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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成21年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

07/27/2009

会派名:

民主党・無所属クラブ


質疑・質問事項:

1 行政改革について                         
 (1) 県の事業の見直し                        
 (2) 外郭団体への天下り禁止                     
2 地域主権日本一を目指す取り組みについて              
 (1) 市町への権限移譲                        
 (2) 建設事業等に対する市町負担金                  
3 教育改革について                         
4 本県の農林水産業の振興について                  
5  「未来の暮らしを創ろう」 について                 
 (1) 乳幼児医療費助成制度の拡充                   
 (2) 本県の医師確保等の取り組み                   
6 観光地の再興に向けた取り組みについて               
7 地球温暖化対策について                      
8 景気・雇用対策について                      
 (1) 経済対策                            
 (2) 離職者訓練                           
9 富士山静岡空港について                      
10 富士山静岡空港に関する行政監査について              
11 浜岡原発の安全確保について                    
 (1) 公開シンポジウム                        
 (2) 委員会設置                           
 (3) プルサーマル   



    ○副議長 (堀江龍一君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 三十番 小長井由雄君。
            (三十番 小長井由雄君登壇 拍手)
    ○三十番 (小長井由雄君)  私は民主党・無所属クラブを代表し当面する県政の諸課題について、 知事並びに関係部局長、 教育長に質問します。
     質問に先立ち、 七月五日投開票された静岡県知事選挙において、 多数の県民の支持を得、 第五十五代の静岡県知事に就任されました川勝平太知事に対し心よりお祝いを申し上げます。 おめでとうございます。
     現在、 日本の政治、 経済、 社会は、 戦後かつてない厳しい変動の中にあり、 地方自治体にも新しい発想と勇気を持った決断が求められる時期にあります。
     知事はこれまで、 学問の分野ですぐれた識見を十二分に発揮され、 多くの業績を上げてこられました。 とりわけ静岡文化芸術大学を高い水準の大学にまで引き上げた実績は高く評価されます。 また県政において、 戦後初めての民間出身の知事として民間経営の手腕が期待されるところであり、 三百八十万県民の負託にこたえて、 静岡県に日本の理想をつくることに期待するものであります。
     これまでの知事選挙直後の議会での知事発言はあいさつ程度でありましたが、 川勝知事は二十一日に初めての所信表明を行いました。 議会を重視し、 県民に対し御自身の考えを伝える最良の機会が議会であることからすれば大いに評価するところであり、 知事の意気込みを感じたところであります。
     我が民主党・無所属クラブは、 四期十六年続いた石川県政に対し、 是は是、 非は非として議会運営に取り組み、 県勢発展のために活動してまいりました。 今後四年間川勝県政に対しましても、 緊張感を持ってしっかりと提言し、 県民の負託にこたえるべく努力してまいりたいと考えております。
     それでは、 知事の所信表明及び選挙期間に発表されたマニフェスト 「静岡に日本の理想を創ろう」 や街頭での演説並びに当選後の御発言などから、 知事の政治姿勢、 信条、 そして知事の考える理想の静岡県の姿などについてお伺いいたします。
     最初に、 行政改革についてのうち、 県の事業の見直しについて伺います。
     知事は、 静岡の政を変えるとして、 行政改革を待ったなしで取り組むとしております。 無駄遣いをなくして効率的な県政に変えるという宣言のもと、 税金を一円たりとも無駄にしないという姿勢で効率的かつ効果的に県政を運営していこうとされており、 その手腕には大いに期待するものであります。
     しかし一方、 厳しい財政状況の中でありますので、 無駄遣いのない効率的な行政運営を行うためには、 もう一度県で行っている事業を徹底的に総点検して原点に立ち返り、 本当に必要なのかどうかを検証した上で無駄なものや必要性の少ない事業は思い切った見直しを行わなければなりません。 そしてそこから生じた人や物、 時間などの資源を、 県にとって本当に必要な施策、 市町としっかり連携のとれた事業に重点的に投入することが重要であると考えます。 まさに徹底した事業の見直し作業こそが、 今後の知事が行おうとしている県政の礎になると考えます。
     知事は、 この重要な県の事業の見直しに当たりどのようなやり方で臨もうとしているのか、 そしてどのような判断基準を設定して行おうとしているのか伺います。
     次に、 外郭団体への天下り禁止について伺います。
     国家公務員については、 早期退職慣行を背景とした押しつけ的あっせんにより再就職を行う天下りが問題となっており、 国では公務員制度改革にかかわる工程表の中で、 天下りの根絶に向け必要な法案を二十二年度中にも提出する計画としております。
     一方、 本県退職者の再就職状況を見ますと、 県出資の公益法人等五十八団体に二十年四月一日時点では常勤役職員千三百人余のうち八十七人が再就職している実態にあります。 退職者の長年の行政経験により培った能力の活用や雇用の確保も大切なこととは思いますが、 県内の雇用情勢が厳しい中、 公務員に優先的に再就職先が確保されているとしたら県民の理解を得ることは難しいのではないかと考えます。
     知事は、 マニフェストの三つの柱の一つである行政改革において、 県庁OBの天下りの現状を洗い出しあっせんによる天下りを禁止することを掲げておりますが、 外郭団体への天下り禁止に向けた知事の基本的な考え方を伺います。
     次に、 地域主権日本一を目指す取り組みについてのうち、 市町への権限移譲について伺います。
     現在、 国においては、 「地方が主役の国づくり」 をフレーズに掲げた地方分権改革推進委員会が今年の秋には第三次の勧告を行い、 また新しい分権一括法が本年度中には上程される予定であるなど、 地方分権実現に向けた機運が高まっております。 こうした中、 本県では、 住民に身近なサービスは基礎自治体たる市町が優先して担えるよう、 県内市町への権限移譲を積極的に進めています。 この結果地方行財政調査会の調査によれば、 本県は移譲対象法律数が百二十本と全国トップクラスであると聞いております。
     県から市町への権限移譲の実績を積み重ねることは市町の自治能力の向上につながり、 国の分権推進の動きを後押しすることとなるなど重要な意義を有しており、 今後さらに取り組んでいく必要があると考えます。 また移譲対象となる行政サービスを安定的に提供するために、 事務移譲に当たってはその財源を措置することが不可欠です。
     全国的に地方分権についての関心が高まる中、 知事は地域主権日本一を掲げ取り組まれるとのことですが、 今後権限移譲をどのように進めていくのか伺います。
     次に、 建設事業等に対する市町の負担金について伺います。
    去る六月二十四日、 全国知事会など地方六団体でつくる地方分権改革推進本部は、 全国の都道府県が行う公共事業等に伴い都道府県が市町村に求めている負担金に関する調査結果を公表しました。 その結果を見ると、 すべての都道府県が市町村負担金を徴収しており、 その対象となる事業費の明細の開示状況や負担金決定の手続についてはばらつきがあることがわかりました。
