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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/12/2018

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 県内の経済について
(1) 地域の中小企業に対する支援
(2) 県信用保証協会のあり方
2 文化力の拠点について
(1) 県立中央図書館
(2) 写真や映像などを活用した魅力の発信
3 県職員の人材育成の基本的方向及び登用について
4 朝鮮通信使について
5 小中学校における不登校の未然防止について


○議長(渥美泰一君) これで鈴木智君の質問は終わりました。
 次に、六十番 天野 一君。
       (六十番 天野 一君登壇 拍手)
○六十番(天野 一君) 私は、自民改革会議所属議員として県政の諸課題について通告に基づき、一括質問方式で質問を行います。
 初めに、県内の経済についてのうち、地域の中小企業に対する支援について伺います。
 十月に発表された静岡県月例経済報告によりますと、平成三十年九月を中心とした静岡県の景気は緩やかに回復していると記されております。事実県内の求人倍率は全国値一・六二倍を二十カ月連続で上回っております。しかし県内の企業団体や地域の催しに参加するたびに思うのは、県が発表する景況感と県民の生活実感の間に乖離があるということであります。
 私は、ふだんから経済を分析する上で経済成長率などはその一面にすぎず、本当の意味での好況、不況の判断は県民生活の実感を大切にする必要があると考えています。そういった意味では県民のおよそ八割が景気回復を実感していないという事実は県が判断する景況感に重い課題を突きつけており、好景気の実感に乏しい中小企業に寄り添うことこそが県としての産業振興の基本的な姿勢ではないかと思います。
 私は、中小企業の活性化と成長は今まで以上に非常に重要な意味を持っていると考えています。なぜなら県の雇用者のうち約八割は中小企業で働いているからであります。しかしその中小企業は資金繰りや銀行からの借り入れに苦しんでいるほかにもいろいろな難しい状況に置かれています。また企業全体の研究開発費に占める中小企業の割合は約三%しかなくイノベーションが進んでいません。このままの状態が続けばテレビ番組「下町ロケット」に出てくるような技術力のある中小企業がなくなってしまうでしょう。
 アメリカの大学の先生は、二〇一一年に入学した小学生の六五%は大学卒業時に今は存在していない職業につくと予言しています。AIやIoTの発達により終身雇用の崩壊や多くの仕事が自動化され働き方も激変していきます。こうした中で地域の中小企業が将来にわたって事業を継続し、活力を高めていくことができるような取り組みが大変重要です。地域の中小企業に対する支援について県の考えをお伺いします。
 次に、県信用保証協会のあり方について伺います。
 現在、県内には約十三万の中小企業が存在しています。協会はその三分の一が脆弱な約四万四千の企業に八千億円余の保障をしております。それでは中小企業の従業員が十人と仮定すれば実に四十四万人の県民が関係します。さらに四十四万人が妻や子供を養っていることを勘案すれば、県内中小企業にとって県信用保証協会のあり方は非常に重要であります。
 県信用保証協会については、知事は七年前の平成二十三年本会議の議事録によりますと保証協会は昭和二十四年に設立されいろいろな事柄に制約、制度疲労が起こっており協会自身の存在意義が問われている、全国知事会にも問題が出ているとのことであるから私自身がもう一度事態を洗い直し、法律改正が必要であればその方向で働きたいと述べています。
 今日の県信用保証協会は極めて厳しい状況にあります。協会の資料によれば保障債務残高は毎年一〇%以上下降しており、ピーク時平成二十三年は一兆八千五百億円余あった保証料が今日では何と半減以下の八千億円余となっております。さらに近年の超低金利下では金融機関の貸し付け金利よりも協会の保証料のほうが高いケースもあるという、かつては考えられない現象が起こっております。
 さらに県信用保証協会には現在九百四十八億円の正味財産があり、これらは中小企業者の汗と涙の集積である保証料であります。この貴重な資金を県信用保証協会を利用する中小企業者の支援や地域経済活性化に活用すべきと考えます。県におかれましては県信用保証協会のあり方をどのように改善しようとしているのか、所見をお伺いしたいと思います。
