本会議会議録


質問文書

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令和6年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

相坂 摂治 議員

質問分類

一般質問

質問日:

03/05/2024

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 (1) 知事の暴走を抑止できない県庁組織の問題
 (2) 災害発生時の知事の職責
2 リニア中央新幹線開通に向けた県の協力の在り方について
 (1) リニア中央新幹線開通の評価と総合計画への反映
 (2) 本県の事業への協力の在り方
3 災害に強いまちづくりについて
 (1) 浸水対策
 (2) 海づくり県民税の創設
4 静岡市との関係について
 (1) 東静岡駅周辺のまちづくり
 (2) 三保飛行場跡地利用とエアモビリティーの産業化


○副議長(鈴木澄美君) 
 ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第一号から第八十五号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、五十一番 相坂摂治君。
       (五十一番 相坂摂治君登壇 拍手)
○五十一番(相坂摂治君) おはようございます。
 通告に従い知事、副知事及び関係部局長に一括質問方式で質問をいたします。
 知事の暴走を抑止できない県庁組織の問題について質問します。
 知事が繰り返してきた失言、謝罪、撤回。知事と見解が異なるのは決して議会だけではなく、最近は県庁職員との間でもその違いが目立つようになってきました。
 今年一月四日の被災地支援会議への欠席判断について、知事はあたかも職員の指示だったかのように会見をされましたが後日職員は知事の判断だと説明し、三島市レガシー施設の整備に関しては知事が用地取得は大詰めだと述べましたが経営管理部長は総務委員会で具体的な検討には至っておらず正直驚いたと答えており、知事はこの取組そのものを白紙撤回されました。事業の撤回によって不適切な発言に対する知事の責任は不問となりました。
 コシヒカリ発言による給与返上は知事の政治活動上の失敗を職員に処理させたようなものです。
 さらに、知事のリニアの部分開業論は県庁内での議論もないままに職員は県行政の公式見解だと述べました。重大な政策局面においてさえ知事の顔色をうかがう県庁執行部の姿勢を浮き彫りにしています。
 私は以前から県庁組織の改善を求めてきました。総合計画の立案と予算編成を知事直轄の組織で行う。この体制こそ知事の顔色を見る今の県庁の偽らざる姿です。この弊害が至るところに現れています。知事の政治的思惑から独立性を保ち公正で公平な行政であろうと自らを戒める。どこの自治体でも総合計画は企画部でつくり予算は財政部で編成するのが当たり前です。そもそも知事直轄という他の職員を威圧するかのような名称にも時代錯誤なセンスのなさを感じます。
 直轄組織は国から来た出向職員が束ねています。変化の激しいこの時代に有識者も経済人も外部からは登用せず、副知事は常に職員のOBでなぜか本会議の答弁も部長に優先して行っている不自然さ。現場の職員の声を無視した閉鎖的で権威主義的な組織だと厳しく指摘しておきます。
 一点目。総合計画の立案管理と予算編成を同一部局で所管している都道府県は全国にどのぐらいありますか。またこの組織体制が職員にどのような影響を与えているのでしょうか。
 二点目。知事の政治的思惑から独立し、内外ともに公平性、公正性を実現するためにこの組織を改編するべきだと考えますが、県庁組織の在り方は誰が考えるんでしょうか。
 三点目。知事が繰り返す不適切な発言、撤回、謝罪を防ぐために県庁職員が心がける姿勢、そのためのシステムづくりをどのように進めてこられたのか伺います。
 次に、災害発生時の知事の職責について伺います。
 元日に発生した能登半島地震への知事の対応をめぐって毎日この議会では質問が続きました。河原崎県議、牧野県議の代表質問、その後の一般質問では加畑県議、小沼県議、加藤県議、鳥澤県議、飯田県議、そして藤曲県議、実に八人の県議が同様の趣旨で質問をしました。知事はなぜ同じ質問が繰り返されているのかお分かりですか。知事はまたこのことを政局だと受け止めていませんか。
 職員からの諫言に耳を傾け、不適切な発言があれば直ちに職を辞する。知事は議会で約束をされました。繰り返す私たちの質問は議会から知事への諫言です。それでも知事は昨日まで頑なに考えを変えない。これで本当に職員が知事に諫言できるのでしょうか。
