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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

木内 満 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/19/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
  知事選における地域別得票率に対する受けとめ          
2 富士山世界遺産について                     
 (1) 静岡県富士山世界遺産センターの開館に向けた諸整備       
 (2) センター開館後の継続的な構成資産の整備            
3 新専門医制度への対応と若手医師の獲得について          
4 農業分野における県行政のあり方について             
5 義務教育における教具・学用品のあり方について


○五番(木内 満君) こんにちは。私は自民改革会議所属議員として、知事、副知事、関係部局長、教育長に対し通告に従い分割質問方式にて伺います。
 質問に入ります前に二点発言をお許しください。
 まず、九州北部豪雨にて被災しお亡くなりになられた皆様に哀悼の意を表するとともに、今なお避難生活を送られる皆様にお見舞い申し上げます。また一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
 そして、川勝平太知事におかれましては、六月二十五日投開票の静岡県知事選挙において県民の負託を受け三期目の当選をされましたことにお祝いを申し上げるとともに、県政発展へのさらなる御尽力を御期待申し上げます。
 それでは質問に入らせていただきます。
 まず初めに、知事の政治姿勢についてのうち、知事選における地域別得票率に対する受けとめについて伺います。
 川勝知事の二期目任期満了に伴う静岡県知事選挙は、六月二十五日に投開票が行われ新人の溝口紀子候補を退け川勝知事はこうして三期目の最初の県議会に臨んでおられるわけですが、前回平成二十五年の県知事選挙と今回の県知事選挙を比較すると、その内容において大きな違いがあると私は受けとめています。
 まず、川勝知事は御自身の得票数を前回選挙の百八万票から二十五万票近く下げ、前回選挙で七割強あった得票率も今回選挙では六割を切る水準にまで下がりました。そして知事が最も重く受けとめるべきは静岡市の葵区、駿河区では溝口候補の後塵を拝し、清水区を含めた静岡市市域全体においては溝口候補の得票数を六千票ほど下回ったという結果ではないかと思っております。
 知事は、静岡市との関係について選挙中より仏の川勝になるとおっしゃられ、知事選後の会見でも「私から相手の感情を逆なですることはしない」、「実利を上げるために県と市が協力する。水を差すことをやってはならない」などと述べておられます。また水を差さないということについてさらに具体的に「基本的に市民、県民の利益になるための仕事を一緒に支えていくのがいいということで、それを静かに後押しするということ」と説明しておられます。
 そこで、今回の知事選における地域別得票率の結果に対する知事の受けとめと、県と静岡市をめぐるさまざまな問題について今後どのようにして良好な信頼関係を築き円滑な調整、解決を図ろうと考えておられるのかを伺います。
 次に富士山世界遺産についてのうち、静岡県富士山世界遺産センターの開館に向けた諸整備について伺います。
 富士宮市では、静岡県富士山世界遺産センターを覆っていた足場が徐々に外され、富士山麓の認証材富士ヒノキをふんだんに使った木の格子で覆われた逆さ富士の外観があらわになってきました。検討段階においては賛否の声もあったデザインですが、実際目の当たりにするとその美しさと壮大さにいやが上にも期待が高まります。
 六月三十日の知事説明におきまして静岡県富士山世界遺産センターという名称が公表され、(仮称)をつけずに故郷の新たな誇りとなる施設を呼べることに心より喜びを感じております。これで正式な広報や観光客の誘客ができると現場の皆さんは早速走り出していることと思いますが、十二月二十三日の開館まで六カ月を切った現時点においていまだに不明な点や不安な点も多々あり、富士宮市民からも心配の声が上がっています。
 富士宮市民からの声は以下の三点に大別されると言えます。それは入館料、地域との連携、駐車場です。以下三点お聞きします。