 次に、文化力の拠点についてのうち、県立中央図書館についてお伺いします。
 私は、長年図書館は地域づくりの核にすべきであると主張してまいりましたので、現在県がJR東静岡駅南口に計画している文化力の拠点施設の中に県立中央図書館の全面移転をすることに賛成です。新図書館の構想が具体化した今、私は初代静岡県知事、関口隆吉に注目したいと思います。
 本県にとって大きな功績のある関口県知事をたたえる石碑が、静岡市葵区の静岡浅間神社資料館の横にあるのを御存じでしょうか。関口は本県発展に尽力する一方で欧米に倣った公開図書館を建設しようとしてみずから図書、資料を収集したことをもっと県民に周知させたいと思います。没後大正十年に静岡県立の図書館設置が決定されると、長男の関口荘吉さんはこれらの蔵書が県立中央図書館に寄贈され県立図書館の蔵書コレクションの基礎となったのであります。これらは久能文庫と名づけられ今も県立図書館所蔵資料となっています。
 県立中央図書館は、こうした先人たちの願いと業績のもとに誕生し九十三年の長きにわたり静岡県の知的情報基盤としての役割を担ってきました。ただ昨今の多くの図書館を見ると、知る権利を保障すること、表現の自由を守る、生涯学習の現場などの社会教育施設、情報センターとしての役割より大半の人が余暇を楽しむために娯楽小説や料理本を借りる無料貸本屋に成り下がっているような気がします。どこの図書館でも内容のやわらかい新刊小説や漫画本など大量購入すれば大幅に利用者数、貸し出し冊数はふえると思います。しかしそうしたはやりの本ばかり入荷していると今度は図書館の質が落ちるというのが現状であります。
 文化力の拠点施設が多くの県民に利用される施設を目指すのは当然ですが、そこに移転する静岡県立中央図書館がにぎわいづくりを意識する余りに図書館本来の使命を損なうことがあっては本末転倒であると考えます。新しい県立中央図書館を整備するに当たっては、社会教育の場であり国民の知る権利を保障する機関である図書館としての機能をしっかりと確保することが極めて大切であり、教育委員会が役割を果たすべきであると考えておりますが、県の所見をお伺いします。
 ところでもう一つ、文化力の拠点においてさまざまな検討がなされていると聞いておりますが私は写真や映像、デザインを活用した魅力の発信ができないかと考えています。静岡県は徳川慶喜、下岡蓮杖などといった日本の写真文化に多大な貢献をした先人が多く居住しておりました。特に旧小笠郡大須賀町出身の写真家、大竹省二さんは静岡県へ多くの作品を寄贈しております。大竹さんの発案で始まった静岡の魅力フォトコンテストは来年で第十回を迎えます。静岡県内の魅力を日本全国、世界に発信すること、また写真文化のさらなる発展と振興のためには写真や映像を活用することも重要であると考えます。
 また、県では平成二十八年六月に策定した静岡県デザイン産業振興プランに基づきデザインを活用した製品づくりなど取り組みを進めていると承知しています。デザインは製品やサービスに新たな価値を生み出すものであり、本県の産業振興や地域の魅力向上のためには改めてその重要性をしっかりと認識するべきだと考えます。
 そこで、文化力の拠点において写真や映像、デザインを活用した魅力の発信について検討したらどうかと考えますが、県の所見をお伺いします。
 次に、県職員の人材育成の基本的方向及び登用について伺います。
 川勝知事は、学者出身ならではの人脈を駆使し県外の専門家や著名人を重要な施策に専門的な助言をするリーディング・アドバイザーとして審議会、有識者会議に多くの民間人を登用しておられます。県においても外部人材は県組織や担当の職員に刺激と活力を与える存在であると思いますし、今後も県職員としては得ることができない経験や知識を体得すると思います。確かに企業においてもプロパー社員に頼らず有能な人材を外から獲得するケースがふえています。
 しかし私は、なぜプロパー社員を教育しないのかという根本的な疑問を覚えます。既存の社員を有効活用すればよいのではという疑問であります。
 私は常々、会合で県民の皆さんにリーディング・アドバイザーや静岡県補佐官って知っていますかと問うてきました。しかし残念なことは何それ、初めて聞いたという反応が圧倒的であり、県民にとって誰がアドバイザーであろうとなかろうと全く関心がないのです。また知事肝いりの民間人は県行政に大きな影響を与える発言力があるにもかかわらず、その登用には議会の同意は不要なのです。加えて外部人材の位置づけは組織上明確ではないにもかかわらず、彼らの発言に対して必死に対応しようとすることで県職員が疲弊してはいないでしょうか心配です。
