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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成26年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

06/25/2014

会派名:

ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                      
   人口の社会減少の抑止とふじのくにの将来像            
2 大規模地震への万全の備えについて                 
 (1) 地震・津波対策の現状認識と今後の取り組み            
 (2) 浜岡原発における避難計画の実効性                
3 内陸のフロンティアを拓く取り組みについて             
 (1) 新東名高速道路を生かした地域づくり               
 (2) 中山間地域の振興                        
4 富士山を生かした地域の魅力づくりについて            
 (1) 世界遺産委員会からの勧告及び要請への取り組み         
 (2) 魅力ある観光地づくりの推進                  
5 健康寿命日本一の延伸について                  
 (1) 健康寿命のさらなる延伸                    
 (2) 認知症介護家族への支援                    
6 新成長産業の育成と雇用創造について               
 (1) 雇用創造アクションプランの現状分析と今後の方向性       
 (2) 今後の本県製造業の方向性                   
 (3) 本県産農林水産物や加工品の輸出                
7 エネルギーの地産地消について                  
 (1) 再生可能エネルギーの導入推進                 
 (2) 再生可能エネルギーの研究開発支援               
8 多彩な人材を生む学びの場づくりについて             
9 リニア中央新幹線の環境影響評価について             
10 コンプライアンスの取り組みについて               
11 女性の視点を反映した警察運営の推進について


○副議長(伊藤育子君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十六番 小長井由雄君。
       (三十六番 小長井由雄君登壇 拍手)
○三十六番(小長井由雄君) 私はふじのくに県議団を代表し、総合計画後期アクションプランに掲げる八つの重点取り組みに沿ってそれぞれに関連する当面の諸課題について、知事並びに副知事、関係部局長、教育長、警察本部長に一括質問方式にて伺います。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、人口の社会減少の抑止とふじのくにの将来像について伺います。
 全国自治体の半数が将来的に消滅の危機との衝撃的な見出しが新聞の紙面を飾りました。去る五月八日に増田寛也元総務相を初めとする有識者でつくる日本創成会議が試算、公表した人口推計では、地方から大都市への人口流出が現在のペースで続けば三十年後には実に全国千八百自治体の約半数に相当する八百九十六の市町村が消滅の危機にあると指摘しています。消滅危機は都市部も例外ではなく、青森市や秋田市などの県庁所在地や観光のまちとして知られる北海道函館市、池袋のある東京都豊島区も含まれており大きな衝撃を覚えたところであります。
 我が静岡県においても伊豆半島などの中山間地域を中心に十一市町が挙げられており、私の地元静岡市においても山間部を中心に高齢化の進行や若い女性の減少が進んでいる現状を鑑み、将来に向けて大変な危機感を感じております。また本年一月の人口移動報告では、本県の社会移動による転出超過数は全国ワースト二位という不名誉な結果となったことも記憶に新しいところであります。仮に今の若い世代を中心とした人口流出が続けば、合計特殊出生率の二・〇を実現したとしても出生数が減少することにより人口の自然減に拍車がかかるという事態に陥ることは明白であり、本県の人口対策を考える上で特に人口流出に歯どめをかけることは喫緊の課題であると考えます。
 そこで、本県が直面する喫緊の課題である人口流出にどのように歯どめをかけ、対策の推進を図っていくのか、知事の所見を伺います。あわせて人口減少が進むと思われる二十年、三十年後の静岡県の姿をどのように思い描いているのか、知事の考えを伺います。
 次に、大規模地震への万全の備えのうち、まず地震・津波対策の現状認識と今後の取り組みについて伺います。
 県では昨年度、南海トラフ巨大地震等を対象とした第四次地震被害想定を策定するとともに、その対策を取りまとめた地震・津波対策アクションプログラム二〇一三により取り組みを進めております。アクションプログラムの考え方としては、建築物等の耐震化や津波からの早期避難など県民一人一人が取り組む自助が重要であり、自助で解決できない課題に対して自主防災組織を中心に地域住民や事業所、学校などで解決する共助を進めるとしています。そして県は、市町と連携協力し自助、共助の取り組みを最大限支援するとともに、自助、共助では解決できない課題に公助として積極的に取り組むとしています。このため地震・津波対策を進める上では、県民が、みずからの命はみずから守るという防災の原点に立ち返ることを自覚し積極的に取り組んでいただくことが必要であります。また市町は、県とともにアクションプログラムを推進する上でのパートナーとして不可欠な存在であります。本年度上半期には県内三十五の全ての市町でアクションプログラムの策定が見込まれておりますことから、今後市町において積極的な取り組みが進められることにより、県の取り組みと相まって県下全域において地震・津波対策がより強力に推進されることが期待できるものであります。
 一方で、本県では昭和五十一年から東海地震対策を進めてきた実績があり、防災先進県と呼ばれるようにこれまで積み上げてきた取り組みにより進んだ対策が多々あると思いますが、一方でまだ克服しなければならない課題もあると思われます。
 そこで、これまでの取り組みを踏まえ本県における地震・津波対策の現状認識と今後の取り組みについて難波副知事に伺います。
 次に、浜岡原発における避難計画の実効性について伺います。
 県民の命と安全を守ることを県政の第一の使命としている川勝県政にとって、浜岡原発の安全管理は基本的な施策の一つとなっております。かつて全国の立地県の知事は、原発の管理と安全は国の一元的な指揮下にあるとして自治体には何の権限もないとしてきましたが、福島第一原発の事故により原発の安全管理に知事や各首長が大きな発言力を持つようになりました。
 さて最近、国と県によって浜岡原発と県民の安全にとって重要な文書が二つ発表されました。一つは四月一日に公開された浜岡原発放射性物質拡散予測図です。浜岡原発四号機が福島同様の過酷事故を起こし放射性物質が施設外に放出されたときの拡散傾向を二〇一一年の毎月上旬、中旬、下旬の三十六事例についてSPEEDIで予測したものです。県によりますと海側に拡散するものが十七例、主に海側で一部陸側を含むものが十例、主に陸側が九例とされました。この中の海側とされた十七例中十二例は、風下に東には伊豆半島、西には渥美半島、志摩半島があり、陸地への拡散のおそれがあると考えられます。これらを含めますと、浜岡原発の地理的条件は少しでも陸地にかかる確率が実に八六%にも及ぶことになります。
 二つ目の文書は、四月二十三日に発表された三十一キロ圏内区域の住民避難シミュレーションです。それによると九〇%避難におよそ二十八時間かかると計算されていますが、道路の損傷等は計算外です。しかも昨年から交渉している避難受け入れ先の手当ては厳しい状況とのことです。さらに当面の受け入れ期間は一カ月程度と短期間を予定しての交渉とのことです。
 そこで伺います。巨大地震が起きたときに現在の想定時間で支障なく避難することができるように避難方法を早急に検討する必要があると思いますが、どのように進めていくのか伺います。また県境を越える避難の受け入れ先をどのように確保していくのか伺います。
 次に、内陸のフロンティアを拓く取り組みについてのうち、まず新東名高速道路を生かした地域づくりについて伺います。
 平成二十四年四月の新東名高速道路の御殿場ジャンクションから三ヶ日ジャンクション間の開通から二年が経過しました。国土交通省や県などで構成する新東名インパクト調整会議は開通二年を迎えた新東名高速道路の波及効果を発表し、内陸部への交通アクセスの向上等により工場立地数は二倍になるなどの波及効果があったと指摘しています。この開通により物流において重視される定時性の高まりとダブルネットワークによる有事における代替手段が確保されたことは、本県にとって大きな武器となっております。実際に交通ネットワークの充実を背景として、県では内陸のフロンティアを拓く取り組みを推進し、新東名高速道路インターチェンジ周辺等では工業団地が造成され工場や物流拠点等の企業進出に向けた受け皿づくりが進められております。また県内の企業進出の状況は、新東名高速道路に近い富士市の富士山フロント工業団地において全十七区画が完成から五年で完売するなど活発な動きが出てきております。しかしながら首都圏では、広域の道路網の整備が進むにつれて物流や観光など人と物の流れがさま変わりしております。特に整備が進む圏央道周辺では、大消費地に近いことや土地代が安いこと等から物流関連企業の立地が数多く見られます。今月には相模原愛川インターチェンジから高尾山インターチェンジ間が開通し、東名高速道路から関越自動車道までが連結します。また新東名高速道路では東側は御殿場ジャンクションから海老名南ジャンクションまで、西側は浜松いなさジャンクションから豊田東ジャンクションまでの開通や中部横断自動車道の開通も視野に入ってきており、これを本県経済の発展に結びつけていかなければなりません。一方、道路網の整備が進む中、本県が通過県となってしまうのではないか、また先行開通の恩恵を受けてきた本県の先行者としてのメリットも失われていくのではないかと危惧しているところであります。
