本会議会議録


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令和3年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

天野 一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/30/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 公文書館について
2 自殺防止対策について
(1) SOSの出し方に関する教育
(2) 職員の自殺防止
ア 知事部局職員の自死に対する知事の考え
イ 教育委員会における職員の自殺防止対策
ウ 県警察における職員の自殺防止対策
3 生涯スポーツについて
4 浜岡原発によるいのちへの脅威について
5 女性役員がいない自主防災組織ゼロを目指す取組について


○議長(宮沢正美君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、五十九番 天野 一君。
       (五十九番 天野 一君登壇 拍手)
○五十九番(天野 一君) 私は、自民改革会議所属議員として県政の諸課題について通告に基づき一括質問方式で質問をいたします。
 新型コロナウイルスによって私たちの生活は大きく変わりました。これまでの常識が揺らいだことで意見や価値観の分断も起こっています。しかもたとえ新型コロナウイルスの感染が完全に収束したとしても、何もなかったかのように元に戻すことはできないでしょう。もう一度生きやすさを取り戻すには新しい常識を受け入れる柔軟さが必要だと思います。
 一方で絶対に譲れないものもあります。変えてはいけないものもあります。私はその最たるものは人権や民主主義であると考えています。
 世界に目を向ければ、中国政府による香港や新疆ウイグル自治区での人権弾圧やミャンマー国軍によるクーデターなどアジアで深刻な人権侵害が現在相次いでおります。そしてそれは遠い外国のことではなく、人権侵害は私たち静岡県の足元で起こっていることについてどのくらいの県民は気がついているでしょうか。
 そこで、私は初めに公文書館建設についてお尋ねします。
 公文書館は健全な民主主義の根幹を支える施設であると私は考えます。一般の図書館に比べ公文書館に対する理解が十分でないこともあってか、四十七都道府県のうち三十七の都道府県にある公文書館が本県静岡県にはいまだにありません。私は他県に後れていることを憂慮し過去何度も公文書館の早期建設について質問をしてきました。しかし確固たる回答を得ることができません。
 公文書館というと、学者や歴史好きの人が通う古文書や昔の文献資料があるところとイメージする方も多いでしょう。しかし昨今の財務省による決裁文書の改ざん、自衛隊の日報問題など民主主義の土台を揺るがしかねない事態が相次ぎ多くの人が公文書管理に関心を持つきっかけになったのではないかと思います。公文書は歴史や政治の問題を見える化させます。
 公文書等の管理に関する法律の第一条には、公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であると明記しております。公文書館は歴史資料として重要な公文書等の保存及び利用に供することであり、それは公的な組織の活動記録であります。その中には政府、官庁、地方公共団体等の行政文書も含まれます。
 公文書館は、現在の県民が将来世代に対する説明責任を果たす上で重要な意義を持つとともに、将来世代の県民が過去における県などの活動について正しい認識を得る上で不可欠であります。子供たちが民主主義を学ぶ場としても公文書館は申し分ないでしょう。
 新県立中央図書館の整備が進むことで今こそ独立した公文書館を併設する時期であると考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、自殺防止対策についてお伺いします。
 一昔前、自殺は心の問題だから政治、行政があまり関与すべきではないと言われました。しかし今日の自殺は誰にでも起こり得る社会的な問題であります。個人の力ではどうしようもないところに来ております。生きる権利という究極の基本的人権が社会の構造的要因によって侵害されているのです。
 例えば、半世紀前は多人数家族があり親密な近所付き合いや地域の中での交流が日常的に行われてきました。そうした中でお互いを気遣う精神を持ち、頼み事や困り事の相談が気軽にできる住民間のつながりが見られました。しかし今日物質的な豊かさや価値観の変化、家族形態の多様化等に伴い家庭の養育力等の低下、地域の相互扶助機能の弱体化が進んでいます。また従業員を家族のように処遇する日本独特の企業風土も非正規雇用者の増加で消えてしまいました。人と人のつながりは弱くなるばかりで孤独、孤立が進んでいます。
