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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成17年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/02/2005

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    午後 一 時三十一分 開議   
    ○副議長 (八木健次君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 五十六番 渥美泰一君。
            (五十六番 渥美泰一君登壇 拍手)
    ○五十六番 (渥美泰一君)  私は自由民主党所属議員として当面する県政の諸課題について、 知事及び関係部局長並びに教育長に質問いたします。
     地方分権の受け皿である市町村合併も第一段階は大詰めとなり、 第二段階に移ろうとしております。 今回は分権時代に向けての我々の意識改革と、 分権社会を担う人材の育成という視点を中心に質問したいと思います。
     初めに、 人づくりの推進についてであります。
     戦後から高度成長期を経て私たちの生活は、 かつては考えられなかったほど豊かになりました。 生活の中に物が満ちあふれ、 また、 科学技術の目覚ましい進歩などにより、 日々の生活は随分便利になっております。 特に情報通信分野の発達は目覚ましく、 今では子供たちまでが携帯電話を持ち歩き、 またインターネットからは簡単な操作でさまざまな情報が瞬時に得られる時代であります。 一昔前であったら空想の世界、 夢のまた夢であったことが、 現在では日常生活の常識となったわけですから、 さぞや若者たちにも満足できる暮らしやすい世の中になったことだろうと思いきや、 必ずしもそうでもないようです。
     昨年、 奈良県で起きた女児誘拐殺人事件、 つい先ごろは愛知のスーパーマーケット、 大阪の小学校での事件、 いずれも将来のある若者の犯行です。 生活の豊かさとは裏腹に人の心はすさみ、 何か狂っているとしか言えないような事件が頻発しております。 「衣食足りて礼節を知る」 とは昔よく言われた言葉ですが、 今では全く過去のことになってしまったのでしょうか。
     我々の子供のころは、 だれかれとなくいろいろな人から注意されたり、 しかられたりして知らず知らずのうちに社会性を身につけてきたように思います。 また、 地域の祭りや行事などを通して伝統や文化を学び先人の教えにも耳を傾けてきました。 人を育てる、 すなわち人づくりは、 国の根幹を形づくるものでありますが、 その責任の大きな部分を担っているのは、 私はやはり身近な地域社会であると思います。 近所の人に注意されたりしかられたりすると、 特に恥ずかしいという思いを子供心にも感じたものであります。
     本県におきましては、 富国有徳の県づくりを目指し、 人づくり百年の計委員会からの提言などをもとに、 全国に先駆けて取り組んできました。 知事は昨日の御答弁の中で、 人づくりの新たな取り組みとして新年度から創知協働人づくり県民会議を設置する旨のお話もされましたが、 新たな時代を迎えるに当たり、 静岡県としてどのような人材を育成していったらよいか、 将来を的確に展望した人づくりに地域とともに県が一体となって取り組むことが、 今、 大変重要ではないかと考えますが知事の御所見をお伺いいたします。
     次に、 人づくりの拠点である学校はどうなのか。
     かつて学校は地域の中にあって、 いわば地域のシンボルであったように思います。 中で教える先生方もそうでした。 残念ながら今は地域との間に距離を感じます。 このことが、 やれゆとりだ学力だといって教育の方針がぐらついたり、 後を絶たない学校内の事件に無関係ではないと思えてなりません。 もちろんこうした状況は学校だけの責任ではなく、 地域そして社会全体の責任だと思います。 一言で言えば、 無関心、 人任せという現代社会の怠慢ではないかと思います。
