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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

植田 徹 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/27/2019

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 若年層の人口流出への対応について                       
2 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの事前キャン        
 プ誘致に向けた取り組みについて                         
3 富士山の眺望を活用した観光地域づくりについて                 
4 超高齢社会に対する県の取り組みについて                    
5 茶業におけるスマート農業の実装について                    
6 県道鷹岡柚木線龍巖橋の改修について                      
7 良質で低廉な工業用水の安定的な供給について                  
8 東部、伊豆半島地域の振興に向けた体制について


○議長(鈴木利幸君) これで中澤通訓君の質問は終わりました。(拍手)
 次に、五十八番 植田 徹君。
       (五十八番 植田 徹君登壇 拍手)
○五十八番(植田 徹君) 質問も最後となりました。もうしばらくおつき合いをお願いをいたします。
 私は、今回も県議会に戻ってまいりました富士市選出の植田徹でございます。どうぞ皆さん、よろしくお願いをいたします。
 それでは、自民改革会議の所属議員として県政の諸課題について通告に従い知事、副知事並びに関係部局長に一括質問方式にて質問をいたします。
 まず初めに、若年層の人口流出への対応について伺います。
 本県の人口は、二〇〇七年の約三百八十万人をピークに減少に転じ、昨年三月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別将来推計人口では二〇四五年には三百万人を下回る二百九十四万人程度になると推計をされています。本県の合計特殊出生率については、二〇〇四年の一・三七に比べ二〇一八年には一・五〇となるなど緩やかな上昇傾向にあります。
 一方、ことしの一月に総務省が公表した住民基本台帳人口移動報告によれば日本人の国内における社会移動については東京を初めとする首都圏の転入超過が加速した結果、本県は六千六百五十四人の転出超過となり前年に比べ千四百十二人拡大をしております。特にこれからの本県を担っていく十五歳から三十四歳の転出超過数が六千百七十二人、そのうち女性の転出超過数が三千九百七十六人と顕著であり東京一極集中に歯どめがかからない中、これら若い世代の人口流出を食いとめることが本県における喫緊の課題ではないかと考えます。
 人口減少や超高齢化の進行は、地域防災力の低下や産業における人手不足の深刻化など本県の社会経済活動に多大な影響を及ぼすと懸念されております。そのような中で本県が持続的に成長していくためには、将来を担う若者が県外への進学や就職を機にそのままその地に定着してしまうという流れを断ち切り若い世代の人の流れを呼び戻す、また呼び込む取り組みが重要であります。言いかえれば若者が静岡県に住みたい、戻りたいと思えるような地域づくりを一丸となって強力に進めていく必要があると私は考えます。
 県では、「三十歳になったら静岡県!」というキャッチフレーズのもと本県出身の若者を対象にSNS等を活用して本県の情報を定期的に発信していることは承知しておりますが、若者を本県に呼び込むためどのようなことに取り組んでいくのかを伺います。
 また、さきに述べたとおり本県では特に若い女性の流出が課題であることから、ここをターゲットにして本県の魅力を十分にアピールできるような取り組みを実施していく必要があると考えます。この点についてもどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ誘致に向けた取り組みについてお伺いします。
 本県は、東京への交通アクセスもよく温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれるとともに充実したスポーツ施設を有しており、事前キャンプ地としてのポテンシャルには高いものがあると感じております。
