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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成18年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

渥美 泰一 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/11/2006

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○副議長(石橋康弘君) これで吉川雄二君の質問は終わりました。
     次に、五十五番 渥美泰一君。
           (五十五番 渥美泰一君登壇 拍手)
    ○五十五番(渥美泰一君) 大分盛り上がった後ですが、少し静かにやらせていただきます。
     私は自由民主党所属議員として当面する県政の諸課題について、知事及び関係部局長、教育長に質問いたします。
     最初に、知事の認識について伺います。
     まず、歴史認識についてであります。
     「戦後レジームからの新たな船出」を政権構想に掲げる安倍新政権が誕生し二カ月余が経過しました。先日、国会において安倍総理の歴史認識についての議論が繰り広げられている様子を拝見いたしました。考えますと私たちの国日本は世界に誇り得る長い歴史と文化、伝統を持つ国であります。今日歴史教科書や領土問題など過去の歴史に関するさまざまな議論がありますが、私たち国民がしっかりとした歴史認識を持ち日本国民であることの誇りを胸に新たな国づくりに歩み出さなければならない重要な時期にあると思います。
     そこで、歴史認識に関する事柄について、知事のお考えをお伺いするものであります。
     さて、歴史認識につきましてはこれまでも長く議論されてきましたが、今日の日本社会においてはいまだに日本人はすべてにおいて悪だった、日本は反省してもし尽くせない、侵略した国々には未来永劫謝り続けなければならないという、何か自虐意識のようなものが人々の心のわだかまりとなっているのではないでしょうか。そのことが日本人から自信や誇りを失わせ伝統や文化に対する尊敬の念まで奪い、今日の利己主義や拝金主義、弱肉強食が蔓延する、心のすさんだ社会の状態を招いたのではないかとさえ感じております。どうすればこのような風潮から脱し本来日本人が持っていた美徳、美しさといったものが取り戻せるのかと考えさせられてしまいます。
     最近の二十代の若者に北朝鮮による拉致や核開発問題、韓国との竹島問題、ロシアによる漁船銃撃拿捕の問題で考えを聞くと、彼らは平気で「戦争をしてしまえ」というようなことを口にします。靖国神社の参拝も過半数が賛成。これらに対する受けとめ方はさまざまあると思いますが、一体彼らは問題の本質を本当にわかっているのでしょうか。竹島問題一つとっても、韓国の若者は教育によって韓国なりの考え方をしっかり教えられておりますが、日本の多くの若者は竹島がどの辺にあるのかさえ知らないありさまです。このようなことでは韓国の人たちと議論すらできません。私はこうしたことに適切に対応していく上で大事なことは、やはり歴史認識であると思います。そのためにはまず大東亜戦争の総括を日本人の手で行い、その上で歴史教育をきちんとやるべきだと思います。
     知事はこうした歴史認識をめぐる今日の日本の状況をどのように受けとめ、また今後どう取り組むべきと考えておられるのかお伺いします。
     また、戦後六十一年が過ぎた今日においてもいまだにアメリカによる統治が続いているのではないか、日本は独立国家としての主権があるのかという疑問を今の若い世代の人たちの多くが抱いていることも確かであります。こんなことでは若者に今後の我が国の発展に力を尽くそうという元気がわいてくるはずがありません。
     このような日本の状況を考えたとき、今国会では憲法改正の手続に関する法案の審議も進められておりますが、私は憲法改正ではなく新しい憲法を自分たちでつくるという気概を持つことが大事ではないかと思います。そして日本の国家の基本は何なのか、また国民のだれもが国に誇りを持ち、国際社会からも尊敬される、品格ある国家を目指すという視点に立って広く議論されるべきであると考えます。そうしたことがひいては本県の人づくりにとっても非常に大切なことではないでしょうか。
     憲法改正に対する知事の御所見を伺います。
     次に、さらなる地方分権の推進について伺います。
