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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/29/2012

会派名:

民主党・ふじのくに県議団


質疑・質問事項:

1 美しく品格のある邑づくりの推進について             
2 住宅エコ診断士制度の創設について                
3 経済活性化の視点での男女共同参画推進について          
4 財団法人静岡県文化財団のあり方について             
5 障がいのある人への相談支援体制の充実について          
6 教育行政について                        
 (1) ふじのくにの人づくりのあり方                 
 (2) 高等学校の学校図書館の充実と読書活動推進



    ○議長(小楠和男君) これで深澤陽一君の質問は終わりました。
     次に、三十八番 佐野愛子君。
           (三十八番 佐野愛子君登壇 拍手)
    ○三十八番(佐野愛子君) 私は民主党・ふじのくに所属議員として当面する県政の諸課題につきまして、知事、関係部局長、教育長に伺います。
     初めに、美しく品格のある邑づくりの推進について伺います。
     待望の新東名高速道路が開通し、ふじのくにの新しい横軸ができました。内陸を走る新東名は農山村を横断する道路でもあります。景観を楽しむように配慮されているスケルトンの防音壁から新緑の山々を楽しみながらドライブを楽しむ方々が大勢訪れています。先日議員研修会での東郷補佐官も強調していらしたように、先ほども話題になった内陸フロンティアと銘打つふじのくににとって、農山村の手入れされた景観はこの上ない貴重な財産なのです。
     しかし、この美しい景観はいつまで続くのでしょうか。放置竹林がはびこって、一つの山全体が竹林になっているような目を背けたくなるような地点もあります。そして私が今一番危惧しているのは茶園の姿です。「山は富士 お茶は静岡 日本一」というように、手入れされた茶園はふじのくにの景観として誇らしい財産であります。牧之原、大井川筋の茶園の畝は、他県の人にとっても外国の方にとっても感激する観光資源でもあります。
     しかしながら、長引く茶価の低迷、凍霜害や放射能の影響からの大暴落、そして主な働き手が七十代から八十代という高齢化。もうことしでお茶づくりはやめたという農家が私の近くでは相次いでいます。これまでお茶は、静岡県の主産業としてあらゆる手だてを講じてきました。そして振興を図ってきたはずです。しかし急斜面にはいつくばるような茶園で、細々と従来の茶工場に生葉で出荷するような農家は生き残っていけないのが現実です。もちろんほかの産業においても、円高や海外移転に伴って廃業に追い込まれる工場や商店はそれは多くあります。しかし農家が生産をやめるということは、即、国土の荒廃につながるのです。一度手入れをすることをやめてしまった農地を再生するのは至難のわざです。県は今耕作放棄地二千ヘクタールの解消を目指していますが、現状の農地を放棄させないことのほうが喫緊の課題であると思います。そのためには担い手の育成とともに、地域に愛着を持つ人々や景観や伝統文化を守る地道な活動を評価していくことが大切です。
     県は、ふじのくに美農里プロジェクト、一社一村ふじのくに運動などを活用して、ふじのくに美しく品格のある邑づくりに取り組んでいます。棚田など里山に地元やNPOの皆さんが多く集まって手入れをしている箇所もふえてきました。しかしこういった活動が一過性のイベントで終わったり、いつまでも行政に頼ったりしているのでは問題は解決しません。地元が主体となって経済的に採算が合うような仕組みづくりが継続の条件であると考えます。
     ふじのくに美しく品格のある邑づくりの推進に向けて、現状の課題解決に向けて、県はどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、住宅エコ診断士制度の創設について伺います。
     地球温暖化抑制や原子力発電所の停止に伴って、エネルギー問題は言うまでもなく最大の課題です。その中で住宅は全消費エネルギーの一五%を占めています。今後の住宅には、最終的目標として外部のエネルギー供給に依存しない省エネ住宅が求められると考えます。今後三、四年のうちに、住宅で使用するエネルギーは自分の敷地内でつくり、CO2の排出量をプラスマイナスゼロにするゼロエミッション基準が示される見込みです。
