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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成17年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/29/2005

会派名:

平成21


質疑・質問事項:



    副議長 (中澤通訓君)  次に、 四番 佐野愛子君。
            (四番 佐野愛子君登壇 拍手)
    ○四番 (佐野愛子君)  私は会派平成21所属議員として当面する県政の諸課題について、 知事及び関係部局長並びに教育長に伺います。
     初めに、 義務教育費国庫負担制度について伺います。
     義務教育の根幹をなす義務教育費国庫負担制度については、 十一月に予測される政府与党協議で最終的な決着がつくことが見込まれています。 本制度はこれまで、 国の責務において義務教育の機会均等と教育水準の維持を支える重要な役割を果たしてきました。 しかし、 地方六団体からは制度を廃止し一般財源化を要望する意見が提出されています。 地方分権が進む中、 教育の地方の自由度を拡大し市町村や学校の裁量にゆだねていこうという声もあります。
     こうした情勢の中、 日本PTA全国協議会を代表に教育関係十八団体として、 義務教育費国庫負担制度の存続と少人数教育の推進を求める署名活動が全国的な規模で実施されていると聞いています。 一般財源化された場合、 自治体間では税源の偏在性があることから同制度の廃止に危機感を感じている方が大勢います。
     義務教育は国民としての必要な基礎知識を培うもので、 長期的な視野に立ち将来を担う子供たちを育てていくべきものであります。 今後個々の自治体の財政力や今後の経済の動向、 県の財政状況により左右されることなく、 本県の教育水準が維持向上され教育の機会均等が保たれるようにしていかなければなりません。
     そこで、 今後の教育水準に大きくかかわる義務教育費国庫負担制度について知事の見解を改めてお伺いします。
     次に、 情報通信基盤の地域間格差の解消について伺います。
     現在の私たちの生活は、 電話やファクシミリ、 無線、 パソコンを使ったインターネットなどさまざまな通信手段に大きく依存しています。 特に電話について見ますと、 従来の固定回線電話の使用状況は年々減少し、 かわって携帯電話の普及率が驚くほどの勢いで伸びています。 どこにいても、 いつでも、 好きなときに他人に干渉されることなく会話やメールのやりとりができ、 インターネットの機能を使えば必要な情報が手軽に入手できる携帯電話は今や私たちの生活に欠かせないものとなっています。
     ところで今年の七月下旬、 台風の通過に伴う大雨の影響で藤枝市上滝沢地域の山間部で地すべりが発生し、 地域の住民に避難勧告が出るという事態が発生しました。 この地すべりは今でも観測が続けられており、 県土木によって応急対策を行っていただきました。 しかし今回の出来事で大きな問題になったことは、 避難勧告を受けた地域や対策本部となった公会堂は電波が届かず携帯電話が使えなかったことです。 市や県の職員や消防署、 警察署員が互いに連絡をとることもできない上、 住民も携帯電話で御家族や親戚の方の安全を確認することもできず大変不安な思いをしました。 自治体の中には非常時の職員の呼び出しに携帯電話を使おうという動きも出ている中にあって、 携帯電話が災害時のライフラインとはみなされていないことを身をもって体験しました。
     さらに考えてみますと、 携帯電話に限らずブロードバンドによる高度情報通信基盤の整備やこの十一月からすべての民放局で始まる地上デジタル放送の受信状況などについても、 同じ県内にあって地域によって大きな格差があるのではないでしょうか。
     さきの知事選挙で、 知事は県民暮らし満足度日本一という県民の目線に立ったわかりやすい公約を掲げて当選されました。 私も県民の皆さんが本当に静岡県に住んでよかったと思えるような県土の創造を期待しています。 しかし、 それは決して都市部に住む県民だけでなく過疎地域に住む県民も満足できるものでなければなりません。 特に情報通信基盤は過疎地域においてこそより必要とされるインフラです。
     そこで、 県内の携帯電話やブロードバンドなどの情報通信基盤の地域間格差を解消するためにこれからどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
