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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成25年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小楠 和男 議員

質問分類

一般質問

質問日:

07/26/2013

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 第四次地震被害想定について                   
2 天竜川ダム再編事業について                   
3 流域下水道の移管と浸水対策について               
4 浜名湖の水産資源対策について                  
 (1) ウナギの資源対策                       
 (2) アサリの資源対策                       
5 学力・体力の向上に向けた取り組みについて


○副議長(渥美泰一君) これで落合愼悟君の質問は終わりました。
 次に、六十五番 小楠和男君。
       (六十五番 小楠和男君登壇 拍手)    
○六十五番(小楠和男君) 私は自民改革会議の所属議員として通告に従い、知事、関係部局長、教育長に伺います。
 まず初めに、第四次地震被害想定について伺います。
 昨年八月、内閣府の発表した南海トラフ巨大地震の想定津波高と浸水域、それによる死者数には海岸線近くに住む多くの県民が驚愕したことだと思います。海岸から一・五キロのところに住む私自身の自宅はもちろん、ふるさと浜松の海岸沿線が真っ赤に染まった浸水図を見たときには、東日本大震災の津波の映像の記憶がよみがえり気分が悪くすらなりました。
 そして先月六月二十七日、県は第四次地震被害想定を発表しました。発表された浸水図を見て、昨年八月の内閣府の発表した浸水図と比較した方々の中でほっと胸をなで下ろしたという方はほとんどいないと思います。新たに浸水域とされた方々も多く、不安を抱えた県民はむしろ増加したと思われます。内閣府はその後本年三月にも、南海トラフ巨大地震の被害想定の第二次報告として、施設や経済的被害も詳しく発表しました。もちろん国は都道府県や市町村が策定する防災計画の基礎資料とすることなどのために公表していることとは理解できますが、対策については何も触れられてはおらず、被災が想定される地域の住民の不安をあおっただけというような気がしてなりません。
 今回県は第四次地震被害想定の発表とあわせ静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三も同時に発表し、さまざまな対策が並べられていますが、県民の目や耳にどのように届いているのかは甚だ疑問であります。県民には、襲ってくる余りにも高い津波の高さの数字や視覚に訴える色分けされた浸水図にしか関心が向かないのではないかと心配しています。また浸水図でごくわずかな浸水地区とされた方々や浸水しないとされた地区の方々にも不安はつきまとっていると思います。なぜなら発表された津波高や浸水図の根拠がよくわからないせいだと思います。例えば浜名湖の奥、湖北地域でも津波被害があったとの伝承が残っていますし、浜名湖に流入する新川――佐鳴湖から流れる川でございますが、この沿岸でも過去の津波被害の伝承があります。これらの過去の津波被害がどのように今回の発表に反映されているのか。また津波の河川の遡上についてはどのような考え方がなされているのか。さらに海岸侵食に見られるように県内大河川の土砂供給が大幅に減少していることにより、海岸沿岸部の海底が大きく変化しているのではないか等々、浸水図を見ながらさまざまな疑問を抱いている県民も多いと思います。アクションプログラムを周知して県民に安心感を与えるとともに、今回の津波被害の想定がどのように作成されているのかを示すことで県民の不安を少しでも和らげることができるのではないかと考えます。
 そこで、第四次地震被害想定における津波浸水想定の根拠となる知見や考え方について伺います。
 また県は、七月十日に浜松市沿岸の防潮堤の整備について、その減災効果について発表しました。大幅な減災効果があるとされたことは素直に喜びたいと思いますが、これもまた視覚に訴える力が強くその根拠がよくわかりません。防潮堤の減災効果の根拠と考え方についてもあわせて伺います。
