本会議会議録
質問文書
平成21年12月静岡県議会定例会 質問
質問者: | 渥美 泰一 議員 | |
質問分類 | 一般質問 | |
質問日: | 12/09/2009 | |
会派名: | 自由民主党県議団 | |
質疑・質問事項: | 1 中国との交流促進について (1) 中国についての現状認識 (2) 若者の交流促進 (3) 地域における交流促進 2 観光振興について (1) 本県の観光の現状と今後の展望 (2) 世界に誇れる観光地づくり (3) 県の体制づくり 3 茶業の振興について (1) 本県茶業の将来展望 (2) お茶の新品種の導入 (3) お茶の新たな需要創出 |
○副議長 (堀江龍一君) ただいまから会議を再開します。
質疑及び一般質問を続けます。
通告により、 五十番 渥美泰一君。
(五十番 渥美泰一君登壇 拍手)
○五十番 (渥美泰一君) 私は自民党所属議員として、 知事並びに関係部局長、 教育長に質問いたします。
行政の無駄をなくすを目的に行われた県の事業仕分けにより、 県が行うべき事業かどうかということと目的達成のために適切な事業内容になっているかどうかが評価されたと思います。 言われておりますように、 私も意識改革といったことも含めて事業仕分けは一定の成果が得られたというふうに思っております。 そして私は、 個々の判定結果より、 むしろ現在の事業に対する県のかかわり方や仕事のやり方で、 その事業の目的が達成できるのかどうなのか、 ここのところが問題だということを改めて感じました。
川勝知事が言われる現場主義。 そうです。 現場が自分が思っているように動いていかなければ何にもなりません。 知事はみずから行動し、 提案し、 それを実現するということを手がけておられると思いますが、 チーム川勝の職員の皆さんがそのような立場で仕事にかかわっていかないと、 知事が言われる 「静岡に日本の理想郷をつくる」 ということはできないだろうと私は思っております。
そこで、 本日は県の事業への取り組み体制ということを視点に、 三つのテーマを取り上げ質問したいと思います。
初めに、 中国との交流促進について伺います。
まず、 中国についての現状認識についてであります。
昨年来、 世界経済の低迷が続く中、 今後の経済成長を牽引する役割を担う地域として東アジアへの注目が高まっております。 我が国の国政レベルにおいても経済成長の著しい東アジアを重視し、 東アジア共同体構想までが声高に伝えられております。 中でも中国は、 我が国の対外貿易取引高が既にアメリカを抜いてトップとなっており、 本県からも四百を超える事業所が展開するなど、 経済面での交流に関して中国をおいては考えられない状況になってきております。 つい先日開催された静岡アジア・太平洋学術フォーラムにおいても、 今後中国が東アジアの軸として世界経済をリードしていくと予想される中で、 日本がどう向き合うかが熱心に議論されたところでもあります。
こうした情勢の中、 知事は先月二十三日から知事就任後初めて中国を訪問され、 浙江省では呂祖善省長とのトップ会談を行い両県省の友好を深められたと伺っております。 会談において知事は、 上海万博が開催される来年には、 富士山の標高にちなんだ三千七百七十六人の訪問団を浙江省や上海市に派遣する計画を明らかにしました。 これは大変インパクトがあったと思います。
浙江省は、 御案内のように中国国内においても有数の経済発展を遂げている地域であり、 友好提携締結から二十七年の同省との人的交流を初めとする実績は、 他の自治体にはない本県の対中国政策の大きな成果であり、 今後は浙江省を中心に交流先のさらなる拡大を期待するものであります。
また、 そうした幅広い交流を促進するためには、 現在行政と一体となった日中友好協議会が中心となって進められておりますが、 行政機関に加え、 たまたま私が会長を務めます県日中友好協会を初めとする各市町の交流協会など民間活動を支える関係団体や企業との連携が大切であり、 もっと今以上に官民一体となった力強い活動が戦略的に推進できる県としての体制整備の必要を、 御案内のように中国は全くの政府機関が相手ですから、 それに対応できる体制が私の少ない経験からも静岡県にも必要だと強く感じているところであります。