 誘致活動の成果の一つとして、私の地元であります富士市においても昨年十一月にスイス水泳連盟とオリンピック事前キャンプに係る覚書を締結し競泳、飛び込み、アーティスティックスイミングの三種目についてスイス水泳チームの事前キャンプを受け入れることが決定いたしました。スイス水泳チームにつきましては本年六月から七月にかけましても韓国で開催される世界水泳選手権大会の直前強化合宿を富士市で実施することが決まっており、オリンピック・パラリンピック本番に向けて地元も期待に胸を膨らませているところであります。
 そこで、富士市ではオリンピック・パラリンピック開催を契機に機運醸成や将来にわたる市の発展、活性化につなげるため、本年三月にオリンピック・パラリンピック富士市推進委員会を設立しスポーツ、文化、教育、観光、経済など幅広い分野で市民や行政が一体となった事業を実施しております。富士市だけでなく県内において幾つも事前キャンプの覚書が締結されており、今後より多くの市町で事前キャンプの受け入れが進み全県でさまざまな取り組みが進められていくものと期待をしております。
 本県が海外の競技団体等から事前キャンプ地として選ばれ、多くの選手やオリンピック・パラリンピックの関係者が本県を訪れることは非常に光栄なことであり歓迎すべきことであります。そして事前キャンプの誘致は世界の国々と本県市町との交流拡大を図る絶好の機会であり、誘致を契機とした取り組みを全県を挙げて進めることが重要であると感じております。
 県は、これまでの誘致活動の成果をどのように捉え今後どのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。
 次に、富士山の眺望を活用した観光地域づくりについて伺います。
 平成二十五年六月の富士山の世界遺産登録は、本県の知名度を高め富士地域への誘客を図る上で絶好の機会となりました。富士地域における平成二十九年度の宿泊者数は百九十二万八千人で前年比一〇四%と堅調に推移しております。
 富士市は、期間中に聖徳太子の作とされる御本尊をお守りすると一粒万倍の功徳ありと言い伝えられ多くの参拝客でにぎわう毘沙門天大祭が行われる妙法寺や、日蓮上人が立正安国論を記したとされる寺で往時は西に比叡山、東に実相寺と称されたほどの威容を誇る実相寺など歴史的にも価値がある観光資源が豊富にあるほか、富士山の眺望にもすぐれ市内には富士山のビューポイントが多数存在します。特に富士市の南西に位置する標高百九十三メートル、この岩本山はその実相寺とも通じており山頂に広がる岩本山公園は梅や桜、アジサイなど季節の花々が咲き乱れ訪れる人々の心を和ませております。
 しかし、そこからの眺望に比べれば花々の美しさもかすんでしまいます。視線を上げれば東に霊峰富士、西に日本三大急流に数えられ日本一の河口幅を有する富士川、南には二千五百メートルの水深を誇り日本で最も深い湾とされる駿河湾と世界ジオパークの伊豆半島を一望することができるのであります。私はこれまであらゆる機会を通じて岩本山のすばらしさを力説してまいりましたが、どこを向いても絶景である世界に誇るこのビューポイントが十分に観光スポットとして活用されていない現状がとても残念で仕方がありません。
 こうした中、先日私の支援者から以前大学のクラス会を富士山ビューポイントツアーと銘打って開催したところ、今でもそのときの参加者と会うと、あの富士山ビューポイントの旅はすばらしかった、あるいはあの岩本山から見た富士山や茶畑、駿河湾の景色は印象的で今でも思い出すよなどと話してくれ、ひそかにこの富士山ビューポイントツアーを自慢しているとの話を聞き岩本山からの眺望を活用した観光地域づくりは富士市にとって不可欠であると確信をいたしました。
 そこで、岩本山などからの富士山ビューポイントをSNSなどを利用して情報発信するとともに、こうしたビューポイントを全国の観光旅行業者に売り出したらどうでしょう。それと同時に日本を訪れた外国人が年間三千万人を超え、東京オリンピック・パラリンピックに向けてさらに増加が見込まれる今、岩本山から見た世界一美しい富士山を海外に向けても発信することが大切です。その目玉として私は岩本山に富士山夢テラスの整備を実現することができれば、間近に見る富士山やそれを取り囲む本県の自然のすばらしさを世界中の人々に知ってもらうことができると考えます。