 二〇二〇年における全国の総自殺者数は二万一千八十一人で前年よりも九百十二人増加しております。若年層に至っては小学生が十四人、中学生が百四十六人、高校生三百三十九人の合計四百九十九人と一九七八年の統計開始以来最多だった一九八六年の四百一人を超えています。
 県内における自殺者数も、確定値の前の値ではありますけれども二〇二〇年は五百八十三人と前年よりも十九人増加しています。十九歳以下は十七人と前年より五人減少したものの、二十歳以上三十歳未満は七十五人と前年より十六人も増加しています。自殺防止対策は喫緊の課題と考えます。
 それでは、質問をいたします。
 初めに、SOSの出し方に関する教育について伺います。
 自殺を防ぐことが難しいのは本人が周囲になかなか悩みを打ち明けないことですと、いのちの電話の相談員さんが話してくださいました。追い詰められたときに助けを求めようと思えるかどうかが生死を大きく左右します。
 そこで、文部科学省は各教科の授業等の一環としてSOSの出し方に関する教育を少なくとも年一回の実施を呼びかけていますが、教育委員会はどのように取り組んでいるかお伺いします。
 次に、職員の自殺防止について伺います。
 平成二十三年度から令和二年度における知事部局の職員の自殺者数は二十人、教育委員会の職員は十三人、警察本部は十七人と伺っております。
 初めに、知事部局職員の自死に対する知事の考えについて伺います。
 私は、知事部局の職員が自死していることについて過去何度も質問をしてきましたが知事のお考えを直接伺っておりません。リニアでは命の水を叫ぶ知事が大切な職員が自死していることについて沈黙を通していることに納得ができません。知事のお考えをお聞かせくださることを強く望みます。
 次に、教育委員会における職員の自殺防止対策について伺います。
 教職員の自殺は子供への影響が懸念されることから、若年層の自殺防止に取り組む上で教職員の自殺対策は欠かせません。
 そこで、教育委員会では職員の自殺防止対策にどのように取り組んでいるか伺います。
 次に、県警察における職員の自殺防止対策について伺います。
 犯罪の多様化が進む現在、安心・安全な社会の構築に向けて日々取り組んでおられる警察職員には県民から大きな期待が寄せられており、自殺を防ぐ取組は重要であると考えます。
 そこで、県警察ではどのような自殺防止対策を講じているかお伺いします。
 次に、生涯スポーツについて伺います。
 厚生労働省の令和二年厚生労働白書によると、二〇一六年の平均寿命は男性八十・九八歳、女性八十七・一四歳ですが、同年の健康寿命は男性七十二・一四歳、女性七十四・七九歳となっています。つまり寝たきりになって介護を受けたりしながら日常生活を送る期間が男性は八・八四年、女性は十二・三五年あるということです。二〇〇一年は男性八・六七年、女性十二・二八年となっており今日とこの差は僅かながら拡大しています。
 静岡県は全国でも健康寿命ランキングがトップの県へと成長を遂げていますが、残念ながら平均寿命と健康寿命の差は縮まってはおりません。医療の進歩で平均寿命は延ばせても健康寿命は県民一人一人が努力をしないと延ばすことは困難です。
 日頃より、私は生涯スポーツの普及、振興による健康長寿社会の実現に着眼しています。生涯スポーツとは健康づくりや社交の場を目的として生涯を通じていつでもどこでも誰でも親しめるスポーツのことを言います。簡単に言えば競技スポーツの対極にあるものです。自分のライフスタイルや興味に応じて生涯スポーツに取り組むことは、健康の保持増進に加え毎日の充実や生きがいに結びつきます。
 折しも本県で東京オリンピックの自転車競技が開催中であります。どうせやるならよい大会にしてほしい。これは日本中が、また本県県民が願うことです。スポーツに県民の関心が高まる中、トップアスリートだけでなく県民誰もが参加できる生涯スポーツをもっと積極的に応援することが大事であると思います。
 私は、そのキーワードとなるのがスポーツとして行われるレクリエーション活動、すなわちスポーツ・レクリエーションであると考えています。レクリエーションと聞くと子供のお遊びを連想する人もおられるかもしれませんが、スポーツ・レクリエーションは誰もが楽しさを感じ元気を回復する、人々の心を元気にする手助けをし健康長寿社会の実現に寄与するものであります。