 次に、天竜川ダム再編事業について伺います。
 私は、平成十六年二月議会で天竜川とその河口部の課題について集中的に質問し、その中で海岸侵食の根本原因である天竜川の土砂供給の回復に向けて天竜川ダム再編事業への期待を込めて質問しました。また平成十八年二月議会ではさらに海岸侵食対策について質問しました。
 結果、現在に至るまでに県の行った侵食対策事業として篠原海岸に三基の離岸堤が完成するとともに、並行して天竜川河口付近から砂を採取して中田島砂丘に運ぶ養浜事業が行われ、砂浜の回復に一定の効果が出ています。また太田川河口ではサンドバイパス事業が実施されるなど海岸管理者としての県の事業の進め方には感謝をしております。
 しかしながら、国管理の天竜川で行われている天竜川ダム再編事業は、平成十六年から調査が開始され平成二十一年からは建設事業に着手していることとなっていますが、国土交通省浜松河川国道事務所のホームページでは平成二十三年度にも十八億円余で調査、実験が行われていることがわかりますが、建設事業の予定完成年度である平成三十三年までは残り十年を切っています。計画の根幹を成す排砂のための工法についても実験が行われたことは承知していますが、具体的な説明はなされていません。中田島砂丘は、養浜のおかげでかろうじてその姿をとどめていますが、運ばれてきた砂には多くの石がまじり小さな砂粒は波にさらわれ石ころばかりが目立つ海岸となっています。今後十年以上にわたり養浜のための砂の確保の困難さが予想されますし、何よりも先ほど伺った第四次地震被害想定の津波対策を実施していく一方で海岸侵食がとまらないのでは、その効果は限定的と言わざるを得ません。海岸管理者としての立場と直轄事業に負担金を支出する立場の両面から国に対して強く働きかけていくべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、流域下水道の移管と浸水対策について伺います。
 複数の市町にまたがる流域下水道は、市町の合併が行われてその処理区域が合併後の市の市域内で完結する場合には、管理主体が県から合併後の市に移管され、市管理の公共下水道となることが下水道法で決まっています。一方平成十三年度に市町村の合併の特例に関する法律が改正され、合併から十年の間そのまま県管理の流域下水道とみなすことができるようになりました。
 これにより県内四流域下水道、五処理区のうち静清、天竜川左岸、西遠の各処理区がそれぞれ合併により、県から合併後の静岡、磐田、浜松の各市に移管されることになりました。私の地元の西遠は平成二十八年四月に浜松市への移管が決まっており、残すところ三年を切りました。天竜川左岸は、西遠より一年早く平成二十七年四月に磐田市に移管されます。最も合併の早かった静清は、今年四月に既に静岡市に移管が済んでいます。静岡市の先行事例を参考に移管についての作業が進んでいることと思いますが、西遠と天竜川左岸流域下水道の移管作業の進捗状況について伺います。
 また、それぞれの浄化センターは海岸沿いに設置されており、第四次地震被害想定における浸水区域ともなっております。その対策についての考え方もあわせて伺います。
 次に、浜名湖の水産資源対策についてのうち、ウナギの資源対策について伺います。
 今月二十二日、今週の月曜日ですが土用のうしの日の前後にウナギの話題がマスコミを通じて数多く提供され、ここ数日ウナギの話題に事欠かなかったのではないでしょうか。ウナギについては、それぞれの方々に何らかの思い出や思い入れがあることと思います。私の思い出は小学生の高学年のころ、ウナギ養殖を営む同級生の家の養鰻池でウナギの池がえ作業を手伝ったことです。多分養殖池のウナギの出荷が終わった八月の下旬、養殖池の水を全て抜き、池に残っていたウナギを回収して池を一旦空にする作業です。おもしろ半分で参加しましたが暑い中大変な作業だったこととお駄賃としてもらって帰ったウナギがとてもおいしかったことを覚えています。
 さて、先週末から二十二日の土用のうしの日にウナギを食された方は、どれだけいらっしゃいますでしょうか。来月三日にも土用のうしの日がやってきますが、ウナギは高ねの花と最初からあきらめている方も県民の中には多いのではないでしょうか。
