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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中谷 多加二 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/24/2015

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 地方創生について                        
 (1) 今後の取り組み方針                        
 (2) 過疎対策                           
2 組織運営の方針について                     
3 県産材の利用促進について                    
 (1) 森林・林業再生プロジェクトの新たな展開            
 (2) 公共建築物での県産材利用拡大に向けた取り組み         
 (3) CLT(直交集成板)の普及に向けた取り組み          
4 世代に応じた今後の県広報のあり方について            
5 労働委員会の取扱事件の特徴と今後の取り組みについて


○副議長(伊藤育子君) これで遠藤行洋君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、五十七番 中谷多加二君。
       (五十七番 中谷多加二君登壇 拍手)
○五十七番(中谷多加二君) お疲れさまです。質問の前に一言申し上げます。
 今を去る平成七年四月九日、当時四十四歳、万歳のどよめきに見送られ、天竜の山の中を根城に冬眠から覚めた動物のように県都静岡に通い続け、五回の選挙を勝ち抜き、はや二十年。多くの先輩、同僚に助けられ今日まで県議会議員を務めることができました。個性派渦巻く県議会で、いわゆる田舎者の我が身をして生き残ってきたことに驚きを禁じ得ません。二十年という節目の年、壮年中期の最後の年に当たり皆様方に心から感謝を申し上げ、久しぶりの質問に入ります。
 一括にて知事、関係部局長、労働委員会事務局長に伺います。
 初めに、地方創生についてのうち、今後の取り組み方針について伺います。
 国は、去る十二月二十七日に閣議決定したまち・ひと・しごと創生の長期ビジョン、総合戦略を勘案し、全国の自治体に地方人口ビジョンと地方版総合戦略の策定を求めています。長期ビジョンでは、地域の特性を生かしたしごととひとの好循環づくり。その好循環を支えるまちの活性化を図り、人々が安心して働き、希望どおり結婚し、子供を産み育てられる地域社会を実現し、地方の人口減少に歯どめがかかるならば地方が東京圏などの大都市圏に比べ先行して若返るとしています。
 今議会でも地方創生について幾つか質問がありましたが、地方創生が目指すものは地域に住む人々がみずからの地域の未来に希望を持ち、個性豊かで潤いのある生活を送ることができる地域社会を形成することです。そのためには全国一律の取り組みではなくそれぞれの地方が将来の発展、成長の礎となる資源を掘り起こし、それを活用していく取り組みを進めていくことが必要になります。
 こうした地方の自主性、自立性を持った取り組みを進めるため、国は地方創生先行型の交付金を創設する補正予算を閣議決定し、地方版総合戦略に関する優良施策の実施に対する支援を行うことといたしました。本県の地方創生を実現するためには、国の支援策などを最大限に利用しながら独自の取り組みを推進していくことが必要と考えます。
 そこで、国の創設した交付金を有効に活用し、地方創生にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、過疎対策についてであります。
 昨年、日本創成会議が公表した消滅可能性都市では、県内では十一市町、そのうち過疎地域では五市町が該当するとされました。
 過疎地域においては人口減少、高齢化により集落が小規模化し、自治会活動や自主防災活動、祭りなどの伝統行事の維持が困難になるなど集落が消滅するおそれも懸念されています。
 しかし、「我が国の都市部では、農山漁村への移住に関心を持つ人は少なくない」と、「農山村は消滅しない」という本の中で著者、小田切徳美明治大学農学部教授は記しています。移住のための専門雑誌「田舎暮らしの本」など現在二誌が発行されていますが、読者の八五%が二十から四十歳代とも述べています。天竜区水窪町においては、一昨年三月に開業した農家民宿が豊かな自然を生かし山と空の壮大な景色と満天の星空が楽しめる宿として旅行客の人気を集め、集落への来訪者が増加しにぎわいをもたらしているところではありますが、一方で天竜区の人口は平成十六年に約三万九千人だったものが平成二十六年には約三万二千人にまで減少し、高齢化も三九・八%に達しているなど人口減少、高齢化が進行している状況であります。