 そこで、子供から高齢者、障害のある方もない方もスポーツ・レクリエーションに触れる機会を提供することが重要であると考えますが、生涯スポーツへの一層の理解促進のためにどういった取組をするか、県の考えを伺います。
 次に、浜岡原発による命への脅威について伺います。
 二〇一一年三月十一日の東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故から今年は十年目を迎えました。未曽有の震災は社会や防災の在り方に大きな影響を与えました。ボランティアや災害医療の分野で新たな制度が生まれる契機となり避難生活などでは多くの課題も浮かんでいます。
 しかし、自然災害は時を選ばず襲ってきます。先日の熱海の土石流はあらゆる意味で私たちを震撼させました。さりとて浜岡原発による命への脅威を県民はどのくらい自覚しているか疑問に思います。
 私は、一貫して浜岡原子力発電所は廃炉にすべきであると主張してきました。議会においても質問をしてきました。今回科学的エビデンスに立脚された原発専門家チームによる調査研究報告書を読みその思いを一層強くしました。
 まず、原発の他電源に比べてその経済的優位性は、龍谷大学政策学部教授大島堅一さんは、浜岡原発は再稼働しても絶対に元が取れません、またこれから寿命どおり原発を動かしても発電コストは減ることはなく増える一方であると断じております。
 次に、浜岡地域原子力災害広域避難計画は県、市町の責務とされておりますが、現行の避難計画では原発三十一キロ圏内にある十一市町の約九十三万人の県民が現実的な時間内に避難先まで到達はできない可能性が高いことを環境経済研究所代表上岡直見さんが立証しております。
 浜岡原発についていたずらに県民の恐怖心をあおる気は毛頭ありませんが、福島第一原子力発電所の事故よりも深刻な人的・物的被害の発生のおそれも指摘されています。地震、津波、原子力による複合災害も想定した実効性のある避難計画の策定が必要だと考えます。
 さらに、浜岡原発は東海大地震及び南海トラフ巨大地震が想定される最も危険な原発であると原子力市民委員会規制部会長の後藤政志さんが提言をしております。浜岡原発の立地条件や特殊性を踏まえると、想定以上の地震や津波に襲われたとき浜岡三号機、四号機、五号機は一体どのような事故に至るのでしょうか。
 これらの指摘や課題を踏まえ改めて知事に伺います。知事はリニアから大井川の命の水と南アルプスの自然を守ることを公約に四選を果たされました。浜岡原発による命への脅威から県民を守るために知事はいかがなさるのかお尋ねしたいと思います。
 最後に、女性役員がいない自主防災組織ゼロを目指す取組について伺いたいと思います。
 近年、災害対応や防災に男女共同参画、多様性配慮の視点が必要だという認識は徐々に高まっています。地域組織の側でも女性のリーダーシップは必要ないとは言えない状況が生まれてきています。
 しかしながら、静岡県が二〇一三年に目標設定した静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三において、男女共同参画の視点からの防災対策の推進というアクションに掲げてある女性が役員として参画している自主防災組織の率を一〇〇%とするという目標がいつの間にか違う目標に変わってしまっております。このことはさきに述べた時代認識と全く逆行しています。
 静岡県が防災先進県を自負するならば、他県に先んじて女性役員がいない自主防災組織をゼロにすることを目指してもよいのではないかと考えますが、県の御所見をお伺いします。以上、答弁を求めます。
○議長(宮沢正美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 天野議員にお答えいたします。
 自殺防止対策についてのうち、職員の自殺防止についてであります。
 知事部局職員の自死に対する私の考えについてお尋ねでございますけれども、職員が自ら命を絶つということは決してあってはならないことであり、そのような職員がおられたのは痛恨の極みであります。大切な家族を失った御遺族の悲しみや痛みは決して癒えるものではありません。自らが命を絶つことによって残された御家族を悲しませるようなことは金輪際あってはならないというふうに考えております。
 自死には仕事、家庭、本人の御健康など様々な要因が絡まっていると拝察いたします。ただ鬱積したものがあるのであればそれが言える環境を整えていく必要があります。
 本県では相談窓口を職場の内外に数多く設置しておりますが、相談に至らないケースも多く見られます。そこで昨年度から悩みのあるなしにかかわらず一定の年代の職員全員に相談を体験してもらう試みを始めております。対象とした若手職員からは、悩みや相談事を気軽に話せる相手がいるということを実感できてよかったといった感想を得ているところでございます。