今回の知事の中国訪問を踏まえまして、 今後の本県と中国との交流についてどのようにお考えか、 知事の現状認識をまずお伺いいたします。
次に、 若者の交流促進についてであります。
中国との交流においてさまざま課題がある中で、 とりわけ次世代を担う若者同士の交流促進は重要な課題であります。 しかしながら日中両国は歴史的な問題を抱えており、 国交回復から三十七年が経過した今日においても、 なおデリケートな部分を残しており、 若者に至っては互いに相手の国が嫌いと思っている割合が五割を超すという調査結果が現実であります。
交流相手として大事な国でありながら、 一方でこのような感情的に難しい面を含む中国との交流については、 互いに相手を知ること、 実態を理解すること、 これが重要であります。 中国で反日教育を受けた若者が日本に来て初めて実際との違いに気づいたと言います。 これと同じことが日本の若者にも言えると思います。 まず相手を知るということ、 それには若者世代の相互訪問、 留学生の相互交流などが最も効果的であり、 これを計画的に進める必要があります。 しかしそれにしましても日本の若い人たちのほうが外に目を向けていないというのは、 非常に大変気になっているところであります。 日本の国民性あるいは今日の世相や教育に起因すると思われますけども。
一方、 静岡県の大学を訪れた方や留学生が、 宿泊先のことで大変苦労することが多いということも聞きます。 中国の大学のように留学生の交流や宿泊ができる施設の整備が望まれます。 何も立派なものでなくてもいいんですね。 温かく迎える、 このことが非常に大事だというふうに思います。 後に述べますスペインのグラナダは大学生のまちと言われておりまして、 大変多くの留学生がそこの観光振興にも大きく寄与していると思われます。
こうした問題を含めまして、 本県の将来を担う若者の交流促進に対する県の取り組みについて伺います。
次に、 地域における交流促進についてであります。
ことし九月二十一日ニューヨークで行われた胡錦涛主席と鳩山首相との首脳会談の折、 戦略的互恵関係の確認とともに胡主席から日中関係の五つの重点目標として挙げられた中に、 国民感情の改善が示されたことに私は注目しております。 そして日中間の国民感情の改善に向けましては、 首脳間の往来と対話の強化はもちろんですが、 同時に国民レベル、 地域レベルにおいて不断の交流が行われるということが大変重要だと思っております。
知事は、 来年度の重点テーマとして交流人口の拡大を挙げておられますが、 そうした交流を進めるための有効な方策として、 私は交流目的をしっかりと持った市町レベルにおける友好提携を進め、 地域対地域の多様な交流の機会をつくり、 息の長い交流を続けることが互いの信頼関係を築いていくことにもなると思っております。 経済交流にしましてもこうした基盤の上に行われるならば、 より確実で安全だというふうに思います。
現在、 県内の市町と中国との友好提携の現状は、 沼津市、 島田市、 三島市、 富士宮市、 熱海市、 富士市の六市のみで、 それに現在交流の意向が確認されている菊川市と小山町と伺っております。 友好提携のさらなる推進が望まれるところですが、 それには何と言いましても市町のレベルでは情報等の問題も含めまして、 なかなか単独で進めるということは困難ではないかなというふうに感じておりまして、 県と市町との連携、 そして県の積極的な支援が必要かと思います。 言うなれば県が仲介役になるということです。
一昨日、 本県議会の日中友好議員連盟が設立されました。 私たち議員も中国の実情を学ぶとともに、 議員の方々がそれぞれの地域において中国とのさまざまな交流の機会をつくっていければというふうに思っております。 よろしくお願いしたいと思います。
県は、 地域における交流促進について、 今後どう取り組まれるのか伺います。
次に、 観光振興について伺います。
まず、 本県の観光の現状と今後の展望についてであります。
