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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成14年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/30/2002

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:



    ○副議長 (西原茂樹君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 四番 前林孝一良さん。
            (四番 前林孝一良君登壇 拍手)
    ○四番 (前林孝一良君)  私は公明党県議団を代表いたしまして、 知事並びに関係部長、 教育長、 警察本部長に対し、 当面する県政の課題について伺います。
     まず、 知事の時代認識についてであります。
     九月十七日、 小泉首相は、 現職の総理大臣として初めて朝鮮民主主義人民共和国――北朝鮮を訪問いたしました。 拉致問題の進展なしに国交正常化交渉には入れないとの首相の毅然とした態度に、 北朝鮮側も従前の姿勢を変え、 首相と金正日総書記との歴史的な会談が実現いたしました。 その日の夕方に、 拉致事件被害者のうち八人が既に亡くなっていたとの新たな情報が飛び込み、 全国民が大きな衝撃を受けました。 拉致問題は断じて許すことのできない行為であります。 生存者の早期帰国、 事実関係の解明、 責任問題の追及など取り組まなければならない課題はたくさんありますが、 この拉致問題が国交がないという異常な事態の中で発生したということを考慮すれば、 一日も早い日朝の関係回復こそが問題解決につながるものと考えます。
     日本と北朝鮮との間に横たわっている懸案問題、 すなわち拉致問題、 過去の清算、 安全保障の問題などを解決すべく、 国交正常化交渉の再開に双方のトップが合意したことは、 歴史の新しい一ページを開いたものと高く評価するものであります。
     さて、 昨日――九月二十九日は、 昭和四十七年、 田中角栄首相と周恩来首相が日中共同声明に調印、 国交の正常化が成ってから三十年という記念すべき日でありました。 当時私は大学入学を目指して東京で孤軍奮闘の日々を送るという身分でありましたが、 日中の新しい時代の到来を心から喜び、 両国の友好が深まることを期待しました。 国交正常化が成った直後、 周恩来首相は次のように述べております。 「日中国交回復の共同声明は、 経済基盤を異にした二国の総理の紙の上の約束にすぎない。 日本の人民と中国の人民が心から理解し合い、 最後には深い信頼関係になるとき、 初めて子々孫々に至るまでの温かい友好の関係が結ばれる。 これには長い年月がかかる」 と。
     あれから三十年が過ぎました。 多くの日本人が中国を訪問し、 中国からも留学生を初めとしてたくさんの方々が日本を訪れるようになりました。 私が初めて中国を訪問したのは平成八年のことです。 近代史の勉強のために、 東北部、 旧満州国が置かれた地域を訪れました。 戦後五十年以上たっても戦争の爪跡はところどころに残されており、 国交が正常化したからといって過去の清算がなされたわけではないことを身をもって体験することになりました。
     先日、 八月から九月にかけて日中両国で同時実施された世論調査の集計結果が発表されました。 日本に親しみを感じないと答えた中国人は六七%、 はっきりと日本が嫌いと答えた中国人は四二%にも上っていました。 日本人の回答がそれぞれ四三%、 一二%でしたから、 双方の感覚には大きなずれがあることを数字が示しております。 日曜日恒例のNHKのど自慢が北京で実施されるなど、 日中友好三十周年記念行事が次々と開催され、 友好ムードが最高に盛り上がってる中、 これに水を差すような内容にショックを覚えました。 私たちが思っているほど一般の中国人は日本人を受け入れていないのが実情のようです。 中国の受けた傷はそれだけ大きかったと言わざるを得ません。
     我が国が過去において迷惑をかけた中国、 その他アジアの国々と本当に友好を深めようとするならば、 歴史の教訓は決して忘れないとの約束を守り、 信頼していただくしかありません。 そのためにも、 新しい世代――二十一世紀を担う若い世代の交流を積極的に進める必要があると考えるものであります。
     本県は、 昭和五十七年四月、 中国浙江省と友好提携協定書を締結して以来、 二十年にわたって友好を温めてまいりました。 この友好二十周年を記念して、 次の時代を担う青少年の交流計画を立てることを提案するものであります。 一年に本県から千人派遣し、 浙江省から千人を迎えれば、 五年間で一万人の交流ができることになります。 対話とスキンシップこそが新しい時代を築くものと確信する次第でありますが、 いかがでありましょうか。
     さて、 十月下旬には、 浙江省人民政府主催の記念式典を初めとする各種行事が杭州市で開催され、 知事以下、 県議会や各界の代表者が訪問することになっております。 開会日に知事からも報告がありましたように、 この行事への参加希望者を募ったところ八百人以上の応募があり、 急遽チャーター便を追加し計二便とするよう手配したとのことです。 二十周年という間に築かれた友好交流の歴史の成果が、 このような数字となってあらわれたものと喜ぶ次第であります。
     さて、 日中友好三十周年、 浙江省友好二十周年という節目の年に当たり、 知事はこの交流の将来にどのような展望を持っておられるのか、 平成十八年の静岡空港開港という新たな展開も踏まえて見解を伺います。
     次に、 県財務事務所の不正経理事件について質問いたします。
     本年五月、 県の公金をプールし私的に着服したとして、 元県静岡財務事務所長らが逮捕されたことを受け、 知事は教育委員会、 警察本部を除く本庁、 出先機関の全部について、 平成九年度から平成十三年度までの五年間を対象に特別監査を命じました。 先日その結果が発表されましたが、 新たに下田財務事務所、 熱海財務事務所にもプール金が存在していたことが判明し、 県民を唖然とさせました。 平成八年、 全国で公金の不正使用が発覚し、 本県でも食糧費の一部をプールするなどの預け金問題が明るみに出て、 県民から厳しい批判を浴びました。
     県に対する県民の不信感を払拭するために十分反省がなされたと私たちは信じておりましたが、 このたびまた静岡、 下田、 熱海の三財務事務所でこのような不祥事が発覚したことは、 まことに残念なことであります。 やはりとか、 またかと県民がとらえるならば、 まじめに仕事をしている大多数の県職員にとっては残念なことであり、 県民の信頼を回復するために、 今後県を挙げてでき得る限りの取り組みがなされなければならないと考えるものであります。 県民の大切な血税を不正に扱うことのできないようなシステムを早急に構築すること、 さらに公金の重みを決して忘れることがないよう職員の正しい倫理観を確立させることが必要と考えます。 このような不祥事が今後絶対に起こらないように、 知事はどのような手を講ずるつもりか伺います。