     次に、 女性のエンパワーメント推進について伺います。
     今回の衆議院総選挙はさまざまな話題を呼びました。 中でも全国各地の刺客と呼ばれた女性候補者の存在は際立っていました。 女性だからと珍しがられるのはまだまだ真の男女共同参画の意識が定着していないためだと思われます。 この選挙で当選した女性は四十三人を数え、 五十九年ぶりに史上最高を更新しました。 しかし、 それでも衆議院議員総数に占める女性議員の割合は九%にすぎず、 極めて低い水準にあるとしか言わざるを得ません。
     諸外国の状況を見てみますと、 ヨーロッパの主な国々やカナダ、 韓国では、 一定比率で女性候補を割り当てるクオーター制や比例名簿の順位を男女交互にするなどの手だてを取ってきました。 これから国づくりをしようとしている多くの開発途上国も同様です。 また今月、 国連が発表した二〇〇五年度版の人間開発報告書によれば、 女性の政治経済分野への進出度を示すジェンダー・エンパワーメント指数は、 昨年の三十八位から四十三位にと後退し、 先進国では極端に低い状況にあります。 女性の社会的地位の向上が依然として我が国の大きな課題となっている実態が明らかになり、 今後ますます女性一人一人に力をつけるエンパワーメントが求められてきます。
     静岡県の状況を見てみますと、 静岡県男女共同参画基本計画の平成十六年度施策の評価では、 八つの基本的施策のうち政策・方針決定過程への女性の参画の拡大はある程度の成果は認められるが、 一層の取り組みが必要とされるBマイナスと大変厳しい評価結果でした。
     多様で豊かな社会を築くために女性の力を有効に生かしていくことは、 あらゆる分野で求められています。 民間企業でも、 ようやく女性の培った能力を生かすために出産後の再雇用制度を設けたり、 商品開発や接客研修に女性を登用するなどの試みが見られるようになってきました。
     そこで、 県では女性のエンパワーメントを推進するために、 今後どんな取り組みをしていくのか伺います。
     次に、 クールビズの今後の取り組みについて伺います。
     今年六月一日は戦後日本の歴史の中で記念すべき日でした。 長い間男性諸君の正装として君臨したスーツ、 ネクタイという神話が崩れ去った記念日です。 その理由はクールビズと聞き慣れない名前でのエネルギー節約効果をねらった軽装の勧めでした。 県庁においても、 従来から取り組んでいるエアコンの温度設定を二十八度にすることやノー上着に加え、 ノーネクタイを励行するなど職員の軽装化を推進しました。 その結果、 デパートにカジュアルシャツを買いに走った職員も多いということです。
     しかし、 何といっても注目されたのは知事の実践力です。 ちょうど重なった県知事選では県内各地をクールビズで駆けめぐりました。 その姿はこれまでのかたいイメージの県知事ではなく、 県民の皆さんに親しみやすい知事と映ったことでしょう。 また公式場面ではノーネクタイで立つのはちょっとどうかという疑問の声も多少なりとも聞こえました。
     賛否両論あるクールビズではありますが、 この夏、 エネルギー効果で全国では二十億円の節電、 CO 2は一般家庭に換算すると約一万四千軒分に相当する約七万九千トン削減という数値が出ました。 また、 千八億円の経済波及効果があったということです。 今度は冬場の暖房エネルギー節約をねらいウオームビズという取り組みもあると聞きます。
     静岡県として今年初めて取り組んだこのクールビズ、 県庁職員内では徹底できたものの一般企業や民間への普及はまだまだだと見受けられます。 県としては反響をどのようにとらえ今後この取り組みをどのようにして広げていくのか、 特に率先して実践した知事の感想を交えて伺います。 またウオームビズの導入予定についてもあわせて伺います。
     次に、 里山保全の取り組みについて伺います。
     初めに、 放置竹林に対する抜本的対策について伺います。
     近年、 長い間ふるさとの原風景としてあり続けた里山の風景は激変しつつあります。 県内で大きな問題になっている放置竹林の拡大が大きな要因となっているからです。
     県が今年二月から三月に行った調査によると、 県内十市町の調査地のうち竹林面積の年間増加率が最も多いのは河津町で、 何と二一・四%、 平均でも八%と危機的数値を示しています。 このような竹林の拡大は、 竹材、 タケノコ生産の減少による竹林の管理がされなくなったこと以外にも、 茶畑やミカン畑などを含む里山全体の管理が行われなくなったためだと思われます。 このまま拡大が続くと環境面や防災面で悪影響を及ぼすことになります。
