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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成20年11月静岡県議会臨時会 質問


質問者:

野澤 義雄 議員

質問分類

質疑

質問日:

11/06/2008

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 知事の説明責任について                      
2 制限表面区域の支障物件について                  
 (1) 測量データの管理と収用範囲の設定                
 (2) 地すべり防災工事                        
 (3) 地権者との協議での問題点                    
3 事業認定取り消し訴訟における国と県の認識について         
4 地権者と県、 双方の申し入れについて                
5 滑走路の暫定短縮の影響について                  
 (1) 乗り入れ可能な機種と就航拡大の見通し              
 (2) 運航の安定性                          
6 開港日の延期の影響と対応について                 
 (1) 就航を決めている航空三社への影響と対応             
 (2) 関係企業、 団体への影響と対応                  
7 完全運用に向けた今後の取り組みについて              
8 追加工事費について



    ○議長 (天野 一君)  これで渥美泰一君の質疑は終わりました。
     次に、 三十八番 野澤義雄君。
            (三十八番 野澤義雄君登壇 拍手)
    ○三十八番 (野澤義雄君)  平成21を代表し、 議案百四十一号及び富士山静岡空港の整備について伺います。
     十月二十九日の全員協議会での石川知事の説明、 また本日の説明でも到底納得のいく説明になっておらず、 まことにゆゆしき事態との認識に立って、 これからさらに詳しい内容説明を求めるものであります。 なお限られたテーマであり説明から日時もなかったことから、 質疑が重複することもあろうかと思いますが、 事態の重大さにかんがみて丁寧な答弁を求めるものでもあります。
     まず、 知事の説明責任について伺います。
     知事の説明によれば、 県当局では一年以上前に支障物件の存在を正式に認知し、 地権者との話し合いをしてきたとのことでありますが、 私たち県議会を初め県民に対しては、 九月十一日の事業認定取り消し訴訟においてその存在を認め、 九月議会で初めて明らかにされたところであります。 また滑走路等の空港基本施設についても、 この八月には完成し、 来年三月の開港に向けて順調に推移していると説明されてきたものが、 全員協議会には一転して開港に著しい支障が生じることとなったことが報告されました。
     九月議会やその後の空港部長の説明でも、 「確かに問題は存在するが、 今後の工夫と努力で変更なく来年三月には開港できる」 としてきたものが、 かかる事態に立ち至ったことにまことに驚きを禁じ得ません。 問題の立ち木が存在する限り国の完成検査は受けられず、 予定どおりの開港は無理だと知りながら、 全員協議会まで議会や県民への説明を怠り、 多くの関係者に多大な影響を及ぼすことが想定される事態を招いたその責任は極めて重大であると考えますが、 知事の所見を伺います。
     制限表面区域の支障物件について伺います。
     高さ制限を超える立ち木の存在は、 測量の際の空港建設への反対活動や地形の急峻さなどが挙げられ、 またその後の立ち木の成長なども原因の一つに挙げるなど、 まるで他人ごとのようで言いわけがましく聞こえます。 図面作成時にも手違いがあったとの説明もありましたが、 根源的な要因として一連の作業に県の管理が行き届かずに、 結果として収用範囲の設定の違いに結びついてしまったということでよろしいのでしょうか。
     当該区域の地すべり防災工事は昨年七月に同意文書が締結されました。 そもそも当該区域が地すべり防止区域に指定されたのはいつのことか、 指定範囲は空港用地とどのように重なっているのか。 つまり立ち木の問題解決を含めた防災工事の施工であったのかどうか伺います。 またその後、 一たん同意文書を締結したものの、 地権者から工事拒否されたのはいかなる理由によるものなのでしょうか。