 私は、人材流動性の強化には大いに賛成です。しかし県職員のモチベーションにも影響するような人材登用はいかがなものかと考えます。県民の無関心をいいことにキーマンを生え抜きよりも外様にするのは、外部人材に静岡県を乗っ取られるのと同じではないでしょうか。
 川勝知事は、県職員の心得としてふじのくに公務員の心得八箇条を作成しております。紹介します。
 一つ、公務において身に私を構えない、二つ、心は素直に嘘偽りは言わない、三つ、上にへつらわず下に威張らない、四つ、節義を重んじ礼節を失わない、五つ、弱い者いじめをせず人の患難は見捨てない、六つ、恥を知り約束は違えない、七つ、道理を弁え情理を尽くし信念を曲げない、八つ、もののあわれを知り人には情けをかける。
 このふじのくに公務員の心得八箇条を踏まえ、さきに述べた職員を取り巻く状況において今後の県職員の人材育成の基本的方向及び登用についてお伺いします。
 次に、朝鮮通信使について伺います。
 朝鮮通信使は、日本に派遣された外交使節、朝鮮通信使の関連資料がユネスコの世界記憶遺産に登録されてから一年を迎えました。川勝知事は冊子静岡県ふじのくに三十四号の知事対談において朝鮮通信使から見る日本の外交史について持論を展開しておられます。が、拝読して大変残念に感じることはそこには韓国要人との交流は列記されておられますが、市民の草の根のレベルの交流について全く触れられていないということであります。これからの日本と韓国の関係は国のトップ同士の政治外交ではなく、文化というキーワードから捉えると新しい時代が見えてくると私は感じています。一般市民が文化交流を通じて違う社会に出会い自己を客観化する、その上で異なる国や地域間で共感できる部分を見つけることが重要ではないでしょうか。
 静岡県の朝鮮通信使は、二〇〇一年に東海道宿駅四百年事業の一環として朝鮮通信使再現行列を初開催して以来、本県には静岡の清見寺の詩文四十八点を初めとして貴重な資料が残されていることがだんだんわかってきました。その結果悲惨な戦争を乗り越え両国がいかに平和を維持してきたかの歴史がわかってきました。この歴史の事実を県民が理解し本県の交流の参考にすることが重要だということもわかってきました。
 パフォーマンスや一過性に終わらせない国際交流や地域外交を静岡県から実行するためには、朝鮮通信使は欠かせぬものであります。それは朝鮮通信使の記録が両国の歴史的経験により証明された平和的、知的遺産であり、永遠の平和共存関係と異文化尊重を目指すという人類共通の課題を解決する上で顕著な普遍的価値を有するからであります。
 そこで、県の朝鮮通信使への認識また県民への啓発について具体的にどのように考えているかお伺いします。
 最後に、小中学校における不登校の未然防止についてお伺いします。
 十月、文部科学省は平成二十九年度児童生徒の問題行動・不登校等の生徒指導上の諸課題に関する調査の結果を公表しました。全国の小中学校における不登校児童生徒数は十四万四千三十一人で、前年度より約一万人増加し過去最多を更新しました。不登校の要因や背景は友人関係のトラブル、学業不振、生活習慣の乱れ、家庭環境による影響などさまざまありますが、そうした要因は年々多様化、複雑化しており一概に要因を特定することは難しいと文部科学省は分析しています。
 本県の結果を見ていましても、全国の傾向と同様で公立小中学校の不登校児童生徒数は五千四十七人で前年度から四百四十一人増加しています。一方で学校の指導の結果、登校できるようになった児童生徒の割合は二〇%に満たない結果も出ております。一度不登校になってしまうと学校復帰は非常に難しいということが数字からもわかります。
 こうした状況を踏まえ、国は平成二十八年不登校に関する初めての法律、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律を制定しました。翌年三月には同法の基本指針を策定し、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく児童生徒がみずから進路を主体的に捉えて社会的に自立することを目指す必要があるとしています。つまり学校復帰以外の選択肢も許容するという不登校への新しい対応が示されたことになります。加えて平成三十二年度小学校から順次全面実施される新学習指導要領においても、総則の中に不登校児童生徒への配慮という項目が新たに明記され、専門的な視点も取り入れながら児童生徒の実態に配慮した教育課程の編成や支援について言及されています。
