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ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成29年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

櫻町 宏毅 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2017

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 次世代に引き継ぐ魅力ある静岡県について             
 (1) 次期総合計画に反映すべき課題                 
  ア 施策体系のあり方                      
  イ 現実的な目標管理の設定                   
 (2) 中長期的な財政運営                      
 (3) 若者が夢を持てる県内就職の実現                
2 新しい多文化共生社会の構築について               
3 仕事の仕方改革に対する今後の取り組みについて          
4 南アルプスの水資源とリニア中央新幹線について          
5 富士山静岡空港の公共施設等運営権制度導入について        
6 富士山周辺地域の観光交流策について               
7 親亡き後の障害者の自立支援について               
8 生きづらさを抱える子供の居場所づくりについて          
9 火山防災対策について                      
10 河川の大規模氾濫に備える減災対策について            
11 工業用水道事業の今後の経営方針について             
12 今後の教育行政の推進について                  
 (1) 本県教育の目指す人づくりの方向性               
 (2) 学校教育における施策の推進                  
13 教員が子供と向き合う時間を確保するための外部人材の活
 用について                            
14 新たな刑事司法制度への対応について


○副議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十四番 櫻町宏毅君。
       (三十四番 櫻町宏毅君登壇 拍手)
○三十四番(櫻町宏毅君) 私はふじのくに県民クラブを代表し、通告に従い一括質問方式にて質問いたします。
 初めに、次世代に引き継ぐ魅力ある静岡県についてのうち、次期総合計画に反映すべき課題について伺います。
 施策体系のあり方についてでありますが、十一月八日にふじのくに県民クラブは次期総合計画に対する意見を知事に提出いたしました。
 内容といたしまして、一点目は静岡県の中長期的な将来像を具体的に示し、それを実現するための総合計画とすることという点です。総合計画は今後十年間の本県の羅針盤であり、まずは本県が目指すべき将来像をしっかりと示した上でその姿に対して今後四年間で実行する具体的な政策を掲げて取り組むべきと考えます。
 二点目は、今期までの総合計画に記載されていた行政経営や有徳の人づくりといった視点を政策の大柱の一つに位置づけるべきという点であります。当局から会派への骨子案の説明の際、行政経営の視点が大柱からなくなっていた点を指摘したところ、行政経営は全ての施策を進める上で土台になるものであり、大柱に掲げなくともきちんとした管理を行っていくとの説明がありましたが、現行の総合計画では行政経営の視点が掲げられ県民も議会も県の行政改革の進捗をチェック、監視できるようになったことから、次期総合計画についても同様の考えが必要と考えます。
 また、知事が人づくりにかける思いの代名詞として頻繁に使用する有徳の人づくりという文言が大柱、中柱から抜けております。本県の教育理念の象徴とも言えるべきこの文言は、いずれかの形で継続して使用すべきではないでしょうか。
 三点目は、県民に理解されやすい用語の使用や説明に努めることです。ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンやポスト東京時代など英語や片仮名用語の使用は県民にとってわかりにくく、さらに本県をあらわす言葉として使っていた平仮名のふじのくにを漢字の富士の国に変えるなど一貫性が見られません。総合計画の継続性という観点からも従前の表記を使用すべきと考えます。
 以上のように、我が会派からの意見を踏まえ施策体系のあり方の見直しなどを含め今後どのように総合計画を策定していくのか、知事の考えを伺います。
 次に、現実的な目標管理の設定について伺います。
 次期総合計画は、現在進捗中の総合計画後期アクションプランの振り返り結果を生かしたものにしなくてはなりませんが、後期アクションプランの進捗を見る上で目標管理に関し気になる点を指摘したいと思います。
 戦略ごとに目標値を立て、その目標を達成するための具体的な施策の進捗を管理しておりますが、主な取り組みの九七%が前倒しまたは順調に進捗しているにもかかわらず目標未達というケースが散見されます。
 目標値が現実的でなかった例もあります。例えば静岡県が住みやすいところと思っている人の割合は目標値八〇%に対し平成二十九年度の現状値は五七・四%とかなりの差がありました。達成することは理想的ではありますが、現実的な数値目標ではなかったと言えます。また財政目標の将来負担率四〇〇%未満は確かに国が示した目標値ではありますが、本県の実績は二二八%であり目標と実績との間に乖離があります。国の動向や市町の実施状況次第という他力で達成する目標管理は現実的でなく、やはり県みずからの努力によって成果が明らかになる目標に変えるべきであります。
 さらに、さきの決算特別委員会でも指摘いたしましたが、県が取り組む施策の目標がアウトプット指標を採用しているケースが多いという点です。例えば男女共同参画の推進という施策では企業向けの研修回数や受講者数などを目標値としていますが、本来は女性がどれだけ多く活躍したかという成果指標、つまりアウトカム指標により管理をすべきであります。
 そこで、今後の総合計画策定に当たり、県民にしっかりと約束することができる現実的な数値目標をどのように設定していこうと考えているのか伺います。
 次に、中長期的な財政運営について伺います。
 次期総合計画を策定する際に県が最も考慮すべき点は、人口減少の加速とより一層の少子高齢化社会の進展であることは言うまでもありません。人口減少が進むことによって個人県民税などの税収が減少し、さらに労働生産人口層の賃金が上がらなければ消費がより一層落ち込むことになり、関係する税や手数料等の収入が少なくなるなど歳入面に大きな影響を及ぼします。一方歳出面では高齢化の加速による社会保障関連経費の増加などにより義務的経費は今後も増加することが見込まれます。
 毎年この時期になりますと、県当局から次年度予算編成における財政上の懸案事項として何百億円もの財源不足や活用できる基金残高の減少が挙げられ、財政状況は年々厳しさを増すとの認識が示されます。国の地方財政計画においても地方交付税などの一般財源総額が毎年同額程度に据え置かれるなど大幅な歳入の増加が見込めない中、果たして静岡県の中長期的な財政状況は健全性が保たれているのか非常に心配であります。
 次期総合計画を策定する中にあって、各部局では県民のためのさまざまな施策を実施する計画を示し外部からの視点も入れて審議しておりますが、その施策展開の裏づけとも言える財政基盤が余りにも脆弱では夢を持って描いた各施策も文字どおり絵に描いた餅で終わってしまいます。
 あくまでも、持続可能な財政運営が確保された上での各種施策展開であるべきと考えますが、本県の中長期的な財政状況について現時点でどのように考えているのか、県の所見を伺います。
 次に、若者が夢を持てる県内就職の実現について伺います。
 県は昨年一月、次代を担う若者たちによる県民会議を設置し県内在住の大学生を中心とした若者の声を集める機会を設けました。本県は若者を中心に転出が転入を上回る人口流出県であり、この会議は若者の人口流出を防ぐアイデアを得るため県が開いたものであります。
 この会議では若者の本音を聞くことができました。その声にどれだけ応えられるかが今後の人口流出防止策につながるものと考えます。同会議では東京の華やかさは魅力だ、自分が学んだことを生かせる場所が静岡県には少ない、県内にはどういった企業があるのかわからないなど若者の本音が次々と上げられました。
 一方、企業側の立場に立つと全国的に有効求人倍率が高いにもかかわらず地方の企業には人が集まらず深刻な人手不足となっております。人がいないのでせっかくの受注も諦めたり、場合によっては仕事自体を受けることができず廃業まで追い込まれるという危機的状況が続いております。華やかさにまさる大都市に本県の将来を担う若者が取られ続けてしまうことに県はもっと強い危機感を持たなくてはなりません。
 県では、本県ゆかりの大学を訪問して本県出身の学生の県内就職を促すことや優秀企業を記載した冊子を作成して学生に配付するなどの取り組みをしているのは承知しておりますが、今まで以上に踏み込んだ取り組みが不可欠であります。
 そこで、若者が夢を持って県内への就職を志すことができるよう県としてどのように支援していこうとしているのか、県の所見を伺います。
 次に、新しい多文化共生社会の構築について伺います。
 人口減少の波は県内の労働力確保にも影響を与えています。かつて高校卒業後の進路として地元企業への就職が主流だったころと比べ現在ではそもそも生徒数が減少する上に大学進学率が高まり、製造業や建設業、運輸業、介護といった職種の現場労働力の確保に悩む企業がふえてきております。事実本年十月の有効求人倍率は全体としては一・五八と高水準ですが、建設業や医療、介護、サービス業の倍率は平均よりもかなり高く募集しても人が集まらない状況が続いています。今後この状況が続けば企業はまだまだ人件費が安いベトナム、インドネシア、フィリピンといった外国の労働力を確保することに奔走することが予想されます。
