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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 澄美 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/29/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 東日本大震災での災害ボランティア活動について
 (1) 課題認識とその活用
 (2) 高校生派遣の成果と今後の展開
2 富士山こどもの国の未整備部分の整備等について
3 富士山世界遺産センターの整備について
4 林業活性化に向けた総合的な取り組みについて
5 岳南地域の工業用水の料金見直しについて
6 岳南地域における産業の活性化について



    ○議長(植田 徹君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百三号から第百二十五号まで及び平成二十二年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業決算全部を一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、六番 鈴木澄美君。
           (六番 鈴木澄美君登壇 拍手)
    ○六番(鈴木澄美君) 自民改革会議の鈴木澄美と申します。富士市から新しく選出いただいた議員でございます。よろしくお願いいたします。
     通告に基づき、知事並びに関係部局長、企業局長、教育長に御質問させていただきます。
     まず初めに、先週本県を襲った台風十五号で被災された県民の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。また八月十七日に発生した天竜川水難事故及び三月十一日に発生した東日本大震災において犠牲になられた多くの皆様に心より哀悼の意を表し、被災地の一日も早い復興を願うものでございます。私ども静岡県民として、いつ発生するかもしれない巨大地震への備えは東北の皆様の犠牲を無にすることなく、その貴重な経験をさまざまな分野で共有させていただき生かすことで、少しでも報われるのではないかと考えます。
     そのような視点で、私からの最初の質問は、東日本大震災での災害ボランティア活動についてのうち、課題認識とその活用についてであります。
     災害発生から六カ月を経過し、現地は復興に向け歩み始めました。この未曾有の災害を通じて、阪神・淡路大震災をさらに上回る多くの経験、教訓を学びましたが、中でも災害ボランティア活動は小回りのきく復興支援であり、今後予想される本県にかかる災害において、その教訓が生かされるよう検証が必要であると考えます。東日本大震災の被災地の復旧・復興に向けて、全国から多数の災害ボランティアが駆けつけ、津波で破壊した建物の瓦れきの撤去、避難所の運営、被災住民の精神的ケアなどに貢献しました。この夏休み期間中も、多くの大学生、高校生等もボランティア活動に参加しています。
     本県の災害ボランティア活動は、災害直後から県ボランティア協会を中心に被災地支援に取り組みました。県の支援本部が岩手県遠野市に決まると同時に遠野市を災害ボランティア活動の拠点として位置づけ、四月八日には県現地支援調整本部のある遠野市浄化センターの敷地内に災害ボランティア支援センターを設置しました。さらに遠野市社会福祉協議会と連携した遠野まごころネットは、甚大な被害のあった三陸地域を支援するボランティア組織として大いに活躍し、現在も各方面から高い評価を得ています。遠野には、本県からこれまで延べ七百人を超える災害ボランティアが駆けつけ思い思いの支援活動をされたという実績があり、非常に心強く感じます。しかし現地ではさまざまな課題もあったことと思われます。東海地震の発生が予想される本県としては、東日本大震災での災害ボランティア活動の課題を把握しておく必要があります。また今後の参考としなければならないと考えます。本県は県ボランティア協会という全国有数の推進・運営組織もあり、先進的な取り組みがなされていますが、県と協会が連携して進めてきたこれまでの実績やノウハウは、全国にも情報発信され、活用されていくことが望まれます。
     ここで質問ですが、遠野市における県の現地支援調整本部は撤収する予定と聞きますが、災害ボランティア支援センターと県の連携はどのようになるのか、また東海地震に備え、今回の災害ボランティア活動で得た教訓や課題をどう評価分析し、今後に生かしていくのか、課題認識とその活用について、県の見解を伺います。
     次に、高校生派遣の成果と今後の展開についてであります。