 こうした中、総務省過疎問題懇談会においては集落対策のあり方を検討するワーキンググループが設置され、日本全体が人口減少する社会においても過疎地域の集落機能を中長期的に持続可能なものに活性化していくことが重要な課題であり、そのためには複数の集落が連携した取り組みを実施する必要があるとの中間取りまとめが公表されました。
 過疎地域は水田や山林の維持保全などの重要な役割を果たしており、集落を維持活性化していくことは都市にとっても大きな意味を持ちます。今後人口減少社会が到来する中、県はどのように過疎対策に取り組んでいくのか伺います。
 次に、組織運営の方針について伺います。
 県は、平成六年度から行政の生産性の向上を目指して、経費を削減するだけの行財政改革ではなく最小の経費で最大の効果を発揮するための取り組みを進めております。具体的には施策展開表や、ひとり一改革運動などいわゆるPDCAサイクルの考え方により業務の改善を進め、あわせて組織を目的別に再編するなど全国に先駆けた取り組みに努めてきたと承知をしております。
 この結果、人口一万人当たりの県職員数は同規模の県と比較して最小であり、全国的にも行革の先進県とされております。さまざまな取り組みを長期的に積み重ねることによりPDCAなど組織運営に必要とされる考え方の定着、それに伴い職員の育成が進んだ結果であると一定の評価をしております。しかしながら例えば各部、各課が作成する施策展開表により目的の明確化や的確な評価が行われているか、それが業務の改善や、より効果が上がる予算、人員の投入に結びついているかなど効果的、効率的な組織運営に貢献しているか、それを支える人材育成の仕組みも含めて常に検証する必要があります。
 また、人口減少社会への対応などさまざまな喫緊の課題が山積している現在、限られた人員を最大限に活用することが求められます。こうした視点に立てば、組織をより効果的、効率的に運営していくために職員一人一人がさらにレベルアップしていくことが求められるところでもあります。
 そこで、今後の組織運営についてどのような方針により進めていくのか所見を伺います。
 次に、県産材の利用促進についてのうち、森林・林業再生プロジェクトの新たな展開について伺います。
 県では、平成二十四年度からふじのくに森林・林業再生プロジェクトを展開しています。このプロジェクトにより三年間で多くの成果が上がりました。製材加工側では既存の製材工場で生産設備が拡充されるとともに、この二月十二日には創業地である富士市において一年間に丸太六十七万本に相当する十三万立方メートルの木材を加工する株式会社ノダが新たに稼働したところです。木材の利用側では民間住宅のほか公共建築物でも県産材利用が進みました。特に草薙総合運動場新体育館では厳選された確かな品質を有する県産材製品が使用されましたが、これは天竜地域の関係者が中心になり伐採する森林の確保から丸太の生産、製材まで連携して取り組んだ成果であり、本県の林業・木材産業の底力を全国に示す先導的な事例として評価されております。
 また、今後富士山静岡空港の旅客ターミナルビルの改修・増築等に大量の県産材が使用される予定になっていることなどなど公共建築物に対する県産材使用頻度は川勝知事就任以来飛躍的に伸びており、森林所有者としてまた天竜区選出議員として評価をしたいと思います。
 一方、最近の急激な円安により外材の価格競争力が低下したことや、コンビニエンスストアなどの民間商業施設でも木材が使われ始めるなど全国的に国産材の利用が広がっています。
 こうした中、他県においても地域材を売り込み県の範囲を超えて供給していく取り組みを強化しており、産地間競争はますます激しくなっています。本県の林業の成長産業化の実現に向け他産地に先駆け需要をつかみ取っていくためには、県産材の競争力を強化していくことが不可欠です。このための鍵となるのはコスト削減であり、とりわけさらなる改善の見込める丸太の生産から流通までの供給側の取り組み強化であると私は考えます。
 木材価格の上昇が見込めず、森林所有者の経営意欲が減退している中、現在主体となっている間伐による木材生産に加え、かつて天竜地域でも広く行われていた一定区域の森林を一斉に伐採する皆伐も進めることが必要と考えます。しかし問題点として、皆伐には伐採後に苗木の植栽や保育に手間がかかることから再造林されないおそれもあるほか、植栽されたとしても鹿などに苗木が食害を受ける可能性もあります。またここ十年間で苗木の生産量も大きく落ち込み生産者とともに供給量が減少していることなどが挙げられます。