 養殖池に入れるウナギの稚魚であるシラスウナギの不漁が三年続いた昨年からウナギの高騰の話題が多くなり、ことしの二月には環境省がニホンウナギを絶滅危惧種に指定し、さらに国際機関である国際自然保護連合においてニホンウナギの絶滅危惧種への指定が検討され、今月一日から五日まで専門家会合がロンドンで開かれました。今後数カ月をかけて議論されるとのことです。ことしのシラスウナギの採捕量も不振で全国の養鰻池で必要とされるシラスウナギは、輸入品を含めても八割しか調達できず、ことしも深刻なウナギの品薄、高値の状況が続いています。
 さて本県は、浜名湖地域と志太地域でウナギの養殖が行われており、生産量は大きく減ったものの全国四位であり、浜名湖ウナギのブランドは全国に通用する静岡ブランドです。県の特別採捕許可を得た漁師さんが十二月一日から四月三十日までの間、浜名湖や県内河川の河口部でシラスウナギを採捕し、県内の養殖業者に引き取られていきます。ことしの採捕量三百二十六キログラムは統計を取り始めた平成元年以来、過去最低の量でした。
 ウナギを取り巻く環境は申し上げたとおりですが、ウナギには実に多くの方々がかかわっています。最も多いのは私たちウナギを食す消費者です。さらにウナギを提供する料理店、スーパーなどの小売店等流通業者、中国や台湾からウナギを輸入する輸入業者、ウナギを生産する国内養殖業者と養鰻業者にシラスウナギを提供する採捕漁業者。また天然ウナギをとる漁業者、趣味でウナギを釣る釣り人などさまざまであり、ウナギ資源の減少に対しての考え方はそれぞれ異なっていますが、日本の伝統であるウナギ食文化を守るためにウナギ資源の保護が必要との共通の思いが醸成されつつあるように思われます。
 こうした中、浜名湖周辺の自治体、漁業関係団体でつくる浜名湖地区水産振興協議会は、ことしの秋から浜名湖でとれた産卵前の下りウナギ。これを銀ウナギともいいますが、買い上げる事業をスタートさせるとのことです。考え方の異なる団体の壁を乗り越えての合意に敬意を表するところです。しかしながら全国一位と三位のウナギ生産県である鹿児島県と宮崎県は、それぞれの県の内水面での天然ウナギの採捕を十月一日から三カ月の間禁止にする親ウナギの保護に大きく踏み込んだ決定をしました。浜名湖には、流入する河川に内水面漁協が存在することはもちろん天竜川を初めとする県内河川の内水面漁協や漁業権の設定がなされていない河川での釣り人なども巻き込んで県内全域でウナギ資源の保護の意識を高めていく必要があると思います。
 県の行っているウナギ資源の保護対策とウナギ資源の保護に関する県内全域での啓発についての考え方を伺います。
 次に、アサリの資源対策について伺います。
 本年四月、浜名湖における渡船による潮干狩りが中止されるとのニュースが報道され、漁業者はもちろんのこと浜名湖圏の観光関係者にも衝撃が走りました。浜名湖ではさまざまなマリンレジャーが楽しめますが、浜名湖といえば潮干狩り。この戦前から続く観光潮干狩りが中止されるのは、何と初めてのことで浜名湖観光への影響が心配され、夏のシーズンを迎えてしまいました。
 事の起こりはアサリの漁獲量の減少です。平成二十一年には六千トンを超えたアサリの漁獲高は、平成二十四年に二千四百トンに減少、二千トン台の漁獲は平成十五年以来九年ぶりでした。しかもことしの一月と二月の漁獲高は前年の七割減となり、やむなく中止の決定に至ったとのことです。平成九年を底に徐々に漁獲高の回復が見られ、サラリーマンをやめて家業の漁業に従事することを選んだ若者も随分いたと聞いています。多様な魚種に恵まれた浜名湖でもアサリとシラスは漁獲金額の双璧であり、アサリの激減は漁業者の生活に直結します。
 一方、漁業者はアサリの資源確保にさまざまな努力をしてきました。漁獲制限を行ったりアサリの天敵であるツメタガイの卵塊の除去に取り組むなどしてきましたが、今回の漁獲量減少の理由ではないかとされる産卵期を襲った台風や赤潮の影響は、漁業者の努力ではいかんともしがたいものです。
 しかし漁業者は、漁獲高の回復に向けてさらなる努力を始めました。一つは人工で行う陸上での種苗生産です。陸上施設のタンクで産卵をさせ、ふ化した浮遊幼生を管理し稚貝にまで育てる試みを始めました。また三重県で実績のあるケアシェルの技法に取り組んでいます。これはアサリの生息地である干潟の土壌が硫化水素の影響を受けてアサリの育成に悪影響を及ぼしていることの対策として、アルカリ性のカキ殻をネットに詰めて干潟に置いたところ、数カ月でネットの中でアサリが大量に育っていたという偶然の成果をアサリの育成に利用するもので既に二百二十袋が浜名湖の干潟に設置されました。