     静岡県教育委員会では、八月二十三日から二十六日まで岩手県へ県内の高校生を派遣し、大槌町の避難所などにおけるボランティア活動及び被災した宮古市内の高等学校の生徒との交流事業を行いました。事業を終え新聞記事に紹介された生徒たちの感想は、「何よりも命の大切さを学んだ」、「高校生ができる支援活動をいざというとき率先したい」など、受け入れ側の事情により短期間で参加者が限られた事業ではありましたが、大きな成果が得られたことを感じさせるものでありました。この結果を踏まえ、このような事業を派遣しただけの事業として終わらせないためには、参加生徒に派遣前に目的意識を持たせることや派遣後においても何らかの形で成果を広めていくことが重要であると思います。さらに静岡県の防災教育を一層充実させるために、事業の継続や彼らの体験が学校ごとの地域防災対策に生かされるよう望むものです。高齢化が進む中、地域防災の担い手減少の解消策として、高校生たちは次世代防災リーダーとして期待できます。
     その点を踏まえて、今回の高校生派遣事業の成果と今後の展開についての所見を伺います。
     次に、富士山こどもの国の未整備部分の整備等についてであります。
     富士山こどもの国は平成十一年に開園し、百九十三ヘクタールの公園用地はすべて富士市から無償で借り受けているとのことですが、現在そのうち、草原の国、水の国、街の一部の九十四・五ヘクタールしか供用開始されておらず、森の国、地の国及び山の国の九十八・五ヘクタールの部分は、整備が凍結されたまま未使用の状態が継続しています。
     富士山こどもの国の完成は子供たちが自然に親しむ機会を一層拡大するとともに、富士山世界文化遺産登録に向け大きく前進した今、富士山周辺地域全体における交流人口増加に大きく寄与すると期待されますが、今後の見通しについて伺います。
     また、未供用地には植林帯を初め多くの樹木があり、富士山ろくの治山治水や環境緑化に大きな役割を果たしています。立ち木の管理に関しては、用地を借り受けている県が立ち木の善良な管理育成を行うとの約定があると伺っており、立ち木についても適切な管理を行っていただきたいと考えているため、県の考えを伺います。
     次に、富士山世界遺産センターの整備についてであります。
     去る七月二十七日、静岡・山梨両県から文化庁へ富士山に係る推薦書原案が提出されたと伺い、富士山の地元県議会議員としてはいよいよ富士山世界文化遺産登録の早期実現が近づいてきたと大変喜ばしく感じています。登録が実現されれば、これまでにも増して国内外から多くの方が富士山を訪れることになりますが、それらの来訪者が求める富士山の歴史や文化などを学習する場として、また周辺の観光等の情報を提供する場としての施設の設置が必要です。県は本年度、富士山世界遺産センターの基本構想を策定するとしていますが、そのためにはさまざまな観点から検討すべきと考えます。立地については複数ある富士山登山道との関連、富士山こどもの国や周辺の集客施設との相乗効果、環境負荷の少ない既存のインフラ整備、富士市の所有地であることなどを踏まえると、未整備の富士山こどもの国予定地は世界遺産センター用地として条件に恵まれた場所として見込まれます。この八月には地元富士市が静岡県に対し要望書を提出しています。
     富士山ろくの広域を有する富士市は、富士山本体区域を除き世界文化遺産登録の対象構成遺産が一つもありません。しかし富士山信仰の拠点である東泉院が富士市内に存在したことや、市民による世界文化遺産登録、あるいは登録後に向けた富士山と富士市に関する文化や伝統の掘り起こし、それらを生かしたまちづくりが行われるなど関心も高まり、活動が活発化しつつあります。例えば八月には修験者による富士山峰入り修行が七十二年ぶりに復活しました。室町時代に始まったとされる京都聖護院の修験者約二十名が富士市の鈴川海岸を出発し、富士宮市村山古道を通って富士山頂を目指すもので、かつては富士山中で修行し下山後はおはらいや祈・を行い、一九三九年まで実施されていました。途中、江戸時代に栄えた宿場町吉原宿で住民が一行をもてなすなど、当時の修行の光景が一部再現されました。また富士市比奈にはかぐや姫にちなんだ地名や伝説も多く残されており、「竹取物語」由来の地として語り継がれてきました。物語の中で富士の山の地名由来にも触れられています。ここに伝わる物語ではかぐや姫は月ではなく富士山に帰ったという説が残されています。中秋の名月に近い土曜日には祭典が催され、各地から観光客も訪れています。
