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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

大石 哲司 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2019

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 誰ひとり取り残さない社会の実現について
(1) ダウン症児のための子育て手帳の採用
(2) 農業と福祉の連携
(3) 更生保護活動に対する支援
2 安全・安心な暮らしの実現について
(1) 地域の自主的な防犯活動への支援
(2) 自転車の安全利用の促進
3 安間川上流部の治水対策について
4 文化財の適切な保存と活用について
5 小学校における教科担任制の推進について


○副議長(中沢公彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十番 大石哲司君。
       (三十番 大石哲司君登壇 拍手)
○三十番(大石哲司君) 皆さんこんにちは。ことし初めて登壇する浜松市の大石でございます。午前中が皆そうだったからね。引き続いて初です。
 ことしも、今回も浜松から大勢の応援団が来ていただきましてありがとうございます。皆さん方には島田のお茶の都ミュージアム、立ち寄っていただきました。ミュージアムの周辺が茶畑が一面に広がっていて、富士山とのとてもきょうはきれいだと思います。あのお茶畑もですね、大井川の水に依存しているんですね。今南アルプスを縦断しようというリニアの関係であの水が、もし大井川の水が減量したらあの緑の一面の茶畑も危ういかもしれません。県が中心となってJRとワンチームで話し合いを続けていきますので、ぜひ注目していてください。
 それでは、お待ちかねの質問に入ります。
 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として県政の諸課題につきまして通告に従い知事、副知事及び関係部局長、教育長、教育部長及び警察本部長に一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、ダウン症児のための子育て手帳の採用について伺います。
 ダウン症児は、人の染色体の突然変異によって先天的に二十一番目の染色体を一本多く持って生まれてくる赤ちゃんで八百人から千人に一人の割合で生まれてくるとされていますので、国立成育医療研究センターの推定によると日本国内の出生者数は毎年二千二百人前後いらっしゃるということです。世界的に活躍されている金澤祥子さんはダウン症の天才書道家として広く知られていますが、ダウン症の赤ちゃんは発達の速度がゆっくりで筋力の弱さや知的障害、心臓疾患などを伴っている場合もあると言われています。
 各自治体が作成している一般的な母子手帳では、つかまり立ち、歩く、言葉を発するなどそれぞれの項目に成長の目安となる月齢が記されています。しかしダウン症児の保護者が我が子の成長と見比べた場合にこれもできない、やっぱりおくれていると焦ったり、落ち込んだり、しまいには孤立感によりひきこもりになるケースもあるようです。
 東海地方を中心に活動するダウン症児の親の会では、ダウン症の子供を持つ先輩のママやパパの声を参考にダウン症の特徴や育て方、療育方法などを具体的に紹介した子育て手帳「+Happyしあわせのたね」を四年がかりで作成したと伺っています。これが実物の手帳です。この手帳には子供が初めて何かができた日を記念日として記録できるように工夫されていて、将来障害年金の受領手続に必要とされる病院の受診記録も書き込めるようになっています。愛知県ではダウン症児の親の会からの要望を受け、育児不安の解消に役立たせていただけるようにと全国に先駆けて市区町村の保健センターなどを通じて今年度から子育て手帳を配布し始めています。
 こうした取り組みにぜひ静岡県も加わっていただきまして、ダウン症の子供を育てる保護者の不安解消を図っていただきますよう、そしてこの動きが全国に広がるきっかけになっていただけることを期待したいところですが、県の所見を伺います。
 次に、農業と福祉の連携について伺います。
 昨年発覚した官公庁の障害者雇用の水増し問題を機に、障害者の雇用率は上昇しつつあると同時に障害者の採用要件も徐々にですが知的障害者や精神障害者にも門戸が広がっています。浜松市でも来年度実施する正規職員の採用試験から障害者の受験資格を拡大していく方針を決めたとの新聞報道がございました。
