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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

河原崎 聖 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/10/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 リニア中央新幹線の工事による大井川の流水量減少対策に
 ついて
2 昨今の豪雨災害等を受けた今後の災害対策について
(1) 豪雨災害に対する治水対策
(2) 被災者支援
(3) 災害時の液体ミルクの活用
3 富士山静岡空港に対する県の取り組みについて
(1) 路線の拡大
(2) 本県農産物の輸出に向けた取り組み
4 県内企業の航空関連産業への展開について
5 精神障害のある人の地域移行支援について


○副議長(中沢公彦君) これで中田次城君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、十八番 河原崎 聖君。
       (十八番 河原崎 聖君登壇 拍手)
○十八番(河原崎 聖君) 私は、自民改革会議所属議員として通告に従い一括質問方式で知事、副知事及び関係部局長に当面する県政の諸課題について伺います。
 初めに、リニア中央新幹線の工事による大井川の流水量減少対策について伺います。
 これまでこの問題については多くの議員から質問が行われているところでございます。私は一期目の四年間全ての議会質問でこの問題を取り上げさせていただき、また委員会のほうでも四年間のうち二年間は担当の委員会に所属させていただきましたので現職議員の中では一番多くこの問題を取り上げてきたのではないかと思います。
 これまでの間、私はリニアの問題について総じて県にはよく頑張ってきていただいたと感じております。昨年六月に静岡市がJR東海と単独で基本合意を結んだことで流域自治体には大きな衝撃と動揺が広がりましたが、県が音頭をとり新たな利水協議会を立ち上げ交渉の土台とし体制の立て直しを図りました。また専門家による有識者会議を設置し科学的知見に基づく検討を始めましたが、これはそれまで一方的にJR東海から示された判断材料をうのみにするしかなかった県民に対しさまざまな可能性を提示することとなり一定の成果を上げてきたものと考えます。県の御努力に対しては率直に流域住民の一人として感謝の意を表したいと思います。
 今後につきましても、何かしらの問題はあるにしても最終的にはJR東海との交渉は県を信じて委ねるしかないと考えており、それについては個別のJR東海との面談を断ったとされる流域自治体においても同様と理解しております。ただ昨今の議論を聞いておりますとやや焦点がぼやけている感もあります。
 県は、現時点においては一滴も大井川の水は減らさないという方針で交渉をされていると思います。もちろん大井川の水はこれまで通り維持されるべきですしそれが昨年十月のJR東海との約束でもあると思います。
 ただ、函南の例を持ち出すまでもなく水源となるところにトンネルを掘って何の影響もないと考える人はほとんどいないでしょう。私がこれまでいろいろな方々とお話をさせていただいて感じるのは流域住民の生活を支える最低限の水だけは何としても確保してほしいという切実な願いです。私もそれだけは何とかしたいと思いこれまでこの問題を取り上げてきました。しかし住民の生活を支える最低限の水がどれだけ必要なのかについては今のところ不明です。
 これについて、県の方で何らかの調査検討が行われているのでしょうか。そしてこうしたことも含め住民の生活を守るという観点から県はJR東海と今後の交渉をどのように進めていくのか伺います。
 もう一つ気になるのが、工事の影響に対する補償期間三十年の問題です。
 一般的にこうした工事への補償は三十年間とされているようですが、今回のような工事がそれになじむのかはなかなか判断が難しいものと思われます。この点についての県の所見を伺います。
 次に、昨今の豪雨災害等を受けた今後の災害対策について伺います。
 本年九月と十月にそれぞれ大型の台風十五号と十九号が日本列島を襲い、本県にも甚大な被害がありました。特に十九号は大型で強い勢力のまま伊豆半島に上陸した後、関東地方から東北地方へ抜け広い範囲で記録的な大雨となりました。これにより各地で河川の氾濫が相次いだことなどから人的被害や住宅被害、ライフラインへの被害が多数発生し社会経済に大きな影響を与えました。改めて今回の台風により犠牲になられた方々の御冥福をお祈りするとともに被災された皆様に対しお見舞いを申し上げます。そして本県における被災者の生活再建、復旧に向け迅速な対応を県と一体となり進めてまいりたいと考えております。