 知事が軽井沢でお過ごしになっていた元日からの三日間で、震度五以上の地震が九回発生しています。戻れるうちに戻らなければならないとは思いませんでしたか。元日から能登半島へと救援に向かった部下たちの下へ、知事が守らなければならない県民の下へ、一刻も早く帰ろうとは思わなかったのですか。
 今回の知事の行動のどこに問題があったのか。
 一月四日十五時三十分。知事が石川県の馳知事に電話をした時間です。地震発生から間もなく七十二時間が経過する生命救済のぎりぎりの時間です。同時にこれは知事が新年の集いに出席した僅か一時間前。能登空港の活用が可能になったから出席を決めたのだと説明するには、あまりにも無計画な行動ではありませんか。
 現地ではボランティアの受入れにも慎重だった今回、この差し迫った状況で被災地の対策本部長に電話で新たな決断を迫ったことは、極めて身勝手で不用意な行動ではありませんか。実際のところ能登空港の活用が始まったのはこの電話から三日後です。このタイミングで現地の知事に電話を入れる必要があったのでしょうか、甚だ疑問です。電話で対応したから新年の集いに出たのではなく、新年の集いに間に合わせるために電話を入れたのではなかったか。それは知事にしか分からないことです。
 私たちはいずれ東海地震、南海トラフ地震を迎えます。私たちが開催する支援会議が代理の方ばかりでも本県は文句も言えません。新年を祝う盛大な宴席で支援を要請する知事の公務は本当に適切だったのでしょうか。人命に関わる問題でした。正式で厳粛でより広範に支援を要請するべきだったとは今もなおお考えにはなりませんか。
 令和四年九月の台風十五号では、清水区の断水について自衛隊の派遣要請が遅れ、令和五年六月の台風二号では知事の現地入りは発生から四日後、特別委員会が求めた土石流災害への行政対応の再検証の提出は約束の期限だった九月を大幅に超過し、新型コロナ感染症への経済政策も他県に比べて対応の遅れが多くの業界から指摘を受けました。
 災害に見舞われるたびに私たちは強くならなくてはなりません。元日から初動に当たった現場の皆さんは過去の対応を教訓に危険を顧みず能登へ向かわれました。元日から会議の欠席まで県庁組織がどのように機能してくださったのかを私たちは質問しているのではありません。知事がどうしたかをただしているのです。
 知事は災害が発生した際どのような心構えでその対応に臨まれているのでしょうか。お答えください。
 次に、リニア中央新幹線開通に向けた県の協力の在り方についてのうち、リニア開通の評価と総合計画への反映について伺います。
 知事は自らをリニア推進論者だと主張してこられました。しかし本県では、リニア開通後の日本の姿について県が積極的に議論や評価に取り組んできた様子はありません。最速の移動網が太平洋岸から日本列島の中心へと変わっていくこと、その移動時間は東京から名古屋までが四十分、大阪へは六十七分へと短縮される。そして移動時間僅か一時間の新たな六千万人の経済圏が誕生することになります。
 リニア沿線となる山梨県、長野県、岐阜県では、国が掲げるこのスーパー・メガリージョン構想を反映した長期的なビジョンを打ち出しています。リニア開通を契機に東日本大震災以来見直しが叫ばれてきた沿岸部への産業集積がいよいよ本格的に見直され、より安全な内陸部で新たな生産拠点が次第に築かれていく可能性を感じます。高度で効率的で省力化や自動化を実現する最新の技術を活用していく新しい国土利用への挑戦になるでしょう。人口減少社会で効率的に生産するためには人とモノの無駄な移動を省くことです。
 一方、我が県の総合計画にはリニア開通に伴うビジョンがほとんど打ち出されていません。県の総合計画の期間は二〇二七年。リニア開通が目指された年です。しかし本県の計画には大井川の水資源及び南アルプスの生物多様性の保全と両立しか記載がなく、リニア開通を意識した国土利用、経済圏の拡大、産業ビジョン、人口戦略などは一切語られていません。
 知事が、リニア開通に本当のところ賛成しているのか反対しているのか、私は知りません。繰り返しになりますが、総合計画は知事直轄組織が担当しています。
 そこで伺います。リニア開通が日本の国土利用、人の移動、産業の集積にどのような変化をもたらし、本県にはどのような効果や成長をもたらすのか、県のお考えをお答えください。
 また、リニア開通による変化を総合計画に盛り込み具体的な戦略や取組を打ち出すことで首都圏との経済活動においても、山梨、長野、新潟などの隣接県との関係や交流においても他県の信頼を勝ち取ることが極めて重要だと考えますが、県はどうお考えでしょうか。