 さらに、静岡県は海外からの優秀な留学生を今後積極的に受け入れる方針であることに加え、二〇一九年ラグビーワールドカップや二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックも開催されて海外からの観光客が多く来静することを考えますと私たちの身近で今後ますます外国人と接する機会がふえることになります。
 既に、県内では浜松市などでブラジル人のコミュニティーが構築されており地域で外国人を受け入れる取り組みを行っておりますが、今後は県全体で多文化共生に対する意識を高めていく必要があります。
 今年度、次期総合計画の策定に合わせてふじのくに多文化共生推進基本計画を見直すと伺っておりますが、今後県民の外国人との共生意識を高めていくための方策をどのように考えておられるのか伺います。
 次に、仕事の仕方改革に対する今後の取り組みについて伺います。
 県職員の業務改革意識を高めるため石川前知事時代に始まったひとり一改革運動ですが、スタートから二十年が経過し現在でもその仕組みは続いています。しかしこれだけ同じ活動が続くとマンネリ化していないかという疑念が生まれます。
 現在、県職員の業務量は出先機関も含めふえる一方であり、その証拠に職員一人当たりの平均残業時間も増加傾向にあります。行財政改革の一環として職員定数の見直しがされていることに加え残業の抑制も掲げられており、県当局ではここ数年「やめる・へらす・かえる」運動に取り組み一層の業務の効率化に取り組んでいると聞いています。
 かねてからの業務の継承こそが県民への最大の奉仕という役所ならではの考えがある以上、担当者レベルではひとり一改革運動などを通じて減らす、変えるという提案はできても、とてもやめるという判断はできません。やめることができない中、次期総合計画の策定など新たな業務が降ってきて、一方で全庁を挙げて残業はするな、早く帰れという上司からの指導があり、一体私はどうしたらよいのかというのが県職員の本音ではないでしょうか。大胆に業務を改革していくには職員一人一人の提案には限界があり、組織を挙げて取り組むことが重要であります。
 現在、我が会派では次期総合計画に対し最少の経費で最大の効果を発揮する行政経営の推進が必要であると提言しておりますが、その実現のためには仕事の仕方そのものの改革が不可欠であると考えます。
 現在策定中の次期総合計画の実効性を高めるという意味でも重要となる県庁挙げての仕事の仕方改革に、今後どのように取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
 次に、南アルプスの水資源とリニア中央新幹線について伺います。
 リニア中央新幹線の建設計画をめぐり、JR東海が工事に伴って減少する流量の全量を大井川に戻すことを明言していない中で工事を進めようとしていることについて、知事は記者会見などを通じて厳重に抗議し猛省を促したいと発言しておられます。
 一方、JR東海は利水者と協定の締結に向けて協議中であるにもかかわらず十月十七日にトンネルの湧き水を大井川に戻す導水路トンネルの工事契約を結ぶとともに、先月十五日には静岡工区内のトンネル本線工事契約を結び必要な準備が整い次第工事を進めようとしております。リニア中央新幹線工事は本県にとってメリットはほとんどなく、残土もユネスコエコパークである南アルプスに処分される上に希少野生動植物への影響も懸念されること、何よりも利水者にとって命の水となる大井川の流量が減少するという重大なリスクを有しています。
 知事におかれましては、今後ともJR東海に対し物申すなど県民の不安の払拭に全力を注いでいただきたいと思います。
 そこで、今般のリニア中央新幹線建設に係る知事発言の真意について改めて伺います。
 また今後、本県へのメリットを県民が享受できるようJR東海に対しどのように対応していくのかあわせて伺います。
 次に、富士山静岡空港の公共施設等運営権制度導入について伺います。
 富士山静岡空港は開港から八年を迎えました。今日に至るまで紆余曲折がありましたが現在では路線数は国内線が四路線、国際線が五路線定期運航されており、最近では県民の団体ツアーによるチャーター便なども好調など当初の見込みより規模は小さいながらも県民のための空港という位置づけが鮮明になってきています。二〇一五年度は目標である七十万人にはわずかに及ばなかったものの、首都圏空港の補完的な役割もあり、特に外国人出入国者数が地方管理空港で一番多いなど静岡県の発展にとって一定の役割を果たしているものと考えます。
 しかし、一時期好調であった中国路線が相次いで運休するなど利用者数は時の経済情勢で刻々と変わるものであり、今後の空港運営の先行きは決して明るい話題ばかりではありません。
 そのような中、静岡県は二〇一九年度をめどに空港に関する県民負担の軽減と空港の活性化を目的に公共施設等運営権制度の導入、いわゆるコンセッションを行うことを決め、現在優先交渉権者の選定を進めています。空港のコンセッションは既に仙台空港や関西国際空港、大阪国際空港で実現しており、最近では福岡空港で熾烈な運営権取得の戦いが繰り広げられていると聞いております。
 富士山静岡空港のコンセッションにおいても、優先交渉権者に二者が応募したとの記事が掲載されておりましたが、そこで今後の運営権制度の導入スケジュールや制度導入後の空港の将来像について伺います。
 また、運営権制度が導入された場合県民の負担はどうなるのか、さらに県と運営権者との役割分担や空港建設当時から協力してくださった地元企業とのかかわりはどうなるのかについてあわせて伺います。
 次に、富士山周辺地域の観光交流策について伺います。
 富士山が世界文化遺産登録されてから早くも四年が経過し、登録の象徴とも言える富士山世界遺産センターは今月二十三日に開館することになりました。元文部科学大臣であり本県ともゆかりのある遠山敦子氏を初代館長にお迎えし、世界の宝である富士山を学ぶ研究拠点としての活用が期待されます。
 一方、世界文化遺産登録から四年が経過した富士山ですが、周辺市町にとっては一部を除き観光客の増加などによって地元経済が潤ったという実感が余りないため、地元富士ヒノキを使った斬新的な逆さ富士を目玉とする富士山世界遺産センターが開館することによって多くの観光客が来訪されることを大いに期待をしております。
 しかし、オープン当初の一時的な観光客入り込み数の増加だけでは意味がなく、継続した観光客の周遊策が必要となります。例えば年間三十万人もの登山客でにぎわう富士山ですが、この方々をいかにセンターまで誘導するか、また山梨県の世界遺産センターや富士市のかぐや姫ミュージアム、御殿場市の樹空の森、裾野市の富士山資料館など既に開館している富士山関連施設との連携による観光客の周遊プランの構築など、富士山周辺を面として捉えセンター開館を契機とした富士山周辺地域の観光交流促進が地元経済の活性化にとって不可欠となっております。
 そこで、富士山周辺の長期的な観光戦略を見据えた上での県と周辺市町が連携した観光交流促進策について伺います。
 次に、親亡き後の障害者の自立支援について伺います。
 私は、昨年九月の一般質問で富士市を中心に活動されている障害を持つ親の会の皆さんの、自分が先立った後の障害を持つ我が子の行く末が心配との声を紹介いたしました。この会のお母さん方は大変活動的で、今年四月に富士富士宮圏域の特別支援学校やこども療育センター、小学校、中学校、障害者総合支援法適用事業所の全てを訪問し障害児者の地域生活支援に関するアンケートを依頼、千九百十枚のアンケートを配付し千三百十三枚を回収、回収率は六八・七%と非常に高いものでありました。
 アンケートでは、「親亡き後の不安はありますか」という問いに十八歳以上の障害者自身の回答として九一%もの方が何らかの不安を感じておられました。さらに具体的な不安内容を聞いてみますと「金銭面、生活面で自立できるか不安」が三三%、「兄弟姉妹の人生に負担をかける」三〇%など今まで自分の面倒を見てくれていた親がいなくなった時の障害者の不安はかなり深刻なものであることがわかります。親側も我が子の将来が不安で、障害者のグループホームや専門の入所施設があれば安心といった声も聞かれました。
 アンケート結果を踏まえ、このたび会のメンバー六人が知事を訪ね障害者のためのグループホーム等の配置や一時預かりの増設など五つの項目について要望いたしました。
 障害者自身もその親も、親亡き後に自立ができるか不安を感じている実態が明らかになったわけですが、今後県としてこの課題にどのように取り組んでいくのか所見を伺います。
 次に、生きづらさを抱える子供の居場所づくりについて伺います。
 現在、子供の貧困は増加傾向にあり、貧困家庭で育つ子供たちの多くは人とのつながりをつくることが得意でないと言われ、いじめに遭ったりひきこもりになる傾向が強いという特徴があります。このような子供たちにはあなたはひとりじゃないよ、つらいことがあるなら話してごらんと言ってくれる人と気軽に立ち寄れる場所が必要です。
 富士市で活動するNPO法人ゆめ・まち・ねっとさんが、先日県主催のふじさんっこ応援隊大賞を受賞されました。代表の渡部さん御夫妻は御自身の生活が苦しいにもかかわらず社会で生きづらさを抱える子供たちに寄り添い、公園で自由に遊ばせたり空き店舗を改装して子供の居場所づくりを行っており、受賞に当たってはこの点が高く評価されたと聞いております。
 県が、生きづらさを抱える子供たちの居場所づくりに取り組む団体を表彰したのであれば、この団体をモデルケースとして県内各地に広げていく責務があると考えます。例として県内各地でのセミナー開催や同種の居場所づくりに取り組みたい団体に対するスタートアップ補助金制度の創設、空き家対策にもつながる団体向け空き家、空き店舗の紹介やこの活動に理解を示す貸し主への税制優遇など子供が安らぐ居場所が県内にふえる取り組みが挙げられます。
