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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

阿部 卓也 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/28/2017

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 激変する教育環境に対応する教育改革について
 (1) 新学習指導要領案への対応
 (2) スクールアイデンティティーを意識した次期長期計画の
   策定
2 スポーツ王国静岡の復活について
 (1) ジュニア・アスリートの育成と指導者の養成
 (2) 部活動のあり方
 (3) 生涯スポーツの振興
3 ふじのくに型人生区分に基づく生涯現役社会の構築について


○副議長(藪田宏行君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十一番 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇 拍手)
○三十一番(阿部卓也君) ふじのくに県民クラブの阿部卓也です。私は、政治家とは理想を掲げそれを実現するためのミッションとして日々活動に取り組むべきものと考えています。私の大きなミッションは地域主権の具現化ですが、そのために必要なこととして人材育成の基盤としての教育問題であり、ローカル経済の創出、育成であり、憧れを呼ぶ暮らしづくりであります。いずれも今日まで精力的に取り組んできたつもりですが、今回の質問は生き生き学び、働き、健康長寿で暮らせる理想郷づくりをテーマに提言型で組み立ててまいりましたので、ぜひ濃密かつ実りある議論となりますことを期待して分割質問方式で質問をいたします。
 まずは、激変する教育環境に対応する教育改革から入りますが、これは静岡県の教育にとって重要局面が現在進行中であると痛感するきょうこのごろだけに冒頭質問といたしました。
 今月十四日に小中学校の教育課程の基準となる新学習指導要領案が公表されましたが、今回の改定の内容は過去の改定で繰り返された学習の量の増減ではなく学びと指導の質的な転換を掲げております。さらに過去と大きく違うのは同時進行で大学入試制度にメスが入ること。これは日本の教育制度全体の改革であり深い意味での改革になると私は感じています。ゆえに本日の質問では小中学校にかかわるものと大学入試改革をにらんだ高校にかかわる質問を順にさせていただきます。
 まず、最初に新学習指導要領案への対応について伺います。
 二〇二〇年にスタートさせるとした英語教育の早期化、教科化とプログラミング教育の導入についてですが、現状英語教育については小学校教員免許にはそのスキルは求められておりません。プログラミングについては中学校技術科教員は計測、制御の内容を指導する上でスキルが求められますが小学校教員には求められていません。では二〇二〇年にスタートするために対策をどうするんだということになりますが、これ文部科学省の指示待ちをしていたら出おくれてしまうことになるでしょう。静岡県としては早急に人材育成ないしはパンク寸前の小中学校教員以外からの対策を講じていくべきだと考えます。
 実は全国を見回すと既に対応を始めている事例がありました。福井県鯖江市のNPOエル・コミュニティでは福井高専の教員の指導で放課後の小学生にプログラミングを教えています。まずハンダごてで基盤をつくるところから始めてその後実際のプログラミングをしてゲームをつくるという工程、これをごく安い金額で実施していました。放課後は小学生そして夜間は小学校の先生方が学ぶ。これで鯖江はプログラミング教育への備えが一歩リードです。これを私も視察をさせていただいて、こうやればできるんだと実感をいたしました。
 この形態であれば静岡県も工業高校や高専の先生方の協力を得て体制を構築することや、このあとの質問でも提言いたしますが定年後世代のプログラミングのスキルをお持ちの壮年熟期の皆様のお力をおかりして体制をつくることも実現可能と考えます。英語教育についても同様に語学の堪能な地域人材を活用するべきと思います。このような地域人材の活用は教育委員会、知事部局一体となって取り組むべきと考えますが御所見を伺います。
 次に、高校における問題点や改善すべき事項について、私見を述べた上で提言と質問をいたします。
 まずは、静岡県の公立高校における勉学と部活動の両立の気風の功罪についてであります。
 私は、県議会議員当選以来数十校に及ぶ県内高校を実際見せていただいておりますが、勉学と部活動の両立を掲げられている高校の多さが目立ちます。これはとてもよいことではあるのですが実は近年マイナス面が目立つようになってきました。
