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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成14年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

牧野 京夫 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/05/2002

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (森 竹治郎君)  質疑及び一般質問を行います。
     通告により、 二十一番 牧野京夫さん。
            (二十一番 牧野京夫君登壇 拍手)
    ○二十一番 (牧野京夫君)  質問に入ります前に一言、 県当局に苦言を呈したいと思います。
     静岡財務事務所の公金横領事件に絡んで実施した特別調査で、 熱海財務事務所にプール金が保管されていたと報告されました。 今議会において、 知事以下三役の減給措置が提案されているところでありますが、 今また、 県民が疑問を抱く事態が生じていることは残念なことであります。 公金の不適正な支出は県民の信頼を著しく損なうものであり、 改めて会計システムの適正化や職員倫理の徹底などの厳正な執行体制の確立と適正な公表を強く求めるものであります。
     それでは本論に入ります。
     早いもので、 私たち県議会議員の任期もあと四カ月余りとなりました。 この四年間を振り返ってみますと、 それまで常識と思っていたことが常識でなくなり、 想像もつかなかったことが当たり前のようになるという、 まさに世紀の移り変わりをあらわすかのごとく激しい変化でありました。 これまでベールに包まれていた政治、 官僚機構、 経済のそれぞれの問題点が表面化したわけであります。 いわばパンドラの箱があいてしまったわけであります。
     しかし、 私たちはこの混沌とした状況の中であっても流されることなく、 豊かで強い静岡県を構築していく使命があると思うのであります。 私はこの観点から、 自由民主党を代表して石川知事並びに関係部長、 教育長、 県警本部長に対し当面する県政の諸課題などについて質問をいたします。
     まず、 財政運営について知事のお考えを伺いたいと思いますが、 その第一点目は財政健全化計画に対する中間評価であります。
     この健全化計画は、 バブル崩壊後の長引く景気低迷によって税収が落ち込む中で、 国の景気対策に呼応して借金である県債を発行してきた結果、 県債の残高がふえるとともに、 これを返す公債費の比率が高まるなど財政の収支状況が悪化したために、 平成十二年度から実行されている措置であります。
     県では、 この計画に沿う形で歳出を抑え、 一般会計の当初予算の規模を三年連続して前の年度より小さくしてきました。 また、 財源のうち県債の占める割合も極力抑え、 ピーク時には二〇%近くだった比率を一五%を下回る程度に維持してきました。 一方、 県税収入については、 日本全体の不況が深刻化する中で計画策定時の予測を大幅に下回る状態が続いております。 このため、 財政関係の指標を見た場合、 平成十三年度末までの二年間で経常収支比率が一・八ポイント改善されたものの、 公債費比率は横ばい、 財政力指数は逆に九ポイント下がるなど大幅な改善は見られておりません。
     しかしながら、 全国に先駆けて財政の中期的計画をもし立てなかったとしたら、 これらの指標はもっと悪化の一途をたどっていたでありましょう。 その意味からすると、 私は財政の健全化をみずからの手で図ってきた意義は大きいと評価するものでありますが、 その一方で、 歳出の抑制、 とりわけ投資的経費の大幅な減額は、 県内各地で事業の休止を招き地域住民に失望を与えているほか、 不況にあえぐ建設業界を初めとする県内企業に追い打ちをかけていることも事実であります。 この財政健全化計画について、 策定から三年たとうとしている今、 石川知事はどう評価しているのかまず伺います。
     次に、 この健全化計画の中で、 目標を二兆円程度に抑制するとされている県債残高のとらえ方について質問いたします。
     このことについては、 さきの九月定例会の本会議で我が党の大場勝男議員も質問されましたが、 この二兆円という数字を再検証したいと思います。 この二兆円という数字は、 十二年度以前に毎年歳出が増加していた傾向を方向転換するために設けられた目標数値でありましたが、 歳出の抑制を第一に考えたため、 起債残高の内容については余り議論がないまま設定されたような気がいたします。
     十四年度末の県債残高の見込みは二兆二百十七億円ですが、 このうちの五二%に当たる一兆五百億円分は、 国との約束で後年度に国から交付税措置をされることになっております。 さらに、 このうちの千三百億円近くは、 政府の肩がわりとして県が発行した臨時財政対策債やNTT無利子貸付金などであり、 後年度、 国が一〇〇%支払うことになっております。 つまり、 県が自力で返さなくてはならない借金は、 制度上では一兆円を切っている計算となります。 無論、 国の財政状況が悪化している中で、 国が約束どおり後年度の交付税措置を償還期間の中で実行するかどうか危ぶむ意見はあるかと思いますが、 全くほごにすることは、 国と地方の相互の関係からいってあってはならないことであります。
     さらに、 自治体の地方債の格付を行っている格付投資センターはことし十月、 各地方債の格付を見直す中で、 静岡県は県債を発行した場合、 六年間で償還できる能力があるとしております。 これは東京都に次ぐ評価で、 神奈川県や愛知県よりも高い評価となっております。
     このように、 いろいろな角度で静岡県の県債残高を検証した場合、 財政健全化計画の中の県債残高のとらえ方を見直してもよいと考えますが、 知事にそのお考えがあるかどうか伺います。
     さて続いては、 予算編成の手法について伺います。
     県では既に来年度予算の編成に向けて、 国庫補助事業、 県単独事業ともに対前年度マイナス三%の要求基準、 すなわちシーリングを設けております。 しかも今年度完了した事業を除いた事業額のマイナス三%ですから、 そのまま実行すれば削減の幅はもっと大きくなります。 先ほど述べたように、 県の一般会計の規模は三年連続して縮小しておりますが、 これは財政健全化計画に沿って県債の発行を抑え投資的経費を抑制しているからであります。 このため今年度の現計の投資的経費は、 ピーク時の平成十年度の五千五十五億円に対し、 五五%の二千七百八十七億円までに落ち込んでおります。 人件費や扶助費などの義務的経費は基本的に削減できないのですから、 予算の枠をあらかじめ決めてその中で配分をするならば、 必然的に投資的経費を削るしかなくなるわけです。
     しかし、 この手法には、 安心して快適に暮らせる県土づくりという視点が欠けていると私は思います。 県民の望む社会資本整備には何があり、 その実現のためにはどのくらいの事業費がかかる、 それを十年で割ったら年間幾らの投資的経費が要る、 そこで、 その予算を生み出すための努力や工夫を行う、 私はこうした予算編成の手法に切りかえていく時期ではないかと思いますが、 知事の御所見を伺います。
     財政運営について、 最後の質問をいたします。
     石川知事は在任期間のこの九年間、 堅実な県政運営をされてきたと思います。 税収が年々落ち込む財政環境の悪化の中でも必要な大型プロジェクトを推進する一方で、 知事部局の職員の削減などの行政改革を並行して実行されてきました。 先ほど来取り上げている財政健全化計画もその一つであります。 その結果、 県財政の収支均衡の道も先ほど申し上げたように、 前途が見えてきたのであります。
     しかし、 その一方で投資的経費は限界まで落ち込んでいるのであります。 言いかえるならば、 静岡県は四十七都道府県の中で財政的に優良と評価されるかもしれませんが、 県民の希望や期待をかなえられないとすると行政の役目を十分果たしているとは言えないのではないでしょうか。
     財政健全化計画は、 これから二年後の平成十六年度を区切りの年としておりますが、 私は、 数値目標の見直しなど、 その後の財政運営の計画の策定にそろそろ着手すべきではないかと思います。 それというのも、 今後は県内でもある程度は市町村合併が進み、 過去の実例から言えば、 政令指定都市の誕生は県に余力を生み出します。 また、 近い将来完成する静岡空港などの各プロジェクトは経済効果を生み、 最終的には県税収入の増加に結びついてくると予想されます。 このほかニュー・パブリック・マネジメントを初めとする行革が一層進むことも考えられます。
     そこで、 こうした今後の県財政のプラス面を組み込み、 トータルで県の財政を考える新しい計画を策定したらどうかと考えるものです。 最初に申し上げたように、 今、 日本全体が不況の中で失望感に覆われておりますが、 神話の中のパンドラの箱に最後に残ったのは希望でした。 この希望を県民に与えることも県政の大きな使命であると私は考えますが、 知事はこの新しい財政計画の策定についてどう思われるのか、 質問をいたします。