 次に、このリニア事業に対する本県の協力の在り方について伺います。
 知事はリニアの部分開業論を表明されました。これによれば品川から甲府そして名古屋から飯田までの区間が先行して結ばれます。六千万人の広大な新しい経済圏をつなぐリニアの沿線に本県はありません。我が県がこれから誕生するこの経済圏でも確固たる地位を得るためには、我が県もまた高速移動網につながっていくことが必要です。つまり東海道新幹線の大幅なダイヤの改正によって本県へののぞみの停車の実現、ひかりの増便が必須だということです。
 知事の部分開業論はこの動きを大きく後退させるものです。リニアの東西がつながらなければのぞみのダイヤが変更するはずがないからです。静岡県の知事が唱える戦略とは到底思えません。本県から北に連なる隣県との関係を重んじ本県が持つ港湾、空港、既存の生産技術が東京圏とも中日本圏域とも同じ経済圏として活用されていくことを視野に入れた準備を始めるべきです。
 知事が表明すべきなのはリニア開通に向けて本県に何ができるのかであって、JR東海及びリニア沿線の期成同盟との確固たる信頼関係の構築と発展を目指すべきだと私は信じています。新たな国土利用に貢献し、これから作り上げられる新しい広大な交流圏域の中で我が県は期成同盟を構成する他県と連携し、どのように協力していくべきなのか、県のお考えを伺います。
 次に、災害に強いまちづくりについて二点質問します。
 まず、浸水対策についてです。
 駿河区は台風や豪雨のたびに大きな被害に見舞われてきました。繰り返す被害を克服するためにいち早く流域治水の考えを取り入れ、河川の整備と維持管理と並行して地下貯水管や直接放水路など大規模施設の建設工事、学校グラウンド、公園、民間施設の貯水機能の強化、雨水路や下水管の増設や高低差の見直し、くみ上げのポンプの改良や新設、河口海岸の流量確保の対策などありとあらゆる方法で浸水と闘ってきました。
 しかし、激甚化する近年の豪雨では同じ地区の同じ宅地や施設で泥をかき出して畳を洗浄し、汚れた家財道具を処分する光景を何度も目の当たりにしてきました。まち全体へのインフラ整備だけで生命と財産を守ることはもはや限界だと感じています。
 さて、私の地元に小坂という山あいの町があり、中心の山道に沿って小坂川が流れています。大雨のたびに氾濫し沿線住宅への浸水を繰り返してきました。しかしおととし九月の台風では多くの家庭が敷地への浸水を防ぎ財産を損なわずに被災を免れました。河川に面した敷地の境界に取り外しが容易な止水壁を設け敷地全体を囲ってしまうという極めて簡単な対策によるものです。若干の工事を要したものの、多くの沿川住宅でこれを設置しています。
 令和四年の県内住宅浸水は七千六百十三件。静岡市では四千件以上、浜松市では二千百件以上、志太榛原から中東遠の市町では多くが百件以上を数えています。浸水対策のインフラ整備の実現や予算確保には今後も果敢に取り組みますが、より迅速に成果が得られるよう止水壁の設置への支援、地域における土のうステーションの設置への支援について県が流域治水の枠組みの中でリーダーシップを取って進めていただくことはできないものでしょうか。
 そこで伺いますが、住宅街における生命と財産を守るため、流域の住宅に対する対策が一層進んでいくよう県が牽引役となって流域治水の協議会の場などを通じ関係者へ提案し、その実施を促していくことが必要だと考えますが、県のお考えを伺います。
 次に、海づくり県民税の創設について伺います。
 おととしの台風十五号の発生から三か月ほどしてシラス漁に従事する地元の漁師さんたちから駿河湾の漁場に大量の木が沈滞して漁網を傷めてしまうという連絡がありました。台風によって安倍川上流から流れ出た流木です。発見当初は漁協の方々が市の支援を得て撤去作業を行いましたが、小さな漁船で片づけられる量をはるかに超える規模であり、県の水産・海洋局にも事情を説明して県の水産・海洋技術研究所の新鋭駿河丸や漁船、専門事業者による詳細調査も経て、被害の全貌を把握することができました。最終的には地元組合員と県水産・海洋局の皆さんと環境省や水産庁へ要望を重ね予算の確保に努めてくださっており、来年度当初予算には撤去費用を計上していただいたところです。
 さて、海洋に対する考え方は世界的な規模で変わってきました。SDGsに示された目標十四にもあるように、世界的な海洋生態系の維持、人類がもたらしたプラスチックごみなどの廃棄による汚染や海洋生命への危険への対策、漁業における魚種や漁獲高の減少、県が取組を開始するブルーエコノミーの研究による海洋環境の保全と経済成長の両立など、表面的には穏やかで大きな恵みを抱える海洋が多くの課題と挑戦を抱えています。