 県西部には、障害のある方を受け入れ農業経営を発展させている先進事例がございます。この農業法人は、全従業員の四分の一に当たる人員の障害者を雇用して多様な人材が活躍できるユニバーサル農業を実践している法人として、先月農林水産分野のすぐれた取り組みを表彰する農林水産祭で最高賞の天皇杯を受賞しています。
 県内の企業において人材不足が深刻化していますが、とりわけ農業分野では農業者の高齢化や新規就農者の減少により人手不足が深刻な問題となっています。一方障害のある方にとっては、働く意欲や能力があってもなかなか就業先が見つからないという現状があります。
 このような中、本年四月に国は省庁を横断した農福連携等推進会議を設置し、翌々月の六月には農福連携等推進ビジョンを決定いたしました。このビジョンの中では令和六年度までに農福連携等により取り組む主体を新たに三千創出することを政策目標とし、ニーズをつなぐマッチングの仕組み構築など取り組みを推進することとしています。
 しかし、現実には農業者は福祉の知識が乏しいため障害のある方への接し方や作業の依頼の仕方がわからず、雇用をちゅうちょするということを聞いています。一方で福祉施設や障害のある方は農業の知識や経験がほとんどないため、作業を請け負うことに一歩踏み出せないでいます。
 障害のある方が農業分野で活躍することにより就業機会が拡大いたしますし、農業者にとっては労働力の確保につながることが期待されます。さらに障害のある方が農業分野で働くことは身体面、健康面でのプラス効果があることも報告されています。
 このような現状を踏まえ、県としても農業者と障害のある方をつなぐ農業と福祉の連携の推進が重要と考えていますが、今後どのように取り組みを推進していくのか伺います。
 次に、更生保護活動に対する支援です。
 私たちの地域社会にはさまざまな事情や苦労を抱えて生活している方々がいます。その中には罪を犯した人や非行歴のある少年が罪を償って社会復帰を目指す際に社会の中で必要な支援を受けられずに孤立し、立ち直れない状況にある方々もいます。地域には事件への嫌悪感や被害者への配慮から出所する人に対する拒否感も珍しくなく、そのため受け入れ先や仕事の確保が難しいなど社会復帰は極めて厳しい状況にあります。
 このような方々への差別や偏見の感情を和らげ、立ち直りを助けていくための活動が更生保護です。罪を犯した人たちが更生していくためには地域社会の温かい理解と支援が必要であり、そのためには更生保護に対する地域の理解と取り組みへの協力が必要不可欠であると考えます。県内においても保護司を初め女性の立場から犯罪予防活動や健全育成支援活動を行っている更生保護女性会、さまざまな問題を抱える少年達に兄や姉のように接するBBS会等の更生保護ボランティアの方々が啓発や支援などの地道な活動を担っていただいています。しかしこのような取り組みは、まだまだ多くの県民には十分には知られていないように思われます。
 平成三十年版の犯罪白書によりますと、刑法犯の認知件数は平成十四年をピークに減少を続けていますが検挙者に占める再犯者の割合は高水準にあり、再犯防止が大きな課題となっています。我が国の更生保護の活動は私財を投じて天竜川の治水に尽力された浜松市の実業家、金原明善翁の静岡県出獄人保護会社の活動が始まりと言われており、ことしはその更生保護制度施行から七十周年の節目の年に当たります。
 そこで、差別や偏見をなくし犯罪や非行のない誰もが暮らしやすい社会の実現のため更生保護の推進に向けた県の支援について伺います。
 次に、安全・安心な暮らしの実現についてのうち、地域の自主的な防犯活動への支援について伺います。
 県では、これまで地域の安全は地域で守るという理念のもと地域で自主的に防犯活動を行う団体に対して防犯まちづくり講座の開催等による人材育成や防犯まちづくりニュースの配布などさまざまな支援を行ってきております。このような取り組みが実を結び、県内の刑法犯認知件数は十六年連続で減少しておりまして昨年は一万九千六百五十九件、これはピーク時の三分の一となっています。これまで防犯まちづくりに取り組んでこられた関係者の皆様に改めて深く敬意を申し上げます。
 しかし、近年子供に対する不審者からの声かけ事案件数が高どまりする中で本年五月の川崎市における児童等殺傷事件など、子供が巻き込まれる痛ましい事件事故が多発しております。県は子どもの安全確保緊急対策アクションにより市町、民間の皆様とともにオール静岡で子供の安全確保に取り組んでおられることは承知しており、今後の具体的な取り組みによる成果を大いに期待するものです。子供など犯罪弱者が被害者となる重大事件の発生は被害者や地域住民に与える心理的影響は大きく、県民が治安の悪化を体感することにつながってまいりますので、県民の願いである安全・安心な暮らしを実現するためには地域の防犯力のさらなる向上を図るための支援が不可欠であると考えます。
 そこで、県は今後地域の自主的な防犯活動に対してどのように支援していくのか伺います。