 また、職場内で職責の別なく話しやすいフラットな関係を築くことが重要であると考えておりまして、このため数年来管理職員、すなわち部下を持つ上の立場に立つ方が部下に対して命令調であったり、あるいはタメ口で口を利くというのが見受けられますけれども、これを何とか改めましょうと。基本的にですます調というのを静岡県庁の言葉遣いにしませんかと、してくださいというふうに申し上げまして言葉遣いから改めることの大切さを伝えております。私自身も自らですます調で話すことを常日頃心がけております。
 こうした取組を通じまして悩みや不安を受け止め、職員やその御家族を守っていくことのできる組織とすることで痛ましい事案をぜひともなくしたいと強く思っているものでございます。
 次に、浜岡原発による命への脅威についてであります。
 東日本大震災における福島第一原子力発電所の事故とその後の十年の経過を見ますと、一たびシビアアクシデント  過酷事故が起こりますとその影響は計り知れないものがあります。
 私は、全国知事会におきまして東日本大震災復興協力本部長を目下あずかっております。いまだ福島第一原発の事故によって帰還困難区域というのがございまして、数万人の福島県民の方たちが地元から離れて生活をされているという現実がございます。
 議員のほうからは発電コストに関わる御指摘を頂いておりますけれども、原子力発電所につきましては何よりも安全の確保が大前提であるという考えでございます。また実効性のある避難計画が必要であるとの御指摘につきましては、県は原子力災害から周辺地域の皆様の安全を確保するため地震や津波との複合災害の発生も想定した浜岡地域原子力災害広域避難計画を平成二十八年三月に策定いたしました。
 この計画における具体的な避難方法といたしまして、原子力緊急事態宣言が発出された場合には発電所から五キロメートル圏内のPAZの全域の方々に避難していただき、その外側の三十一キロメートル圏内のUPZの方々には御自宅など屋内に退避していただくということにしております。その後UPZ内の地域ごとに放射線量を測定し、基準値に達した地域の方々に避難していただくということとしております。この仕組みにより段階的に円滑な避難が可能になるものと考えております。
 どこに避難するか、避難先につきましてはおおむね一か月間は県内の全市町と十二都県約三百五十市町村の御協力を頂いて確保はできております。さらに長期化する場合には国の御支援も賜ってできるだけ速やかに調整することとしております。
 さらに、県の避難計画策定後もより詳細な避難方法を定める関係十一市町の避難計画の策定支援、病院や社会福祉施設への放射性物質除去フィルターの設置など放射線防護対策の実施、毎年度実施している原子力防災訓練を通じた検証等によりまして計画の実効性の向上に努めているところであります。
 現在の浜岡原子力発電所につきましては、津波対策工事等を実施中であること、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が継続中であること、さらに使用済み燃料の処理方法が確立されていない等々の課題がございまして再稼働できる状況にはないという認識には変わりありません。
 避難先について言葉を足しますと、十二都県の方々の御協力を賜ったというのは誠にありがたいことであります。福島県内の方たちも県外にいらっしゃる方も少なくはありません。そうしたこの教訓から県外を探しまして十二都県の御協力を得たということでございます。
 しかしながら、もしシビアアクシデントが冬に起こったならばどうなるでしょうか。そうするとその避難先に行くこと自体に危険が伴います。ですから行けるときと行けないときがあるだろうと。さらにまたあの東日本大震災を自衛隊トップとして指揮された君塚さんがうちの補佐官に御就任賜って、その方の遺言でございますけれども、やはり県民が県外に出ると十分な配慮が行き届かないと。だから何とか県内にとどめるということが正しい方法だと思うというふうに言っておられました。私はその言葉を忘れてはおりませんで、可能ならば県外へのもちろん避難先というのを確保しつつも県内で賄うという考え方は失ってはならないと、避難先を賄うという考え方は失ってはならないと思っております。
 それから、浜岡原発について周辺地域の皆様方の安全を確保するのは言うまでもありませんが、私の最大の関心事はその浜岡原発内で働いている三千人の県民のことです。その方たちがもしやる気をなくしたらどうなるでしょうか。もんじゅのようなことになります。すなわちメンテナンスが不十分になりかねないと。廃炉が決まったと、この仕事はもう役に立たないということになるといわゆる仕事の士気に関わるのではないかと思います。