     私は、九月初旬、世界自然遺産に登録されている知床半島と地元である斜里町ウトロ並びに羅臼町に行って、世界遺産センター及び羅臼ビジターセンターを視察してきました。世界自然遺産登録までの経緯、登録後の状況、そして課題などについて、羅臼町長や議会関係者、各センターの担当者から貴重な情報を得ることができました。保護と活用のバランス、例えば自然保護と地域産業や観光との両立、住民の積極的なかかわり、登録はスタートであり登録後の保全状態が随時チェック対象になるなど課題は多くあります。ナショナルトラスト運動が発端とも言われる地域だけに、登録以前からの地元行政や住民のかかわりが積極的で富士山の場合とはかなり異なるようにも感じましたが、どちらにしても地元のかかわりの大切さを感じました。また世界遺産センターもビジターセンターも内外に重要な役割を果たしています。
     そこで、富士山世界遺産センターの整備に向けた県の取り組みについて伺います。
     次に、林業活性化に向けた総合的な取り組みについてであります。
     林業の活性化に関連する本会議での質問は、六月議会でも自民改革会議の中谷県議を初め何名かの議員の皆様が質問され、県の林業施策について答弁をいただいていますが、私の質問は、森林・林業の再生に向け、山林の地主と消費者である県民を結ぶという視点で所見を伺うものであります。
     県が三月に策定した静岡県森林共生基本計画によれば、森に親しみ協働で進める森林との共生、森林の適正な整備・保全、森林資源の循環利用などを実現するために、さまざまな施策を展開することとしています。その成果を大いに期待するものではありますが、この中で木材を生産する上で重要となる施業の集約化に対する山主――山の主の理解はどうでしょうか。生産された木材を利用することで林業を間接的に支えている消費者の意識はどうでしょうか。特に木材の地産地消の意義を十分御理解していただいているでしょうかという点で疑問を感じています。こうした中、森林認証制度は山主が森林を適切に整備し、消費者がそれを評価して、生産された木材を選択して利用できる制度であります。このように森林認証制度は木材生産側である山主と消費者側である県民をつなぐことができるとともに、地域材のブランド化を高め、木材の地産地消についても消費者の理解が進み、県内外での県産材活用への活路開拓に大いに期待できるものであります。浜松市域では民有林の三〇%が認証林と言われています。しかし森林県民円卓会議などで議論される中では、制度概要の周知不足や住宅以外への木材利用の期待、複数の制度の存在、認定取得及び継続のための経費などで、さまざまな課題があるとされています。
     一方、このたび富士山世界文化遺産登録に向け大きく前進しました。包括的保存管理計画の中では、具体的な行動計画において健全な森林の整備を掲げています。これは県民が富士山周辺の森林にも注目し、森林の整備と木材生産に対する理解が深まる機会となるはずであり、静岡県森林共生基本計画に掲げた施策の実現が加速するのではないかと期待しているところであります。富士山ろくは、明治三十年代、治水のもとは水源涵養林にあると言って天竜美林に貢献した植林の祖である金原明善翁などが設立した静岡県山林協会が富士市桑崎に植林したのが始まりで、その後、富士山及び隣接する愛鷹山ろくにはヒノキと杉の人工林が広がっていきました。植林された木は第二次世界大戦中には乱伐されましたが、戦後再び植林され四十五年から五十年が伐期と言われ、今その時期が到来しています。しかし輸入材に押され材価は下がり森林荒廃の原因となっているのが現状です。世界文化遺産登録の効果に期待がかかりますが、先人たちが山にかけてきた思いや森林が果たす役割――水源涵養、治水、温暖化対策、資源などの重要な役割をすべての人が共有し、理解することが重要だと思います。
     林業を活性化するためには、森林認証制度や富士山の世界文化遺産登録に向けた取り組みを活用し、山側と消費者側をつないでいくことが重要と考えますが、県はこうした制度や取り組みの将来性、または施策への反映の可能性について、どのようにとらえているか所見を伺います。
     次に、岳南地域の工業用水の料金見直しについてであります。
     富士市は、紙のまちとして全国的にも知られるように、主要産業である製紙業が地域経済を牽引してきました。こうした中、日本製紙グループ本社は、去る八月三日、国内洋紙市場の縮小を初めとする厳しい経営環境に対応すべく洋紙事業の復興計画を発表しました。この計画では、グループ全体で洋紙生産能力の約一五%に相当する年間八十万トンの生産設備を二〇一二年九月末までに停機するとともに約千三百人の人員削減を行うこととしており、この中には富士工場の鈴川、富士の両事業所及び日本大昭和板紙吉永工場の富士市内の三拠点も含まれています。特に富士工場の鈴川事業所は事業統合前の大昭和製紙の時代から長い間、地域経済を引っ張ってきたことから、今回の発表は大変遺憾であり、また他の製紙会社へ波及することを危惧しております。