 そこで、世界遺産富士山を眺望する絶景の地、岩本山を活用した観光地域づくりについて県としての取り組みや地元への支援をお願いするものですが、県の所見をお伺いいたします。
 次に、超高齢社会に対する県の取り組みについて伺います。
 先日、県が発表した本年四月現在の高齢化率は二九・一%と過去最高を更新し十年前と比較すると総人口は約十六万人減少した一方、高齢者は二十一万人余り増加しており特に後期高齢者は十四万人の増となっております。この高齢者人口の急速な増加によって迎える超高齢社会に対しては国と県、市町がそれぞればらばらに施策を講じるのではなく国、県、市町が一体となって役割を分担しながら問題を解決していくことが求められているのではないでしょうか。
 特に、今も大きな問題となっていて今後さらに増大することが見込まれる介護需要に対して必要な介護サービスをしっかりと提供していくためには介護人材の確保が不可欠であります。しかし介護業界は全国的に慢性的な人手不足の状況であり、私の知人が経営している介護事業所でも職員の確保に相当な苦労をされていると聞いており、これはその事業所だけの話ではなく全国どの事業所も同じ状況なのだろうと思います。
 そうした中、国が外国人の新たな在留資格である特定技能を創設して本年四月から導入をされました。この対象となる職種には介護も含まれております。これまでも経済連携協定や技能実習制度など外国人が我が国の介護の現場で働く仕組みはありましたが、これに新たな制度が加わることとなったのであります。
 これを受け、県内の介護事業所でも外国人の受け入れ希望の増加が見込まれる反面、大多数の事業所ではこれまでに外国人労働者を受け入れたことがなく受け入れに当たって何をすればよいのか、受け入れた後も外国人労働者にどのように対応すればよいのかわからないので不安だという事業所が少なくないと思われます。
 そこで、県では外国人の介護人材を受け入れようとする事業所や受け入れ後に少しでも長く働いていただきたいと考える事業所に対してどのような支援をしていくのか伺います。
 一方で、介護需要の増大を極力抑え介護保険制度を維持していくには高齢者の皆様が日常生活を困難なく過ごせるよう、地域でしっかりと支える体制を整えることも必要ではないでしょうか。
 県と市町では、現在誰もが住みなれた地域で最期まで安心して暮らし続けることができるよう地域包括ケアシステムの推進に取り組んでいるところであります。高齢者の日常生活を支えていくためには地域の支え合いを推進する生活支援コーディネーターを中心に関係する方々や団体と連携し、地域の資源を活用しながら生活支援や介護予防の取り組みを積極的に行うことが重要ではないかと考えます。
 そこで、地域のコミュニティーにおいて生活上の困り事を手助けするなど住民相互の支え合いを実現するため、県ではどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、茶業におけるスマート農業の実装について伺います。
 IoTやAI、ロボットなどの著しい進歩に伴う技術革新は第四次産業革命とも呼ばれており、情報通信技術によって全ての人と物をつなげ知識や情報を共有することでさまざまな社会の課題を解決し新たなサービスや付加価値を創造するものと期待されております。農業分野でも国が昨年度策定した未来投資戦略において二〇二五年までに担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することがKPIに設定されました。
 あらゆる生産現場でICT機器が幅広く導入され、データ解析によって農作業が高度化、最適化され農業ロボットの導入で自動化、省力化されるといったスマート農業の実現が求められております。スマート農業の技術を導入することで病害虫の発生の予測や品質のコントロールなどが可能になり、高度な農業経営が実現できるものと考えます。また熟練農業者の経験や勘に基づいたたくみの技術が見える化でき、若手の農業者へ技術を継承していくことが容易になるのではないでしょうか。
 一方、本県の茶業に目を向けますと担い手の高齢化や労働力不足に加えて茶園が小規模で傾斜地が多いことから、北海道のような大型の無人農業機械を導入して自動化、省力化を一律に進めることは難しいと考えられます。またお茶をつくれば売れる時代ではないため、品質や生産量をしっかり管理する仕組みを茶工場に整えることが必要ではないでしょうか。
 このような課題を解決するためには、関係者が連携し本県の特性に合ったスマート農業を早急に実装していくことが必要と考えます。これに対する県の所見をお伺いいたします。