 私は、学校以外の教育オプションが充実している社会を実現することには大賛成です。不登校生の受け皿としてフリースクールなどの民間施設は大切です。自由な雰囲気で安心して学べる子供はいるでしょう。しかしこれらは全て不登校になってしまった児童生徒に対する対応であり事後対応でしかありません。そこで私は、そもそも不登校に陥らないような対策を講じるということに目を向けてはどうかと考えてみました。
 先ほども申し上げたとおり、一度不登校になってしまうと学校復帰は難しい傾向にあります。しかし子供たちにとって学校は社会性を身につけ、基礎学力を習得したりするかけがえのない場所であります。本県の全ての子供たちが笑顔で学校生活を送ることができるようにすることが、我々に課せられている課題ではないでしょうか。教育委員会として子供たちが不登校にならないための対策、いわゆる未然防止についてもっと注力するべきことではないかと思いますが、この点について教育委員会のお考えをお伺いします。以上のことについて答弁をお願いします。
○議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 天野一議員にお答えいたします。
 県内の経済についてのうち、地域の中小企業に対する支援についてであります。
 県内企業の中小企業、小規模企業は数で言いますと本県には企業数が二〇一八年の中小企業白書によりますと十二万七千六百四十三社あります。そのうち中小企業並びに小企業、小規模企業十二万七千四百四十、言いかえますと九九・八%を占めているのであります。言いかえますと中小企業、小規模企業は本県経済の活力の主要なる源であると言わねばなりません。まさに地域の産業や雇用等を支える重要な役割を担っているものであります。
 県民の皆様の豊かな暮らしを実現していくためには、中小企業、小規模企業が活発な事業活動を続け地域経済が持続的に発展していくことが極めて重要です。本県の中小企業、小規模企業の多くは資金繰り、売り上げ確保、後継者問題等々さまざまな経営上の課題をお抱えになっています。
 こうした中、県では地域の中小企業、小規模企業が将来にわたって事業を継続し活力を高めていけるよう商工団体、金融機関等々と密接に連携しながら中小企業の課題解決に向けたさまざまな支援を展開しているところであります。
 そうした中、議員の皆様の御理解と御賛同を賜りまして中小企業・小規模企業振興基本条例を導入いたしました。この条例に基づきまして中小企業経営者や商工団体、産業支援機関、金融機関から成る中小企業・小規模企業振興会議を開催いたし、中小企業の活性化に向けた取り組みなどについて検討しております。そのほか制度融資による円滑な資金調達支援、下請企業向け商談会の開催また販路開拓支援に取り組んでいるところであります。
 近年、中小企業の後継者不足が深刻化する中、事業承継の迅速な対応が重要であります。このため昨年度本県は全国に先駆けまして市町、商工団体、金融機関などから成る事業承継ネットワークを立ち上げました。参画機関が連携し五千五百六十件もの企業訪問を実施いたしました。そして経営者の事業承継の大切さへの気づきを促すとともに、後継者不在企業の掘り起こしと個別支援を進めているところであります。
 さらに、中小企業の経営基盤の強化を図るため経営革新制度を初めとする各種支援制度を通じまして企業の新製品開発や新事業への参入支援などに注力しており、昨年度の経営革新計画の承認件数は五百七十五件これは全国トップクラスの水準を維持しておるところであります。引き続き商工団体などの関係機関とともに、事業プランの作成から実現までを伴走型で支援し中小企業の新しい挑戦や改革への取り組みを積極的に支援してまいります。
 また、若者に対しては有名高校、有名大学、大企業というこうした固定観念、これが誤りであるということもあわせて伝えると。むしろ大きな企業の歯車の一つになるのではなくて牛後となるよりも鶏口となれという言葉もありますけれども、むしろ小さいところのほうが己の個性が実力が発揮しやすいという、そうした価値転換も図ってまいりたいと思っております。
 県としましては、社会経済を取り巻く大きな転換点を迎えている今、時代の変化に対応した機動的な施策を一層推進いたしまして本県の中小企業、小規模企業が将来にわたって、これは本県そのものでありますので着実に発展し活力を高めていただくことができるように全力で取り組んでまいります。
