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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 澄美 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/04/2014

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 県職員の市町への派遣について
2 中小企業のBCP対策について
3 東部地域スポーツ産業振興協議会設立の目的と期待される効果について
4 環境に配慮した田子の浦港の整備について
5 自動車運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の制定背景と周知方針について


○議長(中谷多加二君) これで土屋源由君の質問は終わりました。
 次に、十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇 拍手)
○十番(鈴木澄美君) 私は自民改革会議所属議員として通告に従い、当面する県政の諸課題に対し一問一答方式にて知事及び関係部局長、並びに警察本部長にお伺いいたします。
 初めに、県職員の市町への派遣についてであります。
 本年一月十四日の定例記者会見において、知事から県内全三十五市町に幹部職員に充てる人材を派遣していく方針が示されました。知事は副市長等を既に派遣している事例を示し、県と市町との関係が極めてよくなると強調されたとのことであります。派遣については、市町からの要請を受け重点政策課題とともに市町が必要とする専門性等を提案してもらうことが前提ということで、副市長や副町長、部長などへの就任を想定するとありました。これは地方分権に重要な役割を担う基礎自治体の行財政基盤の強化支援の一つとして県職員を積極的に提供する試みとのことです。また県の自治行政機能を市町支援、連携に重点化するため、県と市町で共通する行政課題を解決するため――仮称ですが――行政経営研究会を設置する方針を示されました。
 さらに県は、二〇一四年度から四年間の行財政改革の大綱の戦略に市町や民間と連携した行政運営を盛り込む方針を示しています。これにより県は県、市町は市町という自治のあり方を少しでも変え一体となって住民サービスの向上を図ることができるとしています。県内の首長の間では、行政改革や地方分権の発展などに期待を寄せる声も上がっていると伺いました。
 既に県と市町の人的交流としては、地方自治法に基づく派遣や研修としての市町交流があり、毎年百人前後の交流を行っていると認識しています。今回の方針が新たな取り組みだとすると既存の制度との違いは何か。また市町支援は否定しませんが、職員派遣が天下りになってはいけないと考えます。派遣先の市町においてそこの基礎自治体職員としての誇りややる気に水を差すようなことがあってはいけません。
 県として職員の市町への派遣について、どのような意図や方針で取り組んでいくのでしょうか。市町の自主性を尊重しつつ、共存共栄を図っていく上での知事の考え方を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木澄美議員にお答えいたします。
 県職員の市町への派遣についてであります。
 県では、地域主権の実現に向け大きな役割を担う市町に対しまして行財政基盤の強化を支援するとともに、市町と連携して県全体の行政運営の効率化や最適化を促進し、地域が自立して独自の行政運営を行うための体制整備を進めているところであります。
 県職員の市町の幹部ポストへの派遣につきましては、こうした市町支援の取り組みの一つとして市町からの要請に基づいて従来から実施しているものであり、今年度は事務・技術と合わせて十四市町に十六名を派遣しているところであります。派遣される職員は、県職員の身分を保有しながら派遣される県・市町交流制度などとは異なります。県を一度退職し市町の幹部職員として重要な施策の決定にかかわり、課題の解決に寄与すると。これが目的です。県と市町のよき橋渡し役になることを期待しております。
 人口減少社会を迎えまして、県と市町で共通する行政課題の解決がたくさんございます。こうした解決に向け、両者が連携して取り組む必要性が高まってきています。新しい行財政改革大綱を御審議いただきましたふじのくに行財政革新戦略会議からも市町を初め民間、県民と連携協働して協力し合う仕組みを構築すべきであるとの御提言をいただいたところでございます。今まで静岡県は、全国で最もさまざまな権限を基礎自治体におろしているということではトップクラスを自負しているところであります。こうした権限が十分に消化できるかどうかという、そうした問題もあわせてあるということが最近わかってまいりました。ですから権限と人材というのをあわせて考えるべきときに来ております。
