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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

多家 一彦 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/10/2010

会派名:

自由民主党県議団


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について                     
 (1) 医科大学の誘致                        
 (2) 富士山静岡空港の新幹線新駅                  
 (3) 場の力                            
2 富士山の保存管理について                    
3 東部地域の発達障害のある方への支援体制について         
4 沼津駅周辺総合整備事業について                 
5 沼津港港湾振興ビジョンについて                 
6 教育行政について                        
 (1) 本県教育のあり方                       
 (2) 特別支援学校の整備計画                    
 (3) 養護教諭の配置



    ○副議長(岩瀬 護君) これで小田巻進君の質問は終わりました。
     次に、七十番 多家一彦君。
           (七十番 多家一彦君登壇 拍手)
    ○七十番(多家一彦君) 質問に入ります。
     我が国は今先行きを見通すことが困難な景気停滞の中にあります。さらに次々と外交、安全保障にかかわる深刻かつ重大な問題に直面し、まさに内憂外患とも言える状況にあります。
     こうした中で、私は改めて感じることは為政者、政治家の言葉の重みであります。県政にかかわる者として私自身もまたこのことを肝に銘じているものであります。県政は県民の夢や希望を現実にしていくことにほかならないと思います。人々の夢や希望を実現するために確かな道筋を示し、確かな形に変えていくことこそが行政であると思います。
     こうした観点から通告に基づき、本県の将来に重要な幾つかの課題について、県政のかじをとる川勝知事の政治姿勢並びに具体的な取り組みについて伺います。
     初めに、知事の政治姿勢についてのうち、医科大学の誘致について伺います。
     昨日は、中田議員の質問に対し医科大学の誘致に向けて積極的な答弁がありましたが、本日はまた違った視点から質問をしてみたいと思います。
     国は、平成九年の閣議決定により医学部定員の削減を進めておりましたが、近年の医師不足に対応するため、平成二十年当時の福田内閣において医学部の定員を過去最大程度まで増員することが閣議決定されました。
     平成十九年度と比較しますと、平成二十二年度の医学部定員は千二百人余の増加が図られています。しかし医学部新設については依然として認められておらず、昭和五十四年の琉球大学医学部の新設認可が最後となっております。また仮に医学部の新設が認められた場合でも、大学校舎や大学病院の建設といったハード整備のためには莫大な費用と七、八年の歳月が必要であります。さらに現在の医師不足の中、相当数の教職員を確保することは大変難しいと考えます。
     このように多くの課題がある中、知事はマニフェストや県議会での答弁を通じて県東部地域に医科大学を誘致することを明言しておりますが、県の次期総合計画案では医科大学の設置に向けた具体的なスケジュールは示されておりません。深刻な医師不足の中、県東部地域では医科大学の新設に大きな期待が寄せられております。富士市では既に署名活動が起き十五万人余の市民の署名が集まったと聞いております。
     知事の発言により、多くの県民がすぐにでも医科大学が設置されると希望を抱いたわけであり、いたずらに誘致合戦が広がることには懸念さえ感じるものであります。先ほど申し述べましたとおり医科大学を設置するためには幾つもの課題を解決することが必要であり、知事には実現に向けた具体的な工程を県民に対して明確に伝えていただくことが求められていると考えます。
     そこで、医科大学設置の実現に向けてどのような見通しをお持ちなのか、知事の所見を伺います。
     次に、富士山静岡空港の新幹線新駅について伺います。
     夢の超特急――リニア中央新幹線については、先ごろの国土交通省の委員会において南アルプスルートが採算性等において優位であるとの試算が公表されました。このルートによると東京―名古屋間が約四十分で結ばれ、まさに夢が現実化しようとしています。