     本県では、 負担金の徴収に当たってあらかじめ市町の意見を聴取して承諾を得ていると聞いておりますが、 当事者である静岡県市長会からは本年六月に建設事業等における市負担金の廃止について意見書が公表されるなど、 市町については現状に満足していないものと考えております。 一方本県を初め全国知事会は、 国直轄事業負担金に関して使途の明細の開示や制度の最終的な廃止を国に対して求めています。 私は、 県が国に対して求めていることは同じことを市町に対しても行うべきだと考えています。
     知事はマニフェストの中で、 国直轄事業負担金の見直しとあわせて市町負担金も廃止に向けて検討することを明らかにしていますが、 市町負担金について御所見を伺います。
     次に、 教育改革について伺います。
     イギリスのブレア前首相は、 施政方針の中で、 「政府の三つの優先課題を挙げれば、 それは一に教育、 二に教育、 三に教育である」 と述べて教育改革の必要性を国民に訴えました。 そして実際すべての学校での子供の学力向上とICT化を中心とした改革を進め、 子供たちの意欲や学力の向上だけでなく教員の意欲も向上させるという着実な成果が得られたと伺っています。
     知事が今回の選挙で示されたマニフェストにおいても、 教育改革では 「一に勉強、 二に勉強、 三に勉強」 の運動を静岡から起こしていきたいとされております。 「文化・芸術に触れる機会を増やす」 こと、 「読書コミュニティづくりを進める」 こと、 「世界を見る目を養う」 ことなどを示し、 静岡県から将来の日本を背負って立つ力強い青年を輩出するために子供に対する教育を総合的に見直すことを訴えています。
     そこで、 知事の教育改革に対する基本的な考え方について改めてお伺いします。
     また、 知事が静岡文化芸術大学の学長時代に委員を務められた理想の学校教育具現化委員会の提言を受けて、 静岡式三十五人学級が本年度、 中学校一年生と二年生に適用され、 本県で少人数学級がスタートしました。
     そこで、 新たに導入された少人数学級の制度を、 今後県としてどのように進めていくのか、 知事の考えをお伺いします。
     同じく提言では、 教員の長時間労働と授業の準備時間が少ないという現状を取り上げ、 子供の指導に直接関係しない業務の軽減や授業準備時間の確保を課題として挙げています。
     そこで、 教員の負担を軽減し、 教員が子供と向き合う時間の充実と指導の準備時間等の確保についてどのように進めていこうとお考えなのか御所見を伺います。
     さらに、 青少年の視野を広げ新たな日本のエリート像を示すために構想されている仮称JICAグローバル大学院の設立について、 今後どのように推進されるのか知事の考えを伺います。
     次に、 本県の農林水産業の振興について伺います。
     本県は美しい自然環境に恵まれていますが、 これは農林水産業など地域の暮らしと産業に裏打ちされたもので、 この美しい風景を守っていくためには農林水産業を育てることだとの知事の食と農の改革の考えには大いに共感するところであります。
     本県の主要な農産物はお茶やミカン、 野菜や花卉の施設園芸で、 カロリーベースでの食料自給率を上げる農産物の生産が多くありません。 しかしこれらの農産物は本県の自然条件に最も適した物であり、 県民に食の安全と安心を確保し県民の健康を守っていくためにも、 茶、 果樹、 野菜、 畜産を初めとする本県らしい農業を一層振興し、 農業経営の安定化を図る必要があると思います。
     また、 森林に目を向けますと、 安倍川や大井川、 天竜川などの上流では、 古くから木材生産が行われ美しい人工林が守られております。 近年では、 これらの林業先進地域に加え、 富士山周辺や伊豆半島においても人工林資源が充実しつつあります。 これらの森林資源を有効に利活用していくためには、 活用する人が多い県産材を使用した住宅建設への助成制度であるしずおか優良木材の家総合支援事業を一層推進するなど、 県産材の利用促進に向けた取り組みを積極的に進め林業の再生を図る必要があると思います。
     一方、 漁業においては、 駿河湾のサクラエビやシラスを初めとして、 伊豆のキンメダイ、 遠州灘のトラフグ、 浜名湖のアサリなど、 それぞれの海域に応じた漁業が古くから営まれ多くの水産物が供給されてきております。 しかしながら近年の状況は、 消費者の魚離れ、 魚価の低迷、 燃油価格の高騰、 藻場の減少等の漁場環境の悪化、 漁業資源の減少など漁業経営を取り巻く環境は厳しい状況にあると伺っておりますが、 魚に含まれる栄養成分への理解の高まりや地元産の安全・安心な食品への期待など漁業にとって明るい要素も感じられます。
     このように、 農林水産業は静岡の風土を再生するために最も重要な産業であると私は認識しております。
     そこで、 県民に安全で良質な農林水産物を安定的に供給していくため、 本県の農林水産業の振興にどのように取り組むのか伺います。
     次に、 「未来の暮らしを創ろう」 のうち、 乳幼児医療費助成制度の拡充について伺います。
     知事は、 ブータンの前国王が提唱したGNH  国民総幸福量日本一を目標に掲げられました。 静岡に住む人が安心して暮らせる社会にし、 そのほかの地域から静岡県に住みたいと移り住んでくる人がふえるような理想の県を目指されるということです。
     そのような中、 知事が述べられている住んでよし訪れてよしの静岡づくりを目指す上で、 医療、 少子化、 高齢者対策をしっかりと進めていくことは大変重要であります。 中でも、 子供を産み育てやすい環境づくりを進めるためには、 子育て家庭の経済的負担を軽減する乳幼児医療費助成制度の充実が必要と考えます。
     県内市町の状況を見ますと、 入院または通院のいずれかでありますが、 本年四月で静岡市、 浜松市、 裾野市など十四市町が中学三年生までを、 また沼津市、 三島市など十市町が小学生までを助成対象としている一方で、 十三の市町が未就学児にとどまっております。 自己負担については、 例えば入通院とも無料の市町が十五市町ある反面、 十七市町が入通院とも自己負担ありとなっております。 このように同じ県内でありながら住んでいる市町によって助成の状況に格差が生じているのが実態であり、 県民がひとしく助成を受けられるように、 県が市町に負担を求めることなく助成する制度とすることが求められています。
     市町に対し助成する現在の県の制度においては、 対象年齢は入通院ともに未就学児までにとどまり、 所得制限や自己負担金が設けられております。 他県では東京都や神奈川県、 群馬県、 愛知県の四都県において助成対象年齢が中学三年生まで拡大されているなど、 全国的に見ると制度を充実する動きもあります。
     知事は、 マニフェストの中で、 乳幼児医療費助成制度について中学三年生までの延長や所得制限の撤廃、 対象経費の拡大等について検討することを掲げられています。
     そこで、 対象年齢の拡大、 所得制限や自己負担金の撤廃をどう進めていくのか伺います。
     次に、 本県の医師確保等の取り組みについて伺います。
     医師の充足状況を比較する際に指標として用いられる人口十万人当たりの医師数を見ると、 本県は百六十九・九人で全国平均二百六・三人を大幅に下回り、 四十七都道府県中四十四番目と大変低迷しております。 また県内各地の公的医療機関等において、 医師不足や診療科の偏在が顕著となっています。 とりわけ小児科、 産科、 麻酔科などが深刻で診療科の休廃止を行わざるを得ないところも出てきており、 市民生活に大きな影響が生じております。 当面医師数を全国平均並みにすることが必要と考えますが、 そのための取り組みはどのように行っていくのか伺います。
     また、 医師数の診療科ごとの偏在を解消するために、 県はどのようにしていく考えなのか、 あわせてお伺いします。
     次に、 医師不足は本県だけの問題でなく全国共通であり、 根本的には国が昭和五十七年の閣議決定以降、 医師の過剰を招かないようにという誤った状況判断のもと全国の医学部定員を抑えてきたことにあると言えます。 今後は医科大学の設置に向け、 国に対して積極的に要望していく必要があるのではないかと考えます。 これまでの経過の中で県も病院もそれぞれ対策を講じてきていますが、 県として医師不足に取り組む病院への財政支援に対する考え方をお伺いします。
     次に、 女性医師についてであります。 近年医師国家試験合格者数で見ると、 医師国家試験合格者全体に占める女性の割合は三分の一を超える状況にあります。 こうした多くの割合を占める女性医師は、 結婚、 出産を機に医療現場を離れそのまま職場に復帰しない医師も多く、 このことも医師不足の原因となっていると聞きます。 こうした状況を踏まえ、 女性医師の復職支援や就業環境の整備についての考え方、 取り組みについてお伺いします。
     次に、 勤務医の処遇に関して県としての対応についてお伺いします。