     藤枝市では私も参加しましたが、 若竹狩りの実施、 NPOや緊急雇用対策による伐採、 緑資源公団による竹林の林種転換などに取り組み成果が上がっています。 利用面でも竹炭や竹酢液の利用促進、 竹材の有効利用などは官民一体となって取り組んでいます。 また県が取り組んできた農薬による竹林拡大防止試験に使用していた農薬が登録されたことは、 一方策となり得るものと期待しています。
     しかしながら、 いまだ拡大し続ける竹林を抑止するほどの抜本的対策にはなっていません。 本来、 竹林管理は所有者の責務ではありますができていないのが現状です。 一方、 活動として竹林整備を実施したいNPO団体などもいますが、 所有者の権利が阻んでいる場合もあります。
     県では放任竹林拡大の解決を図るべく竹林対策推進会議を設置して、 地域に密着した竹林整備の必要性の普及啓発、 竹林整備の推進を検討しています。 このような状況を踏まえて、 県として放置竹林に対して必要な予算措置を含めてどう取り組もうとしているか伺います。
     次に、 有害鳥獣被害への対応について伺います。
     里山が黄金色に色づく実りの秋を迎えました。 農家にとって一年かけて丹精込めた作物の待ちに待った収穫のときです。 田んぼで穂を垂れた稲を刈ろうとした矢先、 近所の農家の方が 「イノシシが田んぼに入って荒らしまくってめちゃめちゃだ」 と言ってきました。 我が家の脇の畑にも毎晩のように進出しています。 山の中によほど食べ物がないのでしょう。 または生態系が崩れ異常に繁殖しているのか、 以前にはなかった現象です。 もとは私たち人間の環境破壊に原因があるのかもしれませんが、 農業で生計を立てている方々にとっては非常に深刻な状況です。 一年間の収入は減少し次への生産意欲もなくなります。 特に農業従事者に高齢化が進む現在ではこのまま耕作放棄地となっていくのも否めません。
     県の統計を見ますと、 十六年度の農作物の鳥獣被害総額は二億一千百四十八万円、 イノシシだけでも一億円を超しています。 もちろん生産者の方々は垣根をつくったり電気さくを張りめぐらしたりさまざまな対応をしていますが、 それには多くの経費がかかり、 対応できる農家はいいのですが、 策を打てない畑に被害が集中することにもなります。 またイノシシは大変賢く運動神経にもすぐれ、 人間の知恵もかなわないほどだといいます。 専門的に習性を研究して効率よい対策を生み出すことが求められます。
     県東部地域で十六年度に行った県単独鳥獣害防止対策事業は広域的に電気さくを設置し、 効果も大きかったと聞いています。 また受益される農家の方々がみんなで無償で労働力を提供し設置したという、 まさに協働の取り組みがなされました。 このような予算を有効に使っている事業こそ今後全県的に広め被害を食いとめる手段として生かしていくべきだと思いますが、 県の取り組みを伺います。
     次に、 AED  自動体外式除細動器の導入促進について伺います。
     人の命ほどとうといものはありません。 特に心臓麻痺などで心停止した場合は、 早く処置ができるどうかが生死の明暗を分けます。 生存率は処置が一分おくれると一〇%下がると言われています。 そこでAEDという装置が開発されました。 一般市民でも安全に使用できる電気ショックで心臓をよみがえらせるものです。 昨年七月から制度が整備され、 医療従事者以外でも使用できるようになりました。 救急車が到着する前にAEDで処置をすれば、 助かる命もふえていくことは確実です。
     先日、 盛大のうちに幕を閉じた愛知万博の会場では、 至るところにAEDが設置されているのを見かけました。 休憩所や乗り物の待合所などには目立つ印で看板が掲示されており、 警備員の方も操作の訓練を受けているということでした。 先月末には心停止で倒れた人をちょうど居合わせた医大生の若者たちがAEDを使って蘇生させ、 名前も言わずに立ち去ったという報道もありました。
     また、 静岡県内ではある私立の学校に三台設置し、 教職員が操作方法の講習を受けたということも聞きました。 一台当たりの価格は三十万円から四十万円程度です。 県でも学校、 デパート、 遊園地、 スポーツ大会の会場など大勢の人が集まる場所にAEDの設置を進め、 操作方法を県民に広めていくことにより一人でも多くの命を救うことができるのではないかと考えます。 今後の設置促進や操作法の普及について県の御所見を伺います。
     次に、 介護保険制度改革への対応について伺います。