 次に、県職員の人材育成の基本的方向及び登用についてであります。
 社会経済情勢の先行きが不透明な状況におきまして、多様な行政ニーズがございます。これらに的確に対応し質の高い行政を推進していくためには、職員の人材育成が極めて重要であると認識しております。まさに組織にとりまして最大の財産は人であります。人材であります。行政に対するニーズの高度化、複雑化する中にありまして、県庁におきまして先見的で創造性の高い行政運営を担うのは職員です。そうした考えからさまざまな行政分野における現場の事情に通暁した人材の育成に努めているところであります。
 ちなみに、ここにいる者は県の意思決定者であります。かつてあそこに交通基盤部長がおりますがあそこは国交省の指定席でした。彼はもう既に五人目です。長島、野知、村松、鈴木そして平野です。これが大きく交通基盤にかかわる職員の大きな励みになっていると思います。あるいは経営管理部長、あそこはかつて総務部長といって時々国からの役人さんが占めておりました。いまや本県の職員が担っております。もう一人国から来ているかと誤解される副知事が一人いますけれども、この方はもう国交省に戻る、そういう方ではありません。本県に骨を埋めるつもりでお越しになっているというふうに承知しております。
 こうした人材の育成に当たりましては、専門性の向上もさることながら県民の皆様から全幅の信頼を得られることがまずは重要であると考えまして、先ほど議員が御紹介くださいましたいわゆる公務員の八箇条というのはこれは本県が生んだ徳川家の第八代将軍徳川吉宗が室鳩巣の明君家訓というものをベースにしております。もう一つ薩摩の出水兵児修養掟というものをベースにしておりまして国では膨大なマニュアルをつくっております。
 しかし、公務員は古今東西を問わず基本的な心得はそんなには変わりません。八つぐらいなら覚えられるわけです。身に私を構えない、うそ、偽りを言わない、上にへつらわない、下に威張らない、弱者に対してはその患難を見捨てない等々は皆覚えられる。覚えられることが大切でそれを実施するというためには、まずはその心得をしっかりしていることが必要です。私自身はさらにみずからに対しまして来る者は拒まない、助力は惜しまない、見返りは求めないとこれをみずからの三則として実践しているつもりであります。
 ともあれ、ふじのくに公務員の心得八箇条を職員の人材育成の根幹をなすものとして平成二十五年度に作成いたしました。職員には新規採用職員の入庁式の場などさまざまな機会を捉えましてその重要性をお互いに確認し合っているところであります。この八箇条から時代を超えて、我々は公僕でかつ公金を預かっている身でございますので、そうした立場の者としての心構えをみずからに課し、私もともにいわばふじのくにの侍であるという自覚を持って美しいふじのくにづくりに邁進してまいります。
 それから、議員から外様を大事にしているということでございましたけれども、まことにもって立派な人たちが来てくださるのはありがたいことでございまして、行政ニーズに対応するに当たり庁内からの登用が困難あるいは庁内の実力ではなかなか難しいといった場合、例えば本庶佑先生もリーディング・アドバイザー以上の仕事をしていただきました。ですから仕事についていただいたと。しかし本庶佑先生の名前を先生、御存じになったのはいつからでしょうか。多くの県民はノーベル賞をおとりになるまで知らなかったのではないでしょうか。文化勲章をおとりになり、唐奨をおとりになりそしてロベルト・コッホ賞をおとりになった、これは県に来ていただいてからです。しかしなかなかに知らないという。だからそれとは別に県民のためにどれだけのことを多くの人がしてくださっているかということがポイントであるということで、いわば陰の主役と言ったらおかしいですが下支えをするということに尽力してくださる方々の助力を仰いでいるということでございます。
 しかし、言われるまでもなく県政運営の一番大切なのは職員です。今後も職員一人一人のモチベーションを高めましてその意欲と能力が最大限発揮されるような人材の登用に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(渥美泰一君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 県内経済についてのうち、県信用保証協会のあり方についてお答えをいたします。