     国際競争の激化や東北地方の大震災に伴う需要縮小といった製紙業界にとっては非常に厳しい環境の中、製紙会社が生産体制を維持していくためには、企業の体質強化を図る必要があります。また特に製紙業は大量の水を必要とすることから、かつて富士地域では地下水の過剰な揚水により地下水の塩水化が発生、企業活動はもちろんのこと市民生活に重大な影響を与えました。対策として当時の行政、企業が協力体制のもと地下水の揚水制限などを取り入れ今日まで来ています。不足分の水を補うため、工業用水は当時の岳南地域の窮状を理解した県の功績により導入されたと理解しています。同時に企業は、かつて一トンの紙をつくるのに百トンの水が必要とされた時代に比べ、現在は相当の使用削減を実現、水のリサイクルのための設備投資を行うなど企業努力を重ねてきました。
     工業用水の導入後、約半世紀近くたち、施設の老朽化に伴う更新など再投資について検討される時期が到来していると聞いていますが、工業用水が導入された時期の経済、製造技術などと現在のそれを比べると大きく変化しており、大きな節目を迎えたこの時期に今後の岳南地域の工業用水のあり方について、需要側と供給側が議論することが必要と考えます。現状の岳南地域の厳しい経済状況を好転させる上では、県がかかわる工業用水の料金見直しが企業のコスト削減に直結するものと考えます。企業の体質強化を図るため今こそ工業用水の料金を見直すべきと考えますが、所見を伺います。
     最後になりますが、岳南地域における産業の活性化について伺います。
     富士市及び富士宮市の岳南地域は、かつて県内ではトップクラスの工業出荷額を誇り、静岡県の経済に大きく貢献してきたところでありますが、これを踏まえ、今後の厳しい経済状況にどう立ち向かい、回復していくのか、県として岳南地域の産業をどう考えていくのかの視点で所見を伺うものであります。
     リーマンショック以降、依然として改善の兆しがない景気状況や最近の急激な円高、国内の産業の空洞化に加え、三月十一日の東日本大震災による地域への影響はかなり厳しいものと受けとめています。さきの質問項目では岳南地域の基幹産業である製紙業の撤退、流出を取り上げました。このケースでは地域経済の最上部にある大企業の判断であるがために、傘下の下請け及び関連企業への影響ははかり知れません。地元行政や商工団体が影響調査を実施していますが、その結果は未定であります。大手製紙会社の生産縮小や東日本大震災を踏まえた災害リスクへの対応など、雇用や関連産業への影響が懸念される中、産業、経済の活力を維持、向上させていくために、深刻なのはこれに類する厳しい状況に歯どめがかからないことであり、地元富士市では仮称都市活力再生ビジョンを策定するための組織の設置を公表しました。しかしその機能が効力を発揮するのは二年先であり、早急にできることから対策を講じ企業が自信を取り戻し、この地域で事業を継承していただけるよう行政、業界団体、企業が一体となった行動が求められます。
     今回の質問に先立ち、富士市の担当部と静岡県に期待する事項について意見交換を行いましたが、幾つか紹介すると、企業誘致・留置の強化では、工業振興への支援拡大として企業の事業拡大への積極支援と移転企業の県内留置の強化、ファルマバレープロジェクト関連事業への支援、工業振興関係のインフラ整備に関する支援、ものづくり人材バンクの創設、用水型企業の負担軽減等が挙げられています。地場産業への支援では、紙の地産地消の推進、他業種との連携や新産業への進出支援、大手企業の事業縮小に伴う中小企業への影響緩和などを挙げています。そのほかものづくりへの関心と人材育成では工業系大学の誘致などがありました。また本九月議会では、静岡県雇用創造アクションプランの策定に関する予算案が上程されていますが、プランの骨子の中では、雇用の創造として、製造業、建設業、観光業及び農林水産業など地域基幹産業の活性化を掲げています。雇用の創造を実現するためには受け皿となる企業の存在が重要であると認識しています。
     そこで、製紙、輸送用機械、医薬品などの製造業を、いわゆる地域の基幹産業とする岳南地域において、県として本地域の産業活性化についてどのように考えているか所見を伺います。
     以上七件の質問項目について、答弁をよろしくお願いし、ひとまず私からの質問を終わります。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 鈴木澄美議員にお答え申し上げます。
     初めに、富士山世界遺産センターの整備についてでございます。
     富士山は日本のシンボルであり、もう既に奈良時代の古い時代から、この「神さびた」という信仰の対象になり、また芸術の源泉にもなってきた富士山を、「語り継ぎ 言ひ継ぎゆかむ」というように山部赤人によって歌われております。それが今日二十一世紀の富士山は、ただに日本の財産だけでなくて、世界の、人類の、将来にわたっての共有財産になるという、今その前夜にございまして、この富士山の適切な保存管理と活用を図ることが極めて大切です。