 そこで、まず初めに豪雨災害に対する治水対策について伺います。
 本県におきましては、今回の台風十九号により堤防の破堤等による大規模な河川氾濫には至らなかったものの、県内各地で約二千四百棟以上もの家屋浸水被害が発生したほか道路、河川等の多数の施設被害が発生いたしました。台風十九号の出水は幸いにして大井川の中流域において顕著な水位上昇は見られなかったものの、島田市内を流れる中小河川については各所で堤防天端付近まで一気に水位が上がり排水不良などによる家屋浸水被害が発生いたしました。あのまま豪雨がもう一時間、いや三十分継続した場合には大井川などの大河川を含めより大規模な災害に至ったものと思われます。気候変動による異常気象は毎年のようにこれまで経験したことがないような記録的豪雨をもたらしていることから今後の安全・安心な地域づくりのためにはさらなる治水対策が急務と考えます。
 現在、平成三十年度の大規模災害を踏まえ各分野において防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策に取り組んでおりますが、治水対策をさらに加速化させるためには河川予算の一層の拡大が必要であると考えます。これについては近ごろ国から示された緊急経済対策の中でもその方針が示されたところです。
 そこで、三カ年緊急対策における治水対策の内容と効果についてお伺いするとともに、今回の台風を初め頻発化、激甚化する豪雨災害に対する今後の県の治水対策について伺います。
 次に、被災者支援について伺います。
 今回の台風十五号と十九号による住宅の被災状況を見てみると十五号では風による被害が、十九号では大雨による浸水被害が多かったと言えます。台風十九号では災害救助法の適用となった伊豆の国市、函南町以外でも床上浸水被害が数多く見られ県全体で約一千棟に上るものとなっております。床上浸水した多くの住宅では畳から家財道具一式が使用できなくなってしまうとともに、内壁にある断熱材等がかびてしまい悪臭が出るなど元の生活に戻るのに御苦労されているところです。
 こうした被災した住宅に対する支援として国が被災者生活再建支援法に基づき全壊、大規模半壊等に対し支援金を助成する制度に加え、県は国の制度の適用を受けない災害における全壊、大規模半壊等に対する支援金の制度を現在運用しておりますが、これらの制度は基本的に全壊または大規模半壊以上の被害がないと支援の対象とならないため今回の十九号の被害の中心である床上浸水の家屋が支援の対象となりにくい実情があります。それはこれらの制度が地震被害を中心に制度設計されていることが大きな一因と私は考えております。
 支援制度とは別に災害救助法における住宅の応急修理については、国が台風十五号を契機に浸水被害への対応として一部損壊まで対象を広げましたが被災者生活再建支援に関しては要件緩和はいまだ行われておりません。頻発する水害の実情に鑑み被災者自立再建支援の制度の拡充が必要ではないかと考えますが、県の考えを伺います。
 次に、災害時の液体ミルクの活用について伺います。
 今回の台風においても多くの国民が不便な避難所生活を余儀なくされましたが、こうしたときのために各家庭や避難所などにおいて当面の飲料水や非常食を備えておくことは大変重要であります。
 非常食は、近年メーカーの技術開発が進み災害時での活用を考慮し使い勝手がよくおいしい製品がふえてきましたが、生まれて間もない乳児にとっての食事は母乳や育児用ミルクだけでありその備えについても十分な配慮が必要です。粉ミルクを備蓄されている御家庭や避難所があると思いますが発災直後ライフラインが停止した状況下では適温のお湯をどのように確保するのかといった課題があります。
 そうした中、お湯が要らない乳児用の液体ミルクが災害時に役立つと注目を集めております。液体ミルクはこれまで欧米を中心に普及しておりましたが国内でも国が乳製品の成分規格等を整備し本年三月から大手メーカーで製造販売が始まりました。液状の人工乳をアルミ缶や紙パックで密封し常温保存が可能でそのまま飲むことができます。粉ミルクに比べ授乳時の調乳の手間を省くことができ授乳者の負担軽減や安全面からも災害時の避難生活に有効活用することが期待されます。また平時においても夜間や共働き世帯で時間が限られているとき、そして母親の体調がすぐれないときや不在のときなどでも簡便かつ安全に授乳を行うことができます。
 一方、こうした利点の反面粉ミルクに比べ価格が高い、賞味期限が半年から一年以内と短いといった問題があることから行政が大量に備蓄することにはなじまないかもしれませんが、いざというときのために備蓄に取り組む際には無駄にしないよう賞味期限が切れる前に福祉施策等で活用するなどのローリングストックを行うことにより普及にもつなげるべきと考えます。