 県信用保証協会は、中小企業の円滑な資金調達を支援する重要な役割を担っておりリーマンショックなど急激な経済変動時には資金繰りに苦しむ多くの中小企業の最後のとりでとなってまいりました。近年景気の回復等に伴い、信用保証を必要とする借り入れは減少傾向にありますが依然として多くの中小企業がさまざまな経営上の悩みを抱えておりますことから、協会による保証先企業の支援の取り組みについても強化する必要があると考えております。
 この点、現在県信用保証協会は毎年三千を超える企業を訪問、面談し、このうち三百近い企業に協会が費用の一部を負担して専門家を派遣し積極的に経営指導を行っております。加えて本年八月には、県の仲介により協会と県産業振興財団が覚書を締結し協会の強みである資金調達支援と財団の強みである販路開拓や技術開発支援を組み合わせ、双方が協力して中小企業の伴走支援を行う体制を構築いたしました。また地域経済の持続的発展のためには多くの創業者を生み出すことが必要でありますことから、今年度県と協会が費用分担して創業者の保証料をゼロとする新しい制度融資を開始し、十月末までに二百七十六企業に対し十三億円余の保証承諾を行ったところであります。
 県信用保証協会は、本県経済の屋台骨を支える中小企業から身近で頼りにされる存在であり続けることが必要であります。
 県といたしましては、県信用保証協会が急激な経済変動時にセーフティーネットとして機能するためにも、正味財産の取り崩しではなくその事業費の中で資金調達と経営課題解決の両面から中小企業をより積極的にサポートできるよう、制度融資の適時適切な見直しや関係団体との連携促進などの支援に努め中小企業の成長と本県経済の活性化につなげてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 渡邉文化・観光部長。
       (文化・観光部長 渡邉眞一郎君登壇)
○文化・観光部長(渡邉眞一郎君) 文化力の拠点についてのうち、写真や映像などを活用した魅力の発信についてお答えいたします。
 文化力の拠点の形成に向け、県では全館移転する県立中央図書館を中心とした知の拠点として整備する方針のもと、静岡の文化を創造する新たな知的空間の整備などにつきまして検討を進めているところであります。
 知的空間におきましては、本県が誇る自然や歴史、産業などの多彩な魅力を最新の映像技術を活用して効果的に発信するほか、「静岡県を知る」をキーワードとしたテーマごとに体験、交流等々の場を設置するなどして新たな文化の創造に取り組んでまいります。
 議員から御提案をいただきました写真や映像、デザインにつきましても、本県の魅力の発信や将来を担う人材の育成など文化力の拠点のコンセプトを実現していく上で大変重要な素材やテーマの一つであると考えられますことから、この知的空間におきまして積極的に活用してまいります。
 また、御紹介いただきましたとおり、本県は日本を代表する写真家である大竹省二氏の写真を多数所有しております。これまでも県立中央図書館などで写真展を開催しているところであり、文化力の拠点におきましても県民の皆様に鑑賞機会を提供するなどして写真文化の振興を図ってまいりたいと考えております。
 県といたしましては、本県の高い文化力を国内外に発信し人々を引きつける文化力の拠点の早期形成に向けて、県議会の皆様の御意見を伺いながらスピード感を持って取り組んでまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 増井地域外交監。
       (地域外交監 増井浩二君登壇)
○地域外交監(増井浩二君) 朝鮮通信使についてお答えをいたします。
 朝鮮通信使は、徳川家康公により当時悪化していた日本と朝鮮王朝との関係を友好的なものに転換し、二百年以上にわたって平和な文化交流が行われた日韓の善隣友好の歴史を今に伝える重要な文化資源であります。その関連史物が昨年十月ユネスコの世界の記憶に登録されたことはまことに意義深く喜ばしいことであると考えております。
 県では、そのことを広く伝えるため朝鮮通信使と徳川家康公を顕彰する記念茶会を毎年朝鮮通信使にゆかりの深い清見寺で開催しているほか、日中韓賢人会議など県内で開催される国際会議において韓国からの会議参加者の視察先として清見寺を御案内するなど、朝鮮通信使と本県との関係を紹介する取り組みを進めてまいりました。