 新東名高速道路の恩恵を最大限に生かし地域づくりに取り組むべきと考えますが、県の考えを副知事に伺います。
 次に、中山間地域の振興について伺います。
 本県の中山間地域は、香り豊かな山のお茶など多彩な農林産物の産地であるとともに、人の暮らしと生き物が育む豊かな自然が調和した静岡ならではの美しい里山や、水の都をつくる水源地であります。また神楽や田楽などの伝統文化が継承され地域の宝が数多く存在する、都市にはない魅力を備えた地域であります。しかし本県の中山間地域の経済を支える茶の価格は以前に比べ大幅に下落しており、農家の皆さんの中には茶葉を刈り取らずお茶の時期が過ぎたころに剪定だけを行うという残念な話を聞くようになりました。こうした事態が続けば地域農業の存続は厳しくなり、ひいては地域そのものの存在も危ぶまれます。先月公表された国の食料・農業・農村白書では、農林漁業就業者割合が一〇%以上の農業が盛んな地域の市町村では三十年後の人口が現在の約三三%も減るとの推計が示され、長きにわたって培われてきた農業生産活動や共同活動は弱体化し、地域資源の荒廃や定住基盤の崩壊につながることが懸念されていると警告しています。
 国は昨年十二月、農林水産業・地域の活力創造プランを取りまとめ、今後十年間で担い手の農地利用が全農地の八割を占める農業構造の確立や水田のフル活用、日本型直接支払いの創設等四つの改革を進めておりますが、平地を対象とした政策が主となっているという印象が強く、残念ながらこのプランからは中山間地域の活力ある姿を見ることができません。私の住む静岡市北部の集落では、地域の人々が将来に明るい展望を持ち地域の活性化に向け一丸となって努力しており、こうした地域が県内の中山間地域に多数存在していることも承知しておりますが、地域住民の力だけでは限りがあるのも事実であります。
 現在県では内陸フロンティアを拓く取り組みを進めておりますが、この効果を広く中山間地域全体に行き渡らせ、今こそ基幹産業である農業の存続を図りつつ弱体化しつつあるコミュニティーの活力向上が重要と考えます。県の取り組みについて伺います。
 次に、富士山を生かした地域の魅力づくりについてのうち、まず世界遺産委員会からの勧告及び要請への取り組みについて伺います。
 世界遺産登録はゴールではなくスタートと言われるとおり、富士山を末永く後世に継承していくことは私たちの願いであり責務であります。また世界遺産登録を契機に富士山を生かした地域の魅力づくりを推進することが必要であります。今現在も、富士山世界遺産登録を契機として各構成資産においてさまざまな取り組みが進められており、関係の皆様の御努力に敬意を表するとともに改めて感謝申し上げる次第であります。
 去る六月二十二日には世界遺産登録が決定した日から一周年を迎えたことから、ふじのくに千本松フォーラム「プラサ ヴェルデ」におきまして記念式典を開催し、富士山の顕著な普遍的価値の後世への継承や富士山に恥じない人づくり、地域づくりに向けた取り組みを官民挙げて進めていくことが確認されました。また知事からも、物心ともに豊かなふじのくにづくりに向けて富国有徳を理念に掲げ、霊峰の発する価値に思いをいたし、富士山の姿が八の字に似て末広がりであることにあやかった八カ条の行動規範、“富士(ふじ)の国(くに)”づくりに向けてが示されたところであります。しかし登録に当たっては、昨年六月の第三十七回世界遺産委員会において勧告、要請という形で富士山の保全管理に関する大変重い課題を課せられているところであり、現在、静岡・山梨両県、関係市町村等が連携し、平成二十八年二月一日までに提出する保全状況報告書の提出に向けて本年十二月を目途として各種戦略の策定作業を進めているところであると承知しております。
 富士山の保存管理につきましては、世界遺産委員会の決議におきましても指摘されたとおり課題が山積しているものと考えております。
 そこで、保全状況報告書の提出に向けての作業の進捗状況と県はこの決議における勧告、要請を踏まえ、どのように富士山の適切な保存管理に取り組んでいくのか伺います。
 次に、魅力ある観光地づくりの推進について伺います。
 現在、我が会派の提案による観光振興条例案が議会条例案検討委員会で審議中であります。本条例が早期に制定され、本県の観光がますます発展することを祈念しまして質問いたします。
 本県は伊豆半島、浜名湖に代表される豊かで美しい自然、日本有数の温泉、豊富な食材、日本を代表する景観の茶園など多彩で魅力ある観光資源に恵まれております。さらに世界文化遺産に登録された富士山、世界農業遺産に登録された茶草場農法、ユネスコエコパークに登録された南アルプスに加え、来年度以降伊豆半島ジオパーク、韮山反射炉などが世界標準の観光資源として加わる見込みであります。国内外からの観光交流客を拡大できるまたとないチャンスを迎えております。
 一方で、旅行形態や観光客の意識が変化する中、本県の恵まれた観光資源や世界タイトルに頼っただけでは観光客の満足を得ることができない時代でもあります。観光客が満足し、もう一度来訪していただける受け入れ体制や仕組みが必要であります。本県の観光客はリピーターの比率が全国平均より高いというデータがあります。旅なれして目の肥えた観光客は地元でしか味わえないディープな体験を求めるなど多様なニーズを満たす戦略、取り組みが求められております。本年度からスタートしたふじのくに観光躍進基本計画では、これらの考え方を踏まえ体験型、交流型、テーマ性の強い旅行形態である着地型観光等を活用した魅力ある観光地づくりを今後の観光振興の一丁目一番地に据えております。
 そこで、今後どのように魅力ある観光地づくりを展開していくのか県の考えを伺います。
 次に、健康寿命日本一の延伸についてのうち、まず健康寿命のさらなる延伸について伺います。
 健康寿命とは日常生活が制限されることなく健康に生活できる期間であり、誰もがこの期間をできるだけ延ばしたいと願っています。本年五月末に報道された厚生労働科学研究班発表の全国二十都市における健康寿命によりますと、男女総合において浜松市が第一位、静岡市が第二位となっております。平成二十四年度に厚生労働省が公表した都道府県別健康寿命においては本県の男性が第二位、女性が第一位であり県の独自集計による男女総合で第一位となっております。今回の報道とあわせて、健康長寿県としての本県の名をますます高める結果になったと考えております。
 一方、本年度から展開されております第三次ふじのくに健康増進計画においては、特定健診データに基づいた県内市町別の健康状況の分析によりますと、特に県東部地域にメタボリックシンドロームや高血圧の該当者が多いとともに、県全体でもメタボ、高血圧の該当者は男女ともに年齢が高くなるにつれて増加しております。また女性においては二十歳代、三十歳代に痩せが多いなど地域別、世代別の健康課題が指摘されています。現在、四十歳代以上の生活習慣病対策としてふじ三三プログラムを初めとした健康長寿プロジェクトを推進し県民の健康づくりに取り組まれていると存じますが、健康寿命のさらなる延伸を目指すためには、地域の特性に応じた効果的な対策の推進とともにより若い世代を対象とした健康づくりに取り組む必要があると考えます。
 今後県は、どのように健康寿命のさらなる延伸に取り組んでいくのか伺います。
 次に、認知症介護家族への支援について伺います。
 最近の新聞やテレビでは、認知症という言葉を見聞きする機会がふえており、認知症に対する社会的関心が非常に高まっていると感じております。認知症は誰もが発症する可能性がある上、確実な治療法がまだ確立されていませんが早期の対応が効果的であるとも言われます。各市町による認知症予防の取り組みの中には、例えば、みずからの人生を振り返ることで脳の活性化を図る回想法や懐かしい歌謡曲を聞きながら口ずさむ音楽療法など参加者同士の会話も弾み、効果を上げている事例もあるようです。認知症予防の研究が進み、一日も早く効果的な予防法が確立されることを期待しております。
 認知症を発症し症状が進行すると、鬱状態や妄想のような精神症状や徘徊、暴力など日常生活への適応を困難にする行動上の問題が起こり、その結果、周りの人との関係が損なわれることもしばしば見られます。このため認知症の方を介護される家族にとって経済的あるいは肉体的な負担はもとより、とりわけ精神的な負担ははかり知れないものがあります。折しも、他県ではありますが、認知症で徘徊の末に電車にはねられて亡くなった男性高齢者の遺族に対し鉄道会社が列車遅延等の損害賠償を求めた裁判で、男性を介護する妻の監督責任を認め賠償を命じる判決がありました。この裁判は控訴され改めて司法の場で判断されることとなるようですが、今回のケースは認知症の家族介護の負担の重さを改めて考えさせられるものです。
 国は認知症施策推進五カ年計画を昨年四月から開始し、施設中心の介護から在宅ケアの充実に転換を図ろうとしておりますが、介護家族の負担がますますふえてしまうのではないかと懸念する声もあります。介護する家族を社会全体でどのように支えていくのかが重要になると考えますが、県の取り組みについて伺います。
 次に、新成長産業の育成と雇用創造についてのうち、まず雇用創造アクションプランの現状分析と今後の方向性について伺います。