 それぞれの取り組みの成果を期待したいものです。これらの取り組みに県はどのように協力しているのかお伺いをします。
 また、水産庁の補助事業でアサリの漁場整備が対象になる事業があると承知しています。アサリの漁獲高の激減は浜名湖だけではなく三重や愛知、有明でも深刻であり、アサリの資源対策は全国のアサリ資源対策でもあります。強く国に働きかけるとともに本県独自の対策についてもお伺いをいたします。
 次に、学力・体力の向上に向けた取り組みについて伺います。
 文部科学省が行っている全国学力・学習状況調査は、平成十九年から再開され昨年まで東日本大震災のあった平成二十三年を除いて五回が実施されています。再開と申し上げましたが、全国学力テストは昭和三十年代にも行われていましたが、学校や地域の競争が過熱したり法廷で学力テストが適法であるかどうかが争われるなどの経緯を経て、全員調査は中止され抽出調査に変更されるなどしました。しかしながら近年学力低下が問題視されるようになったことを受けて、平成十九年からの全員調査の再開となったわけです。しかしここでも参加を見送る地域が出るなど混乱が生じ、マスコミでも大騒ぎになったのは御記憶の方も多いでしょう。平成二十二年には、民主党政権によりまたしても全員調査から約三割の抽出調査に変更されてしまいました。自主的に参加することも可能な制度とされており、この年の参加率は約七割。昨年の調査からは国語、算数に理科が加わり、参加率は八一・二%でした。その後の見直しの中、平成二十五年の調査は全員調査に戻され自民党の政権復帰を受けて今後は全員調査が実施されていく予定です。
 このテストの意義と問題点を一々列挙するとそれだけで質問時間を超えてしまいますので誤解を恐れずに一言で申し上げるなら、調査結果をどのように公開するか。そしてそれを現場でどのように生かすかに集約されると思います。このことについて私が納得できる言葉を見つけましたので御披露いたします。
 平成二十年十二月に、「全国学力調査と情報公開」と題した一文を教育情報誌に寄稿した元静岡県教育長、当時静岡文化芸術大学顧問であられた杉田豊氏は、最後の一節で、「結果の公開は、地域や保護者の教育にかかわる関心をいやが上にも高めるであろう。このことは教育界にとって決して悪いことではない。これからの教育は、学校が家庭、地域とこれまで以上に連携を密にして進めていくことになる。関心が高まれば批判も出てこよう。これにきちんと応えていくことは、教育にかかわる者の責務である。公開の程度については、基本的にはそれぞれの学校や地域の特性に合わせて責任を持って行えばよい。情報を共有し、学校、家庭、地域が一体となって次代の若者を育成することこそが私たちの使命である」。この言葉は、本県教育行政のトップを務めた方の言葉でその後輩たちが日々教育現場で努力していることを信じています。
 さて、本題に入ります。平成二十四年の調査結果を見ると本県は中学三年生においては全教科で平均正答率が全国平均を上回り、全国で上位となっていたのに対し小学六年生においては全教科で全国平均を下回り、低位にある傾向が見られました。しかも回を重ねるごとに低下しているのです。この点について、我が会派の藪田議員の質問に対し教育長は、有識者を交えた検証チームを立ち上げて要因を検証し、対応策を検討すると述べられたところです。本年度の四月に実施された調査の結果が八月ごろに公表されるようですが、杉田氏の言葉にあるように次代を担う若者の育成のためにこの調査を生かしていくことが大切だと思います。昨年来の学力・学習状況調査の検証成果も踏まえ本県の学力向上に向けての方策について、教育長の所見を伺います。
 また、平成二十年度から全国体力・運動能力、運動習慣等調査が実施されています。平成二十四年の調査結果が本年三月に文部科学省より公表されました。報道によると本県の結果は全体的には全国十位前後の位置にあるとのことですが、中学二年生と小学五年生を比べると小学生のほうが全国平均を上回る種目が少なく、小学生の体力向上が今後の課題となると考えられます。
 子供の体力向上に向けて、どのような取り組みをしているのか、教育長に伺います。
