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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成20年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

杉山 盛雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/09/2008

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 静岡県の行政改革について                     
2 消防団に対する県の支援について                  
3 県営住宅の再生事業について                    
4 県東部地域の観光振興について                   
5 沼津港の港湾振興ビジョンを推進する港湾整備の取り組みについて                              
6 がん医療における治験の充実について



    ○議長 (天野 一君)  ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、 知事提出議案第百四十二号から第百四十四号まで及び第百四十六号から第百八十二号までを一括して議題とします。  
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 五十一番 杉山盛雄君。
            (五十一番 杉山盛雄君登壇 拍手)
    ○五十一番 (杉山盛雄君)  おはようございます。
     私は自由民主党所属議員といたしまして当面する県政の諸課題について、 知事及び関係部局長にお伺いをいたします。
     初めに、 静岡県の行政改革について伺います。
     世界的な株価の不安定、 急激な円高など経済状態が大きく揺れ動く中、 この影響は地域経済にも波及し、 今後、 地方自治体は厳しい財政運営を強いられるだけでなく、 円滑な経済活動の支援や住民生活の安心・安全の確保のための対応を行わなければならないなど、 難しい行政運営が続くことが予想されます。 こうした状況に的確に対処をし県民が求める行政サービスを提供していくためには、 しっかりとした行政運営を行うことが大切であると考えます。
     県では、 平成六年度から、 当時行政分野では余り使われていなかった生産性の向上という言葉をキーワードとして、 まずは職員一人一人が行政改革の担い手となるための意識改革を中心に進め、 業務棚卸表の導入、 ひとり一改革運動の展開、 組織のフラット化の実施、 総務事務の委託化など、 全国初や全国一の取り組みを知事の強いリーダーシップのもとに職員が一丸となって行ってまいりました。
     最近では、 行政改革の先進県として全国から注目を集めるだけでなく、 ひとり一改革運動が全国知事会の先進政策創造会議において優秀政策として表彰されるなど、 その取り組みや効果についても全国レベルで評価をされてきておると聞いております。 そしてこうした一連の行政改革により、 県では職員の適正配置や健全財政に努めるなど多くの成果も上げ、 県民のニーズにこたえることのできる行政運営を目指してまいりました。
     しかし、 どれほど先進的で評価の高い行政運営でも、 地方自治体を取り巻く状況が大きく変化をしている中、 ただ繰り返しているだけでは制度疲労を起こし、 役に立たなくなってしまうと考えられます。 毎年のように変化をし、 厳しくなる状況にも十分に対応し、 常に最高の行政サービスを提供していくことを職員一人一人が自覚をし、 意識改革をしていくことが真の行政改革であると考えます。
     県では、 この厳しい状況に対し、 より高い効果を上げるため取り組みを始めたころの行政改革と現在では、 どのようなところを見直し、 また発展をさせてきたのか伺います。
     また、 今後も本県が行政の生産性の向上を目指し、 県民ニーズに的確にこたえていくためには、 どのような点に注目をし、 行政改革を進めなければならないと考えているのかあわせて伺います。
     次に、 消防団に対する県の支援についてお伺いします。
     消防団は地域の安心・安全の確保のため住民の自発的な参加によって構成される組織で、 地域密着性、 動員力及び即戦力といった面ですぐれており、 地域における消防防災の中核的存在であります。 また消防団員は、 通常は各自の職業に従事をしながら、 一般住宅における火災など、 いざ災害が発生した際にはいち早く現場に駆けつけ災害防御活動を行っております。 一方で、 災害時以外の活動においても、 戸別訪問による防火指導や応急手当の普及指導、 地域の行事の際の警戒等、 地域に密着した活動を幅広く行っています。