 こうしたことを踏まえ、災害時に乳児の健康維持を図るためにも液体ミルクの有効性を最大限生かすべきと考えますが、県としてのお考えを伺います。
 次に、富士山静岡空港に対する県の取り組みについてのうち、路線の拡大について伺います。
 富士山静岡空港につきましては、ことしの六月四日に開港から十周年を迎えることとなりました。開港以来赤字と言われる財政支出が年間五億円前後発生していたものの、地方管理空港としては全国一の国際線利用者数を記録し昨年度は初めて年間利用者数七十万人を達成したということで一定の成果を上げてきたものと評価をしております。これは静岡県の地理的優位性と合わせ県や関係各位の御努力のたまものと考えます。今年度からは運営が三菱地所・東急電鉄グループによる新たな体制に切りかわり、民間の発想により富士山静岡空港の持つ新たな可能性が引き出されるものと期待されております。
 ただその一方で、静岡県の強みであった地理的優位性は急速に失われております。現在でも東海道新幹線の「のぞみ」がとまらないことから望みのない県などとやゆする向きもあるようですが、現在問題になっておりますリニア中央新幹線に至ってはかするとはいえ実質的には通らない県になっており、静岡県が通り過ぎるだけの県から外れた場所の県へとさらにその存在感を低下させるのではないかと危惧されるところです。
 そんな中、今後の静岡県の存立を考える際にはこれまでどおり国内との関係はもちろん重要ですが、それと同様か場合によってはそれ以上に海外との関係が重要になってくるものと私は考えております。海外、特に成長するアジアの中で静岡県をどう位置づけるかという戦略的な視点が求められているものと考えます。その際海外と静岡県をつなぐ上で大きな役割を果たすのが富士山静岡空港ということになりますが、これからの路線展開を考える場合にも静岡県にとって戦略的に重要な国・地域と結ぶ路線の実現に取り組むべきと考えます。
 また、現在の海外路線は中国便がほとんどで今後も大きな割合を占めるとは思いますが、先般奥凱航空便が突然キャンセルされたようにさまざまな要因からのリスクが大きく、ここに依存し過ぎることは空港の経営安定につながらないものと考えます。さらにもう一つの柱とも言える韓国便についても難しい状況が続いております。
 これからの海外路線について富士山静岡空港のマスタープランでは香港、バンコク、グアムなどが候補として挙がっておりますが、それら以外にも関係が深まりつつあるベトナムなどの国々やまた我が会派の先輩方が取り組んできたサイパン便といったようなものもあることからより広い視点で路線拡大に取り組むべきではないかと考えます。これについての県の御所見を伺います。
 次に、本県農産物の輸出に向けた取り組みについて伺います。
 私は、富士山静岡空港の利用を今後さらに促進していくためには旅客だけでなく航空貨物需要の掘り起こしに積極的に取り組むことが重要であると考えております。我が国では少子高齢化や人口減少により今後国内の食市場の縮小が予想される一方で世界の食市場は拡大を続けており、農林水産省の推計によればその市場規模は二〇〇九年の三百四十兆円から二〇二〇年には六百八十兆円に倍増すると見込まれております。
 こうした状況の中、国では我が国農業の持続的な発展を図るため農林水産物、食品の輸出を積極的に推進し二〇一九年の輸出額一兆円の目標達成に向けた取り組みを進めております。本県農業においても首都圏を初めとした国内だけにとどまらず世界の胃袋にも目を向け、有望なマーケットをいち早く切り開き獲得していくことで農業生産額の増加を図るとともに、空港の利用促進に努めるべきと考えます。
 県は、これまで富士山静岡空港を利用してイチゴの輸出に取り組んできたと伺っておりますが、イチゴに限らずさらなる農産物の輸出拡大を図るためには民間事業者の育成支援や海外の情報、ニーズを生産者に正確に伝える仕組みづくりの構築など民間を含めた本県農業に携わる関係者が一丸となった取り組みが求められます。
 そこで、富士山静岡空港を活用した本県農産物の輸出拡大に向けた県の取り組みについて伺います。
 次に、県内企業の航空関連産業への展開について伺います。
 平成二十九年の本県の製造品出荷額等は全国四位の約十六兆八千億円で、本県は国内有数のものづくり県であります。県内総生産に占める製造業の割合も三割を超えており、本県経済が持続的に発展していくためには製造業に携わる企業が継続して安定的に利益を生み出すことが重要であります。