 そこで、県として生きづらさを抱える子供たちの居場所づくりや社会全体で子供を支える取り組みについて今後どのように進めていくのか所見を伺います。
 次に、火山防災対策について伺います。
 九月二十一日、二十二日の二日間、県議会治山砂防議員連盟主催の北海道有珠山の火山対策に関する視察に参加しました。有珠山は二〇〇〇年に大規模噴火を起こしましたが、このときは噴煙が地上三千メートルまで達するほどの大爆発だったにもかかわらず地元北海道大学が噴火兆候を事前に把握し大爆発の前に避難指示が出され一万人以上の住民が避難した結果、一人の犠牲者も発生しなかったため火山予知の歴史において有珠山の奇跡と言われております。
 視察では、災害遺構として火山灰に覆われた町営住宅やつけかえされた国道などの現地視察を行い火山災害のすさまじさを感じてきました。有珠山の奇跡の背景には日ごろから有珠山を観測していた北海道大学と地元との火山災害に対する意識の共有化があったとのことで、避難指示を地元首長に進言した北大名誉教授の岡田弘氏は地元小学生を対象にした火山教室や住民に向けた登山会を開くなどして火山災害の危険性を訴え続け地道に地域の信頼を得てきたそうであります。
 本県の誇る富士山は、今のところ兆候は見られないもののいつ噴火するのか、また噴火した際にはどのような影響が出るのか私も周辺に住む住民の一人として心配になります。しかし残念ながら富士山が噴火する危険性を常に意識している県民は少ないように思います。火山と共存する日本国民である県民は地域の火山の特徴をよく理解し、ふだんから火山噴火に備えておくことが必要です。
 そこで、県として今後富士山を含めた県内の活火山に対する火山防災対策をどのように進めようとしているのか伺います。
 次に、河川の大規模氾濫に備える減災対策について伺います。
 近年、全国的に発生している豪雨災害は地震や津波、火山噴火よりも県民が頻繁に体験する自然の脅威となっています。特に最近では線状降水帯の発生により同じ地域に短時間で大量の雨が降ることによって河川が氾濫し広範囲にわたって浸水被害が発生するケースが多くなり、本年も七月の九州北部豪雨、十月の台風二十一号の日本縦断による大雨など全国各地で河川の氾濫による被害が報告されています。
 本県においても、台風二十一号では県内の広い範囲で大雨が降り河川水位が上昇して市町から避難準備情報や避難勧告が発令されました。市町は過去の教訓を生かして空振りを恐れることなく早い段階から避難情報を発令するようになり、また県民も毎年のように日本各地で発生する豪雨災害を目の当たりにすると被害に遭わないよう早目の行動が重要であるとの認識を強く持ち、大雨が降った際自分の地域ではどのくらい浸水するのかをあらかじめ知っておきたいというニーズが高まっていると思います。
 県では、水防法で県管理の洪水予報河川、水位周知河川に指定された四十七河川において洪水浸水想定区域図を作成し最大規模の降雨を想定した洪水浸水想定区域の見直しを進めていると聞いておりますが、今後この想定区域図をどのように活用して実効性の高い減災対策に取り組んでいくのか伺います。
 次に、工業用水道事業の今後の経営方針について伺います。
 県企業局は、ことし三月に将来の需要予測を見据えた水道施設更新マスタープランを作成し二〇七七年までの長期にわたって計画的に施設規模をダウンサイジングする計画を立てました。この水道施設更新マスタープランは現在布設されている管やポンプ類の更新計画であり、受益者負担の原則として更新に係る費用はユーザー企業が負担することになります。
 しかし、これ以上の料金値上げはユーザー企業の経営に大きなインパクトを与え、経営戦略上工場の撤退という事態を招きかねません。工業用水を使用している県内各地の大手企業が撤退することは法人関係諸税が入らない、雇用の受け皿がなくなる、下請企業に大きな影響が出るなど本県にとって大きな痛手となります。
 私は、二年前に所属をいたしました産業委員会での議論の結果から、水道施設更新マスタープランの展開というタイミングを捉えて工業用水ユーザーの留置のための措置について事業主体である企業局だけでなく県全体で検討する時期が到来したのではないかと思っております。つまり更新工事に伴うユーザーの負担増をできるだけ抑えるため、企業留置という産業政策の一環として一般会計からの何らかの財政措置も必要なのではないかという指摘です。
 税の公平な使用という意味からすれば、受益者負担が原則である工業用水道事業に一般会計から措置することはそぐわないことは承知しておりますが、私は企業側の視点に立ち静岡県で事業を続けやすい環境づくりを知事部局と企業局が連携して進めることが重要であると考えています。そのために企業局側の努力はもちろん工業用水を利用するユーザー企業の経営を県全体で支援していかなければならないと考えます。もちろん独立採算制を原則とする企業会計の観点から見れば、企業局側が料金が上がらないための経営努力に今まで以上に取り組まなくてはなりません。何らかの形で一般会計から繰り入れするという英断があったとしても、これに甘えることなく企業局の経営改善努力は永遠に続くものと心得ていただきたいものです。
 そこで、工業用水道事業の責任者である企業局長に伺います。ますます厳しさが増す工業用水道事業の経営について企業にとって不可欠な工業用水を安定的に供給するとともに、工業用水道事業の健全経営を今後どのように進めていこうと考えておられるのか、企業局長の所見を伺います。
 次に、今後の教育行政の推進についてのうち、本県教育の目指す人づくりの方向性について伺います。
 現代社会は、少子高齢化の進展や家族形態の変化、人口減少による地方都市の衰退といった人々の生活にかかわる課題がさま変わりしてきたことに加えAIやIoT技術による産業革命やグローバル化の進展、産業構造の変化など大きな変革の時期を迎えています。私たちが過去に経験したことのない時代を迎えるわけですが、いつの時代にあっても社会を担うのは人であり、人材の育成こそが県政にとって最重要課題の一つとなっています。
 川勝知事も、知事就任直後から有徳の人づくりを総合計画の大柱に掲げ教育行政に熱心に取り組んでいると理解をしております。ふじのくに「有徳の人」づくり大綱と県教育振興基本計画「有徳の人」づくりアクションプラン第二期計画については今年度が計画期間の最終年度となることから、県では次期総合計画とリンクさせる形で次期大綱と計画の策定に向けて作業を進めていると伺っています。
 今定例会は、議会として次期総合計画の内容を審議する場でもあるため教育にかかわる中長期的な施策についても確認していくことになります。
 そこで、本県の永続的な発展のために最も重要と思われる人づくりに関し知事が考える方向性について次期大綱と計画にどのように盛り込んでいくのか、知事の所見を伺います。
 次に、学校教育における施策の推進について伺います。
 本県が目指す有徳の人づくりにとって、学校現場における充実した教育施策の推進が大変重要であることは疑う余地もありません。先ほど述べたように子供たちを取り巻く社会環境が大きく変化してきている中にあって、次期教育大綱を作成するに当たり従来の教育施策の延長では時代に即した学校教育につながらないのではないかと考えます。人口減少に伴う児童生徒数の減少や一人っ子が多い家族形態に加え子供の貧困、いじめ問題、不登校児童生徒の増加など子供側の変化だけでなく学校施設の老朽化や教員の多忙化といった学校側の課題もあり、前計画策定時には想定しなかった教育行政上の課題が浮き彫りになってきています。
 これからは、時代の変化に即した就学前から小中高校、大学まで続く一貫した有徳の人づくりの考え方に基づく学校教育の充実がますます重要となります。
 そこで、県教育委員会では次期県教育振興基本計画の策定を控え教育現場の課題や社会情勢等の変化に対応しどのような教育施策を推進していこうとしているのか、教育長の所見を伺います。
 次に、教員が子供と向き合う時間を確保するための外部人材の活用について伺います。
 現在、県教育委員会は教職員の多忙化解消を目的に二〇一六年度から三年間かけて県内四校の小中学校で未来の学校「夢」プロジェクトに取り組んでおり、ことしは二年目の折り返しを迎えたことになります。
 義務教育の現場では、授業以外の学校業務が多過ぎて教職員に負担がかかり過ぎとなっており、結果として十分な授業準備ができなかったり子供たちと接する時間がとれないといった悪影響が生じているのが実態です。昨年立ち上げた本プロジェクトは教育委員会の教職員多忙化解消に向けた本気度が示されており、特に改善意欲の高い市教委と連携し民間の英知や地元の協力を得て斬新なアイデアによる校務の改善が期待されています。特にモデル校での校務アシスタント等の人的措置により教員の負担軽減には一定の成果を上げていると認識しています。
 かつての学校現場には、学校内は学校関係者による聖域という意識があり外部からのサポートに対して余り積極的ではありませんでしたが、コミュニティスクールや学校支援地域本部などの取り組みが奏功し最近では教職員に負担がかかればよい教育ができないという意識に変わり校務全体の見直しや外部からの支援を受け入れられるようになったことは大きな変革だと思います。国でも同様の動きがあり、スクール・サポート・スタッフの配置措置が次年度予算に要求されていると聞いています。
 本プロジェクトを通じて、教職員の負担軽減により一層取り組み教員が子供と向き合えるよう時間を確保することが必要と考えますが、学校や教員の業務を補助、支援する外部人材の活用についてどのように考えているのか、教育長の所見を伺います。
 最後に、新たな刑事司法制度への対応について伺います。
 県内の刑法犯認知件数は平成十四年をピークとして十四年連続して減少し、また交通事故についても件数、死者数、負傷者数のトリプル減を達成した昨年と比較しいずれも減少傾向にあると伺っており、県警察を初め関係する皆様に改めて感謝申し上げます。