     このようなゼロエミ基準が示された場合、新築住宅へのゼロエミ住宅の義務づけにあわせて、既存の住宅においても省エネ改修を行わなければ全体の目標は達成できません。窓や外壁、屋根の断熱化、省エネ機器、発電機器など部位の交換などによって効果を高めようとするエコポイント制度等がありますが、住宅全体のエネルギー事情がどの程度改善されたかは数値として把握できません。既存の住宅に関しては、一軒一軒のゼロエミ度を調査して数値化し、目標を決めて省エネ、創エネ対策をとらなければ実質的な効果は得られません。
     静岡県は、周知のとおり住宅の耐震診断を行い、現状の耐震力を数値化して示し、その数値化された補強計画のもと補強工事を行う「TOUKAI―0」事業を実施しています。この方式を生かして既存の住宅の省エネ度を診断し数値化して、目標となる数値まで上げるにはどのような改修を行うかを具体的に提示し、省エネ住宅に改修を進めていく制度が必要であると考えます。そのために省エネ診断士、エコ化相談士のような住宅エコ診断士制度を創設し、省エネ住宅への改修補助制度を全国に先駆けて創設することを提案いたします。県の前向きな答弁を期待します。
     次に、経済活性化の視点からの男女共同参画の推進について伺います。
     今月六月二十三日からきょう二十九日までは、男女共同参画週間です。ことしの重点は、男女共同参画による日本再生。人口減少・高齢化が進む中で、東日本大震災からの復旧・復興、日本経済の再生等さまざまな課題の解決を迫られる我が国において、女性が社会のあらゆる場面に参画し、その能力を発揮することがますます必要とされています。
     労働人口が減少することを踏まえ、国も税と社会保障の一体改革を進めているところです。これからは元気な高齢者や女性も働いて納税者となり、支える側に回ることが重要なポイントとなります。そのためには男性も女性も働きやすい環境を社会全体で整えていくことが求められます。まさにワーク・ライフ・バランスなくして、これからの日本は回っていかないことは明白です。
     日本は、世界的に見て男性も女性もひとしく教育を受けるなどの指針の人間開発指数は十二位でありますが、男女が平等に能力が生かされているかをはかるジェンダーギャップ指数はなんと九十八位という結果です。三月に開催された内閣府の第四十回男女共同参画会議において、野田総理は「我が国は女性が活躍する大きな伸び代がある。女性は日本の潜在能力の最たるものである」と述べています。政府は、社会のあらゆる分野に、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合が三〇%程度になるようにとポジティブ・アクションを推進してきました。その結果、例えば藤枝市の農業委員は三十一人中二名の女性枠が設けられ、農業に携わる女性の代表として積極的に政策決定にかかわっています。ほかのあらゆる審議会、自治会、県や市の行政、学校の管理職などまだまだ十分という現状ではありません。
     そして、今後最も注目され重要な分野は、経済社会分野での女性の登用です。新商品の開発に女性の意見や感想、評価を参考にすることによって、二十万個も売れるヒット商品が生まれたなど、実際に財布のひもを握り、購入決定をする最大の消費者でありアドバイザーである女性。これまで男性だけに偏りがちだった企業、経済の分野に多様な価値観と発想を取り入れることは、大きな成長を促す源となります。会社にも女性役員を積極的に登用して、経営にも多様な視点を送り込むことが低迷している日本経済に今こそ必要です。またさくや姫プロジェクトに紹介されている北極しろくま堂の園田さんのように、みずから仕事を起こそうとする起業する女性も頼もしい存在です。ぜひ支援を続けたいものです。
     県は、経済活性化の視点で今後どのように男女共同参画を推進していくのか伺います。
     次に、財団法人静岡県文化財団のあり方について伺います。
     静岡県の文化の象徴として県都静岡の東玄関にそびえ立つグランシップ。そのグランシップは来年秋ごろよりスレート落下防止工事と館内設備の充実のために、当分の間姿を隠すこととなりました。これまで指定管理者としてグランシップを運営しているのは、財団法人静岡県文化財団です。館全体の維持管理、貸し館業務はもちろん自主文化事業を計画し、県の文化向上の一翼を担ってきました。しかしグランシップが長期にわたり休館するとなると、業務の内容が変わってくることは歴然です。文化財団としてどんな活動を計画しているのでしょうか。そしてこの際文化財団の原点に立ち返り、静岡の文化の推進のためにはどんなスタンスで活動を構築していくべきか見直すよい機会でもあると思うのです。