     次は、 県有施設の運営管理について伺いたいと思います。
     まずはこのうち、 管理コストの削減について質問いたします。
     現在、 県内には大小三十二の県有施設があります。 大きいものでは五万人収容可能のエコパを含む小笠山総合運動公園から、 小さいものは山の村までその用途に応じて幅広く県民に利用してもらうため運営されております。 これらの施設の管理は大きく分けますと、 県の直営によるものと県の総合管理公社、 それに、 それぞれの施設に関係する財団法人などによるものの三つに分けることができます。 そして、 これらの県有施設の人件費を除いた管理費の合計は、 平成十三年度で四十三億八千万円余りに上っております。 施設を個別に見た場合、 それぞれの管理費はおおむね平成十二年度から減少の傾向にありますが、 現在の厳しい社会経済情勢を踏まえますとより一層の管理コストの削減に努める必要があると考えます。 県では、 県有施設の管理運営方法に民間の経営感覚を取り入れていくことを検討していると伺っておりますが、 施設管理の一元化や民間企業への委託など、 今後の公共施設の管理コストの削減についてどのように取り組まれるのか御所見を伺います。
     続いては、 利用率向上のための戦略について伺います。
     こうした県有施設は、 一人でも多くの県民の方たちに利用してもらわなければなりませんが、 とりわけ収容人員の多い大型施設は管理費を含めた運営の経費がかかるため、 利用料金でそれを少しでも埋める必要があります。 そうなると、 重要なのは施設の稼働率であります。 大型施設の稼働率を見てみますと、 エコパで年間八十四日、 グランシップの大ホールが二百八日、 草薙総合運動場で二百十五日などとなっており、 この稼働率がさらに高まれば運営費の一般会計での負担分が軽減されます。
     現在、 総合管理公社では、 施設担当ごとに広報のスタッフが配置されているようでありますが、 どの程度の活動を行っているのか不明であります。 私は、 何千人、 何万人もの人を収容できる大型施設の稼働率を高めるためには、 スポーツやコンサートなどのイベントを県みずからが誘致する、 いわば営業活動を行う必要があると思います。 そして、 この活動も施設ごとばらばらに行うのではなく、 一元化して行う方がむだがなくなり営業力も強化されると思いますが、 県として県有大型施設の利用率を高めるためにどのような取り組みをしていくのか伺います。
     続いては県の将来像についてでありますが、 まずは市町村合併後の県の役割について質問いたします。
     これまで同様の質問が県議会で取り上げられ、 石川知事は 「市町村合併が進み、 政令指定都市ができていけば、 県はより専門的な分野の事業がふえていく」 旨の答弁をされました。 私は、 県の権限が合併した市町村に移譲され、 より専門的分野の事業がふえるという面は否定いたしませんが、 市町村合併後の県の役割で触れられていない面もあると感ずるものであります。 それは、 国が財政的に厳しくなりこれまでのように市町村の事業を国が助成できなくなる中で、 国と市町村の間に立つ県としてそのギャップを埋めるという面であります。 これは、 再編の時代の中で自立の道を探る新しい市や町、 地理的条件などで単独の道を歩まざるを得ない町村のいずれに対しても、 財政面や政策の助言の面で支援をするということであります。
     これまでの市町村の合併論議の中で、 県は市町村の自主性に任せるという中立性を原則的には保ちながら、 実際には推進を促す姿勢を見せてきました。 また、 県の組織内からはやがて県はなくなるかのごとくの発言も聞こえてきますが、 まことに残念であります。 私は、 雄県の静岡県であるからこそ、 他の財政力の厳しい県とは違ってどんな時代が来ようとも、 静岡県は持てる力を精いっぱい出し切って市町村をバックアップすると言ってもらいたいと思います。 また、 県という行政は、 都会から山村までを包み込むような優しい行政であって、 冷徹な行政であってはならないと思うのであります。 石川知事に、 富国有徳の理念に照らし合わせて御答弁を求めるものであります。
     次に、 中小市町村との広域連合についてであります。
     全国の三千二百余りの市町村の合併を推進している国の方針に沿って、 新聞報道などでは、 一万人未満の町村の自治権を制限する方向の検討がなされているような記事がふえてきております。 まさに、 合併推進のためのあめとむちの、 むちの部分が見せつけられているような気がいたします。
     県内の七十四市町村のうち山間地などの過疎地域指定の町村は十二自治体しかありませんが、 全国で言えば三分の一以上、 東北、 山陰、 九州南部、 四国などでは、 その県内の市町村の半分以上が過疎地域という県も珍しくありません。 こうした県では、 ひょっとしたら今、 激震が起きているのかもしれませんが、 我が県でも過疎地域の町村を含め、 数万人規模の市町村は、 今、 国の方針の情報に神経をとがらせております。 財政力の弱い市町村は、 今後、 地方交付税を減らされることで、 自治体単独の投資的事業ができなくなることを恐れ合併の道を探っております。
     しかし、 財政力の弱い同士で合併しても特例の期限が切れれば、 一プラス一が二ではなく、 一・五程度の財政力にしかなりません。 また、 より大きな合併を望もうとしても、 地域としての存続や中心部との時間的距離を考えれば難しいという現実の壁もあります。 このほか、 合併はお互いの同意があって成立するものでありますから、 足し算のように計算式で済まないのも事実であります。 こうしたことを考えた場合、 何十年先はいざ知らず、 当面、 小規模な市町村は存続すると思われます。
     そこで伺いますが、 県が投資的事業などを市町村と協議の上代行して行う考えや、 広域連合制度を活用して小規模市町村を支援していくお考えがあるか、 お聞きいたします。
     さて続いては、 県内に九つある行政センターの見直しについて伺います。
     行政センターの見直しの議論は、 振興センターという名称の時代から行われてきました。 それというのも行政センターの機能が、 一言で言えば中途半端だからではないかと思うのであります。 県の出先機関としては財務事務所、 健康福祉センター、 さらに土木事務所、 農林事務所などがありますが、 行政センターがこれらの出先機関を束ねているかといえばそうではありません。 それぞれの出先機関は県庁の各部と直結しており、 市町村の要望はそれぞれの出先機関を通じて各部へ上がっていくのが通常のケースであります。 また、 行政センターの重要な機能とされる地域振興の面でも独立した一定規模の予算がないため、 アドバイスのレベルでとどまることが多いようであります。
     こうした現状を考えてみますと、 行政センターの位置づけが非常にあいまいであると思えてなりません。 さらには市町村合併が進み自治体の規模や機能が拡大すれば、 自治体の福祉部門や建設事業部門はもとより企画部門においても、 より専門的で高度な能力が備わってくると思います。
     こうした将来が予想される中で県の行政センターが存続するためには、 出先機関の職員の人事、 給与管理など、 県庁で言えば総務部のような管理部門とするか、 市町村と接触する出先機関のない商工労働部や生活・文化部の出先機関としての機能に特化する、 それとも、 もはやその役目を終えたとして廃止するかのいずれかを選択するしかないと思いますが、 知事の御所見を伺います。
     次に、 静岡空港建設について質問をいたします。
     まず、 用地の取得について伺います。
     静岡空港の建設については、 昨年の静岡空港建設の是非をめぐる住民投票の請求に対する県議会や専門家委員会の審議を経て、 昨年末、 工事が再開されました。 その後、 空港本体の造成工事を初め、 代替のための大規模農地の造成など周囲部の整備も着実に進められております。
     しかしながら、 本体部の用地取得は全体の九八%に達しているものの、 滑走路などの予定地内にあるおよそ四ヘクタールの土地については依然取得ができておりません。 県ではこの土地を所有する未同意の方たちの理解を得るため長年にわたって粘り強く用地交渉を行ってきましたが、 これまでの交渉経過を踏まえて現時点での用地取得の見通しはどうなるのか伺います。
     その上で伺うことでありますが、 仮に用地取得が今後もできなかったり交渉が長引くことで工事を中断せざるを得なかった場合には、 公共の利益を優先させるために土地収用法の適用も考えざるを得ない場面が出てくると思われます。 さきの九月定例会でも我が党の植田徹議員の代表質問に対し、 石川知事は、 収用法の申請の判断基準について 「工事の計画的かつ円滑な実施に支障を来すこととなった場合に、 未同意の地権者の状況なども勘案して判断しなければならない」 と答弁され、 「判断の時期までそう多くの時間が残されているわけではない」 とつけ加えられました。 その答弁からすると、 知事は判断の時期についてある程度想定されていると推察いたします。 そこで、 知事はいつごろを判断の時期と考えているのか改めて伺います。