     昨今の医療界、 特に勤務医をめぐる環境は、 医師個人の強い使命感や医療現場の献身的な努力だけではもはや解決できないほど厳しいものになっていると聞きます。 とりわけ新医師臨床研修制度の導入をきっかけに顕在化した医師不足の問題は、 過重労働の問題、 医療事故や医療訴訟などの問題と相まって、 地域医療供給体制を確実にむしばみ続け、 医療の質、 安全の面からも看過できない状況を招いております。 またこのような状況をもたらした原因が、 長年にわたる行き過ぎた医療費抑制策にあることは明らかです。
     現在、 最も重要なことは、 医師としての活動を正当に評価し勤務の状況に応じ適切な報酬を支給するとともに、 過重労働を可能な限り少なくするために医師として診療に専念できる環境をつくり出すことではないかと思います。 現在医師が置かれたこうした過酷な環境を少しでも改善するため、 勤務医の処遇改善について県の対応と対策をお伺いします。
     次に、 観光地の再興に向けた取り組みについて伺います。
     平成十八年十二月に成立した観光立国推進基本法において、 観光は二十一世紀の我が国の発展に必要な基幹産業であると位置づけられ、 観光立国の実現のために国の施策を総合的に調整する機関として観光庁が発足しました。 また県においても、 富士山静岡空港開港を踏まえ、 平成二十年度に観光局を設置し観光交流客の拡大に取り組んでいます。
     しかしながら、 国が六月末に発表した宿泊旅行統計調査によれば、 平成二十一年第一四半期の全国の延べ宿泊客数は六千九百十四万人と前年同期比五・六%減、 本県は三百二十三万人で三・八%減と、 このところの景気の悪化により観光業界は大きな影響を受けているものと思われます。 また県の資料によれば、 本県全体の観光交流客数は昭和六十三年度をピークに近年は一億三千万人で横ばい、 宿泊客数については平成三年度の二千八百万人をピークに長期的な減少傾向にあると伺っています。
     本県は、 首都圏からのリピーターが多い伊豆、 舘山寺温泉を含む浜名湖地域、 日本の象徴である富士山の周辺地域のほか、 駿河・奥大井地域、 中東遠地域などそれぞれ地域ごと異なる観光の魅力を持ち、 全体的に豊かな自然や温泉などの観光資源に恵まれている我が国有数の観光県であると思います。
     しかし、 目玉となる観光資源があるだけで誘客できる時代は過ぎ去り、 観光客の形態は団体旅行から個人旅行に移り、 観光客のニーズも体験型、 学習型など多様化しています。 また増加する外国人観光客を受け入れる体制づくりなど、 地域が取り組む課題は多いものと思われます。
     このような状況の中、 知事はマニフェストでおもてなし日本一の観光政策を進めると述べておられますが、 本県の低迷する観光地の再興のためにどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、 地球温暖化対策について伺います。
     今月上旬にイタリアのラクイラで開催されたG8  主要八カ国首脳会議では、 地球温暖化問題について先進国が二〇五〇年までに温室効果ガスを八〇%以上削減するという、 これまでよりも踏み込んだ目標が採択されたところであります。 しかしながら引き続き開催されたG8に中国、 インドなどの新興国が加わった主要経済国フォーラム首脳会議では、 新興国の反発が強く二〇五〇年までの具体的な温室効果ガス削減目標を盛り込むことができず、 地球温暖化対策の国際的合意が難しいことを改めて感じたところであります。
     今後、 本年十二月にデンマークのコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組条約第十五回締結国会議  COP15での合意形成に向けて引き続き協議することとしており、 我が国も積極的な関与が望まれるところであります。
     一方、 我が国においては昨年七月に北海道洞爺湖サミットを開催し、 その後、 低炭素社会づくり行動計画を閣議決定し、 二〇五〇年までに温室効果ガスを現状より六〇から八〇%削減するという長期目標を策定したところであります。 しかし本年六月に、 政府が発表した二〇二〇年の中期目標では、 二〇〇五年を基準として一五%削減にとどまるなど温暖化対策が足踏み状態にあるような印象がしております。
     このような中、 本県においては、 これまでストップ温暖化しずおか行動計画の目標を実現するため、 地球温暖化防止条例に基づく産業部門の取り組みの強化や一人一人の県民の行動を促す啓発活動を実施し一定の成果を上げてきたことは承知しておりますが、 これまでの取り組みを踏まえ、 本県としてさらにもう一歩踏み込んだ施策の展開が必要だと感じています。 地球温暖化問題は、 人類に課せられた大きな課題であり、 知事のグローバルな視点と幅広い人脈を駆使して、 世界へ発信していくような環境政策、 環境施策の実施を期待するところであります。
     そこで、 今後本県としてどのように地球温暖化対策に取り組んでいくのか知事の考えをお伺いします。
     次に、 景気・雇用対策について伺います。
     昨年九月のアメリカの金融不安に端を発した世界経済の混乱は、 本県経済に大きな影響を与えてきました。 国においては、 昨年十月の生活対策、 十二月の生活防衛のための緊急対策に続き、 今年四月には経済危機対策を発表し平成二十一年度補正予算が成立しました。 県においても、 国の補正予算を活用し、 雇用対策や中小企業支援などの緊急的な対策などについて、 六月補正予算を先議し可決したところであります。
     政府は景気は底を打ったと強調していますが、 雇用情勢は深刻で六月末に静岡労働局から発表された静岡県の五月の有効求人倍率は前月をさらに下回り〇・四倍となり、 四カ月連続で全国平均を下回り、 また過去最低も更新したとのことです。 家計の消費スタイルも不況下で節約傾向があらわれていると言われており、 景気が上向いているという実感は県民の皆さんにはないと感じます。 このような中で、 二十一日には雇用や経済情勢への対応を協議する静岡県緊急経済・雇用対策会議が立ち上げられました。  
     そこで、 今後県としてどのように経済対策に取り組んでいくのか知事の考えを伺います。
     また、 内閣府の外郭団体である社団法人経済企画協会が、 民間エコノミスト等による予測を集計し今月九日に発表しておりますが、 その結果によると、 失業率は今後平成二十二年四から六月期の五・六六%まで上昇を続け、 それ以降緩やかに低下するものの平成二十三年一から三月期まで五%台半ばで推移すると予測しております。
     このように、 雇用情勢は今後も引き続き厳しい状況が続き早急な回復が見込まれない中で、 失業者の増加に加え失業期間の長期化も懸念されております。 本年二月議会でも指摘いたしましたが、 失業した人が今後将来にわたり安定的な雇用につくためには、 再就職を支援する職業訓練が大変重要であります。 しかしながら新聞報道によれば、 雇用能力開発機構が実施している離職者向け訓練に応募者が殺到し、 神奈川県では五・七四倍のコースもあるなど、 希望してもなかなか職業訓練が受けられない状況にあるとのことであります。
     こうしたことから、 国では平成二十一年度補正予算において、 新たに緊急人材育成・就職支援基金を創設し、 雇用保険を受給できない方を対象とした職業訓練を実施するとともに、 職業訓練期間中の生活を保障するために給付金を支給するなどの支援を行うとのことであります。
     そこで、 国のこれらの対策を踏まえ、 今後県として離職を余儀なくされた方々への職業訓練をどのように行っていかれるのか伺います。
     次に、 富士山静岡空港に関する諸問題について伺います。
     一九八七年十二月建設地が現在の場所に決定してから、 実に二十二年の歳月と事業費千九百億円という巨費を投じて建設を進めてきた富士山静岡空港が、 去る六月四日に国内で九十八番目の空港として暫定開港しました。 開港に至るまでの間、 数度にわたる需要予測の下方修正や開港日の延期、 採算性や地形、 気象条件面などからの建設反対運動の存在、 用地の強制収用、 さらには測量ミスによる暫定開港など、 長年にわたり静岡県政上の大きな課題となってきたプロジェクトであります。
     特に、 議論され続けた航空需要については、 中部国際空港はもとより羽田や成田、 伊丹、 名古屋、 関西空港といった拠点空港はいずれも近過ぎて結ぶことができず、 ローカル路線のみということが利用者確保に大きなマイナス要因となっています。 建設地決定時は年間五百三十四万人の需要を想定していましたが、 平成七年では百七十八万人、 平成十五年には国内線で百六万人、 国際線でも三十二万人の利用が見込めると予想しています。