 東海四県の各種模試の成績、進学実績、部活動の対外成績などを比較すると静岡県が近年全体的に低迷しているということがわかります。例えば静岡大学工学部や静岡文化芸術大学の二〇一六年入試の合格者占有率で見ると愛知県の学生に一位を奪われ静岡県の高校生は地元の大学に行きたくても行けないという状況に陥っています。また同様に高校部活動の実績を見ても東海大会を勝ち抜けなくなっているという状況です。このような両立の気風だけでは立ち行かない現実の厳しさを教育委員会としては認識されているのでしょうか。正面から受けとめ早急に対策を講じる必要があると考えます。
 また、両立の気風は高校の評価を大学進学実績と部活動の成績という二つに偏在させ、進学優先派と部活動優先派の教員同士の対立を引き起こしている学校が多く見受けられます。また高校間で偏差値だけのヒエラルキーができ上がってしまっていること、そして一般的にそのような画一的な評価基準だけが定着してしまっていることに問題があります。各学校にスクールアイデンティティーを持たせる改善が必要です。
 そして、二〇一八年問題と言われるように来年度から十八歳人口が再び減少期に入ることは御承知のとおりでありますが、静岡県の中学校卒業生も来年度約五百人、二年後は約千二百人、四年後は約三千人減少します。この現実を直視して次期高校長期計画の内容を私立高校も含めた広い視野で静岡県の高校教育のあるべき姿をつくる作業に着手すべきと考えます。
 そこで改めて、スクールアイデンティティーを意識した次期長期計画の策定について伺います。
 まずは、現在の高校受験に際して中学校の内申点だけで足切りをするような短絡的な発想による評価をやめること、また裁量枠制度についてはどの高校においても金太郎あめのような一律な生徒評価やどの高校も同じ部活動に対して裁量枠を使うということをやめさせる。その上で県立高校の特色化を図り、子供たちの可能性を開き個性を伸ばし多様な人材を育てるためにスクールアイデンティティーの確立が必要だと考えております。
 特に、静岡県において中堅校と位置づけられる普通高校群が対象となろうかと思います。これらの高校が持つべきアイデンティティー案を例示すると留学生の相互交換を活発にするような国際教育のモデル校、地域や地元企業との連携を密にして地域おこしの人材を育成するキャリア教育のモデル校、生徒の将来の進路いわゆる出口対策をきちっと考えた芸術やスポーツ専攻のモデル校、県内大学への進学を促進させるための高大連携のモデル校、特色ある大学、例えばバイオとか防災学とかこのようなコースへの進学を促進させるためのモデル校、さらには中高生急増地域――これは私の浜松市浜北区でありますが中学生が急増をしている唯一の地区でありますが――ここでの中高一貫校などをつくっていくべきと考えます。また現在進学校と位置づけられる高校においても国際競争力をつけるためにバカロレアの導入校、AIなどの台頭に備えた理数探求のモデル校などをつくることも必要だと考えます。
 まずは、今例示した具体例それぞれについて御所見をお伺いいたしたいと思います。
 また、現在県教育委員会では高校の次期長期計画の策定のための専門委員会を開催していると聞いています。私は税金で運営されている公立高校の使命というのはあくまで県内あまねく地域の学生に平等な教育機会を提供することが第一義であると思っています。であれば過疎地域、郊外非都市部の公立高校の教育の質の向上と学生たちの各種教育機会への参画のチャンス増大に尽力し、さらには特色化による都市部からの生徒の取り込みにも努めるべきであります。その上で県内私立高校の立地状況も考えると、まず公立の地域にある中堅校のスクールアイデンティティーを際立たせ、高校の再編計画は都市部の公立高校の統廃合を中心にするという方向性に帰結すると考えますが御所見をお伺いいたします。
 さらに大切なことは、同時進行で教員の人事もこのような特色に沿って適材適所に配置することです。教員の皆様のモチベーションを上げて教員の質の向上に努めていくことも肝要でありますし、また教育の質及び教員の質の向上には民間の力もかりて逆算した大学入試対策やさまざまな新学習指導要領対策を行うことも視野が広がってよいことだと感じていますが、あわせて御所見を伺います。
 以上、静岡県の高校教育の将来像を描くスクールアイデンティティーの確立と次期長期計画の策定に関して教育長の答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 阿部議員にお答えいたします。
 激変する教育環境に対応する教育改革についてのうち、新学習指導要領案への対応についてであります。