     次に、 静岡空港の需要予測の見直し作業について伺います。
     県では、 ことし七月に国から示された新たな需要予測の手法に基づいて需要予測等検討委員会を設置し、 その後、 需要予測の見直し作業を行っております。 この需要予測は、 昨年の静岡空港の建設の是非をめぐる議論の一番の争点、 言うならば空港の必要性の根幹をなす重要なポイントであります。 ですから今回の見直し作業で、 需要予測にまつわる疑問が解消されることを期待しております。 現在はその作業の途中でありますが、 今までの検討委員会の進捗状況及び最終的な結論はいつごろ出されるのか伺いたいと思います。
     さて、 次は県の国際戦略について質問いたします。
     直前の質問では静岡空港について伺いましたが、 県では空港の開港当初から国際定期便の就航を目指しております。 先ほどの需要予測の見直し前の数字では、 この国際定期便の就航でアジア方面の外国を中心にして、 およそ四十万人もの利用者が見込まれております。 そして、 これらの利用者は数の上でも、 また国籍の上でも、 開港後ふえていくと期待しておりますが、 そのためには当然のこととして県としての努力が必要になってきます。
     まず第一は、 静岡空港の存在、 静岡県の日本の中での位置、 目的地までの交通アクセスなどを知ってもらうことであります。 その上で、 ビジネス目的ならば県内の産業、 観光目的なら観光地の場所や内容といった静岡県内の情報を伝えていかなければなりません。 現在、 海外には県の海外駐在員事務所が四カ所あります。 それぞれの駐在員は二年から三年の期間赴任し、 主に県の関係者や県内の団体の視察の段取りをしたり県内企業の海外進出のための手助けを行ってきたりしました。
     この駐在員事務所のうち、 ドイツのデュッセルドルフとアメリカのロサンゼルスの二つの事務所について、 県では先ごろ廃止の方向を打ち出しました。 この理由としては、 行革の一環ということ、 県内企業の海外進出などが一段落し所期の目的を達したことなどを挙げております。 また、 石川知事はこれまでの答弁で、 「事務所を廃止した場合、 同じ年間経費で何十回も目的に合わせた渡航ができる」 旨の考えを示されておりますが、 私は少し疑問を感ずるのであります。
     私事で恐縮でありますが、 私は十年ほど前、 以前の仕事の関係で一カ月ほど外国に滞在したことがありますが、 その一カ月で知り得た情報と同じ国に視察などで四回訪れたときの情報を比較した場合、 情報の量や内容の点で格段の差がありました。 また、 海外支局の赴任を終えて帰国した以前の同僚たちからは、 海外にいて日本を再認識したことが多いという話をよく聞きます。
     そこで思うのでありますが、 海外駐在員事務所の役割を県内から海外への視点から、 海外から県内への視点に転換してみたらどうかと考えます。 ヨーロッパとアメリカの駐在員事務所の廃止については私はその視点に立った上で再考すべきと思いますが、 どうしても行革の対象とするならば、 現地の日本人在住者、 もしくは日本語を話せて日本を理解している外国の方に、 静岡空港や静岡県について広くPRしてもらう業務を委託したらどうかと思いますが、 知事の御所見を伺います。
     次に、 アジア研究機関の設置について伺います。
     先ほど申し上げましたように、 静岡空港の開港後はアジアの国々と静岡県との直接の交流が飛躍的に伸びることが予想されます。 その中では、 ビジネス、 文化、 学術などの上で新たな出会いが生まれると思われますが、 残念ながらアジアの国々の中には私たち日本人からすると近くて遠い国もあります。 これは戦後、 日本が取り入れてきた生活様式が欧米型中心だったことに起因するのかもしれませんが、 近い将来の交流を考えたときに、 アジアの国々を理解するためのシンクタンク的な機関があってもよいと考えます。
     幸いなことに県では、 これまでアジア・太平洋学術フォーラムを平成七年から毎年開きその下地をつくってきました。 また、 県立大学には現代の韓国、 北朝鮮の研究者としては、 日本の第一人者と言われる国際関係学部の伊豆見元教授ら十数名のアジアの研究者がいらっしゃいます。 私は、 全国の大学の中でも屈指の陣容を誇る県立大学に、 アジアの研究機関を新たに設置して来るべきアジアとの交流時代の準備を始めたらいかがと思いますが、 知事のお考えを伺います。
     続いて、 道路網の整備について質問いたします。
     まずは、 未改良区間の多い中山間地域の道路整備の手法について伺います。
     現在、 県が管理している県内の国道、 県道の実延長はおよそ四千キロメートルにわたっており、 そのうちの五分の一が未改良とされております。 そして、 これら未改良区間のほとんどが中山間地域の道路であります。 なぜ中山間地域の道路整備がおくれているかといえば、 通過車両の数の問題、 地形上の問題などがあるからであります。 しかしながら、 これを利用する沿線住民の切実な思いや、 近年の郊外レジャーを楽しむ行楽客の増加、 災害時の輸送路の確保の点からこのまま放置するわけにはいかない重要な課題であります。
     県ではここ数年、 交通円滑化対策や緊急輸送路の確保を目的とした県単独事業を実施しておりますが、 厳しい財政状況のもとではなかなか整備の箇所が限られており、 残った未整備区間の距離を考えると気が遠くなる思いがいたします。
     道路は本来一体的整備を基本とした社会資本であり、 道路構造令によって幅員の規格などが道路の種類ごとに決められており、 中山間地域の道路も二車線以上となっております。 しかし、 予算面や地形などを考慮した場合中山間地域に限って言えば、 当面、 車がすれ違える幅員、 いわば一・五車線の幅員が確保されるだけでも効果が上がるのではないでしょうか。 県ではこの一・五車線の道路の規格について県単独事業として検討しているだけではなく、 国庫補助事業の対象になるよう国土交通省と交渉されているようでありますが、 こうした新しい道路整備の手法も含めて、 今後中山間地域の道路整備についてどう取り組んでいくのか伺います。
     次は、 政令指定都市と周辺市町村の境の部分の道路整備について伺います。
     先ほど市町村合併に伴う県の役割の変化について質問いたしましたが、 同じようなことは道路整備の面でも出てきます。 それというのも、 現在県が管理している国道、 県道について、 政令指定都市内では管理者が県から政令指定都市へ移るからであります。 これを言いかえますと、 現在の他県との境、 県境と同じような箇所が県内に生まれることになります。
     来年の合併後、 平成十七年度の政令指定都市への昇格が見込まれている新静岡市を例にとりますと、 静岡市から本川根町につながっている国道三百六十二号を初め、 合わせて八本の道路では政令指定都市の境までを県が管理し、 新静岡市に入ると市が管理することになるわけです。 今の制度では、 政令指定都市に管理が移る道路の整備については、 県からその分の財源も移るとされておりますが、 その財源を使ってどの道路のどの箇所を整備するかは、 市の判断にゆだねられることになります。
     少しうがった見方をすれば、 この管理の移る道路の財源を使って市内の別の道路を整備してもよいことになります。 また、 この管理の移行する道路の区間でも周辺市町村との境付近は人口の少ないところもあり、 周辺の自治体の区間は整備が進んでもその先が整備されるかわかりません。 ぜひその点、 理解のある方に新しい市長になってもらいたいと思います。
     これまでの県内の道路網の整備は、 国の直轄の道路を除き均衡ある県土の発展を理念として県が主体となって行ってきました。 私は、 この理念は市町村合併が進んでも堅持されるべきと思いますが、 現実の問題として同じ路線の一体的整備が崩れる心配も出てきます。 県はこの問題について、 今後どう取り組んでいくのか質問いたします。
     今度は、 森林の保全と再生にかかわる質問をいたします。
     まず、 今年度から森林・林業部門を環境部と統合して、 環境森林部をスタートさせた県の森林・林業政策の基本方針について伺いたいと思います。
     昨年、 林業基本法が森林・林業基本法に改正され、 森林の持つ多面的機能を活用することや林業の持続的な振興が図られることになりました。 しかし、 現実的には回復の兆しが見えない木材需要や材価の低迷などから、 林業や製材業は全く元気のない状況が相変わらず続いております。 こうしたことから、 県内の山間地域の森林の中には間伐、 枝打ちの施業がされない森林が多くなっているだけではなく、 伐採後植林されないままで放置される山も出てきております。 これは幾ら環境資源として森林の価値を叫んでみても、 なりわいとして成立しなくては基本法の理念は絵にかいたもちで終わってしまうおそれがあることを示しております。