 県といたしましては、県と市町が一体となって行政サービスの向上を図るための連携強化策として市町の求めに応じ、県職員の市町への派遣を拡充することによって、県全体の行政運営の効率化、最適化と連携の推進を図るものであります。
 もちろんこれは、これまでの経験に基づきましてあるいは現状の分析に基づきまして、それぞれ比較考量しながら、それぞれの責任のある部局に県出身の者がついていることを通して県と関係市町との政策決定がスムーズにいき、かつ協力関係が築かれるという実績に基づいてこうした試みをこれから始めるというものでございます。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 御答弁ありがとうございました。要望を一点申し上げます。
 御存じのとおりですね、二〇〇〇年四月一日施行の地方分権改革を目指した地方自治の大きな改正ということで、国と地方との関係が上下関係、上下主従の関係から対等協力の関係に移ったということでありますけれども、これは地方自治法の第二条第六項では、県と市町は相互に競合しないというふうなこともうたわれておりますし相互の役割を明確にしているということですから、先ほど知事がおっしゃったような形の中で取り組むということはよくわかりましたけれども、県と市町との関係もですね、法律上は上下主従の関係から対等協力の関係であるというふうに認識しておりますのでこれを尊重しながらですね、このたびの取り組みが県と市町の相互理解のもとに説明されたような効果が最大得られますように、ぜひとも要望させていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 次の質問は、中小企業のBCP対策について伺います。
 昨年十一月末に県が公表した第四次地震被害想定における経済被害では、被害後の生産、サービス停止などによる間接被害が最大で六兆八千百億円になるとしています。さらに長期の生産力低下が懸念されています。この発表を受けて今後県内企業において被災時の被害を軽減するとともに、被災後のサプライチェーンの寸断などの影響を最小限にし早期の事業再開を目的に策定される事業継続計画――BCPの必要性は、より一層高まってくると考えられます。
 県が平成二十三年度に実施した中小企業のBCP策定状況に関するアンケート調査によれば、県内の中小企業のBCP策定率は二二%であり、大多数が未策定という状況です。取り組み状況を従業員数別で比較してみると百人以上の企業では四〇%、五十人以上では三二・五%、二十人以上では二九・六%、二十人未満では九・七%など小規模の企業ほど策定率が低い結果となっています。
 県では、総合計画後期アクションプランにおいて平成二十九年度末に従業員五十人以上の事業所におけるBCP策定率五〇%を数値目標に掲げ、さまざまな普及啓発事業を実施していると伺っています。さらに県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三では、平成三十二年度末に従業員数百人以上の事業所におけるBCP策定率一〇〇%を数値目標に掲げていることも伺っています。新聞報道ですが県信用保証協会によれば県内企業のBCP特別保証制度の利用は増加傾向にあり、前年度比の倍近くまで達する見込みとも示されています。まだ十分な取り組み実績ではありませんけれども、着実に増加していることもうかがえます。
 県は、中小企業でも容易に策定できるよう業種を特化しない静岡県事業継続計画モデルプラン第三版を策定し、さらにBCP指導者養成講座なども開催していることを承知しています。モデルプランの第三版は、東日本大震災からの経験や県第四次地震被害想定を踏まえたものと伺っており、県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三が設定した平成三十二年度目標の従業員数百人以上では策定率一〇〇%を見据えた内容と解釈していますが、達成率が低い百人未満の従業員規模企業への取り組みをどう進めていくのでしょうか。