 次に、県道鷹岡柚木線龍巖橋の改修について伺います。
 元来、新々富士川橋のアクセス道路の役割を図るべく事業化をされました県道鷹岡柚木線はこれまでに実施された一部の道路拡幅等により混雑は若干緩和されているものの、まだ朝夕の通勤・通学の時間帯を中心に交通量が多く渋滞による不便を余儀なくされております。中でも昭和二十年代後半に潤井川にかけられた龍巖橋は今もなお健在で有効に活用されていますが、橋梁幅は狭くクランク状態に変則的に曲がっているため通勤時間帯には渋滞をきわめ、歩行者や自転車が安全・安心に通行できるとはとても言えない状況にあります。また老朽化とともに近年頻発している異常気象による集中豪雨などでいつ橋脚が流されるかもしれません。さらに高度経済成長期前にかけられたこの橋のため耐震性も十分ではないと考えられます。
 そのような中、昨年は六月に大阪府北部地震、九月には北海道胆振東部地震と大規模地震が相次いで発生しました。本県でも切迫性が増す南海トラフ巨大地震への備えは喫緊の課題であり、地域の暮らしや安全を保障する龍巌橋は老朽化対策と耐震対策を至急行っていく必要があると考えます。また交通渋滞の解消など地域住民の利便性向上のためにも老朽化対策や耐震対策に加えて拡幅やかけかえなどを含めた改修を早急に考えなければならないと思います。
 また、この場所は富士山と潤井川の渓流と珍しい溶岩の組み合わせですばらしい富士山ビュースポットとなっております。春には河岸に連なる桜や菜の花をめでる住民や観光客、夏には河原でバーベキューを楽しむ家族連れなどでにぎわっております。特に晴れた日に橋の上から見る雪をまとった富士山、岩間を流れ落ちる潤井川の清流、絶妙なコントラストで咲き誇る桜と菜の花のコラボレーションはまさに絶景で川沿いの遊歩道や駐車場、トイレ、売店等の整備も戦略的に検討して実現すれば地域の新たなすばらしい観光地となり観光振興にも役立つと思います。
 富士山観光ビューローによれば、昨年度龍巖橋を訪れた観光客は七千五百六人、前年の千三百七十五人の約五・五倍と急増し観光バスの数も二百台と前年の四十台から大幅に増加をしました。これは地元にとっては非常に歓迎すべきことではあるのですが、残念なことにこの狭くて大きな車が通るときにすれ違いも困難な龍巖橋の上で写真撮影する観光客の姿が頻繁に見受けられるようになってしまいました。ただでさえ通行に気をつけなければならないのにいい写真を撮りたいという気持ちがはやり注意が散漫になっている撮影は危険この上なく、いつ死亡事故が起きるかわかりません。
 このように、老朽化だけでなく観光振興のためにも龍巖橋の改修は必要であると考えます。県道鷹岡柚木線龍巖橋の改修について県当局の考えをお伺いいたします。
 次に、良質で低廉な工業用水の安定的な供給について伺います。
 工業用水は、産業の血液と称されるほど製造業等にとって必要不可欠なものであり、今後もものづくり県である静岡県が発展していくためには工業用水が低廉かつ安定的に供給されることはとても重要であります。
 しかし、全国的に節水技術の向上や企業の統廃合により年々工業用水の使用量が減少しており、本県では平成三十年度の一日当たりの使用水量は十年前の三分の二まで減少している状況であります。富士市は工業用水や広域交通基盤に恵まれ製紙業の発展により全国有数の紙のまちとして広く知られる市となりましたが、近年はペーパーレス化の進展により洋紙事業の生産規模が縮小をしております。こうした中、日本製紙が洋紙事業を縮小するという新聞報道もありました。
 現在、富士市内には県が整備した東駿河湾、富士川の二つの工業用水道があり日本製紙は富士川工業用水の大口ユーザーでありますが、仮にこの日本製紙が工業用水を使用しなくなった場合、富士川工業用水の経営状況は非常に厳しいものになることが見込まれます。またいずれの施設も建設から四十年以上が経過していることから今後管路等の修繕や更新に莫大な経費が必要となり、さらに経営を圧迫することが危惧されます。
 工業用水事業はユーザーの料金により運営されており、持続的に水を供給していくためには料金の引き上げも検討しなければならないかもしれませんが、ユーザーにとって燃料費や人件費等生産や物流にかかるコストが上昇する中での料金の引き上げは死活問題となります。