 入館料については、できれば無料として多くのお客様にごらんいただきたいところではありますが、県民の税金で建てていただいた施設ですので適切な水準の入館料を徴収する必要があるかと思います。ちなみに山梨県立富士山世界遺産センターの入館料は大人個人で四百二十円となっていますので、大きな差が出ない水準が望ましいと考えてはいます。
 県は、入館料を幾らに設定するつもりなのか、またその考え方を教えてください。
 一番心配する声が多いのが地域との連携についてです。開館に当たっては博士号を有する優秀な研究員を採用し運営は県の直営として行うということになっていますが、地元からはいまだ顔が見えずつかみどころがない現状にいら立ちに似た声が上がっています。ボランティアなども募集しているようですが、今までも活動をされていた観光ガイドボランティアの皆さんや地域の商店主、各種団体など世界遺産センターを盛り上げたいと感じてもどのようにすればよいのかわからない状況です。
 早急に地域との連携体制の強化をお願いしたいところですが、今後開館に向けどのように地域との連携体制を構築する予定なのか教えてください。
 最後は駐車場です。山梨県立富士山世界遺産センターには大型バス最大二十九台、乗用車最大七十八台が無料で駐車できる駐車場が完備されていますが、静岡県富士山世界遺産センターには残念ながら駐車場の用意はありません。幸い道路を挟んで富士宮市が整備した観光駐車場があります。ぜひとも入館者には二時間程度の駐車場無料券を発行していただき、駐車場の心配なく見学できる体制をつくっていただきたいと考えています。
 駐車場の実質無料化の可能性について御回答ください。
 続いて、富士山世界遺産についてのうち、センター開館後の継続的な構成資産の整備について伺います。
 富士山世界遺産の構成資産整備については、現状観光施設整備事業費補助金の補助率かさ上げによって御支援をいただいておりますが、同制度は緊急的な対応として平成二十九年度までの時限的な措置となっています。多くの構成資産を有する富士宮市では急ピッチで整備を進めてきましたが、いまだ整備は十分とは言えない状況です。また世界遺産センターの開館に伴い、今まで以上に構成資産に対する注目が集まることでさらなる整備の需要が生ずる可能性があります。
 また、未整備の史跡については息の長い調査が必要なものも残されており、センター開館後しばらくは緊急かつ自由度の高い支援の仕組みが必要かと思いますが、センター開館後の平成三十年度以降の構成資産整備の補助制度について県としてどのように対応していくつもりなのか、考えを伺います。以上答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 木内議員にお答えいたします。
 まず、三期目の当選の御祝辞賜りましてありがとうございました。
 私の政治姿勢、特に知事選における地域別得票数に対する受けとめについてであります。
 さきの知事選では、私の二期八年間の県政運営を広く評価していただき、多くの県民の皆様から御指示をいただいたものと考えております。一方で前回選挙から得票数が二十五万票近く減少したこと、また静岡市域における駿河区、葵区における得票数が他の候補を下回ったことにつきましては謙虚に受けとめております。
 争点になりましたのは、一番大きいのは桜ヶ丘病院の移転でございましたけれども、清水区におきましては私の得票数が七千票余り上回りました。しかしそれを上回る九千票もの差が葵区においてついております。いかにこの静岡市長とのあつれきが大きな影を落としたかということでございます。得票、地域別ではございますけれども、開票区は全部で四十三あります。その中で一番低かったところから数えて三番目というのが静岡市になっております。したがって全体として低調な選挙であったということでございます。それ自体が選挙の中身をあらわしていると存じますけれども、政策論争がなかった、ふじのくにづくりについての大綱ビジョン、大綱施策がなされないままにおける選挙であったということが大きく今回の選挙を低調なものにしたというふうに考えておりますが、いずれにせよ静岡市長さんとのあつれきが影を落としたことは言うまでもありません。それについての御忠告も街角でたくさん受けとめましたし、また先生方からも忠告を賜りました。したがって私はこれからは決して怒りを面に出さないということを心に誓ったわけでございます。あらゆることを自分を勘定に入れずに、よく見聞きしわかり、そして忘れずによいことは実行するということでございますが、その前提として決して怒らないということを心に定めこれからの県政に当たってまいりたいと思っております。