     本県では、南アルプスの一部が通過する部分以外は影響が少ないように見えますが、実は大きな恩恵を受ける可能性があると私は考えています。現在の新幹線は、一時間当たり「のぞみ」、「ひかり」、「こだま」の運転本数はそれぞれ九本、二本、二本体制となっており、東京―名古屋間の十三駅のうち本県は約半数の六駅を有していても「のぞみ」の停車駅は一つもなく、「ひかり」や「こだま」が駅で通過待ちをするために四分から六分も停車しています。
     リニア中央新幹線が開通すれば「のぞみ」の機能の大半はリニア中央新幹線に移り、新幹線のダイヤに余裕が生じることにより本県の「ひかり」の停車数の増加などとともに、富士山静岡空港の新駅設置の可能性が高まると考えられます。特に新駅の設置については、空港の利用者の増加はもとより交流人口の拡大など県勢の発展につながるものと大いに期待をしているところであります。しかし、JR東海は従来どおり新駅は不可能であると、県の考えを強く否定しています。また新駅設置には多額の費用がかかり、掛川駅や新富士駅の設置には地元が負担金を出しています。私は新駅設置はいつまでも夢物語では許されないと思います。
     そこで、新駅設置の目標年次を定め、技術的な検討なども踏まえながら実現に向けて着実な努力をすべきであると考えますが、県はどのように考えているのか御所見を伺います。
     次に、場の力について伺います。
     知事が何かを成し遂げようとするときに発言される、よく使われる言葉として場の力があります。私は、場の力と言えばコミュニケーション力、連帯、協働といった地域に根差したものを想像します。それは例えば防災や防犯、交通安全など日ごろの地域住民の活動により脈々と積み上げられてきた地域の力であり、さきの小山町での災害のときには地域の自主防の活躍が大変大きかったと痛感いたしたところであります。
     知事が言う場の力の概念は、今までその具体的な説明や目に見える形で示されておりませんが、話題性や先進的であるものばかりをとらえ、普遍的でないのにもかかわらず、目的達成のための手段として都合のよい修飾語になっているのではないかと疑問を感じることもありました。知事が推進するふじのくにづくりはこれから本格化していくわけですが、その実現はこの場の力がいかに発揮されるかが大変重要な要素であると考えております。
     そこで、知事はこの場の力を具体的にどのようなものとして考え、今後どのように引き出しあるいは活用していこうとしているのか、御所見を伺います。
     次に、富士山の保存管理について伺います。
     ことしの夏山シーズンにおける富士山への登山者数は、静岡県側の三つの登山道の合計で十四万一千人を超え、昨年より一一・二%増と大幅に増加したとの報道がありました。この要因としては、今シーズン中の天候が安定していたことに加え、近年の女性や中高年層に広がった登山ブームや富士山静岡空港の開港による外国人の登山者がふえたことが影響していると言われています。
     また、先月十九日には、富士山の顕著で普遍的な価値を証明する上で不可欠な富士山信仰関連の遺跡、神社など十の資産が文化審議会において国の史跡に指定するよう答申され、富士山の世界文化遺産登録にも追い風が吹いていると思います。
     私としては、最近の富士山への関心や世界文化遺産登録への期待がさらに高まっていることは大変喜ばしく思っておりますが、一方で富士山はオーバーユースが懸念されており、登山道のごみの問題、登山者の安全対策、交通渋滞対策など早急の対応を迫られている課題も多々生じていることに憂いを感じます。
     例えば、ごみ問題について、各種団体の継続的な清掃活動の実施や登山者のマナー意識の向上などにより、登山道沿いではかなり改善されてきていますが、片や登山道わきに目を向けると廃屋となった山小屋、そこで過去に捨てられたと思われる木材、ガラス片などの埋設ごみが見受けられ景観を著しく損ねています。
     また、登山者の安全対策については、誘導ロープ等の施設のみを頼りとしていたために、交差点部等で誘導標識などを見落とすなど、ことしも登山道を間違えたことによる登山者の遭難事故が複数発生いたしましたし、軽装等による外国人登山者の遭難事故が多発したことについては、外国人に対する情報提供不足などが指摘されました。
     加えて、増加する登山者や観光客による交通渋滞への対策については、富士宮口と須走口においてマイカー規制を実施していますが、マイカー規制のない週末には五合目駐車場から数キロメートルにわたり路上縦列駐車が行われており、緊急車両の通行にも支障が出ている状況であります。
     このように、富士山をめぐりさまざまな問題を抱えている中で、果たして本当に富士山の世界文化遺産登録が実現するのでしょうか。県では最短で平成二十五年の世界遺産委員会において審議を受けるという目標のもと、登録に向けての作業を進めていると伺っておりますが、富士山を世界文化遺産にふさわしいものとして後世に継承していくためには、これら多様な課題に対応するとともに、富士山を適切に保存管理していくための体制の整備が急務であると考えます。
     静岡、山梨両県にまたがり広範囲にわたる富士山の管理には、環境省や林野庁などの国機関に加え環境、観光、道路管理などさまざまな県の部局が関係しておりますが、利用者の立場からすればどこへ相談していいのかわかりにくく、また対応にも時間を要しているように感じられてなりません。
