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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成19年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

阿部 卓也 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/10/2007

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 地方分権改革について                       
 (1) 静岡県の担うべき役割                      
 (2) 政令県構想                           
2 天竜浜名湖鉄道の検証及び活性化について              
   外部コンサルタントの導入と中長期ビジョンの策定         
3 県立森林公園の活性化について                   
 (1) 多様な利活用の促進                       
 (2) 浜松市及び周辺施設との連携強化                 
4 東海地震減災対策としての耐震シェルター補助制度について      
5 バスフリー乗降の推進について                   
6 静岡県独自の多文化共生について                  
 (1) 多文化共生モデルづくり                     
 (2) 多文化共生プランの策定                     
7 静岡県の子育てと教育について                   
 (1) 親のあり方と子育て支援                     
  ア 子育ての本質と子育て支援                   
  イ 親学の必要性                         
 (2) キャリア教育の発展的展開



    ○議長(佐野康輔君) これで落合愼悟君の質問は終わりました。
     次に、五番 阿部卓也君。
            (五番 阿部卓也君登壇 拍手)
    ○五番(阿部卓也君) 私は平成21所属議員の阿部卓也であります。
     ただいまから通告に従いまして当面する県政の諸課題について、知事及び関係部局長並びに教育長に質問をさせていただきます。
     初めに、地方分権改革について知事の御所見をお伺いいたします。
     私は、日本の真の地方分権改革のヒントが、二十世紀終盤の社会主義経済の破綻とその後の自由主義経済国家群の姿にあるのではないかと感じています。社会主義経済の破綻の原因は、権力の一極集中による権力者の腐敗と、労働時間だけをただいたずらに稼げばよいという機械的な生産制度により個人や地域の創意工夫が阻害され、生き生きとした創造力が発揮されなくなったことに行き着くのではないかと私は考えています。
     そして、二十一世紀の世界の潮流は、EUに見るように緩やかな連邦制に向かっています。EUでは構成各国がそれぞれの国の特性を生かしつつ、それぞれの地域事情を配慮しながらEUという枠組みの連帯を選択している。また各国の国民は自分自身で主体的に判断をし自国の将来を投票により決めて、EUへの参加を支持している。またアメリカ合衆国を見ても統一された通貨、金融、労働市場などの経済インフラを持ちながら、各州が特性に応じた多様な戦略を立案、実施して、国としてではなく一地域が世界規模の展開をしてアメリカ合衆国全体の経済を活性化させてきています。
     翻って現在の日本はどうか。日本はよく社会主義的自由主義国家とやゆされます。これは今の日本の中央主権システムが、中央政府の指示に従わなければ自治体も国民もほとんどのことが自由に行えない、すべて中央政府を頂点として決まっていくということをやゆしたものですが、先ほど申し上げたように、今や世界の潮流は個人や地域の特性を生かし創意工夫に満ちた地方主権の流れとなっているのです。私には日本が世界の潮流から乗りおくれるぞと警告を受けているような気がしてなりません。
     では、現在進行中の地方分権改革が何をしているのかというと、小泉内閣の三位一体改革において地方の実情を無視した政府のひとりよがりな数合わせのあおりをもろにこうむり、急激かつ大幅な地方交付税の削減がなされ、今や自治体破産の時代を迎えています。これは国と地方の構造そのものに切り込まない限り、地方分権改革だと幾ら議論をしても、いつまでも国の手のひらの中で地方が踊らされているということであり、真の地方分権改革のためには抜本的な改革が絶対必要なのです。
     このたび全国知事会の副会長に就任された石川知事におかれましては、地方間格差など困難な問題が山積する中でどのようなビジョンを持って知事会のリーダーとなられるのか、また雄県静岡県の知事として、静岡県が今なすべき行動をしっかり打ち出していただきたいと感じております。
     あえて明治維新前夜を例にしますと、江戸三百諸侯の中には当然ながら貧富の格差はございました。まさに地方間格差と言えましょう。けれども明治維新の原動力となった薩長土肥などは、最先端の技術の研究などを幕府の目を盗んででも海外から取り入れたり、研究施設をつくったり、人材の育成をしてきたりしてきたことが明治維新の原動力になったのです。単に大きな時代の流れが向こうから勝手にやってきたのではなく、その時代の流れをつくり引き寄せ、またその大きな時代の流れを動かすために地方の力が大きく寄与した、地方の先頭に立つ幾つかの藩がこの大改革をリードしたというこの史実は何を語っているのか。維新は地方から発す、まさにそれをこの平成の地方分権改革に高らかに叫びかけているものと私は考えています。「静岡県よ、今こそ平成の薩長土肥になれ」、そのように時代が訴えているように、私には思えてなりません。
     我々議員もこの時代の変革期に当たり、この目で見、耳で聞き、そして歩いて、しっかり勉強をし、生きた政策をみずからつくっていく、どんどん新たな挑戦をしていく。そんな決意と行動力を議会人として持たねばなりませんが、石川知事におかれましては、真の地方分権改革の旗手となられようとする決意と、この静岡県が真の改革の実現に向けて何をなすべきとお考えかお伺いいたします。