     近年の災害は大規模化、 広域化の様相を呈しており、 特に本県では東海地震の切迫性が強く指摘をされ、 ひとたび大規模な災害が発生をすれば、 被災した住民の救出や救助、 避難誘導、 さらには避難所の運営協力など消防団に寄せる期待は非常に大きなものがあります。 このように県民の安心・安全のため、 危険を顧みることなく献身的に活動をしている組織が消防団であります。
     地域の防災力のかなめである団員は、 かつては全国に二百万人おりましたが、 現在では八十九万人まで減少しているのが実情であります。 これらの要因といたしましては、 過疎化や少子・高齢化の進行、 就業構造の変化が大きく影響しているものと考えます。 加えて人口の流動化に伴う既存の地域の組織活動になじみの薄い住民の増加なども要因として挙げられると思います。
     本県におきましても、 平成二十年四月現在の消防団員数は二万一千二百三十九人であり、 この二十年間で約四千五百人も減少したと聞いております。 また団員の構成もサラリーマンなどが全体の約七五%を占めるなど、 かつての自営業を中心とした構成とは大きく変化をしております。 一方、 女性団員については近年着実に増加をしており、 優しさやきめ細やかな配慮を生かし高齢者宅を個別に訪問しての防火指導など、 各地域において活躍をしております。 今後の団の活性化を考えますと、 活動内容の多様化や団員の構成などの変化に対応した消防団活性化策を真剣に考えなければならないと思います。
     私の友人の中にふだんは物静かな人のよい男がおりますが、 ある豪雨の日、 河川が心配で見回りをいたしましたら、 大雨の中を陣頭指揮をとって土のうをつくっている彼を見つけ大変に頼もしく感じました。
     余談でありますが、 社長と従業員数名でやっている土木業者が廃業し、 その理由を尋ねると、 電子入札等の対応ができずにその予算もないのでやめたということであります。 しかしその社長は災害があると夜中でも自分のユンボを出し、 自分の生まれ育った町を守ってきたのです。 多くは申しませんが、 いざというときに本当にその地域のために汗をかいているのは、 消防団やそのような人たちなのです。 消防については市町村消防の原則があり、 設置や管理監督の権限は市町村長にありますが、 各市町村が単独で実施する対策にはどうしても限界があるのではないでしょうか。
     そこで、 このような厳しい状況下にある消防団に対し、 社会環境の変化を踏まえながら県民の安心・安全の確保のために県はどのような支援に取り組んでいくのか、 所見を伺います。
     次に、 県営住宅の再生事業について伺います。
     アメリカのサブプライムローンの破綻に端を発した世界的な金融危機等が連日のように報道をされております。 政府与党から定額給付金の支出や住宅取得に対する大型減税などにつきまして提案がなされるなど多少明るい話題もあるものの、 多くの県民が社会経済情勢の今後の成り行きや不透明感に大きな不安を抱いています。 このような景気の後退や先行きの見えない不安定な情勢下にあって、 住宅セーフティーネット機能としての公営住宅の役割は今後ますます重要になっていくものと考えます。 しかしながら県営住宅においては、 住宅の不足が顕著でありました高度経済成長期の昭和四十年代に建築された住宅が四割を占め、 約六千戸の住宅は築後三十年から四十年を経過をし老朽化が著しく進んでいる状況であります。
     このため県では、 老朽化への対策として、 古くて傷みの程度が大きい住宅から計画的に建てかえや構造躯体を残しながら内装や外装を改善し、 エレベーターを設置する全面的改善事業、 浴室や台所などの設備機器を更新する居住改善事業などの再生事業を順次進めており、 例えば私の地元の沼津市の県営今沢団地におきましては、 既に全面的改善事業に着手をしているとのことであります。
     そこで、 今沢団地を初めとする県東部地区における再生事業の計画と、 これまでの実施状況につきましてお伺いをしたいと思います。
     また、 老朽化した住宅を再生し、 安心・安全な住宅として整備をしていくことは大切なことではありますが、 一方で再生事業の実施により、 現在入居されている方々の生活を脅かすようなことがあってはならないわけであります。 住宅が新しくなれば当然家賃も上がることが予測をされ、 また転居などに伴う一時的な出費も必要になってくるものと思われます。 全面的改善事業が行われております今沢団地では、 現在、 入居世帯の約四割が高齢者のみの世帯であるとのことですが、 このような高齢者世帯を初めとして、 これまで以上の新たな負担が重荷になる世帯も少なくないのではないかと思われます。