 一方、森林の環境や社会生活全体への重要な役割や機能を守り後世に残していくために、平成十八年に県のもりづくり県民税が創設されました。県民から年四百円ずつの御負担を頂いて荒廃森林の再生に取り組んでいるところです。
 そこで、海洋資源や生態系の維持、深海の開拓、津波を引き起こす災害メカニズムの研究そして豊富な恵みをもたらす漁場の環境維持を目的に、海洋環境に必要な事業を実施できる財源として海づくり県民税の創設について、県のお考えを伺いたいと思います。
 また実現を見据えた場合、基本的な理念とともにどのような手続が必要となるのかお示し頂きたいと思います。
 最後に、静岡市との関係について伺います。
 まず、東静岡駅周辺のまちづくりについてです。
 県が一定以上の事業用地を抱え、地域の皆さんと協力しながらまちづくりのプレイヤーの一員として主体的に関わることができるケースは決して多くはありません。東静岡駅南口エリアはその貴重な場所です。グランシップ、芝生広場、そして実施設計を進めている新県立中央図書館、隣接地の活用も今後の検討が期待されています。
 地元静岡市とは、平成二十七年に文化とスポーツの殿堂の形成を目指すことが決められて今日に至っており、市では北口でのアリーナ整備への準備が動き始めたようです。さらに東静岡駅から西に約七百メートルのところにある県立静岡視覚特別支援学校には令和八年度に新たに知的障害に対する特別支援学校が整備される予定です。また四月からは国際的なビジネス専門学校が移転、開校される予定で、駅前近くで新たに千人に及ぶ入学生を迎える予定だと聞いています。
 加えて、駿河区の医療拠点である済生会総合病院、身体障害者の当事者グループの活動拠点、経済的には県、市の農協本部や農産物の直売店も集積しているエリアです。
 こうした歴史的な経緯も踏まえ改めて東静岡駅周辺の価値を考えてみると、まさに時代が要請するインクルーシブ社会の実現を視野に入れたまちづくりが求められています。年齢、国籍、障害の有無にかかわらず、新図書館やグランシップ、劇団SPACなどが提供する文化的で教育的な体験機会をあらゆる立場の方々が活用できるまちへと発展するために、県は東静岡駅周辺のまちづくりについてどのように関わり、進められていくのか伺います。
 最後に、三保飛行場の跡地利用とエアモビリティーの産業化についてです。
 二月二日、清水区三保の海岸にある飛行場跡地の今後の利用について静岡市がドローン技術の実証拠点に向けた調査事業を実施する旨の報道がなされ、開会中の静岡市議会にも来年度予算案として一千六百万円の調査費が提案されています。
 さて、近年のドローン技術は能登半島地震における被災地の状況把握や物資の輸送にも利用され、産業としても高層ビルの維持管理に資する点検情報の収集、合併浄化槽など人体への影響が懸念される場所の調査活動、大規模な水道管、農業用水施設の損壊状況の調査など危険を伴う作業を代用することも可能となり、人材不足を補うことに加え人件費などのコストダウンも期待できます。こうしたドローン技術の進展に合わせ、清水区三保地区におけるドローン技術の実証研究や他の産業への活用については昨年から県の新産業集積課が相談窓口となって事業者との連携に努めてきました。
 そこで伺いますが、静岡市の三保の飛行場跡地で今後行われるエアモビリティー技術の研究調査をはじめ、県内市町の動向を踏まえた県の次世代エアモビリティーの産業化の将来性と今後の取組について、本県の見解を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてのうち、災害発生時の私の職責についてであります。
 災害発生時の私の職責は、県民の皆様の生命財産を守るために全力を挙げて陣頭指揮を取り、その上で本県の災害対応の全責任を負うことです。
 私が心がけておりますのは、まず刻一刻と変わる多様な情報を的確に把握することです。その上で実施すべき事項の優先順位を速やかに判断し、具体的な指示を下すことであります。
 特に初動段階では情報収集が最も重要な事項です。各市町や国、関係機関を結ぶ県災害情報収集システムF、U、J、I、S、A、N、通称FUJISANをはじめあらゆるルート、媒体を活用するほか、全職員を動員して情報集約を図ります。そして災害の状況に応じて国や全国の自治体、自衛隊、関係機関等々と連携し、人材、物資などの資源を適切に配分するよう迅速に調整いたします。
 そのためには日頃から有事への備えを徹底することが重要であります。国、関係機関等と実践的な訓練を通じ顔の見える関係を構築しておりますが、それとともに実災害の教訓や被災自治体への支援等を通じて日々研さんを積み重ねているところであります。