     これを解決していくには、 私は教育ももっと地方分権が必要だと思います。 そして学校はもっと地域の中に根差さなければいけないのではないか。 せんだって教育長は、 浜北市の大平小学校をわざわざごらんいただきましたが、 どのような印象を持たれたでしょうか。 私は文部科学省に追随する今の教育ではなく、 静岡としての特色ある教育をもっと前面に出していくことが必要ではないかと常々感じております。 教育の地方分権と地域における学校のあり方について、 教育長の御所見をお伺いします。
     次に、 少子化対策への取り組みについてであります。
     この一月、 昨年の全国の出生者数が国から公表されました。 前年を一・五%も下回る百十万七千人で、 人口増加率は調査開始以来過去最低、 初めて〇・一%を切り、 少子化の流れに歯どめがかかっておりません。 ここ数年の間には、 いよいよ総人口の減少が始まると見られており、 経済社会の活力の低下などさまざまな弊害が危惧されております。 これまで十年間にわたりエンゼルプランに基づいて、 国はもとより県、 市町村が少子化対策に取り組んできましたが、 今日に至るまでこれといった決定打が打ち出せていないのが現状であります。
     この少子化傾向は我が国ばかりでなく、 アメリカを除いた先進諸国に共通しているようです。 海外での少子化対策を見てみますと、 例えばフランスでは手厚い家族養育手当を、 またスウェーデンでは父親の育児参加を促進する有給の育児休業を創設するなど、 それぞれの国柄に応じた対応策が講じられておりますが、 現在の人口を維持できる状況には至っていないのが現状であります。 それだけ少子化の歯どめは容易ではないということだと思います。
     先般開催された県主催の少子化シンポジウムにおいて、 パネラーの方々からは、 「女性の社会進出、 核家族化、 コミュニティーの希薄化などによる子育て力の低下、 男女分担意識は逆転したものの男性の家事育児への参加が低い」 などなど、 それぞれの立場から少子化の要因が出されました。
     このように子供を産み育てるさまざまな場面や段階で、 少子化が進む要因がいろいろと見出せるわけですから、 その対策も子育て環境の整備、 養育・教育における経済的負担の軽減、 雇用環境の改善など複合的にならざるを得ないと思います。 もっと言えば、 出産や育児に対する特に女性の考え方や気持ち、 そして男性の仕事に対する考え方など、 生き方の問題にもなってくると思います。 ですから私は、 少子化対策としていろいろやらなくてはいけないのですが、 具体的な実績を上げるためには、 そうした対策をどのようにして実施するのか、 あるいはさまざまな対策をどのようにマネジメントしていくのかといったことがより重要ではないかと考えます。
     先般、 少子・高齢化対策特別委員会から中間報告があったわけですが、 現在県が策定を進めている次世代育成支援対策の行動計画、 これはぜひ実効性のあるものにしてほしいと私も大いに期待しております。 知事はこの少子化対策を新たに重点施策に掲げ、 この行動計画をもって今後の施策展開を図っていくものと思います。 そこで、 この行動計画が、 どのような考え方に基づいて取りまとめが行われているのかお伺いいたします。
     次に、 観光振興策についてであります。
     私は昨年十一月、 静岡県議会海外事情調査団の一員としてニュージーランドのクライストチャーチカンタベリー地方観光局を訪問する機会を得ました。 クライストチャーチ市は人口三十四万人の比較的小規模な都市でありますが、 年間の観光客数は約二百万人、 そのうち国外からの観光客は六十万人に上っているとのことであります。 ちなみに本県に訪れた外国人旅行者数、 これは観光目的の人だけではないとは思いますが平成十四年で約二十万人でした。
     クライストチャーチ市の観光が発展した要因は、 クライストチャーチ空港を有し、 空からの玄関口となっていること、 車で二時間程度の範囲に観光スポットが多いこと、 行政が観光に力を入れていること、 自然が美しく安全であることなどなど、 空港を除いては本県も共通点が多いと思います。