 また、昨年の十一月末に熱海商工会議所においてホテル・旅館などの経営者を対象にした観光視点のBCPセミナーが開催されました。このようにBCPの策定率を上げるためには商工団体と連携した取り組みも必要だと思いますが、今後中小企業のBCP策定率を向上させるために県はどのような方策を考えているのか、現状と今後の方針について伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 中小企業のBCP対策についてお答えいたします。
 大規模地震や風水害等の被害を受けた際に企業活動の早期再開につながるBCPの策定は、被災時の経済被害の軽減と復興への道筋をつけるため大変重要なことと認識しております。中小企業においてはBCPの策定に必要なノウハウや人材、資金が不足していることから、本県では全国に先駆けて中小企業でもBCPを容易に策定できるよう独自のモデルプランを作成し、普及に努めてまいりました。また日常中小企業と接する機会が多い中小企業診断士などを対象にBCP指導者養成講座を開催しており、今年度養成した三十二人を含めこれまで百八人が修了し県内各地でBCP策定の指導助言に当たっております。さらに静岡県産業振興財団や商工団体にBCPの専門家を企業に派遣する制度を設け、策定の負担の軽減を図っているほか県の制度融資においてBCP策定経費やBCPに基づく耐震設備を融資対象とするなど金融面でも支援しております。
 今後、BCPの策定率をさらに向上させるためBCP指導者の増員を図るとともに、商工団体、金融機関などと連携して開催するセミナーや相談会において、第四次地震被害想定に対する減災対策やBCPが平常時の経営にも効果が見込めることなどを盛り込んで近く公表する新しいモデルプランについて、経営者に十分御理解いただくことでBCPの策定につなげてまいります。
 県といたしましては、このような取り組みに加えBCPの周知や普及を図るため今年度から来年度にかけて二千社以上の企業を訪問することなどにより、中小企業における減災対策の促進やBCP策定率の向上を図ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 三点ほど再質問をさせていただきます。
 先ほど冒頭で申し上げましたようにですね、企業規模が小さくなればなるほど達成率が低いということですので、この点についてどのように分析をされ対応していくのかということについて、まず一点お聞きします。
 それから、業種を特化しないモデルプランを策定したということですけれども、初めて取り組む立場としてはですね、やはり同業種の参考事例というのが非常に大切ではないかなと思っておりますが、この点についてより細かくやはりサポートしていく必要があるのではないかと思いますが、どのように考えているかお聞きします。
 三点目は、先ほどの説明の中にBCPを理解していただくためには非常時に取り組む手段としてだけではなくて平時の企業運営にも役立つというお話がありました。この平時にも役立つという視点があるということについて、もう少し詳しく説明を求めます。以上です。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 中小企業のBCP対策についての再質問についてお答えいたします。
 まず第一点目でございますが、策定率、先ほども議員のほうから御説明がございましたが、従業員規模の大変低い企業は大変策定率が低いということでございます。やはり人材が人が少ない、ノウハウがないということで下回っていると思っています。今後私ども先ほど御説明いたしましたが、二千社以上の企業を回る予定でございますが、策定率の低いあるいは小さい企業等を重点的に訪問してですね、普及啓発を図りながら策定率を上げてまいりたいと考えております。
 次に二点目でございますが、業種を特定しないモデルプラン等々で同業種の参考事例が大変役立つのではないかということでお話がございました。私ども大変――議員の御指摘のとおりですね――私どもも初めてつくる立場では、先行してつくられた策定事例等を参考にするのは大変役に立つと思っております。これまでもセミナーなどで策定事例の紹介や県のホームページでBCPの策定に参考となる防災事例等を御紹介をしております。今回の新たなモデルプランにおきましても、BCPを実際に策定した企業の事例集を少し添付して御紹介をさせていただいています。また建設業協会等々各団体ごとに少しモデルプランをつくっている状況がございますので、県のホームページ等にリンクを張らせていただきながら御紹介をさせていただきたいと思っています。そのような事例をまたセミナー等においても御紹介しながらいきたいと思っております。