 また、災害対応の最前線は各市町です。初動の混乱時に市町の災害対策本部が的確に機能するよう昨年度市町支援機動班を新設いたしました。これらを通じ全庁を挙げて支援を行う所存であります。
 さらに、災害時は情報が錯綜いたします。県民の皆様も不安になります。私自らがスポークスマンになり正確な情報を速やかに発信するとともに、直接呼びかけることで県民の皆様に少しでも安心していただけるように心がけております。
 災害対応のフェーズは時間とともに変遷します。被災者の保護から住宅、生業等の再建、ライフライン等の復旧、新たなまちづくり等々復興までの道のりは長期に及びます。また業務は多岐にわたります。長期間活動を継続できるよう業務の適正化にも留意しなくてはなりません。
 災害時、行政は即座に頭を切り替え不要不急の業務を停止し全庁で災害体制を構築することが必要です。初動全力、巧遅より拙速等々災害対応の格言は枚挙にいとまがありません。こうした言葉を常に心に刻み、それとともにいざというときには県民の皆様を守るため私はリーダーシップを発揮して全庁を束ね全身全霊をかけて災害対応に取り組んでまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長(鈴木澄美君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) 知事の政治姿勢についてのうち、知事の暴走を抑止できない県庁組織の問題についてお答えいたします。
 まず、企画部門と財政部門を同一の部局で所管する都道府県は本県を除き令和五年四月一日現在で五県あると認識しております。本県においては総合政策課と財政課を政策推進局に設置することで、県の重点施策の推進に当たって政策立案の段階から戦略的な予算配分までを一体的に進めております。
 来年度予算案に盛り込んでおります本県が直面する人口減少等の課題に取り組むイノベーション事業はその具体的な事例の一つであり、部局長のリーダーシップの下、各部局が企画政策部門と議論しながら企画立案した先進的な事業が予算配分に直結していく、このことは職員のモチベーションの向上にもつながるものと考えております。
 次に、県の組織の在り方につきましては、組織人事を所管する経営管理部において総合政策等に掲げる県政の重要課題を効果的かつ効率的に推進されるよう各部局と現状や課題等の協議を重ねながら原案を作成し、知事、副知事と協議し最終的に知事が決定しているところであります。
 最後に、幹部職員が心がけるべき姿勢やそのためのシステムにつきましては、毎年度新たに課長級となった職員を対象に法令の遵守、風通しのよい職場づくり、リーダーシップの発揮など管理職員に求められる心構え等についての研修を行っており、その後も幹部職員会議での訓示やコンプライアンスリレー研修などを通じて全ての幹部職員が管理職員としての姿勢を再認識する機会を設けております。
 今後も、県民幸福度の最大化に向けて生産性が高い適切な行政運営に努めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 石川政策推進担当部長。
○政策推進担当部長(石川英寛君) リニア中央新幹線開通に向けた県の協力の在り方についてのうち、リニア中央新幹線開通の評価と総合計画への反映についてお答えいたします。
 まず、リニア中央新幹線開業の我が国や本県にもたらす変化につきましては、昨年策定された第三次国土形成計画において、東京圏、大阪圏、名古屋圏の三大都市圏が一時間で結ばれ世界に類を見ない経済集積圏域を形成し全国各地との交流の活発化が期待される、巨大災害リスクに対するリダンダンシーの確保に資するなどとされております。
 また、本県を含む東海道新幹線沿線地域では、ひかり、こだまの増加が期待され新たな暮らし方、働き方の可能性や企業の新規立地、観光交流、経済的つながりの拡大など地域の活性化に効果を及ぼすとされており、県としても同様の認識であります。
 次に、総合計画への反映についてであります。
 議員御指摘のとおり、リニア中央新幹線の開業によって我が国の社会経済情勢は大きく変化することが想定されます。総合計画は県の最上位計画であり、こうした構造的環境の変化を十分に分析、整理した上で長期的な展望に立って施策全体を俯瞰し、その影響を反映していくことが重要であります。今後二〇二七年以降の名古屋駅までの開業や全線開業を見据えつつ東海道新幹線の運行本数や停車頻度の増加等を踏まえる必要があります。その上でそれらを活用した観光・交流政策や人口減少対策などのさらなる進展の可能性について首都圏や隣接県の取組も踏まえ、しっかりと検討し総合計画に反映してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 勝又交通基盤部長。