     六月四日の開港以来二カ月近く経過しましたが、 これまでの利用状況は、 七月二十二日現在の搭乗率で札幌線八三・六%、 沖縄線八二・八%、 福岡線は六一・九%となっており、 国内線利用者数の合計は五万一千三百九十三人、 国際線は二万一千五百三十人だと聞いています。 また霧などによる視界不良での欠航と目的地外着陸  ダイバート便は四十四便に上り、 就航率も目標を下回る九四・一%にとどまっており、 建設前に指摘されていた問題が早くも開港直後に発生しています。
     このような中で、 知事は就任直後の十日には静岡空港から福岡に飛び、 福岡県知事に静岡空港の利活用を要請するなど、 日本航空との福岡線運航支援にかかわる覚書にある目標搭乗率七〇%の達成に向けて、 相互に需要拡大に努めるとの締結内容を実施するために行動を起こされました。 また二十三日には新たに就航した路線で小松空港へ飛び、 石川県県知事との間で誘客拡大の連携を進めるなど、 スピード感を持って行動されております。
     そこでお伺いします。 知事は就任後の記者会見で、 搭乗率保証に関しては基本的に見直す、 しかも一刻を争うとし、 七〇%という搭乗率の適正や静岡県が一方的に保証するだけになっている点、 また相互努力の実施の現状についても疑問を呈されています。
     我が民主党・無所属クラブは、 県民に一方的に負担を強いることになる可能性が高いこの搭乗率保証の導入には反対してきました。 十一月末には見直すことになっていますが、 既に大きく下回っている現状から見ても、 この搭乗率保証は廃止するべきだと考えます。
     今後搭乗率保証をどのように取り扱っていくのか、 また日航一社のみの突然の搭乗率保証の実施発表で傷ついた他社との信頼関係の回復についてもどのように考えるのか伺います。
     また、 予想されてはいましたが、 開港後気象の影響による欠航便と目的地外着陸がたび重なっており、 利便性を懸念する声が出ております。 完全開港になって精密進入方式が整備されても、 就航率は〇・一%程度しか変わらないということであり、 静岡空港の利便性、 安全性の面で、 信頼、 信用に影響を及ぼすのではないかと思われますが、 今後どのように対処していくのかお伺いします。
     次に、 富士山静岡空港の開港延期と暫定開港に関する行政監査について伺います。
     静岡県監査委員は、 富士山静岡空港滑走路西側の制限表面の上に高さ制限を超える立ち木などの支障物件が残り、 開港延期と滑走路短縮による暫定開港となった問題で、 県がこれまでに前石川知事が空港建設に必要な土地収用にかかわる測量や作図作業にミスがあったとして業務遂行上のミスを認めていることなどから、 その原因や業務遂行上の適否について、 昨年十一月から本年三月にかけて空港部と空港建設事務所を対象とした県政史上初めての行政監査を実施しました。
     三月十八日に測量の実施や県民に対する情報公開と説明責任などの六項目について指摘し、 県に対して改善または検討することを求めました。 そして七月十七日に、 この監査結果に基づいた県側の措置がどのようにとられたかが公表されたところであります。 県の回答は、 監査委員が指摘した六項目の改善・検討項目のうち、 成果品の検査体制、 監督業務の適正化、 組織内の連携と記録の整備、 県民に対する情報公開と説明責任の四項目については認め、 改善・検討の措置をとったということであります。 しかし測量の実施と地権者との交渉については指摘に対し反論しております。
     いささかのミスも許されない土地収用に当たって、 測量のミスなど聞いたことがありません。 航空レーザー測量の誤差や立ち木の成長という点は常識的に十分想定されることであり、 業務をより慎重に進めるべきであったと思います。 また地権者との交渉においても、 地権者は公開された法廷などの場で支障物件の存在を主張してきており、 県はその存在をもっと早く認めて交渉に当たれば、 別の展開の可能性もあったとする指摘は適切だったと思います。
     今回の監査委員による六項目の指摘に、 静岡空港問題が集約されていると言うつもりはありません。 しかしこれまでの空港問題の経緯から見れば、 指摘に対する回答は監査に対する誠実な態度とは思えません。 前石川知事の完全開港に向けての辞任を  これを私としては辞任して責任をとったと理解していますが  技術的な面でよりも、 そのことの重みを感じるべきであります。 監査委員の指摘に対する回答を作成するに当たり、 指摘を真正面から受けとめ回答するべきではなかったかと考えます。
     また、 監査委員の指摘に対する空港部の姿勢は、 県民の意思とは遊離しているのではないかと思います。 県職員と一丸となって県民の支えになり、 根っこになって静岡に日本の理想をつくろうとする川勝知事の姿勢とは違うと思います。 今回の監査委員の指摘を真摯に受け入れる姿勢が必要ではなかったかと思いますが、 知事の考えをお伺いします。
     次に、 浜岡原発の安全確保についての静岡県の役割と責任について伺います。
     静岡県の最大の課題は、 マグニチュード八クラスの巨大地震と予想される東海地震、 さらに超巨大型も予想される東海、 東南海、 南海の複合地震から、 県民、 県土の安全に万全を尽くすにあることは知事にも異論のないことだと思います。
     静岡県は、 山本、 斉藤、 石川と三代にわたる知事の東海地震対策の結果、 全国有数の地震対策先進県と言われております。 しかし、 前知事の時代は、 「原発は国と企業の問題、 国も企業も浜岡原発は地震に絶対安全だと言うのだから、 それを信用するのが県の姿勢だ」 と言ってきました。
     近年、 地震と原発をめぐる環境は百八十度の変化を見せております。 国自身が原発絶対安全論から変化し、 「危険もあり得る」、 「耐震指針も絶えず見直し、 企業に最大限の安全対策を求める」 と、 その姿勢を変え始めました。 中部電力も昨年九月の東京高裁法廷での 「一号機、 二号機も絶対安全だ。 二〇一一年には運転を再開する」 との主張を、 三カ月後の十二月には 「目標地震動に対応するためには、 相当な工事費用と工事期間を要する」 として廃炉を決定しました。
     静岡県の浜岡原発地震対策を、 県民の安全・安心の確保を第一に転換できるのは川勝知事以外にはないとの思いを込めて、 以下三点に絞って伺います。
     これまでに、 浜岡原発四号機でのプルサーマル実施について、 資源エネルギー庁と保安院や中部電力が地元四市で開催した説明会や公開討論会では、 参加した住民の質問、 意見に、 「プルサーマルの是非の前に、 東海地震で浜岡原発が本当に壊れないか納得いく説明が先だ」 というものが多くあったと聞いています。 また中越沖地震の後に、 明治大学の研究グループが地元四市住民を対象に実施した世論調査でも、 住民の一番の心配は浜岡原発の地震事故という結果が新聞に報じられていました。
     こうした事実、 状況を踏まえて、 地元住民や市民団体は国、 県に公開シンポジウム、 公開討論会の開催を要求してきましたが、 いまだに実現しないままプルサーマル実施準備が先行しております。 これまで静岡県は、 国に対したびたび共同開催を要請してきたようですが、 国は開催に応じていません。 国に直接要請した市民団体に対しては、 「静岡県が熱意がないので」 との虚言を弄しているとも聞いています。 情報公開と県民参加による開かれた県政を目指す知事の手で、 ぜひとも東海地震に浜岡原発は安全かという公開シンポジウムを実現していただきたいと思いますが、 知事の考えをお伺いします。
     全国の原発設置県の多くは、 安全対策の諸問題を審議する専門家委員会を組織し、 その情報を県民と共有しております。 静岡県には県民に公開されないアドバイザー制度がありますが、 その活動実績はベールに包まれており、 しかも委任されているアドバイザーは原発安全論者のみと伺っております。
     このような閉鎖的なアドバイザー制度を廃止し、 柏崎刈羽原発を持つ新潟県の先例等を参考に一方に偏しない専門家、 学者による公開された浜岡原発安全対策専門家委員会を設置し、 県民、 県土の安全・安心に寄与させることを考えていただけないか知事の考えをお伺いします。
     プルサーマル計画は使用済み燃料を六カ所で再処理することが条件で出発しましたが、 使用済みプルサーマル燃料を再処理する国の六カ所再処理工場の建設計画は頓挫したままで、 いまだに建設開始も完成年度も不明の状況です。 プルサーマルに対する賛成反対についての是非はさておき、 たとえ浜岡原発四号機でのプルサーマルが稼働したとしても、 そこから排出される猛毒の使用済み燃料は持って行き場がなく、 大地震の危険が確実視される浜岡原発敷地に貯蔵されることになるのではないかと思います。
     既に新燃料が浜岡原発内に運び込まれていますが、 使用済みMOX燃料再処理の道筋がつくまで運転を見合わせることを、 プルサーマル賛成反対の立場を超えて国と中部電力に提言してほしいと思いますが、 知事の考えを伺います。 以上で私の質問を終わります。 (拍手)