 次に、自転車の安全利用の促進について伺います。
 平成三十一年二月定例会において、静岡県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例、いわゆる自転車条例が議員提案、議決され、ことしの四月から全ての自転車を利用する者に対して自転車関係法令を遵守し歩行者、自動車等の通行に十分配慮して利用することが義務づけられました。条例の制定を契機にその趣旨を踏まえて、より一層交通事故の防止に努めていかなければならないと考えています。
 令和元年十月までの年齢層別による自転車事故の件数を見ますと、事故の当事者として一番多い区分の高校生が二六・一%。次に多い区分が六十五歳以上の高齢者、こちらが一八・七%。これら二つの区分を合わせますと全件数の約半数を占める結果となります。とりわけ高齢者が当事者になりますと、十月末までで十一人もの高齢者がお亡くなりになるなど一たび事故が発生しますと死亡事故につながる可能性が非常に高く、悲痛な結果をもたらすこととなります。
 高校生の自転車の安全利用については、体験型の交通安全教室や先生方を対象とした研修会の実施、交通事故の被害者遺族の講演会の開催など教育現場においてさまざまな安全教育を行っていることは承知しております。自転車事故の件数を減らし、安全・安心な地域社会を実現するためには高齢者が当事者となる事故をいかに減らしていくか、その対策が重要になると考えています。
 そこで、県は高齢者の自転車の安全利用の促進についてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、安間川上流部の治水対策について伺います。
 近年、河川や水路といった施設の能力を超える豪雨が頻発しており、十月十二日に本県の伊豆半島に上陸した台風十九号は二十水系七十一河川、百四十カ所で堤防が決壊するなど全国各地で甚大な被害が発生しました。県内においても河川の氾濫等により二千四百棟を超える住家が浸水被害を受けるなど大きな被害をもたらしました。
 これから先、地球温暖化の影響によりさらに水害が頻発化、激甚化することが懸念されていることから国では有識者による検討会を設立し、気候変動を踏まえた治水計画のあり方について議論を進めていると伺っています。その中では気温が二度上昇すると降雨量変化倍率は一・一倍になると試算されておりますので、気候変動による降雨量の増加を反映した治水対策に転換するよう提言がなされたと聞いています。
 浜松市東区の安間川流域におきましては、本年七月二十二日から二十三日にかけての豪雨で浜北観測所で時間当たり最大四十二ミリ、総雨量百八ミリの大雨が降り、上流部で道路や農地が湛水するなどの被害が発生し住民の危機感が増しております。今回の台風十九号では幸いにして安間川流域で浸水被害はありませんでしたが記録的な大雨はどの地域でも降る可能性があり、安間川におきましても甚大な水害が常に発生するおそれがあります。
 現在、安間川の河川改修については下流部から年次計画に従って進められていることは承知していますが、今回湛水した上流部まで到達するにはそれこそ気が遠くなるような年月が必要になります。今後さらに激しさを増す豪雨に対して、流域住民として一日も早く効果的な治水対策が講じられることを切に望んでいます。
 そこで、今後豪雨災害の頻発化、激甚化が想定される中、県は安間川上流部の治水対策をどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、文化財の適切な保存と活用について伺います。
 過疎化、少子高齢化の進行による文化財の滅失や散逸の防止が全国的な課題となっていることから国においては本年四月に文化財保護法を改正し、文化財をこれまでの保存中心の考えから観光を初めまちづくりの核として地域全体で保存活用していくという方針転換が示されました。これを受け県では今後の文化財の保存と活用の方向性を示す静岡県文化財保存活用大綱を本年度中に策定すると伺っております。
 私が住む浜松市には、一昨年の大河ドラマの主人公、井伊直虎ゆかりの名勝龍潭寺の庭園や先月新たに国の史跡に指定されることとなった光明山古墳など歴史、文化的に魅力がある文化財が数多く存在しています。こうした資源を地域が主体となって観光やまちづくりに活用して地域の活性化につなげていくことは時代の要請であり、積極的に進めていくべきと考えています。
 一方で、文化財は経年劣化や老朽化等に対して適切な保全管理をしていく必要があり、それには多額の費用が必要となります。また巨大化した台風によって千曲川や阿武隈川が氾濫したように水害によって貴重な文化財が破損することも懸念されますし、それにも増して先日の沖縄県の首里城の火災は大変ショックな出来事でした。文化財を地域資源としてこれまで以上に活用し、県外から多くの方に訪れていただく上で火災、地震等からの適切な保存対策は不可欠であります。