 先般示されました新しい学習指導要領案には、プログラミング的思考を育む教育の重要性が明記されており、子供たちの生活や教科等の学習と関連づけながら発達の段階に応じて実施していくべきとされております。また小学校においてはプログラミング言語を学習させるのではなく算数、音楽など総合的な学習の時間など各教科の特牲を生かし、コンピューターに意図した処理を指示することができることを体験させながら学ぶとされています。こうした中、本県中学校の技術・家庭科の技術分野における計測、制御の授業では前へ進め、右へ曲がれなど日本語の簡単な単語で構成されているプログラム言語等を用いて模型自動車を制御するといった学習が実践されております。
 福井県鯖江市の事例を議員から御紹介いただきましたが、県内でも企業、高専、工業高校等と連携した実践があり、これまでもロボット制御の分野で子供科学館が小学生を対象とした体験学習を実施したり、高専や工業高校と中学校が連携した授業や競技大会が行われたりしております。最近では情報通信企業と連携して人型ロボットを活用した取り組みも始まっております。
 県教育委員会といたしましては、こうした好事例を県内の学校に情報提供するなどして各学校の実態に即した取り組みを支援してまいります。また英語教育につきましては地域とともにある学校づくりが県内各地で進む中、語学の堪能な地域人材を学校ボランティアやゲストティーチャーとして積極的に活用してまいります。
 次に、スクールアイデンティティーを意識した次期長期計画の策定についてであります。
 県立高校の平成二十九年度以降の第三次計画につきましては、学識経験者、私立高校の関係者、民間企業経営者、保護者の代表など各方面の委員による検討委員会を設置し、現在まで五回の審議を行ってきたところであります。この中では生徒、保護者や地域の多様化するニーズに対応していかに高校の特色化を図っていくのかが重要なテーマとなっております。
 議員より御提言のありましたバカロレアや芸術・スポーツ系学科、中高一貫校や実学系の専門学科のあり方などについて専門的な見地から将来に向けた前向きな検討をいただいております。さらに今月の検討委員会では中山間地域の小規模校や定時制・通信制教育のあり方が審議され、公立高校として担うべき役割についても議論されたところであります。
 県教育委員会といたしましては、生徒の多様なニーズや個々の能力・適性に応じた学習機会を提供できるよう高校の特色化を図るとともに、生徒数の減少や大学入試改革などの高校教育を取り巻く環境の変化にも的確に対応していく必要があると考えております。今後こうした視点に立って、検討委員会の答申を踏まえながら、本年中に県立高校の第三次長期計画を取りまとめてまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。三点再質問をさせていただきます。
 まず、提言をいたしましたスクールアイデンティティーの確立でありますが、今の御答弁だと検討委員会の答申を踏まえてということでありますが、スクールアイデンティティーという考え方を導入していくかどうか、もう一度お伺いをします。
 それから、教員人事についてあまりお触れになりませんでしたが適材適所で今後人事を考えていかれるのか、また不足する分をさまざまな形で補っていくことが必要だと思いますが、それについて御所見を伺いたいと思います。
 あわせて、教育委員会と先ほど申し上げましたがスクールアイデンティティーをつくること、また私立高校との連携については知事部局も連携をして一体でやっていただくべきことと思います。知事部局の御所見も伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 再質問ありがとうございます。
 まず、スクールアイデンティティーを入れるかどうかということなんですが、これは前向きに議論していきたいと思いますので、このスクールアイデンティティーという発想も取り入れて考えていきたいとこのように考えています。
 それから、教員人事について不足分をどうするかということですけれども、私たちはもちろん学校の教員というのもありますけれども今は社会で第一線で活躍されていらっしゃる方もおりますし大学の方もいらっしゃいますので、随時そういうような方々にも御参加いただいて最新の情報、最新の技術を導入していきたいとこのように考えております。
 それから、私立高校との関係ですけども常に情報交換もやっておりますので、そういう点では意見交換の中でですね、交われるといいますか一緒にできるところはやっていきたいとそのように考えております。以上です。