 静岡市とは、これまでも三保松原の松林の保全あるいは海岸の養生などによって実質的に協力をしております。また日本平山頂の施設整備につきましても協力してやっておるところであります。最近では御幸通りの景観形成などにつきましても何回も議論を重ねております。そうした形で県と市が連携をして成果を上げている実績が数多くございます。引き続き県民イコール市民、市民イコール県民でございますので、全体の福利、実利の向上の視点から調整を要する施策につきましては率直に話し合い、県民本位、市民本位の視線から一層の連携を深め進捗を図ってまいりたいと考えております。
 基本は和をもってとうとしとなすという精神であります。県、市の地域政策会議などさまざまな機会がございますので、対話を重ねまして県民、市民本位の行政を推進してまいりたいと考えております。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 富士山世界遺産についてのうち、静岡県富士山世界遺産センターの開館に向けた諸整備についてお答えいたします。
 富士山世界遺産センターの施設整備は、本年十月末に完了する予定であり、現在広報、誘客活動や管理運営に関する検討等、開館に向けた準備を並行して進めております。
 入館料につきましては、館内を無料の交流エリアと有料の展示エリアに分けた上で来館者の皆様にも運営費の一部を負担していただく予定であります。具体の金額は現在県立美術館やふじのくに地球環境史ミュージアム等他の県有施設を参考に検討を進めており、学生や高齢者等を対象とした減免措置も考慮してまいります。
 次に、地域との連携につきましてはこれまでも地元商工会議所の勉強会などさまざまな機会を捉えセンターの概要を説明してまいりましたが、来週開催予定の地元商店街や自治会等が構成員である富士宮市の世界遺産富士山のまち推進会議への参加を端緒に、具体的にどのような連携が可能か積極的に意見交換を行ってまいります。
 さらに、広域的な連携を進めるためこの八月には関係十市町担当者会議を開催し、旅行事業者の出席もいただきながら開館後の誘客を含めた広域的な連携についても検討を進めてまいります。
 入館者に係る市営駐車場の無料化につきましては、団体旅行の誘致や個人客の利用において駐車料金の減免は効果的な誘客手段と考えられますが、駐車場を運営する富士宮市の考え方もあることから何ができるか慎重に検討してまいります。
 世界遺産富士山の情報提供の拠点として、国内外の多くの方に富士山の顕著な普遍的価値を学んでいただく機会を提供するとともに、周辺地域の振興にも貢献できるよう本年十二月二十三日の開館に向けた準備を鋭意進めてまいります。
 次に、センター開館後の継続的な構成資産の整備についてであります。
 県では、世界遺産富士山の顕著な普遍的価値を後世に継承するため、来訪者の皆様には山麓の構成資産の価値及びその歴史的つながりについて理解を深めていただきたいと考えており、周遊先としての構成資産の整備は不可欠であると認識しております。
 このため、富士山世界遺産登録を契機に管理団体である地元市町が行う構成資産の整備を促進することとし、平成二十四年度に観光施設整備事業費補助金の対象に構成資産の整備を加え、昨年度までに約二億円の補助金を交付し山麓の五つの構成資産の整備を支援してまいりました。
 こうした中、地元市町では現在も構成資産を保存活用するための調査が進められており、来年度以降も引き続き整備が行われると伺っております。
 県といたしましては、本年十二月に世界遺産富士山の情報提供の拠点である世界遺産センターが開館することから、構成資産の調査の進捗状況の把握や整備の必要性等の検証を十分に行った上で今年度を期限としている観光施設整備事業費補助金の活用による支援のあり方について検討を進め、地元市町と連携した富士山の適切な保存管理に万全を期してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木内君。
       (五番 木内 満君登壇)
○五番(木内 満君) 二点要望を申し上げます。