世界は今地球規模での大交流時代を迎えております。 昨年来の世界的な不況の影響を受け一時的には航空需要が低迷するなど若干かげりはあるとしても、 BRICsを初めとした諸国の経済成長、 特に中国の急激な政治経済大国化は、 我が国を含む周辺諸国の観光関連産業にも大きな影響を及ぼすことが予想されます。 このため国では観光庁を設立し、 官民挙げてビジット・ジャパン、 観光立国の実現と観光人口の拡大に向けて積極的な取り組みを進めており、 本県も昨年度観光局が設置され、 観光振興への県の意気込みは感じられます。
伊豆を初め富士山、 浜名湖などの豊富な観光資源を有する本県において、 観光は非常に重要な産業でありますが、 その現状を見てみますと、 例えば観光交流客数、 ここ十年間ではおおむね一億三千万人台、 決してふえておりません。 そして宿泊客数、 平成三年の年間二千七百六十万人をピークに、 昨年は一千八百七十二万人、 三割以上減っております。 全国比較でも全国第五位、 また外国人観光客も全国で十位以下と、 今必要な国際化への対応のおくれも大変顕著であります。
こんな折、 一昨日から 昨日知事の口からもおっしゃられましたけれども 中国で来年三月から放映される人気女優王珞丹主演のテレビドラマ 「ドゥーラーラ昇進記」、 この県内各地でのロケが一昨日から始まりました。 昨晩は静岡の居酒屋かな、 昨日は伊豆のほうへ行かれたようですが。 北海道もそうですけれどもね。 静岡県が中国ではこれから脚光を浴びるということになると思います。 ぜひこういったことを追い風にしたいものだというふうに思っております。
折しも富士山静岡空港が開港し、 国内遠隔地のみならずアジア地域からのアクセスが格段に向上したわけであります。 私は、 観光を含めた本県産業の振興と人的・文化的交流を促せば、 空港の利用促進は実現できると思っておりまして、 我が国有数の観光立県を自称する本県観光の現状と今後の展望について、 県はどのように認識しておられるのか所見を伺います。
次に、 世界に誇れる観光地づくりについてであります。
経済が低迷する中で、 観光は地域経済活性化の切り札とみなされ、 全国各地でさまざまな取り組みがなされています。 本県においても三十七市町の全域で観光に力を入れ始めております。
我が国が地域主権を目指す中で、 地域特有の観光資源を掘り起こしていくことは、 地域の活性化、 まちづくりの観点からも非常に重要で大いに奨励すべきことと考えますが、 全国的な観光地間の競争が激化する現在においては、 堀り起こした観光資源を磨き上げて、 さらにそれを経済的に貢献できるものにしていくということは、 これ並大抵のことではありません。 まして今日の旅行者は非常に目が肥えておりますから生半可なことでは興味を示さないと思います。
国内にとどまらず海外に通用する観光地をつくり育てるためには、 これまでのような総花的な地域への支援ではなく、 選択と集中、 そういった取り組みが必要ではないかと思います。 そのためには、 やはり地域エゴとか足の引っ張り合いではなく同一の観光エリア内の地域が連携して、 国際的にも魅力のある集客力のある観光地づくりを戦略的に進めていく必要があると思います。 そのことが県の発展、 ひいては地域の発展に寄与することと思いますが、 県の所見を伺います。
次に、 県の体制づくりについてであります。
これまでの観光地づくりというと地元の自治体や地域の観光関係の団体、 事業者、 そういったところが主になって行っておりまして、 県はそれに対して補助金などの形で支援するということでやってきたのが基本だったというふうに思います。 もちろん地元の意識、 地域が自主的にそういったことに取り組んでいくという姿勢が基本にあることは申し上げるまでもありませんけども、 ここに熊本県の例を一つ紹介したいと思います。
熊本県は、 阿蘇地域の自然を保全しながら観光開発と地域づくりを進めるため、 平成二年に県が主体となって阿蘇地域の十二町村と共同して財団法人阿蘇地域振興デザインセンターを設立し、 国際的な観光地づくりを進めてきた。 そして運営が順調になった現在では、 地元自治体や観光関係機関を中心にさまざまな団体が参画し、 より幅広い活動を続けていると聞いております。
