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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成17年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/08/2005

会派名:

民主党・無所属クラブ


質疑・質問事項:



    ○副議長 (中澤通訓君)  ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、 一番 小長井由雄君。
            (一番 小長井由雄君登壇 拍手)
    ○一番 (小長井由雄君)  私は民主党・無所属クラブ所属議員として、 以下四つの項目について質問いたします。
     まず最初に、 静岡県のもりづくりについてお伺いいたします。
     我が国は森林面積が国土の実に六七%を占めており、 森林率の高いことで知られているフィンランドやスウェーデンと同じく世界でも有数の森林国であります。 本県では森林面積五十万三千ヘクタールで県土の六五%を占め、 その所有割合は民有林八一%、 国有林一九%で、 林業産出額は全国八位となっています。
     近年、 この豊かな森林に対して木材などの林産物を生産する経済的機能だけでなく、 環境資源としてや文化資源などとしての意義も高く、 人間社会に対してたくさんの効用を生み出す公益的機能を持っていることが広く理解されるようになってきました。 森林の二酸化炭素の吸収や水源の涵養などさまざまな公益的機能を貨幣評価が可能な一部の機能について評価すると、 日本全国では年間七十四兆四百三十八億円、 本県の森林では一兆九千十一億円相当の価値を生み出していると試算されています。 荒廃が進んでいる森林ではありますが膨大な価値を生み出しております。 そしてこの価値はまだまだ高めることができ、 森林にかけた支出でその五倍、 価値を高めることが可能だと言われています。
     しかし、 木材価格の暴落、 木材需要の激減、 林業従事者の減少による放置、 荒廃森林の増加で、 これまで幾つもの効用を同時に発揮し、 膨大な価値をもたらしてきた日本の森林、 その森林を管理してきた林業、 林業に従事し森林を守ってきた人たちの住む山村が、 今、 危機的な状態にあります。 この森林の危機はまさにそこから有形無形のさまざまな恩恵を受けてきた人間社会の危機なのであります。
     県は昨年、 森林を持続可能な形で良好な状態に維持していくための新しいシステム構築に向けた具体的、 実践的な取り組みについて、 静岡県森づくり百年の計委員会より提言を受けました。 その提言に基づいて今議会に提案されているのが、 もりづくり県民税と静岡県森林と県民の共生に関する条例であります。 いずれも荒廃が進む森林の公益的機能の回復、 保全を図り、 持続的社会の実現を目指そうとするためのものであります。
     特に、 もりづくり県民税は新たに直接的な負担を求めるものであり、 県民の理解と合意を得なければなりません。 また新税を使った事業では強伐採の実施など森林所有者の理解を得なければならないというような課題があります。 事業実施に際し今後の課題と取り組みについてお伺いいたします。
     県内の森林の八一%を占める民有林は、 その所有者が経済活動を通じて適切に森林を管理することにより県民が森林の多様な機能を享受してきました。 したがって、 その多様な機能を享受し続けるためには、 森林所有者が今後も健全な林業経営を継続できることが必要です。 そのための整備が重要であります。 今回の新税ではそのような事業の実施はないということでありますが、 林業活性化のための今後の取り組みについてお伺いいたします。
     次に、 浜岡原発について伺います。
     原子力発電所は大地震に耐えられるのかが専門家や市民の間で議論され、 広い地域が地震と放射能汚染に襲われる原発震災が心配されています。 特に、 想定される地震の規模と発生確率が他の原発より高いとされる浜岡原発に注目が集まっています。 二十九年前に東海地震説を最初に唱えた石橋克彦神戸大学教授が、 ことし二月の衆議院予算委員会の公聴会に公述人として出席し意見を述べています。 その中で、 日本列島全体が地震の活動期に入りつつある、 複雑高度に文明化された国土と社会が人類史上初めて大地震に直撃されると述べ、 浜岡原発については東海地震で大事故が起これば首都圏まで放射能が達する原発震災となるおそれがあると警告して、 地震学者としては想定している揺れが不十分だと思うと述べています。