 今後、県は全国的な流れの中、皆伐を進めるためにどのように取り組んでいくのか伺います。
 さらに、もう一点伺います。
 ノダ合板工場が稼働を開始したからといって安心してはいられません。実はノダへの木材供給に関しても他産地との競争にさらされていることを認識しなければなりません。ノダへの木材供給を着実に行うことは本県の林業関係者の使命でもあります。しかしここで丸太の供給に関して一点問題を指摘をしておきます。丸太の輸送距離であります。当然ながら輸送コストに差があり、地元の富士から納入するケースとは比較にならず天竜区内の事業体が頭を痛めている点でもあります。むしろ近隣の神奈川県、山梨県から安価な丸太が納入されるケースがふえることは明らかです。天竜区ではノダが工場で買い取る丸太の価格と納入コストを比較し、採算の面から様子見をせざるを得ない事業体もあります。
 この点を解消し、丸太を搬入しやすい環境をつくる必要があると考えますが、県としてこの問題をどのように捉え対応していくのかあわせて伺います。
 次に、公共建築物での県産材利用拡大に向けた取り組みについてであります。
 草薙総合運動場新体育館は、木材の長所を理解して利用したことと木材利用の可能性を示したことですばらしいモデルになりました。木材は多くの長所を持っています。例えば単位重量当たりの圧縮強度や引っ張り強度が鋼材やコンクリートよりも大きく、また保湿性にすぐれ調湿効果があるなど人に優しい性質を持っていることなどが挙げられます。今後も公共施設での県産材利用に当たっては、木材のよさ、長所を活用するという視点で計画設計をする必要があります。
 さて、草薙総合運動場新体育館が木材利用のモデルになったと私が申し上げた理由はもう一つあります。体育館の建設工事では、これまで発注者側からは見えにくかった木材利用に関する課題が顕在化したことであります。この工事では使用する大量の集成材をつくるための材料としてラミナと呼ばれる幅約二十センチ、厚さ約四センチ、長さ四メートルの板が元請業者から地元製材工場に発注をされました。しかし当初注文はこのラミナだけであり、当然丸太から製材をするということを考えると問題が見えてきました。つまり直径三十センチの丸太一本から三枚から四枚しかつくれず、その他の部分は端材となり別の用途を検討しなくてはなりません。いわゆる歩どまりが極端に悪く価格も高くなってしまいます。このことは木材は高いという悪い評価につながりかねません。
 県当局が、規格に合わないラミナを天井ルーバー材等へ転用するなどして一部で有効利用につながりましたが、端材の利用にまでは至りませんでした。また発注初期の段階で一本の丸太からとれる製材品を示していれば無駄がなく、単価も今回より安くできたことは間違いありません。つまり発注時期がずれていたために、それぞれの製材品ごとに一本の丸太が必要になるという無駄が生じました。この際発注の方法を、殊木材に関しては見直す必要があります。
 今後、公共建築物での県産材利用を拡大させ、さらに民間での利用にも広げていく必要があると思います。そのためには私が指摘しました草薙総合運動場新体育館において顕在化した丸太の有効利用や製材品の発注方法などの課題に対しその改善を図ることができれば、資源の有効利用のみならず県産材のコスト縮減とさらなる利用促進につながると思いますが、いかがお考えか伺います。
 次に、CLT――直交集成板の普及に向けた取り組みについて伺います。
 直交集成板――CLTは、ひき板を繊維方向が直交するように積み重ね接着した重厚かつ大きなパネルです。これを建築物の壁や床の材料として利用することで木造の中高層建築物を可能とします。また短期間での施工が可能で、耐震性も備え、何より木材ですから環境に優しいなどの特徴があり、活用の幅を大きく広げる建築部材として注目されています。既に欧州では集合住宅や商業施設などで急速に普及しており、イギリスでは九階建て二十九戸が暮らす集合住宅が建てられています。本県においても昨年六月の定例会で、知事からCLTの導入促進について、県としても建築基準法などの整備状況や建築事例の情報収集などを行っていくとの答弁があったところです。
 私も、昨年七月にオーストリアを訪問し、製造工場とCLTを使った集合住宅を視察してきました。製造工場では受注生産により幅三メートル、長さ十六メートル、厚さ十から二十センチの実に巨大な一枚のパネルが製造、プレカットされ、それがそのままトレーラーに積み込まれ世界各地の建築現場に出荷されていました。使用方法として一階と階段は鉄筋コンクリートづくりとし、それ以外はCLTによる木造とすることなどの工夫により防火などの法令に適合する四階建ての集合住宅が建築されていました。私はこの視察により、CLTは木材の需要拡大につながる新たな建築部材であると思いました。