      「立ち木は除去する意思は持っており、 問題に正面から向き合って協議することが大事だ」 との地権者のコメントが、 全員協議会終了後にあったとの報道がありました。 支障物件の除去の交渉に当たり、 対象地への立ち入り、 測量など進展も見られた点も一部あるにせよ、 いまだ難航している交渉の問題点はどこにあるのか、 県の認識をお示しください。
     次に、 事業認定取り消し訴訟における国と県の認識について伺います。
     事業認定取り消し訴訟では、 六月二十日の第十一回口頭弁論から立ち木の存在が争点になりましたが、 それ以前に公表するといった選択肢はなかったのか。 被告である国への配慮もさることながら、 国土交通省の幹部は、 「県民や関係者に説明責任を果たす姿勢が必要であり、 言えない理由になるのかなという感じがする」 ともコメントしているのであります。 訴訟に対する国と県の認識のずれが、 かえって対応がおくれた原因になっているのではないかとも感じますがどのようにお考えでしょうか。
     地権者と県、 双方の申し入れについて伺います。
     十月二十八日、 地権者から、 問題解決に向けた協議開始の前提条件に関する申し入れがありました。 その内容は、 「県は、 ずさんな収用などを認め、 責任の所在を書面で明確にする」 など七項目であり、 また知事も全員協議会の場で、 「二十八日に協議したい旨の文書を地権者に渡した」 と報告しています。 地権者の申し入れをどのように受けとめるのか、 同じ日に文書のやりとりがあった経緯から、 今後の交渉が進展するべく期待してよいのか伺います。
     次に、 滑走路の暫定短縮化の影響について伺います。
     就航や空港利活用推進に御尽力くださっている方々や県民の期待を思えば、 暫定的な短縮化による早期開港を目指すことも視野に入れるべきことは理解はできます。 しかしそのことにより発生する影響について二点伺います。
     二千五百メートルの滑走路ならば三百人程度の大型機の乗り入れが可能とされていますが、 暫定滑走路ではどの程度の航空機が乗り入れ可能になるのか。 大型機の航続距離の長さや乗客の大量輸送といった優位性を発揮できない空港としては、 新規の就航やチャーター便の受け入れなどにも結果としてブレーキをかけることになるのではないでしょうか。
     運航の安定性の視点からの疑問です。 滑走路短縮により、 既に設置してある計器着陸装置  ILSの使用を断念せざるを得ないと聞いています。 霧などの悪天候のときには着陸できないケースも考えられ、 運航への支障もふえるのではないかと懸念され、 こうしたことが就航率の低下にもつながるのではないかと心配しますがいかがでしょうか。
     開港日の延期の影響と対応について伺います。
     開港時から就航を予定している航空三社は、 三月開港をめどに準備を進めていると思われます。 燃料高騰など経営環境の悪化により、 ただでさえ地方路線の見直しが図られている状況の中で、 開港延期が引き金となり減便や撤退につながることがないのか、 県の見通しと対応を伺います。
     空港でのサービス業務を初め旅行商品の販売準備を進めている旅行業者、 チャーター便を使って空港の利用拡大を進めようとしている各種団体や企業、 開港に合わせて機運を盛り上げようとイベントやコンベンションを企画している市町などは、 すべて来年三月に照準を合わせてきました。 このほか静岡空港にかかわる多くの事業者が、 開港のおくれによる大きな損失、 影響を受けることになり、 説明と対応いかんでは、 県にとっても信頼の喪失につながりかねない状況の中での認識と対応策を伺うものであります。
     完全運用に向けた今後の取り組みについて伺います。
     富士山静岡空港は、 当初からの計画は国内外の拠点都市と本県を結ぶネットワークを構築するために大型機も航行可能な二千五百メートルであります。 決して二千二百メートルなどではありません。 当初計画を達成することで初めて本来の目的が達成できるわけでありまして、 完全運用に向けて制限表面区域の支障物件の除去は最優先に取り組まなければならない課題であるととらえています。