     静岡県は東海地震と浜岡原発についての見解で、 浜岡原子力発電所は原子力安全委員会が定めた耐震設計審査指針に基づいてマグニチュード八・〇と想定される東海地震はもとより、 この地域で発生した過去最大のマグニチュード八・四の安政東海地震や考え得る最大のマグニチュード八・五の地震にも耐えられるよう設計、 建設され、 十分な耐震設計を持っているものとの認識を示し、 東海地震注意情報が発表された段階で原子炉の停止に向けた作業が開始されること、 さらに地震が突然発生した場合にもその揺れを感じて自動的に緊急停止することになっていることから、 浜岡原子力発電所の安全は確保されているものと考えているとしています。
     しかし、 浜岡原発の一号、 二号機は原子炉の耐震設計審査指針ができる前に着工したものでありますし、 阪神大震災、 中越地震や宮城県沖地震では想定外の揺れも起きています。 また原発では、 地震が起きる直前、 直後に運転を停止しても膨大な高熱を発し続ける原子力の特性により、 何カ月もの間、 冷却水を循環させなければ炉心溶解の危険は去らないということであります。 地震で配管の破断や電源の喪失というような事態が起これば最悪の事態も想定されます。
     現在、 静岡県を初め御前崎市、 掛川市、 菊川市及び牧之原市と中部電力は、 原子力発電所の周辺環境の安全を確保することを目的とした協定を締結しておりますが、 原子炉施設の設備変更などに際しての事前協議と了解に関する条項はありません。 事前の通報を義務とすることを要領で定めているだけです。 原発の立地している他県ではいずれも新増設のような重要な設備変更などに関して、 事前の協議と了解を協定書の本文に明記しております。
     去る九月十三日、 中部電力は静岡県と地元四市に浜岡原発四号機でのプルサーマル計画の実施を通告してきました。 そして先月には中部電力が主催した公開討論会が行われ、 そのときにも住民代表から事前了解の規定を盛り込んだ安全協定の見直しを求める発言があったということです。 県は周辺環境と住民の安全・安心のために安全協定の改正実現に向け中部電力と協議を進めるべきと考えますが御所見を伺います。
     また、 プルサーマル計画の導入というような重要な変更に関して問題が発生したなら、 事前の通報で導入された場合と事前の協議と了解のもとに導入された場合とでの県の責任についてどのように考えるのかお伺いいたします。
     今回の浜岡原発四号機へのプルサーマル計画導入には安全に対する疑問や問題が数多く出されておりますが、 四点についてお伺いをいたします。
     一つは、 使用済みのMOX燃料をどうするのかという問題です。 プルサーマルによって発生する使用済みMOX燃料は非常に危険なものだといいます。 安全性、 経済性、 将来性など具体的に何も示されておりません。 このままいけば浜岡の敷地内で管理することになる公算が大きいのではないか。 その場合、 数百年たたなければ処理できないといわれます。 県は中部電力からどのように説明を受けどう認識しているのか伺います。
     MOX燃料は制御が難しいと言われ、 地震のような振動を加えた大規模な実験は行われていません。 つまり巨大地震に対しての検証はされていないのですが、 その点について県はどう考えているのか伺います。
     現在世界の三十二の原発でプルサーマルが実施されておりますが、 浜岡原発四号機と同じ沸騰水型での使用はドイツでの二例のみです。 まだ十分に検証されているとは言えず、 浜岡原発が世界の実験炉ということになりかねません。 県はこのような危険なことを許すおつもりなのか御所見を伺います。
     浜岡原発四号機では原子炉の中のシュラウドにひびが見つかり、 それが放置されたまま運転されています。 そのまま運転して五年後に評価することになっており、 まだ国の評価が定まっていません。 ひびの入った状態でプルサーマルに使用してよいのかどうか。 使用を可とするならばその根拠をお聞かせください。
     最後に、 原発やプルサーマル計画に対する県民の疑問に答えるために事業を実施する電力会社の側だけでなく、 中立の立場に立った県の主催による公開討論会の実施が必要ではないかと考えますが御所見を伺います。
     次に、 新型インフルエンザについて伺います。
     現在流行している鳥インフルエンザウイルスが世界的な広がりを見せている中で、 このウイルスの変異による人から人へ感染する新型インフルエンザウイルスの出現の可能性が非常に高まり心配されています。
     二十世紀以降世界的に大流行したインフルエンザは、 一九一八年のスペイン風邪、 五十七年のアジア風邪、 六十八年の香港風邪、 七十七年のソ連風邪があります。 スペイン風邪の際には世界じゅうで六億人の患者と四千万人以上の死亡者が出たと言われています。 日本でも二千三百八十万人以上の患者と三十八万八千人以上の死亡者が出て、 社会活動にも甚大な被害と損失を与えたことが記録されています。 アジア風邪でも世界全体で百万人程度の死亡者が記録され、 医療提供機能の低下を初めとした社会機能や経済活動などさまざまな混乱が報告されています。