 次に、BCPが平常時でも役に立つという視点ということでございますが、BCPを当然策定する際はですね、それぞれ企業の重要業務をまず検討してですね、それをどのような形で事業継続につなげていくかということでございますので経営戦略を考える上での自社の有する経営資源の優先順位や配分を検討することにつながってまいりますので、平常時の経営改善にも有効であると考えております。
 具体的には、最近ですね、緊急時に強いというような企業のイメージができますと大変取引業者からも信頼がされて売上収益の増加につながるとか、従業員が多くの災害時にすぐ対応できるように日ごろから多機能的にといいますか、幅広い分野を経験するようになりますと業務の効率化等々ございますので、そういう意味でも緊急時だけでなくて平常時にも役立つものというふうに考えております。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 要望を一点申し上げます。
 モデルプラン第三版は、静岡県の社会的、自然的特性を踏まえて中小企業により身近によりわかりやすく見直し作成したものというふうにされておりますので、県としてこのモデルプランをより多くの零細な企業まで活用していただけるように、普及啓発を図っていくことを強く要望いたします。
 次の質問に移ります。
 東部地域スポーツ産業振興協議会の目的と期待される効果について伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が昨年九月に決定し、スポーツに関心が高まっています。また昨年十二月二十三日には、富士宮市及び富士市において全日本大学女子選抜駅伝が開催され、世界遺産に登録された富士山麓を駅伝コースとして全国にもテレビ中継されるなど大規模なスポーツ大会も開催され地元の関心も大変高まっています。スポーツは、各地域で開催されているマラソン大会等各種イベントや合宿による経済効果が明らかになっていく状況の中で観光や飲食等、地域のサービス産業への振興にも大きな寄与が期待できるものであります。
 そのような状況の中で、本年一月三十日に東部地域の企業、スポーツ団体、三島市等四市と県など産業界と行政等のメンバー十六人を発起人として、静岡県東部地域スポーツ産業振興協議会が設立されたと聞いています。
 この協議会は、本県東部地域を活動地域とし協議会活動を通してスポーツに関する新事業の創出を図ることとしていますが、協議会の設立目的と今後期待される効果について所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 東部地域スポーツ産業振興協議会設立の目的と期待される効果についてお答えいたします。
 東部地域は、世界文化遺産に登録された富士山、温泉が豊富に点在する恵まれた自然や日本有数のスポーツ施設などの地域資源を数多く有しております。このような地域資源を活用し地元企業を中心に産学民官が広域的な連携を図って観光、健康の視点からスポーツ産業をつくり出していくことを目的に東部地域スポーツ産業振興協議会が設立されました。
 協議会では、一元的に東部地域のスポーツイベントや施設などの情報を発信することやスポーツ合宿等の相談にワンストップで対応できる窓口業務を実施することなどにより、スポーツイベント等を誘致しイベント参加者や合宿の増加を図ってまいります。
 また、例えば昨年富士スピードウェイで開催されました高い技術を持つ地元中小企業が共同で開発製造した自動車のレースのように地域の中小企業やスポーツ施設、スポーツクラブなどが連携して新たな事業を生み出してまいります。
 県といたしましては、今後より多くの企業・団体などに協議会への参画を呼びかけ、数多くのスポーツ事業の創出を図ることで地域経済の活性化につなげてまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 再質問を一点させていただきます。
 従来の観光産業には既にスポーツ分野も含まれていたということで、このたびの取り組みが今までとどう違うのかが理解しにくいというふうに感じました。実際に協議会に参加した関係者もそのように捉えている感想を聞いています。
 そこで、改めて今回の取り組みの特徴を明確にし今までと何が違うのか。特に先ほど説明がありましたけれども、主目的であり今までの取り組みにない地域産業の活性化や地域経済の発展に寄与するという部分についてですね、これが実現できるように事業の期待される効果等についてわかりやすく情報発信すべきと考えますが所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 再質問にお答えいたします。
