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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/27/2017

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 憲法改正について
 (1) 憲法改正の是非
 (2) 学校における法に関する教育
2 魅力ある地域圏の形成について
3 高齢者の生き方について
 (1) 高齢者を含めた誰もが働ける環境の整備
 (2) 高齢者の理想の生き方
4 里親制度について
5 農業用水を活用した小水力発電の導入促進について


○副議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、五十六番 渥美泰一君。
       (五十六番 渥美泰一君登壇 拍手)
○五十六番(渥美泰一君) 私は自民改革会議の所属議員として、県政の課題について知事、副知事並びに関係部局長及び教育長に一括質問方式にて質問いたします。
 ことしは地方自治法施行七十周年の節目に当たりますが、今後地方自治体には地域の自主性や自立性を十分に発揮し地方自治をより一層進展させていくことが求められていると思います。
 初めに、憲法改正についてのうち、憲法改正の是非について伺います。
 憲法改正については、現在自民党の憲法改正推進本部において九条改正、教育無償化、緊急事態条項、参院選合区解消などの項目について論点整理が行われていると聞きます。そしてこのたびの解散総選挙における自民党の公約に改憲が盛り込まれるやに報道されていますが、現段階において憲法改正に対する国民の正しい判断が得られるのか心配です。
 そもそも、憲法は国の根本規範を定めたものであり現実との乖離があってはならないことであります。時代とともに我が国を取り巻く国際情勢も変わってきており、そうした外的変化にも対応した我が国の方針が示されるべく憲法を見直す必要があるのではないかと考えます。
 特に、国民の関心も高い自衛隊違憲に対してはこれまで解釈論でしのいできました。政府は国際法上認められている自衛のための最小限の軍事力を持つことまでは憲法は規定していないから憲法違反にならないと解釈しています。これに対し一昨年六月に憲法学者に実施したアンケートで回答のあった百二十二人中七十七人が自衛隊の存在は憲法違反または違反の可能性があると答えており、集団的自衛権の行使に至ってはほとんどの学者が違憲と答えています。
 また、四十年ほど前の自衛隊の違憲性を争った長沼事件では第一審は違憲判決、控訴審では自衛隊の存在が憲法第九条に反するかどうかの問題は統治行為、すなわち高度に政治性のある国家行為は司法審査の範囲外にあるとし一審の違憲判決を取り消し、上告審では自衛隊の合憲性の問題には触れられず原告住民に訴えの利益なしとして訴訟を終結させています。このように自衛隊の存在を曖昧にしたり新たに憲法にうたうべき事柄を放置しておくことは政治の責任ではないかと思います。
 安倍首相は憲法改正に意欲を示しておられますが、ことし五月の憲法記念日を境に新聞各社が行った憲法改正世論調査の結果では改正の必要はないが改正を上回り、第九条についても同様に改正の必要はないが上回る結果となりました。一方別のアンケート調査で自衛隊の存在を規定する条文を新たに追加することについては賛成五二%、反対三五%と国民の半数以上が支持している状況です。
 いずれにしましても、憲法改正に当たっては国民を巻き込んだ議論をしっかりやることが大事であると考えます。そのためにも機が熟したら国会による憲法改正発議の前段階として、まず憲法改正の是非を国民投票で問うたらどうかという意見もあります。県としても県民意識を盛り上げる取り組みが必要ではないかと思います。
 そこで、自衛隊の憲法上の規定など整理すべき事柄が放置されている現状を踏まえ、現実に照らした憲法改正の是非と国民の機運醸成に対する知事の御所見を伺います。
 次に、学校における法に関する教育について伺います。