     また、その真の改革に向けての石川知事の具体的提言の一つとして政令県構想があるのかと思いますが、私個人として、この構想を知事が打ち出された折より、現在の国と地方の仕組みの中で極めて現実的なプランだと感じておりました。実際、この構想を実現する下地として新公共経営――NPMを推し進め着実に成果を出されていることは周知のとおりであり、知事の描かれる未来の地方の姿、静岡県の姿が見えつつあるのかなと期待させるものであります。
     ところが、肝心の国の地方出先機関の移譲などによる自己完結型の地方自治への道は、現在暗礁に乗り上げている感覚があります。この閉塞感を切り開いていくためにはどうしたらよいのか。さらに言えば、この政令県構想を阻害している要因は何なのか、発案者である石川知事こそが一番痛切に感じておられるところを御披瀝いただきたいと思います。
     次に、天竜浜名湖鉄道の検証及び活性化についてお伺いいたします。以下、通称である天浜線と略して申し上げます。
     私は県会議員当選後、県庁までの交通手段として可能な限り天浜線を使用してまいりました。またその車中では乗客の皆様とお話をして天浜線に関する御意見や御要望をお聞きし、乗務員や駅員の皆様には質問をしたり勤務状況の様子を見せていただいたり、チラシ、パンフレット、観光案内の収集を行うなど、この半年間、徹底した取材をしてまいりました。その上で疑問点と活性化のための方策をここに申し述べたいと思います。
     まず、四月に行われたダイヤ改正は疑問点が多く、新幹線、東海道線への連絡の悪さや、すれ違い等の必要がないのに途中駅でのむだな三分、五分、七分という停車時間などにより利便性が低下しています。実際、掛川駅までの通勤定期客の減少が見られています。また集客の目玉であったトロッコ列車も運行停止となったままであり、同じく天浜線株式会社が事業主体である天竜舟下り事業も増収増客に向けての工夫が感じられず、残念でなりません。
     また、駅舎や各種乗車券等、鉄道事業においての基本的な経営環境にも改善や拡充が必要と感じられます。これらは乗客や周辺住民の苦情や意見を反映するシステムが明確に構築されているとは言えず、会社と利用者の間に意識格差が生じていることが問題ではないかと感じています。さらに社員教育や未来を担う人材としての若手の育成ビジョン、社員採用システムも点検する必要性も感じています。
     一方、活性化するための方策として、天浜線のブランディングを提案したいと思います。
     沿線には歴史的遺産や地域の祭り、イベントも多く、周辺市町、企業との連携は必要不可欠でありましょうし、沿線風景や駅舎には古きよき日本の情感を呼び覚ます原風景が残っているため、昭和へのトリップとして天浜線沿線地域そのもののブランディングを考え、景観の維持保全と農業や観光と絡めた事業の展開もおもしろいのではないかと考えています。
     そこで、静岡県西部地域における重要な公共交通機関である天浜線の維持活性化のために、組織改革、人材育成、利便性・サービスの向上、多彩な企画力の養成などのために一度外部コンサルタントによる検証が必要と考えます。またその上で中長期のビジョンを天浜線活性化プランとして策定することを関係市町とともに強力に推進していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
     次に、県立森林公園の活性化についてお伺いいたします。
     この公園の利用者は年間九十万人から百万人という推計調査がありますが、新たに多様な利活用策を講じれば、さらなる利用者の増加、また周辺地域の活性化という相乗効果が生まれるものと考えます。
     そこで、幾つかの具体的な提言ですが、近年高齢者に大きな人気を誇るグラウンドゴルフに複数ある広場のうち安全性が確認された場所だけでも開放したらどうでしょうか。また野外ステージを夜間照明など整備拡充することで、音楽のまち浜松市に立地しているだけに需要が見込めるのではないでしょうか。
     また、従来から森林浴、ウオーキングなど健康づくりを兼ねた利用者も多いだけに、健康のためのウオーキングモデルコースを設定したらどうでしょうか。また周辺病院とコラボレートして人間ドックの結果考察欄に、具体的に森林公園を使っての運動の勧めをアドバイスとして書いてもらったり、実際に公園を利用しての予防医学講座の開催など、多様な利活用策を模索することも必要だと考えます。
     なお、利活用策について、一番この公園に親しみ理解している周辺住民や関係各種団体との意見交換や、アイデアを取り入れる体制については不十分だと感じております。これは地域との一体感を醸造する大切なことですので、そのあたりの整備拡充を含めて県の御所見をお伺いいたします。
     また、森林公園には隣接してあらたまの湯、フルーツパーク、万葉の森など浜松市の関連施設も多く、また日本最古の人類である浜北原人の発見地など埋もれている史跡や歴史的建造物も多く、浜松市の進行中の事業である浜北北部観光開発事業、遠州山辺の道整備事業などと連携を強化し、多彩な切り口で広大な森林公園の資源を生かすことが、ひいては県民満足度の向上にもつながることと考えます。御所見をお伺いいたします。
     次に、東海地震減災対策としての耐震シェルター補助制度についてお伺いいたします。
     東京都渋谷区が導入している補助制度に耐震シェルターなどの設置助成制度があります。これは耐震シェルター、防災ベッドなどを設置した場合、限度額五十万円での助成を行うというものであります。
     耐震シェルターは費用対効果からも注目すべきものであり、産学共同で住宅メーカーなどにより開発、市販されていますが、シングルベッド二つが設置できる広さで施工費用込みで二十五万円程度、この部屋で就寝する、もしくはとっさの際にとにかくこの中に逃げ込めば、万が一住宅が倒壊しても家屋内に設置した耐震シェルターにいれば、地震による死者の多くを占める圧死の危険性を回避でき生存確率が飛躍的に上がるという、まさに命を守るシェルターそのものであります。
     現在、静岡県の木造住宅の耐震対策としては御承知のようにプロジェクト「TOUKAI―0」事業がありますが、事業の実施状況を見ると平成十三年度の耐震診断開始から本年十月末までに五万一千二百六十七件の相談があり、うち危険と判断された木造住宅が約九割、うち早急に対応する必要があるものが六割強、しかしながら実際に耐震補強工事を実施したものはわずかに一四・二%であります。工事着工率はかなり低い状況であると断言せざるを得ません。