     県営住宅再生事業の実施に当たっては、 家賃上昇への配慮や再生事業終了後の住宅の確保などきめ細やかな対応が必要であると考えますが、 現在入居している方々の不安を解消するためどのように取り組んでおられるのか伺います。
     次に、 県東部地域の観光振興について伺います。
     本年十月に観光庁が設置をされまして、 観光を将来の我が国の主要産業と位置づけて、 国を挙げて観光立国を推進する動きが一層加速をしている中、 国では、 地域の観光の魅力を高めまして国内外からの誘客と滞在を支援し、 競争力の高い観光地を形成することを重点施策に掲げています。
     本県も、 伊豆を中心に首都圏から多くの観光客を集める県であり、 伊豆の玄関口である沼津、 三島を初め、 富士、 富士宮や御殿場、 裾野といった日本の象徴である富士山の周辺地域には多くの魅力あふれる観光資源があります。 私の地元の沼津は、 港周辺の新鮮な海産物はもちろん長く美しい海岸線といった観光資源に恵まれていることから、 「五感満感 『ぬまづ』 海・道楽」 をテーマに海を強調した観光振興に取り組んでいるところであります。
     東部地域には新幹線や東名高速など東西を結ぶ幹線が通り、 近年、 清水港と土肥港を結ぶフェリーや土肥と沼津を結ぶ高速船の海上交通も利用され、 さらに今後、 東駿河湾環状道路、 新東名高速道路の高速交通網も整備をされ、 伊豆地域を含めた交通網がより便利になるものと予想されます。 また昨年十一月には東部地域の六市四町の行政、 団体で構成する県東部地域コンベンションビューローが設立し、 さらに沼津駅北口に新たなコンベンション施設の建設が計画をされるなど、 交流人口の拡大についても期待できる環境が整いつつあります。
     県の調査によれば、 富士地域については、 富士登山者の増加やF1グランプリの開催等により平成十九年度の観光交流客数、 宿泊客数ともに増加しているものの、 東部・伊豆地域では前年並みにとどまっており、 観光関係者によれば、 今年度の宿泊の状況についても、 経済環境の悪化により余り芳しくないとのことであります。
     こうした状況の中、 今後、 東部地域が一体となって最大のマーケットである首都圏からの観光客の誘客に取り組むことにより、 この地域の活性化も図られると思いますが、 県の所見を伺います。
    次に、 特定地域振興重要港湾である沼津港の港湾振興ビジョンを推進する港湾整備の取り組みについて伺います。
     県東部地域の中核的な都市である沼津市は、 首都圏に近接をし、 富士・箱根・伊豆地域の交通上の要衝となっており、 このことから観光の玄関口である沼津港の整備拡充が重要と考えています。 また富士山ろくでの先端健康産業の集積を図るファルマバレーの形成など新たな産業の育成や農水産物のブランド化、 地産地消の展開などにより地域産業を活性化させ、 東部地域全体での連携と機能分担により、 百万人都市圏を目指すことが目標像と確信をしております。
     このような中、 平成十二年五月沼津港と松崎港が一体となって地域の振興や活性化の観点からその振興が強く求められる港湾として、 国から特定地域振興重要港湾の指定を受けております。 これを受け、 港の持つポテンシャルを市民の視点から見直し、 両港が観光を中心として連携することによって地域振興を図る沼津港港湾振興ビジョンが平成十四年三月に策定をされたところであります。
     策定以降、 県や市は関係団体の協力を得てビジョンの促進を図っておりまして、 平成十六年九月には展望台を併設した大型水門びゅうおが、 平成十七年十二月には水産関係者や観光客のための立体駐車場ぬまづみなとパーキングが、 平成十九年十一月には港内を展望するデッキや魚市場の競りの見学ができる通路を備えた水産複合施設イーノが次々に完成をしたところであります。 これらの整備により沼津港の周辺は大変なにぎわいを見せており、 本年十一月までにびゅうおの入場者は約四十二万人、 立体駐車場の利用は約五十万台、 イーノの魚食館はオープンからわずか一年で約十六万人が利用されていると伺っております。
     市は総合計画において、 沼津港を五つの交通拠点  ファイブエントランスの一つ、 南のエントランスとして位置づけておりますが、 こうしたにぎわいによりますますその魅力が高まってきております。 さらにこれを受け、 港周辺のにぎわいを中心市街地に取り込む施策を打ち出すなど、 振興ビジョンによる施設整備の効果は着実に進行しているものと感じているところであります。