    ○副議長 (堀江龍一君)  川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  小長井議員、 御質問ありがとうございました。 質問の問題意識の多くを私も共有しております。
     まず初めに、 行政改革についてのうち県の事業の見直しについてでありますが、 これからチーム川勝で答えてまいります。 まずトップを切って私からということでございます。
     本県では、 これまでも業務棚卸表を活用した行政評価を行う中で事業を見直すとともに、 この評価結果や見直しの内容を翌年度の予算編成や業務の改善などに反映させ、 効率的な行政運営に努めてきたものと考えております。
     しかし、 景気の低迷で厳しさを増す現在の財政環境のもとで今後も行政サービスを安定的に維持するためには、 さらに徹底した事業の見直しを行い、 不必要なもの、 無駄なものを排除し、 本当に必要な施策を行うようにしなくてはなりません。 そのためには現在行っている内部の評価だけに基づくのではなく、 新たに外部の視点を加え、 より透明性の高い客観的な評価による事業の見直しが必要であります。
     具体的には、 第三者の専門家や県民の皆様の目により、 事業の必要性や実施主体などについて判定していただく事業仕分けの手法をまず導入し、 県民の目線でどうか、 最適な実施主体かどうか、 効率的な執行内容となっているか等を判断の基準として事業の見直しを行い、 これまでの新公共経営の成果も生かしながら、 無駄のない一層効率的な県政の実現に努めてまいりたいということでございます。
     次に、 外郭団体への天下り禁止についてであります。
     県職員の外郭団体への再就職につきましては、 これまで外郭団体からの求めに応じて、 再就職を希望する定年退職予定者の中から、 その業務に必要とされる職務経験、 能力、 技術などを有している者を紹介いたしまして、 採用の可否は当該団体に判断していただいていたと承知しております。
     しかし、 この人材の紹介は県と外郭団体の二者間で行われており、 結果といたしまして長期的には県職員退職者が同一の外郭団体のポストを占めているといった状態にありますことから、 再就職する場合の過程の透明性を高めるべく、 現在の仕組みは早期に見直すことが必要であると考えております。
     また、 一方で外郭団体におきましても当該団体の健全な運営、 活性化のため、 役職員の採用に当たりましては、 職務権限や責任にふさわしい人材を民間、 公的機関を問わず広く求めることが適当であるというふうに考えております。
     このため、 今後県が出資する外郭団体に対しまして、 来年度以降の役職員の採用に当たりましては、 官民を問わず意欲を持った有能な方が応募できる公募制を取り入れていただくように要請してまいりたいと考えております。
     次に、 教育改革についてであります。
     今日の社会におきましては、 豊かな生活のための経済力は不可欠でありますが、 物の豊かさに加えて心の豊かさを多くの人々が望むようになっております。 従来の豊かさの尺度は、 GDPに代表されるように量ではかれるものでございましたが、 現在世界的に注目されておりますブータン王国の国王の提唱なさいましたGNH  国民総幸福度は、 精神的幸福のように量ではかれない目標を発展のビジョンに置いており、 この考え方に私は深く共鳴しております。
     教育において目指すべき人間像を、 文武両道は言うに及ばず、 文武芸の三道を兼ね備えた徳のある人を考えておりまして、 「一に勉強、 二に勉強、 三に勉強」 の運動を静岡から起こすことにより、 学問、 スポーツ、 芸術いずれの分野におきましても、 すぐれた人材を県内各地から輩出することが理想であります。
     よく知・徳・体というふうに言われるわけですが、 そうすると徳というのは知と体と別個にあるがごとくあります。 この考え方はおかしいとかねてより私は思っておりました。 知育は何のためにするのか、 ものをよく知る、 勉強する、 そのことによって立派な人になるためです。 体育は何のためか、 体を鍛える、 スポーツのルールを知る、 自分の体の限界を知る、 そして負けたときの潔さ、 スポーツマンシップを身につけると。 これもまた立派な人間になるためのものであります。 これは徳育と本来不可分なものでございます。 そういう問題意識から、 静岡県では理想の教育として心と体の調和した徳のある人間をつくっていこうということにしたというふうに私は承知しておりますが、 心の中に知・情・意という三つがある、 心の中に、 知すなわち知育、 情  感性、 意  意欲です。 そういう英数国理社のような知育、 それから芸術、 これはもう映画や音楽や演劇や図画やそうしたものも含みますけれども、 こうした情  感性豊かにするもの、 それから何よりも意欲というのが大切です。 そうしたものが心の中に入っている。 心と体の調和した徳のある人ということであります。 そして、 全体として知育の中から学問、 感性豊かな人を目指す情操教育の中から芸術家、 体をしっかり鍛えて静岡県が誇るすばらしいスポーツマンを輩出しておりますけれども、 そのようなスポーツということで文武芸三道、 これが静岡県全体としてそういう教育をしているということがこれからの理想ではないかと思うのであります。
     教育の中心を担う学校教育の改革に当たりましては、 少人数学級の推進、 専門性の高い教員による指導、 教員と子供の向き合う時間の拡充が大変重要でございます。 少人数学級編制につきましては、 本年度取り組みを始めました静岡式三十五人学級の中学一、 二年生の成果を検証しながら、 学校現場の要望や実態等を勘案いたしまして段階的に取り組んでまいりたいと考えております。
     教職員の負担軽減につきましては、 有能な退職教員等の外部人材の活用をいたしたいというふうに思っております。 そのために教員OBのデータベース化を図りまして、 組織的に  これまでも教員OBの方々がいろいろな形で新規採用の教員の指導に当たられたりされてこられましたけれども、 これもシステムとしてやってまいりいたいと思っております。 それとともに議員御指摘のように、 ICT化の導入によって事務業務の効率化を進めるほか、 小学校では授業準備時間を確保するための教科担任制の推進、 中学・高校では部活動のあり方についての検討が必要であると考えております。 部活動の御指導をいただくために、 先ほどは教員のOBと申しましたけれども、 県から輩出した芸術家やあるいはスポーツマン、 この方々もデータベースとしてきっちりとこちらで把握をいたしまして、 その方々に教育の現場で後進の指導あるいはそういう力をつけていただくために地域の人々の御指導を賜るという、 そういうシステムを考えております。
     仮称JICAグローバル大学院の設立につきましては、 青年海外協力隊が行っている生活環境や自然環境をよくする実践活動を、 大学院修士レベルとして評価する環境経営学修士号の創設にかかわる具体的な方策を研究したいと考えております。
     これは、 静岡県全体がテキストになるという考え方でございます。 静岡県は確かに美しい。 一方で例えば安倍川の上流の大谷崩れというのがございます。 これは行かれたらすぐに体感できるわけですけれども、 これは非常にそれと向き合うのが難しいわけであります。 そうしたものは体でわかります。 そうしたものが実はテキストになると。 一方伊豆半島におきましても、 あるいは浜名湖周辺におきましても、 駿河におきましても、 それぞれすばらしい第一次産業の展開がこれまで見られております。 それぞれ地域の特性を生かした特産物ができてるわけですけれども、 それらが実はまた一方でテキストになるわけですね。
     そういう意味で、 これは私は世界のだれにでも、 特に開発途上国で、 自然環境が厳しい、 第一次産業これを何とか立派に育て上げて、 少なくとも国民の衣食住のうち食にかかわるものをきっちりと確保したいというふうに若い青年たちは念願してるわけであります。 そういう青年たちから見ると、 これは静岡県の景観というのは全く違って見える。 そのときの教師はだれになるんでしょうか。 そうなりますと、 これは私は静岡県全体がそういうものになり得るというふうに思っているわけです。