 そこで、本県における文化財の保存と活用についてどのように考えるか伺います。
 次に、小学校における教科担任制の推進について伺います。
 これまで、小学校の授業は一人の学級担任がほとんどの授業を指導する学級担任制を採用してきました。この学級担任制については一人一人の児童と深い関係を築くことができる、個々の子供の生活面と学習面を関連づけた指導を行うことができるなど多くのよさがあると言われています。しかしその一方で、一人の児童を複数の教員の目で把握したりチームで指導していくことが難しい、教材研究の時間が確保できないため深く掘り下げた専門的な指導が難しいなどの問題もございます。
 こうした問題を解決するための一つの方法として、教科別に指導する教員を振り分ける教科担任制が有効であると考えられています。浜松市内には九十七の市立小学校がございます。今年度積志小学校と中郡小学校で小学校高学年における教科担任制の研究が行われています。この積志小学校というのは私が卒業した母校で、この中郡小学校というのは積志小学校から分離独立した準母校。余談ですが当時の積志からはあと二つの小学校が独立していますので、積志地区には四つの小学校がございます。
 その縁もあって、先日中郡小学校の研究発表会に参加させていただきました。発表会では教科担任制によって授業改善が進み、児童、保護者、教員のそれぞれにとって魅力的な授業が展開されているとのアンケートの結果報告がございました。理科や社会科のように実験の準備や補助教材を用意する授業では、興味深い実験をしたクラスの授業内容がこれから授業が行われるクラスに伝わって、その授業を期待して待つ子供がいるとの報告もございました。実際四年生の児童を持つ母親から、お兄さんが受けた教科担任制による授業を待ち望んでいるという生の声も聞くことができました。また本年四月には、文部科学大臣から中央教育審議会に対して新しい時代の初等中等教育の在り方についての諮問がされ現在審議されているところですが、この諮問の柱の一つが小学校における教科担任制の導入となっています。
 こうした状況を踏まえて、県教育委員会として小学校高学年における教科担任制の推進についてどのように考えていらっしゃるのか、教育長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) お待ちかねの大石さん、朝から待ちかねておりました、大石議員の御質問、謹んで拝聴いたしました。
 数ある御質問の中から、私は文化財の適切な保存と活用について御答弁申し上げます。
 基本的には議員御指摘のとおり、保存中心から保存がベースに活用に向けて知恵を絞るということでございます。文化財は、我が国のさまざまな時代背景の中で人々の生活や風土とのかかわりによって生み出され現在まで守り伝えられてきた地域の宝であります。
 本県は、国宝久能山東照宮、国指定名勝龍潭寺庭園、これについては議員も御指摘なさいましたが、こうした歴史的な建造物や美術工芸品、伝統ある民俗芸能など有形無形の多彩な文化財に満ちあふれた県であります。
 もし、私今知事をしていなければ、今ごろ龍潭寺で禅の研究をしながら掃除に励んでいたと思います。今を去ること十年余り前、突然知事候補者に名前が挙がりまして家内から離婚を言い渡され、行く場所がなくなって龍潭寺の武藤さんに電話をいたしまして離れを貸してくれないかと、もう即、貸してあげるということでございました。それというのも学長をしていたときにあの屋根が傷んでおりましたので、その募金の御協力をして差し上げていたという縁があったわけであります。
 先ほど積志小学校の縁も言われましたけれども、あの久能山東照宮も久能というのは宮司に聞きますれば秦河勝のお孫さんの久能が縁でつくられたお寺だということで、どこにどういうえにしがあるかというのは本当にわからないものであります。
 現在、県では文化財の専門家及び観光や地方創生等の有識者の御意見を伺いながら文化財の今後の保存と活用の基本的な方向性を示す静岡県文化財保存活用大綱の策定を進めているところであります。大綱では基本理念に美しいふじのくにの文化財を県民総がかりで守り、誰もが親しみながら、未来へつなぐを掲げております。これまでのような所有者の努力に文化財の保存、継承を期待するだけではなく、今後は地域が一丸となって適切な活用を図りながら進めていくための仕組みをつくってまいりたいと考えております。
 この理念のもと、県が進める取り組みの基本方針は三つございます。
 一つは、文化財の確実な保存であります。県内文化財のデータベースの構築等を進めて経年劣化した文化財の計画的な修理、整備に取り組みます。
 二つ目の柱は、文化財に携わる人材の育成であります。市町との連携を強化し、地域で文化財を守り、生かす人材を育ててまいります。