 協議会の会員には、これまで観光とは直接かかわっていなかったようなスポーツ用具を販売する企業とか、スポーツジムを経営する企業など幅広い業種が参画しております。従来の観光とスポーツの組み合わせだけでなく異業種の連携によります広域的なスポーツ関連事業を行うことによりましてスポーツ関連商品の製造とか販売の増加、あるいはスポーツ施設の利用率の向上などによりまして地域産業の活性化に寄与できるものと考えております。
 今後とも、さまざまな企業の参加を呼びかけまして、会員同士による連携によりまして新たな魅力あるスポーツ関連事業を創出いたしまして、その事業実績とか効果等を積極的に情報発信してまいりたいと考えています。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 要望を一点申し上げます。
 協議会に参加した関係者によれば、今回県からの協議会参加の呼びかけに対し一番の関心事は二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に乗りおくれないようにということが念頭にあるというふうに聞いています。当然のことと理解しますけれどもオリンピックの後もですね協議会の果たす役割は重要であると考えます。そのためには参加者が積極的に発言していくことが求められます。
 今後協議会では部会を設置するというふうにお聞きしておりますけれども、県東部はですね伊豆地域、駿東田方地域、富士地域などそれぞれに地域特性のある分け方ができるということがあります。地域ごとの特性を生かすためにも地域ごとの部会設置やスポーツの分野別の部会設置等について、協議会の中で御議論いただきたいということを要望いたします。
 次の質問に移ります。
 環境に配慮した田子の浦港の整備について伺います。
 田子の浦港は、東駿河湾の岳南地域の紙・パルプ、化学、食品産業等への原材料や山梨県までも含むエネルギーを供給する物流拠点として、地域経済と産業の成長に多大な貢献をしてきました。田子の浦港では船舶の大型化に対応した増深改良工事を推進していますが、残る中央泊地、航路の水深十二メートルへのしゅんせつ工事が、平成二十五年度にはおおむね完了すると聞いており、三万トン級の大型船が満載で入港できるようになり、今後の利活用に一層の期待が持てるところです。
 一方、港内の環境基準を上回る底質土砂については、平成二十九年度を目標達成年次とした富士地域公害防止対策事業計画に基づいて処理を進めているところですが、増深改良工事の完了のめどが立った一方で同事業の進捗はどのようになっているか、明らかではありません。また大手製紙会社の再編や縮小により地域経済への影響が危惧されたところに、石炭火力発電の立地計画は地域雇用等に貢献するものと考えられますが、石炭取扱量の増大による石炭仮置きヤードからの粉じん等、周辺環境に影響を与えることが懸念されています。
 このような中、田子の浦港の整備や利活用が周辺の生活環境に与える影響に対して、県はどのような対策を行っていくか伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 環境に配慮した田子の浦港の整備についてお答え申し上げます。
 田子の浦港には、環境基準を上回る底質土砂が何と五十四万立方メートルございましたが、船舶の停泊地また航路の水深十二メートルを確保するための増深改良工事にあわせまして除去を進め、平成二十五年度末におきましてその八割、四十二万立方メートルが除去される見込みであります。残る土砂につきましては、利用されなくなった水面貯木場を活用し汚染物質を外に出さない構造の処分場を整備いたしまして埋め立てする計画です。今年度から処分場の護岸整備に着手いたしまして平成二十九年度の除去完了を目指してまいります。
 もう一つ、日本製紙鈴川工場内における石炭火力発電についてでございます。
 鈴川工場は、全体二十七ヘクタールございますが、そのうちの四ヘクタール分を使うということですのでほぼ七分の一強ということであります。私これは東電の管内であり中部電力がそこで発電をしていただくということで、東電の今の状況を考えまして大変慶賀するべきことであるというコメントを出しました。また中部電力の碧南の火力発電所を見学いたしまして、そこが従来の火力発電の常識を打ち破るといいますか極めてクリーンでございまして、硫黄酸化物はもとよりほとんど石炭の存在が感じられないような清潔な環境がございました。そうしたことから今回中部電力が中心になってなさるダイヤモンドパワーという下請会社ではございますけれども、そこが発電をするということについても安心していたわけでございます。