     地方分権改革推進法が去る八日、参議院本会議で可決され成立いたしました。翻って地方分権改革を進めるための法律の整備については、平成七年―私が初めて議員になった年ですが―地方分権推進法が制定されて以来、実に十一年ぶりのことであります。その意味では地方分権改革は第二期に入ると言うことができると思います。
     私は改革のテンポには決して満足はしておりませんが、地方自治に携わる県議の一人としてこうした国の動きを評価するとともに、このたびの法成立を機に今後改革がさらに一層推進されることを期待するものであります。地方分権改革はまだ緒についたところであり真の分権型社会を実現するためには、国の省庁の抵抗なども予想されますことから相当なエネルギーが必要であります。今後、国と地方が強い決意をもって真剣に取り組んでいかなければならない課題であると考えております。
     ところで、今後の改革の行方について国民の中には、「地方分権が進み都市や農山漁村、離島など全国どこでも豊かな自治が、本当に実現できるようになるのだろうか」、「理にかなわない地域間格差を生み出すおそれはないだろうか」、さらには「国は地方分権の名のもとに市場原理の導入と歳出の削減だけを求め、十分な税源を与えず法令による過剰な束縛を残し、結果として真の地方自治にはつながらず地域の公共サービスも低下するのではないか」などと不安視する声もあります。
     加えて、私は最近、一部の自治体における公金の不適切な取り扱いや工事発注をめぐる不祥事など地方に対する信頼を損なう不祥事件が相次いでおりますことにつきましても、地方分権の流れに水を差すのではないかと心配するところであります。地方みずからが地方分権に対する国民、住民の共感があって初めて前に進むということを肝に銘じ、常に住民から信頼されるよう努めるべきは当然のことであります。地方分権の必要性と目指す姿を県民に対し積極的に情報発信していくことも必要かと思います。
     こうした中で最近の地方分権に対する状況を見てみますと、今回の骨太の方針にも見られた国のやや消極的な姿勢に加え、地方につきましても昨年までの三位一体改革に見られたような真剣な議論が鳴りをひそめ、何かここへ来ていま一つ盛り上がりに欠けているのではないかと感じております。私は今こそ国民的な議論を呼び起こすような積極的な取り組みが必要と考えますがいかがでしょうか。
     そのためには、私は全国知事会を初め地方六団体が連携を深め積極的に働きかけを行うなど、国を動かす原動力となっていかなければならないと思います。石川知事におかれましては早くから国と地方の内政構造改革を提唱されておられますが、我々議会といたしましてもこの問題についてしっかりと研究していかなくてはならないと思います。そして石川知事が全国の主導的な立場に立って、また我々議会との連携を持って大いにリーダーシップを発揮していただくことを期待するものであります。
     真の地方分権の確立に向け、今後知事はどのような考え方で取り組んでいかれるのか御所見を伺います。
     次に、県の体制づくりについてであります。
     平成の大合併により、本県の市や町の数は七十四から四十二に大幅に減ったこと、また昨年四月に静岡市が政令指定都市に移行したのに続き来年四月には浜松市も政令指定都市に移行することが決定し、県内の市や町の構造は大きく変わっています。またこのたびの地方分権改革推進法の成立や第二十八次地方制度調査会における道州制に関する調査なども進められており、都道府県や市町村を取り巻く環境は大きく変化していきます。
     これまで県は市町村に対して、地方分権一括推進法以前は国、都道府県、市町村という垂直の関係の中で国の意向を市町村に伝達、指導するという役割を、また法施行後は水平の関係の中で市町村の相談や市町村間の調整を図る役割を担ってきました。しかし現在のように市町村合併が進展し市や町の規模が大きくなるとともに、自治能力や財政基盤が強くなっていく状況や、県と同等の権限を持つ二つの政令市の誕生を考えると県の役割も大きく変化していくべきだと思います。
     今後県は市町村との調整の役割を縮小し広域的自治体として県土全体の発展を図るため、社会資本の整備や産業、文化など県みずからの施策の企画実施、あるいは県民の安心・安全を守るという危機管理体制の充実などの業務に重点をシフトすべきと考えますがいかがでしょうか。
     知事は今議会に県の部を十部から七部に再編する条例を提案されていますが、県の役割の変化をどのように体制に反映していくのか御所見を伺います。
     次に、少子化対策について伺います。