 平成二十年秋のリーマンショックによる世界的な景気後退、さらに平成二十三年三月に発生した東日本大震災による景気の下押し圧力や同年夏以降長期化した歴史的な円高は、輸出型産業の占める本県経済の悪化をもたらしました。経済の悪化は同時に雇用の悪化を招き、失業者数は平成二十一年から平成二十二年には八万人を超える水準で推移するなど大変厳しい雇用情勢となりました。
 県はこうした状況に対処するため平成二十三年度に雇用創造アクションプランを策定し、産業界、労働界、福祉・医療界、教育界、国、市町など雇用に関するあらゆる機関が参画し、平成二十五年度までに三万人の新たな雇用の創造を目指し官民挙げて取り組みを進めてきたところであります。現下の県内の雇用情勢を見ると、景気の回復傾向を背景に企業の採用活動が活発化するなど明るい兆しが見えてきています。静岡労働局によれば、医療・福祉業の新規求人が堅調であり雇用情勢は緩やかに改善しているとのコメントもされているところです。
 一方で、企業が求める人材と働く人の希望や能力がすれ違うミスマッチ型の失業は依然として見られます。また飲食店や小売、建設工事に加え製造業の現場でも人手不足が広がりを見せております。少子高齢化や人口減少が進む中、この先も働き手が大きくふえることは考えにくい状況の中で景気回復も重なり、今後人手不足が慢性化する可能性も指摘されています。知事が提唱するふじのくにの豊かさを実現するためには、仕事をしたい誰もが生き生きと働くことのできる社会にすることが不可欠であり、雇用を取り巻く課題に積極的な対応を図り日本一の働いてよしの理想郷と言われるような県土を築くことを期待するところであります。
 県の雇用創造アクションプランは昨年度末をもって三年間の計画期間を終了しましたが、この成果をどのように評価し今後どのように対応していくのか所見を伺います。
 次に、今後の本県製造業の方向性について伺います。
 雇用情勢は緩やかに改善していると言われる中で、県内の有効求人倍率は平成二十六年一月に実に五年五カ月ぶりに一倍台となりましたが、依然として全国値を下回っております。また円高が是正されたことにより回復が大いに期待されている輸出に関しても、前年同月比では全国を下回る動きにあるなど本県経済の回復に向けた動きは全国と比べて一歩弱い状況にあります。本県は全国有数のものづくり県であり、これまでの本県経済の成長の原動力となってきたのは言うまでもなく、ものづくり産業――製造業でありますが、その製造業の製造品出荷額総額は平成二十一年の全国二位であったものが平成二十四年には四位になるなど変調を来しているとの指摘もされております。リーマンショックやその後の円高基調により生産拠点の海外移転や県内生産の縮小が進んだ結果、本県の製造品出荷額等はリーマンショック前の平成十九年に比べて三兆七千億円余り、一九%以上も減少しており、全国のマイナス一四・三%と比較しても輸送用機械など輸出型産業の占める割合が高い本県の産業構造が対外経済や為替相場の影響を大きく受けている様子が見てとれます。
 全国に比べていま一歩回復に向けた動きの弱い本県経済を本格的に復調させていくためには、本県経済の成長の原動力である製造業の活力を取り戻すことが何より重要であります。そのためには本県経済を牽引する輸送用機械や電気機械、産業機械に加えて高い成長が見込まれる環境や健康福祉、航空宇宙などの新しい成長産業分野を育成し本県製造業の構造を変革していくしかないと考えます。
 活力あるものづくり県としての復権に向け、県として今後の本県製造業の方向性をどのように考え取り組まれていくつもりなのか所見を伺います。
 次に、本県産農林水産物や加工品の輸出について伺います。
 人口減少社会が現実のものとなる中で、県産の農林水産物や加工食品の消費拡大を図るためには地産地消の推進や首都圏を初めとする県外への販路拡大とあわせて海外への販路拡大を進めることが重要であります。本県の高品質な農林水産物は、国内はもとより海外での競争力を十分に持ち合わせており、その魅力を効果的に発信することで販路拡大につなげることができると考えます。しかし日本の農林水産物輸出の先進事例とされるリンゴや梨、ナガイモのような相当量を海外に売り込むという仕組みが、多品種、高品質の本県産品の輸出を考えたときには必ずしも当てはまらないなど課題は少なくありません。また本県において生産量の多いお茶やミカンなどは既に輸出されて百年余が経過していますが、その中でも特にお茶の輸出については民間事業者の方々が長年の歳月をかけて築いてきた市場が海外にもありますことから、県は販路開拓の支援に当たっては県内事業者が築き上げた既存の市場に配慮しながら取り組みを進めるなどの対応が必要であります。そういう意味でも、また近年生産者みずからが海外輸出に乗り出すような事例もふえてきている中での県の役割は、輸出意欲のある生産者を品目や市場の環境を考慮しながら応援する、販路開拓のきっかけづくりが重要であります。海外で販売することは、地元だけでなく域外でもその品質が認められたという評価を得る機会となりブランド価値の向上につながるものでありますことから、このきっかけづくりを積極的に推進すべきであると考えます。
 そこで、本県産の農林水産物や加工食品の輸出について所見を伺います。
 次に、エネルギーの地産地消についてのうち、まず再生可能エネルギーの導入推進について伺います。
 県は、エネルギーが国民生活や企業活動にとって欠くことのできない重要な基盤であることから、総合計画後期アクションプランにおいてエネルギーの地産地消を重点取り組みの一つとして掲げ、再生可能エネルギーの導入を促進し安全・安心で持続可能なエネルギー体系の構築を目指すこととしております。現在、太陽光発電の導入は本県の日本一の日照環境という気象条件の中、順調に拡大していると聞いておりますが、多分に固定価格買い取り制度によるところが大きいと考えられます。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度はこの七月一日で二年を迎えることとなりますが、これまでネックとなってきた採算性が改善され売電による利益が期待できるということで、制度開始前と比較すると、ことし三月末の時点で全国の再生可能エネルギー発電設備の導入は約四割増加しております。太陽光発電については大手企業が発電パネルの開発、改良を進めており、既に県内でもメガソーラー施設を初めとする発電施設が建設あるいは計画され、一般家庭用の発電装置も含めて県内における太陽光発電の導入は順調に拡大しております。しかし昨年度に続き今年度も太陽光発電に係る調達価格が見直され今後の見通しも不透明であり、このところの導入ペースが今後も同じように続いていくことは想定しにくい状況にあります。
 こうした中、太陽光発電の導入拡大を今後も図っていくとともに、風力発電や安定した出力が期待できる中小水力など太陽光発電以外の多様なエネルギー資源についても活用していく必要があると思いますが、県としてどのような施策を講じ取り組んでいくのか伺います。
 次に、再生可能エネルギーの研究開発支援について伺います。
 先ほども申し上げましたが、太陽光発電の導入は順調に拡大している一方、小水力発電や小型の風力発電など太陽光以外の再生可能エネルギーについてはまだまだ普及が進んでいないのが現状であります。これは売電を考える個人や事業者にとって太陽光よりも魅力的な発電装置がまだないということでもありますが、ここに県内中小企業が輸送用機械などで培った高度な技術を生かして参入する余地があるものと考えられます。小水力発電については、県中部地域の機械メーカー六社で設立した協同組合が、一般的な水車式ではなく特許を取得した独自開発のプロペラを水中に沈め回転させることでエネルギーのロスを少なくし、発電効率を高めた小水力発電装置を開発しています。また風力発電については磐田市の企業が、羽根の一部の可動翼を作動させて風の力を逃がすシステムにより強風の際にもコンスタントに発電が可能な小型の風力発電装置を開発しています。
 このように、県内でも多くの地域の中小企業が再生可能エネルギー分野への参入を新しいビジネスチャンスと捉え、小水力発電や小型風力発電について従来の製品とは異なる独自の技術により発電効率の高い装置開発に挑戦しており、新たな成長分野として大きな期待を寄せているところであります。
 このような中で、より多くの地域の中小企業が技術開発の成果を埋没させることなく新たな技術開発に積極的に取り組み、競争力のある製品を生み出していくためには、県として研究開発や実証試験の場の提供などについてより一層の支援をしていくことが必要であると考えますが、県の取り組み状況と今後の方針について伺います。
 次に、多彩な人材を生む学びの場づくりについて伺います。
 学校と保護者や地域の方々が連携し、知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで子供たちの成長を支え、地域とともにある学校づくりを進める仕組みであるコミュニティスクールについては、昨年六月に閣議決定された国の教育振興基本計画では平成二十九年度までに全国公立小中学校の一割に拡大することが目標として掲げられております。本県でも昨年度から磐田市や富士市で導入が始まりましたが、本県におけるコミュニティスクールの導入は他の市町に広がるまでには至っていないようです。学力向上やいじめ、不登校等の問題行動への対応としてコミュニティスクール導入の効果が全国から報告されておりますが、本県におきましてもコミュニティスクールの導入をさらに積極的に推進することによって、学校だけでは解決することが難しい課題に社会総がかりで対応していくことが重要であります。先日、静岡県地域とともにある学校づくり検討委員会が開催され、静岡県が掲げる有徳の人をつくる理想の教育を実現するため地域ぐるみ、社会総がかりで子供たちの教育にかかわっていくことについて、教育関係者だけでなく芸術、スポーツ等多方面で活躍されている方々によって協議されたと伺っております。