     しかし、 私の最も印象に残ったことは、 観光客に来ていただこうという行政や地域の人々の取り組みの姿勢のすばらしさであります。 第一に町の美しさ。 まるで町全体が公園で、 まさにガーデンシティーの名にふさわしく、 民家一軒一軒の庭に至るまで、 すべて公園並みの手の入れようです。 そして同市の観光振興戦略は、 自然や環境に人々の関心が高まる中、 エコツアーを企画するなど、 この地域が自然との共生や環境への配慮を大切にしている地域であることをアピールしていくこと、 ホームステイやファームステイなど観光客の方に、 一緒につくり食べる楽しみを体験していただき、 この地域を理解していただくこと、 また、 そのようなことを理解していただける観光客をターゲットとしていくということでありました。
     私に説明してくださったジェーソン・ヒル・マーケティング部長は、 以前、 静岡県に三年間住んだことがあるという日本通の方ですが、 彼に静岡県の観光についての印象を尋ねたところ、 「東京などと比べ、 自然の美しさや田舎のよさがある。 問題はその地域の住民が観光振興をしたいかどうか、 観光客が来ることを望んでいるかどうか、 客をもてなそうという気持ちがあるかどうかであろう」 という答えが返ってきました。 まさに重要なのは、 住民一人一人のこのおもてなしの心なのであります。 私は、 このおもてなしの心を隅々まで行き渡らせた観光振興を実現した行政のリーダーシップと、 それを受け入れ着実に実行している市民意識の高さに感動したわけであります。
     つい先ごろ開催された静岡県景観シンポジウムにおいて、 パネラーの先生からも 「よい景観をつくっていくためには、 コミュニティーのコンセンサスづくりが重要になる」 との御意見がありました。 要は住民の意識であると思います。 本県の観光振興においても、 まずそれぞれの地域が、 おもてなしの心と地域の資源や特徴を生かすアイデア、 これを行政、 住民が一体となって育てていくことが重要と考えます。 そのような意識醸成に向けた県の取り組みと今後の観光振興策について、 お考えを伺います。
     次に、 県産材の利用促進についてであります。
     木材は古来より人間生活に欠くことのできない基本的な素材であり、 その持続的、 循環的な利用は、 本県の健全な森林の保全育成を促進し、 森林のさまざまな公益的な機能を高度に発揮し、 豊かな環境を守るために欠かせないものであります。 しかしながら我が国の木材需要は、 現在その八割以上を輸入材に依存している中で、 本県におきましても、 成長量に見合う森林資源が利用されていない状況であります。 こうしたことから県内の林業生産活動は停滞し、 管理の不十分な森林の増加が危惧されております。
     私は昨年二月議会において、 天竜川流域における地元産木材の加工流通体制の整備を初めとする、 生産から消費に至るまでの、 いわゆる山を守るための一貫体制を構築する必要を訴えたところであります。 そして昨年九月に、 三重県の松阪にあります木材コンビナート・ウッドピア松阪を同僚の中谷議員と、 そして森林組合、 木材協同組合の方々とともに視察しました。 このウッドピア松阪は、 乾燥材やプレカット材等の生産機能と原木市場等を集積し、 三重県一体の森林の成長量を一手に担うことができる先進的な木材流通加工基地を目指しているものであり、 大変感銘を受けたところであります。
     我が静岡県においては県産材の利用促進対策をより一層強化しようと、 しずおか木使い運動を展開し、 公共施設の木質木造化を初めとして積極的に取り組んできたことは評価するところであります。 その一貫として県は関係業界がみずから立ち上げた、 しずおか優良木材認証制度を支援する制度として、 個人住宅利子補給を平成十四年度から実施しました。 その成果が期待されたところでありますが、 年間二百棟の目標に対し、 この制度が利用されたのはわずかで、 全く残念な結果でありました。
     県はこの制度を来年度は新築一棟に対し三十万円を補助する制度に改めると伺っており、 これなら利用されやすい制度になるのではないかと思います。 これが呼び水となって、 県産材の木造住宅への普及拡大が図れることを願うものであります。 来年度目標棟数を上回る成果を期待するところでありますが、 これまでの反省を踏まえ県の取り組みを伺います。 また健全な森林の保全のためにも、 さらなる県産材の利用促進が求められます。 今後どう取り組んでいくのかあわせてお伺いします。
