本会議会議録
質問文書
平成29年12月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 天野 一 議員 | |
質問分類 | 一般質問 | |
質問日: | 12/12/2017 | |
会派名: | 自民改革会議 | |
質疑・質問事項: | 1 地場産業や伝統工芸品の振興について 2 県職員の自殺対策について 3 民間人を初めとする外部人材の活用について 4 水道事業の基盤強化について 5 本県の地下水行政について 6 建設業における社会保険未加入対策について 7 学校における働き方改革について 8 教育格差を是正するための学習環境の整備について |
○議長(杉山盛雄君) これで曳田卓君の質問は終わりました。
次に、六十番 天野 一君。
(六十番 天野 一君登壇 拍手)
○六十番(天野 一君) 私は自民改革会議所属議員として、県政の諸課題について通告に基づき一括質問方式で質問をいたします。
初めに、地場産業や伝統工芸品の振興について伺います。
地元の伝統芸能や工芸品、昔から続く産業にはどこか引かれる魅力があります。自分が生まれ育った場所のものだから、そこにはさまざまな理由があるかもしれませんが、地元の誇りに感じられるからというのは誰にも共通する理由ではないでしょうか。しかし現在の伝統工芸品産業界は惨たんたるありさまです。私は県がこのような状況に手をこまねいていたわけではない、伝統工芸品産業界の活性化に取り組んできたことは十分理解しております。例えばふじのくにシャツ武襯衣は県が地産ブランドとしてシャツをつくりたいということからスタートし、川勝知事を中心に県繊維協会も協力して製作されたものであります。
ふじのくにシャツは、至高の逸品と言われておりますが残念ながら遠州織物の知名度を上げ県民に広く愛されるというところまではまだ来ていないように感じられます。大半の県民にとって、ふじのくにシャツを思い浮かべたときそこにあるのはちょっと高いシャツ。一方でファストファッションなら新品のシャツでも二、三千円。こうした状況は全ての伝統工芸品に通じるものがあります。幾らよいものであっても余りに価格差があれば特にデフレ傾向の今日、選ばれなくなるのは当然であります。
ところで、現在岡山県は国際的にもデニムジーンズの聖地として知られるようになっています。昔から岡山県、特に児島と井原では繊維産業が盛んで長く縫製などの技術が受け継がれてきました。岡山産のデニム生地、製品の質のよさから海外での評判が高まりファクトリーブランドが続々と立ち上がり、地元企業や商工会議所などによりPRが盛んなことや消費者の国産志向の高まりなどが活況の要因に挙げられております。最近では生産だけでなく観光にも力を入れており、観光客が産地のジーンズを買い物できるような直営店を集めて観光エリアとして整備するなどさまざまな取り組みが行われています。
そこで、地場産業や伝統工芸品のブランド戦略、販路開拓、マーケティング、プロモーションを一貫して支援し担い手である職人、クリエーター、中小企業を世界市場へ結びつけることが重要と考えますが、今後の地場産業や伝統工芸の振興にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお伺いします。
次に、県職員の自殺対策について伺います。
最近、マスメディアで過労死問題が相次いで報道されています。平成二十七年十二月、大手広告代理店電通の新入社員が過労自殺したことが大きな話題になりました。電通は社長が辞任し、労働基準法違反で同社に有罪判決が言い渡されています。次いでNHKの記者が過労死していたことが公表されました。
働き方は、現在の日本社会の大きな課題の一つです。長時間労働の是正、仕事と家庭の両立、女性の社会参加などワーク・ライフ・バランスをいかに実現するか。いよいよ私たち自身も働き方改革が迫られています。
平成二十二年二月定例会において、私は静岡県における自殺対策についてお伺いしましたが、全国に先駆けて実施した睡眠キャンペーンによる鬱病の早期発見、早期治療、相談支援体制の充実、遺族へのサポートなど市町や関係機関・団体と連携しながらの総合的な取り組みの効果もあり県内の自殺者は平成二十三年、八百三十二人であったものが二十六年には六百七十四人、二十七年は六百八十二人、二十八年は六百二人と三年続けて七百人を下回っております。