○交通基盤部長(勝又泰宏君) リニア中央新幹線開通に向けた県の協力の在り方についてのうち、本県の事業への協力の在り方についてお答えいたします。
 リニア中央新幹線の整備は、日本の高速交通の未来を切り開く画期的なプロジェクトとして国内外から注目されております。リニア中央新幹線と空路や航路、高速道路など様々な交通インフラが効果的に整備され相互に連結されることで地域間の人口や経済の流動性を高めることができます。
 本県におきましては、中部横断自動車道や三遠南信自動車道によりリニア沿線地域と結ばれることで東海道新幹線だけではなく富士山静岡空港や清水港の重要度が増し、広域的な交流や経済的なつながりがさらに増大することが期待されております。
 リニア中央新幹線建設促進期成同盟会におきましては、リニアの開業によってどのような効果がもたらされるのかを分析し高速交通ネットワークの将来像を描くことを目的に山梨県が事務局となり研究会が設立されました。大規模災害時における人流や物流の途絶回避、高速交通拠点の相互連結や連結を強化するインフラの整備などについて検討しているところであります。
 県といたしましては、期成同盟会の構成都府県と連携し既存の資源や特性を生かすことでさらなる発展につながることができる総合的な高速交通の将来像の実現に向け国及びJR東海に働きかけてまいります。
 次に、災害に強いまちづくりについてのうち、浸水対策についてであります。
 令和四年台風十五号などの豪雨により河川施設では防ぎきれない洪水が発生しているため、水災害が新たなステージに入っていることを前提とし、ハード・ソフトの対策を流域全体で一体的に取り組む流域治水を推進する必要があります。
 県では、河川改修等のハード対策だけに頼ることなく洪水時に住民が家屋の浸水対策や適切な避難行動を取れるよう市町と連携し、浸水が頻発する地区に水位計や監視カメラ、浸水センサーを設置してリアルタイムの情報を提供するなどのソフト対策も推進しております。
 議員御提案の家屋の浸水被害を可能な限り減らす対策につきましては、個々で取り組むことができる対策を周知することやその取組を促す制度の事例を収集し、国、県、市町等で構成する流域治水協議会で情報提供することなどにより市町を積極的に支援してまいります。
 県といたしましては、住民の皆様の生命や財産を浸水被害から守るため、流域のあらゆる関係者が水災害を自分事と捉え主体的に取り組む流域治水を推進し水災害に強い県土づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 櫻井農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(櫻井正陽君) 災害に強いまちづくりについてのうち、海づくり県民税の創設についてお答えいたします。
 地球温暖化等による環境への影響が深刻化する中、水産物の供給に加えて生態系の保全や二酸化炭素の吸収、美しい景観の提供など県民生活に多様な恵みをもたらす海洋の重要性が一段と高まっております。
 議員御提案の海づくり県民税につきましては、実施する場合には県民の皆様から広く御負担を頂くことから、社会全体が享受する海洋の持つ公益的機能を持続的に発揮させ県民共有の財産として未来へ確実に継承するなど、公共公益的な観点から基本理念を定めることが必要であると考えております。
 また、手続といたしましては、専門家の御意見を踏まえ公平、中立といった租税原則の観点から費用負担や使途の範囲、徴収方法などの様々な課題について慎重に整理することが求められます。さらに全県規模で公聴会やフォーラム、県民アンケートなどを丁寧に繰り返して行い、新たな県税に対する理解醸成と合意形成に努めた上で県議会にお諮りする必要があります。
 県といたしましては、美しく豊かな海保全基金などを活用し海洋の重要性について県民の皆様の理解醸成に取り組むとともに、有識者の御意見を伺いながら財源確保と県民の御負担の在り方について、幅広い観点から検討してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 村松スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) 静岡市との関係についてのうち、東静岡駅周辺のまちづくりについてお答えいたします。