     平成十六年に世界文化遺産に登録された紀伊山地の霊場と参詣道では、富士山と同様に複数の県に範囲が及んでいるため、三重県、奈良県、和歌山県の三県の関係者で構成する協議会を設置していると聞いております。このような状況からしても、私は関係者が行政範囲の違いや縦割りの権限を越えて富士山に関する総合的な管理体制の整備を行うことが今こそ必要であると考えます。こういった体制が整備されてこそ、富士山の世界文化遺産登録の実現も現実味を帯びてくると思いますが、県の所見を伺います。
     次に、発達障害のある方への支援について伺います。
     近年、小学校、中学校の普通学級の生徒に占める発達障害の生徒の割合が年々増加しており、教育関係者から問題視されております。
     県教委が実施した通常学級に在籍する生徒に関する調査では、知的発達におくれはないものの学習面や行動面で著しい困難を示す発達障害と思われる生徒の割合は、平成十五年度の二・四%から平成二十年度には三・五%と増加しており、発達障害に対する支援は喫緊の問題であります。
     発達障害は症状の発現後、できるだけ早期に発達支援を行うことによりスムーズな社会適応ができるとされているため、特に就学前の支援が重要であります。発達障害の早期発見には専門医である児童精神科医の診断が不可欠ですが、専門医が複数いる機関は、西部に浜松医科大学、国立天竜病院、中部には県立こども病院があります。また発達障害者支援法に基づく発達障害専門の公的な専門機関である発達障害者支援センターについては、県及び政令指定都市に設置されています。
     しかしながら、県東部地域には医療・福祉面で地域資源が乏しいのが現状であります。県発達障害者支援センターへの相談件数は半数以上が東部地域からということを踏まえ、東部地域にもセンターを設置してほしいという声が寄せられております。
     そこで、県として、県東部地域への発達障害の支援体制についてどのように構築していくのか伺います。
     次に、沼津駅周辺総合整備事業について伺います。
     沼津駅周辺総合整備事業は、鉄道高架事業、土地区画整理事業、拠点開発事業などを一体として実施することにより都市機能の集積と高度化を図り、魅力と活力に満ちた中心市街地の再構築を推進するものであります。本事業は、東部の拠点都市としてふさわしい沼津市の形成には不可欠な事業であるだけではなく、県東部地域全体の発展を牽引する重要な事業であり、かねてより数多くの県民が大きな期待を抱き早期完成を願っているところであります。
     このような中、沼津駅周辺において実施されている土地区画整理事業は、鉄道高架事業や東部コンベンションセンター整備事業を進めるに当たって欠くことのできない事業であり、現在駅の北側で二地区、南側で一地区の計三地区で実施されています。特に北側においては、事業の進捗に伴い道路や宅地の整備が進み新しいまちの姿を実感できるようになりました。一方、駅の南側では北側ほどの事業進捗は見られないものの順調に事業は進捗していると伺っており、近い将来新しい質の高い市街地の形成が期待できる状況となっております。土地区画整理事業と一体となって計画されている事業の進捗状況が気になるところであります。
     まず、鉄道高架事業について、駅周辺と片浜地区において用地買収と工事着手のための調査等、原地区では新貨物駅予定地の用地買収等が進められてきました。鉄道高架事業につきましては、有識者会議の進展状況が気になるところではありますが、車両基地予定地では買収が終了するなど事業が着々と進んでいます。
     鉄道高架事業推進の障害となっている原地区で進められてきた新貨物駅予定地の用地買収においては、いまだ約三割の地権者の合意が得られていないものの、土地所有者の中には事業について抜本的に反対ではなく地域のつながりやその他さまざまな理由で合意できない方もいると聞いております。
     さらに、駅北拠点開発事業である東部コンベンションセンター整備事業についてでありますが、去る十一月二十九日に県と大和ハウス工業との間で基本協定の締結に至ったとの報道がなされました。この施設は、会議場、展示イベント施設、ホテルが一体となった東部地域では初めての本格的なコンベンション施設であり、地域全体の企業や住民の期待は高く、早期建設を望む声は日増しに大きなものとなっています。
     このような中、事業予定者から提案された計画案に対し、この施設が利用者にとってより魅力がある施設となるよう事業計画の調整を進めてきたと伺っております。このような状況を総合的に判断すれば、私としては冒頭述べましたように数多くの地域住民は沼津駅周辺総合整備事業の早期の完成を強く望んでいるのが正しい認識であると考えております。
     そこで、沼津駅周辺総合整備事業の骨格をなす鉄道高架事業及び東部コンベンションセンター整備事業の現状と今後の見通しを伺います。
     次に、沼津港の港湾振興ビジョンについて伺います。