     これまで、グランシップという大きな箱物の維持管理という大義名分がありましたが、静岡の文化は何もグランシップだけに存在するわけではありません。県内各地に文化を根づかせ、また発掘するために現場に出向いていく姿勢を持つべきです。財団の目的にも、各種文化事業を行うことにより個性豊かな県民文化の振興を図り、県民生活の向上と活力あふれる郷土づくりに寄与することとうたわれています。さらにふじのくに文化振興基本計画の「みる」、「つくる」、「ささえる」人を育て感性豊かな地域社会の形成の達成のために、文化財団の果たす役割はあるはずです。財団固有の事業をもっと工夫し膨らませる余地もあるはずです。来年四月公益財団法人に移行を予定しているようですが、その名のとおり県民すべてに公益的に活動できる団体でなければなりません。
     そこで、県民に上質な文化に触れる機会を幅広く提供するために休館という機会を活用し、SPACのリーディングカフェのように文化財団が積極的に外に出て、ふだんはグランシップに来館しなければ鑑賞できないような自主企画事業を県下各地で実施することができないかなど、グランシップの休館中の対応について伺います。休館中に文化財団が大きく進化して、リニューアルの暁には、グランシップが活気あふれ文化の拠点として機能的に運営できるまでに生まれ変わっていることが求められますが、文化財団のあり方について、県の所見を伺います。
     次に、障害のある人への相談支援体制の充実について伺います。
     障害をめぐる政策は、障害者基本法の改正に始まり障害者自立支援法の改正など大きな変革の中にあります。さらにこの六月には、障害者自立支援法が障害者総合福祉法と名前を改め、制度のすき間のない支援の提供や個々のニーズに基づいた地域支援体制の整備などを内容として成立したばかりです。私はこれまで、お年寄りの介護保険制度に比べて障害者福祉は充実度が足りないと感じていました。介護が必要になったお年寄りは、介護度の認定さえとれば一人一人にケアマネジャーがついて状況に合ったケアプランを作成してくれます。そしてきめ細やかにニーズに合ったサービスを実際の事業所と提携して提供してくれます。制度の内容がよくわからない家族にとって大変頼もしい存在です。
     一方、障害者の家族からは、今どんな障害者福祉サービスがあるのか、どこに行けばいいのか、どんなサービスが自分に合っているのか、どれだけ使うことができるのかなどよくわからないという声を聞きます。特に重症心身障害児・者の家族は、ショートステイを希望してもなかなか予約をとることができない、夜間の介護や看護をしてくれる人が見つからないなど自分で奔走するしかない状況です。
     そんな中、この四月から改正障害者自立支援法が全面施行されて、障害のある方に対する相談体制が強化されました。そして平成二十六年度までに、障害者福祉サービスの利用者の全員にサービス等利用計画を作成することになりました。これは介護保険でいうケアプランに相当するものであり、画期的なことであると考えます。障害者や家族にとって、さまざまなサービスを状況に応じてコーディネートしてくれるケアマネさんがついていてくれれば、どんなに心強く頼りになることでしょう。
     県は、制度の開始に向けてまずケアマネに当たる相談支援専門員の養成に取り組んでいると伺っていますが、必要な人数と資質を備えた相談員が順調に確保できているのか、各市町では利用計画の作成を順調に進めていけるのか、計画に見合ったサービスが提供できるような体制があるのかなど課題が予測されます。さらに身体、知的、精神など障害に合った適切な計画が立てられ、また入所、通所、在宅など状況に合った計画が本当にきめ細やかにできるかも問題となります。また県で進めているふじのくに型サービスと連携して、各地域で有効的に進められればいいなと期待もしています。県は、相談支援体制の充実に向けて今後どのように対応していくのか伺います。
     次に、教育行政について伺います。
     まず、ふじのくにの人づくりのあり方についてです。
     去る十六日に開催されたあり方検討会を私も傍聴し、四時間に及ばんとする審議をしっかり拝聴いたしました。金子教育委員長、安倍教育長から教育委員会の役割や機能、施策の説明があり、八人の委員からさまざまな意見が出されました。教育委員に対する課題としては、非常勤である教育委員には時間的制約があること、ボランティアは当然でありながら重い責任があること、委員会の内容が県民に見えないことなどが挙げられましたが、委員会の議事録等を拝見すると、非常に真摯な議論が責任を持ってなされていることが明らかにされました。事務局体制については、教員が多くを占めていることや市町村教育委員会と県教委との権限や役割についてなど指摘されました。