     平成十五年九月には、 沼津、 松崎港に就航していた 「コバルトアロー」 が撤退をし、 これにかわりまして 「ホワイトマリン」 が戸田漁港から土肥港まで航路を延伸することになりました。 伊豆西海岸唯一の航路となった 「ホワイトマリン」 は、 平成十九年六月には新造船が導入をされ、 従来の定期航路に加え湾内遊覧など新たな取り組みが行われております。 若干余談でありますが、 先日、 沼津の少子化を憂えて、 私もこの 「ホワイトマリン」 を貸し切りまして、 八十名の男女でいろいろな仕掛けをしてまいりました。 カップルができるように船上お見合いパーティーというものを開催いたしまして大変に好評でありました。
     また、 本年七月には首都圏から直通高速バスが沼津港まで乗り入れるなどバス業界の事業展開も見られ、 これらに対応した港湾整備も求められております。  
     そこで、 平成十四年三月の沼津港港湾振興ビジョン策定以降、 さまざまな状況が変化している中で、 港湾管理者である県として沼津港の整備に今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。
     最後に、 がん医療における治験の充実についてお伺いをいたします。
     我が国において、 がんが死亡原因の第一位となった昭和五十六年より既に二十六年が経過をいたしました。 この間、 食生活の欧米化等により、 がんの種類にも変化が見られ、 胃がん、 子宮がん等の死亡率、 罹患率が最近十年間横ばいであるのに対し、 肺がん、 大腸がんなどが増加傾向となっております。 これに伴いがんの治療法も、 胃がん等に適していた手術中心から種類によっては放射線療法が手術と同様の治療効果を発揮できるようになり、 また新たな抗がん剤が多く開発をされてきたことで、 手術、 放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた集学的治療が進められてきております。
     こうした中、 本年十月全国がん成人病センター協議会が加盟施設の一部について五年生存率を公表いたしました。 静岡がんセンターは五年生存率を調査するためのがん登録の開始が平成十七年一月であるため、 今回の発表には含まれておりません。 しかし胃がんで最も高い病院の生存率が八一・六%、 大腸がんで八三%などとなっており、 今後一層のがん医療の発展を期待するものでありますが、 私は我が国のがん医療のますますの発展には、 手術技法や適切な抗がん剤の投与など医療従事者の技術向上はもちろん不可欠ではありますが、 新しい薬や新たな治療法等の開発のため治験への取り組みを推進することも必要であると考えております。
     治験とは、 新薬の開発等を行う際に、 国の承認、 許可を得るために安全性と有効性を確かめるための臨床試験のことであります。 我が国における治験の状況を見ますと、 「積極的に行われる体制にはない」、 「情報提供が不足をしており、 患者や一般の方々の理解を得にくい」、 「製薬企業も海外で治験を先行させるケースが多い」 などとの報道もあり、 決して満足できる体制にないものと感じております。
     現在、 私たちが使用している多くの医薬品も治験を経ており、 新しい治療法や薬を待つ患者や、 ますます高齢化が進み罹患者数の増加が見込まれる今後を考えますと、 治験の充実ということは大変重要と考えますし、 本年三月県が策定をいたしました静岡県がん対策推進計画でも、 診断・治療の戦略として治験の充実が挙げられております。
     こうした中、 静岡がんセンターでは開院早期より取り組み、 本年八月には世界規模の製薬メーカーであるアストラゼネカ社と、 抗がん剤の開発で国内で初めて基礎研究と臨床試験を同時に開始をする包括契約を締結をされました。 これは治験への取り組みが高く評価されたものであると認識をしておりますが、 一方、 欧米では既に承認をされている有効な薬剤が日本では承認されず、 患者に使用可能になるまで何年もかかる、 いわゆるドラッグラグの問題や人種による薬剤の効果の違いが明らかになってきており、 我が国において迅速に進める体制の構築が必要であると聞いております。  
     そこで、 今後一層治験が充実をされがん医療が発展することを期待をいたしますが、 静岡がんセンターの治験の現状と今後どのように取り組まれるのか伺いまして、 私の質問を終了とさせていただきます。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (天野 一君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  杉山議員にお答えをいたします。
     初めに、 静岡県の行政改革についてであります。