 また、駐横浜韓国総領事館との連携による県民向け朝鮮通信使セミナーの開催を初め、日本と韓国のウオーキング団体が実施している朝鮮通信使ウオークや大学生やサイクリストによる新朝鮮通信使ツアーなどの取り組みを積極的に支援してまいりました。本年十月には朝鮮通信使に関心を持つ韓国忠清南道の民間団体と県内の民間団体の顔合わせの機会を設け、朝鮮通信使を通じた双方での交流の拡大を期待しているところであります。
 今後もこうした取り組みを継続していくほか、現在県内の経済団体が中心となって朝鮮通信使を周知する取り組みを進めると伺っておりますので、これらの活動とも連携を図り日本と韓国の平和構築と文化交流の象徴である朝鮮通信使の価値と本県が日韓友好にゆかりのある地域であることを広く国の内外に情報発信することにより、日韓の未来志向の関係づくりにつなげてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 小中学校における不登校の未然防止についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、子供たちが笑顔で学校生活を送ることができるようにすることは社会の責務であり、不登校の未然防止にもつながることから極めて重要であります。このため学校では授業や学校行事等におきましてお互いの意見を認め、皆で一つのことをやり遂げるなど個人を尊重する指導に取り組んでおり、また教員同士で情報を共有しそれぞれの児童生徒が置かれている状況の把握に努めております。
 県教育委員会では、袋井市や御殿場市の小中学校をモデル校として新たな不登校の児童生徒を出さない研究事業を展開しております。不登校の原因が幼児期にある場合も考えられますことから、幼児教育施設と小中学校が連携して子供や家庭の情報を共有し不登校の兆しを早期に把握して迅速に対応しております。
 御殿場市のモデル校区では、平成二十七年度に新たな不登校児童生徒が二十二名発生しておりましたが本年度は一名に減少しております。モデル校における手法を広く県内に情報発信し、他の学校でも活用してまいります。
 また、各学校にはスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し個別面談やケース会議による支援を行っておりますことから、不登校になる前に手を差し伸べる相談体制のさらなる充実を図ってまいります。
 このように、学校における一人一人の児童生徒を大切にする取り組みこそが毎日登校したくなる学校の実現につながっていくものと考えております。
 今後も、児童生徒が充実感や安心感を共有できる学校づくりに積極的に取り組み不登校の未然防止に努めてまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) 鈴木教育部長。
       (教育部長 鈴木一吉君登壇)
○教育部長(鈴木一吉君) 文化力の拠点についてのうち、県立中央図書館についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、県立中央図書館が果たすべき重要な役割は利用者のさまざまな資料要求に応え県民の皆様の知る権利を保障するとともに、生涯学習の場として機能することであると認識しております。
 現在策定中の新県立中央図書館基本計画におきましては、これまでの資料収集の方針等を継承し一般的資料から専門的資料まで幅広く収集することとしております。特に市町立図書館では収集の難しい専門性の高い資料を重点的に収集することで、県立図書館ならではの蔵書をそろえていくこととしております。
 また、豊富な学術書、研究書を活用した高度なレファレンスへの対応や地域の課題等の解決に向けた支援に取り組むとともに、多様なニーズに合わせたさまざまなタイプの閲覧席や県民の皆様が立ち入ることのできる公開書庫など利用者の視点に立ったサービスの充実に努めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、先人が積み重ねてきた県立中央図書館の歴史と文化を継承し県民の皆様の知のインフラとしての使命を果たすとともに、より多くの県民の方々に利用され文化力の拠点の中核施設にふさわしいふじのくにの図書館となるように計画の具現化を図ってまいります。以上であります。
○議長(渥美泰一君) これで天野一君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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