     九月は敬老の日にちなみ県内各地で祝典が催されました。 戦中・戦後の苦難を乗り越え現在の日本を築いてくれた高齢者の方々へ、 感謝や今後の健康を願う気持ちはだれしも同じだと思います。 今や五人に一人が六十五歳以上の高齢者であり、 全国で年間七十一万人増加したということです。 しかし、 敬老会に出席できる元気なお年寄りだけでなく、 やむを得ず介護施設にお世話になっている方々も大勢います。
     今年六月、 発足して五年たった介護保険制度が改訂されました。 制度ができた平成十二年四月と比較し、 ことし四月はサービスの利用者が二・三倍となっています。 それだけ介護を必要とする人たちやその家族に待ち望まれ、 かつ定着した制度であると言えます。 しかし経費がかさんでいることは事実です。 県を見ても、 当初八百十一億円の給付金で始まったものが今年度は千七百六十億円という倍増にまでなりました。 将来的にこの制度を維持していくためには今回の改革はいたし方ないものであることはよくわかります。
     しかし、 十月から施行される施設給付の見直しを受け、 現在介護保健施設を利用されている方々が、 食費はともかく個室住居費の月五万円程度を自己負担するとなると退所せざるを得ない方も出てきます。 高齢者は必ずしも経済的弱者ではないと言われる場合もありますが、 厳しい経済情勢の中、 そう豊かな高齢者ばかりではありません。
     今後国民健康保険税の改定や高齢者医療制度の見直しが見込まれ、 ますますお年寄りが苦しくなり消費も控えるようになります。 特養の増設も必要ですが金銭的に裕福な方だけでなく、 みんなが利用できる地域密着型のサービスの導入などが本当に望まれるものだと思います。 県として高齢者プラン21を踏まえ、 介護保険制度改革に今後どのように対応し保険者である市町村を支援していくのか伺います。
     最後に、 教育行政に関して、 教育に求められる多様性について伺います。
     二十一世紀の特性をあらわす言葉の一つに多様性という言葉があります。 一人一人がさまざまな価値観を持ち、 それらを認め合い調和を図り合いながら社会が形成されていくという構図です。 そして今、 学校もその社会構図をそっくりそのまま縮小していると言っても過言ではありません。
     一昔前までは学校も教師主導の全体学習が主流でした。 子供たちは一クラスに何人いようとも全員が一律に行動し教え込みを受けていました。 しかし、 現在の教育は大きく様変わりしています。 一人一人の主体性を大事にし、 学級全体よりも個に焦点を当てた授業が多く見られるようになりました。 生活科や総合学習などは個人ごとに追求するテーマを決定し、 活動を組んでいきます。 教師はその子その子に合った指導・助言を求められます。 また算数や英語などでは習熟度別クラスに分け、 個人のつまずきや意欲関心をとらえた上での指導をします。 まさに授業の形態も多様化しているのです。 そして、 ふえ続ける不登校や非行、 校内暴力、 いじめなどに対しても子供の置かれた状況をしっかりつかんだ上で対応していくことが求められます。
     保護者が学校に要求する内容も多様化しています。 保護者の価値観もさまざまですから、 学校の規則、 指導内容など学校の方針をわかりやすく伝え説明することも必要となってきます。 中には親教育までも学校に求められたり、 家族の形態も変わってきたりしています。 さらに、 めまぐるしく変わる社会情勢にも適応していくことが求められます。 学校を地域に開き施設を開放することも必要です。
     また、 全国どこかで学校内の犯罪が起きると不審者の侵入に備えたさまざまな対応が求められ、 「さすまた」 で護身術さえ習います。 個人情報保護法案が成立すると、 それに即した事務処理、 成績処理などの新たな対応が必要となります。 また教育は社会の根幹であり、 環境教育、 情報教育、 福祉教育、 安全教育などなど、 社会に求められるものすべてに教育の二文字をつければ成り立ってしまうほどです。
     しかし、 そこで問題なのは社会がこれだけ多様化し教育に対する要求も変化しているのにもかかわらず、 教育の本質は変わっていないことです。 教育はあくまで人と人のかかわりで成立していくものですが、 教師は周囲への対応と雑務に追われ、 肝心の子供とのかかわりがおろそかになってしまうというジレンマに陥っているのです。 ゆっくりと子供たちの目を見て話を聞いたり、 一緒に遊びながら触れ合ったりという時間が少なくなっているのが現状です。