     次に、 地震防災についてお尋ねします。
     最初に、 自主防災組織の活性化という点について伺います。
     先日、 総務委員会の一員として、 長崎県雲仙・普賢岳の噴火災害復興事業の進捗状況を視察させていただきました。 平成二年、 百九十八年ぶりに雲仙・普賢岳が噴火。 翌年発生した大火砕流で警戒に当たっていた消防団員外四十三名が犠牲になられたあの場面は、 全国に映像で報道され全国民に衝撃を与えました。 復興元年とされた平成八年より六年が経過し、 全国からの声援の中、 着々と復興事業が進められてきてはおりますが、 二千五百を超える民家をのみ込んだ現場に立ち、 今にも崩れ落ちてきそうな平成新山を見上げたとき、 自然の脅威、 自然災害の恐ろしさを痛感いたしました。 東海地震の切迫性が高まったと言われる中にあって、 本県としてさらに何をなすべきか、 被害を最小限にとどめるためにどのような手を講ずるべきなのかということを改めて考えさせられました。
     さて私は、 昨年十二月の代表質問で、 地震発災時に住民の命を守る最も重要な組織としての自主防災組織の実態を踏まえ、 その活性化策について質問いたしました。 当局は、 地域防災力の強化と底上げの必要性を認識した上で、 防災士や消防団、 災害ボランティアなど防災の知識と経験を有する人材と自主防災組織とが密接に連携が図れるよう支援していくと答弁されております。
     県は、 昨年度末に県内の自主防災組織の現状と課題を把握するため、 県下約五千組織の調査を実施し、 このほどその調査結果が報告されました。 基本的な防災活動は着実な成果を上げているが、 実際の発災を想定した応用力のある防災活動は実績がなく、 また市町村の取り組み状況等により組織間格差が発生していると総評されておりますが、 私が最も心配したのは、 災害弱者としての要介護者台帳の作成率が一八%、 発災時にその活動が最も期待される地域の人材台帳の作成率がわずかに九%という結果でありました。 その他必要は感じるが取り組みは難しいとの回答も多く、 大規模な避難訓練の実施や幅広い広報活動など、 県当局の積極的な取り組みがある反面、 最も重要な県民生活に密着した自主防災組織は、 このままではいざ発災というときに期待どおりの機能を果たすことができないのではないかと心配せざるを得ません。
     八月に開催される査閲大会を目指して、 早朝より訓練に励む消防団員の姿が見られます。 仕事を持ちながらも、 地域住民の生命と財産を守るために献身的な努力をされている消防団の皆さんには、 本当に頭の下がる思いがいたします。 地域防災のリーダーとしての消防団の皆さんの努力が報いられるためにも、 自主防災組織の活性化策が図られるべきと考えます。 県は、 この実態調査を踏まえ、 自主防災組織活性化のために、 さらにどのような取り組みをなされるのか伺います。
     次に、 防災避難所としての学校のあり方と授業再開についてお尋ねいたします。
     県の第三次被害想定によれば、 東海地震による避難所生活者数は発災一日後で百十九万人、 一週間後でも五十六万人にも上り、 避難所としての学校の役割は重要なものになると考えられます。 しかし、 学校は本来教育施設であり、 また衝撃的な体験をした児童生徒の心のケアを図るためにも、 一日も早く学校としての機能を回復することが必要となります。
     県では阪神・淡路大震災の教訓を得て、 既に学校の地震防災マニュアルを作成し避難所運営のあり方を示しております。 その中には、 阪神・淡路大震災の際、 実際に避難所としての機能を果たしたある学校の授業再開までの取り組みの様子を示しておりますが、 この小学校では地震発生の一月十七日から授業が再開されるまで実に四十四日間を要しており、 地震を契機に引き起こされたパニックの中で、 学校現場が正常な状態に戻るまでいかに時間を必要とするかがわかります。 地震発災時、 学校は避難所として、 だれによってどのように運営されることになるのか、 また、 授業再開についてどのように考えておられるのか教育長に伺います。
     次に、 静岡文化芸術大学について伺います。
     県と浜松市、 地元産業界が協力して運営する公設民営の大学として静岡文化芸術大学が誕生したのは平成十二年四月十三日のことでした。 社会、 地域及び人間がつくり出す文化とその発展や推進について学ぶ文化政策学部、 地域に根差した産業がつくり出す物や情報、 個性を重視し人間の持つ可能性の実現を目指すデザインについて学ぶデザイン学部という二つの珍しい学部の取り合わせを初めとして、 文化と芸術の分野を学ぶことによりグローバルな視野で社会や時代のニーズに的確にこたえられる人材を育成しようとする取り組みそのものを含めて、 ユニークな大学として注目されました。
     それから二年半が経過し、 三学年、 約一千人の大学へと規模を拡大し、 明年四月には四学年すべてがそろう完成年度を迎えることになります。 開学当時、 浜松の北脇市長は、 「地域が必要としている人材の宝庫となってほしい」 と大きな期待を寄せておりました。 また、 研究対象となり得る企業や施設、 市街地が近く恵まれた環境にあります。 このため、 地元産業界は、 大学の研究活動でデザイン等の高度な技術が集積されて、 浜松の物づくりと技術が融合できることを期待しております。
     一方、 静岡文化芸術大学でも、 地域社会とのかかわりの中で人材を育成していくという教育を行っているようですが、 人づくりの拠点として人材育成がどのように進んでいるのか、 まずその進捗状況をお伺いいたします。
     また、 静岡文化芸術大学は、 地域に開かれた都市型大学としての機能も期待されていました。 大学でも地域文化の振興を担う拠点として、 地域社会に貢献する開かれた大学を目指すという理念のもと、 大学における教育研究成果を地域社会へ還元しているとともに、 図書館、 情報センター、 講堂など多くの大学施設を市民に開放していると聞いております。 また、 多くの市民の皆さんが利用しやすいように、 各所にユニバーサルデザインが取り入れられたことも本学の特徴であります。 開学三年目を迎えて、 地域との連携はスムーズに進んでいるのか、 また、 期待の高かった市街地活性化への貢献はどうなのか伺います。
     一方、 全国的には、 今春の新入生の数が定員割れした四年制の私立大学が百四十三校、 全体の二八・三%に上った、 そんな調査結果が先日発表されております。 少子化の時代の中、 平成二十一年度には進学希望者数と大学の受け入れ学生数とが同じとなる全入時代が訪れるとされ、 大学の生存競争も当然厳しくなってくることが予想されます。 魅力のある大学に学生が集まってくることは当然のことであり、 大学自身の努力いかんで生き残りを図ることは十分に可能であります。 静岡文化芸術大学では、 県内出身の学生の比率が八〇%を超えていると聞いております。 少子化の波が押し寄せてくる中で、 県内のみならず広く全国から有為な人材を集めることも必要と考えますが、 この点について見解を伺います。
     次に、 海岸防災林の保全について伺います。