     そこで昨年度、静岡県総合計画を策定いたしまして、そこにおいて富士山世界遺産センター――これは仮称でございますけれども――これを整備するということをうたいました。それを受けまして、本年度ようやく富士山世界遺産センター――これは仮称ですが――基本構想策定委員会を設置する運びとなりました。日本を代表する有識者十四名の方の御快諾を得たものでございます。委員長には芳賀徹先生――県立美術館館長でございます。そして副委員長にはお二人、遠山敦子元文科大臣――また富士山世界文化遺産二県学術委員会委員長を務めていただいた方、さらに高階秀爾先生――日本における美術の最高権威でございますが、この方たちのほか日本を代表する世界的な建築家である伊東豊雄先生や、また隈研吾先生ほかの方々がお引き受けくださいまして、それぞれの御専門の立場から幅広い御意見をいただきますとともに、地元の皆様の御要望等をぜひくみ取りながら基本構想の策定に取り組んでまいります。
     私どもといたしましては、このセンターを富士山の包括的保存管理計画、そしてまた富士山の自然、歴史、文化などの情報提供を行う拠点にし、また多くの内外の来訪者のニーズに対応できるような拠点にいたしたいと考えております。加えて、やはり火山でもあり日本の山の象徴でもございますので、調査研究機能を持ちたい。そしてまたそうしたものを学べるような学習機能もあわせて備えたいと。さらに周辺施設とのネットワーク機能も持たせたいと。大変欲張っておりますけれども、そうした総合的な拠点にすることを通して富士山の適切な保存管理と活用を図っていこうと思っております。
     その場所でございますけれども、これは私も可能性のある場所を、あるいは関連施設を相当回りました。これはやはりこの委員会が答申していただく、その構想に応じた施設でなくちゃなりませんで、それとあわせて議員御指摘の登山道であるとか既存の施設との関係、さらに内外の方々の交通のアクセスの便も考えなくちゃならないということで、まだその立地については決まっていないというのが現状でございます。
     今後は、この委員会におきまして本年度中に基本構想をとりまとめまして、まさに日本の英知を結集して世界に誇る富士山に恥じない世界遺産センター――仮称でございますが――これを整備してまいる所存でございます。
     続きまして、林業活性化に向けた総合的な取り組みについてでございます。
     今年の三月に静岡県森林共生基本計画を策定いたしました。そこで木材を生産しながら森林を適切に管理していくためには、県民全体で森林を守り、育て、生かしていくということを通して、県民の皆様方と森林との良好な関係を築くことが重要であるというふうに位置づけております。
     県では、これまで森林・林業への理解と県産材利用を促進するために、森づくり県民大作戦などを開催いたしますとともに、森林資源の状況や県産材を使った住宅の情報などをインターネットで御提供申し上げております。これは森林情報共有システムと称しておりますが、あるいはしずおか木使いネット。木というのはハートのほうの気ではなくて、ウッド、ツリーの木でございますが、しずおか木使いネットなども整備してまいりました。
     御提案いただきました森林認証の取得につきましてでございますが、これは地球温暖化の防止や生物多様性の確保につながるものでございます。県内では既に約四万ヘクタールの認証が取得されております。議員御地元の富士のほか、天竜では地域材ブランドと森林認証を組み合わせた住宅建設にも取り組んでおられます。また議員御指摘のとおり、世界文化遺産登録におきまして包括的保存管理計画の策定を進めているところでございますけれども、その計画におきましては森林については、「間伐などを継続的に実施し、二酸化炭素を吸収、貯蔵する機能を持つ健全な森林を整備する」というふうに記述されておりますので、それに基づきまして森林景観の保存等につながるように関係省庁と連携をいたしまして、それにふさわしい保存管理計画を今策定しているところでごさいます。こうした認証の取得や世界遺産登録に向けた取り組みは県民にとってもわかりやすいと存じます。木材を通じて森林と都市住民とのかかわりを見い出すよい機会にしたいと考えております。
     さらに、これらの取り組みについて、現在、市町や森林・林業関係者が策定中の森林整備計画等への反映を指導しているところでございます。今後は、森林県民円卓会議――これは富士市だけでなくて、静岡、天竜、伊豆の合計四地域に設置されておりますが――この円卓会議等によりまして制度の概念を広く県民の皆様にお知らせすることで地域材のブランド化や利用の促進策として活用してまいりたいと思っております。