     本県の行政改革の取り組みは、 単に歳出の削減を目指した職員数の削減とか、 あるいは事業の縮小・廃止をすることを目的としておりません。 職員の意識を変革しながら仕事のやり方を抜本的に見直して、 有限の財源、 人材の中で無限とも言っていい行政需要に的確にどう対応するか、 これを実現をすることを目的として取り組んでおります。
     その結果、 ある意味では長い期間かけて行政改革の手法もいろいろ試行錯誤を経ながらたどり着きました現状、 ある一定のこれで成果が出るのではないかと思われる一つの形ができてきました。 これがいわゆる新公共経営というものでありまして、 これをもとに当面、 今のいろんな社会経済状況を考えると、 この手法をより磨いていくと、 これをより徹底するということで、 行政の生産性向上を目指した行政改革の目的は相当程度達成されるのではないかという考えで今いるわけであります。
     具体的に言いますと、 新公共経営のポイントになりますものは、 我々が行います行政サービス、 県の取り組みます仕事が、 何のためにやっているかという原点に立ち返るならば、 これは当然県民のために行っているわけでありますから、 我々が行っている仕事やサービスの内容が、 県民の視点で見て評価をしやすいようなまず目標設定が大事だと、 そういうことから従来の行政分野で設定されておりました目標の立て方、 これはいわゆる行政行為によって何が生み出されたか、 例えば道路であれば何キロバイパスが完成したかとか、 何キロ舗装されたとか、 何%舗装率が向上したとか、 こういうことが行政の達成目標とされてまいりましたが、 これは言うなれば行政の結果生み出されたものですね。 ところが往々にしてそのような目標設定は、 住民の皆さんにとってみると、 それが自分たちの日々のいろんな生活や行動にどういう影響を与えるかわかりにくいものばかりなんですね。  
     一方で、 今度は組織の内部で考えますと、 より多くいろんなものを生み出したほうがいいという目標設定になっておりますと、 組織やあるいはそれに携わる人員とか予算、 これがどんどん拡大すれば拡大するほど業績が上がったということにもなりかねませんので、 結局は右肩上がりの増分主義の行財政運営に歯どめがかからないということになってきちゃったわけであります。
     ところが、 そういう行政行為で生み出された結果が住民にとってどういう意味があるのか、 効果があるのかと、 そういう成果、 住民にとっての成果、 わかりやすい目標設定、 これを行うということにいたしました結果、 どういう現象があらわれたかというと、 単に組織や定数や予算を拡大すればいいというものじゃないと。 究極の目標、 住民にとってプラスになる、 そういう効果をあらわすためにはどういう手法が最適なのかというように、 意識  頭の使い方が変わってきたということですね。
     もちろん、 それは単に目標設定を変えたから自動的にそういうふうに頭が切りかわったという単純なものじゃありません。 それを推し進めた大きな原動力の一つがひとり一改革であります。 常にそういう目標に向かってみんな考えてほしいと、 改善してほしいと、 こういう一種のプレッシャーといいましょうか、 そういう動機づけをする、 これがひとり一改革でありますし、 またひとり一改革もいい提案であればみんなでこれを評価すると、 褒めると、 こういうことも必要だということで表彰制度も加味しながらひとり一改革を行ってまいりました。
     これらの我々がやっている取り組みを、 単に目標だけじゃなくて、 どこの組織がどういう目的で何を幾らの人員で幾らのお金をかけて実行しようとしているのか、 そして今それがどこのレベルに、 どういう段階にあるか、 これをあらわしたものが業務棚卸表というものでありまして、 一つの事業を一枚の紙に全部表示をする、 そのことによって行政が見えやすくなる。
     この業務棚卸表を典型例にして、 いわゆる民間企業で最近はよく重要視されます、 いろいろなことの 「見える化」、 だれからもよくわかると、 それが客観性を保証する道にもなります。 よく見えれば意見も言いやすい、 批判もしやすい、 あるいは成果の評価もしやすいとこういうことになります。 こういう 「見える化」 というものを一つのキーワードにしながら、 業務棚卸表にそれらを全部、 できるだけ見える化できるような表現、 表示をすると、 こういうことも伴っていろいろ行政改革を進めてきたわけであります。 今のようなトータルしたものが新公共経営と言われる手法であります。
     幸い、 決算審査に当たっても、 この業務棚卸表などをベースにいろんな決算審査が行われてくるようになったというふうに伺っておりますので、 これがさらにもっともっと単に議会だけではなくて、 県民の皆様も日常的に何かちょっと疑問に思ったり関心を持ったときにこれを見ていただくと、 よりもっと県政への関心が高まるし、 また参画もよりしやすくなるんじゃないかというふうに、 今のところは感じておるわけであります。