 今後この検討委員会をどのように生かし、各市町におけるコミュニティスクール導入推進につなげていくのか、また本県の掲げる社会総がかりによる理想の教育をどう実現していくのか、教育長の所見を伺います。
 次に、リニア中央新幹線の環境影響評価について伺います。
 JR東海は三月二十五日の知事意見を受け、四月二十三日に国土交通大臣に対しリニア中央新幹線事業に係る環境影響評価書を提出しました。知事意見は、環境保全の見地から地元住民を初めとする県民、公聴会、静岡市長、県議会のくらし環境委員会などの意見や、私も含めた静岡市選出の県議会議員により超党派で開催した勉強会で共通認識を深めた上で提出した要望書も踏まえていただき、述べられたものです。ところがJR東海の評価書は、大井川流域へ水道水を供給している大井川広域水道企業団の水利権量とほぼ同じ量に当たる毎秒二トンの流量の減少もあり得るとしていることについて確実な復水方策の提示がないことや、東京ドーム約三個分に匹敵する発生土を処分する発生土置き場のうち、標高二千メートルに位置し山体崩壊が懸念されている扇沢源頭部への発生土処理の回避を含めた検討を求めたことに対しても、JR東海は大規模崩壊を懸念すべき状況にないとの見解を示したのみであります。これだけを見ても、JR東海は知事意見に対し真摯に対応したのか疑問を感じているところであり、地元からも不安の声が聞かれるなど将来に禍根を残すのではないかと心配するところであります。
 そこで、今後JR東海に対し環境保全のための県や地元の意見を伝えていく必要があると考えますが、県はどのように対応していくのか伺います。
 次に、コンプライアンスの取り組みについて伺います。
 本年五月九日、県発注の土木事業に絡み業者から飲食などの接待を受けたとして県職員が収賄の容疑で逮捕されました。県は不祥事が起きるたびに再発防止策に取り組んできましたが、依然として後を絶たない状況にあります。こうした不祥事の責任は、一義的には不正を働いた職員個人の行いに帰するものであることは当然でありますが、一方でそのような職員個人の不正を許してしまう組織内の構造的な欠陥が要因の一つでもあったのではないかと考えます。新聞報道では、当該職員は工事の積算、設計から発注、管理、監督までを一貫して担当していたとされており、組織としてのチェック機能、管理体制のほころびが生じていたのではないかと危惧しているところであります。総務省では地方公共団体の不祥事の続発を受け、内部統制による地方公共団体の組織マネジメント改革なる報告書をまとめ、リスクと向き合い、リスクが発生する前に必要な対策を講じることや日々の業務に関するチェック、いわゆる日常的なモニタリングの強化の重要性を指摘しています。不祥事が起きた後の対応ではなくリスクを事前に洗い出しリスクコントロールを行うとともに日常的にモニタリング機能が働くような取り組みを行うなど、物理的に不正行為の入り込む余地をなくすため組織内のチェック機能を向上させていくことが重要と考えますが所見を伺います。
 次に、女性の視点を反映した警察運営の推進について伺います。
 全国の女性警察官は、ことし四月一日時点一万九千八百五十六人で全警察官の七・七%になっているということであります。本県では昭和二十二年、婦人警察官として三十人が採用されたのが始まりで、現在では静岡県警察官の定数約六千人のうち約八%を占める約五百人の方が女性警察官として活躍していると承知しております。現在は、女性警察官が初めて採用された時代とは人口や家族構成も大きく変わったことに加え、ストーカーやDV、家庭内における暴力などが社会問題化し、警察による人身の安全確保と不安の解消は大きな任務の一つとなってきております。今まさに、女性や子供など警察が寄り添うべき人たちへの的確な対応という観点からも、女性警察官の視点を一層反映させた警察の運営が必要であろうと考えられます。女性の活躍は警察のみならずさまざまな職場において大いに期待されているところでありますが、妊娠、出産、育児などとの両立が課題です。警察官という職業は相当期間をかけて一人前に育てていくわけですから、早期の退職は大きな損失と言えます。
 県警が女性職員の働きやすい職場づくりのため女性チャレンジ支援推進係を新設したことは、女性の視点を反映した警察運営の推進のための一策と推察しますが、この女性チャレンジ支援推進係を設置された経緯と目的、今後の取り組みについて警察本部長の所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小長井議員にお答えいたします。
 人口の社会減少の抑止と、ふじのくにの将来像にかかわる私の政治姿勢についてであります。
 人口減少社会は本県のみならず日本全体で本格化しております。本県におきましては社会移動による転出超過が拡大している状況に極めて強い危機感を抱いております。増田寛也元総務相を座長とする日本創成会議の提言は、現在の地方から大都市圏への人口流出がとまらないという前提で書かれた報告書であります。したがいまして方策としては、現在の東京一極集中に歯どめをかけて本県へ人の流れを呼び込む政策を強力に推進する必要があるということであります。この件に関しましては、やや本県にとっては環境が不利に働いたと思っております。何と言いましても二年前の春に中間報告、夏に最終報告が出された南海トラフの巨大地震におきまして、マグニチュード九の大地震が起こると十万人以上の犠牲者が何にもしない場合には出るということでございました。これは東日本大震災の優に五倍を上回るような犠牲者ですから、これに不安を覚えないほうがおかしいということです。
 一方、政府は昨年首都直下型の地震の想定を出されました。これは向こう三十年間のうちに七〇%で起こる直下型地震でありますが、マグニチュードは七なのです。関東大震災はマグニチュード八です。あっという間に十万人の方々が犠牲になられたという悲劇でした。それよりワングレード低いものを想定したんですね。マグニチュード九は起こらないんでしょうか、首都直下におきまして。北米プレート、フィリピン海プレート、そして太平洋プレート、こうしたものがひしめいているのが関東地方です。それを言わない。本県に対しては百年、百五十年に一回の東海地震についてはやってきた。しかし南海トラフは想定し得る最大限のものを言われたんです。ダブルスタンダードではありませんか。もし首都直下においてマグニチュード八ないしマグニチュード九というものが起こるとどういうふうになるか。当然首都圏脱出というエクソダスが起こります。それを避けるために一番少ない、しかし起こり得るであろう安政地震をベースにした想定を出されたわけです。関東大震災は、その記憶を失わないために九月一日前後に総合防災訓練を全国でやっています。それをすら前提にしていないということですね。ですから結果的には転入人口の地域別で見れば東京がトップ、神奈川が二位、埼玉が三位です。そして都市別で見れば本県などは沼津市、焼津市などが極めて多く、沼津市の場合には全国でも十位以内に入っているということですね。一方都市別で見れば東京の二十三区、横浜、川崎、さいたま市などはみんな十位以内に入っています。ですから、こういう人為的な形で不安をあおらないようにするという政策を首都圏に対してはとり、本県以下、南海トラフの巨大地震。その隣には実際は相模湾の相模トラフもあるわけですから。しかし南海トラフというのは伊豆半島よりも南のほうであります。南西に広がっているところであります。そこについてのみ考え得る最高の被害想定を出したということですね。したがって私たちのやることは、ともかくこれについて出された以上、最大限の防災・減災のプロジェクトを立てると。これが我々のやっている第四次被害想定に基づくアクションプログラムでございまして、向こう十年で犠牲者を八割減ずるということで先生方の給料も減らし私どもも同じようにして、まずやれるところから取り組んでいるということでございます。
 そうしたことで、やや我々にとっては不利な状況から始まりましたけれども、これ以上不利なことにはならないということで、これからますます安心感が、安全の防災・減災対策をとることによって高まっていくというふうに確信しています。しかしやることは同じです。差し当たって産業を再生する、また経済を活性化させる、雇用の場を創出させる、高等教育を充実させる、豊かさの実感できる暮らし空間をつくる。またさまざまなライフスタイルを選択できるというような選択肢、これをふやす。若いとき、お年寄り、そうしたときのそれぞれのライフステージに応じた生活が選べるような、そういうものを提供していくということがございますし、さらに特に次代を担う若者へのきめ細かな就職支援、女性が働きやすく能力の発揮しやすい環境を整備すること。結婚機運を醸成する、保育サービスを充実させる。子供は地域の宝で、子育てはとうとい仕事であるというような理念を普及させて、ここは子供を大事にしてくださるというように多くの方たちに実感していただけるようにPRをしていくということもございます。
 一番大切なのは、若い世代が夢と希望を持って家庭を築き子供を産み育てることができる社会を実現しなければなりません。本県は、景観は世界標準のものがそろい食材は日本一で、そして茶の都、食の都あるいは花の都というものをつくるのも決して夢ではありません。したがいまして「住んでよし 訪れてよし」ということは可能なので、その方向に向けて私ども、御一緒に邁進していこうではありませんか。
 次に、富士山を生かした地域の魅力づくりについてのうち、世界遺産委員会からの勧告及び要請への取り組みについてであります。
 世界遺産委員会からの勧告、要請は大きくは六つございます。全体の景観、いわゆる文化的景観というものに配慮しなさいと。それから麓からの巡礼と書かれていますが、麓からの登山道について調べ直しなさい。それから情報。五合目以上についての登山道を安全なように整備しなさいと。それから来訪者。実質的にはこれは登山者ですけれども、その管理戦略を立てなさい。そしてPRをしなさい、情報発信をしなさいと。それから経過観察を強化してください。こうした六つなんですね。