     スペイン風邪やアジア風邪などの流行した当時と比較すると現在は医療体制の質、 量ともに大幅に改善されております。 衛生環境も向上しています。 しかしその一方で、 人口の増加と高齢化、 都市への人口の集中、 高速大量交通の飛躍的な発達など社会生活環境も大きく変化しております。 一たん出現した新型インフルエンザは短期間に世界全体へ広がり、 適切な備えをしておかなければ大きな健康被害が出ることが予想されます。 WHOの李事務局長はいつとは言えないとしながらも、 大流行は必ず起きると断言し、 新型インフルエンザの出現を防ぐため、 また出現に備えるために加盟国に対し、 大流行が起こった際の段階ごとの対応計画を策定するよう勧告しています。
     このような事態を受けて先ごろ、 新型インフルエンザの総合対策を定めた政府の行動計画がまとめられたところであります。 それによると国内で流行した場合、 最大で死亡者は六十四万人、 入院患者は二百万人、 外来患者も二千五百万人に上るとされています。 また平常時から発生、 流行に至るまでの六段階に想定した対応が決められ、 インフルエンザ治療薬タミフルの備蓄も日本全体で二千五百万人分とし、 そのうち国と都道府県に二千百万人分を割り当てることを決めました。
     静岡県では十一月二十二日に開いた新型インフルエンザ対策本部の初会合で、 流行した場合、 最大で死者一万九千人、 入院患者六万人、 外来患者七十三万六千人が発生すると報告され、 医療体制の整備や県民への情報提供などの対応を進めることを確認したということです。 通常の死亡者、 入院患者、 外来患者にさらにこの人数が加わるということになり大変な事態になると考えられます。 現在、 新型インフルエンザは鳥から人へ感染する第三段階で、 しかも人から人へ感染する第四段階に限りなく近い状況と言われており、 事前の準備を早急に進める必要があります。
     そこでお伺いいたします。 今回出現が予想されている新型インフルエンザはスペイン風邪やアジア風邪のような致死率が比較的弱いとされる弱毒性ではなく、 非常に危険な強毒性のウイルスになる可能性があると言われ、 研究者の間でも世間の認識は甘過ぎるという声が聞かれます。 県はこの新型インフルエンザに対してどのような認識をもって対応していくのかお聞かせください。
     国の行動計画に示されている治療薬タミフルの都道府県での備蓄は、 現在、 目標の〇・四%しかないという厳しい状況であるように、 県としての対策もこれから本格的に進めることになると思います。 現在までの準備状況と県がつくる行動計画の内容、 そして、 行動計画に沿った準備態勢をいつまでに整える予定なのかお伺いをいたします。
     国が都道府県に要請している治療薬の現時点での薬価は一カプセル約三百六十四円、 総額で三百八十二億円余りということでありますが、 準備を進めるに当たり静岡県ではどのくらいの予算が必要と見込んでいるのかお伺いをいたします。
     次に、 耐震強度偽造問題についてお伺いをいたします。
     首都圏を中心にマンションやホテルの建築確認で、 耐震強度を示す構造計算書が少なくとも六年前から偽造されていたという事件は、 事実の解明が進むにつれ深刻さを増しています。 これまでにも手抜き工事や施工ミスで耐震性が不足した建物がつくられてしまった事例はありましたが、 建物の安全性を担保すべき一級建築士が設計の段階でそうと知った上で故意に重大な危険のある建物の量産に手をかしていたということであります。 大勢の人の命と財産を脅かす極めて悪質でモラルの欠如した許しがたい行為であります。
     全国で大地震が近い将来にも発生する可能性が非常に高いと指摘され、 減災への取り組みが急務となっている地震列島の上に建設される建物ならば、 耐震性は最優先で確保されなければならない時期の背信行為であります。 このような耐震強度偽造行為による強度不足の建築がさらに各地に広がっている懸念はないのか、 国や自治体は対象建築物の耐震度調査と建築確認全般にわたっての点検を早急に実施する必要があります。 そして、 何よりも住民の安全確保と不安の解消を最優先し、 緊急避難先や補償問題に対する相談窓口の設置などできる限りの支援を急がなければなりません。
     今回の偽造問題は県内にも波及しており、 静岡市のホテルの入ったビル、 沼津市の建築中のホテル、 湖西市のホテル、 そして掛川市のホテルでも建築構造計算書が偽造されていました。 さらに、 熱海市でも姉歯設計事務所の構造計算書偽造を見逃していた民間検査機関の建築確認した建物がマンションなど工事中を含めて二十二棟あることも明らかになり、 今後、 耐震強度の点検をしていくということであります。 現在までは一人の建築士がかかわった物件が問題となっていますが、 民間指定機関が建築確認検査をするようになって以降のマンションを購入した人たちの間でも不安が広がっています。