     しかし、 各地から来られるとなれば何語で教えますかとなりますと、 差し当たって例えば別府の立命館のアジア・パシフィック・ユニバーシティー  アジア太平洋大学というのは入学定員の半分が外国人です。 外国人が四百人でありますけれども、 その構成している国の数というのは百近くございます。 そうすると英語でやるわけですが、 言うまでもなく日本にあこがれて来てるわけですから、 すぐに日本語ができるようになるんですね。 ですからたとえたどたどしい言葉であっても、 JICAグローバル大学院では、 体で教える、 現場で教える、 ジェスチャーで教える、 しかし英語で教える。 しかしながらそのうち全部日本語で通ずるようになります。
     ですから、 内外の教員による内外の青年たちを教える。 静岡県全体をテキストにすると。 それはグローバルに必ず役に立つと。 これほど厳しいと同時に美しい自然環境はありません。 富士山がフィリピン海プレートとあるいは太平洋のプレートとそれからユーラシアのプレートの合わさるところにあるわけですから。 そうしたことはもうグローバルに考えないと、 富士山の由来やあるいは丹沢の由来、 箱根の由来、 伊豆半島それ自体の存在もわからないわけですね。
     そうした地球的な観点からこの地域を見るということで、 十分に役に立つものを我々は持っているので、 そうした大学をこの地に持ってき得るというふうに私は確信しているわけでありますが、 あわせて青年海外協力隊の実践活動に学位を付与いたしまして、 総合的な地域の力をつけていく人材育成のための世界的な機関として新たな大学院の設立を文部科学省や外務省に働きかけるとともに、 すぐれた技術力と豊かな自然に恵まれている本県が設立の地としていかにふさわしいかアピールしてまいりたと考えております。
     たまたまきのう、 隣に塩谷立先生が座られていたんですが、 お目にかかりまして、 それで早速向こうのほうから  先生のほうからその話がありましてまだやりたいとおっしゃってました。 ですから、 これは一人のハートを打ったということで、 議員の先生方の御協力も賜りながら、 私、 この日本のど真ん中に、 世界に発する国際機関をこちらに誘致するんではなくて、 こちらから国際的に発信できるようなそういう大学院を設立したいというふうに念願しているわけでございます。 (発言する者あり) ありがとうございます。
     次に、 本県の農林水産業の振興についてでありますが、 農林水産業は県民へ安心で安全な食料を安定的に供給することはもとより自然資源に満ちあふれた本県の美しい景観を守り育てる重要な産業であります。 つくるだけではだめなんですね使わないと。 需給ということを考える形で農林水産業の振興を図ってまいりたいと思っているわけです。
     しかし、 差し当たっては農林水産業の振興につきましては、 意欲ある担い手の確保・育成や、 農林水産物の高い品質  高付加価値化の推進、 販路の拡大、 高性能機械の導入や新技術の開発による生産性の向上などに努めるとともに、 水産業に当たりましては資源管理の徹底にも取り組んでいるところであります。
     今後は、 こうした施策に加えまして、 工芸品という名から触発されました農芸品すなわち芸術品のレベルにある質の高い農林水産物のブランド化の推進をいたします。 これは第一次産業として世界トップクラスにあるという自覚のもとに進めてまいりたいと思います。
     それと同時に、 議員御指摘のように森の活用についても同様であります。 ある公共施設をつくるといったときに、 それを鉄筋コンクリートでつくるというのが当たり前になっておりますけれども、 鉄筋木造ということがあってもよろしかろうと思います。 コンクリートで鉄筋を巻くかわりに、 その立派に育っている丸太を鉄で両端を挟めば十分に鉄筋コンクリートと同じ役割を果たせるわけです。 そうするとその木材は東京都にはありません。 しかしこちらは議員御指摘のように大井川にもある、 天竜川にも伊豆半島にもそういったすばらしい天然資源が眠っているわけですね。 こうした物を活用すると。 しかしそれは切り出しから流通から市場に行くまでのシステムをつくらねばなりません。
     そうしたところにシステムを考えながら援助をしていくということが大切で、 単に森林管理の枝打ちであるとか間伐の方法を学んだだけでは十分でない。 同じように遊休地を活用して農産物をつくる、 その技術を身につけただけでは十分でない。 そのことはとっても大切なんですけれども、 その必要条件としてそれを流通に回して販売まで持っていって、 そして地産地消でここで回していくというところまで御一緒に考えてまいりたいというふうに思っているわけです。
     そういうことを考えた新たな担い手の確保、 そして第一次産業、 第二次産業、 第三次産業を総合的に組み合わせた地産地消を図る仕組み、 これを考えまして農林水産分野においても、 日本のどこにもないシステムで新しい商品や事業を創出することが必要であります。
     このため、 県といたしましては、 ブランド化の積極的な推進、 新たに農林漁業を目指す方々への支援、 県民に安全で良質な農林水産物を安定的に需給できる構造の構築、 都市と農山漁村の交流促進など関係機関や農林漁業者と連携して、 本県農林水産業の振興に積極的に取り組んでまいります。
     次に、 観光地の再興に向けた取り組みについてでございます。
     最近の観光の形態は、 団体で観光地を見て回る物見遊山型から、 個人やグループによる多様な価値観に基づいた体験型、 目的指向型に大きく変化しております。
     この変化に対応するためには、 観光関係者のみならず、 県民一人一人が日本の誇りである富士山や伊豆半島を初めとした本県の美しい自然、 駿河の文化、 遠州のものづくりなど、 人々を魅了する地域の力を再認識して、 そのすばらしさを多くの人々に知っていただくように多様な手段で情報発信するとともに、 この魅力を生かしてお客様をもてなすシステムも考えるということが大事であると認識しております。
     このため、 伊豆ブランド、 富士山ブランド、 浜名湖ブランドといった国内外に通用する地域の観光ブランドの創出を図るとともに、 豊かな農林水産資源を生かしたグリーンツーリズム、 富士山や南アルプスでのエコツーリズム、 豊富な温泉資源を生かしたヘルスツーリズムなど、 新しいツーリズムこれを推進してまいりたいというふうに思うのでありますが、 その一つとして今、 富士山が世界文化遺産になるその重要なステップとして暫定リストに載っているわけでございますが、 その富士山、 それから伊豆半島も、 これはジオパークとして  ジオパークというのはその地質が世界で非常に珍しいがゆえに世界全体の共有財産にしようというユネスコが始めた運動でございますけれども  私はそういうものになり得るというふうに思っておりますし、 さらにまた世界で最初の川の世界文化遺産としての天竜川の世界文化遺産化なども、 地域の人々がそのようなお志があるならば応援してまいりたいと思っております。
     また、 富士山静岡空港の開港により、 韓国や中国を中心とする東アジア地域や北海道、 九州を初めとする国内遠隔地が、 本県の観光にとって新たな観光マーケットとなるものであります。
     なるほど羽田へは近過ぎるので飛べません。 しかしながら例えば中部圏知事会というのがございます。 そこには富山県あるいは石川県あるいは岐阜県、 長野県などがお入りになっておられます。 そうしますと日本の三名山というのをめぐるということになりますと、 立山、 白山、 富士山となります。 立山文化圏、 白山文化圏、 富士山文化圏、 これは非常に大きな広がりがあります。 こうしたところを見たいという人はやっぱりいるのですね。 そしてさらに、 富山空港なり小松空港におり立つ、 そしてそこから黒部を見るとか長野の景観を楽しむ、 そして富士山を見て伊豆半島に来る、 そして最終的にこの富士山静岡空港からお帰りになる。 その逆もありましてそういう観光商品が香港や台湾で既に  もちろん富士山静岡空港では今のところございませんけれども  そのような地域間を空港を利用して楽しむという観光商品が開発されてるということでございまして、 この間の中部圏の知事会でもそのようなことを共同して推進していこうということになっております。
     そのような意味におきまして、 中部圏全体、 すなわち東京だけ考えるのではなくて地域間のネットワークをつくることによって地域自立のインフラ整備を図っていくと、 こういった絵が道州制をにらむということにもなってまいります。 それだけでなくて、 富士山静岡空港を利用した国際会議の誘致とか国内外からの観光客の誘致に向けまして、 私自身が先頭に立ってトップセールスを進めてまいります。
     県といたしましては、 本県を訪れるお客様が、 観光関係者はもとより地域が一体となった日本一の心のこもったおもてなしを受け、 本県の魅力に感動し再び訪れてみたくなるよう、 そういう方向で一層の観光振興に取り組んでまいります。
     なお、 その他の御質問につきましては、 チーム川勝を構成する関係部局長のほうからお答えを申し上げます。