 岳南地域は、かつて地下水の過剰揚水により水位の低下や塩水化を招き深刻な環境問題となった歴史があります。製紙には良質な水が必要とされますが、料金の引き上げにより経費圧縮のため工業用水のユーザーが地下水への逆転換を図れば再び岳南地域に塩水化が発生し製紙業へさらなる打撃を与えることも危惧されます。
 以上のことから、ユーザーへの影響を最小限にとどめつつ良質な工業用水を将来にわたって安定的に供給していくために企業局としてどのように対応していくのか伺います。
 最後に、東部、伊豆半島地域の振興に向けた体制について伺います。
 土屋副知事は、伊豆半島地域を担当する初めての副知事として平成二十七年八月に就任をされました。知事は平成二十七年六月定例会において、伊豆半島地域は人口減少が著しく基礎的な自治体の枠組みを超えて広域的な視点に立った行政運営の仕組みづくりに取り組むことは喫緊の課題である、こうした課題解決を一層加速させるためには市町と連携して地域を牽引する力強いリーダーが不可欠であり、そうした判断のもと伊豆半島地域を担当する副知事を設置することとしたと説明されております。現在土屋副知事はふじのくにの地域分権の推進、伊豆半島地域の振興、富士箱根伊豆地域の県境振興、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの四つの特任事項を担当されておりますが、土屋副知事のもとさまざまな成果が出ているとの声も多く聞き我々も評価をしているところであります。
 そのような中、土屋副知事は七月末に任期を迎えますが、知事は県東部及び伊豆半島地域の振興や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの円滑な実施に向けて、今後どのような体制で臨もうとしているのかお考えを伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 植田議員におかれましては、六月本会議の締めくくりの質問をしていただきましてありがとうございました。人生には挫折はつきものであります。特に乾坤一擲の勝負をかけて、こと志にかなわなかったときの挫折感というのは深いものがあろうと存じます。
 しかし、大切なのは挑戦するスピリット、元気を失わないことであります。植田議員におかれましてはそれを失わずに本日のような立派な質問で締めくくっていただきまして御同慶の至りであります。これからもお元気で御活躍ください。
 植田議員にお答えいたします。
 富士山の眺望を活用した観光地域づくりであります。
 富士地域は、世界遺産富士山を地域の至るところから眺望することができ美しい自然景観、豊かな食材などに恵まれた地域であります。岩本山につきましては植田議員から御紹介をいただいた、そういう経緯が私にはございます。
 富士山の眺望に加え眼下の富士川また駿河湾、伊豆半島と世界クラスの地域資源を一望することができ、先ほど御紹介いただきましたように梅、桜など四季折々の花が咲き誇り豊かな自然に親しむことのできるすばらしい公園であります。
 新東名が平成二十四年四月十四日に開通いたしました。もし富士山を見ることのできるPAなりSAなりをNEXCO中日本が真剣に考えていたとすれば、あそこはピカイチの選定場所になっただろうと存じます。それ以降何とかそこにアクセスできないか、いろいろとアプローチいたしましたけれどもかなわないということでございます。
 しからば、東名の富士川楽座からロープウエーで岩本山に行けないかということも考えました。しかし高圧電線との絡みがありましてこれも極めて難しいということで現在に至っております。
 しかしながらこの岩本山の地域を、岩本山を積極的にPRすることで人気の観光地となる可能性を十分に秘めているというふうに考えております。このため私どもは富士市や関係団体などと連携し、岩本山からの眺望を初め日本夜景遺産に登録された岳南電車から見る工場の夜景、歴史ある妙法寺や実相寺、田子の浦港で水揚げされるシラスなど富士地域の有する観光資源を組み合わせて魅力的な旅行商品づくりに取り組むということとともに、インスタグラムなどSNSを活用し国内外に向けて情報発信してまいります。
 また、今後開催を予定しております首都圏、中京圏、関西圏等での観光商談会におきまして岩本山を初めとする当地域の魅力を積極的にPRすることで、富士地域全体への誘客につなげてまいりたいと考えております。
 さらに、岩本山の山頂部の整備につきましては県はこれまで観光施設整備事業費補助金により公園管理者である富士市が実施なさっている遊歩道や駐車場等の整備に助成してまいりました。今後も富士市や地域住民の方々による岩本山とその周辺の魅力をさらに高める取り組みを積極的に支援してまいる所存であります。