 小中学校の学習指導要領では、社会科の学習で日本国憲法の基本的な考え方や法の意義について学ぶことを位置づけています。憲法改正の問題についてはさきに述べましたようにさまざまな議論があり、改正すべきであるという主張と、いや改正すべきではないという主張が鋭く対立してきました。中でも九条の問題は子供たちにどのように教えているのでしょうか。教育現場では教えるのに苦労をしているのではないかとお察しします。また憲法という国の根幹にかかわる問題を放置しておくことは国家のあり方として問題であり、子供の教育上も決してよいことではないと思います。憲法に対して国民が関心を持ち、国民的な議論をもっと盛んにしていくためには学校における憲法を初めとした法に関する教育が重要と考えます。憲法改正の国民投票では、十八歳以上の生徒は参加するわけですので十分な教育が求められます。
 学校における現憲法への対応状況と憲法を含めた法に関する教育について、教育長の御所見を伺います。
 次に、魅力ある地域圏の形成について伺います。
 県では、総合計画後期アクションプランの地域づくりの基本方向において、政令指定都市に準じた都市機能等の集積のメリット等を考慮し県内五つの圏域を設定して特色ある地域圏の形成を進めてきたと承知しております。西部地域の世界トップクラスの技術と多彩な文化で最先端をいく躍進都市圏など圏域ごとの目指す姿を掲げ、各地域の特色を生かした取り組みを推進することは本県の発展にとって大変重要であると考えます。
 県においては、一昨年地方創生を進めるため美しい“ふじのくに”まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、さまざまな施策の展開によって人口減少社会の克服に取り組んでいると理解しております。知事は富士山の世界遺産登録を皮切りに茶草場農法の世界農業遺産登録など早いペースで世界クラスの地域資源や人材群が顕在化し、静岡県の立ち姿が名実ともに世界のひのき舞台へとあらわれつつあるとおっしゃっておられますが、昨年度の状況を見ますと本県の人口は社会移動、自然増減ともにマイナスで転出超過数は全国ワースト五位にあります。このような状況下で国内外からの憧れを誘い繁栄を呼び込む魅力ある静岡県づくりを進めるためには、市町が一層連携協働し地域圏の力を高めるとともに、各地域圏が相互に機能を分担、補完、あるいは連携し県全体の魅力を高めていくことが重要であります。
 私は、平成二十六年九月議会において魅力あふれる県づくりについての質問で、地域圏の形成のためには県がリーダーシップを発揮していく必要があるのではないかと伺ったものであります。圏域の形成は連携のための取り組みを市町の自主性に委ねていてもなかなか進むものではないと思われます。各市町が圏域が一体となって取り組む必要性を認識するとともに、県と市町が協調してさまざまな施策において市町間連携の取り組みを具現化していく必要があると思います。そうした意味では、県がこのほど東部・伊豆地域二十市町を対象エリアとして、サイクルスポーツの振興につながる提案の取りまとめを県東部地域スポーツ産業振興協議会に委託し実施することは大変よい取り組みかと思います。
 先月の総合計画審議会で示された新総合計画の基本構想の概要案によれば、地域づくりの基本方向としてこれまでの五つの地域圏に変え四つの地域圏を設定する一方、地域圏ごとの構成市町は厳密に設定せずボーダーレスの視点で広域的な施策を展開するとされています。私はこの圏域内の市町が将来的に一つの行政体として結びつき、一定の権限のもとおのおのの特性に応じた地域づくりが実現していくことを期待するものであります。
 そこで、県は地域圏のあり方をどのように捉えているのか、また地域圏を形成するために政令指定都市を含めた市町相互の関係及び県と市町との関係をどのような形で構築していこうとしておられるのか伺います。
 次に、高齢者の生き方についてのうち、高齢者を含めた誰もが働ける環境の整備について伺います。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、我が国の総人口は二〇六五年には八千八百八万人に減少し、また高齢化率は三八・四%に上昇することが見込まれています。こうした中、六十五歳以上と定められている高齢者の定義を七十五歳以上に変更しようという日本老年学界と日本老年医学会の提言が波紋を呼びましたが、WHOが六十五歳以上が総人口の七%を超えた社会は高齢社会と定義したのは一九五六年です。当時の我が国の平均寿命は男性が六十四歳、女性が六十八歳でした。それから六十年が経過した二〇一六年の平均寿命は男性が八十歳、女性が八十七歳と大幅に伸びています。また現在の高齢者は生物学的に見て十歳は若返っていると医学的なデータが示しています。