     本年四月三十日、 静岡市広野に事業費十二億六千万円をかけた海岸公園が完成し、 静岡市民にとっての憩いの場がまた一つ誕生いたしました。 この海岸公園のオープンを機に、 地元の有志の方々が清掃ボランティアグループを結成、 六月から第四日曜日を清掃の日と定め市民の公園を守る活動を開始いたしました。 私も第一回目の清掃から参加させていただいておりますが、 三十名ほどのメンバーとともにごみや空き缶、 ペットボトル、 吸い殻などを拾いながら、 環境を守ることの大切さ、 難しさを実感させられております。
     今月二十二日にも午前八時から清掃作業を行いました。 夏が終わり花火の燃えかす等はなくなりましたけれども、 依然としてたばこの吸い殻は多く、 私一人だけでも百本以上を拾っております。 私たちの活動を見て、 若いカップルがごみを拾い始めてくれたことが、 今回の作業の明るい話題となりました。
     さて、 駿河湾を経てはるか遠くに浮かぶ伊豆半島に向けた目を反対側に転じたとき、 目に映るのはまばらになってしまった松林と、 そのところどころに見受けられる茶色に変色した、 まさに枯れようとしている松の数々であります。 公園の重要な景観要素としての松林の現状を見るに、 その保全と健全な育成を図ることはできないものかと心を痛めました。
     本県には、 およそ五百キロメートルにも及ぶ変化に富んだ美しい海岸線があり、 その多くの海岸にクロマツの林を見ることができます。 葛飾北斎の 「富嶽三十六景」 を初め世界に誇る富士山を題材にした絵画や写真には多くの場合、 松林が表現され、 国民にも身近な風景となっております。 こうした松林の多くは、 四百年以上も前から海からの塩や風、 砂の害、 さらには津波や高波から生活を守るために沼津の千本松原や遠州灘の松林のように、 先人たちが長期間にわたってそだを砂丘に立てて砂を固定し、 クロマツを植え枯れてはまた植える作業を営々と続け、 築き上げ、 そして何世代にもわたって守られてきたものであります。
     ところが、 最近身近な松林が減り、 ふるさとの風景が失われつつあるような気がして残念でなりません。 この松林の減少の原因としては、 日々の暮らしに必要な燃料として松葉や枯れ枝が採取され結果的に松林が管理されていた時代から、 電気やガスを利用する生活へと変化し、 松林との関係が薄れ管理が十分になされなくなったことや、 明治のころ北アメリカから持ち込まれ抵抗性のない国内の松に広まっていったと言われている、 いわゆる松くい虫による被害などが挙げられております。 このうち松くい虫被害につきましては、 県や市町村が防除作業を行ってきたことは承知しておりますが、 また、 地域住民の運動として貴重な松林を守ろうとする動きもあるように聞いております。
     こうした中で、 最近この広野海岸の松林では、 県と企業とが協力して、 松自身の活力増進による病害虫予防方法の試みが行われたと聞いております。 昭和五十二年に、 松くい虫防除特別措置法が時限立法として制定されて以来、 国を挙げて薬剤散布や伐倒駆除などに膨大な経費を投入して被害防止に取り組んでまいりました。 その結果、 本県では昭和五十六年の被害量約十三万立方メートルをピークとして、 昨年はその約一割にまで減少するに至ったと聞いておりますが、 それにもかかわらず松枯れに完全な歯どめがかからないのは非常に残念なことであります。 このような状況の中で、 県は広野海岸で実施されたこの新しい取り組みについてどのように評価されているのか、 また、 海岸防災林の保全についてどのように考えておられるのかあわせて伺います。
     次に、 後発医薬品の使用促進について伺います。
     本格的な少子・高齢社会を迎える中で、 医療費の問題は深刻になってきました。 国の医療制度改革に関しても、 事が身近な問題だけにさまざまな論議を呼んでおります。 こうした中、 後発医薬品、 すなわち新薬の特許期間が満了し、 有効性と安全性が確かめられた後に発売される医薬品に注目が集まっております。 本日の全国紙にも、 ある製薬会社の全面広告が掲載されておりました。 効き目が同じでありながら価格は約半分というこの後発医薬品は、 欧米の主要国においては約五〇%のシェアを占めているものの、 九九年度の調査によれば我が国ではまだ一〇%程度しか利用されておりません。
     昨年十一月の参議院予算委員会で、 我が党の草川昭三議員はこの後発医薬品の普及が進まない現状を指摘し、 使用促進のためのガイドラインの作成を提案、 その後も継続してこの問題を取り上げております。 我が国の総医療費約三十一兆円のうち薬剤費は約六兆円を占めておりますが、 もし欧米並みに後発医薬品を使用すれば、 約一兆円の薬剤費が節減できるとの試算もあるそうです。 草川議員は、 さらに本年七月の委員会で再びこの問題を取り上げ、 脳血栓障害や血流障害の治療に使用されている塩酸チクロピジンなど四種類の新薬の年間使用量と薬価を具体例として例示し、 これを後発医薬品に切りかえただけでも一年間に六百億円を超える薬剤費、 医療費の削減が可能になるとも指摘いたしました。
     全国の国立病院などでの後発医薬品の使用状況が著しく少ない状況を同議員が指摘したことがきっかけとなって、 ことし五月現在の採用比率は、 それまでの〇・七%から四・二%まで伸びたことが厚生労働省より発表されております。
     医療水準の向上のために新薬の開発ももちろん重要と考えます。 しかし、 新薬の開発には莫大な費用がかかり、 その負担は当然薬品を使用する患者に課せられます。 後発医薬品の使用が進み薬剤費の節減が促されれば、 患者にとって大きな負担軽減となります。 国に倣い県立四病院でも率先して後発医薬品の使用を図るべきであると考えますが、 その使用促進について当局の見解を伺います。
     次に、 都市エリア産学官連携促進事業についてお尋ねいたします。
     九月十一日の朝刊に 「世界の寿命は静岡県が延ばします」 との全面広告が掲載され、 注目を集めました。 ちょうど一カ月前にオープンした静岡がんセンターを核として、 県東部に先端健康産業を集積、 健康の一大拠点を建設しようという富士山麓ファルマバレー構想に期待してください、 とのこのコマーシャルには、 県当局の力強いパワーを感じました。 地域産業の活性化策として、 県東部ではファルマバレー構想、 そして県西部では光技術を主体とした知的クラスター創成事業が立ち上げられました。 一方、 中部地域は、 県立大学、 静岡大学、 東海大学などの大学や数々の公的研究機関、 また多種多様の地域産業が集積しており、 交通の便のよさと合わせれば産業発展の余地は十分にあると確信していただけに、 中部地域のみが取り残されたような気がして非常に残念に思っておりました。
     古い話ではありますが、 本県中部地域における食品産業の中心となっている缶詰製造業の集積は、 大正時代に県の試験研究機関で開発されたマグロ油漬けの成功が大いに貢献したと聞いております。 開発した当初、 試作品の評判はよかったのですが、 いわゆるツナ缶詰に使用するトンボマグロは夏場しかとれないことから事業化が困難でした。 しかし、 昭和初期に清水市の企業家が、 冬場のミカンを缶詰にすることと結合させることで採算面の課題を克服し、 以後、 欧米への輸出の花形商品になり、 現在の缶詰王国の礎を築いたということであります。