     この耐震補強工事の実施率の低さの原因は経済的な問題にあるということは、先ごろ防災局の実施した東海地震についての県民意識調査の結果、「費用がかかるから補強を行えない」との回答が八〇・八%であることでも明らかであり、当局としても県民の命にかかわる重要な問題であるだけに早急な対応が必要と考えます。
     以上のような理由から、この耐震シェルター設置の補助制度は非常に有効と考え早期導入の必要を感じますが、県の所見をお伺いいたします。
     次に、バスフリー乗降の推進についてお伺いいたします。
     定期バスの運行区間のうち、決められた区間であればどこでも自由に乗りおりができるというバスフリー乗降制度が導入されて、静岡県でも三島市において実証実験が行われてきました。結果、非常に好評であったと聞いておりますが、この制度は中山間地域の公共交通の利便性の向上、高齢者などいわゆる交通弱者の皆様の普遍的な交通手段として非常に有効だと考えます。
     また、各地のコミュニティーバスなどにもうってつけの制度でもあり、さらには公共交通網の整備が急務である都市の周辺部においても利便性の向上による利用者増加が見込まれ、公共交通の切り札になり得ると考えます。この際、三島の実証実験を下敷きにして制度の整備を進め、全県下にバスフリー乗降制度を推進すべきと考えますが、県の所見をお伺いいたします。
     次に、静岡県独自の多文化共生についてお伺いいたします。
     まず現状認識として、今日の日本の産業構造はもはや外国人労働者なくしては成り立たない状態にあるということ、そして日系人については日本への定住者が着実にふえているということを、まずは認識しておかなければなりません。このように必然となった外国人との共生について、以下県の所見をお伺いいたします。
     私は、まず県独自の多文化共生モデルを打ち出すべきと考えます。例えば就学前の外国人児童生徒が日本語を学習し日本で生活する力、学校で勉強する基礎言語能力を身につけるための方策としてのプレスクールの創設や、コミュニティー内部の外国人による通訳者の掘り起こし及び養成、定住希望者のための静岡県で生活するための地域ルール、慣習マニュアルなどの生活規範づくり、企業、団体、労働組合などの協力のもと雇用状況の把握、社会保険の加入促進策、外国人労働者の権利と義務などの取り決めを含んだ日常生活の基本を理解させる外国人雇用マニュアルづくりなどを具体的にモデル化したらどうかと考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
     次に、多文化共生プランの策定についてお伺いいたします。
     昨年設置された静岡県多文化共生推進会議から本年三月に提言書が出されています。その中には関係機関の役割や具体的提案が示されており、本年度新設した県民部の多文化共生室の方向性を示す大いなる参考になっているのではないかと拝察いたします。
     そこでお伺いいたしますが、先ほど提案した多文化共生モデルなども包括して、将来的には静岡県として総合的な多文化共生プランを策定する必要があると考えますが、県のお考えと今後の多文化共生社会構築のための作業工程をどのように描いているのかお伺いいたします。
     最後に、静岡県の子育てと教育についてお伺いいたします。
     現在、私は幼稚園のPTA会長をさせていただいておりますが、子育てに試行錯誤をみずから繰り返しつつ、自分の幼稚園に限らず保育園や私立幼稚園等さまざまな親御さんとお話をさせていただいております。その中で時々、現在行政が展開している子育て支援策は果たして本当に子供のためになっているだろうか、ただ単に親を楽させるためだけの施策になっているのではないかという疑問を覚えることがあります。「保育園に空きがあるなら、別に家計は迫していないけどお金を稼ぐために私も働きたい」、「幼稚園の預かり保育に預けられるなら、子供を預けて自分の時間をつくりたい」などという親御さんは今や珍しくなく、私は違和感を覚えています。
     本当に必要性がある親御さんは別としても、根本的に果たして幼児が長時間親から引き離され他人に預けられることが子供にとって幸せなのか、親の愛情やスキンシップが何よりも必要な時期の子供たちを、個人の価値観だと称して自分の自由のためお金のために、物を預けるように子供を平気で預けていく親が本当によい親なのだろうか、こんな大人が主人公の静岡県になってしまっていいのだろうかという疑念と不安を大いに覚えています。
     子供は本来、人格形成上、親が絶対必要な時期があり、可能な限り親といられる環境の整備、さらには祖父母からの学びや、地域コミュニティーの中で社会規範の第一歩を学び文化や風習にも触れていくことが理想であり、本県が二〇一〇プランで掲げる日本一の人づくりを目指すのであれば、子育てを通して親子ともどもの学びがあり成長があるという子育ての本質を見失ってはいけないと考えています。
     そこで、いま一度静岡県の目指す子育ての本質と子育て支援のあり方について、知事の所見をお伺いいたします。
     また、最近はモンスターペアレントに代表されるような、自己本位で子育てのあり方など考えないような親がふえています。親の日常生活における社会規範の欠落は子供の基本的な倫理観、道徳観、人格形成等をゆがめていきます。モンスターペアレントを再生産してしまうことになれば、静岡県の将来も日本の将来も暗たんたるものになるでしょう。今こそ教育サイドが自信を持って明確なビジョンを示し、力強く未来を担う人材育成に取り組むべきでありますし、この際、健全な教育をつくるためにも親のあり方を教育する親学を推進すべきと考えます。
     埼玉県のように、知事、教育長の肝いりで親学学校を創設することや、親同士が子育て、大人のあり方を論ずる機会をより多く創出させるシステムづくり、親になる予備軍である高校生世代から親学の心得を学んでいくシステムをつくるなどの具体的な施策展開も視野に入れて、教育長の御所見をお伺いいたします。
     最後に、キャリア教育の発展的展開についてお伺いいたします。