 全体景観についての意識を強めてほしいということですが、すなわち構成資産がございますけれども二十五。そうした点ではなくて全体として富士山を取り囲むといいますか、その景観が大事だという、そういう意識を持ってほしいと言っているわけです。これは我々の言葉で言えば借景ですね。どの建物も皆富士山などのような最高の借景を持ちながらつくられているというふうにして、自然とそれぞれの個別の存在とが一体のものであるというような意識を醸成しようということです。それから麓の登山道というのは富士、富士宮で、富士山駅伝というのを昨年暮れ、成功裏に行うことができましたけれども、こうした麓の富士山とかかわる道を大事にしていくと。なかんずく富士山本宮の浅間大社に保存せられている富士山曼荼羅のように三保松原から頂上まで、これが一体であるというそうした意識を、またそうした道を地元の方たちが大事にしていくということです。
 また情報発信につきましては、富士山世界遺産センターというのが坂茂先生のもとでこれからすばらしいものができていくということでありますね。そうしたものをこれからつくっていかなければならないということで、今進めているところであります。
 現在、本県のほか国、山梨県、市町村等で構成する世界文化遺産協議会を中心にいたしまして、本年末をめどに資産の全体構想と各種戦略の策定をするように進めているところであります。
 来訪者管理戦略というのが、なかなかに重要でございます。協力金をいただくのもそうした目的の一つでありますけれども、富士山における適正な収容力を研究しなくてはなりません。マイカー規制期間の拡大も徐々にして、そして今はマキシマムにまでできるようになりました。これも山梨県のほうも格段の努力をされておられます。ことしの夏から利用者負担制度は本格化しますけれども、この適切な運用を図ることを通して来訪者の管理戦略をしっかりしたものにしていくということです。
 それから構成資産ですけれども、これは富士宮と静岡市などが、例えば富士宮市ですと白糸の滝がございますが、これなどは我々が何も言わないにもかかわらず、もう市長さんをリーダーとして見事にあの地域を白糸の滝の景観にふさわしい建物群に変えられているのは、もう本当にありがたいことですね。一方三保松原につきましては、これは波消しブロック、松林、それから三保街道の電柱、電線というようなものがございまして、これは我々が一緒にやらないと、とてもじゃないけれども、しかもこれはもしイコモスが確認のために来られれば確実に外されます。ですから今、県のほうで市の協力をいただきながら、ある意味でもう後がないんだと。日本のために、恥をかかないために今やらなくちゃならないことというのはわかっているわけですから、これまでどおりの平時の計画をやっていきますなどと悠長なことを言っている時代ではありません。ですから実質再来年の二月とおっしゃいましたけれども、半年前に日本語の報告書を完璧なものにしないと英訳ができませんのであまり時間がないんですね。そのために計画さえしっかりしていれば、波消しブロックは難波さんなどを中心にしてやり方が決まりました。これで安心です。そして電柱、電線に関しましては、我々が意図していた以上に市のほうも積極的に取り組まれて、その埋設や、あるいは電線の撤去などについて長さを延ばされましたね。大変ありがたいことだと思っているんですが。松林は一番肝心なものです。神様を待つ松林ですから。そういう大事なところを今本格的にやっているということで、これはきつい言葉が飛び交っていますけれども、これをやらないと結果的にほぞをかむことになるという危機感を持っているところでございます。
 “富士(ふじ)の国(くに)”づくり推進会議を中心に、官民挙げての国民運動もこれから展開していこうということでございます。富士山の適切な保存管理や富士山に恥じない人づくり、環境づくり、地域づくりをしてまいりたいと存じます。
 魅力ある観光地づくりの推進についてでございます。
 本年度からふじのくに観光躍進基本計画がスタートいたしました。静岡の魅力を「創る」、静岡の魅力に「誘(いざな)う」、静岡の魅力はもてなしだという、この三つの戦略を柱に、世界遺産富士山を預かるふじのくににふさわしい世界標準の、あるいは世界水準の持続的な観光地づくりを目指すこととしております。先ほど議員御指摘のとおり伊豆半島、富士山、そして茶畑と、これは三冠王になりました。三冠王を持っているところは済州島くらいでしょう。あともう一つをもって彼らは四冠王と言っていますけれども、これはインターネットで、やや正確な四冠と言えるかどうかわかりませんが、私どもは韮山が世界遺産になれば四になります。そして、それぞれの地域ごとにやはり核となる観光資源がございます。伊豆半島はジオパークあるいは韮山、東部は富士山。そしてこの中部は南アルプスと徳川家康です。そして志太榛原、中東遠というのは、これは食とお茶。なかんずくお茶ですね。そして浜名湖は、これは遠江八景を挙げました。これがあまりにすばらしいと。花博の周りの景観が遠江八景と言われるにふさわしいところだということで、これが人気を博しまして、何とさる新聞社がこれを商品にしたいと。四千部刷られるそうです。値段が千円で。非常にレベルの高いパンフレットを我々がつくった、あるいは有馬先生、芳賀先生、熊倉先生、磯田さんなどによってつくっていただいた結果ですけれども、それは場の持っている力が出てきた結果だと思っておりますので、浜名湖も私は東海道のオアシスとして、山は富士、水は浜名湖ということで山水一体の魅力を本県は出すことができるというふうに思っているわけでございます。
 次に、健康寿命日本一の延伸についてのうち、健康寿命のさらなる延伸についてであります。
 市町や企業などと一層連携をして社会全体で取り組むことが極めて重要です。健康寿命日本一であり続ける、あるいは二位以下を格段に離していくぐらいの覚悟でやるほうがいいと。特に我々男性が全国二位で愛知に負けていますので、やはり愛知から出て静岡で最期を遂げられた徳川公のこともあります。私どもはこちらのほうがすぐれているんだということで、何としてでも男女ともに一位ということを誇り得るようにしたいと思っております。地域別の取り組みとしましては、県内七カ所の健康福祉センターごとに健康増進計画を定めまして、これは医師会の御協力も賜りまして大変感謝しておりますが、食生活など各地域の抱える健康問題に応じての成果の見える政策を進めます。また、五十三万人の特定健診のデータを活用いたしまして、メタボリックシンドローム該当者――私などもその一人ですけれども――高血圧を持っていらっしゃる方などの分布をマップ化して各市町に提供し、支援を行うと。きめ細かで役立つ健康づくりを市町と連携して行ってまいりましょう。
 若い世代に向けた取り組みとしましては、生活習慣の改善を目的としたふじ三三プログラムをスマートフォンなどでいつでも利用可能にするとともに、大学、専門学校などと連携してプログラムの普及に努めまして、若い方々が健康づくりに関心を持っていただいて気軽に実践できるようにいたしました。九月には厚労省との共催でふじのくに健康長寿サミットを開催します。若者向けの催事を盛り込みながら本県独自の健康づくりの取り組みや企業での先進的事例を発表して、社会全体で健康づくりに取り組む大切さを健康長寿日本一の本県から全国に訴えてまいりたいと思っております。このたびタンプライズをとられた本庶先生は、口を酸っぱくしてこれからは予防医学ですというふうに言われています。井村先生などは先制医療というふうに言われております。高血圧や、特に糖尿病は人工透析になりますと一人にかかる金が年間四百万ぐらいかかるそうです。ですからそれは本当にもったいないお金なので、そうならないようにしなくちゃならんということでございます。今後も県民総ぐるみで健康づくりに取り組む環境をしっかり整備して、超高齢社会における日本のモデルとなる健康長寿の都づくりに取り組んでまいりたいというふうに存じます。
 次に、新成長産業の育成と雇用創造についてのうち、雇用創造アクションプランの現状分析と今後の方向性についてであります。
 静岡県では、リーマンショック後の緊急的な対策として雇用創造アクションプランを策定し、三カ年の集中的な取り組みを推進してまいりました。その結果、ことし一月から三月期の完全失業者数が五万六千人と発表されピーク時の八万九千人と比べ三万三千人減少するということになり、リーマンショック前の五万五千人とほぼ同水準まで改善が見られ、目標は達成したというふうに存じます。これは景気が好転した影響はもちろんでございますけれども、雇用創造県民会議におきまして雇用の創出と人材の供給の両面から、官民が一丸となって成長分野の産業の育成や介護・福祉サービスの充実、企業立地の促進、きめ細かな就職支援、ミスマッチの解消などに取り組んできた成果であると評価しておりまして、この県民会議に参加くださいました皆様方、関係各位には感謝の言葉を心からささげたいと存じます。
 これから、これまで以上にミスマッチの解消を初め若者、女性、障害者の雇用、この環境は依然として厳しいのでこれらを改め、引き続き総合計画後期アクションプランの重点取り組みとして働く意欲の誰もが就職できる、就業できる雇用環境の実現を目指してまいります。
 次に、今後の本県製造業の方向性についてであります。
 本県経済の環境回復を力強く確実なものとして持続的な経済発展を図るには、既存産業の活性化を図りながら新しい成長産業を育成し、国内外の経済情勢の変化に柔軟に対応できる多極的な産業構造が必要です。私どもは東からファルマバレー、中部のフーズ・サイエンスヒルズ、西側のフォトンバレーというのをこれまでやってきましたけれども、これは種がしっかりまかれているのでそれを育てなければなりません。特にファルマバレープロジェクトを初めとした医療・医薬関係につきましては一兆円産業で日本一に輝いておりますので、特に医療機械が非常に力強い動きを見せております。しかも雇用創造力も非常に強いということで、これは支えてまいりたいというふうに思っております。