     次に、 若者の就業支援についてであります。
     総務省の労働力調査によると昨年十二月の完全失業率は四・四%と、 一九九八年以来、 六年ぶりの低水準となりました。 有効求人倍率も回復傾向にあり、 企業のリストラは減速してきていると思われます。
     しかし一方で、 若者の定職につかない、 いわゆるフリーター化や働こうとも学ぼうともしないニートが、 全国で五十二万人にも上っていると言われます。 特に、 最近の若者が就職先として敬遠する傾向にある製造業では、 生産技術や技能の伝承が十分にできず、 本県においても、 ものづくり産業の基盤が崩壊しかねない状況に陥る可能性も指摘されております。 また、 こうしたフリーターやニートの増大は、 言われているように国内経済の消費や社会保障制度などへの影響も深刻であります。
     厚生労働省はこうした状況に危機感を強め、 来年度、 若者を対象に合宿形式の集団生活で規則正しい生活習慣を身につけさせ、 職業体験を通じて働く意欲や自信、 能力を高めてもらうなどの取り組みを行うと聞きます。 本県においては昨年六月から県内三カ所のヤングジョブステーションを設置して、 若者の就職支援を行うとともに、 日本版デュアルシステムも浜松地域において実施することは評価するところであります。 しかし国や県のこの程度の取り組みでは、 働かない若者にしっかりとした職につかせ、 今後の労働力不足を補うまでになるとは到底思えません。
     スウェーデンでは学校を卒業した若者が希望する職業につけるまで、 養成所において必要な能力を身につけさせると聞きます。 また一たん職についてもその仕事が自分に合わない場合は、 再び養成所で新たな訓練を行い次なる就職を目指す。 この間の費用は一切無料とのことです。 卒業して定職につけない若者をつくらない、 すべての人を自立させるという理念に基づくものだと思います。
     働かない若者をつくることは、 さまざまな社会問題を引き起こします。 加えて労働力の質と量の確保は、 今まさに急務であります。 私は県として、 若者の就職を支援するための新たな取り組みを始める必要があると思いますが知事のお考えを伺います。
     次に、 学校における職業教育についてであります。
     現在の若者のコミュニケーション能力の不足や、 職業意識が低いことなどにも問題があります。 私の子供のころには、 学校から帰ると、 よく畑に出て父、 母の手伝いをしたものです。 今日では、 農作業はおろか家事の手伝いすら子供にさせることも少なくなってしまいました。
     こうした中、 すべての公立中学校で中学二年生を対象に、 地域で職場体験を実施している兵庫県、 富山県の取り組みでは、 子供たちが勤労現場で生きた情報が得られるだけでなく、 大人の人と長時間触れ合うことで人格形成にも大変よい影響を与えているとのことです。 まさに地域の教育力を生かした試みと、 私も評価するところであります。
     この事業を国は来年度、 全国で導入すると聞きます。 本県においては、 これまで中学生の夏休み中における職場体験などを実施しており、 私の娘も二日間だったと思いますが、 よい体験をしたと思っております。 若者が早い段階から働くことへの接点を広げていき、 働く意義や楽しさ、 充実感を実感できる環境づくりが大切だと考えます。 職業教育に対する教育長のお考えを伺います。
     次に、 農業高校について伺います。
     西遠地区新構想高校は、 農業経営高校と昼間定時制課程である浜松城南高校の再編整備により設置する新しい高校であります。 校名も 「静岡県立浜松大平台高等学校」 として、 本二月議会に上程されているところであります。 既にこの二月からPFI手法により校舎の建設に入っており、 平成十八年度の開校に向け、 工事の円滑な進捗を願うところであります。