○副議長(藪田宏行君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) スクールアイデンティティーを意識した次期長期計画の策定についての再質問についてお答えいたします。
 その中の知事部局としての対応ということでございますけれども、まず県の教育振興基本計画の第二期計画の中には魅力ある学校づくりとしまして児童生徒の実態や地域社会の実情に応じた学校づくり、特色ある学校づくりを推進することと考えてございます。今年度の知事と県教育委員会委員とで構成いたします総合教育会議におきましても個々の才能や個性を伸ばす多様な学習機会の提供をテーマとして協議いたしまして、少人数教育の推進等々意見が出されたところでございます。その結果県教育委員会におきまして、静岡式三十五人学級の拡充あるいは中山間地域の学校等へのICT機器の導入など予算措置が進められたというところでございます。
 検討会議で議論が進められております県立高校の第三次長期計画につきましても、必要に応じまして総合教育会議の中で御議論していただければと思っております。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。教育長それから知事部局からそれぞれ御答弁をいただきましたが要望を申し上げます。
 いずれにしろ現場をよく見ていただいて分析をしていただいて、現場本位の教育を生徒たち本位の教育を組み立てていただきたい。その中で高校再編長期計画を組み立てていただきたい。そしてそれは私学を含めたもので静岡県全体の高校教育という大局的な視野でやっていただきたいと、それだけ要望といたします。
 次の質問に入ります。
 次に、スポーツ王国静岡の復活についてお伺いしますが、どんなスポーツにおいても指導者の力と指導方法というものが大きな影響を持つことは皆様も御承知のとおりであります。そこで競技力の向上策として指導者育成の道筋をつけること、スポーツの理想を具現化すること、そして科学的指導の導入について提言いたします。
 きょうは二月二十八日、もうすぐひな祭りでございます。ということでひな祭りのひし餅を皆さん思い浮かべていただきたいと思いますが、ひし餅ですね。スポーツ界の現状について私なりに見解を述べさせていただきます。
 ひし餅の一辺を底辺にしてその底辺部分がジュニアアスリートのスタート部分です。スタート部分ですね。成長するにしたがってトップアスリートになれる人材は必然的に絞られていきますのでひし形の中にこういう三角形が形成されることとなります。この三角形の頂点がオリンピック選手などのトップアスリートと思ってください。
 さて、ひし餅のひし形の残り半分の三角形はどうなっているか。現在はほとんどがスポーツとかかわれなくなっているという現状だと思います。これをもう一つのスポーツにかかわる三角形と考えて、アスリートの三角形とは逆にまずは競技者のバックアップメンバー――まあ補欠ですね――そこからスタートをし、次第にマネジメントやトレーナーとして専門的な学びを進め最後はさまざまな形でプロとして食べていける指導者、スポーツ関連職、また一方で正しい知識と経験や人脈を持ったアマチュアスポーツの指導者としての育成もしていけるという逆三角形を形づくることがスポーツ王国静岡を構築するための理想形ではないかと考えます。
 この理想のひし形を具現化するためには、ジュニアからの一貫したスポーツ競技力向上のあり方をきちっと体系づくること。つまりはスポーツ局としての中学、高校での部活動への関与、地域に潜在する指導者の登用など多岐にわたるスポーツ関連人材の育成、発掘も必要であると考えます。さらには憧れの県内のプロスポーツチームとの協働による競技力の向上、指導者の養成にも積極的に乗り出すべきであります。
 特に、県が関与すべき事例として推したいのが女子バレーボールチーム、ブレス浜松です。ブレス浜松は企業丸抱えのプロチームではなく、選手はさまざまな支援企業で昼間はフルタイム仕事をして終業後の夜や休日に一般と同じくインターネットで申し込んで押さえることができた体育館で練習をしているという――もちろん体育館もとれないときもあります――まさに市民感覚満載のプロチームであります。
 このチーム、この厳しい環境の中でも日ごろは地域のジュニアの育成にも無償で乗り出してくれています。彼女たちが教えるのはバレーの楽しさと体が小さくてもチームとして頑張れば負けないということ。ブレス浜松は十九日にVリーグ三部で二位を確定させ、来週末には二部との入れかえ戦に臨むという驚異的な頑張りを見せています。このチームの選手たちは本当にバレーが好きで諦めない気持ちを持っています。こんなスポーツの魅力を体現できるようなチームにこそ静岡県を担う将来のアスリートたちを一緒に育ててほしいと感じるのは私だけではないはずです。