     沼津港は駿河湾の湾奥に位置し、物流、水産業の拠点として、また伊豆西海岸への海の玄関口として地域住民の生活を支え、経済の発展に大きな役割を果たしております。
     このような中、平成七年来沼津市は潮の音プロムナード計画により、沼津港を含む海岸線の魅力を生かした地域の活性化を進めてまいりましたが、その核となる沼津港についてより一層魅力ある港づくりを進めるよう、平成十二年国から特定地域振興重要港湾の指定を受けるとともに、沼津港港湾振興ビジョンというにぎわいの拠点づくりのための設計図が作成されたところであります。
     ビジョン策定以降、静岡県や沼津市が中心となり関係団体の協力を得てビジョンの推進を図ってきており、平成十六年九月展望台を併設した大型水門びゅうおの完成を皮切りに、平成十七年十二月の立体駐車場ぬまづみなとパーキング一号棟の完成、平成十九年十一月の水産複合施設沼津魚市場イーノの開設などが進められてまいりました。また平成二十一年四月には海産物などの買い物や食事ができるマーケットモール沼津みなと新鮮館が完成し、この景気動向が不安定な現状においても年間百三十万人を超える観光客等が訪れております。
     このように、物流の拠点としてだけではなく、にぎわいづくりの拠点としても大きな役割を果たしてきた沼津港ではありますが、市街地にも近く全国有数の観光地である伊豆の玄関口に位置しており、また適度な規模の港であることから、資本投下のぐあいによってはまだまだ見違えるほどの変貌を遂げていく可能性を持ち得ているものと思います。今後沼津港港湾振興ビジョンに位置づけられた関連施設の整備が進むことで、沼津港の魅力が増すだけではなく地域全体の活性化が一層促進されるものと考えております。
     このように高いポテンシャルを持ち地域の牽引役となっている沼津港の振興を図るため、県としてビジョンの実現に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
     また、あわせて港の入り口に近く冬場の波で荷役作業に支障を来すことがあると聞く魚舎前面の静穏度確保のため、沼津港外港で進めている波除堤の整備について現在の進捗状況並びに今後の見通しを伺います。
     次に、教育行政についてのうち、本県の教育のあり方について伺います。
     知事は、静岡文化芸術大学の学長であったとともに、さきの安倍政権において設置された教育再生会議の一員として第三部会長としてかかわるなど、そのすぐれた識見が認められた社会科学者であり、教育に関するスペシャリストであると思います。
     知事は、教育再生会議においてふるさと学とも言うべき学問のあり方、すなわち地域のよさを知りそのよさを発信する取り組みなど、地域に根差した学習の重要性について発言されているほか、最近の著書「日本の理想ふじのくに」においても、地域の自然に親しむなどさまざまな体験活動の中で子供の情操をはぐくむことの大切さについて書かれておられます。
     平成十八年十二月に全面改正された教育基本法には、教育の目標として、幅広い知識と教養、真理を求める態度、豊かな情操と道徳心、健やかな身体をはぐくむことなどのほか、自然を大切にする態度や伝統と文化を尊重し郷土を愛することが挙げられておりますが、これは知事のお考えと重なっている部分が非常に多いと感じております。
     現在、新たな静岡県総合計画が策定されているところでありますが、基本理念として富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを掲げ、「徳のある、豊かで、自立した」地域づくりの大きな柱として徳のある人材の育成を最優先に進めていくと聞いております。
     そこで、知事はこれまで御自身が述べられた人づくりに関するお考えが県の新しい総合計画における人づくりにどう反映され、具体化されていると認識されているのか伺います。
     次に、特別支援学校の整備計画についてであります。
     特別支援学校の児童生徒数の推移を見ると知的障害のある子供たちの増加が続き、平成十年に千四百九十一人であった在籍数がことし平成二十二年度には二千九百三十人と約倍になっています。特に高等部における増加が著しく、平成十年に四百九十九人であった在籍数が平成二十二年度には千三百四人と約二・六倍になっています。
     県教育委員会では、平成十八年度に作成した基本計画に基づき、これまでも清水特別支援学校の新設を初め本校及び分校の学校整備を進め、今後も伊豆松崎分校、富士宮分校、城北分校の開校が予定されており、狭隘化や通学負担軽減に向けた取り組みがなされていることは評価しております。
     しかしながら、私の地元である沼津地区でもさらなる学校整備が必要であるとの保護者の声が届いてまいります。去る九月議会において特別支援学校の新たな整備計画を策定する旨の答弁がありましたが、できるだけ恒久的な対応ができる計画を策定していただきたいと考えています。