 まず、駐車場についてでございますけれども、富士宮市としましては市営の観光駐車場はあくまで有料の駐車場として運営するという方針を既に固めております。本来できれば世界遺産センターに併設の駐車場が欲しかったところ駐車場がないということで近隣の土地を富士宮市でリスクをとって買って整備した駐車場であると認識しておりますので、できれば富士宮市の心意気を感じていただきですね、富士宮市にさらなる財政負担を求めないような形での駐車場のあり方を検討していただければと思っております。
 また、観光施設整備事業費の補助金のあり方につきましてはよく現状を把握していただきたいと思います。まだ根本的な調査を進めていかなければならない構成資産もございますので、息の長い整備ができるよう配慮をお願いしたいと思います。
 それでは、質問に戻りたいと思います。
 続きまして、新専門医制度への対応と若手医師の獲得について伺います。
 私は、毎回の質問で静岡県における医師不足、医師の偏在について取り上げております。それほどまでに静岡県の医師不足、医師の偏在は深刻な課題であると考えているからです。
 静岡県の医師不足や医師の偏在にとって今後重要な影響を与えるのが新専門医制度です。新専門医制度とは、従来学会が認定していた例えば内科医や外科医などの専門医を公的な位置づけに高め、専門医を名乗るためには体系的な研修を受ける必要があるという問題意識から検討が始まった制度でした。
 しかし、新専門医制度に関しては医師の偏在を助長する、医局制度の復活であると日本医師会や全国市長会などで制度を懸念する声が上がり、当初本年度から新たな制度のもと研修が始まるとされていましたが現在は平成三十年度をめどに新専門医制度に基づく研修を開始すると延期されています。静岡県議会においても、我が会派が平成二十八年九月定例会に提案した医師確保対策の充実を求める意見書において、新専門医制度が地方での質の高い専門医が活躍できる制度となるようにと求めてきました。
 こうした動きを受けて、新専門医制度を検討する日本専門医機構は本年六月二日の理事会で専門医制度新整備指針の改正を行いました。改正の内容は大きく四点で、専門医取得を義務づけないこと、地域医療従事者や女性医師等に配慮すること、研修の中心は大学病院のみでなく地域の中核病院などであること、都道府県協議会に市町村を含め、協議会の意見に応じて研修プログラムを改善することなど地方の医師不足や医師の偏在に最大限に配慮したものであると評価できる内容となりました。
 先ごろ厚生労働省が発表した医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査は、一万五千人以上の医師から回答が得られた医師のキャリアに関する初めての全国大規模調査です。その中で明らかになったのは、五十代以下の勤務医の約半数が地方で勤務する意思がある、二十代の勤務医のうち六〇%が地方で勤務する意思があるなど今までの常識を覆す医師のキャリア志向が明らかになりました。その中で二十代の医師が地方勤務を避ける特徴的な理由が、医局による制約ということとあわせて専門医取得に不安があるということでした。
 これから、地方の医師不足解消への大きな障害と懸念されていた新専門医制度は地方の医師不足解消に相当に配慮した内容にかじが切られました。また若い世代の医師の地方での勤務意向も明らかになりました。これから市町を交えて行われる都道府県協議会において、静岡県がいかなるビジョンを示し意見を出していくのかが今後の医師確保や新専門医制度のあり方を決める大きなターニングポイントとなる可能性が出てきたと感じています。
 これらを踏まえお聞きします。新専門医制度の指針変更に伴い静岡県内の専門医研修体制にどのような影響が生ずると考えられるのか、そして今後の都道府県協議会においてどのような意見、立場を表明していくつもりなのかをお教えください。また地方での勤務意向のある若手医師をどのように静岡県に呼び込んでいくことが考えられるのか、静岡県の考えを聞かせてください。
 次に、農業分野における県行政のあり方について伺います。
 平成二十八年度の静岡県行財政改革推進委員会意見書が本年二月に公表されました。意見書が全二十五ページある中で最大の九ページを割いて意見を述べられているのが農業分野における県行政の仕組みのあり方についてであります。意見書ではまず総括意見として農業分野に関して投入する県職員数に比べて生み出される価値は少ないと現状を分析していますが、ここで生み出される価値として比べられているものは県内総生産に占める農業の割合とか就業者数に占める農業分野の割合といったものであり、環境保全、地域コミュニティー、防災といった農業が持つ多面的な機能や価値については一切考慮されていません。