 製造業は、技術革新を繰り返す中で成長する産業もある一方で勢いを失っていく産業もあるため、企業は多くの場合自社の技術を生かしながら今後成長が見込まれる産業に積極的に挑戦していくことが求められます。これについて県では以前から航空機産業を成長分野と位置づけ参入する企業を支援してまいりました。航空機産業は過去五年間で年間生産額が一・一兆円から一・八兆円に増加し二〇三〇年には三兆円を超えると期待されているまさに成長分野であります。本県の企業も航空機産業に積極的に参入し町の鉄工場レベルまで仕事が及ぶようになってほしいと私は考えております。しかしながら現状はその前段階とも言えるもので、大企業や中小企業の中でも力のある企業の参入にとどまっている状況であります。
 そこで、今後中小企業の新規参入を促進し県内航空機産業の裾野を広げていくことが重要と考えますがそのためにどのような施策を講じていくのか、県の所見を伺います。
 最後に、精神障害のある人の地域移行支援について伺います。
 精神障害による入院患者数は全国でおよそ二十八万人、本県でも五千二百人以上が入院されており、その内三千二百人以上が一年以上の長期入院となっております。また一年以上の長期入院患者の五割以上が六十五歳以上であり長期入院患者の高齢化が進行している状況であります。国では長期入院患者の退院や地域移行を促進するため精神保健医療福祉の改革ビジョンを取りまとめ、入院医療中心から地域生活中心へという基本的な方向性が示され全国的な取り組みが進められています。
 平成二十九年には、これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会において改革ビジョンを支える新たな理念として精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指すこととされました。これにより精神障害のある方が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう医療、障害福祉、介護、住まい、社会参加、地域の助け合い、教育が包括的に確保されたシステムを構築することで精神障害のある方やその家族が暮らしやすい共生社会の実現が期待されるところです。
 私の地元の島田市においては精神障害のある方が事業所に雇用され、いわゆるピアサポーターとして精神障害を患った当事者としての経験を生かし長期入院患者の退院支援や地域で安心して暮らしていくための支援者として活躍されていると聞いております。
 まだまだ多くの精神障害者の入院患者を抱える本県として、今後どのように患者に寄り添い適切に地域移行、定着を進めていくのか所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 河原崎議員には、リニア問題について常に地元の立場に立って重要な御質問を続けておられることに対しまして敬意を表します。
 私は、このリニア中央新幹線の工事による大井川流水量減少対策についての御質問に対してお答えをいたします。
 流域の住民の皆様の生活を支える最低限の水の量とは、河川環境を維持するために必要な河川維持流量に加えまして生活用水、産業を支える農業用水、工業用水などとして現在利用されている表流水や地下水の総量であると考えられます。大井川は深刻な渇水が頻繁に生じる河川であります。利水者の互譲の精神により過去二十六年間に二十二回もの節水対策が実施されております。特に昨年度の節水対策は百四十七日間にも及ぶものでありました。
 住民の皆様の生活を支える最低限の水を確保することは現在でも困難でありますことから、こうした方々の声を受け県庁一丸となって、我々は一貫してトンネル工事に伴い流出する湧水の全量を戻すようにJR東海に主張してまいりました。
 リニア工事による大井川の流水量の減少対策につきましては中央新幹線環境保全連絡会議の専門部会におきまして引き続きJR東海と科学的根拠に基づいた対話を進めてまいります。またリニア工事によって水利用に影響が生じた場合の補償につきましては、国土交通省の事務処理要領によれば公共工事に起因する水の枯渇等により生ずる損害に関する生活用水や農業用水等の施設の維持管理費を負担する年数はおおむね三十年を限度とされております。
 JR東海は現在のところ、大井川流域の地下水とトンネル工事との因果関係が確認され影響が認められる場合には、他の整備新幹線と同様に補償が生じる場合は国の定める基準に基づき適切に対応するとし、補償期間はおおむね三十年を限度とするとしております。