 一方で、県内を初め全国では殺人や強盗事件等の凶悪事件が依然として発生しているほか次々に犯行方法を変えて高齢者を狙う悪質な特殊詐欺事件、さらには新たな脅威となっているサイバー犯罪等の出現が国民に大きな不安を与えております。
 こうした現状に的確に対応するための警察の取り組みが期待されているところですが、ことしの警察白書を見ると捜査力の強化、科学技術の活用、新たな刑事司法制度に対応した警察捜査等に関する警察の取り組みが紹介されています。
 このうち、新たな刑事司法制度に対応した警察捜査は取り調べの全過程を録音・録画する、いわゆる取り調べの可視化や訴追に関する合意制度の導入等を内容としています。とりわけ司法制度改革の大きな柱とされている取り調べの可視化は平成三十一年六月までに施行されることが決定しており、県警察においても本制度の円滑かつ確実な実施に向けて警察庁が策定した指針に基づき裁判員裁判対象事件等を対象とした試行の実施や録音・録画機器等の環境整備を進めているものと承知しています。
 そこで、本県における取り調べの録音・録画制度の試行の状況と制度施行に向けた取り組みについて警察本部長に伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 櫻町議員におかれましては、昨日これまで十年以上の県政への御功績をたたえられまして自治功労者表彰を受章されましたこと、おめでとうございます。同じように阿部議員、宮沢議員、中沢議員、藪田議員、落合議員、竹内議員、十年以上の県政への御尽力に対しまして自治功労者表彰のはえある栄誉に輝かれましておめでとうございました。特に三十年以上の県政への御尽力に対しまして自治功労者表彰が与えられました岡本護先生、おめでとうございました。
 さて、櫻町議員にお答えいたします。
 次世代に引き継ぐ魅力ある静岡県についてのうち、次期総合計画に反映するべき課題についてであります。
 施策体系のあり方についてでありますが、ふじのくに県民クラブの皆様から八十七項目の大変貴重な御意見をいただきました。感謝申し上げます。いただいた御意見を計画案に反映いたしました。そのうち今回御質問のありました三点についてお答えいたします。
 第一点目、総合計画のあり方についてであります。
 議員御指摘のとおり、総合計画は県づくりの基本方針を示すものであります。県民の皆様と目指す姿を共有し、ともに地域づくりを進めていく基礎となるものであります。策定に当たりましては社会経済環境の変化などを十分に踏まえまして人口減少への対応や超高齢社会に対応した仕組みづくり、力強い経済、産業の実現など本県が直面する課題を明らかにいたしました。こうした直面する課題を克服し県民の豊かな暮らしを実現するために本県が目指すべき将来像として基本理念である富国有徳の美しい“ふじのくに”づくり、静岡県をドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点にを掲げております。この基本計画には本県が目指す徳のある人が物心ともに豊かに暮らす地域の実現に向け具体的な施策を盛り込んだところであります。
 二点目の行政経営と有徳の人づくりについてであります。
 総合計画に掲げる八つの政策を着実に推進するためには、効率的で持続可能な行政経営が不可欠です。このため行政経営を政策の一つとしてではなく計画の実効性を担保し八つの政策全てを支える政策の実効性を高める行政経営として位置づけまして、透明性の向上、県民参加の促進、健全な財政運営の堅持などに取り組んでまいります。基本計画では進捗をはかる数値目標及び取り組みの基本姿勢や方針を盛り込みまして行政経営の重要性を明確にいたしました。
 また、ふじのくにづくりの礎となるのは何といっても人材であります。このため基本理念の具体化の方向に未来を担う有徳の人づくりを掲げることにいたしました。引き続き高い志を持って地域の未来を担っていく人材の育成を目指してまいります。
 三点目、県民に理解されやすい用語についてであります。
 ふじのくには、県民の皆様に定着している平仮名の表現を継続いたします。基本理念につきましても誰でも努力をすれば人生の夢を実現し幸せを実感できる地域にするという考え方を県民の皆様に広く理解していただけるようわかりやすい説明に努めてまいります。
 今後とも、県議会を初め県民の皆様の御意見を賜りながら次期総合計画の策定に取り組んでまいりますので、県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようお願いを申し上げます。
 次に、若者が夢を持てる県内就職の実現についてであります。
 若年層の人口流出につきましては、進学等で東京を中心とした県外へ流出した若者がそのまま本県以外で就職することが大きな要因になっています。なぜ本県外で就職するのかについて若者の意見や考えをしっかりと聞き、それに応える対策を講じることが必要です。
 若者の意見としては、まず県内企業の情報がわからないということがございます。これにつきましては高い技術力を持つ本県企業の魅力などを的確に広く伝えていくことが重要です。このため県ではこの二年間で就職支援協定締結大学を十八校にまで広げました。また静岡U・Iターン就職サポートセンター、またしずおか就職ネット等々を通じまして県外に進学した学生に本県企業の求人情報はもとより、製品が業界トップクラスのシェアを占め安定した業績で成長を続けてきらりと光っている中小企業、小企業の存在などを発信しているところであります。
 加えて、学生にきめ細かく企業情報等を届けることが重要なことから、今月一日東京と名古屋に新たに学生情報収集員を配置いたしまして本県出身の学生が多い大学を精力的に訪問するなど県内企業の情報提供や学生と企業との橋渡しを強化してまいります。
 一方、県内大学に在学中の県外出身者に対し本県の魅力を伝え県内に就職してもらう取り組みも大切です。このためこの十一月に静岡大学などと連携いたしまして、県内十二の市町の参画を得て地域の特徴、魅力とともに企業情報や就職支援施策などを伝える相談会を静岡市において初めて開催いたしました。五十人の学生さんが参加いたしまして寄せられた声でありますが、ふだん気づかない地域の特徴を聞くことができた、各市町の企業の具体的な情報が得られた等々の意見が寄せられ大変好評でありました。そこで今後も積極的にこうした取り組みを推進してまいります。
 また、首都圏で就職した若者の中には静岡に愛着があっていつかは戻りたいという意見もあります。こうした若者がこれからの生き方を見直すのがまずは三十歳を迎えるころではないかと。論語に三十にして立つという言葉もありますが、この三十前後の層をターゲットに情報を有効に発信する必要があります。
 三十歳と言いましたが、四捨五入して三十ということで二十五歳から三十四歳まで、これまでこれらの年代の人たちはまだいろいろ試行錯誤する人生の段階ではないかということでございます。大学を卒業するのが二十二、三、それから二、三年たちまして、こんなはずではなかったということで従来であれば石の上にも三年、さらに頑張れということでございますけれども、今はやめていく若者も多いということであります。そうした中、夢のある大きな会社だと思って勤めたところが、ぼろぼろになってついにみずからの命を絶ったという、そういう本県出身者の若者もいました。ですから大会社イコール幸せということではないということは電通、東芝、東レ、三菱マテリアル等々大会社におきましてさまざまな品質不正等起こっております。ですからこの大会社イコール幸せ感というのを見直すであろう二十五歳から、また三十ぐらいになりますれば父、母のことを考え、また結婚も視野に入り、将来本当にこのままでいいのかということを見直す年齢で投票率もぐっと上がります。すなわちみずからの社会的な位置について考える時期になるわけです。そのときに三十になったら静岡県という一種の標語を掲げまして、静岡U・Iターン就職サポートセンターなどを核として多彩でポテンシャルのあふれる県内企業群とのマッチングの支援を強化していこうということで若者の三十になったら静岡県への第一歩を応援していこうというふうにしておりまして、目下経済界の方たちとお話しするとこれはなかなかおもしろいということで御理解をいただいているところでございます。
 県としましては、誰もが努力をすればみずからの夢を実現し幸せを実感できるドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点、美しいふじのくにをつくり一人でも多くの若者が県内に就職して活躍できるよう全力で取り組んでまいります。
 私は、若者が親元から一度は離れて独立したいという、それを足どめする必要はないと思っております。大事なことはいかに戻れる環境を整えてその情報を知らせておくことではないかという考えでこうした取り組みを今、進めているところであります。
 次に、南アルプスの水資源とリニア中央新幹線についてであります。
 リニア中央新幹線南アルプストンネルの工事に伴う大井川の流量減少問題を初めとする環境への影響につきましては、これまでも本議会の場で多くの議員先生から御質問をいただきました。その都度私はこれが大変重要な問題であるとの認識に立ちまして、JR東海に責任ある対応を厳しく求めると答弁を行ってまいりました。
 大井川では、この二十五年間に十六回もの取水制限が実施されています。ことしも八十七日間の取水制限が行われました。今年三月、トンネル工事で発生する湧水の全量を戻すことやJR東海との基本協定の締結などを求める利水団体からの要望を踏まえまして、県が立会人となり協議調整を始めたところであります。今年四月にはJR東海に対しまして環境問題全般にわたる問題点の解決に向けた知事意見書を提出いたしました。誠意のある対応を求めたところであります。
 しかし、JR東海から誠意ある回答を示していただけないことから、県内区間の工事契約を目前に控えていた十月十日の定例記者会見におきまして私は大井川の流量が減ることへの認識不足に対して猛省を促すべくJR東海に厳重に抗議をしたところであります。トンネル工事は万全の対策がなされなければ大井川の流量を減少させることは確実です。また本県の誇る貴重な財産である南アルプスの地形を改変し生態系を壊すものであります。現時点では本県にとって全くメリットのない工事であります。