 県では、これまでスポーツ・文化観光部が中心となって若者をはじめとする多彩な人々を魅了し多様な交流とにぎわいを生み出す文化とスポーツの殿堂の形成を目指してまいりました。令和二年度には静岡市との調整会議を設置し、新県立中央図書館の整備をはじめ駅南北公有地の活用方策等について情報共有を図っております。
 こうした中、駅南口周辺には議員から御紹介のありました多くの留学生が学ぶビジネス専門学校など複数の専門学校や特別支援学校が開校するほか、静岡済生会総合病院が立地するなど教育・福祉・医療機関等が集積する地域となってきております。また駅北口についても静岡市がアリーナ整備と駅周辺のまちづくりを一体的に進める方針を表明するなど、駅南北の環境が大きくさま変わりし始めております。
 このため、来年度庁内関係部局による検討会議を立ち上げることといたします。従来の文化やスポーツという視点に加えて、障害の有無や国籍等に関係なく様々な方々がこの地域で生活することができる共生社会の実現の視点を持って、南口県有地やグランシップなど周辺の県有施設の利活用方策について幅広く検討してまいります。また静岡市が設置を予定している仮称東静岡駅周辺まちづくり協議会の動向についても注視し、市とのさらなる連携強化を図ってまいります。
 県といたしましては、静岡市と一体となって東静岡駅周辺地区が様々な人々が集い、共生、交流できる魅力的な場所となるよう全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) 静岡市との関係についてのうち、三保飛行場跡地利用とエアモビリティーの産業化についてお答えいたします。
 次世代エアモビリティーのうち、例えばドローンの将来の市場規模は九千億円に達するとも言われており、県内各市町で産業化に向けた取組が進められております。県としても自動車産業で培った軽量化や精密加工の技術が応用できることから有望な産業分野と認識しており、産学官のワーキンググループ開催によるネットワークの形成、新規参入や実証実験の支援等に取り組んでおります。
 今後、さらなる産業化を図る上で物流、点検など様々な用途に対応した機体の迅速な開発が不可欠であり、そのためには県内企業が試験飛行を行うフィールドの拡充が重要となります。旧三保飛行場については文化財保護法の規制があるものの、駿河湾に面しており飛行経路が広く確保できるなどの利点があり、県内の有力な実証フィールドの一つになると考えております。
 県では今年度、民間事業者や市町と連携して物流や鳥獣害対策など三件の実証実験に取り組んでおります。さらに年度内には三保地区から西伊豆に向けて駿河湾を横断する無人航空機の実証実験を予定しております。これらの結果を踏まえ実証フィールドとしての可能性を静岡市と一緒に検討してまいります。
 県といたしましては、市町と連携し新たな実証フィールドを探索するとともに、機体開発や実証実験の支援を通じ次世代エアモビリティーの社会実装や関連産業の振興を図ってまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 相坂摂治君。
       (五十一番 相坂摂治君登壇)
○五十一番(相坂摂治君) お答えを頂きました。
 二点要望を申し上げて、再質問を三点行います。
 まず要望ですけれども、要望の前にですね、今回の台風十五号からの復旧、救援活動、復興活動、そしてまた海づくり県民税につながっていく今回のシラス漁の漁場の回復の活動等については、土木事務所の皆さん、農林事務所の皆さん、そして水産・海洋局の職員の皆さんが本当に丁寧に現場にも出向き、国にも出向き、手続を進めてくれました。改めて心から感謝を申し上げたいと思っています。
 要望はですね、まず海づくり県民税については今大変丁寧に御説明頂きましたけれども、ぜひ実現に向けて関係各課から担当を配備していただいてプロジェクトチームを組んでですね、ぜひ迅速な検討を進めてスタート地点にたどり着いていただきたいというふうに思います。
 それから、二つ目の要望ですが浸水対策です。
 交通基盤部、今も申し上げたとおり大変御尽力を頂いておりますが、やはり県の管理河川の整備の限界がこうした浸水被害をもたらしているという側面が非常に強い状況です。ですからこれを踏まえて、市町の取組姿勢をということではなく県がリーダーシップを取って予算も含めて、一軒一軒のお宅はインフラ整備の時間を待っている時間はありません。次の台風被害に備えても住宅の生命と財産の危機に瀕しています。ぜひ迅速な対応をお願いしたいと思います。
 再質問です。
 まず一点目。知事にお答え頂きましたけれども、システムとして御用意をされた、その知事の御答弁書に書いてあるマニュアルのようなお答えは完璧です。ただ初動全力とおっしゃられた知事はそこにいらっしゃらなかったんです。