一方、静岡県職員の自殺者数は平成二十一年の川勝知事就任以来八年間で四十一人に上ります。このうち教育委員会、警察本部などを除いた知事部局職員は十七人です。対千人の自殺死亡率で言えば平成二十七年度は二人で○・三四%になり、これは全国都道府県・指定都市職員の自殺死亡率の○・一八%の一・九倍になります。私を含めこの数字を聞いた人たちは皆驚くとともに、なぜそんなに多いのという疑問を抱いております。
そこでお伺いいたします。八年間の県全体の自殺者数四十一人のうち知事部局職員が十七人ということを踏まえ、県は自殺対策をいかにしていくのかお伺いします。
次に、民間人を初めとする外部人材の活用について伺います。
県内民間企業では、経営者の高齢化が進行し、また後継者が不在であるために廃業する企業が増加するなど事業の承継が重要な課題となっております。
県においても、来年三月には部局長などの十八人のうち十二人が定年退職になると聞いております。例年であれば七、八人程度であるとのことなのでこれは異常事態と言わざるを得ないのではないでしょうか。県政の運営の中核として活躍している部局長が一挙にいなくなることに対応していかなければなりません。
そのような状況を補充するものの一つとして、民間や国などで活躍する外部人材の活用が有効であると考えられます。現在地域外交や学際的な分野に静岡県補佐官として民間で活躍する方々を登用しておりますが、県行政に大きな影響を与える発言力があるにもかかわらずその登用は議会の同意は不要となっています。また補佐官の位置づけは組織上明確でないにもかかわらず補佐官の発言に対して必死に対応しようとすることで職員が疲弊しているのではないかと感じることもあります。
長年県では、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力や業績に基づいて人事評価を実施しながら職員一人一人のやる気を大切にして中長期的な組織運営を進めてきました。これら職員の能力ややる気を生かしつつ、組織運営に足りない部分について民間や国などで活躍する外部人材を登用していくべきと考えます。
そこで、補佐官を初めとする民間からの外部人材の登用と評価、今後の活用について県の考えをお伺いいたします。
次に、水道事業の基盤強化について伺います。
暮らしに欠かせない水道の先行きが危ぶまれております。水道は原則として市町村単位で営まれ、水道法が制定された昭和三十二年に四一%だった普及率は今ほぼ一〇〇%です。水質はよく、料金もおおむね安価なものとなっております。ただ高度成長期に集中整備した水道管が更新時期を迎えているのにつけかえ工事が追いついていません。事業者の資金不足が要因です。漏水事故がふえるおそれが懸念されています。水道は利用者が納める料金で費用を賄う独立採算制ですが節水の定着、人口減が追い打ちをかける見通しであり、事業者では今後経営状況が急速に悪化するおそれがあります。
資金不足は防災対策にも影響しています。全国の主要な水道管の耐震化率は四割に届かず、東日本大震災や熊本地震の被災地では長期間の断水が起きております。人手不足も深刻です。全国の水道職員はここ三十年で三割減っています。技術継承も難しくなっております。
こうした現状を踏まえ、国は複数の水道事業を統合する広域化や民間企業との連携で水道事業の基盤強化を目指した水道法の改正を予定していますが、基盤強化の手法について慎重に検討すべきであると考えます。
例えば、国では公共施設の運営権を民間企業に与えるというコンセッション式を推進しようとしていますが、近年世界の主要都市では水道事業を一旦民営化したものの、民間事業者が利益優先の経営に走った結果水道料金の値上げや水質の悪化を招くなど住民サービスが低下した、そういった理由により再び公営に戻す動きが強まっています。コンセッション方式も決して万能ではないのです。まず現状を正確に分析し五十年後も安定供給を続けるためにどのようなあり方がよいのか考える必要があります。
直近の課題としては、更新時期を迎えている水道施設の更新がおくれている現状があると思いますが県はどのような支援を行っていくのかお伺いします。
次に、本県の地下水行政について伺います。
河川は国や自治体など行政が管理しており、簡単に川の水を利用することはできません……
○議長(杉山盛雄君) 天野議員、暫時休憩でよろしくお願いします。
午後二時二十九分 休憩