     このたび県では、 森林・林業政策の基本方針をまとめたと伺っておりますが、 どのような視点に基づいてこの方針を策定したのか、 また、 産業としての林業の支援をどうしていくのか伺います。
     続いて、 法定外目的税としての森林保全税の創設について質問をいたします。
     昨年、 林野庁の諮問を受けて、 学者らでつくる日本学術会議が森林の多面的機能をお金に換算したらどのぐらいの評価になるかという試算を出しました。 多面的機能というのは、 二酸化炭素の吸収、 土砂崩れの防止、 洪水の緩和、 水の涵養や水質の浄化といった機能でありますが、 それによりますと、 全国では年間およそ七十四兆円、 五十万ヘクタールの森林を持つ静岡県では年間一兆九千億円余りの価値があるという結果でした。 まさに驚くべき機能でありますが、 この機能がこれからも持続できるかというとそうではありません。
     先日、 私の地元の中川根町の林業に長く従事してきたおじいさんが、 ため息まじりに述べておりました。 「最近、 環境保全とか言って、 町場の子供やおばさんたちが、 カエデだのブナなどを植林しにやって来て、 一日中汗をかいて何か本当によいことをしたという顔をして帰っていくけども、 木は手入れをせんと育たない。 後の面倒はわしらがやらねばならん」 そうおっしゃってましたけども、 確かにそのとおりのような気がいたします。 都会の人たちに森林の大切さを理解してもらうことは必要でありますが、 現実的には森林、 とりわけ人工林の場合は、 下草刈り、 間伐、 枝打ちを繰り返すメンテナンスの作業が行われて初めて機能を保てるのであります。
     しかしながら先ほど述べたように、 この維持管理の費用を捻出するだけの生産サイクルは、 現状では不可能であります。 私の地元の大井川の流域をモデルケースとして、 森林整備のシステムの研究が県によって行われ、 昨年その最終報告がまとめられました。 この中では森林整備の財源の確保の必要性も述べられております。 私はこの財源として、 既に東京都など一都一県で実施されている法定外目的税を検討してもよい時期に来ていると思うのであります。 また、 既に高知県や岡山県では森林の水源涵養機能に着目して、 森林環境税実施の準備に入っていると伺っております。
     そこで伺いますが、 まだ我が県で実施されていない法定外目的税として森林保全のための財源確保を図っていくお考えがあるか、 石川知事にお聞きいたします。
     さて次は、 静岡茶の振興について質問に入ります。
     まずは、 静岡茶の基準づくり、 つまりどの基準をもって静岡茶として定義づけるかということを質問したいと思います。
     他県の人たちに静岡県で思い浮かぶのはという質問をしますと、 まず返ってくるのがお茶の産地という答えだそうであります。 ただ一口に静岡茶といってものど越しがさわやかな普通煎茶から、 こくのある深蒸し茶など原料の産地や品種、 さらには加工の仕方で多様なお茶が仕上がります。 このようにさまざまな種類のある静岡茶でありますが、 全国の消費者の人たちは、 静岡県内で栽培されたお茶の葉を加工してつくったものが静岡茶だと思っているのではないでしょうか。
     ところが、 現実には他県のみならず外国の産地の原料が使われていることもあります。 これは、 製品の過程で微妙な味や香りを出す工夫として、 以前から行われていることであります。 おととし六月にJAS法が改正されてすべての飲料、 食料品を対象に、 品質表示基準に基づく表示が義務づけられました。 この結果、 緑茶は加工食品として適用され、 外国産の原料を使った場合は原産国を表示することになりました。 しかし、 国内については産地表示の義務はありません。 つまり、 他県の原料を一〇〇%使ったお茶を静岡茶として売り出したとしても、 法律には違反しないことになります。 でもこれでは、 ここ数年起きている牛肉などの産地虚偽の表示と実態的に何ら変わりのないことになるのではないかと思います。
     また、 県内で加工さえすれば静岡茶の表示が許されるとするならば、 産地としてのお茶の栽培技術の低下や県内の荒茶の需要低下を起こし、 最終的には静岡茶の衰退につながると考えます。
     社団法人日本茶業中央会では、 消費者の立場に立ったお茶づくりのためこの国内原産地の名前の定義づけや、 一番茶、 新茶という用語の統一基準を今年度中につくることとしております。 しかし、 宇治茶のように地元で栽培している原料のお茶が少ない銘柄もあるため、 その作業は難航しているとも聞いております。
     そこで伺いますが、 私は、 ある一定以上の県内の原料を使ったものに限るという静岡茶の表示の基準づくりは、 静岡茶全体の振興のために必要な措置と考えますが、 県としてこの課題にどう取り組むのか質問いたします。
     続いて、 来年県内で開かれる全国お茶まつりについて質問いたします。
     先月、 鹿児島県で開かれた第五十六回の全国お茶まつりには、 県内の茶業関係者も多数参加されました。 静岡県に対する追い上げが著しい鹿児島県だけに、 大会は熱気に包まれていたとの静岡からの参加者の感想も聞こえてきます。 この全国お茶まつりが来年十一月の十五日と十六日の二日間、 静岡市で開かれることが既に決まりましたが、 県内での開催は七年ぶりになります。 もう既に準備が始まっているということでありますが、 この全国お茶まつりも毎回開催地が懸命に努力、 工夫をしているとはいえマンネリの傾向が続き、 お茶の消費拡大に余りつながっていないとの声もあります。 日本一の生産地である静岡県としてかつてないと言われるほどの成功をおさめるため、 県として来年の全国お茶まつりにどのように取り組んでいくのか、 大会会長をお務めになる石川知事に伺います。
     次は、 教育行政であります。
      「小さな僕、 小心で、 貧乏で、 ひ弱い僕が、 この夏の一カ月間、 沖縄を含めてヨーロッパ、 中東、 アジアの十五カ国を一人でぶらぶらと歩き回り、 ちゃんと生きて帰ってこれた。 びっくり仰天して青ざめたり、 一見が百聞をぶち壊したり、 国境を超えた人の情けに胸を詰まらせたり……この旅行記は、 そのときのありのままの記録である」 この前書きで始まるこの色あせた本の作者は、 鈴木善彦教育長であります。 今から三十一年前に出版されたこの本を、 それから六年後、 私は高校卒業の日に担任の先生だった鈴木教育長からいただきました。 あれから二十五年余り、 この場で恩師に自分の意見をつけ加えながら質問するとは、 当時、 夢にも思いませんでしたがお許しを願いたいと思います。
     まず最初は、 生きる力を育てる教育の中で、 志を持たせる教育についてであります。
     このことについては、 ことし九月に策定された県教育委員会の 「人づくり」 二〇一〇プランの中の基本計画の柱の一つになっております。 このプランは県の総合計画に合わせて、 県教委が二〇一〇年までの教育分野の目標を定めたものでありますが、 この志を持った子供を育てるという部分は、 鈴木教育長御自身のお考えが強く反映されていると伺っております。
     先ほどの本を引用させていただくと、 「世界が直面している問題を、 自分の体験を通じて考えたいと思った。 孤独、 不安、 恐怖、 そういったものといかに対決し、 いかに生き抜くか、 自分に挑戦したい」 出発前に遺書になるかもしれないと思いつつ、 つづった日記の紹介の部分には、 「意義ある人生を求めて、 この旅に出よう」 という言葉で一つの区切りをつけております。 二十六歳のとき、 果敢な挑戦をしに世界に飛び出した教育長は、 その後の教育者としての長い経験を経て、 志を持った子供を育てることの大切さに行き着いたと推察いたします。
     プランの中では若手の研究者や企業人など、 仕事に寄せる情熱や使命感に子供たちが直接触れる機会を設けることなどが挙げられておりますが、 人間は人から感銘を受けて目覚めていくことが多いことからして積極的に行ってもらいたいと思います。 しかし、 子供たちが日々接するのは教師であります。 プランの中では頼もしい先生の養成も挙げられておりますが、 ことしの上半期の懲戒処分を受けた教職員の数は十一人と、 平成九年度以降の毎年の年間の数字に迫っております。 また、 現場の教師の中には教えることに自信をなくし、 休業している人もかなりいると聞いております。 こうした教師の資質、 能力の向上を含め、 志を持った子供を育てていくことにどのように取り組んでいくのか伺います。
     続いて、 不登校児童生徒への対策について伺います。
     子供たちの心の問題は子供にしかわからない、 子を持つ親としてそう思うときもあります。 子供が学校でいじめられたりはしていないだろうか、 子供が学校がいやで不登校になったらどうしよう。 そのようなことを一回も考えなかった親は余りいないのではないでしょうか。 今、 県内の小中学校では不登校の問題が深刻になっております。
     県教委の調査によりますと、 小中学校の不登校の児童生徒は、 この七年毎年ふえ続け、 平成十三年度には七年前の二・一倍の三千八百人近くに達しております。 一方、 いじめの件数は平成十三年度で九百二十二件と、 相変わらず高い水準なもののほぼ毎年少しずつ減っております。 このことは、 不登校の増加がいじめによるものだけではなく、 ほかの原因に起因していることが多いことを示しております。