 この流量の問題、仮に極端な例ですけれども流量がゼロになったといたしましょう。そうすると水道はとまります。農業用水はありません。産業用水もありません。そうすると生活ができません。しからば今この大井川流域十市町がつくり上げている総生産はどのぐらいの額でしょうか。これは全てこの水がなければ生まれないものでありますが平成二十七年の大井川流域総生産の数字がございます。三兆七千億円です。三・七兆円ということです、一年間で。総生産は総所得と同じ額でありますから県議の島田市を含め年間三・七兆円の所得を流域でつくられているということであります。十年間ということは三十七兆円です。二十年間ですと七十四兆円です。そして三十年間となりますと百十一兆円という総生産額、また総所得額になります。流量がゼロになるとこういう総生産、総所得が失われるということであります。これは一つの極端な例でありますけれども、  ちまた、さまざまなことが言われておりますが  補償について、念頭に置いておくべき数字ではないかと存じます。
 しかし、地中深くのトンネルに地下水が湧水として流入することによる中下流域の地下水への影響は数年から数十年おくれで発生する可能性も指摘されております。またJR東海の言われる大井川流域の地下水とトンネル工事との因果関係の確認云々ということに関しましては確認それ自体が容易ではありません。
 このため、まずは影響が生じないような万全の対策をJR東海に求めるとともに、万が一影響が発生した際に備えあらかじめ因果関係の確認方法や補償方法につきましてJR東海との間で合意していくことが必要であります。
 リニア中央新幹線の工事に伴う大井川の流水量流量減少対策につきましては、流域の住民や利水者の皆様の不安を払拭できるよう全力で取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長(中沢公彦君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 富士山静岡空港に対する県の取り組みについてのうち、本県農産物の輸出に向けた取り組みについてお答えをいたします。
 人口減少や少子高齢化が進み国内市場が縮小する中、輸出は経済成長を支える原動力となります。TPPイレブンや日EU・EPAの発効により海外に巨大な自由貿易圏が誕生しており、本県ではこれをチャンスと捉え日本食材に対する旺盛な需要のある国々へ農芸品とも言うべき本県農産物の積極的な輸出に取り組んでいるところです。
 本県の品質の高い農産物のさらなる輸出のためには、輸出先となる海外のニーズや当該国・地域の食品安全等の規制に対応した産地形成、あるいは県内産地と海外市場をつなぐ商流や物流の構築など生産から販売まで一貫した体制づくりが重要となります。
 このため、ふじのくにマーケティング戦略におきまして海外マーケットで強みのあるイチゴや温室メロンなど五品目を海外戦略品目に位置づけました。そして県JA中央会や経済連などと連携して事業者、生産者が海外ニーズや輸出対象国の規制内容等を踏まえ着実に輸出を拡大していくことができるよう支援を行っております。
 具体的には、富士山静岡空港を初め清水港や東名、新東名高速道路等を活用した効率的な物流ネットワークの構築や冷凍・冷蔵コンテナの電源供給設備などの基盤整備を行っております。加えて農家や農業法人などが取り組むグローバルGAPやHACCP等の国際認証に対応した生産・加工体制の整備に対し支援をしているところです。
 静岡空港を活用した輸出につきましても、空輸に適している鮮度維持が重要で付加価値の高いイチゴなどの農産物を中心に輸出拡大に取り組んでおります。具体的には平成二十五年度から沖縄県物産公社に職員を派遣して那覇空港をハブとしたアジア地域に向けた物流と商流の構築に注力しております。
 この結果、那覇空港経由での平成三十年のイチゴ、トマトなどの輸出量は十一トンに達し平成二十五年と比較して約十四倍に増加しております。さらに県の航空貨物トライアル輸送事業などを活用した輸出事業者による新たな農産品等の輸出に向けた挑戦を積極的に支援をしています。また輸送の際の荷崩れ等による農産物の腐敗等を防ぐためJAや経済連などとともに航空輸送用パレットの改良や実証輸送実験を実施し成果を上げております。
 県といたしましては、関係団体、関係者と連携協力するなど関係者が一丸となって海外におけるマーケットニーズの把握と分析、あるいは輸出先の食品安全規制等に適切に対応できる産地の形成を図ってまいります。そしてまた事業者による物流、商流づくりを積極的に支援していくことで富士山静岡空港を活用した本県農産物の一層の輸出拡大に努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 昨今の豪雨災害等を受けた今後の災害対策についてのうち、豪雨災害に対する治水対策についてお答えをいたします。
 国土強靱化のための三カ年緊急対策におけます本県の治水対策では、これまでに平成三十年度補正予算三十九億円、本年度予算四十一億円により大井川を初め県内五十五河川におきまして河川の流れを阻害する土砂や樹木の撤去などを進めてまいりました。本年十月までに十四万立方メートルの土砂の撤去、二十二万平方メートルの樹木の撤去を実施したところであり実施箇所におきましては台風十九号でも大きな被害はなく河川の水位の低下など安全・安心の向上に効果があったものと考えております。