 一方、我が国においては、国が昨年十一月にCLTの普及に向けたロードマップを公表しました。それによると平成三十六年度までに年間五十万立方メートル程度の生産体制を構築することを目指し、生産を所管する林野庁と建築を所管する国土交通省が歩調を合わせ取り組むこととしています。そうした中いち早く岡山県や福島県などではモデル的な取り組みが進められており、二階建てや三階建ての集合住宅を建築するとともに、その見学会を開催するなど普及に余念がありません。
 本県においても、手をこまねいているうちに他県に先行されることのないよう、今から生産体制の整備と利用実績を積み重ねておくことが重要だと考えます。
 そこで、CLTの普及に向けどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次の二つの質問は、旧天竜市出身で清流阿多古川のほとりで生を受け立派に成長した知事戦略監、労働委員会事務局長に伺うものであります。
 初めに、世代に応じた今後の県広報のあり方について伺います。
 インターネット技術が進展し、今やニュースを初めさまざまな情報をインターネットの活用によりいつでもどこでも閲覧できるようになりました。一般社団法人日本新聞協会の調査によれば、新聞の総発行部数は今から十年前の平成十六年に五千三百二万部であったところ年々減少を続け、平成二十六年には四千五百三十六万部と十年で約一五%の減少になっております。実際、電車の中でも以前は新聞を読んでいる人を多く見かけましたが最近では私くらいのもので、かわってスマートフォンを使っている人をよく見かけるようになりました。
 ここでサラリーマン川柳を紹介します。「スマートフォン妻と同じで操れず」。もう一句。「使う人腹が出ててもスマートフォン」。
 余談になってしまいましたが、時代の流れとしては人々が情報を入手する手段はこれまでの新聞、雑誌、チラシなどの紙媒体からインターネットへ今後一層移行していくように思われます。
 県の広報につきましても、こうした時代の流れを捉えて最近では新しい技術を活用したインターネットによる広報に力を入れているように感じております。特に最新の技術や機器にすぐになれ上手に使いこなす若い世代に対しては、さらに進めていくことが必要です。しかしその一方で、年配の方を中心にふだんの暮らしの中でインターネットを余り利用しない、あるいは全く利用しないでいる方も数多くおり、こうした世代や層に向けても県は県政情報をしっかりと伝えていく責務があると考えます。
 このように技術の発展により広報手段が変化している時代を踏まえて、若い方から年配の方まで世代に応じてどのように県政情報を発信していくのか、県広報のあり方について伺います。
 最後に、労働委員会の取り扱い事件の特徴と今後の取り組みについてであります。
 最近は雇用形態が多様化し、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などの非正規雇用の労働者が増加をしております。総務省が昨年末に発表した平成二十六年十一月分の労働力調査によりますと、非正規雇用の労働者が初めて二千万人を超え労働者全体に占める割合が三八%に達したとのことであります。この背景にはこれまでの景気低迷で企業が正社員の採用を控え、やむなく非正規の職についた方がふえてきたことに加え、最近の景気回復に伴い女性を中心にパートなどで働き始める方が増加したこと、また定年退職者の再雇用による非正規雇用への移行が増加したことなどがあると言われております。このように非正規雇用の労働者がふえる一方、正社員につきましても年功序列の賃金体系から能力や成果による賃金体系へ転換する動きが、事務系だけでなく製造系の職種においても見られます。
 また、厚生労働省が昨年末に発表した平成二十六年六月末現在の労働組合基礎調査によりますと、労働組合員数が前年より二万六千人減少し九百八十四万九千人となり、推定組織率は一七・五%になったとのことであります。かつては半数以上の労働者が労働組合に加入していた時期もありましたが、現在では労働者の五人に一人程度しか加入していない状況になっております。この組織率の低下の背景には労働組合の組織率が比較的高い製造業から組織率の低いサービス業へと産業構造がシフトしていることや、先ほど申しました雇用形態の多様化により組織率の低い非正規雇用の労働者が増加していることなどがあると言われております。このように労働者を取り巻く状況が変化をしていることから、労使紛争の内容もこれまでとは変化をしているのではないかと思われます。