 高齢になると健康や体力に不安を感じる人もおられますが、長時間労働の是正や作業負担の軽減など職場環境が整えば七十歳を過ぎても元気で働く意欲のある高齢者が大勢いらっしゃいます。またそうした高齢者が働きやすい職場は女性や障害のある方などにも働きやすい職場ではないかと考えます。少子高齢化により労働市場は生産年齢人口の確保が難しくなってきています。元気で働く意欲のある高齢者を初め女性や障害のある方など多様な人材の労働参加が進めば、社会保障費の減少や労働力人口の減少などの課題解決にもつながるのではないでしょうか。
 厚生労働省静岡労働局の発表では、高年齢者等の雇用の安定に関する法律が施行され継続雇用制度を実施し六十五歳まで働けるようにした企業は、本県においては従業員三十人以上の企業で九九・五%に達しています。しかし定年制を廃止した企業は三・〇%、六十五歳以上定年企業は一三・六%にとどまっております。また七十歳以上まで働ける企業は二三・七%であり六十五歳を超える雇用措置はまだまだ浸透しているとは言えず、しかも従業員が三百人を超える大企業の対応がおくれています。
 企業は若手人材の確保を求めますが、人手不足が深刻化する中で本県経済の持続的な成長を維持していくためにも、高齢者を含めて働く意欲のある誰もが働きやすい職場環境を整えることが重要と考えますが、県の取り組みを伺います。
 次に、高齢者の理想の生き方について伺います。
 超高齢社会を迎え、高齢者の生き方について国民の関心が高まっています。誰でも高齢者になりますので高齢者問題は他人ごとではありません。多くの国では高齢者は年齢六十五歳以上と定義されていますが、特に前期高齢者の方々には活発な社会活動が可能な人が多いことなどから、六十五歳以上を高齢者とすることに違和感を感じるとの意見が強くなっています。
 第一生命財団顧問の加藤恭子氏八十八歳は、「自分の年を忘れてともかく働きなさい、他人のために働くのはとても気持ちのよいこと、道路の掃除とかボランティアのような仕事でもいいんです、社会とのつながりを持つことは人間にとって本当に大事なことです」とおっしゃっておりますが全く同感であります。内閣府が五年ごとに実施している高齢者の日常生活に関する意識調査結果でも、外出の頻度が高い人ほど喜びや楽しみを感じる割合が高くなっています。しかし一方社会の第一線を退いた後悠々自適で地域の活動にも参加しないで自分の好きなことだけをやって人生を謳歌する、こういう人が近年ふえてきているように思います。これでは我が国が目指すところの地域包括ケアなど地域ぐるみの活動は成り立ちません。
 働ける環境だけでなく、地域における高齢者の活躍の場の創出や社会参加の促進は高齢者を元気にするだけでなく地域を支え地域を元気にするものであります。本県が目指す健康寿命を延ばすためにも、高齢者が出歩きやすく社会にかかわり続けることができる地域社会をつくる必要があります。
 二十年前になりますが、私は阪神・淡路大震災を契機に神戸市が取り組んだ自主防災組織と地域福祉を兼ね備えた防災福祉コミュニティーの本県への導入を提案したものであります。この活動を各地域において、ふだん地元におられるシニアクラブの方々を中心に組織づくりをする必要があると考えます。私もシニアクラブの会員ですので、こうした地域活動で生涯現役で頑張れたらいいなと思っています。政府も先日人生百年時代構想会議を発足させ、超長寿社会を人々がどのように活力を持って生き抜いていくかの検討を始めるようです。
 県では、昨年度から六十六歳から七十六歳のいわゆる壮年熟期の方々の社会参加を促進する事業を各地で展開していますが、そのような事業展開を通じてどのような社会を実現していくのか、また高齢者の理想の生き方についてどのように考え推進するのか所見を伺います。
 次に、里親制度について伺います。
 里親制度は、昭和二十二年十二月制定の児童福祉法によって規定された、家庭での養育が困難または受けられなくなった子供に温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境のもとでの養育を提供する制度であります。その後の特別養子縁組制度の施行や児童福祉法改正等とともに、里親制度に対する社会の理解や期待感も次第に高まってきております。