     少子・高齢化の急速な進展は国全体の活力の低下を招き、このままでは我々の生活を支える年金や医療、福祉といった社会保障制度は非常に危ういものになります。人々が将来に不安を感じることなく安心して生活できるよう一刻も早く少子・高齢社会に対応した社会システムをつくり上げていかなければなりませんし、少子化の歯どめが必要と考えます。
     こうした問題が我が国の将来に大きな影響を及ぼすことが認識され、本格的な少子化対策が始まったのは平成二年のいわゆる一・五七ショック以降であります。エンゼルプランに始まる具体的な実施計画が策定されさまざまな対策が実施されてきましたが、残念ながら少子化の流れに歯どめがかかっておりません。この結果、昨年の合計特殊出生率も一・二六と過去最低を記録しております。このような状況を見ると政府が進める少子化対策も、例えば社会保障費に占める高齢者割合が七〇%に対して子育て支援が三・八%と余りにも貧弱ではないかと思われます。これでは国の将来を本気で考えているのかとさえ感じます。
     こうした点もありますが、私はそもそもこの問題の根本は国民の価値観や考え方にあるのではないかと思います。子育てには多くのお金がかかるなどといった負担感が広まり、子育てや家庭を築き上げることの意義や幸せは何物にもかえがたいものということを実感できなくなっているのではないでしょうか。そしてその背景にはライブドアや村上ファンド事件に象徴されるような経済至上主義や利己主義が少なからず起因していると思えてなりません。こうした風潮や社会を改め、将来を担う人づくりそして子供や子育てを社会全体で支援していくという考え方に立つことが大切ではないでしようか。
     価値観や考え方を変えることは大変な労力と時間が必要です。しかしそうした変革なくしては少子化の流れを変えることは難しいだろうと思います。特にこれから結婚して親となる若い世代に対して、家族や子育ての楽しさや子供を産み育てることの意義を伝え理解してもらうことは極めて重要なことと考えます。
     また昨今いじめによる自殺が全国あちこちで発生していますが、子供たちの自立心や家族や友人、ふるさとを愛する心をはぐくむことは長い目で見れば少子化の流れを変えることにつながるのではないかと思いますが知事の御所見を伺います。
     私も一昨年、少子・高齢化対策特別委員会においてこの問題を議論してまいりました。そして昨年県はしずおか次世代育成プランを策定しさまざまな施策を推進しているところであり、今後の取り組みを期待するものであります。県は今後、子供たちの健やかな心をはぐくむ人づくりや親やこれから親となる世代の意識を醸成することにどのような取り組みを展開していくのか知事の御所見を伺います。
     次に、日中友好交流について伺います。
     アジアにおける二十一世紀初頭の最も注目に値することは、大国としての中国の台頭ではないでしょうか。中国は国土面積が日本の約二十五倍の九百六十万平方キロメートル、人口は統計上確認されているだけでも十三億八百万人を有し、世界人口の五人に一人は中国人という圧倒的なスケールを背景に悲願の先進国入りを目指しております。今や中国は米国、日本、欧州と匹敵する大国として、アジアのみならず世界の経済成長を牽引する存在であり、日本が十五年以上にわたる景気低迷と急激な資産デフレからようやく脱出できたのも、一つには中国の旺盛な需要によるところが大きいとも言われております。
     さて、中国と日本は歴史的には深いつながりを持ち一衣帯水の関係であります。しかし、最近の中国による尖閣諸島近海での油田開発問題を初め小泉前総理の靖国神社参拝や歴史教科書問題など、さきにも述べました日中両国の歴史認識に対するギャップや中国若者による反日行動などに見られる根深い対立は大変残念に思います。両国の関係は互いに隣国同士の間柄というだけではなく経済的にも今や切っても切れないほどの強い交流関係にあること、また両国がASEAN経済圏の中心的役割を担いアジアの平和と繁栄の見地からも大変重要な関係であることから、日本と中国が互いにいがみ合ってよいはずはありません。私自身日中友好協会の活動で日中民間緑化協力事業や浙江省との交流にかかわることにより、両国の交流が少しでも促進されるよう努めているところでもあります。
     また、安倍総理が就任直後の会見で「中国は大事な隣国であり、信頼関係の強化はアジア地域や国際社会全体にとっても極めて大切であり、未来志向で率直に話し合えるようお互いに努めていくことが重要である」との考えを示すとともに、就任早々中国を訪問し胡錦涛主席と会談するなど両国の緊張をなくす努力をしておられます。日中関係の重要性を認識したこうした姿勢に私は好感を抱いているところであります。