 そこで、最近の労働委員会の取り扱い事件の特徴と今後の取り組みについて伺います。以上について答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 中谷議員にお答え申し上げます。中谷議員におかれましては、天竜川の豊かな水の恵みによって丈夫な体を持ち、過去二十年間、地域のために県議として立派な仕事をなさって壮年中期の最終年をお迎えになられています。まことに慶賀の至りであります。また壮年後期におかれましても、いよいよ盛んに御研さんを積まれ地域のためにお尽くしなられますように御祈念を申し上げます。
 さて、県産材の利用促進についてうち、森林・林業再生プロジェクトの新たな展開についてであります。
 ふじのくに森林・林業再生プロジェクトでは、これまで県産材の生産から利用まで一貫したシステムを整備してまいりました。今後は県産材の競争力強化に向けさらなる県産材の供給能力の向上と輸送コストの縮減が重要であるという認識を持っております。
 供給能力の向上のためには、生産性の高い皆伐による――全てのものを伐採するという皆伐による木材生産を進めることが不可欠であります。
 皆伐と間伐とを比べますと、単位面積当たり多くの木材を皆伐によって生産することができますので木材生産コストが三分の一程度になると試算されています。また一定区域の森林を一斉に伐採するので選木調査がいらないというメリットもあります。また一斉の伐採、すなわち皆伐では利用間伐のような残存木への配慮が不要ですので、伐採、搬出の作業効率がよいということもあります。こうして一斉に伐採するので急傾斜地で行われる架線集材システムによる素材生産も可能です。
 一方、デメリットにおきましては、先ほど御指摘のとおり、再造林する際に野生獣による食害、ニホンジカなどによる食害対策が必要ですので造林コストがかさむという面がございます。
 そこで、私どもの林木育種センターではすぐれた樹木、精英樹とエリートツリー、これをさらに交配させ、そこからすぐれた初期成長を示す、我々の言うところのエリートツリーを開発いたしました。一方、それをコンテナ苗造林技術、コンテナの中で短期間で草の丈を上回るように育て、そして下刈りの回数がこれによって低減させられるということで、鹿が茎の頂上――トップのところを食べるというこういう食害を回避できる造林技術を開発することにしております。今それが進捗しているわけでございます。
 こうして皆伐を普及させると同時に、県では低コストで植栽、育林できる作業システムの早期構築をしようということで、現在は国と連携して国有林で実証試験を行っているところであります。
 また、輸送コストの縮減につきましては、市場を経由せずに、仲買を、真ん中の中間のところを経由せずに丸太を直接、材木場から大型トレーラーにより大ロットで製材工場等に運搬するための集積基地、いわゆる中間土場の整備を県内各地で引き続き進めております。目下候補地として、天竜区におきましては青谷と西雲名を挙げておりますけれども、こうした中間土場の整備を県内各地で引き続き進めまして流通システムの効率化を図ってまいります。
 木材の供給能力の向上と輸送コストのさらなる縮減を進めまして、本県の森林・林業の成長産業化を実現してまいる所存であります。
 次に、公共建築物での県産材利用拡大に向けた取り組みについてであります。
 静岡県では、県産材の利用拡大を図るため、県有施設の木造化、木質化を計画的に進めています。中でも、草薙総合運動場新体育館このはなアリーナは主要な構造を木造とした体育館としては国内最大クラスのもので、高強度な県産材を大量に利用する建築工事となりました。県産材の調達に当たりましては品質の確保、また短期間での納期などさまざまな課題もありましたけれども、天竜地域の林業関係者の御尽力をいただきまして滞りなく納入いただいたのは感謝の限りであります。高品質の天竜杉をふんだんに利用した、温かく親しみやすいダイナミックな空間ができ上がり、新体育館の見学者たちからは大変な好評を得ております。私自身も大変感心いたしまして非常に美しい体育館になっております。
 一方で、特殊サイズの高強度材が短期に大量に必要とされましたために歩どまりが悪かったことや、必要とする製材品の発注時期が異なってしまったことなどにより木材の効率的な利用ができなかったという課題が明らかになりました。今回の事例を踏まえまして、特に大型建築物における県産材の利用に当たりましては調達方法や端材を含めた活用方法を設計積算の段階から検討し、計画的な発注や丸太の効率的な利用に配慮いたします。