     こういう今到達した新公共経営、 これを別な表現で言いますと、 何というか、 管理する行政から経営する行政というふうに表現してもいいと思うんです。 これは単に知事である私がそういう観念でただひとり合点でやっているというだけではなくて、 職員一人一人がそういう方向へ意識をして日常の仕事を行うと、 こういう方向へ今向かいつつあると。 これが組織の隅々まで徹底しているとはとても言いがたいわけでありますけれども、 そういう方向に向かって着実に進みつつあるというふうに、 今、 私は把握しているところでございます。
     こういうことが、 先ほど杉山議員のほうからも御紹介いただきましたような、 全国のさまざまな同じ分野の人たちの、 例えば協議会とか研究会とかいろいろな情報交換の場がありますけれども、 そういう場で本県のいろいろ取り組みを発表し、 提供して、 大変高い評価を得、 その中には特別な表彰対象になるというものが続発していると言ってもいい状態であります。 今後、 さらにこのような職員一人一人の高い意識を持った仕事の遂行を通じて行政の生産性を一層高めていきたい。
     また、 このような取り組みの成果を県内の市町村やあるいは中小零細企業の皆様方にも、 一緒になって改革の取り組みの発表会などで公表する、 それがある意味では、 参加している市町村や民間の中小企業の人たちにも刺激になるきっかけにもなるし、 また逆に、 まだ生ぬるいと、 もっとこういう点があるじゃないかというような御意見もいただくチャンスになるということで、 これは平成十九年度から、 生産性の向上のシンポジウムといいますかフォーラムといいますか、 こういうものも開催をしてきておるところでございます。
     今後とも、 我々が今行っております手法はもうありとあらゆる社会経済情勢に通用する万能のものだという思い込みは、 これは逆に改革を阻害することになると思います。 杉山議員がお話のように、 やっぱり時代状況に応じてとるべき手法と言いましょうか、 手段、 方法は変えていくべきだと思うんです。
     私も若いころ、 沼津市の水産流通加工の分野で、 会社の規模は大きくありませんけれども長年にわたってすばらしい経営実績を遂げている経営者の方から、 「石川さん、 組織とか仕事というのは、 始めたときから、 いつつぶすかというのを考えてやらないとだめですよ」 と、 こういうことを言われまして、 私もそれは単に言葉だけで響いたというよりも、 なぜそうかというようなことについてもそのときいろいろお話を伺って、 それをもとにいろんな社会現象を見ておりますと、 確かにそのとおりだという実感を持っておりますので、 いろいろやり始めることについても、 常にこれが始めたときと今と見比べて時代状況にそぐわないかどうか、 これは常に十分に神経をとがらしていく必要がある。 それを実際に私一人だけじゃなくて、 組織全員が同じように認識を共有化して当たるということが重要でありますので、 そういう意味でも 「見える化」 というキーワードのもとに業務棚卸表でいろいろなことを表示していくということは、 これはいろいろな状況が変わっても、 これはかなり有効性は長期に存続するじゃないかと、 こんな感じもいたしているところでございます。
     次に、 東部地域の観光振興についてであります。
     県東部地域は、 本県最大の観光マーケットであります首都圏からの交通の便もよく、 富士山や温泉、 食などの観光資源にも恵まれておりますけれども、 より一層観光の振興を図るためには、 地域が一体となった情報発信や誘客活動など、 その魅力を十分発揮させる取り組みが重要であると考えております。
     これまで旅行業界の一種の常識というんでしょうか、 送客に困ったときには伊豆半島を取り上げればいいと、 要するに安全パイとして伊豆半島が評価をされておりましたけれども、 しかし昨今の旅行形態を見ますと、 そういう旅行業者、 旅行の専門業者が企画した旅行商品に乗っかって旅行する人の割合はどんどん減ってきているわけですね。 むしろ直接自分がいろいろなところへインターネットで検索をして、 これがよさそうだとか、 こういうものがよさそうだと自分で魅力ポイントを見出して、 自分の好みに合った旅行をするという形態がどんどんふえてきてるわけです。 このために伊豆半島はここ二十年弱、 大変苦労してきております。