     委員から、静岡の教員はすべて自分たちで何とかしようとする意識が強過ぎる、もっと外部機関や第三者機関を頼ってもいいのではという意見が出ました。また教育現場の問題点をもっと顕在化していかないと解決に結びつかないという声も出されました。さらにこれらを受けて、教育委員会と知事と政策的議論をして課題を共有化し、予算編成にも反映していく機会を持つべきだという意見も出ました。まだ一回目の検討会であり、今後の議論の行方を注目するところでもありますが、私としては静岡の教育改革にさらなる応援をいただいたと受けとめています。
     もともとこの検討会は、続発した教職員の不祥事を受けて静岡の教育の問題点を洗い出すという目的で開かれたものです。私たちが受けてきた静岡の教育ってそんなに問題があったのかという若い子の素朴な疑問を耳にしました。それは大きな誤解です。教育体制の問題であり、静岡の教育活動に何ら問題があるわけではないということをはっきりさせなければなりません。さらに日々教壇に立っている現場の教師が、自信を失うことなく希望を持って子供たちに立ち向かうようでなければなりません。
     静岡の学校教育は、理想のふじのくにの有徳の人を育てるという高い目標を掲げて取り組んでいます。友達と協力し合い、思いやりのある心豊かな子、徳のある子、丈夫な体で鍛える子など知・徳・体のバランスのとれた子供の育成を目指しています。子供の学びとは単なる偏差値で示されるものだけではなく、さまざまな価値観を持つ他者とのコミュニケーションを図りながら協力し、社会の中でみずから課題を見出し、主体的に解決する力を身につけることと静岡の教師は認識しています。グローバル化された社会にも対応できる力の育成を目指しています。そして県内どこでも校内研修や地区研修が盛んで、常に新しい授業研究、指導方法を学んでいます。お互いに授業を公開し合って個に応じた教育を実現しようとしています。教育方法は全国的にも高いレベルにあり、進んだ授業実践校には県外からの視察も絶えません。来年度静岡式三十五人学級の全学年が完結することにより、静岡の子供たちの学びを検証しさらなる発展を期しているのが現状であると私は認識しています。
     教育長は、ふじのくにの教育のあり方の現状を今どのようにとらえ今後進めていこうとしているのか、見解を伺います。
     次に、高等学校の学校図書館の充実と読書活動推進について伺います。
     ふじのくにの士民は、一人一人が本に親しみ書を通じて豊かな人生を送ることができるような読書県しずおかでありたいという願いを込め、県教委は静岡県子ども読書活動推進計画を策定しています。本年度は幼児期から本に親しむためのブックスタート事業、大人の読書活動啓発のためのメッセージコンテストの開催など幅広い年代への働きかけを始めたところです。昨年度は、小中学校の学校図書館司書未配置の町へ兼任ではあるものの三名の配置がなされ効果を上げているところです。
     それでは、小学校、中学校と培われてきた読書の習慣が高校になるとどうでしょうか。部活動や就職、進学の準備に追われ、読書の習慣が途絶えてしまうケースも多いと考えられます。静岡県高等学校図書館研究会事務局発行の平成二十三年度高等学校における図書館教育に関する研究報告によると一人当たりの年間貸出数の平均が七冊を超える県立高等学校は四校しかなく、一冊以下の学校が十一校もあるという大変憂うべき数字が出されています。一斉の朝読書を行う高校はふえているのにどんな本を選書しているのかも危惧されます。特に図書館業務のために配置されている事務職員は専任となっている例は少なく、ほとんどの学校では兼任で四時間程度の業務を行っているとのことです。高校時代といえば、書物によって自我を確立し、専門性を追求しようとする人生の扉をあける大事な時期であるということは言うまでもありません。また自主学習やほっとする居場所など図書館の役割には多様性があります。その学校図書館に、資格を有する図書館司書が県費で配置されていないことも残念です。
     私は、静清高校という私立高校に月一度程度ではありますが、読み語りのボランティアに行っています。学校でも、読書に力を入れるようになってから生徒が落ち着いて安定してきた、ついでに野球も強くなったという大きな変化も実感しています。本当です。高校段階でも、読書が生活面にも学習面にも大きな効果をもたらすものであると感じています。
     高等学校における学校図書館の充実と読書活動の推進について教育長に伺います。以上、答弁よろしくお願いします。(拍手)
    ○議長(小楠和男君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 佐野議員にお答えいたします。