 また、年度当初に県有施設の施設別、材種別、規格別の木材利用計画を木材加工事業者へ情報提供するなど庁内の林業振興部局や公共施設の発注部局、林業関係者が連携し、県産材の有効利用やコスト縮減を図ってまいります。これから草薙につきましてはほぼ完成したということでございますが、さらに世界遺産センター、そして空港の増設部分等におきまして県産材を活用してまいります。
 さらに、学校の耐震化工事が無事終わったと思っていたところ、これから老朽化だということで全体で数十億円かかるという教育委員会からの予算要望がありました。耐震化と老朽化をどうして一緒にしないのかというふうに当初思いましたけれども、災いを転じて福となす方法もあるということです。
 例えば、河津町の図書館がございます。この図書館は当初は鉄筋コンクリートでつくるということでしたけれども、現在の町長さんを初め、やはりこれは伊豆の森林があるのでそれを使おうということで、すばらしい木造の大型純正木造の図書館になってそこに教育委員会も入っております。そこの中に入りますと温かみがありますので、旅行者も訪れた方もそこが気持ちがいいと、そこで休んでいく人もいるとのことでございます。
 そこで、この老朽化対策につきましては取り壊しをしなくちゃならないもの、あるいは大幅に改築しなくちゃならない校舎もあるということでございます。その際に例えば見付のすばらしい木造の校舎などが残っておりますけれども、そうした明治の時代、子供たち、少年少女のために地元の方たちが心を込めてつくられたものが今日は名建築物として残っているわけであります。そのようなものとしてもう一度つくり直したらどうかと。高校生も少なくなります。したがってできる限り木材を使い、後世に喜ばれるような、また感心されるような、また通う学生たちがその校舎を誇りに思うようなそのような校舎建築をして、今のような四角四面の校舎とは別個のものとして新築をしたり大幅改築をしていくということを通して県産木材をそこに活用できるということも考えている次第でございます。
 今後とも、県産材の利用拡大策を定めたふじのくに公共建築物等木使い推進プランに基づき県有施設での利用を率先して進めるとともに、市町での取り組みを働きかけるなど県産材の利用促進に一層努めてまいります。
 ちなみに、日本の建築というのは北は北海道から南は沖縄に至るまで気候帯が違います。さらにまた日本海側は雪が多い。太平洋側は台風、地震、さらに高潮、津波、暴風というような全てのいわばものを考慮した形での建築ができておりますので、私はただに供給体制をしっかりするだけでなくて、建築物に日本の固有の木を使った建物はやがて必ず輸出分野になると。動く箱、すなわち自動車ですら最高の輸出産業になりました。動かない箱のほうがつくるのは簡単です。しかもありとあらゆる建築物ができるということで、これから人口がふえる、また最近の災害などで、テレビなどで放映されて見ることのできる東南アジアの建物などは我々の建物と比較的似ている、いわゆる高床式のものでございますけれども、こうしたものの最高の品質、最高の技術を持っているのが日本の建築です。さらにまた数寄屋建築のように真に本物の木造建築などはアメリカでは大人気で、大豪邸が数寄屋ふうにつくられるということがございます。ですから高層建築は言うまでもありませんで、日本の数寄屋建築を含めた木造のよさというのが必ず世界を席巻する時が来ると。このような確信を持って本県の木材供給体制をしっかりと確保して、そしてそれを地産で地消していきながら、それをモデルとして皆さんに見ていただいて輸出産業にも育て上げたいというビジョンを持っております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) 地方創生についてのうち、今後の取り組み方針についてお答えをいたします。
 国は、喫緊の課題である人口減少を克服するため、地方創生への先行的な取り組みを支援する一千七百億円の交付金を創設いたしました。この交付金を活用し、まち、ひと、しごとの創生に向けた取り組みを直ちに実行するため、十四億六千万円余の補正予算案を本議会にお諮りしているところであります。
 まちの創生に向けては、防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みを推進するため、防災先進県としての情報発信を行うほか静岡モデルによる津波対策の推進、豊かな暮らし空間の創生支援など安全・安心で美しく品格のある地域づくりを推進してまいります。また伊豆半島ジオパークの世界認定への取り組みの推進、東京オリンピック・パラリンピックの合宿誘致など本県の魅力を磨き高め、国内外との交流を促進する取り組みを推進してまいります。