 静岡県が目指す理想のスポーツ王国の姿とは、このようなチームにスポットを当て、協働してともに高みを目指していくべきではないでしょうか。御所見を伺います。
 また、スポーツ局としては中学、高校の部活動の設置が少ないマイナースポーツ十二競技をターゲティングして特に強化をしていく方針を持っているということでありますが、これはまことに戦略的であり支持するところであります。二十九年度は教育委員会や各競技団体とも早急に協議して施設等の整備が余り大変でないもの、地域での実績のある競技から積極的な強化策を講じるべきと考えますが御所見を伺います。
 最後に、近年IT技術などを使った科学的なトレーニングがさまざまな競技で導入されており、これらの最新技術の導入を進めることは急務と考えます。またそれらの最新機器を扱うことができ、かつ各競技を理解し、また人間の体のことも理解できる技術者、分析官の育成も必要だと考えますが御所見を伺います。
 以上のように、ジュニアアスリートの育成や指導者の養成に向けてはこの逆三角形の形成戦略を具体的に描くことが必要と考えますが、スポーツ王国復活に並々ならぬ熱意を持っておられる知事の御答弁を期待します。
 次に、先ほども触れましたが、もう少し突っ込んで部活動のあり方について伺います。
 まずは、スポーツ系の部活動についてですが、私は競技力の向上の観点から見ると現状の県内の高校生競技成績はさらに高めることができるのではないかと考えています。これは先ほども申し上げたとおり、各高校が入学者選抜において設定する学校裁量枠制度を大局的な戦略も持たず利用し過ぎて有力選手が分散してしまっているのではないか、分散により指導者の的確な配置がなされていないのではないかと考えています。学校裁量枠の活用は早急な検証が必要です。
 さらに、競技によっては思い切って地域別に強化校を明確にして学校裁量枠の運用や指導者の配置をするべきと考えます。同時に前述のとおり県としての競技力の底上げのためにマイナー競技にターゲティングをするならば、高校部活動の段階からマイナー競技人口をふやし強化に乗り出すことが最も近道であることは明白であります。マイナー競技の部活を環境の整っている高校に人事配置も含めて戦略的に設置することが急務であると考えます。
 そこで、こうした観点からの高校の部活動の改善について、これは教育長に伺います。
 次に、生涯スポーツの振興について伺います。
 スポーツ王国復活に向けた底辺の拡大については、子供からお年寄りまでスポーツを楽しめる環境を整えることが重要であると考えます。今シニア世代で人気があるスポーツといえばグラウンドゴルフですが、御存じのようにグラウンドゴルフは日本発祥のスポーツです。浜名湖には日本でも屈指のグラウンドゴルフコースもありますし、湖西市にはグラウンドゴルフクラブの生産メーカーもあるのですから県もお手伝いをして世界大会を開くとか、グラウンドゴルフや浜名湖ガーデンパーク、県立森林公園をセットにして子供からお年寄りまで親しめるスポーツ体験モデルをつくるなど静岡県の恵まれた環境をもってすれば理想の生涯スポーツの形ができると考えます。
 また同時に、ロコモティブシンドローム対策のスポーツの指導も県内には即実施可能な環境があると考えます。こうした点も含めて健康福祉部が所管する健康長寿や子供、障害者のスポーツ、健康づくり部門などの施策と連携を図ることや市町と協働していくことが肝要と思いますが、知事の御所見を伺います。
 スポーツ王国の復活のためにはこうした広義な意味でのスポーツ振興の考え方が重要であると改めて念押しして、以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) スポーツ王国静岡の復活についてのうち、ジュニアアスリートの育成と指導者の養成についてお答えいたします。
 阿部卓也議員はおのれの政治家としてのミッションを地域主権の具現化に置かれていると。その基礎は人材の育成にあるということでありますが、全く同感であります。人材を育成するにはそれぞれ皆多様な能力を持っております。差し当たって文武芸三道の鼎立と。文――学問、学問はたっとぶ、成績は問わない、武――スポーツを好む、ただし下手でもよい、芸――芸術を愛する、無芸でもよいということであります。
 先ほどひし形のひし餅の比喩を言われました。なかなかにわかりやすい比喩でありました。これは三角形の形をしております富士山を思い出させました。もしこの議場の大きさで三千七百七十六メートルの山をつくるとすればこれは極めて難しいわけであります。三千七百七十六メートルの高さにはあれほどの広大な裾野が必要であります。それを写す逆三角形である逆さ富士も同じであります。そのような裾野を広くすることが、実はジュニアアスリートの重要性をここで強調するゆえんであります。