     御案内のように、今世界の材木はH迫をしておりまして、特に中国が大変な発展のただ中にあって世界の最大の木材の需要国になり、これまで日本がその最大であったわけですけれども、二位になった。と同時に国内の森林資源への新しい着目がございまして、特に本県におきましては日本における大手の製材会社が見に来ております。もちろん外国からも見に来ているということもございますけれども。そうした中で、大体年間、本来使われる森林資源のうち三分の一弱しか使っていない。それが数十年続いておりますから、これから百年ぐらい使い続けても、まだ森林資源がそこにあるという、それほど豊富な資源がございます。これをどう活用するかということが真に求められている。それをするためには初期投資も必要でしょう。それからこれまでの森林関係業者のしがらみに対しても、やはり新しい目でそれを取り除くような試みが必要です。私は富士川以東のほうがしがらみが低いのではないかと。先ほど金原明善先生の話が出ましたけれども、天竜であるとか大井川に古くからございます。ですから伊豆半島、東部、中部、そして西部とそれぞれ豊かな森林資源がございますけれども、どこかがモデルになって森林を使いやすいようにする。そうした受け入れやすい土壌のところから始めてまいりたいと思っています。これは競争です。
     そして一方、供給側がそのようにシステムを整えると同時に、一方需要側――消費者がこれを愛用するということがなければなりません。県としては、既に大型の公共建築物について大きくその使用において、グランシップのように、県外のものあるいは外国のものを使うというふうなことは一切しない。県産材を使う。そして、鉄筋木造コンクリートということで、木造建築と鉄筋コンクリートを二者択一にしないで、両者のよさを組み合わせたような、そうした使い方をも開発するというようにいたしまして、県産材の活用がこれまでをはるかに上回る形で進むように取り組んでいるところでございます。そしてまた地域材のブランド化を目指したいと、そしてその利用の促進を進めてまいりたいと考えているところでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(植田 徹君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 東日本大震災での災害ボランティア活動についてのうち、課題認識とその活用についてお答えをいたします。
     遠野市における県の現地支援調整本部閉所後の遠野災害ボランティア支援センターと県の連携につきましては、閉所後も遠野市に静岡県職員二名を駐在させ、遠野市と山田町、大槌町との連絡調整を行うこととしております。その中で支援センターとも引き続き連携を密にして、その活動を支援してまいります。
     また、今回の大震災で得た災害ボランティア活動の課題についてでございます。
     本県では、県の現地支援調整本部と同一敷地内に災害ボランティア支援センターを設置し、両者が連携することで継続的に支援活動を行っておりますが、その他の地域ではこのような取り組みは見られず、ボランティア活動を支えるリーダーの不足もあって県外からのボランティア活動に偏在をもたらす原因ともなっております。
     本県での想定東海地震などの大規模災害が発生した場合の災害ボランティアの対応につきましては、県内の総合調整機関として静岡県ボランティア協会が中心となり、静岡県災害ボランティア本部を設置いたします。加えて管内市町へのボランティア派遣などの調整を担う静岡県災害ボランティア支援センターを県内各地域に最大で八カ所設置することとしております。こうした支援センターがその機能を十分に発揮できるように市町への受け入れ調整を行う人材として、平成八年度から二千人を超える災害ボランティア・コーディネーターの養成を行っております。さらには県と静岡県ボランティア協会などが連携しまして、毎年県内外から約三百名の災害ボランティア関係者が参加し、東海地震の発生を想定した図上訓練を一泊二日で実施しております。
     県といたしましては、今回の東日本大震災の教訓を踏まえ、今後も人材育成や訓練などを通じまして、市町、社会福祉協議会、ボランティア団体などと連携しまして、災害ボランティア活動を十分に支援できるように努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 東日本大震災での災害ボランティア活動についてのうち、高校生派遣の成果と今後の展開についてお答えいたします。
     県教育委員会では、東日本大震災の被災地における体験・交流活動により、地震や津波などからみずからの命を守るために必要な知識を改めて考えさせるとともに、生命の尊重や助け合い、ボランティア精神などを養うことを目的として岩手県を中心に高校生三十人を派遣いたしました。参加した生徒は各学校において事前に被災地の現状やボランティア活動の心構えなどを学習し、目的意識を高めたことから、現地までバスによる移動に十時間以上も要したにもかかわらず一日目の活動から意欲的に取り組み、計画したすべての活動を立派にやり遂げたと聞いております。先日、今回の活動に参加した生徒の報告会がありました。その報告会におきまして、「平常時から地域の方々とコミュニケーションをとっておくことが大切である」といった発言を聞き、学校や地域における防災リーダーとしての意識の高揚が図られていると心強く思いました。
