにより障害のある方に対する偏見や誤解を払拭し、障害の有無によって分け隔てられることなく優しく暮らしやすい、誰にとっても開かれた「生んでよし 育ててよし 老いてよし」のふじのくにづくりに向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木洋佑君) これで相坂摂治君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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