 二〇〇一年の二月、ハワイ沖で日本の水産高校の練習船がアメリカの原子力潜水艦に衝突されて沈没した事件がありました。当時の首相は発生時に休暇でゴルフをしていました。連絡後もプレーを続けていたことが問題となり、その二か月後に退陣されています。
 再質問は、今回のように知事が休暇中に再び災害が発生した場合、次は知事はどうしようとお考えですか。
 二点目の再質問です。
 今度は森副知事にお答え頂きたいと思います。
 お答えを頂きませんでしたが、森副知事は本県で最後の企画部長でした。先ほど知事直轄で総合計画あるいは財政、予算編成等のお答えを頂きましたが、森副知事は最後の企画部長として企画部で行っていた当時の主な仕事、他の部局との違い、予算編成を行う財政部との関係等を含めて現在の知事直轄組織と比べてどんな違いを感じていますか。これを教えてください。
 それから三点目は、改めて知事に伺いたいと思います。
 リニアの問題です。
 知事の部分開業論は、リニア開通を遅らせている要因が本県のトンネル工事だけではなく他県にも課題があるためだと主張するための方便、部分開業できるならやってみろと言わんばかりの主張であり、とても協力関係を築こうとする姿勢を感じることができません。
 再度伺いますが、部分開業論を見直してトンネル工事に伴う水量減少、工事で発生する残土処理、南アルプスなどの生態系の保持について対話と称したJRへの質問ばかりではなく、これらの問題について我が県がリニア開通を促進するために何ができるのかを、知事のお考えをお示しください。以上、お答えをお願いします。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 御質問頂きました。
 まず最初の、今回のような能登地震のようなときがどうするかということの御質問ですけれども、まずは情報収集でございます。今回の場合には本県において対策本部を開くような事態ではないと、情報収集体制でいいということで情報収集体制に当たりました。従ってそれはどのような事案が生じているかということによるということでございます。
 二つ目の御質問ですけれども、部分開業論ということでございますが、これは二〇一〇年五月に国交省が諮問する交通政策審議会中央新幹線小委員会におきまして、事業主体となるJR東海が現在の実験線、これを延伸、完成して間断なく東京から名古屋までを完成させそれから十八年後ですか、二〇四五年に大阪まで開通させるという、こう述べておりますが、その冒頭に述べておられるその実験線の延伸完成ということに基づいて申し上げていることでございます。
 それからまた、こういうこの発言につきましては、期成同盟会におきまして調査研究、広報啓発というのが仕事の一つになっております。したがいまして、この件につきましても次回行われるであろう総会におきまして、議題になるように努めていきたいというふうに考えております。以上であります。ありがとうございました。
○副議長(鈴木澄美君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) 私の在任中の企画の部長時代とですね、現在の部との違いについてお答え申し上げます。
 現在と同様にですね、私のときも総合計画であったり、内陸のフロンティア等々ですね、各部局にまたがる計画策定に携わっていたわけでございます。
 現行との違いは、議員御指摘のとおり予算の部分です。財政の部分が当時はございませんでした。今現在それがあった場合にですけども、その計画を策定するときに当然ながら私もそのときには予算も頭に入れてはおりましたけども、より具体的に予算を意識しながら計画が策定できるということで現実に沿った計画ができているんじゃないかというふうに思っています。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 相坂摂治君。
       (五十一番 相坂摂治君登壇)
○五十一番(相坂摂治君) 知事に申し上げて質問を終わりたいと思いますが、情報収集とおっしゃいましたけれども、百聞は一見にしかずです。今後も知事がどうされるかは表明がありませんでしたが、改めて自らの今回の行動を省みて知事がその考えを変えられることを要望いたして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 
○副議長(鈴木澄美君) これで、相坂摂治君の質問は終わりました。

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