     また、 今回、 偽造を見逃した検査機関の中に自治体も含まれていることから、 それ以前の建築物に対しての心配もされているところであります。
     そこでお伺いをいたします。 建築基準法という法律のもとに行われてきた建築確認検査制度の信頼が揺らぐ偽造問題が発生したのにはどこに問題があったからと考えるのかお伺いをいたします。
     本県で国土交通省指定機関を除いて、 確認検査を行うことのできるのは、 静岡県、 静岡市、 浜松市、 富士市、 沼津市の五つの自治体と知事指定の民間確認機関二つであります。 これらの機関に対する通常の検査体制と今回の問題が発覚した後の対応について伺います。
     国土交通省は罰金の大幅引き上げを柱とした建築基準法を改正する考えを示しています。 静岡県でも本県内の確認検査機関への指導や制度運用の見直しなどが考えられると思いますが、 今後このような問題が起きないために県としてどのような対策が考えられるのかお聞かせください。
     本県ではマンションでの建築構造計算書の偽造は発覚しておりませんが、 今後どのような事態が起きるのか予測できません。 住民の緊急避難先や補償問題に対する相談窓口など急を要する事態も考慮しておかなければなりませんが、 どのように考えているのかお伺いいたします。
     現在問題になっている業者以外の関係する建築物についても不安に思っている県民が多数おり、 県への問い合わせもあると思いますが、 どのように対応しているのか。 また偽装が判明した建築物について今後どうするのか、 今回問題になっている業者がかかわった建築物への対応についての考えもあわせてお伺いをいたします。 (拍手)
    ○副議長 (中澤通訓君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  小長井議員にお答えをいたします。
     静岡県のもりづくりについてのうち、 もりづくり県民税についてであります。
     もりづくり県民税は荒廃した森林の再生を進めるために新たに負担をお願いするものでありますことから、 何よりその意義や必要性について県民の皆様に十分理解していただくことが大切であります。 このためこれまでもさまざまな方法で広報に努めてまいりましたが、 新税の導入をお認めいただきましたならば改めてまた県民だよりを通じ、 また市や町の広報紙に掲載をお願いして広報に努めるとともに、 導入後は外部評価機関による新税の使い道や効果の検証とその情報の公開を通じて一層理解が深まるように努めてまいります。
     また、 この税を財源とする事業は森林の持つ公益的機能を高める目的で人工林を部分的に伐採をし、 広葉樹林化を促すものであります。 したがって森林の資産価値については考慮せずに事業の成果、 すなわち水源涵養とかあるいは災害防止という成果が権利者の営利に結びつかないよう配慮して行うものでありますから、 実施に当たっては権利者の理解が不可欠であります。 このため市や町、 地元の皆様の協力を得て、 きめ細かな説明会の開催や森林組合による働きかけなどを通じて個々の権利者の理解と協力を得て実施してまいりたいと考えております。
     次に、 林業活性化のための今後の取り組みについてであります。
     健全な森林を育てるためには公益的機能の発揮に着目した環境の視点からの取り組みとともに、 持続可能な林業経営が行われることが何よりも大切であると認識をしております。 現状では民有林の経営はその大半が極めて小規模でしかも分散しておりますことから、 総じて効率的な森林整備や素材生産が困難となっており、 このことが木材価格の低迷と相まって森林所有者の経営意欲を減退させております。 しかし、 このような中にあっても共同で機械化を進め生産性を上げている意欲的な林業家のグループも静岡市内を初め各地に存在をしております。 一方では森林組合が中心になって森林の集団化、 高性能機械の導入によって新しい生産システムを実現した例も見られております。
     県といたしましては夢と展望を持って林業の将来を担う若手林業家の育成に努めるほか、 生産性を上げるための森林の集団化や高性能林業機械の導入などを支援することでコスト縮減と採算性の向上を図り、 県産材の利用促進とあわせて森林所有者の経営意欲を高め、 林業の健全な発展を実現してまいりたいと考えております。 この意味で富士山ろくで実験をしております高性能林業の実施のモデル事業、 この成果に期待をしているところであります。