 JR東海は、工事による大井川の流量減少分の水は全て戻すと主張しておりますが、河川流量は自然条件で日々変わります。トンネル工事による減少の程度を特定することなど不可能です。河川流量の減少を回避する確実な対策はトンネルでの湧水の全量を大井川に戻すということでしかありません。
 私の会見以降も、JR東海は大井川の流量減少問題に関して従来の主張を繰り返すのみで、本県へのメリットや自然環境の保全などへの対応を明確にしていない中で導水路トンネルや本体トンネルに関する工事契約を締結しており、その姿勢につきましては余りにも誠意がないものと考えております。
 JR東海がトンネル湧水の全量を戻すことは当然です。櫻町議員の体を傷つけると、後、直してやるから傷つけさせろというのと一緒でありまして、そうしたことは改めて治療してやるから傷つけさせろという、このようないわば恩恵を施すかのごとき態度というのはもう断固として許されない。私どもが利水者と一緒に要請する、要請するべきほどの水位のものではなくて、本来工事担当者が、責任者がそれを当たり前のものとしてするのが企業倫理というものではないかというふうに思っております。
 ちなみに、二〇二七年に工事が完了する予定でそのときには新幹線駅ができるだろうというふうなことで言われていますが、これはもう周知の共有事項なのです。平成二十三年の春に交通政策審議会中央新幹線小委員会の答申が出まして、二〇二七年のリニア新幹線開通の暁には既存の新幹線の活用法が変わると。その際には静岡県内に新駅を設置するということがうたわれているんです。その新駅というのは固有名詞が挙げられておりませんが、富士山空港の真下ということはこの小委員会を統括せられました家田先生ほか全員の共通認識であり、JR東海の今実質決定者である葛西さんの共通認識でもあり、そのことについて二〇二七年には駅ができるということで共通認識を持っているわけです。ただその後富士山空港が首都圏空港の補完空港になるとか大規模な広域防災拠点に指定されるとか、さらに御嶽山の噴火によって富士山の噴火も想定内になるとか等によりまして富士山空港の持っているポテンシャルが大きくクローズアップされ、どうせするならば前倒しでやってはどうかというのが私の態度でございまして、何かそれを駅をつくってくれるかわりに工事させてやるとか、そういう話ではないということだけはあらかじめ御理解賜りたいと存じます。
 ともあれ、JR東海に対しましては十全な環境保全措置と具体的な地域振興策の提示がない現状にありまして、工事着手を断固認めないという強い姿勢に立ちまして利水団体や流域の市町とも連携し不退転の決意に立って臨んでまいりたいと考えております。
 次に、今後の教育行政の推進についてのうち、本県教育の目指す人づくりの方向性についてであります。
 私は、知事に就任しまして以来一貫して富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりを進めてまいりましたが、基礎は一にも二にも人材であります。人材を育成するための柱が教育であります。
 ふじのくににおける教育の基本目標は、霊峰富士山の姿のように品格のある人格者、言いかえますと有徳の人の育成であります。現在策定を進めております次期教育に関する大綱におきましても明確にそのことを位置づけてまいります。
 ちなみに、来年は明治維新百五十年を迎えます。明治時代にあって世界遺産にもなった産業革命遺産群がございますが、非西欧圏で唯一政治的な独立を堅持して経済的な発展を成功したのは唯一日本であります。どうしてできたのかと。その基礎は一国の独立の基礎は一身の独立にあり、一身の独立の基礎はこれ学問にあると。その学問というのは実学であると。すなわち今日で言うところの洋学であります。工学とか法学とか経済学とか医学とかこうしたものであります。基礎には教育があったと。実用の教育があったということであります。今日は偏差値教育に偏しておりますが、そもそもはこれは実用の学問であったということであります。
 そうしたことから、次期県教育振興基本計画につきましては一国の独立が教育から始まるように、地域の自立は教育の自立から始まるという信念のもとで大綱に掲げる有徳の人づくり宣言、すなわち文武芸三道の鼎立、多様な人材を生む教育の実現、地域ぐるみ、社会総がかりの教育の実現を施策の大黒柱に据えまして策定することとしております。
 例えば、今申しましたごとくふじのくにづくりは相応の学問に基礎づけられねばならないということは、奈良時代前後からの日本は仏教を基礎にいたしまして鎮護国家という国づくりをいたしました。江戸時代の日本は儒学あるいは朱子学を基礎に徳治国家を目指しました。明治以降は今日我々が通常学問と言っている、それはしかし洋学と言うべきでありましょう。儒学や仏教とはまた全然違う体系を持っております。この洋学を基礎に西洋流の富国強兵国家を目指し成功してきたものであります。しかしそのほころびも見えてまいりましたし、その目標は達成したとも思います。
 新しい国づくりには相応の学問が必要であるということでございます。地域自立のためのふじのくにづくりには新しい地についた実学、今、我々はこれを技芸を磨く実学と言っております。もう少し具体的に言えば拠点校というのが静岡県にあります。これは大学進学校のことを意味しますが、しかし一方で農業高等学校、工業高等学校、商業高等学校、あるいは水産高等学校、裁縫、園芸、音楽、芸術等をベースにした公立学校が、いわば実学をする学校が四十二校もあります。こうしたものこそが今、光を当てられなければならないというふうに思っております。これらの卒業生が静岡県のものづくりを支えてきたということであります。
 次期教育振興基本計画におきましては、これまで学校で重視されてきた知性を高める学習――これはとても大事です――それのみならず技芸を磨く実学を奨励いたします。子供たちの学びの場となる魅力ある学校づくりを社会総がかりで進めてまいりたい、文武芸三道の鼎立を実現してまいりたいと。これは学問を大切にするのが文であります。武というのはスポーツを大事にするということ、芸は芸術を愛すると、この三つのことを全体として調和ある形にするというのが文武芸三道の鼎立の意味であります。
 論語に、吾十五にして学に志すという言葉がございますが、今年話題になったのは将棋の藤井聡太さんではないでしょうか。十四歳、中学生で二十九連勝しました。また五十勝六敗です。羽生さんを抜きました。もう十五にしてみずからは将棋の道に進むという人生がはっきりしています。あるいはスポーツにおきましては伊藤美誠さんどうでしょうか。中学生で世界チャンピオンになりました。あるいは今回永世七冠を達成されました羽生さんは小学校のときに何と将棋に志されたのですが、普通は八級から始めるのが十五級から始められたと、それほど弱かったということです。しかし中学になったころにはめきめきとその頭角があらわれてきまして、自分は将棋でいくということであります。十五ぐらいになればどういうふうに生きるかということがわかる年代だということではなかろうかというふうに思っているところであります。レールに乗った形で高校に行き大学に行って、そして大きな会社に勤めればいいと、これはもう今は過去の時代にしなくちゃならないということでございます。
 そうしたことから、私は子供たちの多様な個性を生かしてすぐれた才能を伸ばす実践的な教育を推進することにいたしまして、しっかりとした知識と技芸を身につけて新しい価値を創造して社会の持続的な発展に貢献するリーダーを養成してまいりたいと。もとよりグローバルな人材の育成も不可欠であります。
 今後も、教育委員会と私どもが総合教育会議の場で議論を深めまして富国有徳の美しいふじのくにの未来を担う有徳の人づくりを進め、新しい日本を切り開くための本県に根差した実学、学問によって教育における地方創生を実現してまいりたいと思っております。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を申し上げます。
○副議長(山田 誠君) 吉林副知事。
       (副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 次世代に引き継ぐ魅力ある静岡県についてのうち、中長期的な財政運営についてお答えいたします。
 次期総合計画を実効性のあるものにするためには、議員御指摘のとおり将来にわたって持続可能な財政基盤の確立が不可欠であります。今後の財政収支につきましては、次期総合計画の策定や平成三十年度当初予算編成に加えまして国の財政収支の長期見通しを踏まえて五年間の県財政の中期見通しの作成を進めております。歳出面では富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりを推進する施策を重点に展開するとともに、年々増加する社会保障関係費などの義務的経費にもしっかりと対応していく必要があります。一方歳入面では県税や税制改正による地方消費税は一定の伸びが期待できますものの、現在の地方財政対策におきましては地方交付税などを合わせた一般財源総額は大幅な増加を期待できず財政収支ではこれまで以上の財源不足が危惧されるところでございます。
 現在、財源不足を補うために県の貯金である基金を活用して対応しているところでありますが、将来にわたって健全な財政運営を持続するためには当該年度の歳出は当該年度の歳入で賄う、いわゆる収支均衡の財政運営の実現が理想であります。そのためにも本県の歳入歳出構造の抜本的な見直しが急務であると考えております。
 このため、来年度予算では事業の大胆なスクラップ・アンド・ビルドや成果指標に対する寄与度が高く課題解決に直結する事業手法へ転換するなど、歳出の重点化、効率化に徹底的に取り組んでまいります。また歳入面ではこれまでの県税の徴収強化や未利用財産の売却の取り組みを強化いたしますとともに、産業のイノベーションをさらに強力に進めることによりまして持続的な経済成長を促し、本県の稼ぐ力を高めることで安定的な財政基盤の構築を目指してまいります。