 今後、ますます激甚化が懸念される豪雨に対しましては早期に効果があらわれる緊急対策を継続するとともに、河道の拡幅や堤防の築造などを計画的に行う河川整備をこれまで以上に加速させ実施することが極めて重要であると考えております。
 県といたしましては、令和二年度が最終年度とされる国土強靱化のための三カ年緊急対策の事業継続を市町と一体となって国に対し強く働きかけるなど治水予算の一層の拡大を図り、頻発化、激甚化する豪雨災害に対して安全・安心な地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 昨今の豪雨災害等を受けた今後の災害対策についてのうち、被災者支援についてお答えいたします。
 今回の台風第十九号の被害は、議員御指摘のとおり浸水被害によるものが数多くあったところであります。災害救助法の指定を受けた伊豆の国市と函南町の千四十七件の被害のうち床上浸水が五百八十六件と五六%に上っております。一方、罹災証明では被災者生活再建支援法及び県単独制度の支援対象である全壊、大規模半壊等は六件で全被害件数の〇・六%、支援の対象にならない半壊を含めても二百七件、一九・八%と低い率にとどまっており浸水被害に対する制度の見直しの必要性を感じるところであります。
 ことし十一月には、全国知事会が台風による被害を受けた一都十三県の復旧を促進するための緊急要望を内閣総理大臣に対して行っており、この中で国の被災者生活再建支援制度の支援対象を半壊まで拡大することに加え床上浸水被災者を幅広く救済できるよう半壊に係る査定要件の緩和について要望しております。半壊以上を支援対象とした上で査定要件を緩和することは、生活基盤に著しい被害を受けた被災者の生活再建の支援という被災者生活再建支援法の趣旨からも適正であると考えられますので、県といたしましても引き続き国に対して要望してまいります。
 また、今後国制度が改正された際には国制度の対象とならない市町における被災者を支援する県単独制度につきましても速やかに改正ができるよう検討を行ってまいります。
 県といたしましては、被災者の皆様の早期の生活再建が図れますよう引き続き被災者支援に取り組んでまいります。
 次に、精神障害のある人の地域移行支援についてであります。
 県では、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向けて県及び圏域ごとに保健、医療、福祉関係者による協議の場として自立支援協議会に地域移行部会を設置し、重層的な支援体制の整備を進めております。
 長期入院患者の退院促進に向けた支援といたしましては、地域生活になじむための外泊訓練や利用できる福祉サービス等を知るための施設見学ツアーなどの実施とともに、地域移行、定着を推進する人材の育成を目的として医療・福祉関係者、市町職員等を対象に研修を開催しております。また地域移行後の定着を支援するため、高齢の入院患者の受け皿づくりとして介護分野の職員を対象とした障害分野との連携や精神障害の特性等を学ぶ研修を行うほか治療を中断している方に対し継続的な受診を促すための訪問支援を行っております。加えて当事者同士で共感し合い地域生活での不安を和らげるピアサポーターの養成を一層進めてまいります。
 今後も、グループホームなどの基盤を整備するとともに、精神障害のある方に寄り添ったきめ細かな支援に取り組むことで地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができる社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 昨今の豪雨災害等を受けた今後の災害対策についてのうち、災害時の液体ミルクの活用についてお答えいたします。
 液体ミルクは、常温での備蓄が可能で開封後そのまま授乳できますことから平成三十年七月豪雨の被災地などでの利用を契機に関心が高まりました。本年十月の台風十九号では被災した福島県ほか三県に国がプッシュ型支援物資の一部として約八百個の液体ミルクを提供しております。
 一方、液体ミルクは議員御指摘のとおり粉ミルクに比べ価格が高く賞味期限も短いことから県内で備蓄をしているのは二市町、今後予定しているのは三市町にとどまっております。また備蓄した液体ミルクの活用が現状では公立保育所等での利用などに限られていることも課題となっております。このようなことから県内の十三市町では流通事業者と協定を締結し災害時に液体ミルクを確保する方向で検討を進めていると伺っております。