     初めに、美しく品格のある邑づくりの推進についてでございます。
     この「邑」という字は難しい字です。きへんに「寸」と書く「村」ではなくて、都邑というふうに使われたこともありますが、これは人々の集まるところという意味で、地域コミュニティーというほどの意味のことです。ですから都会でも、したがってもちろん村でも使われるというようなものです。しかし基本的にはだれもがあこがれる農山村づくりを進めるために、個性的で美しい田園環境や自助、共助の精神にあふれた農村社会、創意工夫を凝らした地域経済の視点から、持続的発展が見込まれる地域を美しく品格のある邑として認定するものであります。ちなみにこの「邑」という字の提案をしたのは、現在の森山副知事、当時の交通基盤部長です。
     この「邑」に引かれた国内からの訪問客の増大を契機にいたしまして、農産物の需要拡大や関連産業の活性化、コミュニティービジネスの創業が促進されることによって、農山村の経済的自立を図りたいというそういうねらいがございます。現在本年度の認定に向けまして、この活動主体は県内三十五市町すべてでございます。このすべてが参加いたしましまして、ふじのくに美しく品格のある邑づくり連合が発足をいたしました。そして認定をするために候補地の選定作業が始められております。これを受けまして、本県ではロゴマークを作成する、ホームページを開設する、またスマートフォンを活用する等情報提供によりまして広く国内外に情報発信するとともに、シンボルとなる邑を知事が顕彰することを通してブランド化を進めてまいりたいと思っております。
     この美しく品格のある邑づくりは内陸のフロンティアと深く関係しております。内陸のフロンティアすなわち内陸部のほうは農山地域でございますので、そこの地域が美しく品格のある地域コミュニティーが連続しているというふうになることが大事でございます。いってみれば、これは人々がいるので、そうですね、ガーデンシティーですね。美しいまちと、ルーラル・ガーデンシティーと言っていいと存じますが、昔これは田園都市というふうに言われましたが、田園都市は日本では失敗しました。全部都市化してだめになりました。それを何とかそういう弊に陥らないために、いわば農芸都市、農都と。商業都市とか工業都市という言い方がございますが、それに対しまして農都という形でその地域のイメージをつくり上げていくということをするためにも、この美しく品格のある邑づくりというものを県下全域で挙げていきたい。
     それじゃ都市部はどうなるのかといいますれば、これはアーバン・ガーデンシティーです。緑、水にあふれた都市空間をつくっていくと。例えば新幹線「ひかり」がとまる駅としますれば浜松と静岡と三島がございますが、浜松は緑がいっぱいです。静岡市は駅前は緑がほとんどないと言っていいでしょう。これをやっぱり変えないといけないというふうに思います。一方三島もそれなりに楽寿園ほか緑がございます。そうした緑あるガーデンシティーのようなつくり方をしていこうということで、これは全県下がすべて対象になるというふうに考えております。
     派生的に申し上げますれば、何も美しいまちをつくること自体が目的ということではありませんで、そこが安全であると、内陸地域が安全であるということがポイントです。なぜ安全であるかということは、国民共通の理解として出てきています。津波に襲われて、これからは内陸高台のほうに住まねばならないということで内陸地域に移ろうとされている。内陸地域に移ってどうするのかといったときに、ここにいろいろな農地規制などもありますけれども、これを解除するために東北地方は三十もの復興特区を掲げられたわけです。それが全然活用されていません。我々は、天災に遭う前にそれらの総合特区を活用できるものを皆そちらに、内のところに利用するということです。しかしそこは山林地域あるいは市街化調整地域、あるいは農村地域という弊害がありますから、まずはそれを特区で一つにしていく必要がある。そのときの全体のイメージというものが、美しく品格のある地域コミュニティーづくりだということで、これは本当に新しい試みなんですね。そうしたこととしてこれを推進してまいりたいということでございます。富士山のように美しい地域をつくっていこうというようなイメージで考えていただければと存じます。
     次に、財団法人静岡県文化財団のあり方についてでございます。
     静岡県では、文化振興基本計画を持っておりまして、それが「みる」、「つくる」、「ささえる」という三つのコンセプトで成っております。「みる」というのは、例えば子供が本物の文化に触れる機会を充実させるために、ふじのくに子ども芸術大学などを開催しております。「つくる」というのはこれはSPACがそうでございますし、静岡県が主催しております静岡国際オペラコンクールなどもございます。さらにふじのくに芸術祭も毎年行われておりますが、これもそうであります。「ささえる」というのは県内の公立文化施設の機能を向上させたり、あるいは人材、団体の中で芸術活動をささえるネットワークをつくっていくということになります。