     国のこうした取り組みに加えて国際交流もこれからは地域対地域、個人対個人の時代であり、地方レベルにおいても中国との交流を活発化し関係を強化していくことが重要であると考えております。本県としても中国との一層の交流促進を図る必要があると思いますが知事の御所見を伺います。
     また、くしくも来年は本県と浙江省との友好提携二十五周年を迎えますが、平成二十一年三月の富士山静岡空港の開港を控えているときでもあり大いに機運を盛り上げていくべきであると考えますが、二十五周年にどのように取り組むつもりか知事の御所見を伺います。
     次に、教育の再生について伺います。
     教育の再生は安倍内閣が掲げる「美しい国、日本」の最重要課題の一つとして位置づけられております。かつて日本は美しい国で世界からも尊敬されていたと思います。また日本の伝統的な教育にはよいものがたくさんありました。しかし日本の教育でよしとされてきた制度やそれを支える学校、地域、家庭についての価値観などが時代とともに変化する中で、信じがたい事件の発生などかつて考えられないほど社会秩序は混乱しつつあります。そして余りにも個人の権利と自由が強調され自分さえよければとする自己中心的な考え方が社会全体に蔓延している風潮をかんがみたとき、相手の立場に立って考えることができる規範力のある子供を育てる必要を強く感じているところであります。
     魅力あるしずおかの実現を図り本県が豊かで未来に向かって成長する活力を持ち続けるためには、豊かな個性と創造性を備えた心温かくたくましい人づくりがその礎となることは疑う余地はありません。
     そうした理念のもと、教育委員会では教育計画「人づくり」二〇一〇プラン後期計画に基づき、「未来をひらく意味ある人づくり」を目指して、さまざまな取り組みをしていることは承知しております。しかし、そのような中で長い間続けられてきたゆとり教育が本来のねらいとは裏腹に、子供たちの学力の低下や目標を持って頑張る子をなくしいじめや虐待などの弊害を生み出し、それが今、一度に噴出してきているようにも思われます。
     こうした子供を取り巻くあしき状況を見たとき、教育長はこれまで取り組んでこられた義務教育におけるゆとり教育をどう評価しておられるのか、そして今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
     一方、今後の我が国の教育の根幹をなす教育基本法改正案が今国会での成立に向けて衆議院を通過し、現在参議院で審議されております。この改正案には普遍的な教育の理念である心豊かで創造性に富んだ有為な人材の育成に加え、公共の精神など日本が大切にしてきた伝統的社会規範の価値の明確化のほか愛国心が盛り込まれるなど、新しい時代に求められる我が国の教育のあり方が示されております。
     さきに述べましたように我が国の教育をめぐる状況が大きく変化する中、今回の教育基本法改正に対する教育長の御所見をお伺いします。
     最後に、食育について伺います。
     「小児―小さな子供には徳育よりも知育よりも体育よりも食育が先」、明治の著述家、村井弦斎が提唱したこの食育の考え方は栄養の偏りや不規則な生活による食生活の乱れが国民の健康をむしばむ現代に復活し、昨年七月には食育基本法が施行されました。ことし三月には国の食育推進基本計画が策定され、朝食を食べない小学生の割合をゼロにするなどの目標を掲げ実現に取り組んでいます。都道府県、市町村の取り組みも動き出しております。
     その中で沖縄県の取り組みを少し紹介いたしますと、かつて長寿日本一を誇った沖縄県は六年前に男性の平均寿命が全国二十六位に転落し、これを機に長寿おきなわの復活に乗り出しました。那覇市は健康なは二一を策定し、中壮年期の市民を対象に三大成人病の原因となる内臓脂肪を減らそうとストップ・ザ・八五チャレンジ表彰に取り組んでおります。内容はメタボリック症候群の判定基準で示されたウエストが男性八十五センチ、女性九十センチを超える人を対象に三カ月以上かけて無理なく内臓脂肪を減らすよう呼びかけるもので、市内のスポーツクラブと提携し、期間中の取り組みで目標を達成した人を表彰し、スポーツクラブ施設利用券などをプレゼントするというユニークな企画であります。加えてストップ・ザ・八五教室も開いて集団での指導も行っているとのことであります。