 また、余談を申し上げることになりますが、本県の学力と体力の調査結果でも小学生が中学生を同じように下回っているように、学力と体力の調査結果には相関関係があるのではないかと言われています。学力トップの常連秋田県と福井県は体力でも上位に名を連ねる一方、学力ワーストテンの都道府県の多くが体力でもワーストテンに名を連ねています。大阪府知事だった当時の橋下徹氏は、学力もだめ、体力もだめ。大阪の教育はどうなっているんだと教育委員会を責めていました。学力と体力の相関関係については具体的な検証のデータを得ることはできませんでしたが、私の想像では学力、体力ともに学校での児童生徒一人一人に対するきめ細やかな対応と家庭での早寝早起き朝ごはんに象徴される生活習慣が、学力と体力の評価に大きく影響していると思います。
 杉田豊氏の言葉を最後にもう一度繰り返します。「学校、家庭、地域が一体となって次代の若者を育成することこそが私たちの使命である」。以上で私の質問を終わります。(拍手)
○副議長(渥美泰一君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小楠議員にお答えいたします。 
 初めに、第四次地震被害想定についてです。
 先日公表いたしました第四次地震被害想定の津波につきましては、国のほうで出されました南海トラフ巨大地震の津波断層モデルをもとにしました。これはあらゆる可能性を考慮したものというふうに承知しております。それに加えまして、本県独自に静岡県防災・原子力学術会議を持っております。そこには津波、地震、火山、原子力、それぞれ分科会がございまして、津波に関しましては津波についての日本における最高権威の東北大学今村先生に分科会の会長をしていただいておりまして、これらの会議は合計二十回以上東日本大震災の三・一一以降開いておりますが、常にオープンな会議におきまして疑問点を先生方に出していただき議論をしていただき、それらを踏まえましてそうした御指導をいただいて取りまとめたものでございます。想定に当たりましては、海域を含む最新の地形データに河川の測量成果などを加えて精緻化を図った地形モデルを利用いたしました。ただしそれぞれの地域にございます堤防の耐震性あるいは河川の遡上の条件などを考慮してまとめたものであります。また古文書などにございます津波の記録をまとめまして、信頼性が高いと評価されている東北大学の津波痕跡データベースに基づきまして本県の想定結果を検証しております。そうしたことからそれなりに信頼度の高い被害想定ができたものと考えています。
 しかし、東日本大震災を契機にいたしまして新しい知見も報告されています。今後過去の津波痕跡をより精緻に再現できる津波断層モデルなど新たな科学的知見が出された場合には、それを反映させてまいりたいと考えております。
 浜松市沿岸部における防潮堤整備による減災効果につきましては、最大クラスの津波いわゆる千年単位に一度くらい襲ってくるレベルツーの津波に対しまして、津波が乗り越えた場合でも施設が壊れない構造の高さ十三メートルの防潮堤を整備することを前提に整備の前後における浸水区域、また浸水の深さ、また主要地点の津波到達時間を比較した結果についてもお示ししたものであります。
 しかしながら、議員御指摘のようにそうしたオープンにしたものが十分に県民の皆様方の間に伝わっていないということでございますので、これら被害想定の結果だけでなくて被害想定の考え方、活用方法、さらに防潮堤整備による減災効果などについても正しく理解していただけますようにPRといいますか、御説明にさらに尽力してまいりたいという思いを強くしております。これらの取り組みにより、県民の皆様に安心感をお持ちいただくとともにアクションプログラムを着実に推進し、一人でも多くの生命を守ってまいります。
 次に、浜名湖の水産資源対策についてのうち、ウナギの資源対策についてであります。
 この件につきましては、県議の御指摘のとおり私も危機感を持っております。なるほど四位ではございますけれども相当に低い四位です。昭和五十六年段階では上位四位県というのは、静岡県と愛知県と鹿児島県と宮崎県。これは昭和五十年代から変わらないんですけれども昭和五十六年段階で断トツの一位でした。しかしいわゆる生産量は、その当時から比べますと五分の一以下になっています。そして平成に入りますと愛知県に抜かれました。愛知県と鹿児島県が一位と二位を争っているのです。そして鹿児島県の場合は、昭和五十六年から比べますと今二倍です。また宮崎県も一・五倍になっております。うちだけが五分の一以下になっているという状況でございます。したがいまして全国の四位とはいえシェアは一〇%を割っているという状況でございまして、これに対しては我々は策を講じてこなかったに等しいという、それがこういう数字になってあらわれているということでございます。そこでウナギ資源の適正な保護のためには天然ウナギの生態等を十分に把握することが必要ですが、ほとんど解明されていない状況にあります。