     なお、 その他の御質問につきましては、 関係部局長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長 (中澤通訓君)  白岩総務部長。
            (総務部長 白岩 俊君登壇)
    ○総務部長 (白岩 俊君)  浜岡原発についてのうち、 安全協定についてお答えいたします。
     浜岡原子力発電所の周辺環境の安全を確保するため、 本県の原子力発電所の安全確保等に関する協定では、 中部電力は浜岡原子力発電所の施設の設置または変更などの事案については、 あらかじめ県及び地元の自治体に通報することとなっております。 この通報を受け県では中部電力に対し公開の場での説明を求めるとともに、 原子力発電所の規制、 監督を行う原子力安全・保安院の見解を聞き、 さらに必要に応じて原子力対策アドバイザーの見解を聞くなどにより県として安全性を確認することとしております。
     本県の協定に事前了解の規定がないことにより、 これまで中部電力と地元自治体や県との間で不信感が生ずるようなことはなかったと思っております。 現時点では事前了解の規定を盛り込む必要性はないのではないかと考えております。 また原子力発電所は電気事業法及び原子炉等規制法に基づき、 設計、 建設から運転管理に至るまですべて国により許認可、 指導監督が行われることになっておりますことから、 仮に原子力発電所の施設の変更に関し問題が発生した場合には、 国及び事業者がその責任において適切な対応を行うべきものであります。 安全協定に基づく事前了解のあるなしにかかわらず、 県に施設の変更等に係る監督機関としての責任はないものと考えております。
     県といたしましては県民の安全を守るため、 今後ともあらゆる機会をとらえ、 国に対しては事業者に対する厳しい指導監督を、 また中部電力に対しては安全の確保に万全を期するよう求めてまいります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  花森企画部長。
            (企画部長 花森憲一君登壇)
    ○企画部長 (花森憲一君)  浜岡原発についてのうち、 初めに、 プルサーマルの安全性についてお答えします。
     まず、 使用済みMOX燃料の処理についてであります。 中部電力からは一たん発電所内の燃料プールに安全に保管した後、 国の原子力政策大綱に沿って検討される方策に従い処理していくと聞いております。 なお国の大綱ではプルサーマルが導入される予定の二〇一〇年ごろから、 中間貯蔵及びその後の処理方法等について検討することとしております。
     次に、 地震時におけるプルサーマル問題については、 今後中部電力から国に原子炉設置変更許可申請が提出された場合、 国において改めて検討されるものと考えておりますが、 MOX燃料炉心は原子炉内の燃料を適切に配置することでウラン燃料炉心と同様に制御、 停止させることができると伺っております。 一方浜岡原子力発電所についてはマグニチュード八・五の地震を考慮して耐震性が確保されているとともに、 中部電力ではさらに耐震性を向上させる耐震裕度向上工事を順次実施していると承知しております。
     また、 現在プルサーマルが実施されている沸騰水型原子力発電はドイツの二基ですが、 この二基では一九九五年以降継続して安全に運転されています。 このほかに我が国の敦賀原子力発電所の一号機を含め、 世界で十二基の沸騰水型原子力発電所でプルサーマルが実施された実績があると承知しております。 定期検査でひび割れが発見された四号機のシュラウドについては既に国が健全性を確認しておりますが、 国においては事業者から原子炉設置変更許可申請が提出された際、 改めて検討されるものと考えております。
     次に、 公開討論会についてであります。 現在、 中部電力では御前崎を初め地元四市において全戸訪問による説明、 町内会規模での説明会や全市規模の拡大地区説明会を開催し、 地元の理解を得るように努めております。 また十一月十九日には御前崎市において同社主催の公開討論会が開催され、 国も積極的に参加してさまざまな立場から意見や議論が交わされたと承知しております。
     原子力政策は国の基本方針として進められていますことから、 本県が十一月十六日に実施した国及び本県選出の国会議員への予算等の提案、 要望活動におきまして、 国主催による公開討論会の開催を要望したところであります。
     なお、 県による公開討論会の開催は考えておりませんが、 地元からの要請があれば、 改めて佐賀県が実施した例にならって国に働きかけてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (中澤通訓君)  川口健康福祉部長。
            (健康福祉部長 川口正俊君登壇)