一方、 過日私が海外視察で訪れた、 先ほど申し上げましたスペインのアンダルシア州グラナダ県。 ここは人口わずか二十四万人ですが、 年間六百七十万人もの観光客が訪れるヨーロッパ屈指の観光地であります。 そしてここの観光協会は、 何と県議会議長の従属機関として設立されておるんですね。 ですから県行政はもちろんですが、 県議会も連携した推進体制をとっております。 御案内のようにスペインはもう地方分権が進んでおりまして既に州制が実現できておりまして、 自治体における議会の役割も日本のそれとは異なりますが、 県の発展、 あるいは観光振興という目的達成のために、 組織体制を含めて極めて戦略的な取り組みがなされているという印象を強く持ちました。
本県においても、 県の持てるノウハウや情報を活用し、 地域とうまく連携しながら、 県が主体となって観光振興やプロジェクトをコーディネートしていくということが、 これからより広域的視点に立った事業推進の上でも必要ではないかというふうに思います。 そこには非常に高度な行政の技術、 ノウハウが必要になるかとも思います。 県の職員も、 県と一体となって観光振興を推進している観光協会にしましても、 毎日外を飛び回っていただいておられるようですが、 もっと言うなれば実際に現場を動かせるような立場ややり方で力を発揮したいと考えておられるんじゃないかなというふうに拝察いたします。 世界に誇れる観光地づくりを進めるためにも、 県の体制再構築を図るべきと思いますが、 所見を伺います。
次に、 茶業の振興について伺います。
まず、 本県茶業の将来展望についてであります。
既にお茶の問題は本会議においてもしばしば議論されております。 それだけ厳しい状況だということであります。 改めて本県のお茶の実態を見ますと、 生産面積は昭和六十三年をピークに毎年二百ヘクタールずつ減少し、 来年度見込みである二万ヘクタールを既に大きく現在割り込んでおります。 荒茶の取引価格も本年の一番茶が一キログラム当たり二千百十円、 五年前と比較し七五%に下がってしまっております。 二番茶に至っては六百五十七円、 五五%に下落しました。 茶の消費についてもいろいろな競合するドリンクが出ておるということもありまして、 百グラム当たり五百円程度の安いお茶しか売れないということでございまして、 購入量についても一世帯当たり年間一キログラムを割り込んでしまいました。
このようなことから、 既に茶業経営の継続が限界に達しているとの声もあちこちで耳にします。 若手茶業後継者は減少し高齢化が進み、 特に中山間地域に茶園の耕作放棄地がふえております。 生産量の低下とともに農村環境の崩壊、 これにつながると、 私は本年二月議会においてこの問題を指摘したところであります。
県では、 この対策としてさまざまな取り組み、 非常に一つ一つきめ細かくやっていただいているというふうに思いますし、 そうした具体的な取り組みについては、 どれ一つとして欠かすことはできないというふうに思いますけども、 より具体的な成果が得られるような取り組み体制と戦略の必要をこの部分でも感じます。 県内の産業を支えるとともに、 本県の特色や魅力を醸し出している茶業の衰退は、 本県に及ぼすマイナスの影響は極めて大きく対策が待ったなしの状況です。 県は今後の本県茶業をどのように見通しておられるのか伺います。
次に、 対策の一つとしてのお茶の新品種の導入について伺います。
静岡県は、 茶業関係者の不断の努力とともに、 本県で選抜された 「やぶきた」 という代表品種の恩恵により、 全国一のお茶の静岡という地位を確立してまいりました。 「やぶきた」 の総合的な品質の高さは茶業関係者のだれもが一様に認めるとともに、 多くの人に愛飲されている品種であります。 しかし 「やぶきた」 が県内全茶園面積の九三%まで拡大したことにより、 生産面においてもさまざまな弊害が生じております。 また一方 「やぶきた」 一辺倒の静岡茶では、 現在の消費者嗜好の多様化に対応できないということもかねてより指摘されて、 新たな品種の導入が不可欠であります。