     静岡県教職員組合が今年行った県内教職員四千四百人を対象とした教職員勤務実態調査によれば、 生徒指導業務が二、 三年前と比べてふえたと感じているという回答が五六%、 勤務時間内で授業以外に子供と遊んだり話を聞いたりする時間は二十分以下が全体の五五%という結果が出ています。
     そこで、 県としてはこのような学校の現状をどのようにとらえているのか、 また今後子供たちにさらに行き届いた教育を実現するための方策はどうあるべきと考えているのか伺います。 (拍手)
    ○副議長 (中澤通訓君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  佐野愛子議員にお答えいたします。
     初めに、 義務教育費国庫負担制度についてであります。
     この義務教育費国庫負担制度のあり方に関しては、 いろいろな立場からさまざまな意見があることは承知をしております。 私はこの問題を考えるためには義務教育に対する財源保障の、 あるいは財源確保の仕方と教育水準の確保を別の問題としてとらえて議論する必要があると考え、 その旨主張してまいっております。 今もその考えは変わりません。
     この義務教育費国庫負担を廃止すると、 財政力に非常に格差のある団体間で実際の予算編成に当たって非常に凹凸と言いましょうか、 過不足があちらこちらで出てくるんじゃないかという心配がありますが、 実は義務教育費国庫負担制度を廃止したときに、 財源を移譲される先はどこかというと四十七都道府県であります。
     この四十七都道府県知事が昨年の夏に新潟における知事会議において相当白熱した議論を展開しましたけれども、 圧倒的な議論は、 仮に一般財源化されても教育人件費のために税源移譲されたものをほかに回すなんていうことは考えられないと。 むしろ、 現状でも半分以上の地方負担をしてるわけでありますから、 その半分以上の地方負担に見合った教育関係の人件費ですね、 その総額ですら足りないということで県単のつけ足しをいろいろしているという状態のとこでありますから、 国の負担金が一般財源化されたからといって、 それをいいことにしてほかに転用してしめしめなんということは考えられないと。
     この議会においてもですよ、 そんなことできないでしょう。 まず佐野愛子先生が猛反対するでしょうし、 それ以外の方々だってそんなことできるわけがありませんね。 許容するはずはありません。 にもかかわらず、 この義務教育費国庫負担金問題が持ち上がると、 三千三百、 今千八百ぐらいになりましたが、 その非常に大規模な自治体から数百人の規模の市町村までが、 この義務教育費国庫負担をするんじゃないかと言わんばかりのイメージの主張がされて危機をあおるわけですね。 もう貧乏で首も回りかねないような市町村がそんなことできるかなと。
     国民の大部分の方は公立学校、 公立小中学校というのは市町村立学校ということはよくわかっておられるわけですから、 今現在で、 県民の方々に 「先生の人件費だれが払っていますか」 と聞いてみると、 ほとんどの方がそれは市町村が払っているだろうというふうに誤って解釈されていると思うんですね。
     それにかこつけて、 私は文部科学省が詐欺的というか、 とんでもない言辞を弄していると。 とんでもない非常に悪質な行為だと私は思うんです。 文部科学省が主張してる義務教育制度をきちんと守るために財源が必要だというんならば、 それじゃ今まで国民の中に自分たちの子弟のあるいは今の子供たちが、 学力がどんどん低下して心配だというような声がどうして起こってくるんですか。 そういうふうに心配になったときに、 本当にそれじゃ、 その学力が落ちているのか落ちていないのか、 全国の資料出せと言ったって出せないわけですよ。 そんなていたらくでいながらですね、 お金の問題になると、 これがなければ義務教育を全国あまねく守れないなんてとんでもない話だと私は思うんです。
     ぜひ佐野愛子先生、 ここのところを御理解いただいて、 むしろ私を説得するんじゃなくて、 知事会を説得するんじゃなくて、 そういうとんでもない文部科学省を攻撃してもらいたいと思うんですね。 ぜひ御理解をいただきたいと思います。
     決して一般財源化されたからといって、 そういう人件費をその限りで削るというようなことはあり得ないわけですね。 ただ、 教育公務員の場合でも一般の行政公務員とか公安職の公務員と同じように、 その賃金水準については一応民間水準との対比で水準を決めるということになっていますから、 今後人事委員会制度なりあるいはそれが廃止された場合に、 今後どういう公務員制度になるかわかりませんが、 そういうことで例えば総人件費ですね、 あるいは人件費の水準、 これが今よりは、 今期待しているよりは下がるかもしれない、 それは一般財源化されたことによる教育関係の人件費の削減問題とまた違う話ですね。 ですからぜひその辺混線しないように、 ぜひブロードバンドでよく内容を受けとめて御理解をいただいて、 応援をいただきたいなと思うわけでございます。