 一方でこの景観がですね、百メートル余りの煙突を備えなけりゃならんということで、それが名勝田子の浦からの富士山への眺望を阻害するのではないかということに後で気がつきましてまことにうかつであったと。したがってこれからですね、この煙突につきましてもほとんど水蒸気のわけですけれどもCO2も若干出ると存じますが、こうしたことにつきましては目下その鈴川の発電所の案内書をごらんになっても、基本的にクリーンな最新式の設備を備えた日本は今、火力発電は世界トップでございますのでそうしたところは安心しておりますけれども、何と言っても景観ということが大事なのでこの百メートルの煙突につきましては、できる限りこれを阻害しないような形でする方法を考えねばならないと思っております。
 それからまた、残り二十三ヘクタールばかり鈴川工場の敷地があるわけです。これをどうするかということについて、中部電力の静岡支店長とお話をいたしまして中部電力のほうはそこにもう火力発電所をさらに増設する計画は全くないということでございます。一方これは今日本製紙の持ち物であります。日本製紙のほうはこれをどのように利用するか全く今のところはお考えになっていないということでございます。しかしこれからはまずは環境、そして景観、この両方に配慮した形でこの鈴川工場、まず九〇%ですね、ほとんど使われてなくて倉庫のように使われているので石巻のほうに移ると存じますけれども、その跡地利用につきましてはよほど注意してしかし同時に今回発電所が三十人ばかりの雇用も創造いたしますし、経済波及効果も十億円余りというふうに言われておりますので、こうした雇用創造また経済波及効果を勘案しながらこの日本製紙の鈴川工場につきましてはですね、格段の注目をこれからしていきたいというふうに思っている次第でございます。
 ともあれ、石炭火力発電の立地に伴い当然石炭取扱量が増加いたしますので、必要となる仮置きヤードを確保されておりますが、港湾環境を保全するために荷主や荷役業者に対しまして大気汚染防止法、水質汚濁防止法等を厳しく遵守していただくように指導を申し上げ、また適切な対策を講じるように指導してまいります。
 県といたしましては、田子の浦港の整備や利活用に当たりまして、こうした取り組みによって適切な対応を図って引き続き良好な港湾環境を維持してまいる所存であります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君)
○十番(鈴木澄美君) 御答弁ありがとうございました。
 一点再質問をさせていただきます。
 今知事に御答弁いただきました一企業のお話でありますが、実は石炭を取り扱いたいという企業はですね、富士市一市で電力量に換算しますと山梨県、あるいは島根県一県と同じぐらいの電力を使っているという町だもんですから、非常にそういう意味でエネルギー転換については関心があり、今ある企業がどう残るかというところは死活問題だというふうに聞いております。
 それで一点ですね、石炭取扱量増大に関して再質問をさせていただきます。
 先日、北九州市にある次世代エネルギーパークを訪問し、最先端の石炭ガス化技術を視察しました。先ほど知事が碧南の話をされたように私どもも石炭はクリーンなエネルギーだというふうに考えています。現在主たる産業分野でのエネルギー源は石油ですけれども、円安による輸入原油価格の高騰により、安価な石炭への切りかえを検討している企業も少なくありません。私が聞いているだけでも、もう六社、七社、先ほどの企業以外でもう検討しているという状況であります。現実に県内屈指のエネルギー消費地である富士市内の企業の数社も既にその取り組みが始まっていますが、それを支える田子の浦港は、石炭の荷おろしとストックヤードの機能を兼ね備えた港湾として機能し始めました。
 県の駿河湾港アクションプラン推進計画では、第四回委員会において田子の浦港における石炭の将来取扱量の増大の動き、エネルギー需要への対応について触れています。その中ではチップヤードから石炭仮置きヤードへの転換が事例として記されています。先ほど知事がおっしゃったとおりです。しかし市民の中には、昔の石炭のイメージを公害というふうなことで懸念が払拭されていないというのが現状であります。さきの視察結果からもわかるように単に経済的に優位な石炭ということだけで石油から切りかえるのではなくて、環境負荷も大きく改善されている現実を市民にも御理解いただくことで地域経済への貢献もできるかなというふうに考えています。