     こうした中で、静岡県文化財団は、この計画の推進主体として欠くことのできないパートナーであると認識しております。これまでグランシップを拠点にいたしまして、県民参加の音楽の広場、能、文楽の伝統芸能、多彩な自主企画事業等文化芸術の鑑賞機会の提供、新しい文化の創造に取り組まれているという認識を持っております。加えて県内各地の小中学校でのクラシック音楽の公演、伝統芸能のワークショップなど上質な芸術を届ける出前講座も積極的に進められています。昭和五十九年の設立以来培われておりますネットワークをもとにしまして、しずおかの文化新書の発行もされております。最近もSFにかかわるものが一冊出ました。こうして県内の多彩な文化資源の発掘に努めているという認識をしております。地域文化活動賞あるいはふじのくに文化芸術振興補助金などによって、地域に根差したすぐれた文化活動を支援しているわけでございます。
     その拠点であるグランシップの安全対策工事が行われますので、この間平成二十五年から二十六年にかけて、十カ月ばかり休館になる見込みでございます。これはまだ明確になってはおりませんが、休館しながら一部は使えるかもしれません。こうした状況ではございますけれども、明らかにこれは、議員御指摘のとおり見直すべき時期で、見直すべきいい機会であろうと。いわば充電期間にもなるということで、私もこの期間を活用いたしまして、人材の充実ほか目下のところは、例えばSPACとは深い連携がありますけれど、音楽につきましては、今本県ではアマチュアの方たちの楽団がたくさんございますけれども、こうしたものに対してふじのくに交響楽団という名前のもとで県が援助をしております。しかしこれは市のほうも大変関心を示されまして、できればそういう県、市協力して我々が支えるようなそういう交響楽団も持ちたいものだという動きが水面下で進んでおります。こうしたことなども踏まえまして、この文化財団の活動について県、文化財団あるいは地域コミュニティーが何ができるかということを考え直すいい機会であるというふうに思っております。
     一方、この休館期間におきましても、すぐれた音楽公演など県内各地の文化施設で実施していただきたいと、またアウトリーチ――いわゆる出前授業も充実してもらいたいということで、この間に市町や公立文化施設との連携を強化しなくちゃならんというふうに思っております。今後とも県と文化財団が一体となって文化振興基本計画の着実な推進に取り組みまして、ふじのくに全体が芸術回廊と言われるようなそういう景観を呈するような実現を目指してまいりたいと存じます。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○議長(小楠和男) 伊熊くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 伊熊元則君登壇)
    ○くらし・環境部長(伊熊元則君) 住宅エコ診断士制度の創設についてお答えいたします。
     県ではふじのくに地球温暖化対策実行計画を策定し、平成三十二年度の県内の温室効果ガス排出量を平成二年度に比較して二五%削減することを目指しております。しかしながら依然として増加傾向にある家庭部門の二酸化炭素排出量を削減するためには、住宅の省エネ化の推進も重要な課題であります。
     住宅の省エネ化を図るために、住宅の所有者等には断熱材や複層窓ガラスなどにより省エネ性能を高める努力義務があります。新築住宅につきましては長期優良住宅の認定や住宅エコポイントによる誘導を図っておりますが、追加費用がかかることなどの理由により、国が定めた省エネ基準に適合するのは三割程度にとどまっていると推計されております。一方既存住宅につきましては、現在の家屋の省エネ性能を簡易に測定する手法や効果的な工法、技術の開発、さらには技術者の養成など既存住宅の省エネ性能向上を促進するための方策に関する国による検討が始まったところであります。
     御提案の住宅エコ診断士につきましては、住宅の現況診断の技術、省エネ改修工事の内容や費用対効果をわかりやすく説明する能力なども必要と考えておりますので、制度の創設につきましては国の動向も注視しつつ研究をしてまいります。
     次に、経済活性化の視点での男女共同参画推進についてであります。