     さて農業高校の実情を見てみますと、 全国の学校数は一九七〇年の六百七十九校をピークに、 二〇〇四年では三百六十四校と二分の一に激減し、 あるいは総合学科高校に統合されたりしております。 本県におきましても同様の状況であり、 以前十五校であったのが、 現在では八校の農業に関する学科を有する高校と、 三校の農業系列を有する総合学科高校となっております。 かつては多くの生徒が農業高校を目指したものでしたが、 今日では農業で生計を立てることも難しい時代となり、 農業高校へ進む子供は減少しております。
     このような農業高校の現況ですが昨年の浜名湖花博においては、 農業経営高校を初めこれら十一校に学ぶ高校生が、 創意あふれる花壇づくりで大活躍を見せてくれたのは記憶に新しいところであります。 また、 県内の農業高校の様子を聞いてみますと、 実験、 実習を通して体験的に学習することにより、 食の安全や環境問題に関して生きた知識を習得することができる、 あるいは花や野菜の栽培など、 いわゆる生き物と直接触れ合うことにより、 不登校生徒が進んで学校に通うようになったという事例も多いということであります。 さらには学校に地域の人たちを招き野菜づくりや収穫体験などをしてもらい、 そのことによって住民の食と農の啓蒙にもつながっているとのことであり、 私はこのような点は農業高校の新たな可能性ではないかと感じます。
     農業高校は、 生徒の実体験を積む機会が普通高校に比べはるかに多い。 私はこうした体験を積んだ生徒はコミュニケーション能力が高まり、 幅広い物の考え方ができるようになると考えます。 過日、 農業経営高校の卒業生を毎年採用しているという地元の事業主から、 「彼らは仕事の細かな指示をしなくても、 やるべきことを自分で考え、 行動できる」 と聞かされ改めて納得した次第であります。
     西遠地区新構想高校は、 単位制による全日制課程総合学科と単位制による定時制課程普通科の二課程二学科を置くことになっておりますが、 本県がこれまで蓄積してきた農業高校のノウハウや農業教育のメリットを、 どのように教育内容等に生かしていくのかお伺いいたします。 また担い手育成の場であり、 有為な人材を育てることができる本県の農業高校を今後どのようにしていくのか教育長にお伺いします。
     以上で私の質問を終わります。 当局の前向きな御答弁を期待をしております。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○副議長 (八木健次君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  渥美議員にお答えをいたします。
     初めに、 人づくりの推進についてのうち、 将来を展望した人づくりについてであります。
     未来に希望が持てる社会を実現するには、 それを支える人づくりが不可欠であります。 その成果を得るためには、 家庭、 学校、 社会など、 幅広い関係者の取り組みと相当の年月を要します。 また渥美議員御指摘のように、 その中でも特に地域社会とのかかわり、 あるいはその役割、 これが地域社会の役割が非常に重要だというふうに思います。
     静岡県ではこのような認識に立ちまして、 七年前の平成十年、 人づくり百年の計委員会を設置して、 その提言に基づいて全国に先駆けて人づくりに取り組んでまいりました。 この人づくり百年の計委員会からは、 目指すべき人間像として意味ある人、 これを育てていこうと。 意味ある人とは何ぞや。 それは自立をしているということ、 それから思いやりの心を持っているということ、 そしてやるべきことはきちんとできると、 そういう姿勢を貫ける人、 これを意味ある人というふうに定義をいたしまして、 このような人間像を理想に描いて、 家庭、 学校、 社会が相互にそれぞれの役割を果たしながら、 連携して取り組んでいこうということでございました。
     この提言に従って、 これまでにさまざまな活動、 運動が展開されてまいっております。 既に、 小学校区単位ぐらいの広さを対象に、 地域教育のための協議会がつくられて、 このそれぞれの単位で学校、 家庭、 社会の連携のもとでのいろいろ運動も起こり始めておるわけでありますけれども、 一方で、 そのような我々の意欲とか活動をまた掘り崩していくようなさまざまな現象といいましょうか、 動きも現実にあるわけであります。