 また、国際戦略総合特区――アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区にも他県とともに参加に向けて取り組んでおります。私は、せっかく飛行場もございますのでMRJの拠点をこちらに引き込もうと、大須賀君などと御一緒に相当強く働きかけたわけですが、県営名古屋空港に隣接する県有地を取得され、差し当たってはそのままされるようですが、年間一千機体制にしようと思うとあの土地では足りません。ですから私どもは航空機産業というのも念頭に置きながらやっていきたい。もちろんそれ以外にも健康福祉にかかわるさまざまな応用を、輸送機産業の持っていらっしゃるたくみのわざを活用することができて幾つものそういう事例が出てきておりますので、それも励ましてまいりたいというふうに思っております。
 地域企業が持っている成長分野での技術シーズの詳細調査に着手しまして、特に有望なシーズの事業化に官民挙げて集中的にしていくというように去る六月十七日の第二回産業成長戦略会議で提言せられた施策でございますので、これをそうしてまいります。また本県産業の強みや優位性、市場ニーズなど今後の成長可能性を詳細に分析してグローバルな競争に勝てる産業分野を選定し、重点的に育成していくことの重要性についてその会議で意見が出されましたので、次回以降の会議においてさらに議論を深め実践してまいりたいというふうに思っております。
 特に農業につきましては、もう農業だ、商業だ、工業だというように分けている時代ではないと。六次産業化というのはその一体化でありますから、特に小長井議員のような本県のお茶産業の一番大切な宝物を栃沢で預かっていただいておりますので、こうした農業と、そしてそれを加工してさらに商品にして売りさばくという意味におきましては、農協と商工会が一体になってやらないともう間に合わないと。この先行モデルをどこでつくるかという、今時期に入っていると思っております。
 組織も変わらなくちゃいけないと。ある産業の組合組織というのがありますが、その組合組織だけでやっていける時代ではなくなっていると。いや組み合わせたほうが一足す一が三ぐらいになるというふうに思っておりまして、そこが、例えばそうですね、西部地域などは偶々輸送産業のトップが商工会議所の会頭です。また元の商工会議所の会頭が生産部門でした。今度農協のトップになられるのが西側ですね。こうしたところでモデル事業ができるならそれを突破口としてやりたいと。ほかのところでもあればそれをやっていこうと。漁業と農業であれば土肥で、同じそれぞれの生産部と同じ場所で売り買いされておりますので、そうしますと魚も野菜も一緒に消費者は買えるのですごく便利ですね。ですから漁協、農協というのも協力できるところから協力していくということでそれぞれの分野で努力されると同時に、他の産業組織、組合組織との連携も図っていくべきときに来ているというふうに考えております。
 次に、リニア中央新幹線の環境影響評価についてであります。
 リニア中央新幹線事業は、南アルプスの地下四百メートルから何と一千四百メートル下のトンネルを通過するということで、極めて大規模な土地改変を伴うものであります。また建設工事が十年以上に及ぶ見込みで、ユネスコエコパークに登録された南アルプス地域の自然環境や生活環境に大きな影響を及ぼすおそれがありますので、地元住民を初め多くの県民の皆様、議員を初めその影響を懸念されるのは当然です。
 このため私どもとしましては、四月二十二日に中央新幹線環境保全連絡会議を設置いたしました。生態系や土木工学などの学識経験者に加え井川地区の住民代表、大井川の利水関係者にも御参加いただいて地元の御意見、課題を十分に尊重しながら工事が水環境、生態環境、生活・産業環境に深刻な影響が及ばないよう、仮に影響があるにしてもそれを最小限にするようにJR東海に対して要請をしていくということにしております。またこの会議にはJR東海の方にも参加していただくように強く働きかけているところであります。
 環境影響評価の手続につきましては、先日国におきまして環境大臣が国交大臣に御意見を述べられました。その意見は、おおむね本県の環境影響評価意見書を尊重されたものということで休心はしたところであります。今後、環境大臣の御意見を勘案した上で国交大臣のほうからJR東海に意見書が提出されることになるということです。
 工事につきましては全国新幹線鉄道整備法に基づく国交大臣の認可を経て開始されることになるわけでございますけれども、私どもとしましては、手続上は工事開始前に静岡県環境影響評価条例に基づき提出される事後調査計画書に対して、連絡会議の意見や県環境影響評価審査会の審議を踏まえJR東海に改めて知事意見を述べてまいります。さらに仮に工事が南アルプスの直下で開始されるということが起こりました場合、その後も事業が環境に与える影響を把握、確認いたしまして、自然環境、生活環境及び水資源についてきちっとした保全措置が実施されるかどうか監視しながら、JR東海に対して厳しく求めてまいります。私は、その工事は品川から名古屋、さらに名古屋から大阪まで延伸されることになっておりますが、差し当たっては二〇二七年までに名古屋―品川間をつくり上げるということですが、この工期の順番ですけれども南アルプスは一番最後にするべきだというふうに考えます。品川から甲府まで、甲府―大月間は既に二、三十年間実験線が走っておりますし関東ローム層の地質構造はわかっております。首都圏は恐らく本州全体の長さくらいの地下鉄が縦横無尽に走っているわけですが、そうしたことができるのは言うまでもなく地質構造がわかっているからです。したがってそこは掘れると。一方、濃尾平野から中津川あたりまでは、これはいわゆる中央線といいますか、その流れでありますからほぼわかっていると存じますが、そこから南アルプスエコパークにかかわる市町の数は十市町村に及んでおります。本県で静岡市と川根本町、山梨で四市町、そして長野で四市町村でございますけれども、ここのところはよほど慎重でなければならないというふうに思っておりまして、工程表というものについても強い関心を持っております。もしも最初にするとするならば甲府から品川が最初であろうと。甲府まで来れば身延線がありますから、新幹線のところまで来れますので。そこから新幹線に乗って、例えば二〇二〇年までに、この間国交省のほうで首都圏空港にするかどうかということで事例として最終報告書の中に挙げられておりますので、仮にそれができておりますれば旧新幹線、それから世界で最も遅い身延線、そして世界最速のリニアというものも楽しめるし、仮に富士山が噴火すれば、それも首都直下型のときには複合災害の中に入れておられませんけれども降灰は関東地方に行きます。したがいまして地下鉄ですっとトンネルを出れば富士の国の奥座敷であったと。甲府盆地のことですけれども、富士の国をずっと北から南に下りてこられて清水に出られればよろしいと、こういうわけでございます。そうしたことも念頭に置きながら、日本のために、私どもリニア新幹線が必要とあれば、それを今の時点でどういうふうにするのが望ましいかということもあわせて考えて、南アルプスについてはこれは世界の共有財産になりましたので、私どもとしてはこれに対しては極めて厳しく水環境、生活環境、生態環境というものに対しまして悪影響が及ばないように最善を尽くすという覚悟でございます。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(伊藤育子君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 大規模地震への万全の備えについてのうち、地震・津波対策の現状認識と今後の取り組みについてお答えいたします。
 昭和五十一年の東海地震説の発表以来、県では施設の耐震化や緊急輸送路の整備、自主防災組織の育成等を着実に推進してきたところであり、公立学校や庁舎等の耐震化、自主防災組織の結成などが全国トップクラスとなるなど一定の成果を上げているところであります。
 こうした中、東日本大震災を受け昨年第四次地震被害想定を行った結果、新たな課題も出てまいりました。
 課題の第一は、従来の想定を超える津波への備えであります。このためには新たな想定に基づく防潮堤や水門等の整備を進めるとともに津波ハザードマップの周知、津波避難ビルや命山など津波避難施設の確保、避難訓練の充実など地域の特性を十分に踏まえ、津波を防ぎ、津波から迅速に逃げるための取り組みを推進してまいります。
 課題の第二は、超広域災害への備えであります。全国からの救援部隊や支援物資は従来の想定より不足することが見込まれるため、県民の皆様への防災啓発や防災リーダーの育成により住宅の耐震化、水や食料七日分の備蓄、自主防災組織の強化など市町と一体となって自助、共助の取り組みを充実してまいります。さらに富士山静岡空港の大規模な広域防災拠点化を進めるなど全国からの応援の受け入れ体制の充実と関係機関との連携強化を図ってまいります。
 県といたしましては、今後とも国や市町との連携をさらに深め、想定される犠牲者を十年間で八割減少させることを目指し地域の特性に応じた地震・津波対策を着実に推進してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 副知事。
       (副知事  秀樹君登壇)
○副知事( 秀樹君) 内陸のフロンティアを拓く取り組みについてのうち、新東名高速道路を生かした地域づくりについてお答えいたします。