     そこで、県教育委員会では、今後の知的障害の児童生徒をどのように見込み将来的にどこまで整備を進めていくのか、教育長の所見を伺います。
     最後に、養護教諭の配置について伺います。
     現在の学校は、いじめ、不登校などさまざまな問題を抱え、児童生徒の生活と健全な安全を直接守る立場にある養護教諭には、その専門性を生かした対応が期待されています。また平成二十一年度から施行された学校保健安全法には、子供たちの健康状態の把握や必要な指導等が保健指導として位置づけられ、養護教諭の役割はますます重要なものとなっています。
     そのような状況にある養護教諭が、子供の成長発達段階を深く理解するために小・中・高の学校校種を越えた交流を行うことは意義あるものと考えますし、特別な支援を必要とする個々の子供への対応方法を身につけるために特別支援学校と小・中・高の間で異動は重要なことと考えます。しかも養護教諭の採用選考試験が教諭とは異なり、学校校種を定めず募集していることや必要とする教員免許状が学校校種によらないことからも、学校校種を越えた異動を積極的に行える環境にあると考えます。しかし現状では、小・中学校の間の異動を除き最初に入った学校校種内での異動に限られていると聞いています。
     そこで、採用選考試験の募集実態を考慮し、資質向上を図るために養護教諭に対しましては三年程度の研修交流に加えて、どの学校校種にも異動できるシステムとすることが極めて重要と考えますが、このことについて教育長の所見を伺います。以上で私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 多家議員にお答えいたします。
     いずれも重要な課題に対して具体的な論点を提示されまして、いずれにもお答えしなくちゃならないのでありますけれども、私のほうからは私の政治姿勢についてのうち、医科大学の誘致についてお答えをいたします。
     現在策定中の次期総合計画において、県政運営を行う上での基本理念として富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを掲げているところでございますが、このような理想社会を実現するに当たりましては、必要なときに安全で質の高い医療を提供できる体制を整えておくということは不可欠でございます。そのために安定して医師の確保が図られる医科大学・大学院の設置が必要で、これまでも県議会を初めさまざまな場において、その実現に向けて思いをお伝えしてきたところでございます。
     現在、本県にかかわりやゆかりのある大学や病院の代表者とお会いしております。誘致のための交渉を行っておりますが、今後示されるであろう国の医学部新設の方針の内容や、大学等の関係者の動向、県内の立地環境などを勘案していく必要があるわけでございます。
     現時点で具体的な工程を示せとのことでございますけれども、これがなかなか難しゅうございます。が、しかし長くても二年半、すなわち私の在任期間中に必ずめどをつけると。できれば相手のこともありますので、私としましてはこのような答弁を繰り返すことを早くやめたいと思っておりまして、そうですね、来年の今ごろにはクリスマスプレゼントとして出せるように全力を傾注いたしたいということを申し上げたいと存じます。
     ただ、この医師不足あるいはいろいろな医師の偏在であるとか、医療機関の偏在であるとかという問題が指摘されておりまして、これは本県のみならず全国的な問題でございます。そうしたこともございますので他県の知事さん、例えば新潟県などの知事さんと諮りまして、定員増でございますとか学部の新設について国に働きかけるというふうな共同作戦も出しつつ、一方差別化を図らねばなりませんので、そうしたところで本県の持っている医療、健康分野での産業集積もございます。それからまたいわゆる医療も含んだJICAの活動もございますので、そうしたものを取り込んだ大学もしくは大学院も視野に入れて、それなりに社会的信用を確立している機関にお越しいただくというふうにいたしたいと存じます。
     それから、財源の問題もございますので、これも喜んで来たいというところはおねだりだけをするということもないというふうに存じまして、そうしたこともあわせてただただ平身低頭して来てくださいというような態度はとっておりません。誇りを持って来ていただいて、使命感を持ってここへ来ていただいて喜んで教育、研究、医療に従事していただけるというような、最良のものをいわば最高のものを時間の許される中で誘致いたしたいと。そしてその地域は東部であるというふうに考えております。
     ただ、東部全体の首長先生方とお目にかかりました折に、誘致合戦はしないという一番最初の集まりにおいてそういう合意を皆さんのほうからしてくださいまして、そうしたことにつきましては、ぜひこれからも遵守していただければというふうに願っております。なるべく早く朗報をこちらで御紹介申し上げたいと思っております。