     俗悪とも思えるようなテレビの番組であるとか、 雑誌のはんらんとか、 さまざまな情報社会の中で、 子供たちの健全な育成を阻害するような情報、 特にIT社会のもとでインターネットとか、 あるいはパソコン、 それから携帯電話ですね、 こういうものを通じて非常に悪に誘い込むような環境もますます強くなっていくというようなことから、 なかなかこの人づくり百年の計委員会の提言の拡大定着、 これが思うに任せない状態にあります。 しかし、 それだからといって、 ぼやいてばかりおってもいけないし、 もう一踏ん張りする必要があるというふうに考えまして、 創知協働による人づくり県民会議、 これをもう一度組織をして、 機運を新たに取り組んでいこうというふうに考えたところでございます。
     有馬先生のお話によりますと、 今の子供たちは優秀な安心しておれる子供の割合はですね、 これは昔と比べてそんなに減ってないっていうんですね。 いつの時代にもどういう時代環境のもとでも、 大体二割ぐらいはそういう子供が必ずいるんだと。 問題はちゃんと環境を整え、 目配り気配りをしてやっていかないと、 ずるずるずるずる、 だめな方にだめな方にというか、 困る方へ困る方へ行くのが、 これが社会の常。 そこのところをそうならないような、 手だてをどう講ずるかということなんだけれども、 最近の日本の状態は、 その手を加えなければいけない、 気配りをしなけりゃいけない、 そこのところの部分に非常にいろいろ問題があって、 困った方、 悪い方へどんどんどんどん沈んでいってる、 それがふえてると、 そういう問題意識を持っておられました。
     有馬先生の場合は、 御自身も非常にすばらしい研究者、 教育者として実績を持っておられるし、 そしてまた、 俳句の道でも大変なレベルを極めた方でもあるし、 御本人そのものが大変魅力的な方であると同時に、 他者への感化力、 教化力というのも非常にすぐれておりますので、 有馬先生に中心に座ってもらって、 そこに各分野の人たちが参画をして、 この百年の計委員会で打ち出された人間像を共通認識になるように広げる運動をやってまいりたい。
     この中には、 単に学校教育だけが問題ではないわけでありますので、 技能とか技術の伝承ですね、 あるいは地域の伝統文化の伝承、 こういうことも非常に重要なテーマとして取り上げていこうということで、 今、 案を練っておるところでございます。 予算をお認めいただきましたら、 四月以降、 新年度へ入りましてできるだけ早い機会に県民会議をスタートさせ、 その県民会議のもとに参与会と、 そして四つないし五つの部会を設けて、 実践活動に移っていけるようにしたいと考えておるところでございます。
     次に、 少子化対策への取り組みについてであります。
     次世代育成支援対策行動計画についてでありますが、 本県ではこれまでにも少子化対策、 子育て支援対策のためにエンゼルプランというものを策定をし、 多様な保育サービスを初めさまざまな施策を講じてまいりました。 しかし全国の傾向と同様に、 本県でも少子化の傾向に歯どめがかからないのが現状であります。 このため行動計画の策定に当たりましては、 まず少子化傾向に歯どめをかけること、 さらに少子・高齢化、 人口減少から生ずる諸問題に対応していくことが大切であると考えているところでございます。
     そこでじゃ少子化に歯どめをかけるにはどうしたらいいかということがポイントになるわけでありますが、 具体的にはこの行動計画の中で、 従来の子育て支援策に加えて、 地域における子育ての支援や働き方の見直しなどの視点を加えた少子化の流れを変える施策と少子・高齢化と人口減少が進むという認識のもとに、 未来を明るい希望に満ちた社会にしていくための施策の方向を示す少子化社会に向けての取り組み、 大きく分けてこの二つの内容を柱として構成をしていく考えであります。
     行動計画に掲げる施策の実効性を確かなものにするために、 数値目標による進行管理が必要だということで、 今、 いろいろ作業しておりますが、 四十三ぐらいの項目になろうかと思います。 この数値目標を掲げた施策によりまして、 より効果が上がるように県庁内の各部局、 教育委員会などの連携はもとより、 市町村、 地域、 企業と一体となって少子化対策の推進に努めてまいりたいと考えておるところであります。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (八木健次君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  人づくりの推進についてのうち、 教育委員会の取り組みについてお答えいたします。