 私も、乳幼児を育てたり週末や学校の夏休み、冬休みの期間に施設の子供を預かるなどの里親の経験があります。社会的養護の現場ではより家庭的な環境にする方向に少しずつ進んではきましたが、まだまだ里親制度は浸透し切れていないのが実態です。
 その大きな要因は里親のなり手不足です。里親として登録されているのは全国で一万六百七十九世帯、そのうち実際に里親として委託されているのは三千八百十七世帯で登録里親の三六%にとどまります。また社会的養護が必要な子供は全国で四万五千人いると言われますが、このうち里親に委託されたいわゆる里親委託率は一七・五%にとどまり、アメリカの八〇%、イギリスの七〇%などに比べ大きく立ちおくれています。
 こうした状況に鑑み、昨年の児童福祉法改正では児童虐待防止や子供の心身の健康のため家庭での養育を原則とする方針が大きく掲げられ里親支援や養子縁組里親も法定化されました。これを受けて厚生労働大臣が設置した新たな社会的養育のあり方に関する検討会がことし八月二日に発表した新しいビジョンでは、虐待などで親元で暮らせない社会的養護が必要な子供の受け皿として里親を大幅にふやすとし、里親委託率を三歳未満はおおむね五年以内、三歳から就学前はおおむね七年以内に七五%に引き上げる、就学前の子供は原則施設に入れない、特別養子縁組も倍増の年千件を目指すとしています。欧米並みの大変思い切った内容であります。
 子供は、乳幼児期に特定の養育者と安定した関係を築くことで人格や社会性を養う土台が形成されます。海外の研究によると、養育者が頻繁に交代する施設では安定した関係がつくりづらく成長後に対人関係や行動面などで問題を抱えるケースが多いと指摘されております。検討会の今回の目標は子供の育つ環境や里親制度のあり方を原点から見直すことを意味します。
 県では、これまで里親委託率の目標を国の目標と同様に平成四十一年度までに三三・三%を掲げ里親委託に積極的に取り組んでいると承知しております。
 平成二十七年度末の県所管登録里親数は、二百六十六世帯で里親委託率は二六・七%と全国平均の一七・五%を上回る状況にありますが、県は里親委託を今後どのように進めていかれるのか伺います。
 次に、農業用水を利用した小水力発電の導入促進について伺います。
 昨年三月に改定された県のふじのくに新エネルギー等導入倍増プランを見てみますと、事業用太陽光発電の急激な導入拡大に比べ小水力発電など他の新エネルギーの導入は余り進んでいない状況であり、バランスのとれた導入が求められています。再生可能エネルギーである新エネルギーは環境負荷が少ないクリーンエネルギーであるとともに、新エネルギーを用いた小規模分散型エネルギー体系の構築は地域に新しい産業を興すなど、地域経済の活性化に大きく寄与する可能性も有していると思います。とりわけ小水力発電は県内くまなく張りめぐらされた農業用水路を活用でき、また天候に左右されにくく年間を通じて安定した発電が可能であることから導入の可能性は大きいと考えております。
 県では、農業用水を活用した小水力発電の導入促進に向けて行政や施設を管理する土地改良区のほか民間企業やNPO等で構成する小水力等利用推進協議会を平成二十四年三月に設立し、民間による農業水利施設への小水力発電導入に対して支援を行っていると承知しております。
 例えば、施設管理者との調整や各種手続等について協議会の支援を受け、これまでに幾つかの県内企業が製品化を目指した実証実験を行っております。こうした実証実験を行った企業等は今後製品の実用化に向けて用水路等での長期試験による詳細なデータ収集等が必要であり、継続的かつ安定的に試験のできる水路探しに大変苦労しているようです。
 小水力発電に意欲的な県内のある企業は、群馬県と福島県まで出かけて行って水路を使用した継続的な実証実験を行っています。しかしそこは実際に発電に使用する水路とは水路の構造等も異なるため全ての実証実験を行うことは不可能です。
 そこで私は、県内で発電に適した水路を選定しその水路に沿って同様のバイパスを実証実験用として整備することを提案したいと思います。そうすれば実験中に万が一のトラブルが生じても水利の安全性は保てますので、開発事業者が安心して実証実験を継続的にいつでも行うことができます。
 今、全国各地でこの小水力発電の開発にしのぎを削ってきていますが、実証場所が得られないことが足かせになっていると思います。
 そこで、小水力等利用推進協議会の今後の活動方針と県の企業の製品開発に対する支援について所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 渥美議員にお答えいたします。