     このように、 地域の大学や公設試験研究機関と地域産業が共同して将来の地域基幹産業の芽となるような新技術、 新製品を開発していくことが常に求められております。
     このような折、 文部科学省が本年度に創設した都市エリア産学官連携促進事業の実施地域に静岡市、 清水市、 焼津市を含む静岡中部地域が内定し、 ライフサイエンスにかかわる領域において今後三年間にわたり産・学・官が連携して研究開発が行われるとお聞きいたしました。 中部に住む一員として心よりこの決定を喜ぶとともに、 大学や公設試験研究機関等における先端技術の研究と既存産業が持つ知恵とが融合され、 すばらしい成果が生まれることを期待するものであります。
     中部地域の産業の特色を考慮した上で、 今回の都市エリア産学官連携促進事業では、 具体的にどのような取り組みがなされるのか、 また、 地域の活性化策としてどのような点が期待できるのか、 当局の見解をお聞かせください。
     次に、 駿河湾深層水を利用した新戦略についてお尋ねいたします。
     昨年九月、 駿河湾深層水取水供給施設が完成し、 駿河湾深層水の周知と民間の商品開発を促進するため無料の試験給水が開始されました。 来月末で無料給水は完了し有料の通常給水に移行しますが、 七月三十日段階で開発された商品のうち、 試験販売を承認されたものは百十七件に上るということであります。 内訳は、 水産加工品が最も多く三五%を占めておりますが、 菓子類、 豆腐、 調味液などの品目も多く、 深層水効果の幅の広さがうかがえます。
     焼津市のある和菓子屋さんでは、 昨年の全国豊かな海づくり大会の行われた当日に、 深層水を利用した塩ようかんの試験販売を開始したところ、 またたく間に当店のヒット商品となったとのうれしい報告もありました。 民間での商品開発と並行して、 県の試験研究機関でもさまざまな取り組みがなされております。 農業試験場、 茶業試験場及び柑橘試験場では、 深層水が植物の生育に与える影響を、 また畜産試験場や中小家畜試験場では、 動物の発育及び畜産加工品の品質向上に与える影響を研究しているとのことであります。
     この七月には、 水産試験場に隣接して附属施設としての深層水水産利用施設の建設が始まりました。 この施設では、 深層水の持つ高栄養性や低温安定性などの特性を利用し、 水産生物の種苗生産等における利用技術開発を行うことになっております。 いよいよ深層水のなぞを解明するための研究が本格的にスタートするわけであります。 深層水の効用が解明され、 県のお墨つきを得た駿河湾深層水ブランドが確立すれば、 企業もこぞって商品開発に乗り出し、 結果として本県産業の活性化につながることは間違いありません。 駿河湾深層水という魅力あるテーマを徹底的に研究し、 深層水研究で世界をリードしようというくらいの決意を持って取り組むべきであると考えるものでありますが、 県のお考えを伺います。
     次に、 少子・高齢社会に対応した道路づくりについてお聞きいたします。
     先日、 次のような新聞記事を読みました。 歩道、 車道の区別のない道路で歩行者の安全を図るために、 両側に一・五メートルの路側帯を設置しセンターラインを消したところ、 道路を走行する自動車の平均速度は五キロメートルダウンし、 交通事故減少の効果が見られたという内容でした。 生活道路における歩行者や自転車利用者の安全を図るための愛知県と愛知県警のこの取り組みは、 愛知方式と呼ばれるそうですが、 事故防止のための思い切った発想の転換が思わぬ効果を上げたという例として注目されているとのことでした。
     本県における交通事故死亡者数を見ると、 平成四年には四百二人であったものが、 平成十三年には三百七人と九十五人減少しております。 ワーストテン脱出を果たし汚名を返上できたのも、 県当局、 県警を挙げて交通事故撲滅に取り組んだ成果であると関係各位の御尽力に感謝申し上げる次第であります。 しかし、 死者は減少したものの、 事故そのものの発生件数と負傷者数は増加の一途をたどっており、 特に高齢者の被害が依然として多いことは残念であると同時に、 今後のことが心配でなりません。
     国土交通省では、 安全で快適な 「みち」 を再生することや、 歩行者と自転車、 緑の空間を自動車と分離するモジュール型道路構造への転換に力を入れつつあるとの報道がありました。 沿道や地域の状況に応じて、 自動車交通量とは関係なく、 幅の広い歩道をモジュールとして付加すれば、 快適な歩行空間が確保できることになります。 二十世紀後半は、 車の走りやすさを追求した車中心の時代でありました。 ゆえに、 道路整備事業といえば、 道路を改良したりバイパスを延長したりということに重点を置き、 歩行者のための道路をつくるという点は後回しにせざるを得なかったのではないかと推測するものであります。
     二十一世紀に入り少子・高齢化がさらに進むことが予想される現在、 特に市街地においては、 歩行者等の安全に配慮した車の走りにくい道路が整備されることも必要であろうと考えるものであります。 これからはスローライフの時代とも言われます。 高齢者や身体に障害のある方を含むすべての人が安心して、 さらには安全に楽しく目的地に行くことができる、 そんな道路が必要と考えます。 少子・高齢化に対応した道路づくりについて、 県当局のお考えを伺います。
     次に、 県営住宅のリモデル化の推進についてお伺いします。
     県は、 少子・高齢化の急速な進展を踏まえ、 多様化した県民のニーズに合わせた安全で快適な住宅及び住環境を整備するため、 老朽狭小化した既存団地の改善に努力されております。
     私は、 昨年二月定例議会の一般質問において、 ユニバーサルデザインに基づき建設された県内初の県営住宅として平和団地を紹介し、 新しいタイプの県営住宅の建設計画について質問をいたしました。 老朽化した団地の建てかえを進める一方で、 リモデル化、 すなわち全面的改善に取りかかっている団地もあるとお聞きし、 先日、 この事業が進められている静岡市の安倍口団地を訪れました。 昭和四十年代に平均的な勤労者世帯向けに建設された専用面積三十七・三平方メートルの狭い3DK五十戸の住宅が、 単身者用二十六・二平方メートルの1DKから、 壁を抜いて四十八・三平方メートルに広げた3DKの家族向け住宅までの幅を持った集合住宅に生まれ変わっておりました。 また、 エレベーターが設置され、 住居内は床の段差を解消、 手すりや緊急警報ブザーが設置されるなど、 高齢者や障害を持った方への配慮が十分に取り入れられていました。 さらに阪神・淡路大震災の教訓から、 発災時に閉じ込められることのないように枠の変形に追従する入り口ドアが各戸に取りつけられていた点には、 本県ならではの配慮を感じました。
     リモデル化に要する費用は、 建てかえの六割で済むということであります。 使用に耐えるものは活用し、 時代に合わせたできる限りの修繕を施すというこの事業は、 昨今の財政事情を考えますと広く県民の理解を得られるものと考えます。 建てかえよりもむしろリモデル化の推進を図るべきであると考えますが、 当局のお考えを伺います。
     次に、 ティーチング・アシスタント制度について、 教育長に伺います。