     また、沖縄県では主食、主菜、副菜、牛乳、乳製品、果物、これらをバランスよく摂取できるように料理で例示した食事バランスガイドの沖縄版もつくりました。このバランスガイドの中には沖縄伝統の食文化であるゴーヤチャンプルーや沖縄そばなどあるいは米軍がもたらした食文化であるポーク卵やビーフステーキも加えられ、住民が日常のメニューの中で取り組みやすくなっております。琉球大学名誉教授尚弘子さんは、「欧米化した食生活を昔に戻すことはできない。大切なのは自分の体を知ること。知れば無茶な食べ方はしない。感謝して食べれば栄養になる。食の乱れは非行につながる」と指摘しておられます。まさに食生活に対する大変示唆に富んだ言葉だと感じました。
     文部科学省では今後予定されている学習指導要領の改訂において食育が明記されると聞いております。栄養教諭が中心となって地域や家庭と連携して食育に取り組む姿を目指すとのことであります。
     そこで、食育に対する国や地方の取り組みが本格化し始めた中、健康長寿日本一を標榜している本県としては本県ならではの取り組みが求められると思いますが今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
     以上で私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(石橋康弘君) 石川知事。
           (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事(石川嘉延君) 渥美議員にお答えをいたします。
     初めに、私の政治姿勢についてのうち、歴史認識についてであります。
     今日、我が国をめぐる国内外の諸問題を考える上で、我が国が歩んできた史実やその背景についての歴史認識を持ち対処することが重要であると考えております。
     歴史認識については立場の違いにより見解が異なることも相互に理解した上で冷静な議論を行うとともに、我が国としての見解を積極的に示しまた国際的な理解を求めていくことが必要であると考えております。歴史教育は歴史認識に関するこうした視点を養うとともに、今後国際人として活躍できる日本人としてのアイデンティティーを確立する上で欠かせない郷土や国に対する愛着、愛情を培うためにも重要であると考えております。
     この歴史教育に当たって厄介なことは、いわゆる近い過去、近過去の歴史をどのように認識するか、これが特に外国との関係が非常に大きなテーマになった場合にはなおのことその歴史教育、歴史認識っていうのは非常に厄介な問題をはらんでおると思います。
     厄介な問題というのはですね、特に外国との関係、かかわりのある部分については正しいといいましょうか、冷静な認識をするための歴史資料は我が国の中だけで得られるわけではありませんね。相手の国とか世界に、日本にかかわりのあるようなところに散らばっております。しかも、それらの資料は近い過去のことであればあるほど公開をされない。そして、非公開になってる部分の中に歴史認識を確立する上で致命的に重要なデータがある場合があると。したがって歴史学者の中にはですね、特に国際政治に絡むような近い過去の歴史認識については五十年ぐらいを経ないと冷静なといいましょうか、客観的な評価っていうのはしにくいということを主張する方もおられます。
     私もいろいろ関心持ってこの種の議論について私なりにいろいろ、いろんな論評なども読んでみました結果ですね、読んできた結果は、例えば昨今になってアメリカやあるいは旧ソ連時代の資料で我が国が起こした太平洋戦争あるいは大東亜戦争といいましょうか、これらの時期のさまざまなデータあるいはいわゆる戦後の日本統治に係るアメリカにおけるいろいろな動き、政治的な背景、動向ですね、これらについてのデータがかなり公開をされるようになってきて、日本の研究者はもとより外国の研究者もそれらに基づいてさまざまな見解を発表するようになってまいっております。
     こういうのを通読いたします、通読っていうかある程度目を通しますとですね、少なくともつい最近まで我が国の中で行われておった、少なくとも昭和に入っての最後、太平洋戦争までに至る過程についての我が国の中のこれの分析、評価をですね、相当修正をしなければいけない。あるいは誤った、何ていうか、情報操作のもとで我々は認識をしておったんではないかとすら思えるようなことも明らかになりつつあります。