 憲法改正についてのうち、憲法改正の是非についてであります。
 日本国憲法はことしで施行七十周年を迎えました。この七十年の間に我が国を取り巻く社会経済情勢や国際関係が大きく変化したのは御案内のとおりであります。七十年前には思いも寄らなかった地球環境問題というのも現実化しております。
 こうした内外の諸課題に適切に対応できるように、国民的議論のもと憲法を改正するべきときが来たと考えております。
 私の憲法観についてお尋ねでございますが、日本国憲法は前文におきまして主権在民、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本原理をうたっております。お気づきのようにこれらは全て人にかかわるものであります。しかしながら日本という国は国民と国土から成るということでございますので、そしてまた今ツバルのように太平洋の海の中に国それ自体が、国土それ自体が水没しかねないようなそういう国もございます。
 そうしたことから、私は改めましてこの前文の中に例えば日本国は国民と国土とから成ると、日本国民が祖先から引き継いできた美しくかけがえのない国土を良好に保全し各地の自然と風土を保全して子孫に引き継いでいくのは国民の責務である、日本の国土は地震、津波、台風、噴火、山崩れ、洪水のほかさまざまな自然災害を免れることができない、それゆえ日本国民は国土の防災、減災対策を講じ国土の安全確保に努めなければならないなどといった文言を取り込む必要があるというふうに存じます。
 しからば、この条文はどこに置くのが一番ふさわしいかということでございますけれども、第一章が天皇ということになっております。国民統合の象徴としての天皇であります。しからばそれと平仄を合わせるならば、国土統合の象徴は何かとなれば私は富士山と言って差し支えないのではないかと存じます。したがいまして第二章第九条は現在の戦争放棄を全面的に削除いたしまして、第九条は第一章第一条の条文に倣い、富士山は日本国の象徴であり日本国土統合の象徴であってこの認識は国民の総意に基づく、日本国民は富士山が畏敬の対象であり、かつ芸術の源泉であることに鑑み富士山のように美しく品格のある国土をつくろうと思う、日本国民は富士山が活火山であることに照らし、国土のはらむ自然災害の脅威に対して万全の防災、減災対策に努める、日本国民は国土の安全と景観の保全に努め、美しく良好な国土を子々孫々に継承していくように努めるなどといったような文言が考えられます。
 しからば、第九条これは渥美先生が今問題にされたところでございますけれども、国民と国土を保全するのがこの第九条に当たるところであるというふうに存じます。そこでこの第二章第九条は章を改め第三章第十条といたしまして、今の文章を引き継ぎながら第三項に――この第九条の冒頭は日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し云々と、こう始まっているわけでございます――ただし世界の恒久平和が実現するまでは国民と国土の平和と安全の維持に必要な自衛措置をとり、前項の目的を達成するために必要最小限の武力を保持するといったふうに改めますとこの全体としてバランスがとれるというふうに存じます。
 それからまた一方、国連憲章にのっとって世界の平和と安全に貢献することも憲法に掲げ続けるべきであると考えます。そのため現行憲法に掲げる崇高な平和主義の原則を堅持しつつも、世界の恒久平和が実現するまでの間は国民と国土の平和と安全の維持に必要な自衛措置をとり得るという、そういう文言を書き込むべきであると。その目的を達成するために必要最小限の武力を保持することを可能とするように憲法を改正するべきであるというふうに考えております。
 憲法改正をめぐりましては、安倍総理が改憲への意欲を重ねて示されておりますが、与党内にも慎重意見がございます。主権者である国民の間で改憲への機運が高まっているとはまだ言いがたく存じます。改憲の賛否や現行憲法のどこを変えるべきか、変えるべきでないかの見解も国民の間で大きく分かれております。このため憲法改正を進めるためにはスケジュールありきではなく、堂々と憲法改正を国民の議論として巻き起こし、より一層国民の機運醸成を図っていく必要があるのではないかと存じます。