 富士山は日本の国土の統合のシンボル、かつ人類共通の宝となりました。県といたしましては地域の皆様と手を携えてこの類いまれなる美しい富士山の眺望を生かし、国内外から憧れを呼ぶ世界水準の観光地域の形成を目指してまいります。
 次に、東部、伊豆半島地域の振興に向けた体制についてであります。
 県職員経験者を副知事に任用するに当たりましては一期四年を一区切りと考えております。土屋副知事の任期はこの七月末をもって満了いたします。それによって土屋副知事は任期満了をもって退任することとなります。
 土屋副知事は、平成二十七年八月に就任以来ふじのくにの地域分権の推進、伊豆半島地域の振興、富士箱根伊豆地域の県境を越えた連携、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックを担当いたしました。この四年間、賀茂地域一市五町との連携による消費生活センターの共同設置や徴税事務の共同処理、また伊豆半島のユネスコ世界ジオパーク認定、さらに伊豆縦貫自動車道天城北道路の開通等々多くの成果が出たことを喜んでおります。
 東部、伊豆半島地域の振興や東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックなどの円滑な運営につきましては仕組みづくりや道筋が整ってまいりました。今後は土屋副知事を静岡県特別補佐官に任命いたしまして、これまでの実績を生かして東部、伊豆半島地域の振興や開催を一年後に控える東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの円滑な運営に向けた諸課題の解決に現場で御尽力をいただくということにいたしました。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○議長(鈴木利幸君) 佐藤政策推進担当部長。
       (政策推進担当部長 佐藤典生君登壇)
○政策推進担当部長(佐藤典生君) 若年層の人口流出への対応についてお答えいたします。
 本県では、若い世代の皆様の県外や海外に出て挑戦し知識経験を深めたいという高い志を最大限尊重すべきと考えております。こうした視点に立ち本県を離れた若者との関係を築きながら静岡県に戻って力を発揮したい、活躍したいと思える魅力的な地域づくりに全県を挙げて取り組んでおります。
 具体的には、新産業集積クラスターやCNFプロジェクト、マリンバイオテクノロジーを活用した次世代産業の創出や本社機能の移転を含めた高付加価値型の企業の誘致を進めることで若者にとって魅力的と感じる雇用の場の創出に注力しております。また就職支援協定を締結した全国二十六大学の学生や保護者に本県企業や地域の魅力を丁寧に伝えているほか、本年三月に高校等を卒業した学生全員にふじのくにパスポートを配付しふるさととつながり続ける新たな仕組みも構築いたしました。
 議員御指摘のとおり、若い女性の転出超過が顕著であるため女子学生の多い大学との協定締結を図るなど若い女性をターゲットとした就職支援も充実してまいります。また企業の若手職員と女子学生との交流会の開催や、学生が先輩女性の仕事と家庭を体験するワーク&ライフ体験の実施など女性が活躍する環境を体感できる取り組みを積極的に展開してまいります。
 UIJターンを考えている若者に対しましては、本県への関心をさらに高めていただけるよう移住ポータルサイトを開設し二十代、三十代の移住者の増加につなげております。移住相談センターの就職相談機能の拡充や首都圏と比べ働きやすく住みやすい本県の魅力のPRなどを通じて自分らしい生き方や働き方を模索する若者を呼び込んでまいります。
 来る八月四日には、本県の将来を担う若者から施策提案をいただく会議を開催いたします。いただいた御意見はまち・ひと・しごと創生県民会議や地域会議の場でも共有し、若い世代が望む未来の地域づくりに向けた施策を構築してまいります。
 今後とも、東京一極集中が日本の危機的状況を招いているとの認識のもと若者の皆様が夢を実現し、静岡県に住みたい、戻りたいと思っていただける地域づくりに全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 植田基靖君登壇)
○文化・観光部長(植田基靖君) 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの事前キャンプ誘致に向けた取り組みについてお答えいたします。