 三つ目の柱は、文化財の効果的活用であります。文化財を地域資源としてICT等を活用し、魅力的な情報発信などに取り組んでまいりたいと考えております。
 また、大綱には防災、災害発生時の対応を位置づけ、今回の首里城のこともございますので災害発生時の被害を最小限とするための文化財防災マニュアルを整備し、国や地元市町と協調し所有者に対し耐震補強や消火設備の整備等を支援いたします。
 県といたしましては、文化財の保存活用に取り組む市町に対しまして地域計画策定の御支援を申し上げ、また研修会の開催により所有者、住民、観光事業者など地域が一体となって保存と活用を進める新しい仕組みづくりを進めてまいります。
 なお、その他の御質問につきましては副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。
○副議長(中沢公彦君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、更生保護活動に対する支援についてお答えをいたします。
 罪を犯したり非行に走った後に罪を償って出所した人やその家族に対する差別や偏見は現実として根強く残っております。保護司を初め更生保護ボランティアの方々が担っている役割は、地域社会の安全や県民福祉の向上に寄与する非常に重要なものであるというふうに考えております。
 こうした中、県では犯罪防止と過ちを犯した人の立ち直りについて理解を深めることを目的に毎年七月を強調月間として県内各地で展開される社会を明るくする運動のほか、更生保護に尽力された方々への顕彰等を行う更生保護大会などに対しまして支援をしております。また静岡県人権啓発センターを拠点といたしまして市町や関係団体と協力をし、差別や偏見の解消に向けて地域の人権啓発のリーダーとなる方々への研修を実施しております。さらに県内各地での人権出前講座の開催を通じまして、更生保護活動への理解が進むよう周知啓発にも努めております。
 平成二十九年十二月に、再犯の防止等の推進に関する法律に基づき犯罪をした人の社会復帰に対しまして就労や住居の確保、保健医療・福祉サービスの利用促進、学校等と連携した修学支援などを内容とする再犯防止推進計画が閣議決定をされました。本県におきましても再犯防止施策の推進により犯罪や非行をした人が立ち直り社会生活を営むことができますよう、県保護司会連合会や県更生保護女性連盟などを構成員とする静岡県再犯防止推進協議会を本年八月に立ち上げ、現在年度内を目途に再犯防止の推進計画の策定を進めております。
 県といたしましては、今後も国、市町、関係団体と連携し再犯を防ぐとともに、ボランティアの方々による更生保護活動を積極的に支援することで立ち直ろうとする人を地域全体で支え、誰一人取り残さない社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、ダウン症児のための子育て手帳の採用についてお答えいたします。
 県ではこれまで、ダウン症児の保護者も参加する知的障害の親の会と連携しまして障害のある方が生涯一貫した支援のもとに地域生活を送れるよう、支援に必要な情報を保護者や支援機関が記載していく相談支援ファイルという冊子を作成し普及に努めているところであります。この冊子は、生涯にわたって生育歴や医療機関等への受診歴などを詳細に記録し支援機関に提示することにより、障害のある方が切れ目なく円滑な支援を受けられるようにすることを目的としております。
 一方、ダウン症児のための子育て手帳につきましては受診歴の要約とともに寝返りやお座りなどできたことをはじめての記念日として記録するほか、先輩ママのメッセージを載せるなどダウン症の子供を授かった保護者の方に子育ての第一歩を踏み出す勇気を与え、他人と比べることなく御自身の子供を大切に育んでいっていただくためのものであります。
 県といたしましては、それぞれにすぐれた点がありますことから市町や親の会の協力を得ながらこれらを配布し、保護者の方々の御希望に応じて利用していただくことにより子育てにおける不安の解消や生涯一貫した支援が行われるように努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 志村農林水産担当部長。
       (農林水産担当部長 志村信明君登壇)
○農林水産担当部長(志村信明君) 誰一人取り残さない社会の実現についてのうち、農業と福祉の連携についてお答えいたします。
 農業と福祉の連携は両分野の課題解決に寄与できる重要な取り組みと認識しておりますが、現状では農業経営体が障害のある方に働きやすい作業環境や作業内容を十分には提供できていないこともあり、県内全域に広がっていない状況にあります。