     キャリア教育については現在も大きな成果を上げていると認識していますが、社会性を育て、礼儀作法から社会的規範、経済の仕組みや福祉の現状、ものづくりの現場など、体験することにより体と心の修練の場にもなるキャリア教育のよさと奥深さを小学校でも可能なものから展開すること、中高生においては発達段階に応じた勤労観、職業観をはぐくむためにインターンシップが有効であり、その業種、期間等を拡大してはどうかと考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
     以上でとりあえず質問を終わります。(拍手)
    ○議長(佐野康輔君) 石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事(石川嘉延君) 阿部卓也議員にお答えをいたします。
     初めに、地方分権改革についてのうち、静岡県の担うべき役割についてであります。
     国、地方を通じて効率的で効果的な行政を実現するためには、国と地方の役割分担を徹底し地方公共団体の自主性、自立性を高めることによって、地方がみずからの判断と責任において行政運営を行うことが基本であります。こうした考え方に基づいて、私はこれまでも政令県や新型政令指定都市等を内容とする内政構造改革試案を発表し、みずから改革の道筋を具体的に示しながら国等に対して提唱してまいりました。
     また、先ごろの政府の地方分権改革推進委員会の会合でも評価をいただいておるようでありますが、本県は都道府県から市町村への権限移譲の数が全国で断トツ、トップであります。これは県と基礎的自治体の役割分担など地方における分権型社会の構築に向けた取り組みを、その気になれば県単位でもできるということを実行に移しているものでございます。このことについて関心が寄せられたということは大変私としても意を強くするところでありますし、すべての分権改革が、国と言いましょうか法律で今内政構造が決まっておりますけれども、これが変わらない限りはできないんだという思い込みも一方にあるように感じますので、それを打破していく上でもこのような本県の取り組みに関心が集まったことは有意義であるというふうに感じております。
     現在、政府においては、地方分権改革推進法に基づいて第二期地方分権改革の方向性が検討されております。中央政府と対等、協力の関係に立つ地方政府の確立等が掲げられておりますが、何よりも重要なのは、こうした理念をもとに国による義務づけの廃止・縮小や地方税財源の充実強化方策等を明確に提示し、かつ実行に移すことであります。
     しかしながら現在、分権改革推進委員会で各省庁のヒアリングがいろいろされておりますけれども、これの途中経過について開示されている情報を見る限り、中央省庁はこれ以上の地方への権限移譲はすべてノーと言ってもいいような反応をしておりますし、これを突破する何と言うか政治的な熱意、これが今のところ余り感じられないわけでありますので、半分は期待をしてませんし、半分は何とかならんものかと思う気持ちであります。
     そこで私も、先ごろ関東地方知事会代表という立場で全国知事会の副会長という立場にも立つことになりました。副会長であっても単なる一構成メンバーである知事でも、発言に重みの差が何もないよということを私も実感しておりますので、副会長になったからどうということはないと思うんでありますが、しかしそれで注目度が高まるなら大いにいろんな機会に一層今まで以上に発言をしていきたいと思っておりますが、その際に本県が導入しております生産性の高い行政運営システムを実現しつつある新公共経営であるとか、いろいろ本県が取り組んでまいりました今の分権の推進の実績でありますとか、こういうものをもとに机上の空論でない議論を展開して、多くの賛同を得て、それらが大きなうねりになっていくように努力をしたいと思っております。
     平成の薩長土肥に静岡県はなるべきではないかというお話でありますが、私も志はそのつもりでおるわけでありますけれども、力不足もありましてなかなかそうはなりません。ぜひ阿部議員初め県議会や静岡県内各方面の御理解をいただいて、大きな政治力になるように努力をしていきたいと思っております。
     そういう中で、政令県構想についても改めてお尋ねがありました。
     今日再び道州制についての議論が非常に盛んになってきております。先ごろもPHP総合研究所社長の江口さんが道州制に関する本を出版されて、私のところにもお届けいただきました。それらを含めて、現在の道州制議論は現在四十七ある都道府県を十前後の道州に改編するというものであります。道州制にするという決意さえあれば、どのような図柄をかくこともできるわけですね。案としては幾らでもいろんなバージョンがあり得ます。そういう意味では私の政令県構想もその一つでありますが、その中でもこの政令県構想は全国の都道府県四十七を二十程度にまとめるということをベースに、比較的みんなに飛びついてもらえる案ではないかと思って出しているわけでありますけれども、本人が期待したほどの反応がないわけであります。
     それもこれも、今申し上げました本当に道州制をやるということについての、なかなか国民的な共感、理解、これが広まっていないことによるものではないかというふうに思うのであります。それよりも、目先のと言ったら語弊があるかもしれませんが、目前にいわゆる格差問題などが横たわっておりまして、非常に地域の産業経済が疲弊をしている実態を目にすると、道州制の議論よりも今この直面してる問題をどうしてくれるのと、そういうところに多くの人の関心が向いてるというふうにも感じられます。
     先ごろ雑誌でついせんだっての高知県知事選挙に立候補して敗れた方の談話記事を読みましたけれども、どうやって高知県民を食わせていくのかと、こういう観点から自分はこういう考えで知事選に臨んだけどもうまくいかなかったと、そういう内容でありますけれども、事ほどさようにどうやって急激に進行する過疎化の現象、高齢化の現象の中で産業経済を立て直すのか、非常にそこに関心が集まっているということがよくわかりましたけれども、そういう気分が日本列島、ごく一部の地域を除くとほとんどそれで覆い尽くされてるというような現状を見ますと、道州制の議論もなかなか具体的な政治の土俵に上ってこないのかなとも思ったりしているわけであります。
     皮肉なことに、それだから例えば国政に携わる国会議員の人も安心して道州制の議論をすると。すぐにはならないわけでありますから、道州制の議論を何か声高に言うと非常に先見性があってかっこよく見えると思われておるのか、そういう傾向が見られるわけであります。