 そこで、私はこの十年近く浜岡原子力発電所が役に立っているんだということを示すために中部電力に資金の供給をお願いいたしまして研究の公募をいたしまして、毎年億単位の金を払っていただいて研究をしていただいていると。すなわち浜岡原子力発電所を言わばテキストとしてそこで働いて研究してもらっていると。これは間違いなくいろんな意味で内外の方たちが出入りされますから役に立っていると。何らかの役に立っているというそういう空気がこの間醸成されているはずだと思っております。そのことが危険な原子力発電所の安全性を、そこを実際に保っている人たちは働いている人ですからその人たちの士気が低下しないということになるという考えも持っているということでございます。
 県といたしましては、県民の皆様の命及び身体の安全を確保するため引き続き国に対しましては厳正な審査を、中部電力に対しましては安全確保の徹底を求めるとともに、また浜岡につきまして中部電力があらゆる情報を全てこの公開できるようなそういう条件になっておりますけれども、信頼関係を確立し続けること、そして原子力災害がもし発生した場合におきましても様々な状況に対応し住民の皆様の被曝を最大限減らすことができるように避難計画の実効性の向上に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を差し上げます。
○議長(宮沢正美君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 公文書館についてお答えいたします。
 歴史資料として重要な公文書は県民共有の貴重な財産であり、これを適切に保存し県民がいつでも利用できるようにするということは県の責務であるというふうに認識しております。
 本県では、現在までに約五万七千冊を歴史的公文書として選別し管理しており、このうち目録を作成した一万二千冊を公開、閲覧に供しているところであります。また目録や歴史的公文書の概要などを紹介するホームページには年間で五千件を超えるアクセスを頂いておりますことから、文書自体を閲覧できるようにしていくなどさらなる拡充を図ってまいりたいと考えております。
 一方で、現在整備が進められている新県立中央図書館においては個人情報などの審査が不要ですぐに閲覧できる歴史的公文書を図書館内で保存、閲覧できるようにすることとしております。
 今後も、歴史的公文書の選別、公開の拡充に努めるとともに、例えば一連の新型コロナウイルス対策のように歴史資料として重要な公文書については、作成段階から適切な文書管理を徹底することや新たにデジタル技術を活用した利用方法を検討することなどにより公文書館としての機能を一層充実してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 自殺防止対策についてのうち、SOSの出し方に関する教育についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、児童生徒の自殺者数が増加する中、危機に直面したときに誰にどのようにして助けを求めるのか具体的かつ実践的な方法を学ぶSOSの出し方に関する教育を進めることは極めて重要であると認識しております。
 県教育委員会では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門性の高い人材を学校に派遣し、児童生徒の気持ちに寄り添い悩みや解決に努めるなど学校で安心してSOSを発信できる環境の整備を図っております。また道徳の授業をはじめ日々の教育活動を通じて命を大切にする態度や他人を思いやる心を養い、児童生徒一人一人が自己肯定感を高められるよう取り組んでおります。
 さらに、児童生徒の自殺は学校の長期休業明けに増加する傾向があることから、長期休業前に各学校において児童生徒が不安や悩みを一人で抱え込まず教師や保護者など身近で信頼できる大人に相談するよう呼びかけるとともに、アンケート調査などを行い悩みを抱える児童生徒の発見に努めております。あわせて児童生徒が周囲に助けを求めやすいよう、いじめなどの悩みを昼夜を問わず相談できる二十四時間子供SOSダイヤルや自殺予防対策として健康福祉部が開設しているLINE相談などを周知しております。
 県教育委員会といたしましては、引き続き児童生徒がSOSをためらいなく発することができる力を育て、また発せられたSOSをしっかりと受け止めて誰一人として貴い命が失われることがないよう自殺防止対策に努めてまいります。