 そのような偏った農業分野に対する課題認識をもとに意見書は論を進め、ビジネス経営体を後押しする県の施策の方向性に触れながら、具体的に普及指導員、試験研究機関、農地中間管理事業の三テーマを設定し意見を述べています。
 意見の中で、県施策の基本理念・目的・目標の大胆な転換とした項目では産業として農業を捉える新しい方向性を県のビジョンに掲げ、これまでの方針や施策で改めるべきは改め方向転換を明確かつ大胆に行うべきであると意見を述べていますが、そもそも農業の多面的な機能や価値を理解していない意見であり、一べつにも値しない浅薄なものであると言わざるを得ません。
 さらに、県組織や仕組みの抜本的な見直しとした項目ではビジネス経営体の支援のために民間の専門家を活用すべきと述べていますが、ビジネス経営体やそれに準じる認定農業者等で民間の専門家を活用していない農業者は皆無であり、普及指導員は既に農業の多方面に通暁したゼネラリストな行政マンとしての立ち位置と能力が求められており、それに応えようと努力をし続けています。
 また、普及指導員に関して意見書の中で抜け落ちている視点もあります。それは情報収集と信頼関係構築の役割です。普及指導員は個別の農家の指導という側面とともに、地域や作物を包括的に捉え状況を把握する情報収集という役割といざ政策を実行に移す際に地域の農業者からの信頼をもとに調整や意向集約を行うリレーションシップマネジャーとしての役割も有しており、それは農業指導、経営指導と同じかそれ以上に重要な役割であると私は捉えています。こうした役割をおろそかにすれば、口蹄疫や鳥インフルエンザといった産地の危機が発生した場合に対応が後手に回るような最悪の事態を招くことにもなりかねません。
 小規模農家からビジネス経営体などの大規模な農業者への農地集約は進み始めていますが、農家の大部分はいまだに兼業農家、自給的農家です。農業は産業であると同時に地域の文化、風土を生み出す根幹であり地域コミュニティーの根っこでもあります。知事のおっしゃる日本一の品目数を誇る農芸品を支え美しい田園風景を守っている農業者の多くも、ビジネス経営体ではなく兼業農家、自給的農家の皆さんです。行財政改革推進委員会では、農業分野に関して今年度さらに検討を深めるということですが、委員の皆様にはぜひとも現場に足を運び現場の声に耳を傾けた意義ある意見書にしていただきたいと考えています。
 こうした前提を踏まえお聞きします。平成二十八年度の静岡県行財政改革推進委員会意見書として提出された農業分野における県行政の仕組みのあり方について、静岡県並びに知事はどのように受けとめ政策への反映を行っていくつもりでしょうか。特に意見書で述べられた普及指導員の役割やあり方についてはどのようにお考えかお答えください。
 最後に、義務教育における教具・学用品のあり方について伺います。
 私には現在、小学四年生になる長男と来年小学校に進学予定の次男の二人の子供がおります。今回の質問は私の長男が学校で使っていたある教具に対する疑問から発しています。
 我が家の押し入れには長男が小学校一、二年次に使っていたさんすうぼっくすがほこりをかぶっています。さんすうぼっくすとは足し算、引き算、掛け算の問題と答えが裏表に書いてあるカードやおはじき、三角形や四角形の色がついたカード、立体を組み立てることができる数え棒、時計の模型などがセットになった教具です。この中では皆さんも小学生時代に使った覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。さんすうぼっくすのさまざまな教具の中で息子が家庭学習で使っている姿を見たことがあるのは足し算、引き算、掛け算の計算カードのみで、その他の教具については家庭学習で使用している姿を見かけたことはありません。果たしてセットの教具として個人で購入する必然性があったのか疑問を感じます。
 さんすうぼっくすに限らず数多くの教具や学用品が我が家の押し入れには存在します。彫刻刀、粘土板、粘土べら、そろばん、鍵盤ハーモニカ、リコーダー、アルトリコーダー、絵の具、習字セット、糸のこ、クレパス、クーピー、裁縫箱などなど。それぞれなぜ個人で購入する必要性があったのか、いつからいつまで使うのか明確に説明を受けた記憶はありません。もう使わないと思ったらまた持ってきてほしいと言われることもあれば、一度使ったきり二度と使わないものもあります。