     東京都では、 本年九月よりティーチング・アシスタント事業が実施されております。 これは児童生徒の学力向上を図ることを目的として、 指定地域の公立小中学校に将来教員を目指す大学生、 院生を配置するという内容の事業であると紹介されていましたが、 学校にとってメリットがあると同時に、 学生たちにとっても大切な取り組みではないかと注目いたしました。 教員の免許状を取得するためには、 学校で教育実習を受けなければなりません。 私自身、 高等学校の社会科教諭の免許状を得るために、 静岡市内の中学校で二週間の実習を受けました。 しかし、 中間テストや遠足など学校行事の関係で、 実際に教壇に立ったのはわずか数時間でありました。 十分に経験を積んだとは言えない状態で免許状をいただきました。
     近年、 教員採用試験は非情と呼んでもいいほど難関となりました。 これを突破して採用される方は優秀な人材であることは間違いありません。 ただ、 一人前の教師は教育現場の中で育てられると言われるように、 現場での経験は何にも増して重要と考えます。
     先日、 ある小学校の校長先生は、 懇談の折に一人前の教師になるには十年かかると述べておりました。 教育者の卵の段階で実践訓練を受ける場が与えられるということは、 教師を目指す学生にとっては願ってもないことであります。 不適格という烙印を押される教師が生まれないためにも、 大切な機会であると考えます。
     一方、 児童生徒の多様化により、 学校で教師の指導力が問われていることも事実であります。 授業をサポートするアシスタントを得ることにより、 教師の指導能力が十二分に発揮されるようになることは、 昨年より実施された小学校一年生の多人数学級支援事業の成果を見ても明らかです。 文部科学省でも児童生徒の学力向上策の応援団として、 教育学部の学生にスポットライトを当てているという報道が先日ありました。
     私は、 将来的には地域の応援を積極的に受け入れる体制がしかれるべきであると考えております。 教員免許状を持ち、 教員採用試験に合格した者だけが教壇に立つ時代はもう過去のものです。 児童生徒にとっては、 長い人生の中でさまざまな経験を積んだ人々はすべて人生の先生に当たります。 地域の人たちとともに育つ、 そんな教育環境を築くためにも一日も早く学校開放が実現することを期待いたします。
     ともあれ、 開かれた学校への第一歩として、 教師を目指す大学生に白羽の矢を当てたこの制度はいかがでしょうか。 現場の教師も助かり、 子供たちも喜び保護者も納得し、 学生にとってもよい機会となり、 何よりも日当を払う必要がないというこのティーチング・アシスタント制度について、 教育長はどのようにお考えか見解を伺います。
     次に、 悪質な交通違反の撲滅について、 警察本部長に伺います。
     本年六月、 飲酒運転などの悪質な行為、 また、 危険運転に対する罰則の強化を盛り込んだ道路交通法の改正が行われました。 この改正のポイントは、 ひき逃げの最高刑を懲役三年から五年に引き上げるなど、 悪質、 危険運転による刑罰が非常に大幅に重くなったことにあります。 また、 酒気帯び運転の摘発基準が〇・二五ミリグラムから〇・一五ミリグラムに引き下げられ、 軽い気持ちの一杯にも高額の罰金と免許停止処分という厳しいおきゅうがすえられることになりました。 この改正の背景には、 悪質な運転によりかけがえのない家族を亡くされた遺族の声があったと聞いております。 加害者に対する量刑が余りにも軽い。 そして、 量刑が軽いためにまた同じような行為を繰り返すという悪循環が多くの犠牲者を生んでいるという現状を正そうと、 量刑の厳罰化を求める署名運動を開始し、 全国から約二十六万人分が集まり法務省に提出。 そんな遺族の願いが通じて今回の法改正となったのであります。
     昨年県内では、 ひき逃げ交通事故が百六十四件発生しております。 県警の皆さんの御努力によって、 九割近い百四十三件の犯人が検挙されたとのことですが、 逃走の動機のほぼ半数の七十二件が飲酒や無免許運転だったそうであります。 飲酒や無免許運転等の悪質な違反が原因によって発生する交通事故は、 被害者や遺族にとってみれば、 加害者の過失などではなく起こるべくして起こった犯罪と呼ぶべきでありましょう。
     八月に袋井市で乗用車とオートバイが出会い頭に衝突し、 二人が大けがをするという事故が発生しました。 この事故は乗用車のドライバーの飲酒が原因であり、 このドライバーは飲酒することはわかっていながら罪の意識もなくハンドルを握り、 結果として事故を招いたとのことでありました。 飲酒運転時の死亡事故の発生率は、 飲酒をしていないときのおよそ十九倍に上るという報告もあります。 軽い気持ちでの飲酒運転が重大な事故を呼び、 また、 ひき逃げというさらに悪質な犯罪行為を生むという連鎖は断ち切る必要があると考えます。 道路交通法の改正に伴う悪質違反の取り締まりの現状と今後の取り組みについて、 警察本部長の所見を伺います。
     最後に、 浜岡原子力発電所における事故の件について一言申し添えます。
     浜岡原子力発電所三号機などで配管に数カ所のひび割れの兆候が認められながら国への報告がなく、 調査のため九月二十日に運転中の三号機を停止いたしました。 また、 定期点検中の四号機のシュラウドには多数のひび割れが発見されました。 昨年来、 浜岡原子力発電所でトラブルが続く中でまたこのような事態に至ったことは、 原子力発電所の安全性に対する県民の信頼性を揺るがしかねないことであります。 県においては、 厳しい態度をもって国や中部電力に対し徹底した調査と安全確保を求められるよう強く要請いたします。
     以上でひとまず私の質問を終わります。 (拍手)
    ○副議長 (西原茂樹君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  前林議員にお答えをいたします。
     初めに、 私の時代認識についてであります。
     中国浙江省との交流についてでありますけれども、 二十年間の交流の積み重ねは、 国家間における困難な場面におきましても、 地方レベルの友好交流として日中両国間の相互理解と安定に寄与し、 日中友好に大きく貢献したと考えております。
     こうしたことから、 今日では両県省間には経済、 文化、 スポーツなど広範な分野にわたる交流を通じ多様、 多彩な人と人とのつながりが生まれ、 厚い信頼関係が築かれてきておると考えます。 今後もこうした良好な関係をより一層発展させるとともに、 次の時代を担う若い世代に引き継がれていくためには、 前林議員からの御提案がございました青少年の交流もさらに促進していきたいと考えております。
     また、 ビジネスの面におきましても、 浙江省経済の発展に伴い本県との相互補完関係がより進展するとともに、 観光や文化面などにおいても、 民間交流の拡大により多くの人々が両県省を行き来することが予測されますので、 静岡空港の開港は両県省の交流の拡大にとりましても大きな役割を果たすものと期待をしているところであります。
     次に、 県財務事務所不正経理事件についてであります。