     今、 まさに県の姿勢が問われています。 土地収用の測量や範囲決定において落ち度が指摘されている中で、 地権者との間にそごを来しているのではないか、 今後の交渉には一層の誠意を持って当たるべきであり、 解決に向けて最大限の努力が求められていますが、 県の姿勢を伺います。
     最後に、 本日の議案であります追加工事費について伺います。
     航空灯火や滑走路標識の追加工事で一億一千万円の補正予算ということでありますが、 本格運用になれば必要のない施設であり税金の無駄遣いというそしりを免れないことだと考えます。 近年、 無駄な公共事業といった表現で一口に切り捨てる風潮がありますが、 私はこの表現は好きではありません。 住民の福祉向上や安全対策など必要な公共事業は当然あるわけで、 それらを冷静かつ的確に峻別することが行政、 そして議会に求められています。
     住民投票の是非をめぐる論争を初めさまざまな意見があった中で、 何とか県民の理解を得ながら千九百億円もの巨費を投じ、 やっとの思いで完成が目の前に見えてきたやさきに、 イレギュラーぎみに起こったこの追加工事につきましては、 無駄な税金の使途とばっさり切り捨てる県民も多いと感じます。 そこでこの補正予算がなぜ必要で、 どういったことで県民の利益につながってくるのか伺いまして、 一たん質疑を終わります。 (拍手)
    ○議長 (天野 一君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  野澤義雄議員にお答えいたします。
     初めに、 私の説明責任についてであります。
     私としては、 県民の皆様に対してしっかりと説明し、 県政への御理解をいただくことが重要であるとの認識に立って一貫して県政に取り組んでまいりました。 しかしながら今般の件につきましては、 空港の用地取得が難航し、 県として選択せざるを得なかった土地収用手続で根幹となる事業認定の処分に係る取り消し訴訟において、 今回の支障物件の存在が争点となることが見込まれ、 また同時に一方で、 訴訟の原告でもある地権者との協議を行わざるを得ないという事態があったわけです。 このような極めて特異な状況が続いておりましたこと、 また支障物件の存在を早期に明らかにすることで空港整備の進捗に重大な支障が生じないか、 また地権者との円滑な協議の障害にならないかという点を考慮し、 皆様への御報告がなかなかできない状況であったことについて御理解をいただきたいと思います。
     また、 開港時期につきましては、 支障物件除去のお願いと並行して、 九月議会の最中も平成二十一年三月の開港を可能にする方策はないか、 ぎりぎりまで検討、 模索いたしましたが、 最終的に今般御説明している追加工事を行うことが不可欠であり、 開港延期が避けられないと判断をいたしました。
     方策のめどが立たないまま途中段階でいろいろなことを申し上げることは、 かえって事態を混乱させるという私の判断に立って、 ぎりぎりのところまで方策の見通しが立つまで時間をかけたと。 結果としてこのような報告が先月末となってしまい、 県議会を初め県民の皆様に大変御心配や御迷惑をおかけいたしました。 重ねておわびを申し上げる次第であります。
     今回の事態について、 私の責任は重大だと痛感しております。 県としての対応策の実現に一定のめどが立った段階で、 改めて責任のあり方についても明確にする考えであります。 それまでの間は、 私としては、 まずは暫定運用をとにかくできるだけ早期に実現するということ、 加えて早期開港もできるだけ早期に実現すると。 そのことが目下の私に課せられた最大の責務であると受けとめて、 全身全霊をかけて取り組んでまいる考えであります。 その面で変わらぬ御支援、 御指導、 御協力をお願いする次第であります。
     次に、 事業認定取り消し訴訟における国と県との認識の差があったんではないか、 こういうことでございますが、 土地収用に係る事業認定取り消し訴訟の帰趨は、 富士山静岡空港整備の根幹にかかわるとともに、 今後の空港のあり方にも重大な影響を与えるものでございます。 今は工事が完了した段階でありますので、 何で明らかにできなかったかという印象を持たれるかもしれませんけれども、 事態は事業の進行と訴訟とが同時並行で進んでいたわけであります。 しかも今回問題になった物件の存在が争点になっていたという途中経過を考えると、 そういう同時並行事態が進行していたわけでありますので、 私としては訴訟への影響を十分考慮することが不可欠だという判断に立ってまいったわけでございます。