 本県の競技力の向上を図るためにはトップアスリートを頂点とした競技者の育成に努めなければなりませんが、一方で支える側すなわちこれは医学、科学等の知見を持つ優秀な指導者や専門スタッフなど幅広い人材の育成確保を図ることも重要であります。このため静岡県ではこれまで将来のトップアスリートを目指す中学、高校世代の選手強化を目的としたジュニアアスリート育成・強化事業や各競技の指導者のレベルアップを図るための指導者スキルアップ促進事業を実施してまいりました。これも三つ具体的にはございます。
 一つは、トレーニングセンター方式と申しまして、優秀な選手に対して能力に応じて集中してトレーニングを行い、優秀な選手は選抜され、さらに上位でトレーニングを行い能力を高める制度、いわゆるトレセンの実施であります。中学生の部、高校生の部、女子の部、競技種目別など競技団体の実情に応じて地区選抜、県選抜のいわゆるトレセンを実施するこの方式。もう一つは強化拠点方式と言われるもので、強化拠点を指定しその拠点において継続的、定期的に強化活動を展開するものです。第三に指定校・指定クラブ方式と言いまして、強化校や強化クラブを指定し強化を図るものであります。
 来年度はこれに加えまして新たにジュニアアスリート発掘・育成事業を立ち上げます。小学生世代から多様なスポーツに取り組むことを促し、その中から自分自身のアスリートとしての可能性を見い出していただき、それに対して競技団体が戦略的に育成を行うシステムづくりを重点的に支援することといたしました。
 具体的には、本県において競技人口が少なくジュニア世代からの戦略的な選手育成が難しいホッケー、ハンドボール、なぎなたなどの十二競技につきまして、競技団体の御協力を得て小学校高学年の子供たちに体験をしていただく機会を提供いたします。さらに中学一年生の時期にその中から競技者としてすぐれた適性を持つジュニア選手を選考いたしまして、競技団体と教育委員会とが連携した中学、高校世代で一貫した選手強化戦略のもとですぐれたアスリートへと育成してまいろうと考えております。またこうした競技を中心にジュニア世代の心や体に関する専門的知見を有する資質の高い優秀な指導者の養成にも努めます。このため最新のトレーニング技術や指導法の習得を初めジュニア期のフィジカル、メンタル、栄養学などの専門的知見を学ぶ研修などを行います。
 県としましては、静岡県体育協会や競技団体と緊密な連携のもとでジュニア世代からの一貫した競技力向上の取り組みを推進し、多くの競技で県民に夢と希望と感動を与えるトップアスリートを輩出していくつもりであります。私も恥ずかしながら体協の会長といたしまして本気で取り組む所存であります。指導者や選手を支える専門スタッフなどスポーツにかかわる多くの優秀な人材があふれるスポーツ王国静岡の実現に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) スポーツ王国静岡の復活についてのうち、部活動のあり方についてお答えいたします。
 県教育委員会では、昨年度学校の特色化への寄与、公平性の確保及び教育目標との整合性をより一層図るために学校裁量枠制度の運用の見直しを行いました。その中で各高校には募集状況、部活動の戦績、入学生徒の活躍などについて毎年度の検証を義務づけました。今年度は各高校においてこの検証に基づき学校裁量枠の目的の明確化や種目数、募集割合などの改善を実施したところであります。
 また、静岡県の公立高校は県下に広く配置され、競技人口の多い競技ではそれぞれの地域に強豪校があり、しのぎを削っております。一方議員から御指摘のあった、マイナー競技と言われましたけども実際には競技人口が少ない種目と我々は言っておりますが、部活動設置校が少ないため高校の特色となることが多く、指導者の配置や練習環境の整備が整った高校も多く見られます。昨年の高校総体ではアーチェリーが全国優勝、自転車が準優勝、ボートと弓道が五位入賞を果たすなど多くの実績を上げてきております。
 県教育委員会といたしましては、競技人口の少ない種目を含め高校の部活動がさらに高い実績を上げられるよう、競技力の強化に取り組む各競技団体との連携を今後も進めてまいります。さらに学校裁量枠のメリットを生かした生徒募集や専門性の高い教員の効果的な配置、外部指導者の積極的な活用などさまざまな取り組みを通じて部活動の活性化に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) スポーツ王国静岡の復活についてのうち、生涯スポーツの振興についてお答えいたします。