 また、学校にも用意があるのであれば持ってきてくれればいいからという説明と同時に、なぜかその物品の注文用紙が配られるようなこともあると聞きます。小学生がそのニュアンスを正しく伝えられるはずもなく、学校で使うんだってという子供の言に従い疑問を感じながらも何となく封筒にお金を入れて購入してしまうという声も聞きます。義務教育は本来無償であるはずですが、教科書以外の教具・教材に幾らかの費用負担が生ずること自体は現状やむを得ないとされています。しかし教具の個人での購入は教育効果の最大化と保護者の負担の最小化の観点から個人で購入することがどうしても必要だと判断されたものにとどめるべきであり、現状ではその選定プロセスも不透明で説明責任も果たされていないと感じます。学校でしか使わないような性質の教具や学用品は学校で管理をし、損耗などによる補充分を均等割して保護者に負担を求めるなどとし、可能な限り保護者の負担軽減と平等性の確保に努めるべきではないでしょうか。ちなみに先ほど紹介したさんすうぼっくすは個人所有であるため名前の記入が必要です。しかし一度も使われないかもしれない数百点に及ぶ全てのパーツに名前を書かせることを当たり前に保護者に求めるのは狂気の沙汰ではないでしょうか。また夏休み前などに夏休みの教材などと称して学生協や教材会社の図書や教材の注文用紙が配布され金銭が入った封筒を児童に持たせその回収を教員が行っていますが、児童が金銭の入った封筒を学校に持参すること自体がトラブルの原因にもなる上に任意購入の教材・教具の集金を教員が行うこと自体にも大いに疑問が残る行為です。
 そこで伺います。静岡県は学校現場における参考書、ドリル、試験などの図書教材の選定や保護者への説明について基準を設け補助教材取り扱いガイドラインを定めていますが、図書教材以外の教具や学用品について選定、保護者負担の軽減や任意購入の教材・教具の販売の妥当性などを網羅したガイドラインの制定等の対策が必要だと考えますが、県の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 農業分野における県行政のあり方についてお答えをいたします。
 平成二十八年度の行財政改革推進委員会の意見書では、農業の成長産業化に向けた施策への資源の集中や全ての県民に豊かさをもたらす農政など、今後の農政の方向性を示す重要な意見をいただきました。
 高齢化などにより農業従事者人口が減少している中、産業としての農業を発展させるためには成長産業化に向けた施策が重要であると考えております。ICTなど先端技術の導入などによる生産性の向上や経営意識の高い農業者の育成に重点的に取り組んでいるとこであります。
 また、本県の農業は多彩で安全・安心な農芸品の供給や美しい農村風景の維持などを通じて地域社会の維持や県民の豊かさの実現に貢献をしています。このことを認識した上で意見書にも述べられていますようにビジネス経営体の育成と農家の支援を分けて目標を立て、持続的に成長可能な農業を目指してまいります。
 本県の普及指導員は、これまで農業技術だけではなく農政全般に精通した行政職員として、ビジネス経営体の育成や農地集積の促進に加え地域農業のコーディネーターとして都市農村交流や鳥獣被害対策など幅広い業務を行ってまいりました。
 農業は大きな変革の時期を迎えております。県では最先端の科学技術を取り入れ農業の生産性革新につなげるAOIプロジェクトに取り組んでいます。今後産官学金の幅広い連携により革新的な技術が開発されてまいります。こうした先端技術を生産現場で普及することが必要となりますが、そのためには現場に精通した普及指導員がその役割を担っていくことが必要です。このためこのような社会環境の変化を考慮して普及指導の方法や内容を見直すとともに、職員の資質向上に努めてまいります。
 県といたしましては、農業施策の重点化や資源の集中化を図り農業の成長産業化と地域農業の振興に取り組み、全ての県民の皆様に豊かさをもたらす農政を実現してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 新専門医制度への対応と若手医師の獲得についてお答えいたします。
 県では、これまでも専門医の養成を図るため県内の複数の病院で研修を行い、専門医資格を取得する本県独自の専門研修プログラムの設定や管理運営に努めてまいりました。また新専門医制度に対応したプログラムの策定や研修病院の拡大を支援するなど、新たな制度への移行にも備え質の高い専門医が養成できるよう取り組んでおります。