     そういう中で、 やっと最近、 観光サービス関係の分野の中で、 比較的年齢の若い層で仕事の中核を担うような方々が、 従来、 伊豆半島が誇ってまいりました個々のホテルとか旅館とかあるいはレジャー施設みたいな、 個々の個別の場所の魅力を高めるということに限界を感じて、 ある広がりを持った地域全体、 極端に言えば伊豆半島全体というふうに、 地域全体の魅力を高めないとだめなんだという認識がかなり広がってきて、 そのための取り組みも、 まだ決定打には至っていないまでも、 いろいろな地域の魅力を高めるための取り組みが始まってきてるような感じがいたします。
     先ほど旅行商品の話が利用比率が下がってきたとはいっても、 まだまだ旅行を実現する上でやはり魅力ある旅行商品というのは非常に重要な役割を果たしていることは否定できませんので、 こういう旅行商品の企画に現地側から旅行会社に売り込むというような動きもかなり活発になってきていますし、 また若い人たちが一緒になって伝統あるお祭りの今まで以上の盛り上げを図るとか、 あるいは廃れておった、 あるいは廃れてもう廃止寸前の、 あるいは中断しておったようなお祭りを復活して話題づくりに一役買い始めたとか、 こういういろんな動きが出てきておりますので、 こういう動きがもっともっと広がってくることを期待しておるところでございます。
     けさの報道でも、 平成十九年度の観光入り込み人口、 本県は十五年ぶりか六年ぶりの最高の数を記録したと、 こういう報道があります。 国土交通省からの発表でそういうことが出ておりますけれども、 中身を見ますと、 F1グランプリで来県者がふえたんで、 その分が上乗せになって最高を記録したということは、 その他のところを見るとまだ底を打っている感じがあるわけですね。 少なくともどんどん落ち込んでいるということではなさそうだと。 何とか歯どめがかかったんじゃないかという感触は、 私のみならずいろんな人たちが大体そういう感覚を持ち始めておりますけれども、 しかし昨今のまた景気不況に伴って、 そういうことが保証されてるわけではありませんので、 なお一層地域全体でいろんな魅力ある取り組みをすることが重要だと思います。
     そこで、 県、 市町村で組織をいたします静岡県大型観光キャンペーン推進協議会が、 きょうとあすの二日間、 東京有楽町で本県への来訪を呼びかける温泉いっぱい花いっぱいキャンペーンを実施をいたします。 また今月の二十七日から一月四日までの年末年始、 そして一月から二月末までの土曜、 日曜、 祝日に、 伊豆スカイラインを利用した宿泊客を対象に通行料金相当額のキャッシュバックを行う伊豆観光交流拡大緊急対策事業を実施したいということで、 今議会に補正予算案をお願いしておりますけれども、 こういう考えられるいろんな方策を組み立てながら観光客の復活、 入り込み客の復元に努力をしていきたいと思っております。
     本年度、 御殿場、 富士、 富士南ろくの市や町で組織する富士地区観光協議会が、 F1グランプリの会場では共同で観光宣伝を行うなど、 今までにない動きも出てきておりますし、 また三島市、 沼津市など東部地域の八の市町と観光関係者等が連携した着地型の旅行商品開発を行うという、 そういう動きも、 今まで余り見られなかった地域でこういう動きも出てきておりますので、 県としてもこういう動きと連携しながら、 より一層観光客の拡大、 復元に努力をしていく考えであります。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長から御答弁申し上げます。
    ○議長 (天野 一君)  藤原総務部長。
            (総務部長 藤原通孝君登壇)
    ○総務部長 (藤原通孝君)  消防団に対する県の支援についてお答えいたします。
     消防団につきましては、 御指摘のように非常に重要な役割を担っていただいておりますけれども、 一方で団員数が年々減少する傾向にあります。
     このため県では、 これまでも消防団員の負担軽減や業務の効率化につながる各種資機材の整備に対して、 市町村への支援を行ってまいりました。 加えて県消防協会が実施する消防団の知識技能の向上、 福利厚生等の各種事業へも助成してきたところであります。 また平成十九年一月には、 消防団活動に協力していただいている事業所を顕彰する消防団協力事業所表示制度というものが創設をされまして、 現在、 県内で三十二の事業所が認定されております。 このように県では、 これまでも市町村や関係機関の協力をいただきまして、 消防団員の処遇の改善や活動しやすい環境づくりに努めてまいりました。
     さらに最近では、 女性消防団員の増加に加え、 特定の分野または大規模な災害発生時に活動してもらう機能別消防団員の導入などの取り組みも、 県内の市町村において見られるようになってきております。