 県としては、新たな需要に応え港湾利用の活性化を図るとともに、エネルギー転換を図る企業及び地域経済を支えるために環境に配慮した港湾整備ということで今回の質問をさせていただいておりますが、景観の問題は確かにありますがエネルギーを転換していくということの中で県がこの港湾管理の管理者として、今のエネルギー転換についての理解をしていただくという前提の中でその背景には、知事がかつて――今もそうかもしれません――モンゴルの石炭の話をよくされるということで、その一連の流れが先ほどのクリーンなエネルギーという御判断をされているというふうに考えておりますけれども、いずれにしても企業もそこで生き残っていくためには石炭にかわるということの中で今回の港湾管理の部分でもきっちりとですね、その企業と住んでいる市民との間で環境がしっかり守られているということをどこまでどういうふうな線引きをして、県としてそれをかかわっていくのかというところは重要なところだというふうに考えています。
 質問は、そのために県として飛散防止等の不安はあるわけですけれども、県がどこまでもう一度どこまでかかわって、そのクリーンなエネルギーを使っていくことに対して対応をとっていただけるのかというところについて、考え方を聞きたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 長島交通基盤部長。
○交通基盤部長(長島郁夫君) 環境に配慮した田子の浦港の整備についての再質問に対してお答えいたします。
 石炭の粉じんの飛散防止につきましては、現場の状況にもよりますけれども石炭ヤード内の散水とか防じんネットの設置とか運搬車両のタイヤの洗浄などそういう対策が適切に行われることが必要と考えており、この対策はですね、石炭を取り扱う荷主や荷役業者の責務と考えています。
 県としては、これらの環境対策が適切に講じられるよう荷主や荷役業者に対する指導をしっかりやっていくと。徹底していくということが県の役割であると考えております。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 要望を一点申し上げます。
 責務として、これは制度的なものの中での今お話をされたというふうに考えておりますけれども、しかしながら石炭は古くて新しいエネルギー源だというふうに考えています。そういう意味では先ほど申し上げましたように、かつての公害というイメージを払拭して産業を育成していくというか新しいエネルギー源として導入していくという企業の姿勢もはっきりしてきているわけですから、そういう意味ではやはりその環境対策はですね、一刀両断で今のようなお話だけではなくて、やはり企業側の負担をどう避けていくかということも必要だというふうに思っています。
 せっかく焼却をしてそしてそこから出る窒素酸化物であったりあるいは亜硫酸ガスといいますか粉じん等も非常に減っているという技術が導入されて、しかも二酸化炭素の回収もできるというふうなことで先ほどの例で申し上げました北九州市の例では、もう既にことしの七月から北九州市で開発された技術が中国電力でしょうか、広島にある電力会社で既に営業運転に入るというふうなこともあるわけですから、そういう意味ではですね、その流れをしっかりどうやってサポートしていくか。そのためには船からおろした段階からそして焼却をして使われて排出されるまでの一連の流れの中で安全対策といいますか、環境配慮は必要だと思っています。
 そういう意味で港湾にかかわる県としての責務といいますか、かかわりは非常に重要だと思っておりますので、ぜひともそこの部分についてですね、先ほどの御答弁は今の時点では了解しましたが、今後のやっぱり企業がそこで生き残っていくために石炭をどううまく使うかということについてはですね、ぜひとも産業育成といいますか地域の経済の部分を考えていただきながら御検討いただきたいということを要望したいと思います。
 次の質問に移ります。
 最後でありますけれども、自動車運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の制定背景と周知方針について伺います。