     こうした中で、 支障物件の存在を私自身が明確に認識したのは、 昨年の九月から十月ごろに地権者が支障物件を土地収用の関係で自主伐採をされた、 そのことからこの今の状態が明らかに現地で出てきたわけでございまして、 私自身が明確に認識をしたのはその時点でありますが、 一方で訴訟の争点とますますなってきておったというような受けとめ方を、 県として判断して公表をちゅうちょせざるを得なかったところであります。
     実際にも一方で、 県収用委員会を被告といたします収用裁決取り消し訴訟において、 事業認定取り消し訴訟に先立って、 これは国が被告になってるわけでありますが、 それとは別途、 県の収用委員会が被告になっている収用裁決取り消し訴訟、 この訴訟において、 平成二十年二月二十九日の口頭弁論において、 原告から支障物件の存在を争点とされたところでございます。 こういう同時並行事態が進行していたということで、 結論として公表時期がおくれたと、 おくらせたということでございます。
     県民に対する説明責任に関しましては、 国土交通省幹部からの御指摘もありましたが、 今るる申し上げましたとおりの事情によって御説明がおくれ、 皆様に大変な御心配、 御迷惑をおかけしましたことについては重ねておわびをする次第であります。 私の責任のあり方については先ほど申し上げたとおりでございますので御理解をいただきたいと思います。
     次に、 完全運用に向けた今後の取り組みについてであります。
     今般、 やむを得ず暫定運用という形で開港するという判断をいたしましたが、 二千五百メートル滑走路としての本来の機能を早期に発揮することが不可欠でありますことから、 今後速やかに完全運用を実現することが責務であると考えております。
     このため、 完全運用に向け一日でも早い支障物件の除去ができますように、 誠心誠意、 地権者との交渉に全力を挙げて取り組んでまいります。 また交渉の過程でも、 地権者の方に静岡県の将来の発展のために、 一日でも早い支障物件の除去について御理解をいただけるよう全力を尽くす考えであります。
     次に、 追加工事費についてであります。
     今回、 制限表面を超える支障物件の存在によって、 そもそも開港ができないという懸念もありました中で、 追加工事を実施することによって、 暫定運用という形で開港するという苦渋の判断をしたわけであります。 私としては、 支障物件が除去されるまで開港しなかった、 できないという場合は、 これまでに投資した経費が効用を発揮しないことになるわけであります。 しかも今いろいろ地権者の御理解をいただきながら話し合いを進めているとはいえ、 いつ障害物件、 支障物件の除去が実現するか見通しが立たないわけであります。 そうすると多額の投資をして完成した、 物理的に完成したこの施設が空港として利用できないということになる損失は、 はかり知れないものが私はあるというふうに考えたわけであります。
     したがって、 滑走路を短縮するとはいっても、 現在いろいろ就航表明をされている航空三社、 あるいは今後就航を決めてくれるであろうと期待が持てる内外の、 特に外国の航空会社の当面利用するであろう機材の運航が可能になるならば、 滑走路短縮してでもできるだけ早期に効用を発揮することが、 私は現在の時点での最善の策だというふうに判断したわけであります。
     しかし、 そのためには、 現在完成している航空灯火等の離着陸に必要な施設等については二千五百メートルを前提の設備でありますので、 これは二千二百メートル仕様に追加をしなければいけない、 変更しなければいけない、 こういうことであります。 これに大変多額の経費を要するということについては、 まことに県民の皆様に申しわけないことでありますけれども、 しかしいつまでこの空港の利用ができるかわからない状態を放置するよりは、 可能な限り早く効用を発揮することが県民利益につながると、 本県の利益につながると、 そういう私は考えのもとに、 今回、 今議会に補正予算をお願いしているところでありますので、 御理解をいただきたいものと存ずる次第でございます。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (天野 一君)  岩ア空港部長。
            (空港部長 岩ア俊一君登壇)