     県教委ではここ数年、 スクールカウンセラーや心の教室相談員などメンタルケアの体制を強化してきましたが、 これは結果に対する対策で不登校を減らす対策とは言えないのではないでしょうか。 不登校の児童生徒は、 学校に行く価値を見出せなかったり、 行こうとしても体が言うことを聞かなかったりして行かなくなるのであります。 つまり、 学校の中での出来事が、 行きたくない、 行けないことにつながっていると思います。 ですから、 その学校の中での原因を突きとめない限り、 不登校の児童生徒の数は減らないと思うのでありますが、 今後、 この不登校児童生徒の対策にどのように取り組んでいかれるのか教育長のお考えを伺います。
     最後は、 犯罪防止対策について質問いたします。
     まずは、 警察の対応から伺います。
     犯罪は不況になるとふえると言われますが、 先月発表された犯罪白書によれば、 昨年の全国の刑法犯の数は三百五十八万件と過去最悪を記録しました。 また、 これらの犯罪のうち交通犯罪を除いた一般刑法犯の検挙率は戦後初めて二〇%を割り、 ついに日本の安全神話も崩れた感がいたします。 これらの件数の増加は住民の身近で起きる犯罪が急増しているためでありますが、 警察庁では先月全国警察本部長会議を開き、 路上強盗やひったくり、 自販機荒らしなどの街頭犯罪や住宅などに対する侵入犯罪の抑止について、 各都道府県警に対し具体的な対応策を定めた計画を立て効果を検証していくよう指示を出しました。
     県内でも、 ことし上半期の刑法犯罪の数が三万件を超えましたが、 最近では、 単独で設置されているATM現金自動預け払い機やCD現金自動支払い機をクレーン車などで壊し、 そのまま本体ごと持ち去るという極めて荒っぽい手口の犯罪も起きています。 県警がこうした街頭犯罪などに検挙活動だけではなく、 防犯活動にも全力で取り組んでいるのは承知しておりますが、 警察庁の指示を受けてどんな対応策を盛り込んだ抑止計画を立てるのか警察本部長に伺います。
     また、 治安の悪化を食いとめる主体は警察であるのは無論のことでありますが、 これだけ犯罪の件数が多くなると現実問題として警察は検挙活動で手いっぱいになってくると思われます。 このため、 犯罪の発生を防ぎ安全で安心して暮らせる社会をつくるためには、 被害を受ける我々県民側の努力も必要になってきております。 県ではことし十月に、 犯罪を防ぐ安全社会づくりの取り組み方針を打ち出しましたが、 県民の防犯意識の向上などのほかに具体的な政策としてどのようなことに取り組んでいくのか伺って、 私の質問を終わらせていただきます。 (拍手)
    ○議長 (森 竹治郎君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  牧野議員にお答えをいたします。
     初めに、 財政運営についてのうち、 財政健全化計画の中間評価についてであります。
     牧野議員の御紹介のように、 本県では平成十二年度当初予算編成時から積極的に財政の健全化を目指して財政健全化計画を策定して、 それに準拠して毎年の財政運営に取り組んでまいりました。 その結果、 三カ年を経た今日はどういう状態になってるかといいますと、 当初の期待といいますか、 もくろみどおりに、 財政の健全性を損なわないで非常に厳しい財政環境の中を乗り切ってきておると存じます。
     これを全国に目を転じて、 他県の状況とも対比しながら見てまいりますとどういうことになるかといいますと、 財政健全化の指標としては、 当県の健全化計画の指標として用意しております経常収支比率、 起債制限比率、 県債残高、 これが財政健全化の程度を測定する基本的な項目になりますが、 さらにもっとわかりやすい指標で考えますと、 昨今の財政状況の中では財政健全化債を発行しないで済ませているかいないか、 これも財政健全化度を測る端的な指標として有効ではないかと思うわけでございますが、 この財政健全化債の発行状況は、 平成十一年度には本県は入っておりませんが十一県、 十二年度十二県、 十三年度は十三県と年々一つずつふえております。
     ところで、 この財政健全化債というものでありますけれども、 これは財政構造が悪化をして通常発行を許可される地方債だけでは予算編成ができない状態に陥ってる団体に対して、 財政健全化計画や財政状況に応じて特別に発行が許可される起債を財政健全化債と称しております。 したがって、 この財政健全化債の発行がずっと続いてまいりますと、 その先まかり間違うと、 財政収支が償わないで赤字になると、 赤字団体に転落する可能性がある、 その一歩手前の状況が財政健全化債発行団体ということになるわけであります。
     幸い本県は、 これまでそこまでは至っておりません。 現在発行されております、 昨年度段階で健全化債を発行した団体十三県は、 ちなみに申し上げますと、 へえ、 そんなとこまでそうかというところがいっぱい出てまいりますので御紹介しますが、 北海道、 茨城、 千葉、 埼玉、 神奈川、 愛知、 京都、 大阪、 兵庫、 岡山、 広島、 福岡、 熊本とこういうことになってるわけでございます。 この大部分は、 平成大不況が始まるまでの間は、 財政力も比較的高くて、 いわゆる財政力のランクづけでABCDEといろいろグループ分けしてまいりました場合には、 少なくともBグループ以上に入っておった団体ばかりでございます。
     そういうことを考えてみましても、 今日の財政のピンチは個々の団体の財政運営のよしあしに加えて、 まあ責任を回避するわけではありませんけれども、 基本的には日本経済の陥ってる大変な低迷状況、 これを基礎とした企業収益の悪化などの財政環境の悪化も相当程度寄与しているといいますか、 影響があるというふうに思わざるを得ないわけであります。
     したがって、 こういう事態を我々がどうとらえるかということにもなるわけでありますけれども、 私は、 極限まで自助努力できるところは自助努力でしのぐと。 しかし、 それでも限界を超えてまいります場合があり得るわけでありまして、 これは国全体として何らかの構造的といいますか、 制度的なといいますか、 そういう手当てをしてもらう以外にないということになると思うのであります。
     その制度的な手当てをいろいろお願いするに当たっても、 みずからの財政の運営の振る舞いが、 国を説得できる、 自立精神に富んだいいかげんな運営でないということを示す必要もあるというふうに思うわけでございます。 これはまた、 雄県の雄県たる、 あるいは富国有徳を掲げる本県のありようにもつながるのではないかというふうに思うわけでございます。 そういうことで、 今日まではどうにかその財政健全化債、 赤字団体転落寸前の財政健全化債発行団体にならないで、 ぎりぎりでしのいできているという状態であるということを御報告をいたします。
     そこで、 それとの関連で、 起債残高をどう考えるのかというお尋ねでございました。
     これも私は、 今日のデフレ傾向が顕著になってまいりました経済情勢の中では、 この借金残高が、 金額が絶対額が増えていくということは、 極力回避すべきではないかというふうに思うわけでございます。 これはこの借金の残高が累増していけば、 実質価値が将来高まって大変なことになるということは、 デフレ経済下で歴史上見れば、 そういうひどい体験をしたところがいっぱいあるわけでありますので、 今日のこの情勢がいつまで続くか、 これはいろいろ意見が分かれるところでありますけれども、 少なくとも直ちにかつての高度経済成長時代のようなインフレ傾向に転換するという兆しは、 今のところ見られません。 逆に、 そういう傾向が見られるときには逆に積極財政に転ずるということも、 いち早くそういう傾向をキャッチして転換する必要があるかと思いますが、 今現在では私は抑制的に行くべきではないかという私は判断に立っているわけでございます。
     しかし、 牧野議員のお尋ねのように、 いろいろお述べになりましたように、 県債と一口に言っても、 いろいろな性格といいますか、 償還財源についてどのような見込みがあるかということについての、 性格の違いのある借金が存在しておりますので、 将来の償還見込みということを視野に入れた場合には、 確かにその借金の種類に応じて弾力的に考えていくっていうことも、 ある程度は必要だと存じます。 したがって、 十五年度当初予算編成時には、 また財政健全化計画のいわゆる見直しも必要になってまいりますので、 その中で牧野議員のお考えも十分踏まえながら、 そういう点では私も同感する部分がありますので内容に応じて検討してまいりたいと考えております。