 子供からお年寄りまで誰もがスポーツを楽しめる環境づくりは、地域にスポーツの楽しさや感動を分かち合うスポーツ文化を広めるとともに、心身の健康維持・増進はもとより地域社会の交流や一体感の醸成を促進し、活力に満ちた健康長寿社会の実現に不可欠のものであります。このため県では県レクリエーション協会と連携し今年度は誰でも無理なく楽しむことができる3B体操を初め三十五種目による県民スポーツ・レクリエーション祭を県内市町で開催するなど県民誰もがスポーツに接することができる機会を積極的に提供しております。
 今後は、総合型地域スポーツクラブの公認スポーツ指導者を活用したふじ三三プログラムの普及、地域スポーツの推進役を担うスポーツ推進委員に対してロコモティブシンドローム対策として効果があるとされているコグニサイズ等のプログラムの実技研修を行うなどライフステージに応じたスポーツによる健康づくり施策の充実強化を図ってまいります。
 さらに、スポーツイベントにパラリンピック競技を取り入れて障害の有無に関係なく楽しんでいただいた事例などを参考に、健康福祉部、市町、障害者スポーツ協会など関係団体とともに意見交換を行うなど障害者スポーツ施策も効果的に推進してまいります。
 今後とも、健康福祉部との緊密な連携のもと、市町、県レクリエーション協会等関係団体とも一体となって本県の恵まれた環境を利活用した生涯スポーツの振興に積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。
 再質問を二問、要望を三ついたします。
 再質問でございますが、まず知事にお聞きします。
 理想のひし形でありますが――私の提言した――あれをわざわざ持ち出したのはチーム、個人であってもそれを支える人がいます、個人競技であっても。それからチームの大切さ。競技者は一人だけで、トップアスリートというのは一人だけでなるものではなくてそれを支える人たちが多くいる。それは支える人たちというのは痛い思いをした人、苦しい思いをした人、つらい思いをした人、そういう人たちが支えておられることが多うございます。ブレス浜松を例示したのは、かのチームにはそういう思いが詰まっていたもんですから紹介したんで、また機会があればごらんいただければと思いますが、体協の会長としてもう一つの逆三角形をつくるためにはそういう現場の図らずも補欠になってしまった人、けがをした人、そういう人たちがスポーツでまた自分の生きがいを見つけられる体制をつくっていく所存があられるかどうか、もう一度お聞きをします。
 もう一問再質問ですが、教育長、学校裁量枠について改善をされているということでありましたが、検証を行ってその検証について何らかまとめる考えがあられるのかどうなのかお聞きをします。これ現場と教育委員会、かなりそごがあるように感じますのであわせてお聞きをします。
 要望三つですが――要望二つでございます。
 一つは、先ほど言ってたマイナースポーツの中で例えばなぎなた。なぎなたはですね、先般乃木坂46というアイドルグループが舞台化、映画化をするということが発表されました。これ、この同世代の子供たちにとっては非常に興味を持つ時期だと思いますのでそういう時期を逃さずにぜひ強化をしていただきたいと思います。
 それから、グラウンドゴルフを持ち出したのは、これ机上ではなくて現場の声を聞いていただきたい。楽しんでおられる人たちがどんな思いでやられていてそれがどれだけ健康に効能を発揮されているかということがありますのでごらんいただきたいと思います。以上、要望とします。
○副議長(藪田宏行君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 再質問にお答えいたします。
 トップアスリートになれないでその方たちを支える方たちに対してきちっと配慮をするかということでありますが、もちろん配慮をいたします。この人たちを通してトップアスリートというのは育っていくのだと思っております。私自身中学一年生のときに器械体操クラブに入りまして、その能力がないということを悟りまして途中からバスケットクラブに入りました。したがって常に補欠でありましたが補欠の中では補欠のトップではありましたけれども、そうしたそのトップアスリートになれない苦しみ、それとまたつらさと同時にスポーツをする楽しみ、またすばらしい選手の活躍に対する理解というものを人以上に持っているつもりであります。そうした自分の経験をも通しまして、私はみずからトップアスリートでないことは明白でありますが、体育協会の会長としまして支える側の代表として、それをシステム化する形で体協の人たちと御一緒に静岡県をスポーツ王国として復活させていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) ただいま再質問いただきましたけれどもその学校裁量枠についてどう考えるかということなんですが、これについては昨年度変えましてその検証をことしやりました。ということで毎年ちゃんと検証しながらよりいいものにしていこうとそういうように考えております。