    ○空港部長 (岩ア俊一君)  制限表面区域の支障物件についてのうち、 初めに測量データの管理と収用範囲の設定についてお答えいたします。
     県では、 平成十六年度に土地収用法による事業認定の申請を行うのに先立ち、 必要となる起業地表示図を作成するため、 平成十五年度に対象地の航空レーザー測量を行いました。 この起業地表示図の作成に当たりましては、 当時、 現地において土地共有化や立ち木トラスト運動を伴う空港建設反対運動が展開されていたことから、 現地立入調査による不測の事態を避けるべく航空レーザー測量のほか、 これまでに撮影した航空写真や県有地からの目視による外観調査を組み合わせて調査を行いました。
     県では、 今回の支障物件が残りました原因として、 対象地の地形が急峻かつ複雑でありましたことから測量の誤差が生じたこと、 調査後に立ち木が成長して制限表面を超えるという事情があったこと、 さらに事業認定申請書に添付する起業地表示図を作成する際の修正ミスという三つの原因を推定しております。 当時、 現地立ち入り測量を回避したという判断はやむを得なかったものであったと考えておりますが、 この修正ミスにつきましては議員御指摘のとおり、 一連の作業に県の管理が行き届かず、 結果として収用範囲の設定に誤りが生じたものであり県として責任を感じております。
     次に、 地すべり防災工事についてであります。
     今回の支障物件の存在するすべての区域を含めまして地権者所有地周辺は、 昭和四十二年三月三十一日に地すべり防止法による地すべり防止区域鎌塚地区に指定されております。 このため県としては、 空港整備に伴う地形改変に合わせて何らかの防災対策は必要な場所であると考えていたところ、 地すべりが発生したときには直接影響を受ける地権者及び地元関係者から、 地すべり防止工事の必要性に御理解をいただき協議を進めてまいりました。
     この結果、 一たんは昨年七月に地権者との間で支障物件の存在する一部の区域を含めた地すべり防止工事に係る合意文書が締結されたため、 全面的な地すべり工事が進むことにより、 支障物件の問題は解決されるものと認識しておりました。 またその後は、 支障物件の存在する残りの区域についても、 地すべり防止工事の協議を行っていたところであります。
     しかしながら、 昨年九月から十月ごろにかけまして地権者の土地で行政代執行の対象となりました立ち木の自主伐採がなされた後、 地権者のお考えは定かではございませんけれども、 いずれにいたしましても支障物件がある箇所については工事を認めないとの意向が示されたものであります。
     次に、 地権者との協議での問題点についてであります。
     県といたしましては、 昨年七月に締結いたしました地すべり防止工事に係る合意文書を基本に、 支障物件を除去すべく現地での協議を継続してまいりました。 その結果、 地すべり防止工事については地権者が同意した範囲でのみ工事が施工され、 現在までに支障物件の存する区域を除いて地形改変工事は大部分終了いたしました。
     地権者との協議においては、 地権者が原告となっている事業認定取り消し訴訟との関係等から、 県にとりましては大変厳しい協議が進んでいるところであります。 現在も、 先月二十八日協議をしたい旨の文書を地権者にお渡しするなど協議を継続しておりますが、 改めて地権者に御心労をおかけしていることを謝罪するなど誠心誠意、 支障物件の除去をお願いしてまいります。
     次に、 地権者と県、 双方の申し入れについてであります。
     現在、 先日の地権者からの申し入れ内容について検討を進めております。 県としては改めて地権者に御心労をおかけしたことについておわびする等、 謝罪すべきは謝罪する姿勢で臨む所存でありますが、 いずれにいたしましても現在協議を進めているところであり、 引き続き協議が進展できるよう誠心誠意取り組んでまいります。
     次に、 滑走路の暫定短縮の影響についてのうち、 まず乗り入れ可能な機種と就航拡大の見通しについてであります。
     一般的な公表資料によりますと、 二千二百メートル滑走路であっても就航可能な機材は、 ボーイングのB737、 B767、 エアバスはA320、 A321など一般的に中型機、 小型機と称されるジェット機、 さらにはボーイングのトリプルセブン  B777などのような大型ジェット機でありましても、 近距離タイプについては就航可能となっております。 また二千五百メートル滑走路では就航可能ですが、 二千二百メートル滑走路では就航困難な機材としては、 ボーイングのB747、 BトリプルセブンやエアバスのA330のような大型ジェット機の長距離タイプが挙げられます。