     したがって、この数十年ぐらいまでさかのぼったあるいはその倍の五、六十年ぐらいまでさかのぼったいろいろな出来事、歴史的な事象についての認識を統一するということはなかなか難しいように思います。さらには江戸時代のあり方についてもですね、現在我々が置かれておる状況によって江戸時代の歴史にその視点から光を当てて分析をし認識をする、そういう我々の思考の働きっていうのは、幾らそうしてないと言ったってこれはそのような制約のもとに我々の思考を持たざるを得ないという、そういう思考のメカニズムから考えるとですね、この江戸時代の評価についてもいろんな見方が出てくることは確かであります。
     したがってこういうものをできるだけ公平にですね、紹介をしていくと歴史教育の中にそういうものを取り入れていくということが必要だと思う。しかし昨今非常に残念な、昨今というよりもかなり長い年月、数十年にわたって我が国の教育の現場においては、これは受験、いわゆる受験への対応がしからしめるところであると思うのでありますが、ほとんど近現代史については教育をしてない、教えてないということもあって昨今も冗談とも本当ともつかぬような話をよく耳にしますが、それはどういうことかっていうと、最近の非常に若い青年ていうか少年ですね、少年たちが「何か日本はアメリカと戦争したんだってね」と、「どっちが勝ったのかな」なんていうことをですね、電車などで言ってることを耳にしてびっくりしたっていう、そういう話を聞いたことがあります。
     そのようなふうになってしまっておりますのもですね、近現代史はほとんど受験にも関係ないっていうようなことから、未履修以前にですね、科目としては取り上げられておってもですね、もうカットしてしまう、授業でやる時間がなくなっちゃったとか、そういう格好でですね、何年も推移してきているということをよく耳にしますのでこれは非常に問題があるとは思いますけども、いずれにしてもその、特に近現代史は取り扱いが難しいと。しかしその中でもできるだけその、争いのない事実関係というのもあるわけでありますから、こういうものをもとにですね、少なくとも歴史を、歴史的な事実を金科玉条とするのではなくて、歴史認識をする認識の仕方、歴史の学び方、これをある一定の制約条件がありながらこうですよっていうようなことをきちんと教えていくことも必要ではないか。
     そして、それぞれの人間が生涯にわたって、そういうことを基礎にして各人がそれぞれに歴史認識を生涯学習の中で形成していく、それが民主主義社会の場合は個々の人間がそれぞれ勝手に歴史認識についての努力をしていっているようでですね、おのずと体制っていうか、多くの人々が同じような認識をする方向へ自然に赴いていくというのが成熟した民主主義社会のあり方ではないかと思うのであります。
     それから憲法の問題、憲法改正の問題でありますが、これは現在国会において憲法改正議論がいよいよ具体的な問題として真剣に議論がされ始めましたので大変私は歓迎すべき傾向だと思います。いつ結論が出るのかということについても、多少各党の間でですね、その時期についての目標の違いがあるようでありますけども、大いに国会を中心に議論をしていただきますと、これ国民的な関心も呼んでくるわけでありますから、そういう中で適切な結論が得られるものと期待をしております。
     それから次に、日中友好交流であります。
     本県は中国との交流の重要性をいち早く感じ取って、中国浙江省と友好提携をしてまいりました。来年は二十五年経過するということになるわけであります。この浙江省を選ぶに当たりましてはいろいろな視点があったと思うのでありますが、少なくとも私が理解している限りでは、当時、気候とか農産物、これが非常に似ていると、そこで何というか親和性があるんじゃないかという、そういう感覚のもとにですね、取り結ばれたというふうに私は理解しておりますが、結果としてみますと、この浙江省と友好提携をしたっていうことは大変成功したというふうに感じます。
     この間、中国全体が大変な経済発展を遂げてまいりましたし、先ごろ浙江省へ訪れたときに、向こうの省政府関係者から伺った限りでは浙江省が既にGDPで本県とほぼ並ぶ状態になっていると。人口は向こう六千万人、省の住民そのものは四千九百万人で、省外から内陸から一時的に転入してきている人たちが千百万人、合わせて六千万人と言ってましたが人口はそういう居住人口で考えると六千万人、本県は三百八十万人でありますから、一人当たりでいきますとそれははるかに格差はありますけれども、総額でいくとほぼ同じぐらいのところまで来ております。