     ちょうど私が知事になる直前、一九九〇年ごろから地方分権というのがブームになりました。一九九三年でしたか自民党が分裂したときも、分裂して新しい政党に行った方々の主張の大きな柱になったのが分権の推進でしたね。その後、地方分権は十何年もずっとファッションになっているわけでありますけれども、しかしこれまでの経過を見ますと、本気になったら大変なことになるのに、だれもそんなもの実現しないと思うから、分権、分権とずっと言い続けているという、そういう皮肉な現象が続いておりまして、いい加減疲れるなあという気もするような状態なんですね。それだけまた日本の社会が本当に追い込まれていないというか、そういう認識かもしれませんけれども。しかし実は私は、大変今危機的な日本は社会情勢にあるので、本気になってこの分権の問題を取り上げなきゃいけないわけでありますけれども。
     しかし一方で、形だけでも分権を実現しなきゃいけないということから小泉内閣の三位一体改革が行われたわけでありますけれども、その結果また皮肉な現象が発生しております。これは補助金の廃止・縮小、これは五兆円でありましたけれども、全体の補助金の二十兆円というものの四分の一を手がけたわけであります。それでそれじゃハッピーエンドかというと、実は地方団体に対する補助金はなくなりましたけれども、国の各省庁がNPOとか住民とか各種団体に直接補助制度を次々に組み立てていったわけであります。
     これは基本的に国と地方の役割が明確に区分されていないために、同じ分野に今までは地方団体を通じて、地方団体と国がある意味では同じベクトルそれも国主導のベクトルで地方も巻き込んで、直接国がこうあるべしと思う地域政策をやってたわけです。それが補助金はいけないんだという建前が確立されかかったもんだから、そのかわりにそれじゃ一切地域政策に手を出さないというんだったら評価できるんですけれども、そうじゃなくて地方団体を通じないで地方団体を迂回して直接地域に手を出してくるという、そういう政策が随分ふえてまいりました。
     後になって、例えば世界お茶まつり――この間行いました――これも私もちょうど自分自身が手術で九月から四十日間ぐらい全部の業務を入念に見ることができなかったために、最近になって報告を受けてびっくりしたんですけれども、農水省から世界お茶まつりに千二百五十万円の補助金をいただきました。これは世界緑茶協会という財団法人ですね。この補助金はなまじっかの既存のお茶のいろんな団体に補助を出すよりは、輸出促進の観点で世界緑茶協会の世界お茶まつりは非常に効果がありそうだということで千二百五十万円つけてくれた。これで実は世界お茶まつり、かなり内容を当初の想定よりは充実することができたり、あるいはこれからまだ輸出促進に向けてのいろいろな直接事業を少し展開できるようになっておるんですけれども、そういうものが従来であれば県を通じてそういう情報もお金も流れてきたんですけれども、情報もお金も一切通らないでいきなり来るわけです。いきなり来るというのは、たまたま何か見ていたら、どうもひょっしたらそれもらえるかもしらんと気がついて、ぽんと出したらもらえましたということだったんですね。
     その種のことが幾つも本県内で発生しております。しかもこの金額が従来の補助金ベースで考えると、こんな金額よくくれるなあと思うようなすごいハイレベルのものがついてくるわけですね。しかし、国が全国にきめ細かくそういうようなものをずっとこれからやり続けられるかというと、とてもそういうわけにはいかないんですね。現にその種の補助金はモデル的にやるとか、あるいは二年とか三年で終わると、サンセットが組み込まれた事業なんですね。そういうような非常に行き当たりばったりとしか思えないような、そして非常に組み立て方がけたがちょっと大き過ぎて、もらった方もどうやって使おうかな、いやこれなら物すごく大盤振る舞いできそうだなとか、非常にある意味では実は浪費にもつながりかねないようなことを進めるような補助金が一方でついてきておるわけです。
     こういうような実態がありますので、さらに分権の問題については今のようなことも含めて国に物申していかなきゃいけないなというふうに感じているところでございます。その点で全国知事会の副会長という肩書きが利用できるならば大いに利用しなければいけないと思いますが、頑張っていきたいと思っております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○議長(佐野康輔君) 山村企画部長。
            (企画部長 山村善敬君登壇)
    ○企画部長(山村善敬君) 天竜浜名湖鉄道の検証及び活性化についてお答えいたします。
     外部コンサルタントの導入と中長期ビジョンの策定についてであります。
     天竜浜名湖鉄道は昨年開業から二十周年を迎え、年間百七十万人を超える方々に御利用いただくなど地域の重要な交通インフラとして大きな役割を果たしております。しかしながら少子化や自動車交通の進展などにより利用者の減少が続く中にあって、抜本的な経営の改革とともに新たな鉄道の利便性向上への取り組みが喫緊の課題であると受けとめております。
     現在、天竜浜名湖鉄道株式会社としては、誘客対策などについてコンサルタントの助言を求めるなど平成二十一年度以降の経営計画の策定作業を進めているところでありますが、さらに運行ダイヤや人員配置などについても、専門家の意見を取り入れ実効性の高い計画とすることが重要であると認識しております。また長年にわたり親しまれた地域の足を将来的にも存続していくためには、沿線地域のイメージや知名度の向上も重要となりますことから、県といたしましても、来年度沿線の市や町と連携して、国が新しく制度化した公共交通活性化への支援策の活用なども含めまして、天竜浜名湖鉄道の再生と周辺地域の活性化に取り組んでまいります。
     次に、バスフリー乗降の推進についてであります。
     バス交通は地域の住民にとって通学や通院などの日常生活に欠かせない移動手段として重要な役割を果たしておりますが、路線によっては利用者の減少に伴い、運行の維持が大きな課題となっております。このため県におきましても、利用者の需要に対応した利便性の高いバス交通の実現を目指す必要があることから、市や町、事業者とともに地域に適した生活交通の導入促進研究会を設置し、現在検討を進めているところであります。バスのフリー乗降につきましても、自宅に近い場所での乗降が可能で移動が困難な高齢者にとって有効な運行形態であることから、高齢化が進んでいる中山間地域を中心に、市や町、事業者に対して導入の働きかけを行ってまいりたいと考えております。