     地域に根差した特色ある学校づくりを実現するためには、 保護者、 地域住民と学校の三者で子供を育てていくという関係を確立しつつ、 教育活動を推進していくことが重要であると考えます。 先日訪問いたしました浜北市立大平小学校の学習発表会の際には、 全校児童二十三人を大きく上回る保護者の方々、 地域住民の方々が駆けつけてくださり、 学校と保護者、 地域住民とが一体となっている光景を目の当たりにいたしました。 「ぼくたちがきっと輝く大平にする」 と、 特産のカキづくりへの夢をつづった主張作文を力強く朗読した児童たちからは、 地域によって大切にはぐくまれ、 地域とともにたくましく成長している子供たちの姿を見ることができたように思います。
     教育の地方分権が進む中、 静岡県版カリキュラムにおいて、 文学、 産業、 歴史など地域の特徴を生かした内容を授業づくりの素材として提示したように、 今後とも静岡ならではの教育を推進する中で、 地域とともに歩む学校づくりに積極的に取り組み、 志を持った静岡の子供の育成に努めてまいります。
     次に、 若者の就業支援についてのうち、 学校における職業教育についてであります。
     児童生徒の職業意識を涵養するためには、 それぞれの発達段階に応じた指導が必要であり、 小学校におきましては、 草花等の栽培体験や地域の美化活動などを通じて、 勤労のとうとさや生産の喜びを体得する活動を行っております。
     また、 昨年度、 中学校におきましては、 八五%の学校が職場体験を、 高等学校では四二%がインターンシップを、 ともに数日間ではありますが実施しており、 職場体験をした中学生からは、 「一日じゅう立って仕事をし続ける厳しさを知った」 とか、 保護者の方からは、 「中学校生活は勉強優先と考えていたが、 体験した子供から親の苦労がわかったと聞いたとき、 涙がこぼれた」 などの報告を受けております。 これらの報告から、 勤労の場と機会を与えることの大切さを実感しております。 県教育委員会といたしましても、 職業観、 勤労観の希薄な子供の多い中で、 発達段階に応じた体験や活動を重視するとともに、 国の事業等も十分活用する中で、 職場体験やインターンシップなどを含めた組織的、 系統的なキャリア教育を推進してまいりたいと考えております。
     次に、 農業高校についてであります。
     西遠地区新構想高校においては、 議員からも御指摘をいただきました農業教育のよさを教育活動に生かすため、 全日制課程総合学科において、 農業科目を中心に学ぶ花と緑の系列を設けまして、 農業科学基礎等の農業科目を開設する予定であります。 また、 定時制課程普通科の生徒も、 興味、 関心に合わせまして、 これらの農業科目を学べるように教育課程を編成することとしております。 さらに、 全日制、 定時制の両課程に学ぶ生徒全員が、 総合的な学習の時間に花と緑をテーマとし、 植物の栽培法やその活用方法等について学習することとしております。
     今後の農業高校につきましては、 生産科学、 食品科学、 環境科学等の基幹学科のほか、 関係地域の特性を踏まえまして、 動物科学等の学科を設置するなど魅力的な農業教育を実践しているところであり、 これらの推進を図るとともに、 さらに園芸福祉に関する学習の充実や地域との一層の連携を図るなど、 時代のニーズに対応した教育内容の改善を図りつつ、 社会に貢献できる人材の育成に努めてまいります。
    ○副議長 (八木健次君)  後藤生活・文化部長。
            (生活・文化部長 後藤和英君登壇)
    ○生活・文化部長 (後藤和英君)  観光振興策についてお答えいたします。