午後二時三十分 再開
○議長(杉山盛雄君) どうぞ、再開してください。
(六十番 天野 一君登壇)
○六十番(天野 一君) 一方、地下水は民法で地権者に所有権があると定めているため、ともすると野方図な使い方に陥りがちです。高度成長期に工場が相次いでくみ上げを急増させたことが代表例です。各地で地盤沈下や塩水化が進んだため、国は大量に地下水を使う工場やビルなど事業者に対し一九五〇年代以降くみ上げを許可制にしました。しかし数年前、中国など外国資本が水源地を買収し水が奪われると懸念する声が上がりました。地下水がたまる地層は地域を越えてつながっているとの指摘もあり、地下水を守ろうとの意識は行政の間で高まっているのではないでしょうか。
平成二十六年に施行された水循環基本法は、地下水を国民共有の財産と位置づけ、法律に強制力はありませんが国は地域の関係者に地下水の実態の把握と持続的な利用を求めています。静岡県地下水の採取に関する条例は制定から既に四十年が経過し、この間に地下水の採取量が大きく減少するなど地下水を取り巻く社会状況も変化しております。
現在、県はこの地下水条例の改正について検討を進めていると聞いております。県のお考えをお伺いします。
次に、建設業における社会保険未加入対策について伺います。
建設業界は元請業者から下請業者、さらに孫請業者へ発注される多重構造です。単独企業のように労務管理が一元管理されておらず、建設業界では社会保険への未加入業者が少なくありません。静岡県においては平成二十八年四月一日以降に契約を締結する静岡県発注建設工事において、受注者――元請業者に対し社会保険未加入者との一次下請契約を締結することを原則禁止としました。またさらなる徹底のため、平成三十年一月一日以降に契約を締結する案件から二次下請以下についても原則社会保険加入業者に限定する取り組みを実施することになりました。社会保険に未加入業者との契約をするべきではない、適切な保険に加入していることを確認できない作業員の現場入場を認めるべきではないとの国の見解も出されております。
国は、元請業者に見積書を提出する際には、見積もり条件が決められているケースでも法定福利費を内訳として明示し納めるべき社会保険料を確保できるようにすること、法定福利費を含まない建設請負契約は建設業法の不当に低い請負業者の禁止に触れるおそれもあり正当に要求できるものとなると言っております。
しかし、実際のところ法定福利費を見積書に明示しても元請業者からは、工事代金の中に入れた、まけておいてよ等一方的に押し切られ支払ってもらえないケースもあると聞いています。このままでは第三次、第四次下請業者においても同様のことが繰り返されることは必然であります。
そこで、国は十月から対策の本丸とも言える制裁金や入札参加停止、工事成績評定での減点といった元請業者に対するペナルティーを適用することとしましたが、県では二次以下の下請負人に係る受注者に対する制裁金等の措置には一月一日からの適用とせず、下請負人の対応状況を一年間検証した後に実施も含め検討するとしています。しかし既に一部の自治体などで二次以下の下請負人に係る受注者に対する制裁金などの措置に踏み出すケースも存在しています。まずは県が発注する建設工事において率先行動をあらわし、いわば発注者としての範を示すべきではないでしょうか。
建設業における社会保険未加入の解消に向け、実効性のある取り組みが必要だと考えますが、県の考えをお伺いします。
次に、学校における働き方改革についてお伺いします。
十月、吉田町は夏休みの短縮を含む小中学校の教育改革プランの実施時期を当初予定の平成三十年度から三十二年度に先送りすることを決めました。一方静岡市教育委員会は静岡市立中学校部活動ガイドライン案を発表し、来年四月から導入し経過措置期間を設定した上平成三十一年八月から本格実施することを決めました。両者に共通するのが働き方改革です。
今年八月、学校における働き方改革について話し合う中央教育審議会の特別部会は国や教育委員会、学校に対する緊急提言をまとめました。提言では教員の勤務時間を意識した働き方を進めること、全学校が業務改善の取り組みを強く推進していくことを柱として教育関係者らに長時間勤務の是正に向けた意識改革を促しています。