     県といたしましては、今後とも市や町、事業者、NPO法人などとも協力して、フリー乗降はもとより利用者の希望に応じて運行するデマンド交通や乗り合いタクシーなどの導入を促進し、利便性の高い生活交通の確保に取り組んでまいります。
    ○議長(佐野康輔君) 稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長(稲津成孝君) 県立森林公園の活性化についてのうち、初めに多様な利活用の促進についてお答えいたします。
     県立森林公園は県民の保健休養の場として、自然に親しみながら森林の効用と自然保護に対する理解を深めるための自然ふれあい施設であります。現在新たな利活用策として、グラウンドゴルフにつきましては期間と場所を限定し公園の一部を開放しており、また地元医療機関が森林を利用してリハビリやカウンセリングを行う森林療法に活用するとともに、指定管理者である森林公園運営協議会が森林療法に係る指導者養成のための講座を開催しているところであります。
     今後、森林公園の多様な利活用の促進のため、県や浜松市、地域企業、自治会などで構成される静岡県立森林公園地域連絡会での意見交換を活発に行い、御提案のグラウンドゴルフの利用拡大や野外ステージの活用、地元の医療機関との連携強化などに積極的に取り組んでまいります。
     次に、浜松市及び周辺施設との連携強化についてであります。
     森林公園周辺にはさまざまなすぐれた観光施設があり、新たな交通施設の整備も進められております。このような状況の中、森林公園地域連絡会の関係者が連携し、公園内や周辺施設を周遊する「ウチらのざいしょウォーク」や地元秋祭りと共催した「森の感謝祭」などの行事を行っているところであります。今後とも多くの県民に利用され愛される公園を目指して、地域連絡会を中心に浜松市及び周辺施設との連携強化を図ってまいります。
     次に、静岡県独自の多文化共生についてのうち、まず多文化共生モデルづくりについてであります。
     県では、これまで実施してきた外国語による県政情報の提供やさまざまな相談に対応する支援アドバイザーの設置に加え、本年度から外国人住民との共生に取り組む自治会の優良事例を普及する研修会の開催や、外国人学校の子供たちに日本語を指導するボランティアの派遣について、全国に先駆けて取り組んでおります。
     一方、外国人が集住する市や町では生活ルールなどの情報提供や相談窓口の設置とともに、団地内で外国人の通訳者を発掘し活用する取り組みや就学前の子供たちへの日本語指導などを行っております。また企業側の労働関連法規の遵守徹底を図るため、商工会議所において外国人雇用に関するガイドラインを策定したところもあらわれております。
     現在、これらの取り組みはそれぞれ地域の実情に応じた形で行われておりますので、県といたしましては、今後市や町、関係機関と連携しながら情報を収集し、他の地域にも活用できると思われる事例についてはそれらをモデルとして普及に努めてまいります。
     次に、多文化共生プランの策定についてであります。
     県では、静岡県多文化共生推進会議の提言を踏まえ市や町、関係機関と連携して、多文化共生に関するシンポジウムの開催や外国人労働実態調査、外国人学校への日本語指導ボランティアの派遣などに取り組んでおります。多文化共生社会の実現に向けて解決すべき課題は日常生活や教育、雇用など多岐にわたりますことから、有効と思われる対応策を実施した上でこれを評価し改善しながら推進していく必要があると考えております。
     総合的な多文化共生プランの策定につきましては、本年度行っている外国人労働実態調査の結果や推進会議の意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。
    ○議長(佐野康輔君) 藤原総務部長。
            (総務部長 藤原通孝君登壇)
    ○総務部長(藤原通孝君) 東海地震減災対策としての耐震シェルター補助制度についてお答えいたします。
     昨年度策定したアクションプログラム二〇〇六の減災目標を達成し、東海地震から県民の生命、財産を守るためには、耐震補強や建てかえにより住宅の耐震化を図ることが最も重要かつ有効な手段であると考えております。
     このため県では、市や町と連携してプロジェクト「TOUKAI―0」により、昭和五十六年以前の木造住宅を対象とした耐震補強への助成を行い、住宅の耐震化の促進を図ってきたところであります。また住宅の耐震化を補完するものとして防災ベッドを開発し、県の大規模地震対策等総合支援事業によりまして購入費に対して助成を行っており、議員から御指摘をいただきました耐震シェルターにつきましても同様に助成対象とするよう現在検討を進めております。
    他方、防災ベッドなどを用いた対策は県民の命を守るという上では非常に有効でありましても、住宅が倒壊してしまいますと、被災後の生活を立て直す上で多くの労苦を強いられるということもまた事実であります。こうしたことから、県では今後とも市や町にプロジェクト「TOUKAI―0」に対する助成制度のさらなる充実を求めるとともに、さまざまな機会を通じまして、県民に耐震性のある住宅に居住することの重要性を引き続き粘り強く訴えてまいりたいと考えております。
    ○議長(佐野康輔君) 藁科厚生部長。
            (厚生部長 藁科一仁君登壇)
    ○厚生部長(藁科一仁君) 静岡県の子育てと教育についてのうち、親のあり方と子育て支援についてお答えいたします。  
     子育ての本質と子育て支援についてでありますが、御指摘のとおり子育ては一義的な責任を持っている父母等の保護者が愛情を持って担い、またみずからも成長していくものであり、家族や社会がそれを支援するものと考えております。近年は都市化、核家族化の進行に伴い、地域の人間関係の希薄化や家庭における子育て機能の低下により、保護者の子育てに対する不安や負担が増大していることから、それらを軽減するという意味で子育て支援施策を一層充実していく必要があります。