 私は、先生と同様地方行政を、地方の自治をあずかる者といたしまして、自民党の憲法改正案には第八章地方自治については一切触れておりません。第八章、御案内のように九十二条、九十三条、九十四条、九十五条とこの四条から成るわけでございますが、この九十二条は地方自治の本旨に基づいて別途法律を定める、その次の九十三条はこの議会を設けまた議員の先生また地方自治体の長は直接選挙で選ぶ、そして九十四条は私どもが定める条例は法律の範囲内でなくてはならない、そして最後は何か本県だけでする場合は住民投票によって過半数を得なくてはならないとか、大阪ともそういうことで自民党はなさったわけですから。これにしかすぎないんですね。ですからさすがに地方自治の本旨に基づいて法律で別途定めるとありますが、地方自治の本旨とは何かということに対しまして先般、先々般のこの二回の全国知事会におきまして非常に大きな議論になりました。きっかけになりましたのは参議院選挙区の合区にかかわる問題が出てきたからでありますけれども、そこで全国知事会としましても作業部会を立ち上げているところであります。
 したがいまして、私ども地方自治、地方行政にかかわる者といたしましては、この全国知事会における検討なども注視しながら日本国にふさわしい憲法のあり方について議論をしていくときが来ているのではないかと考えております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(山田 誠君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 魅力ある地域圏の形成についてお答えいたします。
 世界的な交流が拡大し社会経済活動が広域化する一方、人口減少社会の到来によりまして社会構造が大きく変化する中、地域が住民の主体性を最大限に発揮し自然や文化、産業など個性ある地域資源や場の力を生かし、人々を引きつける世界水準の魅力を備えた地域づくりを進めることが重要となっております。
 次期総合計画の骨子案では、人口減少、少子高齢化が進む中におきましても自立して地域の活力の持続を可能とする一定の人口規模を有し、場の力を最大限に発揮した一体感のある地域形成が期待できるという観点から伊豆半島、東部、中部、西部の四つの地域区分をお示しをいたしました。今後魅力ある地域圏の形成に向けまして知事と市長、町長が直接意見交換を行う地域サミットや県と市町の企画担当者で構成する地域政策会議など、さまざまな機会を通じまして市町の皆様と地域の目指す姿や取り組みについて意識の共有化を図ってまいります。
 また、県ではこれまでも静岡市を初めとする五市二町による連携中枢都市圏の形成や賀茂地域一市五町の連携協約制度を活用した住民サービスの提供、県内各地域のDMOの形成など地域の実情に応じた広域連携の促進に努めてまいりました。引き続きこうした地域の自立的発展に向けた市町の主体的な取り組みを積極的に支援し、実効性ある地域連携を進めてまいります。
 今後、それぞれの地域が有する場の力を最大限に活用した未来の姿とその実現に向けた施策を次期総合計画に確実に位置づけてまいります。そして市町を初め地域の住民の皆様、NPO、企業などの多様な主体との協働によるオール静岡での取り組みを展開することによりまして、富士の国静岡県を支える、世界に誇れる特色ある魅力を備えた地域圏を形成してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 憲法改正についてのうち、学校における法に関する教育についてお答えいたします。
 現行の学習指導要領において、憲法に関しましては国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本的な原則のほか参政権や納税の義務など国民の権利義務、三権分立制度など国家の基本について学び、民主政治が憲法に基づいたものであることを理解できるようにすると示されております。各学校では小学校六年生の社会科、中学校社会科の公民的分野において立法や司法の仕組みについて学習をしております。また生活科や道徳、特別活動などにおける人とかかわる学習を通して社会生活における取り決めの重要性や約束や決まりを守ることなどの規範意識の涵養に努めております。