     続きまして、場の力についてでございますけれども、なるほどコミュニケーション力とか連帯とか協働とか先生が言われました地域の人々の力というのも場の力ではありますけれども、もう少しどのように言ったらいいのでしょうか。例えばマルクス主義におきましては原始共産制、奴隷制、封建制、資本主義社会、そして共産主義社会になると言っていますね。そこには一切の場所の名称といいますか、風土性など考えられておりません。
     そういう考え方に対しまして、むしろ日本におきましては「場違い」というような表現もございますように、それぞれの地域性を重んずる文化がございます。そしてそれは恐らくこの国の二千年の歴史の中で培われてきたものではないかと思うのでありますが、特に地球の反対側といいますか西洋の西ヨーロッパなどにおきましては、自然科学的な形で地域力を上げていくという態度がございます。それをさかのぼっていきますと、やはりキリスト教というかギリシャ哲学というかそうしたものに行き着きます。結果的に人間が神のいわば代理として自然を治めるということから、自然というものに人間性というか精神性というものを認めにくいような、そういう文化を持っています。
     一方日本は、輪廻転生のような仏教思想、あるいは縄文時代以来の自然への恐れというような心の形が草木国土悉皆成仏であるとか、やおよろずの神々とかというような表現になりまして、周りのものを粗末にしない大切にするという態度を培ったと思うのです。
     したがって、よく言われますように、また世界語になったような「もったいない」というような言葉も態度も生まれると。したがって周りのものを生かすという態度、それが場の力を引き出すという表現になるというふうにお考えいただければと思うのでございますが。
     十分にこなれた表現でなくて、なおかつ使っているのは問題があるというふうに言われれば、もう少しわかりやすく言わねばならないと。地域性、地域の持っている宝を大切にすると、周りのものを大切にすると、つまり環境を大事にするというような、そうした態度を一括してこの地域が持っている地域の潜在力を上げていくという表現を、場の力を引き出そうという言い方にしてるわけです。
     ですから、自分の足元を見ようと、また自分たちのこのふじのくにの自然、伝統、文化、こうしたものに目を向けようと、足元を見ようというような強いメッセージをそこに込めておりまして、時間軸の中というよりも自分たちの持っているその過去の歴史そして現場、これをもう一度しっかりと見詰め直すということはまさに場を離れて考えるなと、地についた思考をするという、そういう態度のものではないかということでございます。なかなかうまく言えないのでもう一度冬休みの宿題とさせていただければと存じます。ある程度理解いただければと思います。
     他の件につきましては、これは他の部局長、教育長からお答えすることになっておりますけれども、若干補足いたしますと沼津駅に関しましてはコンベンションセンターをつくると。しかしこれは沼津港と無関係にするものではありません。沼津一帯でございますので。そして沼津港の振興ビジョンというのもハードだけではなくて、そこの例えば内港ですね、そこは突き当たりますと狩野川の堤防がございます。それはかなり高いので向こう側の美しい景観が見られません。
     また、内港におきましてもベランダが一階につくられていますので、市場ですね、新しい市場。ですから向こうを見れば倉庫といいますか余り景色がいいとは言えないと。そうしたところにデザインがございませんでしょう。しかし魚市場の責任者などは門司港を見に行っている、あるいはかつて石炭港であったカーディフまで行って、今そこはものすごく美しいいわゆるウォーターフロントになっています。それも見に行かれました。
     さらに、静岡文化芸術大学の空間デザインのほうに御依頼されて学生も見に来てます。ですからそこから見ると狩野川の向こう側の御用邸の公園であるとかさらに千本松原とかさらに富士山であるとか、周りの景色を楽しめるというふうにするにはどうしたらいいかと。それはもちろん沼津駅に来られた方々がそこでお泊まりになり、同時に簡単に沼津港にお越しになって帰っていかれるような、そういう人々の動きを活発にするような形で全体のにぎわいを上げていくというふうに考えているところでございます。
    それから、教育のあり方についてでございますけれども、抽象的に有徳の人というように言ってはおりますけれども、これはすべて人づくりであるという観点で言っているわけです。そしてその人は文武芸、皆重要だと。このことは極めて重要でスポーツは数学と同じぐらいに大切だと、スポーツ王国を名乗ることが重要だと、芸術王国を名乗ることも重要だと。さらに言えば焼津の水産高等学校が総理大臣賞をもらいました。あるいは富岳館高等学校が未来創造賞をこのたび国交省からもらいました。これは地元の酪農を元気にする高校生の挑戦ということが言われたわけです。
     こういう酪農や農業をやる子、あるいは水産をやる子、これが英数理社ができる子とどちらが上か下かというと同じく重要だと。いやむしろこれからの時代、このような実務的な実践的な、大地に根差した、地域に根差した、そういう経験知と技術、そして知識を持っていることのほうがかえって重要になりますよということで励ましてまいりたい。