 そこで、県ではウナギ資源の保護に向け、昨年秋からようやく河川でのウナギの生態や生息状況、シラスウナギが来遊する時期や数量についての調査研究を開始したというところでございます。さらに天然のシラスウナギに依存しない養殖方法の確立に向けまして、これまで国の水産総合研究センターと県水産技術研究所などが一体となり研究を進めた結果、研究ベースでは平成二十二年に世界で初めて完全養殖に成功しました。ただしこれは研究レベルであります。現在、国を中心としてその実用化に向けた大量生産技術の研究が進められています。その中で本県は、良質な卵を安定的に確保する技術の開発など重要な役割を担っていることは、それなりの誇りでございます。
 また、浜名湖地区水産振興協議会が行う親ウナギの買い上げ事業につきましては、本年秋からの実施に向けてさらなる賛同者を募るとともに、買い上げるウナギの大きさや量、放流の仕方など詳細を詰めていくこととなります。我々といたしましては、調査研究で培った知見を活用しながら積極的に協力をしてまいります。
 これらに加えまして、県内全域でウナギ資源を保護するために私どもは、河川で漁業権を持つ漁協に対してウナギ釣りのルールづくりを進めるよう要請しております。具体的には御指摘にございましたような禁漁期間の設定、あるいは釣り針の数の制限などでございます。さらに漁業権のない河川につきましても釣具店などの御協力を賜りまして、釣り人に対してウナギ資源の保護の重要性について啓発を行ってまいります。
 今後もウナギ関連産業の振興とウナギの食文化の継承が図られるように、漁業者を初めとするさまざまな関係者と十分な連携をとりながら資源保護に取り組んでまいります。
 なお、その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(渥美泰一君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 天竜川ダム再編事業について、お答えいたします。
 天竜川ダム再編事業は、佐久間ダムに新たな洪水調節機能を確保することによる中下流部の洪水防御や下流への土砂供給による遠州灘沿岸の海岸侵食の抑制に大きな期待ができることから、県といたしましては、これまでも国に対し事業促進を要望してきたところであります。
 国では、平成二十四年度までに実施した吸引による排砂方式の現地での実証実験の結果、当初想定していた効果が見込めなかったことから、今年度これを見直すとともに暫定的な対策としてダンプ運搬による土砂排出を試験的に行うこととしております。具体的には秋葉ダムと船明ダムの下流へ土砂を搬出し、この土砂の河口部までの移動状況や下流部の環境に与える影響などを検討する予定であります。県では、こうした国の取り組みと連携し引き続き天竜川河口部や遠州灘沿岸における土砂量を調査し、その効果の検証に積極的に協力してまいります。
 県といたしましては、天竜川ダム再編事業は莫大な事業費を要するものでありますが砂浜の保全による高潮や津波に対する対策としても重要な事業でありますことから、恒久的な排砂方式の確立とそれまでの間のダンプ運搬による土砂供給の本格実施について、関係する市と連携して国に対し強く働きかけてまいります。
 次に、流域下水道の移管と浸水対策についてであります。
 流域下水道は、河川や湖沼などの公共用水域の水質保全や生活環境の改善を図るための重要な基盤施設であり、市への移管後も継続的、安定的な管理が求められているところであります。このため流域ごとに県、市及び静岡県下水道公社から成る流域下水道県市連絡会議を設置し、市への移管が円滑に行われるよう準備を進めております。具体的には浜松市、磐田市から職員を県に受け入れ、流域下水道の維持管理に関する知識、技術を引き継ぐとともに移管までの整備計画に基づき施設整備を着実に行っているところであります。