 県といたしましては、災害時の液体ミルクの活用につきまして被災地での利用実態や市町の意見等を踏まえ検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 植田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 植田基靖君登壇)
○文化・観光部長(植田基靖君) 富士山静岡空港に対する県の取り組みについてのうち、路線の拡大についてお答えいたします。
 富士山静岡空港の国際線は、冬ダイヤにおきまして中国の南昌線が新たに就航したほか本県と友好関係にある浙江省の省都杭州との路線が週九往復に増便となるなど、現在九路線週三十六往復と、中国路線を中心に路線が拡大しております。
 空港のさらなる利便性の向上や交流の拡大を図るためには、既に路線が結ばれている中国、韓国、台湾の拡充はもとより訪日需要が高い香港、経済発展が顕著で訪日需要が急速に拡大しているベトナム、インドネシア、タイなど東南アジア諸国、観光地として魅力が高いグアム、サイパンとの航空路線の実現が大変重要であると考えております。
 このため、これらの国・地域の関係機関や航空会社等から情報収集を行うとともに、世界各国の航空会社が一堂に会するルーツアジア等の海外商談会に職員を派遣し直接航空会社へ路線誘致の働きかけを行っているところであります。
 県といたしましては、これらの取り組みを継続するとともに、今後は富士山静岡空港株式会社及び富士山静岡空港利用促進協議会と戦略を共有しながら有望な国・地域におきまして航空会社への積極的な誘致活動はもとより、観光プロモーションの展開や既存路線での乗継便によるアウトバウンド需要の拡大、チャーター便運航の積み重ねなどにより新たな路線の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 今後とも、富士山静岡空港が県民の皆様を初め海外の皆様に選ばれる魅力ある空港となるよう路線の拡大に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 県内企業の航空関連産業への展開についてお答えをいたします。
 航空機産業は、世界的に成長が期待されるとともに航空機を構成する部品点数は約三百万点にも上ることから裾野が広い産業分野であります。本県におきましては自動車産業などで培われた高い技術力や品質管理能力を持つ中小企業が数多く集積しており、航空機産業参入への高い潜在力を秘めております。
 しかしながら、航空機のエンジン部品等の製造にはより高度な加工技術とともに、航空機産業特有の品質保証に係る認証を取得するための初期投資が必要となります。また航空機の開発は長期間に及ぶため初期投資を回収できるまでには長い時間を要することから企業にはこれに耐え得る資金力も必要であり、これらが中小企業には高い参入障壁となっております。
 このため、県では高度な専門知識や技術を有する人材の育成や部品の生産に必要な機械設備の導入に対する助成、航空機メーカーや大手部品メーカーから求められる品質管理や特殊工程に関する認証の取得に対して助成を行っております。そして事業展開に必要な資金調達に対しましては県制度融資で利子補給を行っております。
 また、受注機会の確保も参入への重要な鍵を握っておりますことから、浜松商工会議所などに配置された四人の専門コーディネーターが発注元の大手重工メーカーなどとの受注交渉に当たっております。さらにブラジルの航空機メーカー、エンブラエル社の関係者などを招聘し共同受注を目指すSOLAEの会員企業を中心にこれまで県内企業十三社を訪問して具体的なビジネス創出に向けたマッチングを進めております。
 こうした取り組みの結果、愛知県や岐阜県などと共同申請した航空宇宙産業に関する国際戦略総合特区の対象となる企業数は平成二十六年度七社であったものが年々拡大し、現在は十八社が指定されております。この中には自動車部品の製造企業がそのすぐれた技術力により海外大手航空機メーカーの航空機部品を受注する事例が出てきております。
 県といたしましては、引き続きコーディネーターによるマッチングや受注機会の拡大に向けた支援などに注力するとともに、必要な知識や基礎技術を習得するための専門的な講座を開催するなど県内企業が航空機産業に参入しやすい環境の整備や支援体制の充実を図っていくことで本県航空機産業の育成と成長を目指してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 河原崎 聖君。
       (十八番 河原崎 聖君登壇)
○十八番(河原崎 聖君) それぞれ御答弁をいただき、ありがとうございました。
 突っ込んで聞きたいようなこともあるんですが、あえてきょうは要望を五点ほどさせていただきたいと思っております。