 次に、職員の自殺防止についてのうち、教育委員会における職員の自殺防止対策についてであります。
 自殺により教職員の貴い命が失われることは大変痛ましく残念であり、誰一人として自らが命を絶つことがあってはなりません。人と人とのつながりが希薄になっていること、自分から悩みを相談する経験がないことなどが孤独や孤立に拍車をかけそれが自殺の原因の一つと考えられます。
 県教育委員会では、校長等の管理職が教職員に声かけや面談等を行っているほか、新規採用二年目の教職員への訪問面談や人事異動等による環境の変化が大きい採用四年目の教職員を対象としたストレスをコントロールするスキルを養う研修を実施しております。さらに新任管理者に対しては組織として教職員の変化に気づき対処するラインケアの視点を学ぶ研修を実施しております。
 また、自らの命を絶つケースは個人の特性による内的要因と仕事や人間関係によるストレスなどの外的要因が複合して発生するとも考えられています。このため毎年ストレスチェックを行い教職員が自身の心の健康状態を把握し、高ストレス者には専門医との面接につなげております。また民間の専門機関のカウンセラーや公認心理師等による多様な相談窓口を選択、利用できるように支援しております。なおこれについては私も毎年実際にやっております。
 県教育委員会といたしましては、今後も全ての教職員が一人で悩みを抱えることなく心身ともに健康で意欲と熱意、使命感を持って児童生徒と向き合えるよう心のケアに努め職員の自殺防止対策に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 自殺防止対策についてのうち、職員の自殺防止についてお答えをいたします。
 県警察における職員の自殺防止対策についてでありますが、平成二十三年度から令和二年度までの十年間におきまして十七人の警察職員が自殺で亡くなっております。自殺の背景には健康への不安など様々な要因が複合的に影響していると考えられますが、これらの問題を抱えている職員に対する相談体制の充実強化が重要であると認識をしております。
 こうした観点から昨年四月、従来の生活相談制度を改めまして静岡県警察職員ピアサポート制度の運用を開始したところであります。このピアサポートとは職員同士の支え合いを意味しておりまして、不安や悩みを抱える同僚の小さな変化に気づき積極的に声をかけ能動的にサポートしていこうとするものであります。現在四百九十二人の職員をピアサポーターとして指定しまして各所属の執務室単位で配置し、職員の身近な不安や悩みの早期解消に努めているところでございます。
 また、部内に健康相談専用ダイヤルを設け厚生課の保健師や公認心理師が対応しておりますほか、部外カウンセラーによる個別面談や弁護士、精神科医師による専門的な相談窓口、二十四時間健康や心の悩みを相談できる無料電話相談窓口など相談体制の充実を図っております。
 このほか、全職員を対象にストレスチェックを実施をし職員自身に早期対応を促しておりますほか、組織的なメンタルヘルス対策を推進するため所属の幹部に対する研修会を行うなど様々な対策に取り組んでいるところでございます。
 県警察では、今後ともこれらの対策を効果的に推進をし職員の自殺防止に努めてまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 生涯スポーツについてお答えいたします。
 県民誰もが生涯にわたって心身ともに健康で生き生きした暮らしを送るためには、それぞれのライフスタイルに応じて日常的にスポーツに親しむことが大変重要であります。
 このため県では、幅広い年代が参加でき県内各地で実施する県民スポーツレクリエーション祭や高齢者の健康と生きがいづくりを推進するすこやか長寿祭スポーツ・文化交流大会、障害者スポーツの振興・普及を図るわかふじスポーツ大会などスポーツ・レクリエーションに親しむ機会を積極的に提供しております。
 また、生涯スポーツの普及に向けた取組としてスポーツ推進委員によるふじ三三プログラムの普及や幼稚園や企業等に出向くレクリエーション指導者派遣事業に加え、今年度新たに地域におけるスポーツ活動の受皿となる総合型地域スポーツクラブの活動支援やコロナ禍の中でも実施できるリモートによるスポーツ教室の開催等の事業を実施しております。
 今年度は静岡県スポーツ推進計画の最終年度に当たります。次期計画についてはスポーツによる健康づくりの推進を柱の一つに掲げ幅広い年代を対象とした具体的な生涯スポーツの振興策を盛り込むよう検討を進めるなど、県レクリエーション協会や県スポーツ協会等の関係団体と連携して生涯スポーツの普及促進に向け積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 太田危機管理部長。