    ○副議長 (堀江龍一君)  大村総務部長。
            (総務部長 大村慎一君登壇)
    ○総務部長 (大村慎一君)  以下、 同様にチーム川勝としてお答えいたします。
     地域主権日本一を目指す取り組みについてのうち、 市町への権限移譲についてお答えいたします。
     地方分権社会を確立するためには、 住民に身近な行政サービスはできる限り住民に身近な基礎自治体である市町村において実施することが必要でございます。 こうした考えのもと本県におきましては、 これまで四次にわたる権限移譲推進計画を策定いたしまして、 議員御指摘のとおり全国で最も多い百二十の法律上の権限の移譲を行うとともに、 移譲に当たりましては権限移譲の事務交付金制度による財政支援や県・市町村職員人事交流制度による人材の支援措置を講じながら、 積極的に市町への権限移譲を進めてきたところでございます。
     一方国におきましては、 福祉、 まちづくり、 生活安全分野など三百五十九の事務権限を基礎自治体である市町村に移譲することを内容とする地方分権改革推進委員会の第一次勧告を受けまして、 本年度中に地方分権改革推進計画を策定の上、 新地方分権の一括法を上程することといたしております。
     県といたしましては、 県と市町の行政の重複を避けることを初めとして、 県民にとって便利で効率的な行政サービスの実現を目指して市町とも意見交換を行いながら、 権限、 財源、 人材の三位一体による一層の権限移譲に取り組んでまいりますとともに、 国に対しましては全国知事会など地方六団体と連携を図りながら勧告内容の確実な実施を働きかけてまいりたいと考えております。 以上です。
    ○副議長 (堀江龍一君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  地域主権日本一を目指す取り組みについてのうち、 建設事業等に対する市町負担金についてお答えいたします。
     建設事業等市町負担金については、 先日の全国知事会において直轄事業負担金制度の改革の趣旨を踏まえ同様に見直しを行うとされたところでございます。 本県といたしましては、 まず説明責任を果たし透明性の確保を図るとの観点から、 今年度から市町に対し負担金の使途の明細について説明することとしたところであります。
     市町負担金のあり方につきましては、 市長会からの廃止を求める意見もある中で、 国直轄事業負担金における国と地方との役割分担の見直しの議論と同様に県と市町との役割分担の見直しなどの議論が必要であると認識しておりますので、 地方分権推進の観点から市町の意向を踏まえ、 積極的に検討してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  大須賀厚生部長。
            (厚生部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○厚生部長 (大須賀淑郎君)   「未来の暮らしを創ろう」 についてのうち、 初めに乳幼児医療費助成制度の拡充についてお答えいたします。
     乳幼児医療費助成制度は、 子育て家庭の経済的負担の軽減を図るとともに、 疾病の早期治療を促すために事業の実施主体であります市町村に補助金を交付しているものであります。 子供の医療費の負担軽減は、 地域によって違いが生じないよう国が全国一律で実施すべきものであり、 これまでも国に対して要望してまいりました。
     一方、 県といたしましても、 従来から対象者の拡大と制度の拡充とともに、 その統一化に努めてまいりましたが、 前回の改正から五年近く経過しており、 制度のあり方について市町村と協議し検討する時期に来ているものと認識いたしております。 対象年齢の拡大等、 制度の拡充につきましては、 国や他県の動向を注視するとともに、 他の医療費助成制度とのバランスや県、 市町村の財政状況なども勘案しながら総合的に検討してまいります。
     次に、 本県の医師確保の取り組みについてであります。
     医師の不足や偏在を解消するためには、 国において抜本的な制度改正等を行うことが必要であると考えますが、 本県といたしましても医師確保対策として効果があると考えられることは、 あらゆる手段を講じて実施する方針で臨んでおります。
     特に、 医師奨学金を拡充することが当面の医師確保に効果的であることから、 本年度は大学一校当たりの入学定員を大幅に上回る百三十九人に貸与したいと考えており、 こうした取り組みにより医師確保に最大限努めてまいります。 また、 特に医師不足が深刻な産婦人科、 小児科、 麻酔科においては、 専門研修中の医師を対象に奨学金を貸与する診療科を特定した専門研修医枠を設けて、 診療科間の医師偏在の解消に努めております。
     医師不足等に取り組む病院への財政支援につきましては、 優秀な指導医のもと豊富な症例を経験できる病院が医師にとって魅力ある病院であり医師が集まる病院でありますことから、 海外からの研修指導医の招聘や勤務医の国内外への派遣研修を行うなどの事業に取り組む公的病院等への財政支援を行っております。
     近年、 女性の医師資格取得者がふえておりますことから、 女性医師を確保することは医師確保対策上ますます重要となっております。 このため再就業に必要な知識技能を再取得するための支援や病院内保育所への運営費補助を行っており、 本年度からさらに短時間正規雇用を行う病院に対し代替医師の雇い上げに必要な経費を助成するなど、 女性医師の復職支援や就業環境の整備に努めております。
     次に、 勤務医の処遇改善についてでありますが、 本年度から分娩を取り扱う医師及び救命救急センター等に勤務する医師に手当を支給する医療機関へ支援を行うことといたしました。 またこれまでも産科、 小児科の医師の負担軽減の観点から、 病院が行う医療クラークの雇用や助産師外来の設置に対し支援を行ってまいりましたが、 本年度からはさらに院内助産所も支援の対象に加え、 産科医師の負担の軽減を図ることといたしました。
     今後とも本県医療水準の維持向上のため、 医師確保対策の充実にさらに努めてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  丸山県民部長。
            (県民部長 丸山康至君登壇)
    ○県民部長 (丸山康至君)  地球温暖化対策についてお答えいたします。
     地球温暖化は、 人類の生存にかかわる喫緊の課題であり、 国はもとより地方公共団体、 事業者、 住民が互いに連携しながら、 それぞれの役割を果たし、 温室効果ガスの排出削減に取り組んでいくことが重要であると考えております。
     このため、 県では地球温暖化防止条例に基づき、 事業者の温室効果ガスの計画的な排出削減の促進や、 家庭における省エネルギー行動を促すSTOP温暖化アクションキャンペーンの展開などの省エネルギー対策に努めるとともに、 新エネルギーの導入促進に向けた普及啓発や庁舎への太陽光発電の率先導入などを進めているところであります。
     現在、 国においては、 本年十二月に予定されているポスト京都議定書の合意に向けて、 さまざまな温暖化対策の検討が進められていると聞いております。 このような状況を踏まえ、 県といたしましては、 幅広い有識者で構成する県地球温暖化防止県民会議等の意見を伺いながら、 クリーンエネルギーの開発支援など、 本県の特徴である豊かな自然エネルギー資源を十二分に活用した新たな施策を盛り込んだ地球温暖化対策実行計画を策定することとしております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  岩瀬企画部長。
            (企画部長 岩瀬洋一郎君登壇)
    ○企画部長 (岩瀬洋一郎君)  景気・雇用対策についてのうち、 経済対策についてお答えいたします。
     県内の経済・雇用情勢は、 有効求人倍率が悪化していることに加えまして、 個人消費についても減少が続いているなど景気が上向いているという実感を県民が感じることは難しい状況であると考えております。
     このような状況に対し、 全庁を挙げてより迅速かつ弾力的な対策を打ち出していくため、 従来の静岡県経済対策連絡会議を改め、 去る七月二十一日に知事を本部長として第一回目の静岡県緊急経済・雇用対策会議を開催いたしました。 会議では、 県内の経済動向や雇用情勢の調査結果や各部局の緊急経済・雇用対策の取り組み状況などの報告があり、 その結果九月補正予算に向けて実効性が上がるよう工夫を凝らし事業の実施準備を進めること、 経済界や民間有識者をメンバーとする緊急経済対策諮問会議を早急に立ち上げるなど民間の御意見を伺い事業に活用していくこと、 及び機動的な事業執行の仕組みについて検討を行うことなどを取りまとめたところでございます。