     文武芸三道鼎立と言っておりますが、もう少しこれを言いますれば文武技芸。芸というのは技芸、わざですね、技術です。そうしたものが大切だというメッセージであります。今まで文中心だった。ときどき武のことは言われた。芸はいわば芸術はつけ足しだったのを三つながらに大切だと、全体としてそういう能力をこの地域で開発できるようにしていこうということで、私は普通高校重視主義者ではありません。すべての人間がつくり上げてきたいろいろな知識、経験、技術、これは同じように重要であるというような、そういう方向性をこの新総合計画あるいは教育委員会におけるこれからの教育の指針として、しっかりとそれを政策の中に落とし込んでいきたいというふうに考えております。
     その他の件に関しましては、担当部局並びに教育長からお答えをいたします。
    ○副議長(岩瀬 護君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 知事の政治姿勢についてのうち、富士山静岡空港の新幹線新駅についてお答えいたします。
     国の交通政策審議会で議論されております中央新幹線の実現につきましては、議員の御指摘のとおり、東海道新幹線既存駅への停車本数の増加や新駅の可能性が高まるなど、本県にとって大きなメリットを生み出すものと考えております。
     東海道新幹線の新たな利活用により、富士山静岡空港はもとより間もなく開通します新東名高速道路を初めとしました高規格幹線道路、清水港、田子の浦港、御前崎港と一層緊密に連携し、国内はもちろん世界につながる陸・海・空の力強い交通ネットワークが形成され、いわば東海道新時代の幕あけになるものと期待をされております。
     議員御指摘の新幹線新駅につきましては、空港の利活用に資するばかりでなくふじのくにの自立を支える重要な社会基盤であると考えており、その実現のためには旅客需要や波及効果、建設コストなど、中央新幹線の開業時期を意識しつつ、計画的に検討を進めていくことが必要であると考えております。
     県といたしましては、八月に立ち上げました庁内の推進体制のもと技術的な検討や情報の収集を進めており、今後審議会が答申を取りまとめる年度末を目途に経済界と連携しましたセミナーを開催し、また来年夏には、有識者会議による委員会を通じまして新たな東海道のあるべき姿を具体的な工程表として策定するなど、実現に向けた関係機関との協議に入れるような環境整備に努めてまいります。
     次に、沼津駅周辺総合整備事業についてであります。
     沼津駅周辺総合整備事業の骨格となります鉄道高架事業につきましては、鉄道で分断された地域交通の円滑化と市街地の一体化を図る重要な事業であります。
     本事業につきましては、計画につきまして客観的、科学的見地から検証する有識者会議を本年九月に設置し、先月に開催しました第二回会議から具体的な議論を開始いたしております。会議につきましては平成二十三年春ころを目途に意見の取りまとめをお願いをしており、引き続き会議の議論を注視してまいります。
     また、東部コンベンションセンター整備事業につきましては、優先交渉権者である大和ハウス工業が提案した計画案に対し千本松原を基本コンセプトに協議を進め、去る十一月二十九日に基本協定を締結いたしました。
     今後、地産地消の視点も取り入れつつこの施設がより使いやすいものとなるよう設計を進めていくとともに、完成後の運営計画につきましても、地域産業の活性化に貢献することとなるよう沼津市と連携し検討を進めてまいります。
     なお、県施設につきましては、設計完了後、平成二十四年に建設工事に着工し二十六年夏ごろを目途に、また沼津市の展示イベント施設につきましては、平成二十五年夏ごろの供用開始を目途に事業を推進してまいります。
    次に、沼津港港湾振興ビジョンについてであります。
     沼津港は、県東部の物流拠点、西伊豆への海の玄関口であり、平成二十年に策定しました沼津港港湾振興ビジョンに基づきまして、港湾機能の充実と魚市場周辺の特性を生かしたにぎわいづくりに向け、着実に施設整備を進めているところであります。
     具体的には、現在外港地区における水産物の取り扱い機能の充実を目指し、今年度中の完成を目途に漁労活動の安全確保や食の衛生管理に配慮した魚舎の整備を進めているほか、新たに岸壁前面の静穏度を向上させる波除堤の整備に着手することとしております。さらに入り込み客数の増加に伴い民間による立体駐車場の増設を支援するとともに、今後西伊豆方面の公共交通の拠点となる旅客ターミナルやその周辺整備を県と民間が協力しながら進めていく予定であり、これらの整備で港の魅力が一層増すものと考えております。
     県といたしましては、民間の創意工夫を生かしつつ地元沼津市と密接な連携を図りながら、沼津港が都市部における水産業の六次産業化と食の都を支える水産物づくりの拠点として、県内外から人々が集いにぎわう場として発展するよう、ビジョンの実現に向け沼津港の整備を進めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 出野文化・観光部長。