こうした中、 お茶の発祥地であります中国におきましては、 お茶の品種は約一千種類、 中国の銘茶は約百種類ともいわれ、 本県で行われている世界緑茶コンテストに出品されたお茶を見ましても、 形状、 味、 香りなどだれもがその違いを認識できるほど多様性に富んでおります。
このような中国茶の中で、 私は、 中国宋の時代の古書 「大観茶論」、 ここで述べられております 「白茶」 に注目しております。 実はこの 「白茶」 は、 三十年ほど前に浙江省の安吉県で偶然発見されて以来品種改良がなされまして、 かぶせをしなくてもアミノ酸が豊富で大変おいしく、 普通の茶の五倍もの価格で取引され、 浙江省の中山間地域を中心に栽培面積が拡大しているというふうに聞いております。 本県の中山間地域にも大変適しているということでございます。
また、 中国には 「黄茶」 と呼ばれるお茶がありまして、 味もよく若葉が鮮やかな黄色でありますことから、 地域の景観形成あるいは観光にも貢献すると思われます。 相手は浙江省でございますので、 何とか話ができるんじゃないかなというふうにも思います。
例えばの話をしましたが、 このような特色のある品種を導入し付加価値を高めることで茶業振興を図ることが必要と考えます。 今後 「やぶきた」 と差別化した新品種の導入について、 県の考えを伺います。
最後に、 お茶の新たな需要創出についてであります。
最近、 新聞紙上等で小学校における茶でのうがい、 あるいは家庭における茶を使った化粧品や調味料などいろいろなお茶の使われ方が紹介されております。 現在の厳しい茶業情勢の中でお茶がこのようないろいろな用途に使われることにより、 本県茶業の振興につながっていくと期待しているところであります。
そこで私は、 今までになかった取り組みとして、 学校給食で出されている牛乳に抹茶を入れた抹茶ミルクの普及ができないかと思っております。 味覚は子供のころに確立すると言われておりますので、 小中学校の子供たちにこの抹茶ミルクをおいしく飲んでいただくことにより、 それが習慣化され、 新たなお茶の需要につなげていくことができないものかと思います。 お茶は牛乳と混ぜることにより渋みがなくなり茶の有する成分も丸ごと摂取できるということで、 健康志向が高まっているアメリカ、 中国、 台湾、 そういったところでも非常に乳製品の抹茶入りが急増しております。 地元のお茶と牛乳、 知事が言われる六次産業、 これまでにないおいしい新商品の開発ができないものかと思います。
現在県では、 茶業研究センターを中心に新商品の開発にも取り組まれているようでありますが、 今後新たな茶の需要創出にどのように取り組んでいくのか、 本県茶業の命運がかかっていると思います。 以上、 御答弁よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 (拍手)
○副議長 (堀江龍一君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事 (川勝平太君) 渥美議員にお答えいたします。
全体として前向きな御発言が多くて共感するところが多うございました。
初めに、 中国との交流促進についてのうち中国についての現状認識についてであります。
日中国交正常化後、 経済関係や人的交流がますます緊密化しておりまして、 相互依存関係が深まる中、 本年、 日中両国政府の間で戦略的互恵関係を深めるための話し合いが行われるなど、 日中関係は両国にとり最も重要な二国間関係の一つとなっております。
本県におきましては、 日中国交正常化後ちょうど十年目に当たる一九八二年に中国浙江省と友好協定を締結して以来、 農業分野から始まった交流も二十七年の年月を経て、 経済、 文化、 教育、 青少年、 スポーツ、 観光など多方面にわたり、 その間、 農業、 水産、 医療、 土木などさまざまな分野の技術研修員を受け入れております。 また友好提携二十五周年など節目には、 友好訪問団を相互派遣するなどさまざまな形で親交を深めており、 本年六月に富士山静岡空港が開港して本県と直接結ばれたことにより、 今後ますます交流が深まっていくことと期待しております。