     県といたしましては、このような基本的認識のもと、今後とも子育て支援体制を整備する市や町と連携して、子供が心身ともに健やかに育つサービスを提供するとともに、保護者が主体的に子育てができ、みずからも成長の喜びを感ずることができるよう、子育て支援拠点における相談事業の充実や相互に協力し合い成長できる子育てサークルの育成などに努めてまいります。
    ○議長(佐野康輔君) 遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長(遠藤亮平君) 静岡県の子育てと教育についてのうち、初めに親のあり方と子育て支援についてお答えいたします。
     親学の必要性についてでありますが、子供の教育について第一義的責任を有する父母などの保護者に対して、家庭における教育力を身につけさせることは大変重要なことであると考えております。現在は一昔前のように子守などをすることがなくなっております。そのような中、将来親となる中学生、高校生は、学校教育活動の一環としての保育体験実習などを通して乳幼児と直接触れ合うことにより、命のとうとさや子供のかわいらしさ、そして親への感謝の気持ちなどを感じ取る中で、子育ての意義や親の果たす役割について学んでおります。
     また、親に対して県教育委員会では、お父さんの子育て手帳、子育て支援テレビなどによる啓発活動や、子育てサポーターリーダー養成による身近な相談体制の整備などを通して、親としてのあり方を学ぶ機会の拡大を図ってまいりました。しかしながら、行政やPTAが実施する子育てに関する研修などの場に出てこない親を、どのように啓発し参加してもらえるようにするかが課題でありますので、今後はすべての親が親の役割を学ぶ場に参加するような仕組みづくりなど新たな家庭教育支援施策に取り組んでまいります。
     次に、キャリア教育の発展的展開についてであります。
     議員御指摘のとおり、発達段階に応じてキャリア教育を推進していくことは大変重要であると考えております。
     現在、小中学校では、勤労観、職業観をはぐくんでいく学習計画を作成する中、小学校における職場見学の実施率はこの三年間で二〇%から四〇%に、中学校における職場体験実施率は八八%から九五%となるなど、実施する学校数及び日数も増加しております。
     また、全日制の高等学校では、現在半数以上の学校でインターンシップに取り組んでおり、インターンシップをより一層円滑に実施するための連絡協議会等により、受け入れ先や受け入れ業種の積極的な開拓を進めるとともに、実施期間につきましても農業高校のように五日間連続して実施したり、土肥高校のように年間十五日間という長期にわたって実施したりするなど、その取り組みを充実させております。
     今後も児童生徒が生きる力を身につけ、将来社会人、職業人としてたくましく歩んでいけるよう、学校と家庭・保護者、地域が連携したキャリア教育の充実に努めてまいります。
    ○議長(佐野康輔君) 五番 阿部卓也君。
            (五番 阿部卓也君登壇)
    ○五番(阿部卓也君) それでは何点か再質問をさせていただきます。
     まず、知事にお聞きしたいんですが、先ほどの知事のお話聞いていると、私が社会主義経済が崩壊したことを例示に出したように、今の日本、中央集権がますます進んでいるなという危機感を一層強くしました。その中で、具体的に知事会としてまた雄県静岡県の知事として、権限の仕分けを――この権限は地方によこしなさいということをもっと強くおっしゃっていかれたらどうかと思っております。余り、知事がおっしゃるように国会議員は私も信用しておりません。なので地方が頑張らなきゃいけないと思っておりますので、ぜひお答えをお聞きしたいと思います。
     それから、天浜線の外部コンサルタントについてですが、認識しているということはよくわかりました。認識しているのはよいんですが、具体的な工程それからまた作業についてオープンにされていくこと、これをどう考えておられるかお聞きしたいと思います。
     それからバスフリー乗降。デマンドバスが出ましたが、これはかなり経費の問題がかかることだと思いますので、ついでにお聞きをいたします。
     それから、多文化共生についてですが、県警がこのたび日系外国人共生対策推進要綱というものを出されましたが、これとの形はどうなのか。それから多文化共生室の今後の展開というのは調整をすることが目的なのか、実践をすることが目的なのかお聞きをしたいと思います。
     最後に教育長にインターンシップのあり方ですが、もう少し中高校生がただの人工にならないように工夫が必要と思いますが、いかがでしょうか。
     以上で質問を終わります。
    ○議長(佐野康輔君) 石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事(石川嘉延君) 阿部議員にお答えいたします。
     分権の問題に関連して、国と地方の権限の仕分けをしたらどうかと、こういう話でありますが、政令県構想を打ち出すに当たって、当然そのことは重要なポイントでありますので、既にそれを踏まえて提言しているわけであります。
     端的に申し上げますと、少なくとも現在国の出先機関でやっていることについては、県単位の出先機関それからブロック単位の出先機関ありますね、これらについてほとんどを政令県に移譲すると、そういう前提に立っています。ただしその中で、例えば電波管理でありますとか金融とか、地方団体として区域を区切ってそこだけで自己完結しないようなものがあります。そういうものは現状どおり国がやるにしても、ほとんどのその他の地域行政に係るものは政令県に渡すべきであると、こういうようなことを具体的に提示をしてまいっております。
     当然、道州制の議論のときにも、その議論は政令県でなくても道州にもほとんどそれが適用されるような議論であるというふうに思っておりますので、こういう具体的なものも踏まえながら一層理解が広まるように努力をしていきたいと思っております。
     国会議員を信用していないというのは、全部を信用していないということではなくて、分権の議論、道州制の議論に限ってですね、本気でないということを感じているということを申し上げましたので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
     その他の御質問については、関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(佐野康輔君) 山村企画部長。