 事前キャンプの受け入れは、若者を初めとする住民の皆様のスポーツへの関心や意欲を高めるだけでなく国際理解の促進と地域の知名度向上、魅力発信に大きな効果が期待されます。このため県では平成二十六年、全市町、競技団体等で構成する東京オリンピック・パラリンピック事前キャンプ誘致推進協議会を立ち上げ、誘致計画の策定や海外PRツールの作成、キーパーソンの招聘、欧州等への海外現地連絡員の設置を行うなど市町と一体となった誘致活動を積極的に行ってまいりました。
 こうした取り組みにより、現在事前キャンプ受け入れの覚書が県内十四の市において十九件、九カ国一地域との間で締結されるとともに、十五の市町が大会参加国と地域との交流を推進する国のホストタウン構想に登録されております。いずれも全国トップクラスの件数であり大きな成果を上げているところであります。
 議員から御紹介のありました富士市を初め覚書を締結した自治体におきましては、既に相手国との積極的な交流が始まっております。例えば焼津市では誘致したモンゴル国の陸上やレスリング選手の強化合宿を受け入れるとともに市内の中学、高校生との合同練習や両国の子供たちとの相互訪問などの交流活動が活発に行われております。
 オリンピック・パラリンピック開催一年前となり、これまで注目されてこなかった規模の小さな国々や本県で開催される自転車競技の海外チームからの受け入れ要請の打診もあります。より多くの事前キャンプの誘致が実現するよう取り組みを進めるとともに、世界の国々との交流拡大が図られるよう引き続き市町を積極的に支援してまいります。
 県といたしましては、こうした国際交流の取り組みが大会期間前後の一過性のものに終わらず次世代へとつながるレガシーとなっていくよう市町と連携し、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催効果の最大化に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 池田健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池田和久君登壇)
○健康福祉部長(池田和久君) 超高齢社会に対する県の取り組みについてお答えいたします。
 年齢を重ねても住みなれた地域で最期まで自分らしく暮らし続けることができる体制を整備するためには、地域における生活に必要な支援の担い手を確保することが重要であります。人手不足に悩む県内の介護事業所は外国人介護人材に大きな期待を寄せているため、県では受け入れ方法や就業事例を紹介するセミナーのほか雇用のための相談などを行い支援してまいりました。今年度は新たに県内の介護事業所とともにフィリピンを訪問し、現地で介護や看護を学ぶ大学生等に本県の介護事業所を就業先として紹介するなど外国人人材の確保に積極的に取り組んでまいります。
 さらに、技能実習生や特定技能外国人を対象に、いち早く職場に溶け込み介護の仕事を身につけ自信ややりがいを感じながら働くことができるよう介護現場で必要な日本語や介護技術に関する教育を行い事業所への定着を支援してまいります。
 一方、地域における住民相互の支え合いにつきましては生活支援コーディネーターを中心に市町や社会福祉協議会等の協力を得て生活支援サービスの担い手となる地域住民が主体となり、通院や買い物など日常生活上の困り事を手助けする取り組みが始まっております。
 県では、このような活動をさらに広げていくため移動支援サービスのモデル事業や担い手の方々を対象に好事例の共有と意欲の向上を図る交流会を開催し、住民相互の支え合いの活動を支援してまいります。
 県といたしましては、超高齢社会においても誰もが暮らしやすい地域社会を実現するため市町や介護事業者、社会福祉協議会等と連携しながら国内外を問わず幅広い介護人材の就業、定着を図るとともに住民がともに支え合う体制の整備に全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 茶業におけるスマート農業の実装についてお答えをいたします。
 本県におきましては、お茶の生産者は複数箇所に分散している茶園を管理していることが多く茶の生育や病害虫の発生状況を確認する巡回作業に多くの時間を費やしております。また荒茶に加工するために生産者が茶工場に持ち寄る原料の生葉は個別に収穫時期を判断するため生育程度が異なるものが集まり、品質が安定しない一因となっております。これらの課題を解決するためにはAIやIoT等の先端技術を用いて茶園ごとの生産状況を把握するスマート農業技術の導入が有効であります。一方こうした先端技術を生産現場に普及していくためには費用対効果の検証が不可欠となります。