 今後も、将来にわたって安心な地方財政運営を確立するため国に対しましては必要な一般財源総額の確保や国、地方を通じた中長期的に安定的な税財政の枠組みの構築を提言してまいります。あわせて地方自治の本旨であります最少の経費で最大の効果を生み出すを矜持として、県全体の最適化を図ることによりまして富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりを支える中長期的に安定したスリムで筋肉質な財政構造への転換を図ってまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 佐藤静岡県理事。
       (静岡県理事 佐藤典生君登壇)
○静岡県理事(佐藤典生君) 次世代に引き継ぐ魅力ある静岡県についてのうち、次期総合計画に反映すべき課題についてお答えいたします。
 現実的な目標管理の設定についてでありますが、後期アクションプランにおきましては議員御指摘のとおり主な取り組みの結果が数値目標の達成に結びついていないことから、数値目標の設定に関して改善すべき点があると認識しております。
 このため、次期総合計画では四年間での達成を目指す現実的な数値目標を設定してまいります。県が進める施策の効果が反映される適切な目標の設定に努め、理想の姿をあらわす非常に高い目標値で国の政策や社会経済環境に大きく左右される目標や取り組みの成果があらわれにくい意識調査による目標は原則として用いないこととしております。また成果指標と活動指標を明確に区分しアウトカム指標である成果指標によって施策の効果をはかり、アウトプット指標である活動指標によって施策の進捗状況をはかってまいります。
 今後とも、幅広く御意見を伺いながら次期総合計画の客観的な進捗管理や評価が可能となるよう現実的で適切な数値目標の設定に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 増井地域外交監。
       (地域外交監 増井浩二君登壇)
○地域外交監(増井浩二君) 新しい多文化共生社会の構築についてお答えをいたします。
 県内に居住する外国人県民の数は平成二十七年から再び増加傾向にあり、定住化も進んでいることから地域社会の構成員として社会参画を促し誰にとっても暮らしやすい多文化共生の地域づくりを進める必要があります。県政世論調査の結果では地域で生活している外国人に親しみを感じている日本人県民の割合は平成二十七年度から毎年三%増加し、平成二十九年度は四〇%となりましたがまだ十分とは言えません。これまでも県内大学に在籍しているふじのくに留学生親善大使による交流活動や県の国際交流員による小中高等学校での世界の文化と暮らし出前教室の開催などを通じて異文化理解の促進を図ってまいりました。今後少子高齢化が一層進む中、地域の活力を維持していくためには外国人県民も含めた全ての人が能力を最大限に発揮できるような社会づくりが必要になってまいります。
 現在策定中の次期多文化共生推進基本計画では、これまでの異文化理解促進の取り組みに加え外国人県民の能力発揮の視点を強化してまいります。例えば母国語と日本語に精通している外国人県民の方を医療通訳者として養成したり地域防災の担い手として育成するなど、意欲ある方に活躍する場を提供しその姿を広く紹介することにより県民の皆様の共生意識を高めてまいります。
 こうした施策を着実に実施し、外国から来られた方も日本人も努力すれば夢がかない幸せを実現でき、そして誰もが社会の担い手として能力を発揮することができる多文化共生の社会づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 伊藤経営管理部長。
       (経営管理部長 伊藤篤志君登壇)
○経営管理部長(伊藤篤志君) 仕事の仕方改革に対する今後の取り組みについてお答えいたします。
 本県では、行政の生産性の向上を目指しひとり一改革運動や全庁を挙げた事業、業務の見直しなど限られた人員と財源を最大限に活用する行財政運営に取り組んでまいりました。
 ひとり一改革運動につきましては、ノルマを課さない中でここ四年間の平均取り組み件数は年一万六千件を超え、経費の節減や時間の削減、県民サービスの向上等に大きな成果を上げております。また組織を挙げて業務改革に取り組んだ結果、平成二十六年度から平成二十九年度当初予算で六百二十五億円の財源を捻出いたしました。さらに今年度上半期の時間外勤務時間は昨年度と比較して約四万二千時間、八・九%の縮減が図られているところであります。
 今後、中長期的に大幅な財源の伸びが期待できない中で政策を着実に推進するためには不断の業務改革の視点が一層重要となります。このため貴会派からいただいた御提言も踏まえ次期総合計画に政策の実効性を高める行政経営を明確に位置づけ、生産性の高い持続可能な行財政運営に全庁を挙げて取り組んでまいります。
 総合計画を初めとする各種計画の策定に当たりましては、県の施策や事業の効果を定量的に評価できる成果指標を設定し、担当する職員におきましても寄与度が低い事業や業務を見直すPDCAサイクルを徹底できる仕組みとすることで政策の効果を高めつつ生産性の向上を図る取り組みを強力に進めてまいります。またICT等の革新的技術を活用し在宅勤務などの働き方改革や行政事務の効率化にも積極的に取り組み、県庁を挙げて仕事の仕方を改革してまいります。
 今後とも、職員が自発的に業務改善を図る組織風土の醸成と組織として取り組む業務の抜本的見直しを両輪で推進し最少の経費で最大の効果を発揮する行政経営を追及してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 林静岡県理事。
       (静岡県理事 林 正尚君登壇)
○静岡県理事(林 正尚君) 富士山静岡空港の公共施設等運営権制度導入についてお答えいたします。
 県では、富士山静岡空港のさらなる発展を目指し民間による一体的かつ機動的な空港運営を実現するべく公共施設等運営権制度の導入に向けた取り組みを進めております。運営権制度導入により県と指定管理者の業務を一元的に運営権者に移管し、民間目線による自立的な経営を促すことで一層の業務効率化と収益力の向上による県民負担の軽減が図られるものと期待しております。
 また、運営権者には航空路線の充実や空港内サービスの向上などに係る提案を求めておりますが、県としても観光やビジネス、文化、教育などの分野において運営権者と連携した利用促進策等を効果的に展開することで空港のさらなる発展や県民利便の向上等に向けた取り組みを加速させてまいります。
 これらの取り組みには、県内の企業、市町等の協力が不可欠であることから、引き続き県内企業等の皆様には富士山静岡空港株式会社の株主としてお支えいただくほか富士山静岡空港利用促進協議会等と連携し全県を挙げた取り組みを促進してまいります。来年一月には応募のあった二者から第二次審査書類の提出を受け本年度中には優先交渉権者を選定し、来年度には運営権設定に係る議案を県議会にお諮りするなど、平成三十一年度からの制度導入に向けた具体的な取り組みを進めてまいります。
 県といたしましては、運営権制度導入により空港の価値を最大限に高め首都圏空港の一翼を担う日本の空の玄関口として、また県内経済の発展に大きく貢献できる社会資本として活力と魅力にあふれる空港を実現してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 西田文化・観光部長。
       (文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 富士山周辺地域の観光交流策についてお答えいたします。
 世界遺産富士山を後世に守り伝えるための拠点として整備を進めてきました静岡県富士山世界遺産センターにつきましては、建物本体に加え外構工事も完了し、無事今月二十三日に開館を迎えることとなりました。まずは関係された皆様に厚くお礼申し上げます。
 当センターへの来館促進を図るため、国内外のメディア関係者や旅行事業者へ積極的に働きかけを行っており、既に複数の企画ツアーの造成や旅行雑誌等への掲載などの成果があらわれております。このほか広域的な誘客を進めるため富士山世界文化遺産協議会に参加する十市町の担当者会議において情報共有を図るとともに、富士山かぐや姫ミュージアムなど六施設で構成する富士山ネットワーク推進委員会を足がかりとしてイベントの共催など施設間の連携促進に努めてまいります。
 加えて、富士山周辺四市三町と観光協会が連携し、平成三十一年春のデスティネーションキャンペーンに向けて世界遺産富士山の構成資産となる神社での特別企画やダイヤモンド富士の眺望を楽しむ限定ツアーなど観光資源の掘り起こしと旅行商品の造成を行い広域による誘客促進を図ってまいります。
 県といたしましては、富士山周辺地域の魅力ある観光資源を有機的に結びつけ観光客の周遊促進を図るとともに、山梨県富士山北麓地域や神奈川県西部地域との民間を含めた連携により県境にとらわれることのない広域での誘客活動を展開することで世界遺産富士山の山麓の地にふさわしい、世界の人々の憧れを呼ぶ多くの観光客が訪れる持続可能な観光地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 山口健康福祉部長。
       (健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 親亡き後の障害者の自立支援についてお答えいたします。
 障害のある方が、将来にわたり住みなれた地域で自立して安心できる暮らしをすることは本人だけでなく御家族や関係する方々の共通した願いであります。そのためには地域において障害のある方の自立を支えるサービス提供の体制を充実することが重要でございます。
 県では、居住の場となるグループホームの整備を初め県内八カ所の障害者就業・生活支援センターによる生活支援や判断能力が十分でない方の権利を擁護するための成年後見制度の利用促進など、障害のある方が地域で自立した生活を送ることのできる環境整備に取り組んでおります。