 これについては、それともう一つはやっぱり強くならないとまずいということで私も体協に少し関係しておりますので、そういう点では自分も全面的に出ていろいろな形で応援していきたいとそのように思っています。以上です。
○副議長(藪田宏行君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。
 学校裁量枠については、ぜひ検証をされることを、検証をまとめられることを、それで目に見える形にすることを要望します。
 最後の質問に入ります。
 最後に、ふじのくに型人生区分に基づく生涯現役社会の構築について提言をいたします。
 まず、現在サービスつき高齢者住宅、俗に言うサ高住という制度がありますが、これに対して仕事つき高齢者住宅、略して仕高住という考え方を整備することを提言します。
 制度設計はサ高住のシステムを応用して登録基準はそのままに、地域包括ケアプラス仕事のあっせんという形態にします。具体的には現在経済産業部のやっているシニア等人材バンクの活用や、今議会に諮られているしずおか寺子屋事業での教師役としての登用が考えられます。これらをシステム化してお仕事として提供していくことをするのができたらどうだろうと。これは国交省のサ高住に経済産業省の健康寿命延伸産業創出推進事業を活用して、民間事業者とヘルスケア産業振興協議会が連携してモデルを構築することが可能だと考えますので、ぜひふじのくにモデルとして検討されるとよいと考えますが、知事の所見をお伺いします。以上、答弁を求めます。
○副議長(藪田宏行君) 吉林副知事。
○副知事(吉林章仁君) ふじのくに型人生区分に基づく生涯現役社会の構築についてお答えいたします。
 県では、ふじのくに型人生区分を提案いたしまして、六十六歳から七十六歳の方をさまざまなことに熟達した壮年熟期世代として位置づけまして元気で生き生きと活躍いただける社会の実現を目指しております。日本老年学会におきましても高齢者の定義を六十五歳から七十五歳に引き上げまして、七十五歳未満の方を社会の支え手として活動を促すとの提言がされるなど六十五歳以上の方々が健康を維持し積極的に社会参加をしようとする機運が高まっております。
 県におきましても、壮年熟期の方々の社会参加を促進する取り組みとして、今年度地域活動への参加や就労につなげていく体験会や講習会を三市で実施したところでございます。引き続き地域活動だけではなくて介護や福祉分野等へも体験先を拡大いたしまして、壮年熟期の方々の社会参加の場の拡充と一層の推進に努めてまいります。また就労の機会の提供といたしましては、壮年熟期を中心とした経験豊富なシニアの方々の活躍を促進するために昨年十二月にはシニア等人材バンクを開設いたしまして、キャリアカウンセラーによるきめ細かな相談を通じまして企業等への再就職の支援をしてございます。
 今後、議員御提案の生涯現役社会を目指すためには、壮年熟期の世代が健康長寿の三要素の一つであります社会参加に今まで以上に取り組むことが大切でございます。さらなる社会参加といたしましては、再就職のほか子育て支援や文化技術の伝承を初めとする社会貢献活動などさまざまな形があります。御提案の仕事つき高齢者住宅は高齢者が就労や地域貢献活動など広く社会参加に取り組む姿をあらわされたものであり、長寿者が生き生きと身近な地域で最期まで暮らせる社会の実現につながるものと考えております。
 産業界におきましても、生涯現役社会を支えるヘルスケア産業に参入意欲のある企業が増加してまいりました。県といたしましては、静岡県ヘルスケア産業振興協議会に参加している民間事業者の連携と創意工夫を促しまして、国の補助事業等も活用しながら健康増進や壮年熟期世代がはつらつと参加できる新たなビジネスの創出につきまして検討してまいります。
 今後とも、御提案の生涯現役の視点を踏まえまして市町や関係機関とも連携をし、地域の支え手として、また指導者や熟練者として活躍できる場を提供することによりまして経験豊かな皆様がいつまでも現役として活躍できる社会の実現に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(藪田宏行君) 阿部卓也君。
       (三十一番 阿部卓也君登壇)
○三十一番(阿部卓也君) 御答弁ありがとうございました。
 要望を最後に。逼迫する健康保険料の縮減に対して非常に重要な政策になると思いますので、ぜひ具現化をお願いします。

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