 県では新東名高速道路の県内区間の開通を契機に、防災・減災と地域成長の両立を目指す内陸のフロンティアを拓く取り組みを推進しております。議員御指摘のとおり、首都圏や中部圏における交通インフラの整備に伴う企業立地環境の変化は、何もしなければ本県への企業立地が減少するばかりか企業の流出を招くことにもなりかねません。新東名高速道路の県内区間の開通効果の優位性があるうちに早期に対応を図ってまいる必要があると存じております。このため現在、積極的に企業訪問を行って企業ニーズを把握するとともに、国の総合特区指定を受けたことによるメリット、例えば迅速な土地利用手続や施設整備に対する利子補給金などを個別に説明する場を設け、企業や金融機関に対してアピールしているところであります。また今年度は県独自の内陸フロンティア推進区域制度を創設し、企業立地補助金のかさ上げや低利な融資制度の創設など重点的な支援を行い、企業立地の加速化を図ることとしております。
 今回二十四の推進区域を指定しましたが、その中には富士市や磐田市を初め新東名高速道路インターチェンジ周辺において工業団地の整備を行う区域が数多く指定されております。推進区域などにおける工業団地の整備計画や県市によるさまざまな企業立地優遇制度等については、県内はもとより首都圏や中部圏などの企業に対する訪問や七月には東京、名古屋、大阪で開催する企業立地優遇制度説明会、九月には東京で開催される国際物流総合展などにおいて関係市町と連携して積極的に情報発信し企業の誘致や定着につなげてまいりたいと存じております。
 今後とも、内陸のフロンティアを拓く取り組みを通じて、新東名高速道路周辺で事業を展開する企業にとっても魅力ある地域づくりを進めてまいります。
○副議長(伊藤育子君) 岩田危機管理監。
       (危機管理監 岩田孝仁君登壇)
○危機管理監(岩田孝仁君) 大規模地震への万全の備えについてのうち、浜岡原発における避難計画の実効性についてお答えいたします。
 原子力災害が発生した場合を想定し、原子力災害対策重点区域であるPAZ・UPZ圏に係る十一市町の約九十六万人を対象とする避難計画の策定を現在進めているところであります。さきに実施いたしました避難シミュレーションでは、一定時間置きに一定台数の自家用車で避難する段階的避難が、渋滞をできるだけ発生させず運転時間を短縮できる方法であることが導き出されました。一方で、大規模地震と複合する最悪の事態を考えますと、実効性ある避難計画とするためには多くの課題があります。例えば橋梁の耐震化や道路の応急復旧用資機材の配備など地震・津波による道路被害への対策、東名・新東名高速道路を活用した避難車両の円滑な通行、高齢者など要配慮者への避難手段の確保、段階的避難についての住民の理解、住民への情報伝達手段の確保などが挙げられます。これらの課題につきましては国や関係市町、関係機関と連携し一つ一つ解決していくことにより、実効的な避難方法とその実施体制を確立するよう取り組んでまいります。
 また、県境を越える避難の受け入れ先につきましては、昨年九月に地域ごとに設置された国のワーキングチームを通じて、現在避難先の候補となる県に対し受け入れ可能人数の照会を行っているところであります。引き続き国の協力を得ながら関係する県との調整を行い、早期に具体的な受け入れ先を確保できるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
       (交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 内陸のフロンティアを拓く取り組みについてのうち、中山間地域の振興についてお答えいたします。
 本県の中山間地域では狭小で傾斜が急な農地が多く、人口減少や高齢化が急速に進行し生活を支える農業の弱体化と集落の存続が危惧されることから、地域を担う人材の確保が急務となっています。こうした中、内陸のフロンティアを拓く取り組みは中山間地域に人・物・資金を環流させる好機となることから、誘致される企業や訪れる人々と地域との連携強化を図ることが重要であります。
 このため県では、誰もが農業に参画しやすい安全性と快適性が確保された生産基盤の整備や、企業などとの連携による新商品の開発、販売などを行うための拠点施設の整備を通じて新たな所得と雇用の創出を図り、農業の担い手を確保してまいります。また中山間地域における集落環境の保全や伝統芸能の復活などの共同活動に対しまして日本型直接支払い制度により助成を行うことができることから、この制度等を活用しコミュニティーの活力向上に取り組んでまいります。
 県といたしましては、これらの取り組みにより中山間地域に暮らす人が意欲的に農業を営み、訪れる人も住みたくなるような、より魅力ある地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 宮城島健康福祉部長。
       (健康福祉部長 宮城島好史君登壇)
○健康福祉部長(宮城島好史君) 健康寿命日本一の延伸についてのうち、認知症介護家族への支援についてお答えいたします。
 県では、認知症の方が住みなれた地域でできる限り生活を続けていけるよう、さまざまな介護保険サービスの充実に加え介護家族とともに地域で支え合う体制づくりに努めております。認知症で在宅サービスが必要な方にはデイサービスやショートステイなどを設け、身近な場所で症状に応じたサービスをいつでも利用できるように提供しております。在宅での介護が困難になった方には、特別養護老人ホームやグループホーム等を利用していただくことにより適切なサービスを受けられるようにしております。
 また、認知症介護に係るさまざまな相談につきましては、県内百三十九カ所の地域包括支援センターにおいて保健師等の専門職員が適切な医療・介護サービスにつなげるなど介護家族の負担軽減に取り組んでおります。認知症の方やその家族を地域で支え合う体制づくりといたしましては、認知症サポーターの養成や本県で生まれた介護マークの活用による認知症に対する正しい知識の普及を図るとともに、認知症の方や地域の方々が交流できる場である居場所を設け支援の輪を広げるなど地域で支える環境づくりを推進しております。
 今後も市町や関係の方々とも連携し、介護家族の皆様が適切なサービスを利用できるだけでなく、介護する人を社会全体で温かく見守り支援する優しい社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 土屋経済産業部長。
       (経済産業部長 土屋優行君登壇)
○経済産業部長(土屋優行君) 新成長産業の育成と雇用創造についてのうち、本県産農林水産物や加工品の輸出についてお答えいたします。
 県では成長が著しいアジア市場を重点地域として位置づけ、国や地域に応じた戦略的な販路開拓に取り組み、これまでに香港やシンガポール、上海などで温室メロンや高糖度トマト、ワサビ加工品などの継続的な輸出につなげてまいりました。本年二月にはマカオにおいて本県の多彩な食材を使った高級レストランでのフェアを開催し、そこで特に好評だったイチゴの「紅ほっぺ」などにつきましては追加発注があったほか、新たにお茶の加工品や生きサクラエビの輸出などにも取り組んでおります。また今月からは、成田空港の免税店やANAの国際線の機内食等においてしずおか食セレクションやふじのくに新商品セレクション等の県産品が合わせて四十点採用されたほか、今月末には静岡市内において、香港で十三店舗を展開する日系スーパーマーケットと県内事業者との商談機会を提供するなど国内においても輸出につながるきっかけづくりに努めております。
 今後も、農業団体やジェトロ、株式会社沖縄物産公社等と連携して、八月に香港で開催される国際食品見本市や十一月に沖縄で開催される海外バイヤー向けの商談会への県内事業者の参加支援などに積極的に取り組み、本県産農林水産物や加工品の輸出拡大を図ってまいります。
 次に、エネルギーの地産地消についてのうち、再生可能エネルギーの研究開発支援についてであります。
 県では、太陽エネルギーのほか小水力、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーを成長産業分野の一つと位置づけ、最新技術のセミナー開催から研究開発や試作、実証試験への助成、工業技術研究所による技術支援、展示商談会の出展支援による販路開拓まで県内中小企業に対して一貫した支援に取り組んでおります。このような取り組みによりまして、段差が少なく流速が遅い場所でも効率的な発電が可能な小水力発電機や、秒速三メートルでも発電が可能な小型の風力発電機用のモーター、コーヒー残渣とおからを利用したバイオ固形燃料などが製品化され、販売に結びつく成果も出ております。
 また、県では中小企業や自治体、土地改良区等の参加を得て農業用水を活用した小水力発電の普及拡大に取り組む協議会を設置し、新たな技術開発を支援するため実証試験の場の提供にも努めております。再生可能エネルギーにつきましては、よりエネルギー効率の高い小型風力発電機や温泉熱を利用した発電機の開発など中小企業がすぐれた技術力を発揮し、新規参入が可能な分野も多いことから、引き続き企業の研究開発を積極的に支援し成長産業の創出につなげてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) エネルギーの地産地消についてのうち、再生可能エネルギーの導入推進についてお答えいたします。
 住宅用太陽光発電につきましては、余剰電力の買い取り価格が見直されましても値上がり傾向にある電気料金を節約したいとする方々の需要があると考えられますことから、引き続き市町とともに補助制度等により導入を支援してまいります。また太陽光発電設備の整備を行う事業者に対しましては、制度融資による支援とともに学校の屋根等県有施設の貸し出しにより発電事業への参入や事業拡大の機会を提供し、導入を促進してまいります。太陽光発電以外につきましては大井川用水などの農業用水を利用した小水力発電の設置を進めるとともに、御前崎港での洋上風力発電の導入に向け今後事業予定者の公募を行ってまいります。