 ひとの創生に向けましては、企業が従業員の結婚を応援する仕組みの構築や子育てに優しい職場づくりの推進など若い世代の結婚や子育ての希望をかなえる環境を整備してまいります。また地域に開かれた静岡型コミュニティスクールの導入促進や家庭教育の支援など教育における地方創生の取り組みを推進してまいります。
 また、しごとの創生に向けましては、産業成長戦略に掲げる次世代産業の創出支援やファルマバレー、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進などにより働く場を創出してまいります。また県外で働く高度な人材の県内への転職支援や県内外の学生の本県へのU・Iターン就職の促進、ふじのくにに住みかえるセンターの設置による移住・定住相談機能の強化など本県へ人の流れを呼び込む取り組みを推進してまいります。
 今後とも、効果的な施策の一層の充実を図るとともに、市町とも連携し地方創生の実現に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 下山経営管理部長。
       (経営管理部長 下山晃司君登壇)
○経営管理部長(下山晃司君) 地方創生についてのうち、過疎対策についてお答えいたします。
 本県における過疎地域は、いずれも四季折々に変化する美しい自然や景観、地域固有の歴史や文化、産業を有し、水源の涵養や地球環境の保全などの多面的、公益的機能を担う重要な地域と認識しております。
 過疎対策につきましては、平成二十七年度までの六カ年を期間とした静岡県過疎地域自立促進計画に基づき基幹的道路や簡易水道の整備、防災機能の強化などの事業を推進してまいりましたが、さらなる人口減少や高齢化の急激な進行によって、このままでは日常生活の維持や集落の存続が困難となる地域も想定されております。
 このため、次期過疎計画の策定に当たっては個別の集落機能の維持に加えて複数の集落が連携して維持活性化を図る集落ネットワークの形成などの新たな対策も検討することとし、来年度集落対策の主体である市町と協力しながら、まずは集落の現状や課題を明らかにする調査を実施してまいります。
 今後とも、人口減少に真正面から向き合い、引き続き交通基盤や生活環境の整備を計画的に進めるとともに、地方創生に向けた支援策の活用により定住の促進や観光交流人口の拡大、六次産業化の推進など積極的に展開してまいります。また市町間や集落間などさまざまなレベルでの地域間連携を支援するなど、これまで以上に過疎地域の活性化に向けて取り組んでまいります。
 次に、組織運営の方針についてであります。
 本県では、組織マネジメントにおけるPDCAの定着や組織を支える職員の意欲と能力を引き出す人材育成に努め、「速く」「ムダなく」「いい仕事」を実践する組織と職員をつくることを組織運営の基本方針としてまいりました。人口減少への対応など県政の重要課題に迅速かつ的確に対応していくためにはこうした考え方が一層重要となりますが、その取り組みが形骸化しないよう常に検証し、見直していくことが重要であります。
 まず、組織マネジメントに係る取り組みについてでありますが、自分自身の仕事を常に評価して改善する意識の定着は職員の仕事に対する姿勢の変革にもつながります。このためPDCAサイクルの活用に関して階層別の研修を一層充実させるとともに、マネジメントの中核にある本庁の課長を対象に組織運営の実践的な手法に係る研修を新たに実施いたします。加えて施策展開表を活用した評価や改善の実効性を高めるため施策展開表と総合計画の評価を一体化するとともに、ひとり一改革運動により日常的業務の改革改善にも取り組んでまいります。
 また、人材育成の取り組みについては職員のキャリア意向と能力開発の結果を人事異動に反映させることにより職員の能力と専門性の向上に努めるとともに、職の公募制度の充実を図ってまいります。さらに日常業務や研修では得ることができない知識や経験を実地に習得できるよう、民間企業や国及び市町等へ積極的に職員を派遣してまいります。
 こうした取り組みを通じ県職員一人一人の力量と県庁全体の組織力の向上を図り、県民幸福度の最大化に貢献する組織運営に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 土屋経済産業部長。
       (経済産業部長 土屋優行君)
○経済産業部長(土屋優行君) 県産材の利用促進についてのうち、CLT――直交集成板の普及に向けた取り組みについてお答えいたします。