            (企画部長 山村善敬君登壇)
    ○企画部長(山村善敬君) 天浜線に関しての再質問でございますけれども、まず議員に一つお礼を申し上げます。常日ごろ天浜線の御利用をいただきましてありがとうございます。また大変意識の高いお客様であられますので、今後ともさまざまな御意見、御提案をよろしくお願いをしたいと思います。
     さて、御質問の件でありますけれども、鉄道事業というのは、我々考えますに大変安全性の確保が重要視されております。今までどういうために経費をかけてきたかといいますと、この安全性を確保するために沿線の市町それから県と一緒になって支援をし現在まで守ってきた、こんな感じを持っています。その今の計画が平成二十年度まででありますので、平成二十一年以降どうするかということを関係者と今議論をしてる最中でございます。
     その中に、先ほど御質問にありましたような、いかにお客さんをふやしていくのか、そのために外部コンサルタントの導入であるとか、さらに中長期ビジョンの策定、こういうものを中に取り入れながら議論していきたいと考えております。具体的作業をオープンにというお話でございました。機会あるごとにやはり沿線市町とも十分な議論が必要でありますので、その辺の検討過程を出していきたいとこんなふうに考えております。
     それから二番目の質問のデマンド交通でございますけれども、済みません、手元にどの程度費用がかかるのかというのはちょっと資料として持っておりませんので。ただ非常に利用者のアクセス向上という面では大変すぐれておりますけれども、デマンドによると迂回が生じてしまう、そのことをどうするかということが一つの大きな課題になっております。定時性ということから、そこをどうやって回避していったらいいのかという問題がありますので、お金の面と今言った運行面において今後検討を深めてまいりたいとこんなふうに考えております。
    ○議長(佐野康輔君) 稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長(稲津成孝君) 多文化共生についての再質問にお答えします。
     まず初めに、県警が先ごろまとめられました日系定住外国人共生対策推進要綱との関係でございますけれども、この中でも安全・安心に向けた環境の整備とともに共生問題の支援ということで、自治体とかさまざまな関係機関と県警本部が連携を図りながら取り組んでいくということが決められておりまして、私ども知事部局と県警本部のこういった取り組みとは今後とも密接な連携をとりながら進めていく、こんなふうなことで考えております。
     次に、多文化共生室の機能というか役割につきまして、全体の調整なのか、あるいは実践なのかという御質問でございますけれども、実はもう議員に御案内いただきましたように多文化共生社会づくりの取り組みにつきましては、これは第一点としまして、市や町で今取り組んでいただいているわけですけれども、日常生活から始まりまして、県の施策とのかかわりで申しますと、例えば財務事務所におきます自動車税その他の県税の関係であるとか、あるいは県営住宅であるとか、あるいは厚生部の医療費関係、あるいは産業部の関係、県庁内でもさまざまな行政がかかわってございますし、ただいま申し上げました県警の本部、あるいは教育との関係で申し上げますと県教育委員会、そして市や町だけではなくて、NPOその他のさまざまなボランティアの皆さんがこの問題に取り組んでいただいております。
     したがいまして県民部の多文化共生室の役割といたしましては、まず現在こういう形でさまざまな機関で取り組まれております、そういったさまざまな主体の役割、どんなことで取り組んでいただくのかという、こういう役割を明確にしつつそれぞれの役割分担をしている各主体が現在どんな取り組みをどんな方法でやっているのかと、こういうことをお互いに情報共有をしていくという、そのための情報を収集し、それらをそれぞれのところの皆さんにお知らせをするという、こういう調整というか、この機能が非常に重要であると考えております。
     それと同時に、これは各市町の取り組み、それから国に対して必要な要望をしていくとか、こういったことを県として窓口として取り組むとともに、さまざまな各機関で取り組まれていないようなこと、あるいは他県での先進的取り組みがあればこういったものを社会実験的に取り組むとか、こういった実践をしていくという、同時にそういう役割も担っているかと思っております。
     引き続きこういった調整とそれから実践の両方を取り組むセクションとして取り組んでいきたいと、こんなふうに考えております。以上でございます。
    ○議長(佐野康輔君) 遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長(遠藤亮平君) インターンシップについて単なる人工にならないようにというお話でありましたけれども、インターンシップはアルバイトとは当然違うわけであります。これによって生徒たちが賃金を得ることはありません。このインターンシップの大事なことは何かというと、やっぱり仕事の価値や働くことの意味を学ぶことであろうかなと思います。先ほど子育ての中でちょっとお答えしましたが、家庭の中でも子守等をすることがなくなった。すなわち家庭の中でも親のためだとか兄弟のためというふうな形で、人のためになるんだというふうな場面が子供たちになくなってきているわけですね。
     そんな中で、このインターンシップということで、社会に出てどのようにして役に立つようなことができるのかということを学ぶことは大変価値があることだと思いますし、また一方でインターンシップをやることによって、企業の方たちもやはり子供を育てていくんだと、将来的には当然自分たちの戦力になるということもあろうかと思いますけれども、学校だけで子供たちを育てるのではなくて社会全体で育てていくんだというふうな意味においての意識啓発といいますか、そういう意識を持っていただく機会になるなというふうに考えておりますので、これからもそんな観点からインターンシップというのを積極的に推進していきたいなというふうに思います。
    ○議長(佐野康輔君) これで阿部卓也君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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