    ○健康福祉部長 (川口正俊君)  新型インフルエンザについてお答えいたします。
     新型インフルエンザについては、 最悪の事態をも視野に入れて周到に準備することにより県民の健康を守るとともに、 徹底的な情報開示により正しい知識の提供と不安の解消に努めていくことが重要であると認識しております。
     県ではこれまで十一月十四日に公表された国の行動計画を受け、 十一月十八日には知事を本部長とする対策本部をいち早く立ち上げたところであります。 また県のホームページを通じて新型インフルエンザに関するQ&Aを公表したところであります。
     県の行動計画につきましては、 発生の早期感知、 流行初期において感染拡大の防止のために入院治療を行う医療機関の指定、 確定診断のための検査体制等について、 医療の専門家による新型インフルエンザ医療専門家会議において具体的な検討を行い、 本年中に県の保健医療対策行動計画を策定、 公表いたします。 また行動計画に沿った対策を事態の推移に応じ迅速に実施していく方針であります。
     なお、 行動計画を具体化するための経費につきましては、 今後国の動向等を踏まえ検討していくこととしております。
    ○副議長 (中澤通訓君)  山村都市住宅部長。
            (都市住宅部長 山村善敬君登壇)
    ○都市住宅部長 (山村善敬君)  耐震強度偽造問題についてお答えいたします。
     今回の原因につきましては、 建築確認システムや審査基準のあり方とそれに携わる関係者の業務への取り組み姿勢にも問題があるのではないかと想定されますが、 これについては今後具体的に検証してまいりたいと考えております。
     知事が指定した確認検査機関については、 従前より建築基準法に基づき年一回の立入検査を行っておりますが、 今後早急に緊急調査を実施し、 審査の体制や手法を確認するなど厳正な審査の徹底を図る一方、 県としてもこれまでの確認検査体制を大きく見直し、 構造計算プログラムの導入、 設計者からの直接聴取などチェック機能を強化して厳格な審査体制の充実に努めてまいります。
     現在設置している相談窓口には、 十二月七日  昨日ですけども  七日現在、 百六十六件の相談が寄せられておりますが、 その多くは今住んでいるマンションやこれからマンションを購入する際の安全性の確認に関するものや再調査するにはどうしたらよいかという相談でありまして、 現在のところマンションなどについて具体の問題は発生しておりません。 万が一そのような事態が発覚した場合は、 該当建物の関係者への聴取や指導や場合によっては住宅のあっせんなど早期の対応を図ってまいりたいと考えております。
     また、 今回問題となっている業者等がかかわった建物については現在調査中であり、 今後偽装が判明した場合、 耐震性が不足するものについては建築基準法等に基づき厳正に改善を指導してまいります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  一番 小長井由雄君。
            (一番 小長井由雄君登壇)
    ○一番 (小長井由雄君)  ただいま御答弁をいただきまして、 特に浜岡原発についてでございますが、 安全協定の中で事前の了解事項、 これにつきましてはですね、 これまで中部電力との信頼関係というような言葉を使ってるわけですけれど、 今議会ではですね、 不信感を持つことがなかったというようなこう言い方が若干ニュアンスが変わってきたかなあと、 答弁の中に思うわけでございますが、 この事前の了解事項というのはですね、 県がこの原発という一度事故が起こればその地元の市町村だけじゃなくて広い、 もっと広い県全体、 あるいはもう日本の全体にまで及ぼすような大きな被害を及ぼすというようなことでありまして、 もう少し県がですね、 積極的にかかわっていく、 そのための事前協議というのも必要ではないかと思います。
     先ほどの御答弁ではですね、 国の許認可であって監督機関としての県に責任はないというような言い方、 御答弁でございましたけれど、 もう少しこの原子力発電、 浜岡の原発に関しては前向きにですね、 積極的に県もかかわっていく必要があると私は考えるわけでございますけれど、 その点もう一度御答弁をいただきたいと思います。
     それからMOX燃料についてでございますが、 二〇一〇年ごろから検討されるということにはなっておりますが、 具体的にはまだ何も示されていないわけでございまして、 ほんとにこの二〇一〇年から始まるのか。 まあ始まったとしてもその後の協議はどうなるのかということで全くわからないわけでございます。