     県といたしましては、 消防団を取り巻く環境は厳しいものがありますけれども、 引き続き市町村や関係機関と連携して、 消防団員が安心して活動できる環境づくりに努め、 地域防災力の維持向上を図ってまいりたいと考えております。
    ○議長 (天野 一君)  稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長 (稲津成孝君)  県営住宅の再生事業についてお答えいたします。
     県営住宅再生事業は、 平成十八年度に策定した県営住宅再生計画に基づいて実施しており、 県東部地区において、 平成二十七年度までの十年間に九団地、 約千八百戸の再生を図ることとしております。
     これまでに沼津市の今沢団地におきまして一棟の全面的改善事業を完了し、 現在二棟目の工事中であり、 引き続き残る十五棟につきましても、 建てかえ、 居住改善等の手法により再生を図ることとしております。 また三島市の光ヶ丘団地につきましては来年度からの工事着手に備えて現在設計を進めており、 その他の団地につきましても順次団地ごとの再生基本計画の策定に着手していく予定であります。
     入居者の不安解消のための措置につきましては、 再生事業に伴う家賃の上昇に対しまして数年をかけて段階的に家賃が上がる傾斜家賃制度を採用するとともに、 移転に伴う引っ越し費用を補償するなど入居者の負担軽減を図っているところであります。 また住宅の確保につきましては、 なるべくこれまでどおりの生活ができるよう団地内に仮移転先を用意し、 工事完了後再入居する際にできるだけ希望に応じられるようさまざまなタイプの住宅を整備するとともに、 他の団地への移転を希望する方には近隣の県営住宅を優先的に提供するなど、 入居者の不安解消に努めているところであります。
    ○議長 (天野 一君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  沼津港の港湾振興ビジョンを推進する港湾整備の取り組みについてお答えいたします。
     沼津港港湾振興ビジョンの推進に当たりましては、 これまで平成十九年度を目標年次としたアクションプログラムにより整備を行ってまいりましたが、 近年の沼津港を取り巻く環境の変化にも迅速に対応するため、 本年八月、 平成二十四年度を目標年次とする新たなアクションプログラムを策定したところであります。
     このプログラムでは、 基盤整備について県として分担することにしており、 県は新技術を活用した波除堤  波をよける堤防でございますが  波除堤や定期船利用者が安全に乗降するための浮き桟橋、 エントランス広場等の整備を行い、 市は港への案内板など来訪者の利便性を図る施設の整備を行うこととしております。 また民間が主体となって整備する施設といたしましては、 ビジョンの中核となる農水産物の販売や飲食の提供などを行うマーケットモール、 観光案内所を併設する旅客ターミナルなどを位置づけております。
     県といたしましては、 基盤施設の早期供用に努めるとともに、 地元沼津市とも密接な連携を図りながら、 沼津港が県内外から人々が集いにぎわう拠点となるよう、 民間の創意工夫による港を核としたまちづくりを支援していきたいと考えております。
    ○議長 (天野 一君)  小野寺がんセンター局長。
            (がんセンター局長 小野寺恭敬君登壇)
    ○がんセンター局長 (小野寺恭敬君)  がん医療における治験の充実についてお答えします。
     静岡がんセンターにおける治験につきましては、 開院の翌年の平成十五年度から、 治験の支援・管理を担当する治験管理室や我が国トップレベルのメンバーを加えた倫理審査委員会を設置して取り組んでまいりました。
     現在までのところ、 国内でも指導的立場にある臨床試験コーディネーターや腫瘍内科医の存在、 ファルマバレーセンターとの連携など静岡がんセンターにおける治験実施体制が製薬企業から高く評価された結果、 治験契約件数も年々増加し、 本年度の治験契約件数及び受託収入は十一月末現在で七十四件、 四億六千万円余で、 国立がんセンター中央病院等に続く我が国トップレベルの抗がん剤治験実施施設となっております。
     また、 本年八月には、 世界最大級の製薬企業であるアストラゼネカ株式会社と我が国発の臨床試験と基礎研究をあわせた包括的契約を締結し、 新薬開発の効率化や日本人向きの抗がん剤の優先的な開発研究に取り組んでおります。
     今後は、 ファルマバレープロジェクトの中核施設としてファルマバレーセンターとの連携強化を図り、 県民の皆さんに新しい薬や最先端の医療をいち早く提供できるよう、 さらに努力してまいります。

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