     今後、県教育委員会といたしましては、今回の活動の報告書等を作成し防災教育の教材として県内に普及させたいと考えております。また今後の派遣につきましては県ボランティア協会等と連携しながら検討をしてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 富士山こどもの国の未整備部分の整備についてお答えいたします。
     富士山こどもの国は、次代を担う子供たちが富士山のふもとの雄大な自然の中で伸び伸びと遊ぶことを通じて、夢や冒険心をはぐくむことができる場の創造を目指し平成十一年度に開園いたしました。平成十七年度からは民間のノウハウを活用してサービスの向上を図るため、指定管理者制度を導入し県内の小学生等への割引制度や四季折々のイベントの開催、積極的な広報などにより、一層の利用促進に努めてまいりました。富士山こどもの国の整備につきましては、社会状況や県民ニーズなどを踏まえ段階的に行うこととしており、現在、公園の中核となる街、水の国、草原の国の整備を完了しております。今後の整備につきましては、多額の事業費や管理費が見込まれるなどの課題も多いことから、その時期につきましては公園の利用状況なども踏まえつつ、引き続き慎重に検討してまいります。また未整備地の管理につきましては、現在、県の環境部局とも連携して環境保護活動の場として提供し、森林ボランティアの方々や企業の森づくり活動により間伐、枝打ちの処理を行うなど適切に行っているところであります。
     県といたしましては、富士山こどもの国がその設置目的に合致した魅力的な公園となるよう、今後とも未整備地の管理を含め適切な維持管理や施設の充実に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 前田企業局長。
           (企業局長 前田幹夫君登壇)
    ○企業局長(前田幹夫君) 岳南地域の工業用水の料金見直しについてお答えいたします。
     岳南地域を給水区域とする富士川工業用水及び東駿河湾工業用水の料金につきましては、給水開始以来、責任水量制をとってまいりましたが、近年、受水していただいている企業の皆様から節水努力が反映される二部料金制の導入の要望を受けております。この責任水量制は使用水量にかかわらず、契約いただいている水量に基づいて料金をお支払いいただくものであります。一方、二部料金制は必要な経費を固定的経費と変動的経費に分けまして、それぞれ基本料金と使用料金としてお支払いいただくものでして、基本料金は使用水量にかかわらず固定料金となりますが、使用料金につきましては使用した水量に応じた料金となります。
     現在企業局では、富士川工業用水及び東駿河湾工業用水につきまして、二部料金制を導入する方向で関係する皆様と調整を進めております。今回導入いたしますと、受水企業の節水努力により使われなかった水に係ります電気料や薬品費などの変動的経費の減少を料金に反映させまして、受水企業の皆様にとりまして大きな負担軽減が図られるものと考えております。
     なお、工業用水の料金のあり方につきましては、工業用水道協力会などを通じまして受水企業の皆様の声を聞きながら検討を進めてまいりますとともに、今後も施設の長寿命化を図るなど一層のコストダウンを進め受水企業の負担軽減と健全な経営に努めてまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 吉林経済産業部長。
           (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
    ○経済産業部長(吉林章仁君) 岳南地域における産業活性化についてお答えいたします。
     本地域は全国トップの出荷額を誇る紙・パルプ産業を初め、輸送用機械製造業、医薬品・医療機器製造業など多くの産業が集積する工業地域でありますが、今後、当該地域の産業活力を維持向上していくためには、既存産業の活性化や産業構造の多極化を図っていくことが重要であると考えております。
     このため、県におきましてはファルマバレープロジェクトの一環として、富士山麓医療関連機器製造業者等交流会が行う医療機器の開発などに対しまして支援を行っております。今後さらに総合特区制度の活用によりまして規制緩和や税制上の優遇措置を提案し、医療機器等の研究開発や地域企業の医療分野への参入促進に取り組んでまいります。