     人口が減少する中、本県の活力の維持向上を図るためには女性の社会参画が大変重要でありますことから、県では第二次男女共同参画基本計画において、あらゆる分野で女性が活躍できる環境の整備を実践目標に掲げ、企業等での女性管理者の登用促進や女性起業者の育成支援などに取り組んでおります。
     具体的には、企業内に女性が活躍できる環境を整備し管理職への登用を拡大するため、企業に男女共同参画社会づくり宣言をしていただき、仕事と家庭の両立に向けた育児休業などを取得しやすい体制の整備や女性の役員、管理職の割合の増加などに積極的な取り組みをしていただくよう働きかけを行っており、現在九百近い企業、団体に宣言をしていただいております。またこうした取り組みで成功している企業を男女共同参画ポータルサイト「あざれあナビ」で広く紹介するほか、企業の女性リーダー交流セミナーなどを開催して女性の人材育成も行なっております。
     女性の起業への支援につきましては、既に成功している女性起業家のキャリア形成過程をさくや姫プロジェクトとしてウエブサイト上で紹介するほか女性のための起業支援セミナーなどを開催し、起業にチャレンジする女性の拡大に努めているところであります。
     今後とも、女性の活躍を通じ本県の経済社会が活性化するよう全庁を挙げて男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 障害のある人への相談支援体制の充実についてお答えをいたします。
     障害のある人が利用する福祉サービスの内容等を盛り込んだサービス等利用計画の作成は、これまで重度障害者等のうち市町が必要と認めた人に限られていましたが、本年四月から段階的に拡大されることとなり、平成二十六年度末までには現在サービスを利用している約二万五千人全員が対象となります。このためこの利用計画を作成する相談支援専門員の養成が急務であり、県では本年度から初任者研修の定員を大幅に拡大し、二十六年度末までには相談支援専門員の有資格者を約二千三百人まで増員し、一日でも早く利用者全員に利用計画が策定できるよう努めてまいります。
     また、本人の意向や状況に応じた適切な利用計画を作成するためには、相談支援専門員の資質向上も重要であります。本年度から現任研修の定員を拡大するとともに、新たに課題別の専門研修も実施してまいります。さらにこれらに加えまして、身近にある介護保険制度の相談窓口でも相談が受けられますようふじのくに型福祉サービスの普及にも努めてまいります。
     今後とも、障害のある人が身近な地域で本人のニーズに合ったきめ細かな福祉サービスが利用できるように提供するサービスの量的な拡大を図るとともに、市町と連携して相談支援体制の充実に全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めにふじのくにの人づくりのあり方についてお答えいたします。
     議員御指摘のとおり、本県におきましては教員の自主的な研修が活発に行われており、また本県が独自に作成いたしました授業づくり指針の活用などにより、不断の授業研究、授業改善が進められております。こうした教員の日々の研さんの成果は、児童生徒への確かな学力の育成に着実に結びついているものと考えております。
     また、各学校におきましてはさまざまな特色ある取り組みが行われており、例えば大地に学ぶ農業体験では、高校生と小中学生等がともに活動する中で思いやりの心や協調性をはぐくんでおります。さらに命を守る教育では、学校と地域とが連携した防災教育等を通して児童生徒が主体的に行動する態度を身につけるとともに、地域住民としての自覚と人とのつながりの大切さを学ぶ機会となっております。
     このような教育活動を通して、本県の児童生徒は集団の中で他者とのコミュニケーションを図り、人のために役立つことの喜びを体得しながらみずからの進路実現に向かってたくましく成長しており、これは教職員の日々の努力や創意工夫、そして家庭や地域の理解と協力があってこそであると認識しております。
     県教育委員会といたしましては、今後の教育行政のあり方検討会での議論や改善策を踏まえ、これまで以上に教育現場をしっかりと支えながら静岡県教育振興基本計画を着実に推し進め、個性や能力を最大限に発揮し社会に貢献できる有徳の人づくりに取り組んでまいります。
     次に、高等学校の学校図書館の充実と読書活動推進についてであります。
     本県におきましては、平成十六年に静岡県子ども読書活動推進計画を策定し、現在平成二十三年度から十年間を見据えた第二次計画により読書活動推進に取り組んでいるところであります。県立高等学校におきます読書活動につきましては、第二次計画において朝読書、読み聞かせ等全校で読書活動を実施している学校数を成果指標に掲げ、その実施割合は平成十六年度の七四・五%から平成二十二年度は八三・八%となり、全国平均の四一・一%を大きく上回っている状況であります。