 県は、これまで農業経営体等に対しましてNPO法人しずおかユニバーサル園芸ネットワークと協働してユニバーサル園芸を啓発普及する中で、障害者雇用に係る優良事例の発信や雇用方法等についての研修会を継続開催してまいりました。これにより障害者雇用についての理解は進んできていると考えておりますが、それぞれ事情が異なる中でお互いにどのような依頼をしたらいいのかわからず個別の雇用につながりにくいという課題がありました。
 そこで、平成二十九年度から障害のある方の雇用を希望する農業経営体に専門家を派遣し、障害特性に応じた作業方法のアドバイスを行うなどの個別支援を開始いたしました。この取り組みにより県内の農業経営体で働く障害のある方は、平成二十八年度の百十三人から二年後の平成三十年度は百八十四人まで増加しております。
 一方、平成三十年度に国が実施した農福連携に係る実態調査によりますと、農業と福祉のお互いの分野に関する知識、情報の不足やその知識を持った指導者の不足等が課題に挙げられており、これらに対する体制づくりも必要と考えております。このため県内に農業と福祉それぞれの情報を一元化する窓口を設置しマッチング機会の増加を図るとともに、国が実施する研修などを活用し農業と福祉の両方の知識を持って現場で指導できる専門家の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
 県といたしましては、今後とも農業者と障害のある方のマッチングの強化と両者の事情に精通した人材の育成に取り組み、きめ細かな農福連携の支援に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 安全・安心な暮らしの実現についてのうち、地域の自主的な防犯活動への支援についてお答えいたします。
 地域の自主的な防犯活動への支援として、自主防犯活動の核となる地区安全会議の立ち上げ支援、空き巣対策や子供の安全対策などを実践いただくための防犯まちづくり講座の開催、さまざまな活動に使用するのぼり旗の提供などを行ってまいりました。本年五月に子供が巻き込まれる重大な事件事故が発生したことから、緊急対策として地区安全会議に対し新たに青色回転灯や見守りに着用するビブスなどの防犯用品の提供を行っております。
 現状、地区安全会議では会員の高齢化等に伴い自主的な防犯活動を行う人材不足や活動内容の固定化が課題となっております。このため市町と連携し全県各地で開催する子供の見守り活動に関する出前講座において小中学生の保護者に地区安全会議への参加を呼びかけるなど、人材の確保につなげてまいります。また新たな犯罪手口をタイムリーに伝え防犯活動の活性化を図るため、年間十二回発行している防犯まちづくりニュースを二十四回に倍増いたします。
 このほか、一部の大学生が小学生の下校時間帯に行っている学校周辺のパトロールや警察が行う防犯活動への協力がより多くの大学生に広がるよう各大学に赴き、防犯まちづくり講座や若者主体の防犯ボランティア団体への参加を働きかけてまいります。
 県といたしましては、安全・安心な暮らしの実現に向け地区安全会議等が行う自主的な防犯活動への支援を強化し、官民協働による犯罪の起きにくい美しいふじのくにづくりに取り組んでまいります。
 次に、自転車の安全利用の促進についてであります。
 県では、市町や交通安全協会などと連携し高齢者を対象に自転車の安全運転講習や自転車の交通ルール、マナーの周知などに取り組んでおります。県が主催する講習におきまして自転車乗車時の危険予測能力を高めるシミュレーター体験を実施しているほか、警察本部では自動車との出会い頭事故が多い現状を踏まえた自転車の実車指導や、自動車の運転席から見て自転車走行の危険性を理解いただく講習を実施しております。
 ルール、マナーの周知につきましては、自転車の安全利用を啓発するチラシを三十三万部作成し県老人クラブ連合会等に配布するとともに、先月には同連合会が主催し約一千人の高齢者が参加したイベントにおいて活用したところであります。今月はテレビ番組を通じて自転車条例で規定する高齢者のヘルメットの着用を呼びかけております。
 県といたしましては、引き続き関係機関と連携を強化し、講習の開催や啓発活動を通じて高齢者の自転車安全利用の促進に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 安間川上流部の治水対策についてお答えをいたします。
 浜松市東部を流れる安間川では、おおむね十年に一度の大雨による洪水から床上浸水の被害を防止するため、東海道新幹線付近の安間川橋から上流側八・三キロ区間の河川改修と東名高速道路の南側における遊水地の整備を進めているところであります。昨年五月から供用を開始しましたこの遊水地は、これまでに七回洪水を貯留して流域の浸水被害を軽減し効果を発揮いたしました。
 一方、本年七月豪雨では上流側において農地や道路などの浸水被害が発生したことも踏まえ、今後は被害が発生した地域での防災・減災に有効な対策が必要であると認識をしております。