 このため、県では生産者やJA、機械メーカーなどとコンソーシアムを組織し作業時間の二五%削減と荒茶販売額の一〇%増加を目指して本年度から牧之原市と島田市の三つの茶工場においてスマート農業技術の導入効果の実証に取り組んでおります。
 具体的には、画像カメラを搭載したモニタリング機器を分散した六十カ所の茶園に設置し、茶工場などから生育状況を確認する仕組みを導入いたします。加えてスマートフォンを用いて記録した作業データを解析し作業の体制や手順の見直しを図ることで、作業員の効果的な配置や巡回時間の削減を図ってまいります。
 さらに、県の茶業研究センターが開発した新芽のAI解析技術を活用して茶の生育程度を数値化することにより、その数値をもとに均一な生葉を収穫し高品質な荒茶の生産を実現してまいります。
 県といたしましては、今後先端農業技術の開発拠点であるAOI−PARCとも密接に連携しつつ、本県茶業の特性に合ったスマート農業の実装を加速化することで生産性をより一層高め、より高い付加価値を生み出すことのできる本県茶業の基盤強化に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 県道鷹岡柚木線龍巖橋の改修についてお答えいたします。
 県道鷹岡柚木線は、富士市の北部地域と中心市街地を連絡する地域の経済活動や住民の生活を支える重要な道路であります。富士市岩本で潤井川にかかる龍巖橋は架設後長期間が経過し、これまで橋脚の洗掘防止など保全対策を実施してまいりました。県では橋梁の長寿命化に向けて予防保全管理による計画的な補修を行うとともに、古い基準で設計された橋梁の耐震補強を令和四年度までに実施する方針であります。
 こうした方針のもと、龍巖橋につきましては今年度補修及び耐震補強の設計を実施することとしており、この中で拡幅の可能性などにつきましても検討するとともに富士市と連携し龍巖橋隣接地を利用した見通しの改善や撮影スポットとしての活用による通行車両と観光客の安全性の向上を図ってまいります。
 県といたしましては、富士山の眺望と潤井川の景観にすぐれたこの地点の特性を十分に生かしながら長年親しまれてきた龍巖橋を引き続き適切に保全・改修し、安全・安心の確保と交流の拡大を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 松下企業局長。
       (企業局長 松下育蔵君登壇)
○企業局長(松下育蔵君) 良質で低廉な工業用水の安定的な供給についてお答えいたします。
 企業局は、国内屈指の規模を誇る工業用水道におきまして老朽化した施設の健全な管理のため水道施設更新マスタープランをもとに長期修繕・改良計画と経営戦略を策定し、投資と財源を均衡させながら施設の改築と工業用水の安定供給に取り組んでおります。特に岳南地域では工業用水の需要が多く、東駿河湾及び富士川工業用水道は長年企業局の工業用水道事業の屋台骨を支えてまいりました。しかしながら議員の御指摘のとおり近年の大口ユーザーの相次ぐ利用廃止により経営状況は急速に悪化し、このままではどちらの工業用水道も単独では事業が継続できなくなるおそれが生じてまいりました。
 そこで、企業局では早急な対策が必要であると考え両工業用水道の間での効率的な水運用や施設及び管路網の再編の検討に着手いたしました。
 具体的には、施設の維持管理と改築に係る費用の縮減やリスクの軽減などさまざまな視点から事業の統合も含めて比較検討を行い、最も効果的かつ効率的な提案をユーザーの皆様にお示しし御意見を伺いながら対応策を決定してまいります。
 今後も、水需要の変化に応じて計画を適時的確に見直し改築時のダウンサイジング、新工法の採用や省エネ設備の導入等による経費節減と新規顧客開拓など収益確保の努力を継続し、良質で低廉な工業用水の安定供給に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) これで植田徹君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で質疑及び一般質問を終わります。

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