     物価水準その他いろいろ考えてみましても、この総額で、ドル表示でですね、ほぼ同じぐらいになってきてるということは、体感的にも非常にレベルがほぼ感覚のレベルでもかなり近づいてきて、違和感というより何て言うんですか、違っているなっていう感じがどんどんどんどん少なくなってきているという、そういう印象を深めてまいりました。統計的に見ても中国の経済発展が我が国の経済にいい影響を与えているということはこれは疑いない事実でありますし、お互いにウィンウィンの関係をですねこれからも続け得るし続けていくことが非常に大事ではないかと。
     特に中国大陸における環境問題が日本でも取りざたされるようになりましたが、少なくとも現在の中央政府、地方政府の関係者はこれについて大変危機感といいましょうか非常に強い問題意識を持ち始めているようで、中国お得意の強烈な、朝起きてみるときのうまでとは全然基準が違ったというようなですね、強烈な方向転換をこの環境対策の面でもしつつあるように思いますし、それが本当だとするとですね、我が国がこれまで蓄積してきた世界にも冠たる環境技術、これがまた中国にも役立つ。それを通じてビジネスとしても非常に生きてくるということにもなるわけでありますから、今後中国との関係、特に本県の場合は省レベルでは浙江省との交流がありますけども、そのほか上海の事務所を通じて本県関係者の活動が中国全土に広がっておるとも思われるような状況を呈しておりますので、今後浙江省だけに限らずですね、中国全域といろいろな分野で友好関係が拡大をしていくことを願っておる、また期待をしているところであります。
     来年三月には、浙江省のトップである党書記習近平書記を団長として二百人規模で来訪したいということが伝えられておりますので、今後の友好提携の深化、拡大につながるような記念事業をこちらでも展開したいと思いますし、また秋には前回の二十周年記念を上回る本県訪問団を組織をして浙江省を訪れて今後の交流拡大のきっかけにしたいとこう考えておるところでございます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(石橋康弘君) 花森企画部長。
           (企画部長 花森憲一君登壇)
    ○企画部長(花森憲一君) 知事の政治姿勢についてのうち、さらなる地方分権の推進についてお答えいたします。
     平成七年以降の一連の改革を経て地方分権は一定の進展を見ましたが、真の分権型社会の実現には国と地方がそれぞれ果たすべき役割について根本的な議論が必要であると認識しております。本県では国、地方を通じて内政機能を最適に再配置、再構築する内政構造改革を提唱し、その実現のために地域再生構想の募集に対し静岡政令県構想を提案していますほか、早くから独自の計画に基づく市町村への権限移譲を積極的に進めるなど分権型社会の構築に向けた取り組みを行っているところであります。
     また、国から地方への権限移譲を推進するための基本方針などを定めた新しい地方分権改革推進法が去る八日に成立し、また北海道を主な対象としました道州制特区推進法案も今国会での成立を目指して審議が進められております。これらにより今後分権改革が国民を巻き込んだ大きな議論になっていくことが予想されます。県といたしましては分権改革が新たな段階を迎える中、引き続き全国知事会の関連する特別委員会に参画するとともに、地方分権や道州制に関する研究会に職員を派遣するなど、今後ともあらゆる機会をとらえ県の考えを主張し地方分権の推進に積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。
     次に、少子化対策についてであります。
     少子化が子供の成長に及ぼす影響として昨年度設置しました創知協働人づくり推進県民会議の少子化部会におきましても、自立心やたくましさとともに、家族や友人など他者を思いやる気持ちを育ちにくくしている環境が挙げられてその対応の必要性が指摘されているところであります。
     このため、部会からの「ふれあいと交流により、自分や他者を尊重し、自信と責任を持った子供の育成を図る」との提言を踏まえ、地域の大人たちも参加した通学合宿事業に取り組んでいるところであります。異年齢の集団生活を通じて自立心や思いやりとともに郷里を愛する心がはぐくまれることが期待されております。また議員御指摘のとおり、若い親やこれから親となる世代に対しては、家庭や子育ての楽しさとその意義を積極的にとらえる施策のみならず、子育てに対する責任や親としての自覚を促す取り組みも重要であります。
     県といたしましては、官民連携の子育て支援推進フォーラムや子育て支援イベントを開催するとともに、各地で設立される人づくり地域協議会とも連携して子供たちの健やかな成長の促進と親や次代の親となる世代の意識の醸成を目指した幅広い県民運動を展開してまいりたいと考えております。