     具体的な取り組み事例としましては、三ヶ日高校では司書教諭が中心となり、学校図書館の図書の配置の工夫や著者の紹介、推薦図書の校舎内への掲示など生徒の読書意欲の向上に取り組んだ結果、利用者数、読書量ともに急増いたしました。また掛川工業高等学校では地域の書店と連携し、生徒が推薦する図書をイラスト等で紹介し店頭で掲示する広告づくりに取り組むことによって、読書への関心を高めております。
     県教育委員会といたしましては、朝読書等をさらに推進するとともに、こうした特色ある取り組みを読書活動の効果とあわせて司書教諭対象の研修会などで紹介し、各高等学校が実態を踏まえた実効性のある取り組みを行うことを通して読書活動の推進を一層図ってまいりたいと考えております。以上であります。
    ○議長(小楠和男) 三十八番 佐野愛子君。
           (三十八番 佐野愛子君登壇)
    ○三十八番(佐野愛子君) 御答弁ありがとうございました。多少質問します。
     知事から、美しい邑の理念、本当に共感して聞かせていただきました。経済的な自立というか地域の経済的な持続のために部長に聞きたいと思います。この辺の方策を部長にお答えください。ふじのくにの美しき邑、もう少し推進に向けて経済的自立、またボランティアだけではなくて、皆様に活動するそういう基盤がないと継続できないということを私はお伺いいたしました。そういう仕組みについてどのように県はこれから構築していくか、仕組みの構築についてのお考えをお伺いしたいと思います。
     あと障害者の相談支援体制については、やはりサービスの量の拡大がないと要求にこたえられないことは明白だと思います。今後国とも協調しながら、ぜひとも県内のサービスの量、そしてふじのくに型サービスと協調していかないと実現できないと私は考えます。また今後の検討を要望いたします。
     そして、学校図書館。図書館活動の推進についてはわかりましたが、学校図書館内の充実。学校図書館司書も高校には必要と考えますが、高校への配置はどのように考えているか。それだけ教育長にお伺いいたします。以上です。
    ○議長(小楠和男君) 長島交通基盤部長。
           (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
    ○交通基盤部長(長島郁夫君) ふじのくに美しく品格のある邑づくりの推進についてということで、経済的に採算が合うような仕組みづくりについて具体的な方策ということでございます。
     県では、この邑づくりに向けまして指導助言をいただくふじのくに美しく品格のある邑づくり推進委員会を設置しております。この中で、地域の経済的自立のための仕組みづくりについてマーケティングやコミュニティー等専門的な知見に基づくアドバイスを通じ、自立に向けた支援を行うこととしております。
     また、美しく品格のある邑の認定によりまして、企業や大学等との協働活動が推進されるよう県がコーディネートすることで新たな商品やサービスの開発など、地域経済の活性化に向けた支援を行ってまいります。以上でございます。
    ○議長(小楠和男君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 図書館司書の配置の状況と今後の方向ということの再質問であったかなというふうに思います。
     先ほど議員からも御質問の中で、高等学校の場合には事務職員との兼務という形になっておりますので、実際状況で申し上げますとかなり事務室の仕事も忙しいという中で、図書室に行く時間も少ないのかなというふうに思っています。したがいまして、一方では高等学校によっては、PTAあるいは後援会の御協力を得ながら図書館司書を配置しているという状況にございます。そういう意味では、私たちはより長い時間、いわゆる県の職員が図書館の司書業務を行うことができますように、またその司書業務を行うときにそれなりの資質向上ということも大事ですので、研修の充実とそれから物理的に図書館での勤務時間が長くなるような形の体制を事務室の業務の精選ということも踏まえながら、今後努力していかなければいけないのかなというふうに思っております。以上であります。
    ○議長(小楠和男君) これで佐野愛子君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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