私の敬愛する教育者のK先生は、中教審のこの議論に教育哲学の不在を問い、制度を変えればうまくいくという錯覚と思い上がりが感じられると論じられました。確かにこの改革、さらには先ほど触れました吉田町や静岡市の取り組みは十分に議論が尽くされているのでしょうか。子供たちの気持ちは聞いていたのでしょうか。往々にして、大人たちは改革が自分にとって都合がよいか否かで考えがちです。教育現場にかかわっている児童生徒、保護者、教員の納得が得られる当事者本位の対策が求められます。
そこで、学校における働き方改革について県教育委員会はどのように考え取り組んでいくのかお伺いいたします。
次に、教育格差を是正するための学習環境の整備についてお伺いします。
八月、文部科学省は平成二十九年度の全国的な学力調査――全国学力・学習状況調査の結果を公表しました。それによりますと学力に関する調査では本県は小学校の国語B、算数B、中学校の全ての科目で全国の平均正答率を上回り、全体的には小中学校ともに安定した状況を示す結果となりました。まずは授業や課題に一生懸命に取り組んだ児童生徒の頑張り、指導に全力を尽くした教員の皆さんに敬意を表したいと思います。校長名公表云々から四年、教育現場が児童生徒、保護者はもとより県民全体から信頼されているあかしでもあると感じております。
ところで、都道府県ごとの平均正答率を見ると小学生、中学生ともに上位には常連とも言える秋田県、石川県、福井県が並んでいます。そしてこの三県に共通するのが全国学力・学習状況調査や独自に行う学力調査の結果を分析し、課題を洗い出し、明確な目標を立てた上で指導法を教育現場に落とし込み実施するという教員の指導力向上にも力を入れていることを認識されています。
しかし、私はもう一つ注目すべき点があると考えます。文部科学省の平成二十六年度子供の学習費調査によると、家庭が自己負担する教育支出――学習費のうち約六割から七割が学校外教育費、学習塾や習い事等の費用であることが明らかになっております。学校外教育費が高い家庭――子供にかけられる学校外教育費が多い家庭の子供ほど学力調査の正答率が高いことがわかっています。平均正答率ランキングの話題が大き過ぎて、日本の教育を捉える上で重要な結果が忘れられてしまっているのではないでしょうか。
日本における教育格差は、経済格差によって生まれやすくなったと思います。親の経済的貧困は子供から学習の機会やさまざまな体験活動の機会を奪うことにつながります。教育機会に恵まれなかったことが学力、学歴に影響を受けることは子供たちが成長したときにみずから望まざる生活を余儀なくされることになります。貧困の連鎖を断ち切るためには子供たちに学習の機会を公平に届けることにあります。
そこでお尋ねします。現在貧困に苦しむ世帯の子供たちに対する公的な支援は現金の付与に限られてしまっていると言えます。現金の給付以外に今後の公教育には外部機関による子供への学習指導、保護者への教育支援などより家庭に対する外部からのかかわりを強化することが急務だと思いますが、県教育委員会の考えをお伺いします。以上、答弁願います。
○議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 天野一議員にお答えいたします。
地場産業や伝統工芸品の振興についてであります。
繊維、家具、紙などに代表される本県の地場産業や駿河竹千筋細工、浜松注染そめなどの伝統工芸品産業は割安な輸入品との競合等により需要が減少傾向にはありますが事業所数では製造業全体の三四%を占めており、地域経済を支える重要な産業であることに変わりはありません。県ではこうした地域に根差した産業を守り育てるため、伝統に培われた高い品質を持つ新たな製品開発や国内外への販路開拓に挑戦する取り組みを支援しているところであります。
議員御指摘の遠州織物を活用した武襯衣は、値段が高いのがネックであることは承知しておりますが着実に需要は伸びております。そのほかリノベーション市場向けの備えつけ家具や水に流せるティシュペーパーなどの開発をも支援し製品化につなげています。また販路開拓につきましても、業界団体による首都圏での遠州織物コレクションの開催や国際的な展示会である東京インターナショナルギフトショーへの出展に対する助成などの支援も行っています。
こうした取り組みの結果、バイヤーから展示会出展業者に対し平成二十八年度は七百件を超えるサンプル提供依頼があり新たな織物生地の受注が生まれるなどの成果も出ているところでございます。一方消費者ニーズの多様化に伴い商品そのものの魅力や価値を一層高めていくことが求められており、製品の差別化やブランドの構築、強化などに対してデザインの持つ力が極めて重要になってまいりました。