     そういった中で、 このプルサーマルの導入をされるということでございますので、 もう少しその辺のところはしっかりと具体的に詰めて話を中電から聞くという姿勢が必要ではないかと思いますが、 その点についてのお考えをお願いいたします。
     それと公開討論会でございますが、 地元から要請があればというようなお話でございました。 先ほど申し上げましたように、 この原発というのはですね、 地元だけじゃなく大変広いところに及ぼしますから、 地元の要請がなくても県が積極的に開催をしていただきたいと思います。 以上です。
    ○副議長 (中澤通訓君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  小長井議員にお答えいたします。
     安全協定の問題でありますが、 そもそもこの原子力発電所の問題について県がどういう立場でどういうかかわりを持つかという基本の問題について私の見解を述べたいと思います。
     この非常に高度に専門的な知識と体制を整えていかないと対応できないこの種のものについては、 国が責任を持ってやるということになってるわけです。 で、 仮に県がこれについてまたさらにダブルチェックのような格好で国を上回る体制でこれに対処しなければいけないなんていうことになると、 どけだけのお金と体制を整えていいかはかり知れないものがありますね。 私は国に対してそういう意味では不信感を持っておりません。 地域の安全を守る責任のある知事としての、 あるいは静岡県のとるべき立場は国にしっかりやらせるということ。 それに対してはいろんな我々手だてがあるわけでありますし、 またそれを支える県民の力もあるわけでありますから、 その前提に立ってですね、 国にしっかりやらせると。 そのやらせる上で必要最低限の我々もいろんな知識もなければいけない、 研究もしとかなければいけない。 そういうふうにやるべきではないかと思うのであります。
     国を上回る責任を全部県がしょって立つということになったら、 仮にそういうことをやった上でですね、 万が一これが容認されてとんでもない事件になったらだれが責任とるんですか。 県の責任になっちゃうじゃないですか。 そんなあほな仕組みというのはありませんよ。 すべて私は国にきちんとやらせると。 そのためにこそ知事がしっかりしなきゃいけない。 私はそういう考えで臨んでるわけでございます。
     したがって、 安全協定の問題でその事前の了解事項があろうがなかろうがですね、 中部電力に対し、 あるいは国に対して静岡県がきちんと地域の皆さんの心配やあるいは安全に対する信頼感を獲得できるようにさせる。 そのことについて事業者も国もそういう方向へ向かってるということであれば、 私は事前了解の項目があろうがなかろうがですね、 関係はないと私は思っておるわけであります。 仮に事前了解の項目があってですね、 それが極端に言ってどういう法的効果をもたらすかといえば、 実は政治上の効果しかないわけですよ。 事実上の道義的責任しか縛れないわけであります。
     ですから、 そんなことにエネルギーを使うよりは、 いかにきちんと中電や私は国に対して公開の原則のもとに、 どういう公開をすればどういう専門家が見て意見を言わんとも限らないわけでありますから、 それを徹底し追及させる。 そこをベースにしてですね、 我々自身も一定の見解を持って臨むと、 そういうことが大事だと思うんです。 その限りで原子力対策アドバイザー制度のもとにこれまで我々が事業者や国に対してやってきた対応は功を奏しておると私は確信をしてるところでございます。
     また、 MOX燃料の問題についても同様にですね、 現状の原子力発電所の使用済み核燃料をそのまま放置すれば日本がとめどもなくプルサーマルをためていくということになって、 これはこのプルサーマルの平和利用ということを一方で言いながら、 これをきちんと処理する体制ができてなければ国際的な信頼を獲得できないわけでありますから、 今現在具体的にこれをどう処理するということはその処理上の着地場所がなかなか確定しないというような難点もあって稼働してなかったわけでありますけども、 これは国の責任において二〇一〇年以降解消するという、 今そういうもくろみのもとに進めておるわけでありますから、 これをきちんと約束をさせる、 あるいはそういう方向へ追い込むと、 これが大事ではないかと思うわけであります。
     公開討論会の問題も国において責任を持って開催をしていただくよう、 きちんとこれは働きかけ実現を目指すべきものと考えております。
    ○副議長 (中澤通訓君)  これで小長井由雄君の質問は終わりました。

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静岡市葵区追手町9-6

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