     それから予算編成の手法でありますけれども、 現在小泉内閣が来年度に向けまして、 来年度以降ですね、 来年度以降に向けて進めております交付税、 それから国庫補助金、 税源の地方移譲の三位一体の財政構造改革、 これは最終的な結論がどのように出されるかわかりませんが、 それに影響を与えると思われる地方分権改革推進会議の答申、 これを見る限りは多くの期待ができない、 というよりもむしろ厳しい線が出てくる可能性が非常に強いというふうに思います。 分権改革推進会議の答申を是とするわけではありません。 とんでもない、 非常に問題な答申だというふうに、 非常に私も腹立たしい思いでこの答申を評価せざるを得ませんが、 ただ、 実際の予算編成の中で国も地方も大変財政が逼迫する中で、 どういう結論になるのか楽観を許されないというふうにも踏んでおります。
     したがって、 そういう非常に厳しい環境の中で先ほどの財政健全化の目標をどう達成するか、 来年度の予算編成は昨年度以上にまた困難な環境の中での編成となります。 関係方面のいろいろ県財政へ寄せる期待も一方でできるだけこたえながら、 他方で将来に向かって禍根を残さないような財政の姿、 これも追求していかなければなりません。 まあ非常に相矛盾する要請の中での編成になります。
     したがって、 知恵の発揮が今まで以上に必要になろうかと思います。 ぜひまた、 牧野議員のいいお知恵もいただきながら、 各方面からまあこの程度ならしようがないかなとか、 まずまずであるとかいうような答えができるようにまたよろしくお願いしたいと思います。
     次に、 新しい財政計画でございます。
     財政健全化計画をもとにそのときどきの財政経済状況、 これは従前以上にかなりのスピードといいますか、 テンポで変化する、 そういう状態になっておりますので最低毎年度の見直しは必要だと思いますし、 事によっては年度途中での変更ということもこれから覚悟しなければいけない、 そのように非常に変化の激しい時代にあると思います。 したがって、 来年度の当初予算編成時には当然見直しをしてまいります。 よろしくお願いしたいと思います。
     それから次に、 大きい二番目の県有施設の管理運営の問題についてのうち、 管理コストの削減についてであります。
     これはできるだけコストの縮減を図るということは、 当然中の当然であります。 したがって、 これまでにも県におきましては積極的な外部委託の推進、 あるいはその委託に当たっても契約方法の改善とか、 あるいはまた非常勤職員の活用などそれなりの工夫を重ねてまいりましたけれども、 今後に向けてさらに一層の対応が必要になります。
     そういうさなか、 総務省におきましては、 現在の公の施設の管理についての基準といいますか、 方針のもとになっております地方自治法の規定の改正、 これを行いまして、 これまでの公の施設の管理受託者についての制限を緩和いたしまして、 民間事業者に幅広く委託できるというそういう改正を行う方向で検討してるというふうに聞いております。
     したがって、 そのような法律的な手当てもできてまいりますとより一層管理コストの縮減につながるような運営も可能になってくると思いますので、 その面の制度改正の実現に期待しまたそれを後押ししながら、 さらにその制度改正をまつまでもなく、 やれるところについては徹底したコスト縮減手法、 これを積極的に取り入れてまいりたいと思います。 明年度の予算編成の過程でも、 幾つか方策を編み出したいといろいろ今検討しているところでございます。
     それから次に三番目の合併に伴います県の将来像の問題でございます。
     市町村合併が進展してまいりました場合に、 当然県として発揮しなければいけない機能は、 従前以上に広域的な観点に立っての市町村間の調整とか、 あるいは広域行政の展開が当然のことながら大きな使命になってくると同時に、 一方で、 これまで静岡県が自発的にやってまいりました弱小市町村の機能の足らざるところを、 市町村の意思に基づく委託に基づいて代行してあげるという、 そういうことも当然なことながら大きな使命になってくると思います。
     現在、 地方制度調査会におきましてもそういう観点からの議論も本格的に取り上げておるようでありますので、 これが一つの制度としても認知といいますか、 制度化されてくることも予想されます。 したがって、 我々は一層自信を持ちましてそのような面での対応も図っていきたいと考えておりますし、 一方で、 市町村は合併いたしますと、 市町村の能力は、 従前の団体とははるかに自立能力の高い団体がたくさんできてくることになります。
     したがって、 都道府県のあり方もその管轄範囲も含めてですね、 今のままでいいのかどうかっていうことが必ず議論になるわけであります。 現に、 現在の地方制度調査会でもそういう点の検討が始まっておりますし、 さらに自民党の党本部においては、 その中に設置されている国家戦略本部で、 都道府県の合併を前提に道州制の導入をすべきだという基本的な考え方というか、 素案ですね、 それも先ごろまとめたというふうに公表されておりました。
     そのように、 国と市町村との間に立つ行政組織のあり方、 これについては今後いろいろな方面から相当な議論が高まってきて、 最終的にどこに収れんするか煮詰まるか、 これは今のとこはかりかねますけれども、 今後大きくホットな話題になる可能性が出てまいりました。 これは単に話題になるだけではなくて、 その先は制度改正ということになると思います。 その際に、 静岡県としても我々のいろいろ実体験に基づいて、 より説得性のある提案をすべきではないかというふうに私は考えて、 いろいろ今研究しておるところでございます。 来年度において、 できることならばこれを表の場に出して研究会などもやって、 きちんとした提言をする必要もあるかなというふうにも考えているところでございます。
     そういう際にはまた、 議会の御意見や、 あるいは市町村を初めとした県内各方面の御意見も伺って、 県としての見解の取りまとめも必要かと存じます。 そういう場をつくる上でのたたき台といいますか、 素案といいますか、 こういうものはある程度私の方から提示をしていかないと議論もなかなかまとまらないと思いますので、 そういう点の準備を今、 内々やっておるところでございますので、 整い次第、 最終的にはパブリックコメントというような手法も講じながら、 案をまとめていけたらいいなというふうに今感じておるところでございます。 具体的なものについては、 来年度の予算の中でもいろいろお諮りしてまいりたいと考えております。
     次に、 合併後取り残されてくる小規模市町村、 それからそれと広域連合なり、 あるいは県の代行等によりますカバーの問題のお話でございました。 これは今申し上げましたように当然県としても市町村の希望に応じて、 足らざるところの代行などのカバーリングはする気でありますし、 これまでもそういうことでやってまいりました。
     しかし、 今日の合併を促進をしなければならないという時代の要請の中で、 結果として残ってきた小規模町村、 まあ市という名前でも非常に規模の小さい市が残る場合があるかもしれませんが、 非常に小規模な市町村を、 県なり広域連合なりで仮にカバーしてもですね、 これは合併してもしなくても同じ結果になるような念入りな行政サービスが実現するというふうに思ったら、 これは期待外れになると、 ここだけははっきり関係者にも認識をしていただかなければいけないと思うのであります。
     行政サービス水準はまあ高いものは望めないけれども、 しかし一体感のある、 地域連帯感が保てる範囲で団体を構成したいと、 そういうことならば行政サービスの低下は甘んずる。 そうでなければ大同合併していくと、 その二者択一を迫られてるという、 厳しい私は認識をですね、 現在の市町村当局の方々を中心として、 関係者ははっきり認識をすべきではないかというふうに思うのであります。 そういう前提の上で、 なお残ってきたところについて県はできるだけのカバーをする、 これは牧野議員のおっしゃるとおりだと思います。 そういう精神でやってまいりたいと思います。
     それから、 県行政センターの見直しについてでありますが、 牧野議員のいろいろお述べになりましたとおり、 行政センターの役割もスタート当初の社会経済状態と変化もしてまいっておりますし、 非常に中途半端な立場にあるように思います。 したがって、 今後市町村合併の進みぐあいも見定めながら、 単にこの行政センターだけでなくてすべての出先機関の管轄範囲とかあり方についても見直しが必要になってまいりますので、 再編整備という観点から十六年度末までには結論を出すように検討していきたい。
     そういうつもりで今いろいろ、 もう既に十四年度――本年度からいろいろ内部的な本当の検討に着手をしたにすぎませんが、 いろいろ作業に入りつつある状態でございます。 結論は十六年度末まで、 すなわち平成合併の促進の期限ですね、 タイムリミット、 それまでには県の方の対応もきちんと整える、 十七年度からは新しい市町村のあり方に対応した県の出先機関の整備と、 そういうもくろみで進んでまいりたいと考えております。
     次に、 空港建設についてのうち、 用地取得の見通しについてであります。