このため、県では昨年度静岡県デザイン産業振興プランを策定し、デザインを活用して地場産業や伝統工芸品などの製品開発からプロモーションまでデザイン相談窓口の設置などによる一貫した支援を行っております。デザインとアートの違いはアートはハートにだけ訴えるわけですがデザインは用と美を兼ね備えたものと、ハートに訴えつつ、かつ役に立つというものがデザインでございます。
今年度は、新たにデザインを活用した商品開発能力を習得する研修会を静岡市内で十月から三月まで六回に分け開催しているところです。そのほか中小企業の商品開発の課題に対しましてデザイナーが直接解決策を提案するマッチング事業などを実施しております。
こうしたデザイン性にすぐれた商品開発の支援とともに、すぐれた製品を表彰するグッドデザインしずおかなどの場を活用いたしまして国内外に積極的にPRすることでこれまで以上に販路開拓を支援してまいる所存であります。
県としましては、歴史と伝統に裏打ちされた高い品質と新たな魅力を付加するデザインの積極的な活用とともに、現代の名工、これは日本の誇る匠でございまして、これまでに静岡県内から約百六十名表彰されました。特にことしは九人もの方が現代の名工として厚生労働大臣から認定されたところであります。この方たちを支援するなどを通しまして製品やサービスの付加価値を高め、ブランド化を一層推進することで地場産業や伝統工芸品のさらなる振興を図ってまいります。
その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○議長(杉山盛雄君) 吉林副知事。
(副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 民間人を初めとする外部人材の活用についてお答えをいたします。
県では、高度化、複雑化、専門化する行政ニーズに対応するに当たり庁内からの登用が困難と判断した場合は各分野において必要となる人材を民間や国などから活用してまいりました。特に世界レベルで通用する対応が必要な地域外交や通商、学際的な分野におきましては各界で活躍されている一流の有識者の方々である静岡県リーディングアドバイザーから、さらに静岡県補佐官として任命し県施策の方針決定や推進などに関して御助言を賜っております。このことを通じてより効果的な施策へとブラッシュアップされるとともに、県組織や担当の職員に刺激と活力を与える存在となっているものと認識をしております。
また、中国や米国、モンゴル、韓国など文化、観光、産業といった幅広い分野で世界との交流を深めるため高い専門性を有するネイティブ職員を任用し、単に言葉だけでなくその地域の文化を理解した上で交渉や信頼関係の構築を行うなど本県が進める地域外交の分野で活躍をしております。
さらに、南海トラフ巨大地震等大規模災害への対応など喫緊の課題を抱える危機管理分野におきましては、県全体の危機管理体制の強化を図るため自衛隊OBを任用し自衛隊との連携強化に加えこれまでのノウハウを生かし市町への支援を積極的に行っております。
今後とも、県職員としては得ることができない経験や知識が必要となる分野におきましては積極的に民間人を初めとする外部人材をより戦略的かつ効果的に活用してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 伊藤経営管理部長。
(経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 県職員の自殺対策についてお答えいたします。
職員が、自殺によりそのとうとい命を失っていることにつきましては大変残念であり深刻に受けとめております。職員とその御家族に対して、また県組織として重点的な対応、対策が必要であると認識しております。
県では、このような事案を発生させないために若手職員から管理監督者までを対象としてメンタルヘルス不調を予防するための研修を実施しております。長期療養中の職員やその所属に対しましてはまずは治療に専念するように指導し、その後主治医や県の職場復帰相談医と連携して円滑な職場復帰ができるよう助言を行うなどきめ細かな支援を行っています。そのほか御家族にも主体的にかかわっていただくよう職員の家庭に健康啓発パンフレットを配付するなどの対応をしております。