 平成三十年度からの県の第五期障害福祉計画では、市町と連携し必要となるグループホームの整備を着実に進めるほかホームヘルプサービスや通所サービス等、障害福祉サービスの提供体制を拡充するなど身近な地域で自立して暮らすことができるように支援することとしております。また地域生活支援拠点の設置を促進し、親亡き後を見据えての地域において障害のある方がひとり暮らしをするための相談や保護者に何かあった場合の緊急時の受け入れなど居住支援の機能を整備することにより保護者に頼ることなく暮らすことのできる体制を進めることとしております。
 今後も、市町や福祉関係者から成る圏域自立支援協議会において地域が必要とする障害のある方の自立支援への助言を行い障害福祉サービス事業所や相談支援事業所などの関係機関との連携を強化し、重度の障害のある方であっても自立できる支援体制の充実を図るなど障害の有無にかかわらず誰もが幸せに安心して自立した生活を送ることのできるふじのくにの実現を目指してまいります。
 次に、生きづらさを抱える子供の居場所づくりについてであります。
 貧困家庭に育つ子供たちが、いじめやひきこもりなど生きづらさを抱えることとならないようにするためには人とのつながりを強め地域で孤立しないように配慮していく必要があります。子供たちが気軽に立ち寄り話ができる居場所をつくることは地域全体で子供を支える取り組みとして大変重要であります。
 県では、高齢者の方々や障害のある方々と気軽に触れ合うことのできるふじのくに型福祉サービスの居場所づくりや静岡県子どもの貧困対策計画に基づく子供の居場所づくりを行い、子供たちを温かく見守る環境を整備しております。また孤立しがちなひとり親家庭の子供の健全育成と自立を支援するため学習支援や夕食の提供などを行う放課後の居場所事業を市町と連携して実施するなど子供の居場所づくりに積極的に取り組んでおります。
 今年度は、子供の居場所の開設を検討している方々への支援を目的としてゆめ・まち・ねっとなど先駆的に実施されている方を講師に招いた講演会を開催し、開設及び運営に関する情報提供のほか居場所づくりのガイドブックの作成や配付を行い地域全体で子供を支える取り組みとして居場所づくりの一層の拡大を図ってまいります。
 今後も、市町や関係団体と協力し地域で子供たちが安心して集い気軽に立ち寄ることのできる人とつながる居場所づくりを進め、全ての子供たちが夢と希望を持って健やかに成長できる「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 杉保危機管理部長。
       (危機管理部長 杉保聡正君登壇)
○危機管理部長(杉保聡正君) 火山防災対策についてお答えいたします。
 県では、活動火山対策特別措置法に基づき活火山である富士山と伊豆東部火山群を対象として国、県、関係市町及び火山専門家等で構成する火山防災対策協議会を設置し火山の防災対策に取り組んでおります。火山噴火時の住民等の安全確保に向け、協議会では平成二十七年三月に噴火が及ぼす影響範囲を示した火山ハザードマップに基づき噴火の段階に応じた避難のあり方を定めた火山避難計画を策定をいたしました。また計画の策定を受けて関係市町では避難対象区域、避難先、避難経路など円滑な避難に必要な情報を記載した火山防災マップを配布し、あわせて避難訓練や情報伝達訓練などを実施しております。
 今後は、住民避難の実効性を高めるため火山防災マップを活用した出前講座等を開催し住民に対して地域ごとに想定される火山災害や早期避難の必要性について周知啓発を進めてまいります。さらに訓練の実施が一部の地域にとどまっていることから、毎年行われる地域防災訓練において火山避難訓練を実施することを働きかけるなど訓練が関係全市町に広げられるよう支援をしてまいります。
 県といたしましては、火山噴火は地震、津波と比較して前兆現象を捉えやすく事前避難による減災効果が高いと考えられることから、引き続き関係市町と連携して火山防災対策に取り組み火山の噴火に対して安全な地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木交通基盤部長。
       (交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 河川の大規模氾濫に備える減災対策についてお答えいたします。
 県では、社会全体で洪水に備える水防災意識社会再構築ビジョンに基づき減災対策を進めているところであり、その一環として最大規模の降雨を想定した洪水浸水想定区域図を対象とする四十七河川全てで平成三十年度までに作成、公表することとしております。この洪水浸水想定区域図は大規模氾濫により長時間の孤立が想定される地区や家屋の倒壊等のおそれがあり早期の立ち退き避難が必要な地区、避難確保計画の作成等が義務づけられる要配慮者利用施設が把握できるなど、地域住民に対する水害の危険性の周知や避難計画の策定等に有用な情報として活用することができます。
 このため、県では国の機関や市町とともに設置した豪雨災害減災協議会において区域図の情報を共有し市町が取り組む洪水ハザードマップの作成や地域防災計画の見直し等への活用を支援するとともに、タイムラインを活用した避難訓練や氾濫発生後の早期復旧を図るための排水訓練を関係機関と連携して実施するなど実効性の高い減災対策に取り組んでまいります。
 県といたしましては、引き続き国や市町と緊密に連携しソフト対策とハード対策を一体的、計画的に進め河川の大規模氾濫から人命を守る災害に強い地域づくりを強力に推進してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 黒田企業局長。
       (企業局長 黒田晶信君登壇)
○企業局長(黒田晶信君) 工業用水道事業の今後の経営方針についてお答えいたします。
 高度経済成長期に整備した工業用水道は、施設の老朽化が進み全面更新の時期を迎える一方で用水需要量は減少が続いております。このため昨年度、将来の需要量に対応した施設整備の基本となる水道施設更新マスタープランを策定いたしました。今年度はこのプランを踏まえ将来にわたって工業用水を安定的、継続的に供給することを目的として、今後六十年間の財政収支を見通しつつ十年間の経営方針となる経営戦略を策定することとしております。
 経営戦略では、サービス供給体制の充実と経営基盤の強化を理念に掲げ、経営の方向性並びに経営の健全性の確保に向けた具体的な取り組みと数値目標から成る行動計画を定め目的の達成に向けた取り組みを局一丸となって進めてまいります。具体的には新規需要の開拓あるいは未利用地の売却による収益の確保、維持管理費などのより一層の削減を図るとともに、更新整備に当たりましては施設の統廃合や新たな技術、工法の導入による事業費の低減に努め受水企業の負担をできる限り軽減してまいります。また国に対しましては国庫補助金の充実などを積極的に要望してまいります。
 企業局といたしましては、受益者負担による独立採算制の原則のもと能率的な経営に全力を尽くすことが基本と考えておりますが、工業用水道事業が果たすべき役割や事業開始の経緯に鑑み産業政策や環境政策等の観点から関係部局と調整、連携し対応策を検討してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木苗教育長。
       (教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 今後の教育行政の推進についてのうち、学校教育における施策の推進についてお答えいたします。
 子供たちを取り巻く環境が大きく変化している中で、学校教育におきましては特に子供たちの生きる力を育むため主体的、対話的で深い学びとなる学習の充実が求められております。このため県教育委員会では子供たち一人一人の個性や可能性を伸ばしていくことを目指し、静岡式三十五人学級編制の完全実施やICTを活用した教育の推進により確かな学力を育成するとともに、農林水産業、工業、芸術、スポーツなどを学ぶ環境づくりやキャリア教育の充実などにより技芸を磨く実学として奨励してまいります。
 また、国際化、情報化の急速な進展に対応し、ふじのくにの発展に貢献できる人材の輩出に向け高校生の海外留学の促進や外国語教育の充実などを通してグローバル人材の育成を積極的に進めてまいります。さらに教育現場で課題となっている子供の貧困やいじめ、不登校等についてはスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携を強め児童生徒の状況に応じたきめ細かな支援を行うとともに、教員をサポートする体制を充実することにより子供と向き合う時間を確保してまいります。
 県教育委員会といたしましては、全ての子供たちが夢と希望を持って可能性に挑戦する力を育むことができるよう就学前教育から大学教育まで学ぶ場を広く見据え次期教育振興基本計画に位置づける重点的な取り組みを着実に進めてまいります。
 次に、教員が子供と向き合う時間を確保するための外部人材の活用についてであります。
 教員の多忙化解消や開かれた教育課程の実践として、県内ではボランティア等が学校を支援する仕組みである学校支援地域本部が三百四十一校の小中学校に設置されています。また学校運営に地域が参加するコミュニティスクールについては六十七校が指定されております。こうした外部人材等による学校の支援や教員の業務補助は教員が授業の準備や生徒指導などの時間を確保するのに有効であり、学校の教育力の向上につながるものと考えております。
 本県が昨年度から実施している未来の学校「夢」プロジェクトでは、加配教員やスクールカウンセラー、地域住民による学校支援ボランティアなどさまざまな人材の活用により教員の多忙化解消に取り組んでおります。このうち職員会議の準備や授業で使用する資料の印刷、行事予定表の作成など事務全般を支援する業務アシスタントについては、プロジェクトの中間報告の段階ではありますが多忙化の解消に非常に有効であるとの結論が得られております。