 近年、高等学校における主権者教育について選挙権の行使と社会参加等に関する学びが必要不可欠となっております。またこれからの社会ではグローバル化の進展に伴いさまざまな価値観を持った人と接する場がますますふえることから、これまで以上にルールに基づく活動や対応が求められ、決まりや法律について学び理解できる教育が一層重要となっております。
 県教育委員会といたしましては、小学校、中学校、高等学校において社会科を含む関連教科や特別活動の中で法に関する教育を実践し、児童生徒がルールを守りみずからの権利と責任を自覚し行動する人を育成するよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 渡辺経済産業部長。
       (経済産業部長 渡辺吉章君登壇)
○経済産業部長(渡辺吉章君) 高齢者の生き方についてのうち、高齢者を含めた誰もが働ける環境の整備についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、本県経済の持続的な成長を維持するためには高齢者を初め女性、障害のある人など多様な人材の能力を生かす働きやすい職場環境の整備が重要であります。このため県は働き方改革に取り組み、多様な人材を活用する企業に対して職場づくりアドバイザー等の専門家を派遣し勤務時間、休暇制度などの見直しへの助言を行うとともに、子育て、介護などと仕事を両立できる環境整備に取り組む事業主の行動計画の策定を支援しております。
 また、県内の経営者を対象に高齢者等が生き生きと活躍している職場の状況を体感していただく先進企業視察研修を実施し、多くの企業で高齢者等を配慮した作業環境や勤務時間の短縮などの改善を促進しております。加えて今年度は、女性や外国人の積極的な登用で国の新・ダイバーシティ経営企業百選に選ばれた本県の企業の取り組みをセミナーで紹介し、多様な人材の活躍が企業の成長につながることを県内企業に発信してまいります。
 県といたしましては、今年度末に策定する産業人材確保・育成プランの施策の柱に誰もが生き生きと働ける環境づくりを置き、高齢者や女性等の多様な人材が自身の持つ能力を最大限に発揮し生き生きと働くことができるよう支援してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 高齢者の生き方についてのうち、高齢者の理想の生き方についてお答えいたします。
 県では、高齢になっても元気で活躍できる社会を目指しております。高齢者の方々が尊厳を持ってみずからが望む生き方ができるようにするためには、本人の希望に応じて柔軟に働ける環境やさまざまな活動を選択できる場が身近にあることが重要であります。
 このため、ふじのくに型人生区分を県民に提言し六十五歳以上の方々をまだまだ元気で活躍できるとして六十六歳から七十六歳までを壮年熟期といたしました。この六十六歳から七十六歳までの壮年熟期の方を主な対象として、これまで培った経験や知識を生かし社会で活躍することを支援するふじのくに壮年熟期活躍プロジェクトを推進しております。このプロジェクトでは、健康寿命の延伸と高齢者の生きがいづくりを目的として社会参加のきっかけとなる講演や多様な社会参加の事例発表会に加え、生活支援の担い手として実践的な知識や体験を学ぶ講習や農家への就業の体験会など県内各地で実施し高齢者が地域づくりやボランティアなど地域で活躍できる環境と場の実現を目指しております。
 今後、県といたしましてはシニアクラブの活動支援や誰もが自由に立ち寄れる居場所づくりなどを進め高齢者が地域で社会にかかわり続けることができるようにしてまいります。また地域で高齢者を大切にする意識を醸成し、誰もが住みなれた地域で尊厳を持って生き生きと暮らし続けることができるように住民同士が支え合い長寿を喜び合える社会づくりを進め、市町や関係団体とも連携しながら「生まれてよし 老いてよし」の地域となるように取り組んでまいります。
 次に、里親制度についてであります。
 社会的養護を必要とする子供が、心身ともに健やかに成長し自立するためには、温かく安定した家庭で生活することがとても大切で欠かせないことであります。そのため里親家庭には家庭に恵まれない子供の養育先として大きな期待が寄せられております。
 県では、これまでも積極的に里親家庭での養育を推進しており高い里親委託率を維持しております。加えて平成二十八年の児童福祉法の改正により社会的養護を行う際には家庭での養育を原則とする方針が掲げられたことを踏まえまして、本年度から社会福祉法人が設置する児童家庭支援センターに児童相談所が担ってきた里親支援業務の一部を委託することで地域の関係機関とも連携したきめ細かな対応を行っており、委託率の向上にもつながっているところでございます。