     県では伊豆新世紀創造祭を初め、 国体、 浜名湖花博などのイベントの開催に当たり、 国内外から訪れるお客様を温かく迎えることが何よりも大切と考え、 県民や関係団体、 NPOなどとともに、 もてなしの心を持って観光客を迎える地域づくりに取り組んでまいりました。 こうした取り組みを通じて、 幅広い分野で県民のボランティア活動への参加が進むとともに、 地域づくりへの自発的な参画の機運が芽生え、 着実に広がってきているものと感じております。
     また、 観光客に来ていただこうという意識が県民に浸透し、 本県の観光振興につながっていくよう、 県内各地で行っている県政さわやかタウンミーティングや昨年十月発行の県民だよりでも、 地域ぐるみのもてなしやまちづくりへの積極的な参画を呼びかけているところであります。
     今後も、 ボランティアによる観光ガイド活動への支援や宿泊施設のおもてなし、 受け入れ研修等に加え、 外国人を迎えるモデル地区の指定や伊豆ブランド創成事業など、 地域が主体的に進める観光まちづくりへの取り組みを支援し、 繰り返し訪れたいと思っていただけるようなもてなしの心あふれた観光地づくりに努めてまいります。
    ○副議長 (八木健次君)  花岡環境森林部長。
            (環境森林部長 花岡志郎君登壇)
    ○環境森林部長 (花岡志郎君)  県産材の利用促進についてお答えいたします。
     県産材の約八割は木造住宅で使用されております。 このため住宅政策の中で品質が確かな、 しずおか優良木材の利用促進を一層図るため、 従来の利子補給制度を一括助成に改め、 義務づけていた住宅金融公庫の条件を撤廃するなど、 手続を簡素化して魅力ある制度として実施する考えであります。
     この制度の目標を達成するためには、 事前の広報が重要でありますので、 来年度早々にも関係者に対して制度改正に伴う説明会を開催してまいります。 またこの制度を活用された方々にも、 県産材住宅のPRや建設現場の見学会などに協力していただき、 県産材を使った木造住宅のよさを広く情報発信していく考えであります。 さらに来年度、 木材関係業界が県産材取扱店制度を創設いたしますので、 県産材住宅供給のネットワーク化を支援してまいります。
     このほか、 環境に配慮した治山施設として地域材を利用した木製治山ダムを促進しておりますが、 平成十五年度において新規に設置した木製治山ダムの数は全国一の状況であります。 このように木製治山ダムや木材を活用したのり面保護など、 森林土木工事においても県産材の利用を一層推進してまいります。
    ○副議長 (八木健次君)  梅田商工労働部長。
            (商工労働部長 梅田正雄君登壇)
    ○商工労働部長 (梅田正雄君)  若者の就業支援についてのうち、 就職支援の取り組みについてお答えをいたします。
     県におきましては今年度からヤングジョブステーションを拠点に、 若者の就職支援を実施し、 かなりの成果を上げてまいりました。 しかしながら利用者のアンケート調査では、 大多数が専門的な技能の習得の必要性を挙げておりますことから、 今後県の技術専門校などにおきまして、 職業訓練を適宜適時に受けられる体制の整備に努めてまいりますとともに、 既成の観念にとらわれず、 自己実現できる多様な就労の場を求める最近の若者の意識変化にも対応するため、 創業支援や農業分野などの新たな就労情報の提供を行うことによりまして、 就業機会の拡大も図ってまいりたいと考えております。
     さらに、 ニートと言われる就労意欲を失った若者に対しましては、 今年度三月に試行的に合宿形式によるセミナーを開催いたしますが、 この事業の結果も踏まえまして学校や家庭、 関係機関との連携も図りながら対応してまいります。
     県といたしましては、 若者の就労を総合的に支援する拠点といたしましてヤングジョブステーションを位置づけ、 今後ともその機能を充実することにより、 多様な、 かつ適切な施策を展開いたしまして、 若者の就業の促進に努めてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (八木健次君)  これで渥美泰一君の質問は終わりました。

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