 また、浸水対策についてでありますが、西遠、磐南の両浄化センターは第四次被害想定においてレベルワンの津波では浸水は生じないものの、レベルツーの津波が発生した場合には浸水が想定されております。このため今後進める津波対策における施設整備後の浸水想定も踏まえながら市とも協議の上、下水道機能の維持や早期回復を図っていくために必要な対策を取りまとめ、浸水被害に備えてまいります。
 県といたしましては、引き続き浜松、磐田の両市と緊密な連携を図り、流域下水道の移管が円滑に行われるよう万全を期してまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 渥美経済産業部長。
       (経済産業部長 渥美敏之君登壇)
○経済産業部長(渥美敏之君) 浜名湖の水産資源対策についてのうち、アサリの資源対策についてお答えいたします。
 県では、これまで資源状況に応じて漁獲量や漁獲サイズの制限を助言するとともに、アサリの天敵であるツメタガイの効果的な駆除方法を指導するなど漁業者と一体となって資源管理を行ってまいりました。
 今回の不漁においても、これまで同様漁業者が行う陸上での人工種苗生産に対し職員が種苗の発育段階を観察し、水かえや餌やりなどの適切な作業を指導しております。またカキ殻を利用した天然種苗生産に対してもカキ殻の混入量や設置場所を変えて、最大の効果が得られるよう指導したところであります。
 さらに、今後県では、アサリの資源量をより正確かつ長期的に予測する研究やカキ殻を詰めたネットのより適した設置条件を把握するための研究に着手することとしております。また浜名湖内で過去に県が造成した漁場では多くの稚貝を発生させるという効果を得ておりますが、新たな漁場造成に当たっては、現在行っている資源回復策や資源動向調査の結果をもとに地元の意向を踏まえて対応してまいります。
 県といたしましては今後、国に対して浜名湖の資源回復策について支援を求めるとともに、地元の関係者と連携してアサリの資源回復に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) 安倍教育長。
       (教育長 安倍 徹君登壇)
○教育長(安倍 徹君) 学力・体力の向上に向けた取り組みについてお答えいたします。
 学力につきましては昨年静岡県学力検証委員会において対応策が検討され、学校や市町教育委員会、県教育委員会に対し、確かな学力の育成に向けた提言が示されました。
 県教育委員会では、この提言を受けた具体策の一つとして全国学力・学習状況調査の結果を分析し、学校改善に生かすための支援ソフトを開発いたしました。このソフトを活用することにより各学校が個々の児童生徒の学習状況や生活環境に関する課題、成果について、グラフ等を用いて把握することが可能となりました。本年度の調査結果は八月ごろに発表されますので小学六年生と中学三年生の学力向上に向けた指導の一つとして、データ等も活用し直接学習支援に生かせるものと期待しております。
 また、本年度立ち上げました学力向上推進協議会では、学力調査の結果分析や県で指定いたしました学力向上モデル校での取り組みを検証し、各学校がさらなる学校改善や授業改善に主体的に取り組むよう具体的実践例を周知してまいります。
 体力につきましては、本県では昭和三十九年から全国に先駆けてスポーツテスト等を実施し子供の体力向上を図ってまいりました。その結果八〇%を超える種目で全国平均を上回っている状況にありますが、小学校では柔軟性と投げる力、中学校では持久力と投げる力に課題が見られます。
 県教育委員会では、小学生のころから運動習慣の確立を図ることや運動の楽しさを経験することが重要であるととらえ、県内の小学生を対象に体力アップコンテストしずおかを実施しているところであります。長縄跳びやドッジボール等、さまざまな種目にクラスごとに挑戦し基礎体力の向上を目指しております。さらに課題が残る種目につきましては、県全体で数値目標を示すなどして各学校で体力の向上に取り組むよう指導しているところであります。
 今後は、児童生徒の学力及び体力の向上に向けた取り組みを一層充実させるとともに、学校・家庭・地域がこれまで以上に連携を密にして、本県の未来を担う子供たちの生きる力の育成に努めてまいります。以上であります。
○副議長(渥美泰一君) これで小楠和男君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

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