     九月十二日に監査委員から報告をいただきました特別監査の結果については、 まことに遺憾なことであり、 改めて県民の皆様に深くおわびを申し上げます。 平成八年度に預け金問題が発生して以来、 食糧費等の支出についての情報公開、 支出基準の明確化等、 仕組みを改善し、 同時に職員の意識喚起、 啓発を行ってまいりました。 今回、 監査委員からの御意見を踏まえて、 会計事務是正・改善検討委員会を設置をして、 資金前渡による会計処理の厳格化や領収書等の様式改善など会計システムの見直しに着手したところであります。 また、 会計事務職員や出納員の職にある幹部職員の資質向上や公務員倫理の確立に向けた研修も、 従来にも増して強化していくことなどを検討しております。 いずれにいたしましても、 二度とこのような不祥事が発生しないよう仕組みの面、 また心構えの面、 両面から努めてまいります。
     次に、 静岡文化芸術大学についてであります。
     まず、 人材育成の進捗状況でありますが、 一期生である三年生を例にとりますと、 約八割の学生が卒業に必要な百二十四単位のうち百単位以上を既に取得するなど、 意欲的に学ぶ姿勢が見られます。 また、 実践力を身につけさせる教育の成果として、 地元企業の製品のデザインコンペに入賞する学生が育つなど、 大学が目指す人材育成が順調に進んでいると感じております。
     次に、 大学と地域との連携等でございますが、 社会人聴講生の受け入れ、 公開講座の開催、 市民への物づくりの場の開放、 地域ボランティア活動への学生の参加など、 中心市街地に立地する本学と地域とのさまざまな連携が進んでおり、 市街地活性化にも貢献しているものと思います。
     さらに、 全国からの有為な人材の確保についてでありますが、 基本的には大学の魅力を一層高めることが大切であります。 このため、 文化政策とデザインの融合という専門領域、 少人数対話型の授業、 フィールドワークの活用等の本学の特色の積極的な情報発信、 本人の希望や能力を生かした就職ができるようにする就職相談や、 就職先開拓のための体制の充実など、 魅力ある大学づくりを支援してまいりたいと考えております。
     私も、 この大学の法人の理事長という立場にもございます。 目下一番力を注いでおりますのは、 まずは結果で評価されるのは、 どれだけ就職が、 学生が評価するような期待するような分野に実現をしたかということが、 まずは問われるということを伺っておりますので、 開学以来、 この面についての入念な準備と、 それから既にもう三年生がおりますので、 彼らの就職活動の支援に万全を今期して、 全力を挙げて取り組んでいるところでございます。 そういう成果が上がりますれば、 また一段と弾みがついてくると思いますが、 勝負はこれからでありますので大いに努力をしていきたいと考えております。
     次に、 都市エリア産学官連携促進事業についてであります。
     近年、 食品などの持つ健康に対する効果が注目されている中で、 県中部地域では県立大学薬学部や食品栄養科学部、 静岡大学などとの産学連携の素地を生かして、 お茶、 ミカン、 ワサビ、 水産物などに加え、 陸上からでは国内で最も深いところから取水している駿河湾深層水などの機能性成分に着目した、 新たな製品を開発する試みも数多く見られるところであります。 本事業では、 こうした食品などの持つ機能性成分と心や体のストレスとの関係を解明し、 ストレス軽減効果のある成分の抽出や新しい機能性食品の開発などを目指しております。
     具体的には、 世界的に注目されながらいまだ体系的な研究が余り進められていない、 心や体の変調などに伴い体内で生成される酵素などのバイオマーカーに着目し、 ストレスの簡便正確な評価システムを開発するとともに、 ストレスを効果的に軽減する医薬品や機能性食品の摂取法などの研究、 実証を計画しております。
     また、 研究を進めるに当たっては、 科学技術コーディネーターを配置して産学官の連携をより密接なものとし、 研究成果の企業への技術移転を効果的に進め、 食品、 化粧品、 医薬品などの健康関連産業の発展により、 県中部地域が活性化するよう努めてまいる考えであります。 既に異業種交流といいますか、 産・学・官の連携の成果が出ておるような企業もこの地域には出てまいっております。
     昨日、 ベルリンのマラソン大会で高橋尚子選手が見事な優勝を遂げました。 そのテレビを見ておりましたら、 ある飲料メーカーが高橋尚子さんが愛飲している、 ヴァームという商品の宣伝をしておりました。 実はあれを供給しているのは、 この地域のもともとは缶詰会社と、 それからその素材をつくっているこの地域の化学食品会社ですね――魚からいろいろな成分を抽出する会社、 この機能が合体をして研究機関と一緒になってある製品を開発し、 これがそういう商品名で売られているということもございますし、 また、 静岡市内には、 我々が苦い薬を飲むときに欠かせないオブラートで言えば、 もう日本最高のシェアを持つ、 ある分野で非常に注目をされている会社などもあります。
     そういう意味で、 食品、 医薬品等に今後いろいろ新しい商品を開発し得る機能がたくさん存在しておりますので、 この都市エリア産学官連携促進事業に期待しているところでございます。
     次に、 駿河湾深層水を利用した新戦略についてであります。
     駿河湾深層水は、 取水施設としては世界で初めて、 水深三百九十七メートルと六百八十七メートルの性質の異なる二層からの取水を行っております。
     最近、 私は立て続けといいますか、 たまたまこの深層水を既に取水をしてさまざまな製品を生み出して宣伝をして有名になっております富山県、 高知県両方訪れましたけども、 本県のこの深層水の取水位置は、 両県と比べるともう飛躍的に深いところから取ってるわけです。 深いばかりが能じゃないということになりましょうが、 この深層水について静岡大学の鈴木教授などの研究成果によりますと、 三百九十七メートルの深層水はこういう深層水になるまでに七百年以上経過をしているんじゃないかと、 それから六百八十七メートルの深層水は千年以上前に生成されたのではないかということを分析の結果発表しております。 このような、 この本県で取水している深層水は、 他県の深層水に見られない、 古いという特徴を持っておりまして、 これは成分の安定ということにもつながるようでありまして、 大変そういう意味でも注目をされております。
     具体的な利用の方法でありますけれども、 まず県としては、 ことし七月に整備に着手しました深層水水産利用施設で、 いそ焼け対策としての大型藻類の培養研究とか、 タカアシガニなどの深海性魚介類の種苗基礎研究を行いまして、 豊かな海づくりに貢献したいと考えております。 また、 民間企業、 他の試験研究機関とも協働して、 人の健康に対する機能性の解明や有用微生物の探索等に取り組んでいるところであります。
     また、 十一月からの本格給水開始と応用研究の進展に合わせまして、 駿河湾深層水利用製品の差別化が必要になります。 そこで、 県が作成した駿河湾深層水ブランドマークの民間利用を促進してまいりたいと考えております。 今後、 深層水の各分野での研究をさらに進めまして、 新たな本県産業の創造に向け積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (西原茂樹君)  望月総務部長。