○危機管理部長(太田博文君) 女性役員がいない自主防災組織ゼロを目指す取組についてお答えいたします。
 東日本大震災をはじめとする近年の大規模災害の教訓を踏まえ、災害に強いきめ細かな地域防災を充実強化させるためには災害に備えた日頃の防災対策や災害時の避難生活支援及び被災後の復旧・復興の際に男女共同参画の視点を取り入れることが必須の取組となっております。
 このため、地域防災の要となる自主防災組織に対して組織の方針決定に女性の声が反映されるよう啓発パンフレットなどを活用して女性役員の登用を働きかけておりますが、平成二十八年度に県が実施した調査では回答があった約四千三百の自主防災組織のうち女性役員がいると回答があったのは三八・二%にとどまっております。
 女性の参画が進んでいる自主防災組織では、組織の規約改正を行い女性役員のポストを明確に位置づけている例や地域の女性団体と連携し女性防災リーダーに参加していただいている例など様々な工夫がなされております。
 県といたしましては、市町と連携し自主防災組織の会長等を対象とした研修会などで女性役員の登用など女性の参画を重要な課題の一つとして意識醸成を図るとともに、具体的な取組事例を紹介し全ての自主防災組織において役員や防災リーダーなど何らかの形で女性が参画しその声が確実に反映される体制整備に取り組み地域防災における男女共同参画を一層推進してまいります。以上であります。
○議長(宮沢正美君) 五十九番 天野 一君。
       (五十九番 天野 一君登壇)
○五十九番(天野 一君) 知事さんから直接答弁していただきましてありがとうございました。
 一点質問して、浜岡原発について要望をちょっとしていきたいと思います。
 お茶が、三・一一のときに静岡の藁科の一か所でカウントされました。以来お茶は風評被害で全国一を譲りました。私は浜岡原発は絶対に事故を起こしてはならない、避難計画もそれは計画があっても避難することがあってはならないと考えております。
 廃炉にしても、そこの作業員は百年、二千人以上が働ける職場があります。決して廃炉になったからといって職場を奪うものでは全くありません。
 そういった意味から、浜岡原発はどうしたら事故を起こさないでやれるかということを考えるべきだと思います。この決定的なことは知事の考え方であります。そういった意味でぜひ浜岡原発の危険性、そして今の南海トラフを含めた自然災害が起こる静岡県を考えた上で知事さんの本当に命を、静岡県民を守るという意味から判断をしてほしい、そのことを要望しておきます。
 次に、公文書館、図書館とかいろんな形で活用していることは分かりますけれども、未来の静岡県民に公文書館として造る計画があるのかないのか。三十七都道府県既にできているのに静岡県は造らないのか、そのことについて今の考え方を教えてもらいたい。
 公文書館を造るという意味は、県下ほかの市町の公文書の管理の在り方も含めて私はリーダーシップを取る大変重要なところであります。県の文書管理だけではない。県下市町の公文書の在り方も問われているわけでありますから、公文書館の建設は私は大変大事だと思いますけれども今の計画ではないのか、そのことについてお伺いします。
○議長(宮沢正美君) 杉山経営管理部長。
○経営管理部長(杉山浩一君) 公文書館の建設について、再質問にお答えいたします。
 現在、公文書館を建設すると、新たに建設していくという具体的な計画はございません。ただ先ほど来御説明しているとおり現在公開している一万二千冊の歴史的公文書がございますが、公文書館にするにはやや少ない数字でございます。これ三万冊を目指しております。三万冊になったときにできれば私としては静岡県公文書館と名のれるような状況にしていきたい。これは例えばデジタルバーチャル公文書館であるかもしれない。あるいは既存施設の活用かもしれない。もしくは新設かもしれない。いろんな方法があるとは思いますが公文書の公開冊数を、可能冊数を増やすのと同時並行して公文書館の在り方をきちんと討議して進めていきたい。静岡県が他県に後れているという部分については早期に解消したいと思っております。以上でございます。
○議長(宮沢正美君) これで天野一君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で質疑及び一般質問を終わります。
 議事の都合により休憩します。
 再開は午後二時三十分といたします。

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