     今後とも、 県内の経済・雇用情勢を注視しながら、 国や市町とも連携し迅速かつ弾力的に有効な対策の実施に努めてまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  堀川産業部長。
            (産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○産業部長 (堀川知廣君)  景気・雇用対策についてのうち、 離職者訓練についてお答えいたします。
     離職を余儀なくされた方が、 早期に安定的な雇用の場に再就職するためには、 社会や産業界が求めている知識や技能を身につけるための職業訓練を、 求職者の増加に対応して迅速に実施していくことが重要であると考えております。
     県では今年度、 雇用情勢の悪化を踏まえ、 離職者を対象として県内三カ所の技術専門校で実施している職業訓練の定員を昨年度の倍以上の千五百五十四人に拡大したところでありますが、 これらの訓練への応募倍率は七月十七日応募分までで約二・一倍と高い水準にあります。 このため今後多くの求人が見込まれる介護やIT分野などの職業訓練を八月以降も順次募集するとともに、 年度当初の計画に追加して新たな募集も行うこととしております。 また県内で年間数千人程度の職業訓練機会を提供する国の緊急人材育成支援事業が七月末から実施されますことから、 県が行う職業訓練とあわせて離職者への積極的な情報提供に努めてまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  岩ア空港部長。
            (空港部長 岩ア富夫君登壇)
    ○空港部長 (岩ア富夫君)  富士山静岡空港についてお答えいたします。
     福岡線の搭乗率保証につきましては、 県民負担の発生を防止する観点から、 県議会の附帯決議を踏まえて、 六月三日に県と日本航空との間で交わした覚書をどのように見直すことが可能なのか、 あらゆる可能性を含め現在慎重に検討しているところでありますが、 これとあわせてまずは需要喚起に努め、 目標搭乗率の確保に向けて全力で取り組んでまいります。 また他社との関係につきましては、 沖縄線の着陸料を国管理空港並みに減額するとともに、 富士山静岡空港利用促進協議会と連携した広告費支援を行うなど、 各航空会社の御要望を伺いながら路線ごとの対応を図っているところであります。
     次に、 開港以来、 天候不順のため欠航や目的地変更が生じておりますことに関しては、 自然現象によることであるとはいえ利用者の皆さんにはまことに申しわけない事態と受けとめております。 現在欠航や目的地変更が生じた場合には、 県から報道機関に対して、 航空会社から提供された情報を遅滞なく提供するとともに必要に応じて運航情報について県民の皆様への周知をお願いするなど、 利用者の方々に必要な情報の提供に努めております。
     このほか、 気象庁が昨年から現地において蓄積した気象資料に基づき、 今年秋から予定している航空会社に対する飛行場気象予報の提供も、 就航率向上につながる改善策と期待しているところであります。
     県といたしましては、 霧の発生が危ぶまれる時期において相応な改善が期待できる計器着陸装置いわゆるILSは、 来る八月二十七日から完全運用する予定としておりますことから、 まずはこれを着実に実施してくことが肝要と考えております。
     次に、 富士山静岡空港に関する行政監査についてであります。
     監査委員から平成二十一年三月十八日に、 静岡空港の暫定開港に関する行政監査結果について御通知をいただき、 その際に改善または検討を要する事項について改善措置を講ずるとともに、 その結果について報告を求められましたことから去る六月二十九日に報告したところであります。
     今回の行政監査の結果により改善または検討を要する事項として御指摘をいただいたのは、 測量の実施についてほか五項目でありました。 県としては、 いずれも極めて重大な御指摘と受けとめ、 成果品の検査体制、 監督業務の適正化、 組織内の連携と記録の整備等の改善を図ることとし、 測量の実施及び地権者との交渉についても、 これまでの空港建設に係る一連の経緯を踏まえ測量当時にさかのぼり、 問題の原因や改善方策についてさまざまな検討を重ねた上で監査委員に御報告申し上げたところであります。
     今後とも業務の執行に当たっては、 監査委員の今回の御指摘を真摯に受けとめ適切に対応してまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  小林危機管理監。
            (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監 (小林佐登志君)  浜岡原発の安全確保についてのうち、 初めに公開シンポジウムについてお答えいたします。
     浜岡原子力発電所は、 耐震設計審査指針に基づき東海地震に対しても安全性が確保されているものと認識しておりますが、 中部電力では県民の安心感をさらに醸成するため、 十九年度までに目標地震動を国が示した八百ガルを上回る千ガルとする耐震裕度向上工事を実施し、 現在これを踏まえて新耐震設計審査指針に基づく三、 四、 五号機の耐震安全性評価、 いわゆるバックチェックについて国の審査を受けております。 またその一方、 中部電力では、 新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原子力発電所の事例をもとに地下構造特性調査を現在行っておりますが、 国ではこの結果も審査したいとしており、 このことが審査結果の公表がおくれている一因となっております。
     シンポジウムの開催については、 国はこれまでもこの審査が終了した段階で、 この結果の説明も含めて本県において公開で開催することを内諾しておりますので、 県といたしましては審査の終了を待ってその開催を求めてまいります。
     次に、 委員会設置についであります。
     原子力発電所の安全対策につきましては、 電気事業法及び原子炉等規制法に基づき、 原子力安全・保安院が規制、 監督を行い、 さらに有識者で構成される内閣府の原子力安全委員会が、 第三者機関として重ねてチェックを行う体制となっております。
     県といたしましては、 原子力安全対策に関する説明責任は国と事業者にあると考え、 国の審査の状況などについて県民の納得が得られるよう、 国や事業者に対してこれまでも県や地元自治体において公開による説明を求めてきたところであります。
     このように県といたしましては、 疑義のある事案があれば国と事業者に説明を求め、 改善させていくことこそが県の責任であると考えております。
     県の原子力対策アドバイザー制度につきましては、 五名の専門家から原子力発電所に関するさまざまな課題について的確な意見や助言をいただいております。 例えば昨年十一月に発生した五号機の気体廃棄物処理系の水素濃度上昇に関するトラブル対応の評価、 またプルサーマルの安全性の確認等においても、 適切な助言をいただいてきたところであります。
     今後は、 この制度をさらに充実させ、 静岡県における原子力発電の位置づけやその技術力、 特に安全性を核とした情報を県民に積極的に発信するため、 学術委員会のような組織の設置を検討してまいりたいと考えております。
     次に、 プルサーマルについてであります。
     使用済みMOX燃料の処分方法については、 国の原子力政策大綱の中で二〇一〇年ごろからその処分方法の検討を開始するとしており、 国により責任のある対応がされるものと認識しております。
     使用済みMOX燃料の処理方策が未定であることは、 浜岡原発だけでなく原子力政策全体における重要な問題であると県ではとらえておりますことから、 国がその政策責任者として事業者と協力して解決すべきものと考えております。 このため県では、 これまでも使用済みMOX燃料の処理方策について早期に見通しを立てるよう国に要請を行っており、 今後とも国や事業者に強く働きかけてまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  これで小長井由雄君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     七月二十八日午前十時三十分会議を開き、 質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。

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