            (総務部長 望月圭二君登壇)
    ○総務部長 (望月圭二君)  地震防災対策についてのうち、 地震防災組織の活性化についてお答えいたします。
     自主防災組織活性化検討委員会の提言や実態調査の結果から、 自主防災組織の活性化のためには、 防災に関する知識や経験、 そして何よりも熱意を持ったリーダーが必要であると改めて認識をしております。 そこで県は、 地域防災活動の強化や自主防災組織のネットワーク化を推進することができるリーダーとして、 地域防災指導員の養成に取り組んでおります。 現在、 市町村から選任された三百十七人を対象に、 災害弱者対策の検討や避難所運営訓練などの防災活動を初め、 参加者が地図を囲みながら災害時の身近な対応策をより具体的に考える図上訓練――DIGの指導方法の習得を目的とした研修を実施しております。
     今後、 県は市町村とともに、 地域防災指導員、 自主防災組織の役員と協働し、 従来の地域防災活動の周知徹底やDIGの普及、 自主防災組織のネットワーク化などを確実に推進し、 災害時に十分機能が発揮できる自主防災組織づくりを進めてまいります。
    ○副議長 (西原茂樹君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  地震防災についてのうち、 防災避難所としての学校のあり方と授業再開についてお答えいたします。
     避難所の設置運営につきましては、 静岡県地域防災計画により、 市町村が自主防災組織及び学校等施設の管理者の協力を得て行うこととなっております。 発災からしばらくの期間は、 施設を熟知している教職員の役割が大きくなることが予想されますので、 避難所の開設初期の業務については、 学校が積極的に協力することが重要と考えております。 しかしながら、 学校は教育活動の早期再開に向けて取り組むことが本務でありますことから、 過度に教職員に依存した避難所運営にならないことも大切であります。 このため、 各学校では自主防災組織、 市町村防災担当部局との三者による連絡会議を開催し、 平常時より避難所として開放できる区域と教育再開に向けて確保する区域との区別や、 施設の使用優先順位、 相互の役割分担等について具体的に協議を行っているところであり、 このような取り組みを通じて早期の教育再開に向けた体制の整備が図られるものと考えております。
     次に、 ティーチング・アシスタント制度についてであります。
     本県でも最近一部の小中学校においては、 学校の判断により教科の学習や総合的な学習の時間等において、 教員を志望する大学生をアシスタントとして活用する例が見られているところであります。 このような学校現場における大学生の活用は、 児童生徒一人一人の実態に応じたきめ細かな指導の充実に資するとともに、 教員志望である学生自身に対しては教育実践の場で資質を磨く機会を与えるものであることから、 これからの教員養成において一つの有効な方策となり得るものと理解をしております。
     一方、 授業の内容や時間帯の調整など学校の受け入れ体制のほか、 事故が起きた場合の対応など解決すべき課題もありますので、 各学校の取り組み状況や他県、 国の動向等も踏まえながら、 今後研究してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  花岡環境森林部長。
            (環境森林部長 花岡志郎君登壇)
    ○環境森林部長 (花岡志郎君)  海岸防災林の保全についてお答えいたします。
     昨年十二月に始めた土壌改良によって、 松の活力増進を図る松くい虫予防試験につきましては、 その評価に数年を要するため今後毎年の経過観察を行ってまいりますが、 その予防効果が十分発揮されることを期待しているところであります。 また、 防風、 防潮、 飛砂防備などの重要な役割を果たしている松の海岸防災林を保全していくためには、 松くい虫の防除と健全な林に育てていく適正な管理が重要であると考えております。
     まず、 防除対策といたしましては、 関係市町村と連携し、 これまで被害の減少に成果を上げてきた薬剤散布や被害木処理などを実施するとともに、 松くい虫に強い苗木の植栽も推進してまいります。 次に、 適正な管理につきましては、 地元自治会などによる松林の下刈りや植栽などの保全活動が広がってきておりますので、 地域住民との協働により健全な松林の育成を進めてまいります。 このような防除対策と育成管理を一体的に進め、 県民の生活を守る海岸防災林の保全に積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
    ○副議長 (西原茂樹君)  木本健康福祉部長。
            (健康福祉部長 木本陽三君登壇)
    ○健康福祉部長 (木本陽三君)  後発医薬品の使用促進についてお答えいたします。
     県立病院では、 後発医薬品を含め医薬品の使用に当たっては、 院内の薬事審議会において効果、 副作用、 価格などを総合的に審議し、 六カ月程度実際に試した後に再度効果などを検討した上で決定しております。
     静岡がんセンターを除く県立病院における後発医薬品の使用状況ですが、 平成十三年度は品目数で四・四%程度の使用となっており、 積極的な取り組みを行っている国立病院と同様の状況になっております。 県立病院としましては、 品質再評価の情報が少ないなど病院のみで解決できない課題もありますが、 国立病院での具体的な取り組みなどを参考にしながら促進方策を検討してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  山口土木部長。
            (土木部長 山口 修君登壇)
    ○土木部長 (山口 修君)  少子・高齢社会に対応した道路づくりについてお答えを申し上げます。
     近年、 高齢者など交通弱者の事故が増大する傾向にありますことから、 県では第六次の交通安全施設等整備計画に基づきまして、 事故が多発する交差点など百二十八カ所を対象として集中的な改良工事を実施するとともに、 市街地の駅や学校の周辺など約百三十カ所におきまして、 高齢者等に配慮した歩行空間ネットワークの整備に努めてきたところでございます。 また、 これらの対策に加えまして、 本年度から路側帯の整備や側溝のふたかけ等によりまして歩道や車道の拡幅を行うなど、 既存ストックを生かしまして、 廉価で即効性のある事業にも本格的に取り組む予定でございます。
     さらに、 住民との協働の取り組みとして、 JR静岡駅の北口から追手町までの区間を対象に快適な歩行空間の整備を進めているところでございまして、 今後、 国など関係機関との連携のもと歩道の拡幅や江川町交差点へのエレベーターの設置など、 大きな改善が図られていくものと考えております。 県といたしましては、 今後とも交通安全対策事業の着実な推進を図りますとともに、 改善の効果が十分でない箇所には追加対策を実施するなど、 施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  佐藤都市住宅部長。