     しかしながら、 具体的な離着陸の可能性につきましては、 空港の標高や気象条件などのほか乗客、 貨物、 燃料等の量や航空機の運航条件にも左右されることになるため、 最終的には各航空会社の判断にゆだねられているものと承知しております。
     県といたしましては、 既に就航表明された定期路線及び今後期待される中国路線につきましては、 暫定運用のもとでも引き続きの就航が期待できると考えておりますが、 今後の中長期的な新規路線開拓や大型機使用を想定した一部のチャーター便運航については支障が生ずる懸念がありますことから、 暫定運用による開港に万全を期すことと並行して、 できるだけ早期に二千五百メートル滑走路による完全運用が実現できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。
     次に、 運航の安定性についてであります。
     富士山静岡空港においては、 平成十七年から十八年の一年間に現地で実施した風向、 風速、 雲の高さ、 見通し等の気象調査結果に基づき県が着陸可能な気象条件の割合を整理しております。 その結果、 小型航空機の場合、 着陸可能な比率が精密進入方式では九七・九%、 非精密進入方式では九七・八%の〇・一%の差、 中型航空機の場合、 精密進入方式では九七・九%、 非精密進入方式では九七・三%と、 〇・六%の差が生じるという試算結果を得ておりますので、 就航率への影響はそれほど大きくないものと想定しております。 なお県が提供した気象データに基づき、 各航空会社も就航率について独自に調査を行っていると承知しております。
     次に、 開港日の延期の影響と対応についてのうち、 まず就航を決めている航空三社への影響と対応についてであります。
     開港時からの定期便就航を表明していただいている日本航空、 全日空及びアシアナ航空に対しましては、 去る十月三十日に花森副知事から、 今回の事態に立ち至ったことについておわび申し上げるとともに、 開港延期及び暫定運用の内容について説明の上、 開港時から予定どおりに就航していただくようお願いしたところであります。
     その際、 各航空会社とも、 基本的には引き続きの就航を前向きに検討していただけるとの感触でありましたが、 いずれにしても技術的な観点等からの検証を行った上で最終的に判断するとのことでありましたので、 現在、 運航に係る詳細なデータ等を提示し、 予定機材による安全運航についての検証結果を待っている状況にあります。
     議員御指摘のとおり、 航空会社の経営環境は非常に厳しく、 地方路線の大幅な廃止・縮減がなされておりますが、 各航空会社からはこれまで富士山静岡空港のポテンシャルを高く評価していただいておりますので、 県といたしましては、 開港時から予定どおりの路線・便数で就航していただくことは十分に期待できると考えております。
     次に、 関係企業、 団体への影響と対応についてであります。
     今回の富士山静岡空港の開港延期は、 空港にかかわる事業者、 定期便やチャーター便を利用した旅行商品の販売準備を進めている旅行業者、 修学旅行で航空機利用を計画している学校関係者の方々、 さらには開港に向けさまざまなイベントを企画されている関係の皆様などに御心配と御迷惑をおかけし、 大変申しわけなく思っております。
     これらの関係の皆様に対しましては、 去る十月二十九日の県議会全員協議会における説明後、 これまでの経緯及び暫定運用方策等について全庁を挙げて改めて説明を行っております。 皆様からは状況説明のおくれなど県の対応に対する厳しい批判とともに、 一方で富士山静岡空港の早期の開港を強く求める声もいただいているところであります。
     県といたしましては、 こうした県民の皆様の期待にこたえるとともに信頼の回復を図るため、 本県の発展に極めて重要である富士山静岡空港をできるだけ速やかに開港することはもちろんのこと、 二千五百メートル滑走路による完全運用に向けて引き続き全力で取り組んでまいります。

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