     用地取得の見通しにつきましては、 これは残る地権者、 本体部については三家族でございますが、 交渉事でございますので確たる見通しを述べることは困難でありますが、 全力を傾注しできるだけ早い機会に円満解決を図っていきたいと考えております。
     ただし、 土地収用法の適用申請の判断時期との関係で考えますと、 いつまでも延ばせるわけではありません。 国におきますこの概算要求の取りまとめは毎年夏行われるわけでありますが、 この来年度の概算要求までに、 静岡空港についても県としての事業再評価を実施をしなければならないわけであります。 その事業再評価に合わせまして用地取得の見通しといいますか、 問題も明らかに、 用地の問題もはっきりさせなければいけないということにもなってまいる可能性が強いわけでありますので、 来年度夏の概算要求の取りまとめ時期におくれないように、 この土地収用法の適用申請をするかしないかの判断は迫られるというふうに今のところは想定しております。
     次に、 県の国際戦略についてのうち、 海外駐在員事務所のあり方についてであります。
     北米事務所及びヨーロッパ事務所については、 輸出の振興や県内企業の海外活動の支援等の面での実績を上げてまいりましたが、 県内企業の海外拠点の充実等によりまして当初の設置目的である役割は大変薄くなっております。
     その後、 新たにいろいろ担っております役割を見てまいりますと、 出張、 これも短期の出張に限らずですね、 三カ月とか半年とか、 そのような出張とか、 あるいはいろいろ国際交流の観点で縁が深くなってまいりました自治体がありますので、 自治体とか大学ですね、 研究機関、 そういうところへ駐在とか研修派遣で一年とか二年派遣をさせながら、 あわせてさまざまな交流の窓口役も果たさせると。 今までのいわゆる事務所という形態でない別な方法で、 現在果たしている役割も十分に果たし得るんではないかというような判断も出てまいりましたので、 少なくとも北米事務所、 ヨーロッパ事務所については、 来年度廃止をし他の手段で当面やってみると。 その後、 それを重ねてみた結果、 やはり事務所の設置が必要だっていうことになりますれば、 またそのときに再開の判断をしてもいいのではないかというふうに考え、 そういうある意味では柔軟な前提に立って、 来年度以降、 しばらくはやり方を切りかえてみたいそういう考えでございます。
     それからまた、 御提言の中にありました現地在住の日本人とか、 あるいは場合によったら企業もありますし、 あるいはさまざまな日本の政府が設立をしましたJETRO、 国際観光振興協会、 あるいは自治体で共同で設置をしております自治体国際化協会などの外部の専門機関もございますので、 そういうところの活用など、 牧野議員のいろいろ御提言いただきましたことなどもごもっともでございますので、 そういう方法も加味しながら考えていきたいと考えております。
     次に、 アジア研究機関の設置についてであります。
     二十一世紀はアジアの時代であると言われており、 昨今のいろいろ現象を見ますといろいろ実感も覚えるところでございます。 そういう中に、 御提案いただきました朝鮮半島問題については、 少なくとも第一人者とも言われるような研究者を擁しております県立大学に、 その関係の研究機関を設置することは非常に有意義であると考えます。
     特に昨今、 文部科学省が大学の研究機能を高めるために打ち出してまいりました、 特別研究助成制度、 略称してCOEと言っておりますけれども、 これを獲得するに当たっては、 大学院とあわせて研究センターの設置が半ば必須条件になってるというふうにも聞きます。 県立大学の場合、 その国際関係学部を初めとしてそのCOEの研究助成を受け得る可能性もあると思いますので、 そういう意味でも研究機関をぜひ開設したいというふうに考えます。 そこで、 県立大学の現在持ってる知的資源を生かすためにも、 研究センターを設置をしてまいりたいと思います。
     しかし、 一方で大変厳しい行財政環境にありますから、 できるだけそのセンターの簡素で効率的なものに当面はしていくと。 小さく産んで将来大きく育つことを期待しながら、 必要最小限の規模とか体制でスタートしたいということで今検討していきたいと考えます。 長年やってまいりましたアジア・太平洋学術フォーラムの積み重ねも相まって、 今後静岡県がアジア研究の一大拠点になることを夢見ながら、 そういう方向で歩み出してみたいと考えております。
     次に、 茶の振興についてのうち、 全国お茶まつりについてであります。
     これまでの大会を振り返りますと、 生産中心の傾向が強くて消費者に関心を持ってもらう内容に欠けていたと。 だからもっとそういう方向へ転換すべきだという声が、 業界関係者の中から出てまいっております。
     そこで、 去る九月十七日に設立をいたしました今回の実行委員会は、 日本茶インストラクター協会、 茶道連盟、 観光協会など幅広い分野の関係者も参画した体制といたしまして、 消費者の来場しやすい駿府公園などを会場に開催することになりました。
     全国お茶まつりは生産技術を磨き競う場であるとともに、 静岡大会では県内ばかりでなく全国から多くの消費者に来てもらうために、 例えば最高級緑茶の体験サロン、 お茶料理コンテスト、 お茶をテーマとした子供絵画コンクールなど消費者が楽しめる三十以上のイベントを盛り込んだ企画づくりを進めておりまして、 静岡茶の消費拡大に結びつくこれまでにない大会にしてまいりたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (森 竹治郎君)  福山企画部長。
            (企画部長 福山嗣朗君登壇)
    ○企画部長 (福山嗣朗君)  県有施設の運営管理についてのうち、 利用率向上の戦略についてお答えいたします。
     県では、 魅力ある静岡を築く上で、 これまで整備を進めてきた県有施設の利用率の向上が大切と考えており、 このためまず引き続き利用者ニーズの調査検討、 施設の広報、 各種イベントの企画、 誘致等に努めてまいります。 また特に、 県営都市公園につきましては、 民間ノウハウの導入などを内容とした管理運営の見直しを行っているところであり、 今年度中を目途に基本構想をまとめてまいります。
     さらに、 グランシップ、 エコパ及び富士山こどもの国については、 戦略的な視点に立って利用者の増大等を図っていくため、 本年十一月に関係部局からメンバーを募って戦略政策班を設置し、 全庁的な観点から検討を進めており、 これについても今年度中に政策体系書を取りまとめ関係部局に提案を行ってまいりたいと考えております。
     次に、 静岡空港建設についてのうち、 需要予測の見直しについてであります。
     まず、 作業の進捗状況といたしましては、 これまで二回の需要等検討委員会を開催し、 経済成長率、 運航便数、 ダイヤの設定など再試算の前提条件について御議論いただき、 整理してきているところであります。 また、 前回の委員会での検討を踏まえて設置されたワーキンググループにおいて、 割引運賃など引き続き検討すべき事項とされている項目を中心に、 専門的、 技術的に詳細な検討を行っております。
     再試算結果の取りまとめ時期につきましては、 国における全国幹線旅客流動調査の報告がおくれていることなどから、 当初目標としていた年内の取りまとめは困難な状況にありますが、 年明け後、 できる限り速やかに結論を得てまいりたいと考えております。
     次に、 犯罪防止対策についてのうち、 安全社会づくりについてであります。
     安全社会づくりを進めるためには、 まず県民一人一人の自主的、 主体的な防犯活動を促進することが大切と考えております。 これに加えて、 通勤・通学路の安全を確保するための防犯灯や街路灯の整備、 不審者等から児童生徒を守る学校の安全対策の推進、 不特定多数の人々の出入りがある公園、 公営住宅、 集会施設等の視認性の確保など、 犯罪の起こりにくいまちづくりも進める必要があると考えております。
     今月設置する有識者懇談会におきましては、 このような防犯まちづくりの方針を具体化するため、 本県の犯罪発生の原因等を検証しながらソフト、 ハード両面からの効果的な対策と推進体制について検討を進めてもらい、 来年の夏ごろまでに提言をいただきたいと考えております。
     県といたしましては、 この提言を受けて取り組むべき施策を行動計画に取りまとめ、 犯罪を防ぐ安全社会づくりを強力に推進し、 さまざまな犯罪予防の取り組みが全県を挙げて始まるようにしたいと考えております。
    ○議長 (森 竹治郎君)  山口土木部長。
            (土木部長 山口 修君登壇)
    ○土木部長 (山口 修君)  道路網の整備についてのうち、 初めに中山間地域の道路整備手法についてお答えをいたします。
     中山間地域の道路は改良が必要な区間が多く整備に長期間を要していることから、 国道等の主要幹線道路を優先的にネットワーク化するとともに、 既存ストックを有効活用した効率的な整備手法の導入が必要であると認識をしているところでございます。