 CLTは、中高層の木造建築物だけでなく鉄骨造等との組み合わせによる利用も研究されるなど注目を集めており、これまで木材利用が進んでいなかった商業施設や集合住宅などでの活用が期待されております。このため県ではCLT工法の開発状況などの情報を国や関係団体から入手し、関係部局で構成する木材需要拡大庁内会議で共有するとともに、国内で先進的に建設が進められている岡山県真庭市の三階建て集合住宅の建て方を現地調査するなど実際の使用事例の収集にも努めているところであります。
 現在、CLTの生産拠点は岡山県と鹿児島県の二工場でありますが、本県は大消費地である首都圏へのアクセスが良好であることから、本年度県内のプレカット工場が県の支援によりCLTのプレカット加工機を導入するなど新たな動きが出てきております。国のロードマップによれば平成二十八年には建築基準法上の強度告示等が整備されますことから、県といたしましても建築設計事務所や建設会社を対象とした県産材に対するセミナーなどさまざまな機会を通じまして、CLTを活用した建物のすぐれた特性を広く発信し、県産材の利用についても関係者の意識醸成に努めてまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 吉林知事戦略監。
       (知事戦略監 吉林章仁君登壇)
○知事戦略監(吉林章仁君) 世代に応じた今後の県広報のあり方についてお答えいたします。
 情報通信技術の進展等によりメディアが多様化する中、広報に当たっては受け手となる世代等に応じた効果的な手法を用いることが重要であると考えております。このため県では、インターネットから情報を得る機会が多い若い世代に向けてはフェイスブックやユーチューブを活用した動画などによる広報を実施しております。一方、紙媒体である県民だよりやテレビ広報番組等により、インターネットを余り活用していない県民の方々に対しましてもきめ細やかでわかりやすい情報発信に努めております。
 また、知事が地域や現場に出向いて中学生、高校生、子育て世代、地域リーダーなど幅広い分野、年齢層の方々と直接意見交換をする移動知事室や知事広聴「平太さんと語ろう」を開催しております。県政情報を知事が丁寧にお伝えするとともに、地域の課題等につきましてもその場で解決を図るなど常に地域や現場と直結した広報広聴にも心がけております。
 特に、危機管理や交通安全、健康づくりなどに関する県政情報は県民の皆様お一人お一人に着実に伝わることが重要であります。今後ともインターネットに偏ることなく広報の受け手に応じた適切な媒体の選択や表現方法の向上を図り、あらゆる世代に行き届き理解される広報広聴に一層取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 橋本労働委員会事務局長。
       (労働委員会事務局長 橋本知之君登壇)
○労働委員会事務局長(橋本知之君) 労働委員会の取り扱い事件の特徴と今後の取り組みについてお答えいたします。
 労働委員会では、労働組合と使用者との紛争である不当労働行為審査事件や労働争議調整事件のほか、労働組合を介さない労働者個人と使用者との紛争である個別的労使紛争あっせん事件を取り扱っております。
 取り扱い事件の特徴でありますが、労働組合の組織率が低くなっていることもあり、今年度は労働組合を介さない個別的労使紛争あっせん事件の比率が高くなっており、一月末現在の新規事件二十二件のうち十九件、約八六%を占めております。また非正規雇用の労働者の割合が三八%を占めているという現状を反映し、今年度の個別的労使紛争あっせん事件の約三七%が非正規雇用の労働者に係る事件であり、そのほとんどが解雇に関連するものです。
 今後の取り組みでありますが、このような最近の取り扱い事件の特徴を踏まえると、今後は労働者個人と使用者との紛争解決を的確に支援していくことがますます重要になっていくものと考えております。このため、公労使三者による柔軟な調整や簡易で迅速な手続、無料といったメリットを一層周知して個別的労使紛争あっせん制度の利用促進を図り、労使紛争の円満な解決の支援に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) これで中谷多加二君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 二月二十五日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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