 このため、下流から行っている河川改修の一層の促進を図るとともに、上流部に位置する既存の学校の校庭や公園等の空間を有効に活用した貯留施設の整備などにつきましてその実現性を把握するため、今年度から調査に着手したところであります。
 県といたしましては、気候変動に伴う豪雨の頻発化、激甚化を想定し浜松市や住民の皆様と連携した治水対策を着実に進め、流域の皆様が安心して暮らせる地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 小学校における教科担任制の推進についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、教科担任制は一人一人の子供に多くの教員がかかわることで多面的な児童理解を行うことができることや教科の専門性を生かした授業を展開することができ、学力向上につながることが利点として挙げられます。既に県内の多くの小学校は一部の教科を同じ教員が担当するなど部分的な教科担任制を実施しており、平成三十年度の文部科学省の調査では政令市を除く県内の小学校高学年における教科担任制の実施校の割合は理科、音楽、家庭科で五割を超える状況となっております。
 しかしながら、全面的な教科担任制につきましては教員の増員が必要になることや、それに加えて小規模での実施方法や各校の教育課程編成上の検討が必要となりますことから、一律に実施に向けて推進するということにはまだ少し課題が残っていると思います。
 一方、議員御指摘のとおり中央教育審議会におきまして初等中等教育の在り方の中で教科担任制の導入が審議されているほか、令和二年度の文部科学省の概算要求では小学校の専科指導の教員二千人余を増員することが盛り込まれております。
 県教育委員会といたしましては、子供たちにとってより望ましい体制となることを最優先に考え、浜松市での研究成果や国の動向などを踏まえ各市町教育委員会と情報共有を図りながら検討してまいりたいと思っています。以上です。
○副議長(中沢公彦君) 大石哲司君。
       (三十番 大石哲司君登壇)
○三十番(大石哲司君) 御答弁ありがとうございました。
 意見、要望、一件の再質問させていただきます。
 安間川の上流部ですけれども、私の記憶の中では五十年以上人の手が入っていない。それこそ昭和の日本の原風景を見ているような地域なんですね。五十年たつということはコンクリートも傷みますし土の堤防も下がります。川底には土砂が堆積します。ということは断面がすごい小さくなっています。ですから洪水のリスクは高まっていると思いますので、着実に進めていただけるようよろしくお願いいたします。
 教科担任制についてですが、兵庫県では教員の増員をしないで教科を交換することで県内全校実施してるんですよ。あの東須磨小学校もやっている。ですから静岡県だってやれないことはない。ぜひよろしくお願いいたします。
 次、再質問はダウン症児の子育て手帳の採用ですが、愛知県が採用して今岐阜がほぼ採用する、三重も続きます。本県が加わると東海四県そろうわけですね。東海四県から全国に広まっていくという流れになります。
 今、御答弁の中で採用はしていただけるという方向づけはいただいたんですが手渡しというのがなあと。愛知県では手渡し。こんにちは赤ちゃんと言って家庭に訪問して、お母さんの育児ノイローゼを解消しながらこの手帳を渡すという方法はとれないかどうか。御答弁をお願いいたします。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) ダウン症児のための子育て手帳の採用につきまして、再質問にお答えいたします。
 現在、お渡しする方法としましてはやはり子育ての早い段階においてこの手帳が必要となりますことから、乳幼児期の子供を持つ保護者が利用する市町の保健センター等を通しまして配布をしていこうと考えております。
 先ほど、今議員のほうからお話がございましたように、家庭を訪問してということにつきましてはちょっと市町とですね、相談をしながら考えていきたいと考えております。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 大石哲司君。
       (三十番 大石哲司君登壇)
○三十番(大石哲司君) ありがとうございました。
 ダウン症児の関係ですけど、県内の出生数を見ると県内で三十件ぐらいなんですね。手帳を渡さなければいけない保護者というのはね。ですから決して無理な数字ではないと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。

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