    ○副議長(石橋康弘君) 白岩総務部長。
           (総務部長 白岩 俊君登壇)
    ○総務部長(白岩 俊君) 知事の政治姿勢についてのうち、県の体制づくりについてお答えいたします。
     これまで本県は市町村合併の進展や静岡市の政令指定都市移行に伴う権限移譲の状況を踏まえて出先機関の再編や支所の統廃合などを進め、簡素で効率的な組織への見直しを進めてまいりました。今後市や町の自治能力の向上により市や町がそれぞれの特性を生かして魅力を高め自立的に発展していくことが期待される中で、県の役割としてはより高度で広域的な視点からの施策展開が重要になると考えております。
     こうしたことから今回の組織改正は、平成十九年四月に浜松市の政令指定都市移行が予定されているこの時期に組織の簡素効率化を進めるとともに、県が取り組むべき施策を戦略的に推進できる組織を目指して施策実施部門を大くくり化することを考えております。例えば国の省庁の縦割りに合わせて複数の部で実施してきた道路整備や生活排水施設整備を建設部に一元化することなどを考えております。また産業部では、農林水産業や商工業の振興施策を総合的に進めるとともに、産業を支える人材の育成支援等に関する施策を一体的に実施することといたしております。
     県といたしましては、今回の本庁組織の再編を契機として魅力ある静岡県としての新たな価値が創造できるよう戦略的で主体的な行政運営を推進していきたいと考えております。
    ○副議長(石橋康弘君) 遠藤教育長。
           (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長(遠藤亮平君) 教育の再生についてお答えいたします。
     義務教育におけるゆとり教育については言葉が一人歩きしさまざまな解釈がなされておりますが、本県では静岡県版カリキュラムに基づく授業改善や地域の特性を生かした特色ある体験学習の充実を図っており、子供たちによる学校生活の満足度と基礎学力定着状況の調査において、おおむね良好な結果を示していると認識しております。一方社会環境がますます多様化、複雑化していく中で子供たち一人一人の状況に応じた教育を推進していくことは常に求められている課題であり、今後とも一層の教育の改善充実を図っていきたいと考えております。
     また、教育基本法改正案では新たに生命をとうとび自然を大切にすることや公共の精神、伝統と文化を尊重することなどが掲げられておりますが、これらは新しい時代における教育のあるべき姿が問われているときに重要な理念であると認識しています。
     教育基本法は我が国の教育の根幹をなす重要な法律であり、十分な合意形成が図られるよう今国会における審議の経過を注視してまいります。
    ○副議長(石橋康弘君) 藁科健康福祉部長。
           (健康福祉部長 藁科一仁君登壇)
    ○健康福祉部長(藁科一仁君) 食育についてお答えいたします。
     県におきましては食育の推進が重要課題との認識のもと、これまでも健康づくり、農産物の地産地消、子供の朝食摂取率の向上等さまざまな視点から取り組みを進めてまいりました。さらに食育基本法の施行を受け現在副知事を議長としたしずおか食育推進会議を設置し、関係施策の総合的な推進を図るため食育推進計画の策定に取り組んでいるところでございます。
     食育はあらゆる世代に必要な事項でございますが、特に子供に対する食育は心身の成長や人格の形成に大きな影響を及ぼす重大な意味を持ちますことから、この計画には子供の食育に重点を置き、子供たちが本県の豊富な食材を用いたバランスのとれた楽しい食事を続けられるようにすることにより、豊かな人間性の醸成に寄与できるような施策を盛り込んでまいりたいと考えております。そのため放課後児童クラブ等を活用した調理体験教室、飲食店と協働で行う地場産物を使った料理コンテスト、本物を見て、つくって、味わう、体験満載の食育フェアなどの実施を検討しております。
     食育は家庭、学校、地域等すべての県民が主体的に取り組むことが大切ですので、教育関係者、農林漁業者等多様な関係者と協力して県民運動としての推進を図ってまいります。
    ○副議長(石橋康弘君) これで渥美泰一君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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