 児童家庭支援センターでは、県を初め児童相談所や里親会、児童福祉施設等と連携して里親の活動内容を紹介する講演会や里親希望者への説明会を開催しております。また里親同士が相互交流を行うサロンの運営や里親宅への訪問相談支援などを行うことで新規里親の開拓と里親の資質向上を図り、子供が里親家庭で安心して成長できるように支援しております。
 県といたしましては、今後も家庭的養護の推進に向けた静岡県推進計画における里親委託の割合三三・三%の目標達成だけでなく、新たな社会的養育ビジョンを受けた国の動向を踏まえ新規里親の開拓を進めるなど里親委託を推進してまいります。
 児童虐待の事情などにより親元で暮らせない子供たちに温かい愛情と正しい理解を持ち、みずからの家庭で養育していただける里親家庭への委託を推進し、全ての子供が希望を持って暮らすことのできるふじのくにづくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 農業用水を活用した小水力発電の導入促進についてお答えいたします。
 本県では、平成二十四年に農業水利施設を活用した小水力等利用推進協議会を設立しガイドラインの策定や技術セミナーの開催、民間企業の実証実験実施への支援等を行うとともに国や県の行政が先導的に小水力発電施設を設置してきた結果、昨年度末で千四百九十八キロワットの施設が完成しております。富士宮市の北山用水では、市と民間企業が発電事業を円滑に推進するための協定を締結するなど協議会の支援による成果も出てきております。一方実証実験を行う場合民間企業の求める条件はさまざまであることから、条件を満たす場所が見つからない場合や一カ月以上の試験は許可制となることから手続に時間を要するなどの課題もあります。
 このため、協議会において既存水路での実証実験に容易に取り組めるよう管理に影響が少ない場所をあらかじめ常設試験フィールドとして設定し、その水路情報や具体的な手続方法について本年度中の公開を検討してまいります。また民間企業の多様なニーズの把握に努める中で実証実験を行うバイパス水路の設置についても研究してまいります。
 県といたしましては、これまでの取り組みに加え民間企業の機器開発等を積極的に支援し、本県の豊かな農業用水を活用したエネルギーの地産地消に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 渥美泰一君。
○五十六番(渥美泰一君) 御答弁ありがとうございました。
 要望二点をさせていただきたいと思います。
 里親制度についてでございます。
 御承知のように、課題は里親の確保と里親に対する支援です。児童相談所の機能強化というのは不可欠だと思いますが、しかし児童相談所は近年虐待などの対応に追われて里親制度にまでなかなか手が回らないというのが現状だと思います。また職員の異動により、里親との関係構築といいますか信頼関係が築きにくいなどのさまざまな課題も抱えております。
 先日、静岡市の里親家庭支援センターを訪ねてみました。静岡市の場合は里親委託率が実に四六・九%と県所管の二六・七%を上回って全国第一位です。注目すべきは支援センターに里親支援相談員として配置されている十一名の熟練の先輩里親の活躍ぶりでした。大変幅広くきめ細かく、里親の相談あるいは支援活動に取り組んでいただいていると、その結果が全国第一位ということだと思います。ぜひ県も里親機能を一層充実させて、恵まれない子供が温かい家庭のもとで健全に育てられるようにその取り組みをお願いしたいと思います。
 もう一点、小水力発電ですが、本県の事業者の中にも非常に有望な製品が目に見えてまいりましたので、ぜひ前向きな取り組みをお願いして、以上で質問を終わります。(拍手)
○副議長(山田 誠君) これで渥美泰一君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

○副議長(山田 誠君) 次会の議事日程を申し上げます。
 九月二十八日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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