 今回の専門医制度新整備指針の改正では、医師については専門医を取得しやすい環境が整えられましたが、医師不足地域を抱える自治体では専門研修プログラムに対応するため研修施設となる病院をふやして多くの医師を取り込む動きが見られるなど全国的に医師確保の動向が一層激しくなることが見込まれております。
 県といたしましては、都道府県協議会であるふじのくに地域医療支援センター理事会において浜松医科大学や県内の基幹病院との連携を今まで以上に強め、県内での広く研修病院を確保した専門研修プログラムの整備を支援し拡充に努めてまいります。また本県の地域医療を確保するため研修病院の地域的な偏りが生じないようにプログラムを検証し改善を要請するなど、医師不足解消に必要な措置を講じていくことを強く表明してまいります。
 若手医師の獲得につきましては、医学修学研修資金の活用を初め専任医師によるキャリア相談や本県で働く先輩医師との病院勤務や研修についての意見交換会などを開催して、県内外の大学で学ぶ医学生や地方での勤務を望む若い医師に向けて県内病院の魅力や指導体制の充実を伝え本県での勤務意向の促進を図ってまいります。
 今後も、専門医研修体制の整備や医師の勤務環境改善計画の導入促進など、若手医師が必要な知識や技術を習得しながら安心して働くことのできる環境の充実に努め本県を多くの医師にとって魅力ある地域とし、本県の医師不足と医師の偏在の解消を進めながら本県の医療提供体制の向上と充実を目指してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 義務教育における教具・学用品のあり方についてお答えいたします。
 文部科学省の平成二十六年度子供の学習費調査によると、図書・学用品・実習教材費等に要する経費は公立小学校では年間一万九千円、公立中学校では約二万五千円となっています。
 教科書以外の図書、いわゆる補助教材については、平成二十七年三月の文部科学省通知において教育的見地から見て適切なものを活用することや保護者の経済的負担に留意することなどが示されており、県教育委員会ではこの旨を市町教育委員会に通知しております。さらに補助教材選定における透明性、公正性を確保するため取り扱いガイドラインを作成し、市町への周知徹底を図っております。
 また、補助教材以外の学用品等につきましては、各市町の小中学校管理規則等により教育的に有益でかつ適正なものを選定するよう定められており、これにのっとり各学校が選定しているものと認識しております。
 しかしながら、学用品等の必要性や選定に係るプロセスについては保護者等の理解を得られるよう十分に説明する必要があり、またこれに伴う学校現場での現金の取り扱いについてはトラブル防止に配慮する必要があると考えております。
 県教育委員会といたしましては、学用品等の選定や購入手続がどのように行われているかなど実態を把握し適切な取り扱いについて個別に市町教育委員会を指導するとともに、市町に取り扱いに差が出ないようルールづくりについても検討してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木内君。
       (五番 木内 満君登壇)
○五番(木内 満君) それでは、要望を二点、再質問を一点させていただきたいと思います。
 まず、新専門医制度の対応と若手医師の獲得についてということの中で、今後都道府県協議会の中で強く地域内の医師偏在が起こらないように求めていくということをおっしゃっていただきました。その点よろしくお願いします。
 その中で、特に以前データを出していただいたときも東部地域の連携拠点、研修ができる病院の数がやはり少ないということは大変心配する点ではあります。その点についてできれば予算をつけての支援などもより拡充していただいて、東部地域での研修施設がふえるような対策をお願いしてきたいということを要望させていただきたいと思っております。
 義務教育における教具・学用品のあり方につきましては、先ほど木苗教育長の答弁の中でまずは実態を把握していくということが第一かと思います。極めて細かいというかですね、なあなあにされてきた部分だとは思っています。ただ年間に幾らかかかるというのは、特に所得に余裕がない世帯においては大変なフラストレーションになるものであると思います。年間で一万円かかるんだと先に言われていれば、それはそれでそのように準備ができます。ですが年間に幾らかかかると言われて、五月雨式にこれは必要かどうか判断しなければならないというのはフラストレーションがたまる状況ではないかなと考えておりますので、そうしたところが透明化できるように、また説明責任が果たされるようにまずは実態の把握をお願いしていきたいと思っております。