     このような観点から、 県では平成十三年度から交差点の改良や待避所を設け渋滞やすれ違い困難箇所の解消を図ります交通円滑化緊急対策事業や路側帯の整備などにより歩道や車道の拡幅を行う歩行者等緊急安全対策事業など、 地域の実情に合わせました効果的な整備手法を全国に先駆けて導入し、 現在六十路線、 百八十五カ所で事業を展開しているところでございます。
     今後とも、 事業の必要性や整備効果、 また地元の協力体制等も十分に考慮の上、 効率的、 優先的な整備を実施するとともに、 国に対しまして国庫補助事業の採択を働きかけるなど中山間地域の道路整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
     次に、 県と政令指定都市との一体的整備についてであります。
     合併後の静岡市が政令市に指定されました場合、 道路法第十七条に基づきまして県から新市に移管されます道路は、 国道、 県道合わせまして三十四路線、 総延長は約四百五十キロメーターでございまして、 このうち県と新市にまたがります路線は国道三百六十二号など八路線となる予定でございます。
     これら八路線につきましては、 道路管理者である県と新市が分担をして整備することになりますが、 道路がネットワークとして機能するためにはそれぞれが管理をする区間で整備状況に大きな差異が生じないよう、 十分に調整をしながら事業を実施することが大切であると考えているところでございます。 このため、 幹線道路の整備につきまして広域的な観点から調査検討しております静岡県幹線道路協議会に新市のメンバーを加えるように国に働きかけますとともに、 県と新市の間でも具体的な事業の連絡調整のため新たな協議機関を設ける必要があると考えております。
     県といたしましては、 今後とも新市への道路管理の移管を円滑に行いますとともに、 事業調整や技術的支援を積極的に行いながら県内の道路整備の促進に努めてまいりたいと考えております。
    ○議長 (森 竹治郎君)  花岡環境森林部長。
            (環境森林部長 花岡志郎君登壇)
    ○環境森林部長 (花岡志郎君)  森林の保全と再生についてのうち、 初めに森林・林業政策の基本方針についてお答えいたします。
     県では、 百年後を見据えた静岡県の目指すべき森林の姿を描き 「環境の世紀しずおかの森林を活かす」 ということを基本理念として、 地球環境の保全と安全で健康な社会環境及び美しく豊かな自然環境の実現という視点から、 静岡県森林・林業基本方針を策定したところであります。
     また、 林業への支援についてでありますが、 林業の効率的かつ安定的な経営のためには従来から進めてまいりました林道網等の基盤整備や、 専門的な知識と技能を有する作業員の育成などに加え、 新たな取り組みが必要であると考えております。 このため、 森林を資源の循環利用林などに三区分し、 機能に応じた森林整備の推進、 計画的な施業を促進する支援制度を進めてまいります。 さらに、 木材の需要拡大を図るため品質の確かな県産材を安定的に供給するシステムの確立など、 より一層の支援を行ってまいりたいと考えております。
     次に、 森林保全税の創設についてであります。
     現在の森林の状況を見てみますと森林の持つ多面的機能の低下が危惧されており、 今後一層の森林整備が求められているところであります。 このような中で、 今後の森づくりの指針である静岡県森林・林業基本方針に基づく持続可能な森林整備システムの構築を図るため、 一般県民や有識者、 市町村などの代表者による森づくり百年の計委員会を年度内に立ち上げることとしております。 この委員会において、 森林整備に係る新たな負担のあり方につきましても幅広い議論をいただきながら検討を行ってまいりたいと考えております。
    ○議長 (森 竹治郎君)  栗原農業水産部長。
            (農業水産部長 栗原 績君登壇)
    ○農業水産部長 (栗原 績君)  静岡茶の振興についてのうち、 静岡茶の基準づくりについてお答えいたします。
     茶の産地表示につきましては、 平成十三年一月に県が東京、 大阪など全国七都市の消費者五百名を対象に調査したところ、 六四%の人がお茶を摘んだ場所の表示を希望しており、 また、 お茶を摘んだ場所とお茶を仕上げた場所の併記を望む人も四〇%おりました。
     こうした消費者の要望にこたえ、 静岡茶を消費者にもっと安心して飲んでもらうためには、 産地などの情報を正確に表示することが不可欠であります。 現在、 産地表示につきましては、 日本茶業中央会が全国の産地の意見を精力的に取りまとめており、 県といたしましては、 静岡茶の信頼を高め消費者にわかりやすい表示となるよう積極的に情報提供や提案をしていくなど、 静岡茶の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
    ○議長 (森 竹治郎君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  生きる力の教育についてのうち、 初めに志を持たせる教育についてお答えをいたします。
     マスコミ報道等で、 将来の日本を担う子供たちの自信喪失や学習意欲の低下が指摘される中で、 私は今こそ学校生活の各場面において自信を持ってみずからの目標を目指し、 ひたむきに努力することができる志を持った子供を育てることの大切さを痛感をしております。
     この子供たちの志に火をつけるためには、 教育環境の整備とともに一人一人の教員の高い専門性に裏づけられた指導力と、 教育への熱意、 子供への愛情が不可欠な前提であります。 牧野議員も御指摘されたように、 人は人から感銘を受けて目覚めていくことが多く、 子供たちにとっての教員の存在は実に大きなものがあります。 そこで、 総合教育センターや各学校等において実施される研修や教員同士の切磋琢磨と人間的触れ合いを通して頼もしい先生が育っていくことが期待され、 そのように推進していきたいと考えております。
     また私は、 子供は教員に学び教員は子供の生き方に学んでいくような信頼関係こそ、 互いの志を高めるものと確信をしております。
     次に、 不登校対策についてであります。
     不登校対策につきましては最重要課題の一つと認識し、 人づくり二〇一〇プランの中でも不登校児童生徒数の当面一割減の目標を掲げましたが、 既に各学校においては現状を見直しさまざまな取り組みに着手をしております。
     まず、 児童生徒が毎日楽しく通える学校づくりを進め、 学びの喜びを実感できる授業、 わかる授業を実施するために、 少人数によるきめ細かな指導を行うなど授業改善に一層努力するよう指導しております。 また、 計画的な配置を進めているスクールカウンセラーやこころの教室相談員につきましては、 いじめや不登校児童生徒への対応に加え未然防止の観点からも、 友達関係や家庭、 学業などさまざまな心の悩みを抱えている児童生徒への積極的なかかわりをお願いしております。 さらに、 いつでもだれでもが気軽に相談に行ける校内相談体制や、 子供の悩みに答え得る教職員の対応能力の向上を図るなど、 学校全体としての取り組みの強化を一層図ってまいります。
    ○議長 (森 竹治郎君)  水田警察本部長。
            (警察本部長 水田竜二君登壇)
    ○警察本部長 (水田竜二君)  犯罪防止対策についてのうち、 街頭犯罪への対策にお答えいたします。
     街頭犯罪の抑止計画についてでありますが、 昨年における全国の刑法犯認知件数は昭和期の二倍を超しており、 なお史上最悪の数を更新しております。 このような犯罪情勢のもとでは、 犯罪の検挙もさることながら、 犯罪の発生を抑止することを主眼とする対策を強力に推進することが必要不可欠であります。 本県では従来より、 「新世紀静岡安全・安心まちづくり」 と銘打って、 県民が身近に不安を感じている乗り物盗、 ひったくり等、 街頭で発生する犯罪や空き巣ねらいなどに的を絞った防犯対策を推進しているところであります。
     今後、 「新世紀静岡安全・安心まちづくり」 を継続実施するとともに、 警察庁の指示を踏まえ、 生活安全部門や刑事部門のみではなく全部門が一体となって構成する街頭犯罪抑止総合対策本部と、 具体的対策を推進するプロジェクトチームとして街頭犯罪抑止総合対策検討会を県本部内に設置し、 街頭犯罪を抑止強化する執行体制の確保、 街頭犯罪の検挙活動の強化、 犯罪類型に応じた防犯対策の推進を柱とし、 街頭犯罪抑止計画を立てこれに沿った総合対策を推進してまいります。
     もちろん、 治安の回復は警察にその責めがあるわけでありますが、 事ここに至っては、 県を初めとする各自治体、 地域住民及び企業と連携した抑止総合対策を実施してまいりたいと考えております。
    ○議長 (森 竹治郎君)  これで牧野京夫さんの質問は終わりました。
     議事の都合により休憩いたします。

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