           (文化・観光部長 出野 勉君登壇)
    ○文化・観光部長(出野 勉君) 富士山の保存管理についてお答えいたします。
     富士山の世界文化遺産登録の推進に当たり、広範囲に及ぶ富士山体等の構成資産の保護、保全のためには、文化財保護法に加え自然公園法などを適用することとしておりますことから、富士山の保存や管理に関係するさまざまな機関や団体等が参画した、包括的な保存管理体制の整備が不可欠と考えております。
     このため、静岡・山梨両県では、両県及び関係市町村を初め国の関係機関や学識経験者などを加えた従来の行政の枠組みを越える管理組織として、仮称ではございますが富士山世界遺産両県協議会の設立を目指しており、現在文化庁の指導のもと構成員の選定や事務局会議の設置などの具体的な協議を進めているところであります。あわせて両県の異なる土地利用の実態を踏まえ適切な保存管理と活用の両立を図るため、この両県協議会のもとに行政機関、観光協会、神社関係者等の官民から成る各県協議会の設置も進めております。
     県といたしましては、富士山の世界文化遺産登録を確実なものとするためにも、関係者の理解を得ながらこのような体制を整備することにより、富士山に関連するさまざまな課題の解決に積極的に取り組んでまいります。以上であります。

    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに本県教育のあり方についてお答えいたします。
     ふじのくにの礎は人材の育成にありますことから、みずからの資質能力を伸ばすとともに、多様な生き方を認め合いかかわり合いながら、よりよい社会づくりに参画する人づくりが必要であります。
     この考え方のもと、基本構想におきましては「一に勉強、二に勉強、三に勉強」、すなわち学校で学び仕事や生活の現場から学び芸術や文化から学び、よりよい生き方を求めることを通して文武芸三道の鼎立を目指しており、目標となる具体的人間像としては思いやりを持って行動できる有徳の人、文武芸のいずれかの分野において自己を磨く努力をしている人をお示ししているところであります。
     さらに、基本計画におきましては、地域の歴史、文化、産業などの特色を生かした学習や本物の芸術文化に触れる機会の充実などにより徳のある人間性の育成を学校教育の第一とするとともに、学校、家庭、地域連携のもと、生涯にわたって学び続ける環境づくりを推進することを示しており、こうした取り組みを積み重ねていくことにより、富国有徳の理想郷“ふじのくに”が実現するものと考えております。
     次に、特別支援学校の整備計画についてであります。
     議員御指摘のとおり、知的障害者を対象とする特別支援学校では児童生徒数の急増が続いておりますが、その要因としましては、障害や特別支援教育に関する理解が進んだこと、高等部において実施している職業教育への評価が高まったことや、小中学校の特別支援学校在籍者がこの十年で倍増していることなどが考えられます。
     今後の知的障害特別支援学校の児童生徒数につきましては、本県では県内各地の中学生以下の子供の数、特別支援学校への就学率や特別支援学校高等部への進学率等をもとに推移を予測しており、これによれば今後も当分の間、増加傾向が続くものと見込まれます。平成十八年度に策定しました基本計画に続く新たな特別支援学校の施設整備に向けた計画におきましては、知的障害特別支援学校における学校の大規模化、狭隘化の解消や通学負担の軽減を大きな柱としており、今後およそ十年にわたる県全体の児童生徒数の推移も視野に入れ、適正な計画の策定に努めてまいります。
     次に、養護教諭の配置についてであります。
     本県の養護教諭採用選考試験におきましては、免許状が校種によらないことから、校種を分けずに広く募集し受験時における受験生の意向をもとに配置を決めております。これはどの校種にも適切な人材を配置するために有効な手だてであり、他県も同様の選考方法をとっております。
     議員御指摘のとおり、児童生徒の心身の健康問題の多様化により養護教諭の果たす役割がより重要になっており、校種を越えて経験を積むことは、子供の発達段階や特別な支援を必要とする子供を理解する点から有意義であるものと考えております。そこで今後は、養護教諭の校種を越えた研修交流を拡大するとともに、現在在籍している校種を変更する意向のある養護教諭につきましては、研修交流中に適性を確認し校種間の異動も可能とする人事配置を検討してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで多家一彦君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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