 県教育委員会といたしましては、国が概算要求で盛り込んだスクール・サポート・スタッフの詳細について把握するとともに、未来の学校「夢」プロジェクトの取り組みを県内に普及させ各学校での外部人材の活用を促進するほかコミュニティスクールの一層の導入を進めることにより、教員が児童生徒と向き合う時間を確保するためにそのような体制づくりに積極的に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 筋警察本部長。
       (警察本部長 筋 伊知朗君登壇)
○警察本部長(筋 伊知朗君) 新たな刑事司法制度への対応についてお答えいたします。
 初めに、取り調べの録音・録画の試行の状況についてであります。
 県警察におきましては、警察庁が示した取り調べの録音・録画の試行指針に従い平成二十一年四月から裁判員裁判対象事件について取り調べの録音・録画の試行を開始し、現在では知的障害、発達障害、精神障害等の障害を有する被疑者に係る事件におきましても同試行を行っております。
 また、刑事訴訟法等の一部を改正する法律により平成三十一年六月までに逮捕または勾留されている被疑者を裁判員裁判対象事件等について取り調べる場合には原則としてその全過程を録音・録画することを義務づける制度が施行されることを見据え、警察庁では昨年九月に新たな取り調べの録音・録画の試行指針を策定いたしました。この指針は取り調べの録音・録画制度の対象となる取り調べ及び弁解録取手続について原則としてその全過程を録音・録画することなどを内容としており、県警察では同年十月からこの指針に基づく新たな試行を実施しております。
 これまでの県警察における試行の実施状況につきましては、平成二十一年の試行開始から本年十月末までの間に裁判員裁判対象事件四百三十九事件、知的障害者等に係る事件百七十六事件において計四千二百十五回の録音・録画を実施しております。
 次に、取り調べの録音・録画制度の施行に向けた取り組みについてでありますが、平成三十一年六月までに実施される取り調べの録音・録画制度に適切に対応できるようさきに述べました新たな指針に基づき取り調べの録音・録画の試行に一層積極的に取り組むことなどにより捜査員の経験の蓄積及び技能向上に努めるほか、録音・録画装置の計画的な整備に努めるなど必要な準備を進めているところであります。
 県警察といたしましては、こうした取り組みを進め制度施行の際にいささかもそごが生じることのないよう万全を期してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 櫻町宏毅君。
       (三十四番 櫻町宏毅君登壇)
○三十四番(櫻町宏毅君) 要望を二点、再質問を一点お願いいたします。
 要望一点目ですが、世界遺産センターを契機に富士山周辺の観光振興をということで質問させていただきました。実は県が今、観光振興ということでDMOを育てていこうということを一生懸命されておりますけれども、富士圏域にも富士DMOをつくって盛り上げていくということが計画されております。今回のその世界遺産センターを機に観光周遊計画をとられるということだったので、ぜひその富士のDMO立ち上がろうとしておりますので、これから熟成されていくのでしょうけれども、育てるということでぜひ連携をしていただきたいなというふうに思います。
 それから二点目、親亡き後の障害者の自立の件ですが、知事選が終わった後初めての私、質問だったのでこの件については福祉の充実ということを知事も熱心に公言されておられたのでぜひ御答弁いただきたいと思っていたのですが、答弁調整の関係で部長になられたんですけれども、ぜひ障害者の政策に対して機会あるごとに発信をいただければ大変ありがたいと思います。
 この点につきましては、高齢者福祉と障害者福祉って国の法整備について大きな差があると思うんですね。例えば高齢者福祉というのは老人施設をどういった形でつくるとか、あるいは企業が参入しやすいような補助金制度とかそういったものが整っています。ところが障害者というのはなかなかそこが国の法律がまだ整備されていないということもあるかもしれませんけれども、事業者が参入しようとしてなおかつ補助金がつかないとか、あるいは採算がとれないとかいうことで広がっていかないというような実態があると思うんですね。今部長がいろいろこんなこともやるあんなこともやるということを言ってくださったのでそれは県の実力の範囲内でやっていただきたいんですけれども、一方で地元にはその親御さんの会があったりあるいはNPOがあったりあるいは頑張っている民間さんもいらっしゃるので、そういった方々も連携していただいて障害者が地域で自立できる、親亡き後も自立できるというようなことをしていただきたいなと思います。また国への要望も強力にしていただきたいと思います。
 再質問は、工業用水道事業についてであります。
 今、黒田局長からいろいろ御答弁がございました。この件は二年前の産業委員会で何回も聞いております。例えば維持管理費も少なくするとか、あるいは新たな改革をするとかいうことも申されておりまして同じ答弁をされております。これから先どんどんきつくなるのは人材がいなくなるということです。企業局の中に専門家が少なくなるということですね。そうなるとどんどんこのやろうとしていることに限りがある。一方で企業側に対してじゃあその分付加をお願いしますよと言っても、先ほど私が壇上で申し上げたとおり基本はこれ以上コストが上がってしまえば結構です、わかりました、出ていきますということになりかねないわけですね。そうなると先ほども申し上げたとおり税収が入らないとか雇用の受け皿がないとか、あるいは下請に影響があるとかというような県全体に大きな影響を及ぼすわけですね。ですから企業局はもっともっと努力をしていただきたいというのは、これはもうもちろんのことなんですけれども、そこで申し上げたとおり産業政策の一環として県全体としてこの水を使っている企業をどうサポートしていくのかということをそろそろ県が企業局と連携してちゃんとした取り組みを進めていく時期が来ているんじゃないかというように思うわけですね。
 ですからこれは企業局に申し上げても同じ答弁なので、ですから知事部局でどちらかの部局からぜひお答えをいただきたいというふうに思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 黒田企業局長。
○企業局長(黒田晶信君) 工業用水道事業に係る再質問にお答えいたします。
 企業局といたしましては、能率的な経営に全力を尽くす覚悟でございます。その上で受水企業の皆様方に工業用水道事業の社会的役割ですとか料金体系のあり方について御理解と御協力を得るべく丁寧に説明しながら、あるいは意見交換をしてまいりたいというふうに考えております。
 こうした取り組みと並行しまして、平成四十年度あたりから始まる更新事業の本格化に備えまして工業用水道事業の経営が行き詰まる前に産業や地域振興、あるいは国土保全、あるいは環境保全、こうした政策的観点から工業用水道事業との連携協力のあり方につきまして関係する部局と協力して検討していきたいというふうに考えております。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 櫻町宏毅君。
       (三十四番 櫻町宏毅君登壇)
○三十四番(櫻町宏毅君) 再々質問いたしますが、黒田局長からはそのような言葉しか出ないと思うんですね。私は企業局の取り組みをこれからもっと頑張ってくださいともちろん言うんですけれども、県も企業局に全部お任せではなくて、だって出ていってしまったらせっかく管を引いたってそこはただ新品の管が地下に眠っているだけなんですよ。だから企業がそこを出ていってしまうことが県にとってすごいマイナスになるということをもっと御認識いただきたいんですけれども、となったときに直接企業会計に一般会計からお金入れてくださいなんてそんな無理は言いません。ですけれども例えば料金が上がりますよといったときに違った手段で別会計――どこから出るかわかりませんけれども――違った形でも何らかのサポートをするというような意思表示は必要じゃないかと思うんですね。
 これは、答弁者は企業局長を求めずに経済産業部長事務代理者に求めたいと思いますが、ぜひ今後県全体として水を使っている企業に対してどうサポートしていくのか、この点について答弁を求めたいと思います。
○副議長(山田 誠君) 天野経済産業部長事務代理者。
○経済産業部長事務代理者(天野朗彦君) 議員御指摘のとおり、工業用水道は昔から産業の血液とも言われておりまして、経済産業部といたしましてもこれまで我が国の経済成長と本県産業の発展を支えてきた極めて重要なインフラであると認識しております。
 このような認識のもと、経済産業部といたしましては生産に工業用水を使用する、いわゆる用水型企業の誘致を企業局や市町などと連携しながら積極的に進めていくことがまずは重要な課題であると考えております。そうした取り組みが地域経済の発展に資するだけではなくて工業用水ユーザー企業の増加につながり、その負担の減少にも寄与するものと考えております。
 このため、具体的には工業用水の管路の位置を示した図面に近接する工業用地などを落とし込んだ図面を使いまして、用水型企業の誘致活動に活用するなどの取り組みをこれまで以上に企業局や市町などと連携して行ってまいりたいと考えております。そしてその上で、産業を守り育てていくためのさらなる課題解決に向けた取り組みにつきましては今後とも企業局など関係部局、市町などと密接に連携協力し英知を絞って全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) これで櫻町宏毅君の質問は終わりました。(拍手)
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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