 そして、農業分野における県行政のあり方について御答弁をいただきました。ビジネス経営体への支援とですね、それ以外の分野を分けて、考え方を分けてやっていくんだというような内容の答弁だったかと理解はしましたが、根本的な現状認識として示された県行政における農業分野の人材が過剰である、予算が過剰であるというような根本的な現状認識が意見書の中では示されていたかと思います。そういった点への受けとめについてできれば知事のお考えを伺いたいところではございますが、いかがでしょうか。御答弁求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 農業分野における県行政のあり方についての再質問ありがとうございます。
 もともと農業は農業基本法でやっていたわけですけれども、これが食料・農業・農村基本法に変わりまして、そこで議員御指摘のとおり農業・農村の持つ多面的機能が強く打ち出されたわけであります。これはもう前提であります。したがって例えば清水の新丹谷におきまして、極めて厳しい自然条件の中でこれを克服するために土地改良区の事業が成功いたしまして、これなどは効率性も上げると同時にまたその地域の持ってきた伝統、また果樹栽培といったようなものを復活させたということがございます。あるいは棚田というのは極めて非効率的な農業生産でありますけれども、棚田百選に選ばれた例えば松崎町の一部の棚田、あるいは直虎の井伊谷における棚田、あるいは菊川の学生さんが手伝ってる棚田がございます。これらはまさに田ごとの月とも言われますけれども、棚田の持っている景観といいますか、あるいは先人の苦労といいますか、こうしたものを引き継いでいこうということで保存されているわけであります。
 一方、難波副知事が御答弁申し上げましたようにここにITであるとか、あるいは慶應義塾の持ってらっしゃる情報技術であるとか、理科研の持ってらっしゃる最新の技術であるとか、こうしたものを入れ込んでこの農業を営んでいくというのが極めて斬新なもので日本にもこれまでなかったものであります。こうしたところに力点を置かないと農業全体が疲弊してしまうと、しかしながら全体として今農産物のうちの生産額は二千億円ぐらいだと思いますけれども、これをさらに大きくするというのが攻める農業として不可欠でありまして、どうしてもビジネス経営体といったような観点を入れないといけないということで、この多面的な機能をないがしろにするのではなくて静岡県全体が持っている財産はそれとして多面的機能を維持しつつ、一方で新機軸を出していくという、こういう姿勢でおります。したがって今回の答申もそういう観点でお読みいただければ、私どもが農村の持っている、また農業の持っている多面的機能を見失っているわけではないということを御理解いただければというふうに存ずる次第であります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木内君。
       (五番 木内 満君登壇)
○五番(木内 満君) 知事からの御答弁、ありがとうございました。
 農業の多面的機能と、それに基づく価値というものをしっかりと県民の皆様と共有した方針をしっかりと持っていただきたいなということをお願い申し上げます。
 またですね、これから行財政改革推進委員会等のああいった意見書に関しては、やはり読まれた方からさまざまな心配する声が上がってくることがあるかと思います。ぜひ、そういった面でも知事から率先してそういう姿勢を示していただいて、そういう多面的機能、価値をしっかり守りながら県農業の発展を築いていくんだという姿勢を常に示していただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山田 誠君) これで木内満君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

○副議長(山田 誠君) 次会の議事日程を申し上げます。
 七月二十日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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