            (都市住宅部長 佐藤侃二君登壇)
    ○都市住宅部長 (佐藤侃二君)  県営住宅のリモデル化の推進についてお答えいたします。
     静岡県第八期住宅建設五箇年計画では、 建てかえ事業、 借り上げ事業及びリモデル事業で公営住宅を整備することとしております。 建てかえは昭和三十年代以前に建設された老朽化の著しい建物を対象とし、 借り上げは初期投資が少なく民間活力を活用した事業として実施しております。 リモデル事業につきましては、 耐用年数の長い鉄筋コンクリートの有効活用を図るもので、 比較的小さな投資額で、 工事期間が短く建設廃棄物が少ないなどのメリットがありますので、 有効な整備手法であると考えております。 このため、 リモデルを五箇年計画における県営住宅整備の主要な事業として位置づけ、 全戸数の六割を超える六百戸を整備していくこととしております。
    ○副議長 (西原茂樹君)  水田警察本部長。
            (警察本部長 水田竜二君登壇)
    ○警察本部長 (水田竜二君)  悪質な交通違反の撲滅についてお答えいたします。
     御承知のとおり、 平成十一年十一月、 東京都内の東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが乗用車に衝突、 炎上し、 幼い姉妹が焼死するという痛ましい交通事故が発生いたしました。 これを受け昨年十二月二十五日には危険運転致死傷罪が新設され、 さらに本年六月一日には飲酒運転、 無免許運転やひき逃げ事故等の悪質危険運転者に対する厳罰化が成ったところでございます。
     次に、 ひき逃げ交通事故につきましては、 本年八月末現在百六件と多発傾向を見せ、 うち八十九件を検挙しております。 なお、 無免許運転や飲酒運転の発覚を恐れてのものが半数以上を占めている実態にございます。 先ほど御指摘のように、 飲酒運転事故の死亡事故発生率は飲酒運転以外の全事故の約二十倍近い発生率でありまして、 この取り締まりを重点に本年八月末までに飲酒運転四千五百件余り、 無免許運転千七百件弱、 速度違反五万件弱を検挙し、 これら交通三悪での逮捕者数は三百五十人にも上っております。
     これまでは検挙対象ではなかった呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラム以上、 〇・二五ミリグラム未満の酒気帯び運転は、 法施行後三カ月間で九百件余も検挙しておりますが、 これが飲酒運転全体の約半数を占めております。 また、 運転免許の取り消し処分対象者にあっては飲酒運転によるものが急増傾向にありますことから、 ドライバーに対する規範意識の徹底をさらに進めていく必要を強く感じているところでございます。 以上でございます。
    ○副議長 (西原茂樹君)  四番 前林孝一良さん。
            (四番 前林孝一良君登壇)
    ○四番 (前林孝一良君)  御答弁ありがとうございました。 二点、 再質問をさせていただきます。
     まず、 中国浙江省との交流でございますが、 私から一万人交流の話をさせてもらったんですが、 知事がさらっと流してくれたもんですから非常にさびしい思いをいたしましたけれども、 私の趣旨は、 今後これから青少年が浙江省に出かけていくことは、 この静岡の場合には想定されますけれども、 やはり向こうの方に来ていただいてこの静岡を知っていただく、 そういう観点も必要かと考えます。 そういう意味で、 今後向こうから青少年を受け入れるということに関して知事のお考えを再度お聞かせ願いたいと思います。
     二点目は、 ティーチング・アシスタント制度について教育長のお答えいただきました。 そういう意味では、 地域の教育力を学校に導入するという観点については御理解をいただいたと認識いたしましたけれども、 さらに、 学校は生涯学習の拠点としての機能を期待される部分もあります。 そういう意味で先ほどちょっと触れましたけれども、 学校開放ということについて今後どういう形で進めてくださるのか、 その辺の見解を教育長に伺います。
     以上で私の質問を終わります。
    ○副議長 (西原茂樹君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  中国浙江省との、 特に青少年の交流を万のオーダーで実現すべきではないかと、 そういう御提案を兼ねてのお尋ねでございましたが、 昨年の同時多発テロで延び延びになっておりました青少年のユースウィングは、 一気にそこまでは行っておりませんが、 数百人オーダーの規模になりましたし、 それから今後向こうからの受け入れについても、 いろいろ経費の面をどうするか、 さまざまに詰めなければいけないテーマもあります。 したがって、 一気にこの万の規模まで行けるかどうかには明確な見通しを持ち得ませんけれども、 日中友好交流の上で青少年の交流の果たす役割は息の長い問題として大変重要でありますので、 拡大をする方向で努力はしていきたいと思います。
     とりあえず今、 向こうからの受け入れでは、 教育委員会でやってもらっております 「アジアのかけ橋」 事業で、 浙江省から全体十名の枠の中で一名優先的に割り当てておりますけども、 まあいろいろな交流の仕方があると思いますので、 工夫を凝らしながら拡大の方向へ向けて努力をしてまいりたいと思います。
    ○副議長 (西原茂樹君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  学校開放についてお答えをいたします。
     教育改革の中で開かれた学校、 あるいは学校開放というのは大変大事な考え方であり施策であると思っております。 したがって、 今後とも積極的に推進をしていきたいと思っております。 学校開放を大別すれば、 一つは施設の開放になろうかと思いますが、 これは現在も進めておりますように体育館や教室、 あるいは防災としての避難所指定のもろもろの施設等について、 さらに積極的に開放していきたいと思っております。
     それから、 もう一つは人材の開放であろうかと思いますが、 これについては先ほどの大学生のケースなども含めまして、 地域の人材を学校がお借りすると、 このことも大変大事なことであると思います。 現在行われている代表的なこの活用例は、 読み聞かせ、 これは大変多く静岡県の特徴になっていると思います。 あるいは、 もろもろの講座とか地域の伝統の芸能とか、 そういったことが子供たちに今地域の人々によって受け継がれていると思っております。
     さらに、 これからは教職員も地域に出ていくという、 そういう意味の開かれたことも大事であろうと思っております。 生涯学習の中で開かれた学校ということはぜひ進めていきたいと思っております。 以上です。
    ○副議長 (西原茂樹君)  これで前林孝一良さんの質問は終わりました。

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