 さらに、昨年度東伊豆町におきまして環境省や県の助成を得て設置された温泉熱発電の伊豆半島地域での拡大や富士山の地下水を利用した熱交換システムについて、導入適地を示しながら普及を図るなど地域の資源を生かした再生可能エネルギーの導入を推進してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 多彩な人材を生む学びの場づくりについてお答えいたします。
 子供たちを取り巻く環境が複雑多様化する中で、学校だけでは解決することが難しいさまざまな課題が指摘されております。こうしたことから本県におきましては、これまで学校評議員制度や学校支援地域本部事業など保護者や地域住民等が教育活動に参画する仕組みを生かし、教育活動に取り組んできたところであります。また本年三月に策定をいたしました静岡県教育振興基本計画「有徳の人」づくりアクションプラン第二期計画に掲げられている社会総がかりで取り組む人づくりの推進を受け、このたび地域教育活動の実践家、スポーツ、芸術の専門家等の有識者により構成をいたします地域とともにある学校づくり検討委員会を設置し、学校・家庭・地域の連携協働による社会全体の教育力の向上を目指し議論を開始したところであります。
 今後は、検討委員会での議論を踏まえ学問、スポーツ、芸術に触れる機会をバランスよく提供するため、学校評議員制度や学校支援地域本部事業等、既存の組織を土台にしたコミュニティスクールのあり方や本県の特性に応じた各市町への導入の方策について検討し、社会総がかりの教育の実現に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 下山経営管理部長。
       (経営管理部長 下山晃司君登壇)
○経営管理部長(下山晃司君) コンプライアンスの取り組みについてお答えいたします。
 日ごろから全庁を挙げて綱紀の厳正保持に努めている中、職員が収賄罪及び官製談合防止法違反で逮捕、起訴されるという重大な不祥事が発生いたしましたことはまことに遺憾であり、県民の皆様に深くおわび申し上げます。
 今回の不祥事は公共工事にかかわる事案であり、日常的に工事発注が行われている公共部門におきましては特に再発防止のための取り組みを強化していく必要があると考えております。不祥事の背景には職員に気の緩みや事業者とのなれ合いの気持ちがあったと考えられますことから、不祥事防止のために実施する職員研修では、事業者との間で守るべきルールなど公務員としての服務規律の徹底を図るとともに、不正行為は必ず発覚しその代償は極めて大きなものになることを再認識させてまいります。加えて所属長などの管理者に対しては不祥事につながる潜在リスクの把握や予防策、職場内での危機管理意識の共有などを内容とするリスクマネジメント研修を実施いたします。また静岡県請負制度検討委員会におきましては、公共工事に係る入札契約制度や検査監督体制について、予定価格等の厳格な情報管理など不正行為ができない事務処理方法という観点から改善すべき点を検証しております。
 さらに、今回の不祥事が発生した課では、設計から施工監理、検査までの一連の手続を一人の職員に委ねておりましたが、土木技術職員の複数体制化や入札契約関連業務の分業化などを実施いたしました。また全庁的にはチェック体制の強化と組織のあり方についても見直しを行っております。公共部門に限らず全ての職員が公務に携わる者として高い倫理意識を求められていることを自覚し、常に誠実に職務に精励するとともに、各所属で日常的に業務の点検を行いリスクの芽を早期に発見し、執行体制や事務処理方法を改善する取り組みを継続してまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 女性の視点を反映した警察運営の推進についてお答えいたします。
 初めに、女性チャレンジ支援推進係の設置経緯と目的についてであります。
 近年、社会的に女性の活躍促進策が推進されているところでありますが、警察におきましても例えばドメスティック・バイオレンスやストーカー事案における女性被害者等の対応や子供の安全確保のための各種対策等に関して、女性の視点を一層反映した警察運営が県民から求められていると考えております。
 県警察ではこうした県民ニーズに応えるため、各種警察活動において女性警察官の力を最大限活用していくことが必要と考えており、静岡県女性警察官の採用・登用拡大に向けた計画を策定し現在各種施策を推進しておりますが、その施策推進を加速化させるとともに施策の検討段階から女性職員の意見、要望等を確実に反映させていくと。こういったことを目的といたしまして今春、警務課にスタッフ全員が女性警察官の女性チャレンジ支援推進係を設置したところであります。
 次に、今後の取り組みについてでありますが、平成三十三年四月一日までに全警察官に占める女性警察官の割合をおおむね一〇%とすることを目標に採用の拡大を進めていくこととしており、あわせて女性警察官個々の適性・能力を見きわめつつということになりますが、聖域なき職域の拡大ということを推進してまいります。また警察署・交番等、女性警察官が働きやすい職場環境の整備に努めてまいります。
 加えまして、本施策遂行の前提として女性警察官が出産、育児を経ても働き続けることができる環境の整備が必要であることから、育児休業制度が利用しやすい環境の確保や育児休業からの円滑な職場復帰への支援、また仕事と育児の両立が可能となる各種支援制度の充実などを進めてまいりたいと考えております。
 こうした施策を通じまして、女性警察官が組織の中核たるポストで活躍し、また取り組み意欲にあふれる女性警察官の幹部への登用が促進される組織づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 三十六番 小長井由雄君。
       (三十六番 小長井由雄君登壇)
○三十六番(小長井由雄君) それぞれに御答弁をいただきましてありがとうございました。
 今回の質問は後期計画の八つの重点項目ということに沿って質問させていただきました。御答弁を聞く中で、この八つの重点項目がどれだけ重要で、しかもスピード感を持って取り組んでいかなければいけないかということと、そしてまた知事を初めとする県当局の意欲を感じさせていただいたわけでございます。
 それでは、意見、要望を三点と再質問を一つさせていただきます。
 まず、人口問題についてでございますが、人口問題につきましては先ほども申し上げましたとおり、人口流出に歯どめをかけることが喫緊の課題であるというふうに思います。人口問題の対策は幅広く、さまざまな分野で施策を実施していかなければならないということでございます。その意味からも総合計画の後期アクションプランに掲げられた八つの重点取り組みは、それぞれ人口減少を抑制するために重要だというふうに思います。スピード感を持って取り組んでいただきたいと、そんなふうに思います。
 二つ目でございます。浜岡原発における避難計画の実効性でございます。
 複合災害のときに非常にさまざまな困難が予想されるわけでございますが、そうならないための方策として、一つは過酷事故により浜岡原発の放射性物質の拡散を防ぐために今急いでやるべきこと。それは三号機、四号機の燃料プールで冷却中の使用済み燃料、これを安全な場所で冷却管理することだと私はそう思います。その意味で浜岡原発敷地内での冷却管理を進めるということを、この乾式貯蔵施設の設置ということについては中部電力でも計画を持っているということでございます。これまでも県は、これについて早く設置をするようにというようなことで中部電力に申し上げていたと思いますが、このことについても再度強く要請していただきたいと、そんなふうに思います。
 次に、リニア中央新幹線についてでございます。
 これにつきましては、発生残土の削減と適切な処理についての見直し、あるいは大井川の流量減、これについてJR東海は答えていないわけでございまして、これについて静岡県中央新幹線保全連絡会議というのをつくってやるということでございますので、今後事業評価調査書などで改めてしっかりとした意見を述べていただきたいと、そんなふうに思います。
 コミュニティスクールの導入についてでございますが、これにつきましてはメリット、デメリットが見えにくいというような状況でございますので、情報発信を積極的に進めていただきたいということ。そして、これまでの活動の中で学校評議員制度と、あるいはPTA……
○副議長(伊藤育子君) 失礼いたします。小長井由雄君、時間です。
○三十六番(小長井由雄君) そういったものがどのように関係づけられているのか。コミュニティスクールの中で学校評議員制度、あるいはPTAがどんなふうに関係づけられているのか伺います。済みません、時間。お願いいたします。
○副議長(伊藤育子君) 安倍教育長。
○教育長(安倍 徹君) コミュニティスクールの導入に向けて既存の組織である学校評議員制度、あるいは学校支援地域本部事業等との関連という再質問だったかなというふうに思いますけれども、共通点は、やはり地域に開かれた、あるいは社会総がかりで学校を支えていくということでありますので、そこには共通点もあれば、またそれぞれの趣旨によって異なる点もあると思います。先ほど議員からお話ありましたように、我々はメリット、デメリットというものを情報発信しながら、各学校がそれぞれの地域に応じてどういう形で社会総がかりの教育を推進することができるのかという、そういう視点に立って、地域に開かれた、地域に支えられた、さらに言えば地域とともにある学校づくりをどうしていったらいいのかということについて、市町教育委員会とも連携しながら進めていきたいというふうに思っております。以上であります。

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