     それが実現いたしますと、 実は現状では国庫補助負担金をいただかなくちゃいけないということで、 この申請事務あるいはその後の検査とか、 あるいは会計検査院の検査などによる事務の負担が今非常にあるわけですね。 それがなくなることだけでも国、 地方を通ずる行革にも資するわけでありますので、 よろしく御理解をいただきたいと思います。
     クールビズであります。
     クールビズについては、 確かにことし政府のお声がかりが大々的にありまして、 非常に私は成功をおさめたと思います。 昨年までももう既にかれこれ八年か九年間にわたって、 夏は県庁内の冷房温度は二十八度設定ということで、 したがって、 とてもネクタイや背広なんかは着ておれないだろうということからノーネクタイ、 ノー上着でよろしいということでやってまいりました。 したがって、 県庁の中も職員のほとんどが夏場はノーネクタイ、 ノー上着、 半袖その他の軽装で執務をしてまいりました。
     しかし、 そういう提唱する私自身が、 上着は着ないまでもネクタイをして執務をしておりましたので、 今年から京都議定書の効力が発効するということを機に象徴的にネクタイを外そうというふうに決意をして、 そういう指示を庁内にも出しておりましたところ、 政府も同様なことをやって、 大変これがヒットしたと思います。
     来年以降もこういうことをやっていくべきだというふうに思いますし、 ことしの六月と今日考えますと、 県庁へ来訪する方々の、 私の部屋へ来られる方々のスタイルも大分上着なしのあるいはネクタイなしの方も、 まだ半分ぐらいではありますけども、 それでもその効果が出てまいっておりますので、 来年以降に期待しておるところであります。 (発言する者あり)
     ウオームビズでありますけども、 これは冷房以上に暖房温度を冷え冷えとしたものにしておけばいやが応でも皆さん方それに対応せざるを得なくなると思うんですね。 冬のウオームビズの場合は、 上を重ね着するというよりもまずは下から始まりますよね、 下着から。 本当は見えにくいんじゃないかと思うんです。 現に、 今までも県庁の中の暖房温度は十九度設定にしておりますので、 私などもそれ以上の温度設定のときと比べると、 下着も厚めのものを着るようになっておりました。 ですから、 ことしはもし皆さんに実感していただける意味も兼ねて、 お許しいただけるならば、 県庁の中の暖房温度を十五度ぐらいにすれば確実にウオームビズが普及すると思うんですね。 まあたまにはそういうことやってみてもいいかなと思いますが標準は十九度設定ということになっております。
     しかも、 この暖房温度を一度下げることは、 冷房温度を一度上げることの四・四倍のCO2 削減効果があるというふうに試算をされておりますので、 お許しいただけるならば、 賛同いただけるならば、 十五度設定も視野に入れてやったらどうかと思うんですが。 (拍手) これはちょっと冗談にしてもウオームビズも大変結構なことだと存じます。
     その他の御質問につきましては関係部局長、 教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長 (中澤通訓君)  花森企画部長。
            (企画部長 花森憲一君登壇)
    ○企画部長 (花森憲一君)  情報通信基盤の地域間格差の解消についてお答えいたします。
     身近な通信手段であります携帯電話や高速でインターネットの利用が可能なブロードバンドが急速に普及しておりますが、 いずれも山間部を中心に利用できない地域が一部に残されております。 また本年十一月から、 県内すべての放送局で始まります地上デジタル放送についても現在県内で受信できる世帯は約七五%に限られており、 今後、 放送事業者では二〇一一年七月のアナログ放送停止までに鋭意中継局を設置し、 エリアの拡大を図ることが求められております。