なお、自殺事案が生じた場合には御家族や同僚等の精神的なケア、またストレスの軽減を図るため速やかに精神科医やカウンセラーによる面接等を行っているところであります。これに加え昨年度からはストレスチェック検査を開始いたしました。職員が自分のストレス状態を把握するとともに、所属長に対しては職場における仕事によるストレス状況を通知しております。これにより職員には早目のストレス解消、早目の受診を促し、所属長には職場でのコミュニケーションの向上や業務分担の見直しについて助言しております。
本年度のストレスチェック検査の結果でございますが、職員全体の総合健康リスク値は全国平均の百に対して八十七、また総合健康リスク値百二十を超えてストレスによる問題発生のおそれがあると判断された所属は昨年度の十二所属から今年度は五所属へと減少しております。
県といたしましては、今後とも職員はもとよりその御家族にも積極的に巻き込んだメンタルヘルス対策に取り組むとともに、ともに支え合う風通しのよい職場づくりを進め痛ましい事案が発生しないよう努めてまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木くらし・環境部長。
(くらし・環境部長 木利夫君登壇)
○くらし・環境部長(木利夫君) 水道事業の基盤強化についてお答えいたします。
県内の水道施設は、経営面から施設の更新需要に対し十分な予算措置が図られず法定耐用年数を経過した施設が多数あることに加え、今後さらに増大する施設更新への対応が難しくなっております。特に資産全体の約六割を占める水道管の更新がおくれており、老朽化による漏水が収益を一層悪化させる一因となっております。
このため、長期的な水道事業環境の課題を踏まえつつ、まずは浄水場、配水池、水道管など施設全体の老朽度をもとにした更新需要を算出し、投資額の平準化や施設のダウンサイジングを考慮した長期的な施設更新計画とこれに必要な財源を賄う投資・財政計画を盛り込んだ経営戦略を策定することが重要であります。
県といたしましては、水道事業者である市町が平成三十年度までに実効性のある経営戦略を策定できるよう共通仕様書を作成、提供するなど強力に指導しているところであります。さらに赤字経営が見込まれる市町にあっては事務の共同委託や人材の融通、派遣から事業統合まで多様な手法による広域連携の推進に向け引き続き先進事例の紹介や地域ごとに情報交換の場を提供するなど、安全で安定的な水の供給に向けて支援を行ってまいります。
次に、本県の地下水行政についてであります。
昭和四十六年の地下水の採取の適正化に関する条例制定以降、地下水の採取の規制や産業構造の変化などによる水需要の減少等により現在では地下水位や塩水化は改善傾向に向かっております。また国におきましては、健全な水循環を維持または回復させ経済社会の健全な発展と生活の安定向上に寄与することを目的とした水循環基本法が制定されたところです。
県民生活の向上や経済の発展には、地下水環境の保全と持続的な利用のバランスを図ることが重要であり、そのためには地下水の採取量の把握と適正な取水基準の設定により地下水の安全管理を行っていくことが必要であります。これを着実に推進するため条例改正を検討しており、この条例の目的に地下水の適正かつ持続的な利用を図ることを、また新たに基本理念といたしまして健全な水循環の維持を、また県の責務として県内の地下水の利用状況や水位変動等に関する情報の収集と県民への提供を追加することにつきまして県環境審議会から答申をいただいたところであります。
県といたしましては、地域ごとに異なる賦存量や採取状況を的確に把握し各地下水利用対策協議会と連携し公共性が高く、県民の重要な財産である地下水の保全と持続的な利用の両立を図ってまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 鈴木交通基盤部長。
(交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 建設業における社会保険未加入対策についてお答えいたします。