 昨年中、全国の交通事故死亡者数は四千三百七十三人。静岡県でも百八十四人と大変残念な結果でありました。事故原因についてはそれぞれ過失によるものももちろんあるわけですが、ここ数年全国で起きた特に痛ましい事故について振り返ってみますと平成十一年、東名高速道路上で飲酒常習者が普通乗用車に追突し、幼い子供二人が焼死された事故を初め平成二十三年の栃木県下における、てんかん発作によりクレーン車が暴走した事故。あるいは昨年四月の京都において無免許少年が暴走し、それぞれ通学中の学童などが多数死傷した事故など極めて危険な運転者による死亡事故として記憶に新しいところであります。このような特異な事故は、静岡県では近年発生していないと聞き及んでおりますが、当然ながら発生する可能性はゼロではありません。何としても未然に防がなければなりません。
 昨年十一月二十七日、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律が制定されました。御案内のとおり現在の危険運転致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪について刑法から切り離し、特別法として制定するものであります。これは平成十一年の危険運転罪の制定、平成十九年の酒酔い運転の厳罰化を経て、さらに悪質な運転による死傷事故に適用する罰則を強化したものと理解をしております。要諦は厳罰化そのものがゴールではなくて、あくまでも前例を挙げたような悪質運転による事故がない社会をつくっていくことであります。それにはせっかく公布された法律の意義を早い段階で広く社会に周知し、施行後より大きな効果が生じ事故防止につながっていくことが必要だと考えます。
 そこで、この法律が制定されることとなった背景とどのように強化されたのか、その概要について伺います。また同法律は、詳細な検討が加わりことし五月までに施行予定ということですが、県警として今後どのように周知していくかについて、警察本部長に伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 島根警察本部長。
○警察本部長(島根 悟君) 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の制定背景と周知方針についてお答えいたします。
 まず制定の背景でありますが、これまでも悪質危険運転に対する罰則強化が図られてきたところでありますが、近年飲酒や無免許等の運転により死傷者多数の重大事故が相次いで発生する中、悪質危険な運転にもかかわらず危険運転致死傷罪に該当しないため軽く処罰されるのは納得しがたいといった遺族の御意見等を受け、今回の法制定に至ったものと承知しております。
 その主な内容としましては通行禁止道路、具体的には政令で定める予定の一方通行道路や高速道路を逆行するなどにより事故を起こした場合が危険運転致死傷罪に追加されたほか、これまでは危険運転致死傷罪の適用が困難であったアルコールや薬物の影響による事故、運転に支障を及ぼすおそれがあるとして政令で定められた病気の発症による事故の一定の場合について危険運転致死傷罪の新たな類型と定められました。またアルコール等の発覚を免れるために逃走などの行為をした場合の罰則の新設、無免許運転であった場合の刑の加重等の規定が盛り込まれたものであります。
 次に、周知方針でありますが、新法の目的とするところは悪質危険な運転を防止し悲惨な交通事故を一件でも減らすことと認識しております。今後政令で定められる部分もあることから、これら概要が決まり次第順次県警ホームページや各種広報紙に掲載するとともに、医療機関や報道機関への情報提供、運転免許窓口や企業講習など機会を捉えて周知に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 十番 鈴木澄美君。
       (十番 鈴木澄美君登壇)
○十番(鈴木澄美君) 最後に要望を一点申し上げます。
 昨年の暮れですけれども、平成十一年先ほども触れましたが、東名高速道路上で発生しました飲酒運転による痛ましい事故で犠牲になった幼い二名の子供さんの御両親にお会いする機会がありました。あの事故以来、御両親は全国を回り飲酒運転撲滅に力を注いでいます。遺族は生涯この悲しみと苦しみから解放されることはないのでしょうか。厳罰化が進むことは状況が悪化し続けていることを意味しています。特効薬はなかなか見つからないかもしれませんけれども、地道に県民一人一人が事故を起こさない起こさせない安全教育の徹底などを通じて、撲滅に向けなお一層の取り組みを要望いたします。以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(中谷多加二君) これで鈴木澄美君の質問は終わりました。
 議事の都合により、休憩します。

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