     県といたしましては、 携帯電話やブロードバンドなどの情報通信基盤の地域間格差は重要な課題であると認識しており、 これまでも国庫補助事業を活用するとともに、 県単独事業により市や町と連携して利用できない地域の解消を図っているところであります。 今後も引き続き、 これらの事業を活用して情報通信基盤の地域間格差の解消に努めてまいります。 また地上デジタル放送についても、 県では行政情報や観光情報、 防災情報などの提供できる情報通信基盤として期待しており、 事業者などと協議しているところでありますが、 CATVなどさまざまな手段、 方法により、 早期に県内すべての地域で受信できるよう努めてまいります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  大村生活・文化部長。
            (生活・文化部長 大村義政君登壇)
    ○生活・文化部長 (大村義政君)  女性のエンパワーメント推進についてお答えいたします。
     男女がともに個性と能力を発揮し、 責任を担う男女共同参画社会の実現に向けて女性が多様な能力を身につけ、 みずからの意思によりあらゆる意思決定過程に参画する力をつけていくことが求められております。 このため県では、 男女共同参画基本計画に女性のエンパワーメントへの支援事業を盛り込み、 女性の能力開発に向けた講座の開催や情報提供に取り組むとともに、 企業や民間団体トップへの意識啓発を通じて、 女性の積極的な登用を働きかけております。 また今年度、 女性の意欲が活躍の場と結びつくことを支援するため、 民間団体のネットワークを活用して、 ホームページによる再就職やキャリアアップに関する情報の一元的提供や能力アップセミナー等を行うしずおかチャレンジ支援事業をスタートさせたところであります。
     今後は市や町、 企業、 関係団体との協働によりこれらエンパワーメント支援に関する取り組みを一層充実するとともに、 社会のあらゆる分野で女性の能力発揮に向けた取り組みが主体的になされるよう意識啓発や就業環境の整備に努めてまいります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  府川環境森林部長。
            (環境森林部長 府川博明君登壇)
    ○環境森林部長 (府川博明君)  里山保全の取り組みについてのうち、 放置竹林に対する抜本的対策についてお答えいたします。
     県ではこれまで緊急竹林整備事業を実施してきたほか、 竹林整備マニュアルの作成など普及啓発に努めるとともに静岡県竹林整備方針を作成し、 地域での主体的な取り組みを促進してきたところであります。 今年度は、 竹林の林種転換、 伐採した竹林を処理するためのチッパーの導入、 タケノコ生産のための作業道の整備など放置竹林の整備や利用を促進する市や町などに対し、 積極的に支援しているところであります。
     現在県は荒廃した森林の再生について、 新税による対応が必要であるという静岡県森づくり百年の計委員会の御提言を踏まえ、 新税の創設とこの税を利用した支援方策の具体策の策定作業中でありますが、 その中で御指摘の対策についても検討していきたいと考えております。
    ○副議長 (中澤通訓君)  北村農業水産部長。
            (農業水産部長 北村正平君登壇)
    ○農業水産部長 (北村正平君)  里山保全の取り組みについてのうち、 有害鳥獣被害への対応についてお答えいたします。
     野生鳥獣による農作物などへの被害は年々深刻化してきており、 農家の営農意欲の低下による耕作放棄地の増加など地域にとって大きな問題となっております。 こうした中、 イノシシの被害が甚大であった沼津市西浦及び井田地区では農家が個々に対応していた方法を改め、 昨年度、 地域全体のミカン園を総延長二十三キロメートルの電気さくで連続的に包囲して被害を皆無にするとともに、 地域住民と行政が協働して行う直営施工方式を導入し工事費の低減を図りました。
     この成果の普及を図るため 「鳥獣害防止対策の手引き」 を作成し、 これに基づき本年度、 伊豆市を初め七つの市や町で防止対策事業を進めているところであります。 また有識者の地域の代表などで構成する連絡会を設置し、 効果的な防止対策の検討や関係者に対する情報提供を行っております。
     県といたしましては、 今後も集落単位で行う広域的な防止対策と捕獲による適正な個体数の調整の両面から総合的な対策を推進し、 有害鳥獣被害の解消に努めてまいります。
    ○副議長 (中澤通訓君)  川口健康福祉部長。
            (健康福祉部長 川口正俊君登壇)
    ○健康福祉部長 (川口正俊君)  AED  自動体外式除細動器の導入促進についてお答えいたします。