 まず、リニアに関してです。
 知事から御答弁をいただきまして、おっしゃっていることはよくわかるつもりです。補償の三十年ということについても同じような考えを持っているところでございます。
 また、今回取り上げておりません自然環境ということにつきましても、私は県議会に入れていただく半年ほど前に初めて二軒小屋とか椹島とかああいったところに行かせていただきまして、このようにあんなきれいな場所があるのかというぐらい感動したというようなところでございまして、本当にできることなら守りたいなというふうに強く願っているところであります。
 ただその一方で、やはり水の量を守る、そしてまた自然を守るということを突き詰めていきますと路線の変更でありますとかさらにはリニア反対というところに行き着かざるを得ないような問題なのかなということもあります。
 その一方で、リニアには反対ではないということで交渉するということですので、先ほどの午前中の御答弁では歴史的な挑戦といったようなニュアンスの言葉で知事が語っておられたとは思うんですが、もっと露骨な言い方をしますと根本的な矛盾と言えるような問題なのかなとも思わざるを得ない状況です。
 そういった中での交渉というのは当然困難ですし、苦渋に満ちたものにならざるを得ないというふうに思います。そういった中で解決策、落としどころを見つけようと思えばある程度幅を持った交渉というものをせざるを得ないという性質の問題なのかなというふうに残念ながら思っているところでございます。この幅が受け入れ可能なものかどうかということ、そこに最終的な焦点が移ってくるのではないかなというふうに思っているところでございます。
 また、そういった形の話になっていかないと流域の住民以外の県内の方々、そしてまた県外の方々からも納得していただけるような我が県の主張ということにはならないのかなというようなことも感じているところでございます。
 本当に現場にやっている方々は、本当に苦しい思いで交渉されていると思います。私もできるだけそれを分かち合うような努力はしたいと思っておりますし、議場にお集まりの議員の皆様方、そしてまた広く全県の皆様方にも御理解と御協力を賜りたいなというふうに思っております。
 非常にデリケートな問題であり、かつ今微妙なタイミングであるというふうに思いますのでこれ以上は質問はいたしませんけれども今後もしっかりとした交渉をお願いしたいというふうに思います。
 それから河川改修についてなんですが、全国的に決壊した河川というのが県管理の中小河川であったということから予算の拡大ということとあわせて工法ですね。強度の問題ではないかというような指摘もなされているようです。これは今後こうした話が出てくるというふうに思いますけれども全ての河川がそこまでやらなきゃいかんものだとは思いませんが、特に危険な箇所についてはそういうことも含めて御検討いただきたいと思います。
 それから被災者支援なんですが、実際函南町の現場でも水なものですから水を引いてすぐに直したいと工事発注しちゃったんだけれども、やっぱりその自治体から工事発注しないと補助対象にならないという問題があってお金はもらえなかったというような事例があるようです。まだまだ十分浸透していないことですので、ぜひともその洪水対策における市町の対応ということについても周知徹底を図っていただきたいと思います。
 それから路線拡大についてなんですが、これについては壇上でも申し上げたとおり県の戦略とのリンク、つまりその地域外交とどれだけリンクしているかということが必要だと思います。今回は文化・観光部からの答弁だったということでああいった御答弁になるのもわかるんですが、やはりその地域外交とのリンクというものについてもう一段踏み込んだ検討をお願いしたいと思います。
 それから航空機産業ですが、現在、昔MRJ  今MSJと言うのだそうですけれども  そちらの業務がとまっている分受注量が少ないようですが、各県非常に熱を入れてやっているということですのでその競争に勝つための支援というものをさらに踏み込んでやっていただきたいと思います。以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中沢公彦君) これで河原崎聖君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会の議事日程を申し上げます。
 十二月十一日午前十時三十分会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
 本日はこれで散会します。

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