社会資本の維持管理や災害対応を的確に行い地域の安全・安心を守る上において、建設業の果たす役割はますます増大しておりますが、県の労働力人口の減少が見込まれ将来の担い手の確保が喫緊の課題となる中、社会保険の加入促進など就労環境を改善し建設業がより魅力のある産業となることが重要であります。
このため、国と県は平成二十四年度から社会保険未加入対策を進めてまいりました。県では来年一月一日以降二次下請以下につきましても原則社会保険加入業者に限定することとし、ホームページ等により周知するとともに建設企業を対象に保険加入に関する詳細な説明会を県内三カ所で実施したところであります。
また、この対策の実施に当たりましては県発注工事の契約後に提出される施工体制台帳により適切に社会保険に加入しているかを確認し、未加入者に対しては県が指導を行いその後も加入を確認できない場合は国の労働局や日本年金機構が処分権限に基づき指導するなど実効性のある取り組みが行われることとなります。
さらに、来年度から全ての工事において契約金額の中に適正な社会保険料が算入されるよう契約後に元請企業が県へ提出する請負代金内訳書に全ての下請業者の負担分も含めた社会保険料を明示させることといたします。
県といたしましては、こうした取り組み等を通じて建設業界と一体となり就業者が安心して働けるよう社会保険加入率一〇〇%を目指してまいります。以上であります。
○議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
(教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 学校における働き方改革についてお答えいたします。
学校における働き方改革とは、教員の意識改革と業務改善により長時間勤務を是正する中で教員が能力を最大限に発揮でき子供たちの成長につなげることであると認識しております。それを進めるに当たりましては、議員御指摘のとおり児童生徒、保護者、教員の理解を得ることが極めて重要であると考えております。
昨年度から実施しております多忙化解消のための未来の学校「夢」プロジェクトでは、外部有識者の評価を受けながらモデル校の保護者や地域の方々との意見交換を通してこの取り組みが教育の充実につながることを御理解いただくように努めているところであります。また多忙化の要因と言われております部活動につきましては九月に教員や外部の有識者からなる部活動ガイドラインの検討委員会を立ち上げ、現在生徒、保護者及び教員を対象にアンケート調査を実施し率直な考え方や要望を把握しているところであり、これを踏まえまして教育現場を重視したガイドラインを策定してまいります。
教育の本質は、子供たちの健やかな成長、自立を促すことであります。県教育委員会といたしましては教員が子供たちと向き合う時間をより多く確保し、学校現場で生き生きとやりがいを持って働くことができるよう学校における働き方改革を進めてまいります。
次に、教育格差を是正するための学習環境の整備についてであります。
家庭の経済力によって子供たちの学力が左右される状況にあることにつきましては、憂慮すべきことであり、全ての児童生徒に等しく教育の機会が与えられることが望ましいと考えております。各学校では基礎・基本を重視した授業づくりを初め少人数指導の実施など、学習がおくれがちな児童生徒などに配慮して日々の指導の充実を図っております。また保護者との教育相談を踏まえ必要に応じてスクールソーシャルワーカーが対応し、子供だけでなく家庭にも適切な支援を受けられるよう努力しております。しかしながら、議員御指摘のとおり貧困などさまざまな事情を抱えた子供に対しましては経済的支援だけでなく外部人材等を活用した支援の強化が必要であると考えております。
このため、県教育委員会では本年度から地域住民や県内の大学生の協力を得まして子供たちが主体的に学ぶ習慣を身につけるための「しずおか寺子屋」創出事業を県内三市で実施しております。また一定の研修を終了した家庭教育支援員が入学式やPTA総会などの場を活用して保護者への教育支援を行う事業を推進しており、本年度までに三百二十名の支援員を委嘱しているところであります。
県教育委員会といたしましては、こうした社会全体で子供を育む体制を強化することで貧困の連鎖を断ち切り、未来に羽ばたく子供たちの健やかな成長が実現できるよう取り組んでまいります。以上であります。
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