     県では救急医療を推進する組織として設置いたしました医師会等医療関係機関、 消防本部、 行政等で構成するメディカルコントロール協議会を中心として、 施設管理者等に対し、 AEDの果たす役割などの理解を得ながら各施設の自主的な設置促進を図っております。 また大規模なイベント等の実施に当たっては、 県の保有するAEDの貸し出しを行い、 その効用について県民に知っていただくなどによりAEDの設置促進に努めているところでございます。
     操作法の普及につきましても広く一般県民へ普及するため、 各消防本部がAED講習を実施するのに必要な指導者を多数育成するなど体制を整備したところであります。 各消防本部においては、 既に実施している地域住民を対象とした応急手当講習の中にAEDの操作法に関する講習を組み込んで実施しており、 本年は八月末までに七千三百人余の方々が受講いたしました。 今後も消防本部等関係機関と連携しAED設置の促進及び操作法の普及に努めてまいります。
     次に、 介護保険制度改革への対応についてであります。
     このたびの介護保険制度の改革は、 短期間に定着したこの制度を持続可能なものとするとともに、 在宅重視の徹底、 認知症高齢者の増加への対応など質の高い地域ケアの充実を図ろうとするものであります。
     県といたしましては、 この制度改革が円滑に実施されるよう、 昨年来、 市町村に対する説明会の開催や質疑応答集の作成等により情報提供等に努めてまいりました。 特にこの十月から実施される施設における食費、 居住費の本人負担の見直しについては、 利用者に十分理解していただくとともに、 利用料軽減制度がすべての対象者に活用されるよう事業者及び市や町にも徹底を図ったところであります。 来年四月からは、 新予防給付等が実施されますが、 本年度中にその準備として既に伊豆市で行った要介護認定モデル事業をすべての市や町で行うほか、 新設される地域包括支援センターの職員研修などを予定しております。
     また、 現在見直しを行っている市町村高齢者保健福祉計画をもとに、 本年度末には県の高齢者プラン21を改定することとしておりますが、 これらの計画を踏まえ通いや泊まりなどの機能をあわせ持つ小規模多機能施設などを通じて新たなサービスが展開されるよう、 市や町に対して一層の支援をしてまいりたいと考えております。
    ○副議長 (中澤通訓君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  教育行政についてお答えいたします。
     教育に求められる多様性についてでありますが、 子供たちの学ぶ意欲の低下やいじめ・不登校の発生など学校現場が抱えるさまざまな課題や保護者からの要望等により、 教員には今まで以上に多様な対応と役割が求められ、 子供とかかわる時間が確保できにくい状況にあるとの声も承知をしております。
     そうした状況の中、 各学校では教育活動の充実に向け、 教育課程の改善等による時間の生み出しや小一支援、 中一支援などによるきめ細かな指導を進めるとともに評価システム等を活用し、 子供や保護者、 地域の声を反映させて、 精選、 重点化した教育内容を提示するなど、 学校の魅力づくりに取り組んでいるところであり、 その努力と創意を評価いたします。
     県教育委員会といたしましては、 児童生徒に行き届いた教育を実現するため、 学校教育の制度や内容の改善、 人事上の工夫などを図るとともに、 家庭や地域との連携を一層進めることにより教師と子供とのかかわりをできるだけ確保するよう、 各学校とともに取り組んでまいりたいと考えております。
    ○副議長 (中澤通訓君)  四番 佐野愛子君。
            (四番 佐野愛子君登壇)
    ○四番 (佐野愛子君)  では、 要望を少し言わせていただきます。
     知事の心のこもった丁寧な御答弁ありがとうございました。 今後の静岡県の教育の水準は落とさないという確約をいただいたものと確信しました。 ありがとうございます。
     女性のエンパワーメントにつきましては、 女性の活力を生かさないことはマータイさんじゃありませんが 「もったいない」 という言葉に尽きると思います。 ぜひ今後とも、 審議会や教職員、 県職で女性のエンパワーメント、 そしてポジティブアクションを進めていただきたいと思います。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○副議長 (中澤通訓君)  これで佐野愛子君の質問は終わりました。
     議事の都合により十分間休憩します。

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