     また、来年初夏までに開通予定の新東名高速道路の新富士インターチェンジ周辺地域では、富士市におきまして物流団地を整備中であります。既に整備済みの富士山フロント工業団地等とあわせまして、成長産業分野や物流関連の企業誘致を地元市と連携して積極的に進めてまいります。
     さらに、県富士工業技術センターにおきましては、紙製品の高付加価値化や古紙利用技術の高度化に関する研究を行いますとともに、省エネ、省資源化のための技術指導に取り組みまして製紙業の振興を図るなど、今後とも引き続き、地元市、商工団体、産業支援機関が進める岳南地域の産業活性化を支援してまいります。以上であります。
    ○議長(植田 徹君) 六番 鈴木君。
           (六番 鈴木澄美君登壇)
    ○六番(鈴木澄美君) 知事を初め、各部局からの御答弁ありがとうございました。
     私のほうから、時間が余りありませんが幾つかの要望と再質問をさせていただきます。
     まず、高校生の派遣の成果と今後の展開につきましては、ぜひとも、まだ復興には時間がかかりますので、高校生たちが現場に行って体験をしてくるということは非常に意味があるというふうに考えておりますので、ぜひとも関係するところと協議をしながら進めていただきたいということをお願いをしたいと思います。
     それから、林業の活性化に向けた総合的な取り組みですけれども、木材は再生可能な資源でありますから、森林認証制度はこの森林資源を持続的に活用するための森林関連に重要な役割を果たすことが期待できるというふうに考えています。当局も同じだというふうに信じています。それで先ほど森林円卓会議等の話が出ましたが、ここで出た貴重な意見をやはりしっかりと施策に反映していただけるように改めてお願いをしたいというふうに考えております。
     それから、岳南地域の工業用水の料金の見直しですが、私はできれば知事に御答弁をいただきたかったんですが、五十年の節目ということで産業構造も変わってきております。工業用水がどのような形で導入されたかという経緯はありますが、しかしここで大きく変わる時代の節目にあって、各企業のこれからと、それからそれを支えてきた工業用水のあり方について、もう一度直接、細かなところでこれから議論を進めていくということでありましたけども、いろんな情報をもとにして誠心誠意お話をしていただきたいなということをお願いしたいと思っています。
     それから、岳南地域における産業の活性化であります。これは現場主義を貫く知事には、岳南地域の現状をぜひともみずからの目と耳で感じ取っていただきたいということをお願いをしたいと思っております。そのためには、ぜひ岳南地区へお越しください。紙のまちの看板は決しておろすわけにはいきません。そういう強い意志で私たちは紙の文化を守っていこうと思っています。誘致も大切ですけども、やはり留置ということで今ある企業で、幾つかの御提案はありましたけれども、しっかり地元の商工団体、行政と、あるいは企業とお話をされて、これからも紙のまちとしてのプライドが保たれるように一生懸命私たちも応援していきたいと思いますので、ぜひその部分につきまして、知事のほうから御答弁をいただきたいというふうに思います。
     以上をもちまして私のほうからの質問とさせていただきます。(拍手)
    ○議長(植田 徹君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 再質問ありがとうございました。
     岳南地域に行っていないかのごとき御印象をお持ちのようですが、私は県内だけでも数カ月まで七百カ所行ってるということがございまして、市長さんとも大変懇意にしておりまして、田子の浦の海岸がきれいになりまして、そこで今度、山部赤人の万葉仮名で書かれた碑が新しいところに移されるんじゃないでしょうか。そのときには、そこにも参る予定でございます。岳南地域に参るということでございます。
     それから、紙のふるさとといいますか、そのアイデンティティーがあることはよく承知をしております。特に水道――水の料金ですね。これが非常に紙産業にとっては重要だということも認識しておりまして、先ほど前田さんのほうから御答弁いたしましたとおり、これまでは契約に基づいて料金をいただくということでございましたけれども、二部料金制、すなわちいわゆる基礎の固定料金と、あとは使用に応じての料金というようにするということで、これは製紙業のほうからの御要望でもございますので、来年四月からこの御要望にこたえて御負担を減らしてまいりたいというふうに思っております。
     また近々岳南でお目にかかりましょう。以上でございます。

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