私も、 先月中部広域観光推進協議会北京・上海ハイレベルミッションの団長として訪中する機会をとらえまして、 初めて浙江省を訪問し呂祖善省長と会談いたしまして、 本県と浙江省のこれまでの成果を振り返るとともに、 来年の上海万博を契機にさらに交流を深めていくことを確認してまいりました。
本県では、 これまでも静岡県日中友好協議会や静岡県日中友好協会が主に浙江省との経済交流や中国での緑化運動、 青少年交流を展開しておりますが、 今後も県民を初め皆様の御支援をいただきながら交流を拡大してまいりたいと考えております。
今、 日中間が日本の国際関係の中で最も重要であるということでございますが、 しかし国と国との関係だけでなくて地域と地域との関係も重要であると。 あるいは国際交流、 これは国家ないし国民の関係という言葉とともに、 民際交流と、 民と民との交流というのもございます。 こういう地域間交流とか民際交流というのが、 これからますます重要になってくるというふうに思っております。 そうした観点から静岡県と浙江省との関係、 これが二十七年の蓄積を持っているということが極めて重要であると思うわけであります。
中国は御承知のように一国二制度を香港が返還されて以来とっております。 しかし台湾もその一つの中国といたしますれば、 一国三制度をとっているというふうに見ることもできます。 さてしかし、 一方で中国が国民国家を目指しているということもあわせて事実であります。 しからばその国民国家というのは最終的には中国の姿がどうかというふうに考えますれば、 これは戦後の国連の数をごらんになってもわかりますように、 五十余りのところが今二百近くになっております。 そして世界の潮流として自治意識が高まりまして、 地域自立ということのためにEUのような大きな組織も生まれていると。 EUは国民国家というものを止揚する、 それを克服する一つの試みとして行われたわけですが、 中国のようにヨーロッパに匹敵するような十三億の人々が住むところにおきまして、 真に国民国家というものが最終的姿であるかどうかというのは、 十分に考えておいてしかるべきであると思います。
さらにまた、 日本は明治以降、 最初に国民国家を非西洋圏でつくった国ではございますけれども、 これは国民国家を前提にして、 一方で地域分権国家というような方向を出しているわけでございます。 しからばその地域分権国家におけるモデルがどこになるかというふうになりますと、 案外近いところにあると。 それは一国多制度というものを国民国家といいますか、 主権国家の中で初めて公式に提言したケ小平さんがそう言われた中国であると。 しかし中国は一国多制度から一国一制度になることを目的にしているわけですけれども、 その点を参照いたしますと、 私どもはむしろ一国一制度から一国多制度というふうなものを目指しているとも言うことができます。 地域のことは地域で決めるというその方向は、 実は一国多制度の方向と言ってもいいのではないかというふうに思うわけであります。 そうしたことから私は、 本県と浙江省とが交流を深めるということの重要性を思うわけでございます。
しかも、 浙江省は、 五千万以上の人口を持っておりまして、 面積も人口も本県の十三倍でございます。 一方でお茶とかミカンとか、 あるいは紹興酒とか、 温州ミカンの温州というまち、 寧波という日本と非常に深いかかわりのあるまち、 あるいは天台宗最澄さんが勉強なすった天台山がございます。 そのような文化、 あるいは自然、 その自然の恵みの極めて豊かな省でございまして相手にとって全く不足がないということでございます。
そういう意味におきまして、 本県の皆様がいかにして浙江省と深い結びつきをしていくかと、 そういういい意味での課題を突きつけられておりまして、 来年上海万博という 地の利は浙江省とすぐ隣でございますから 上海万博を契機にぜひ浙江省に交流に赴くというようなことで、 その場合に彼らに知っておいていただきたいのは富士山のことです。 富士山は三千七百七十六だということを知っていただくということは、 もう今、 呂祖善省長の頭の中に入りました。 三千七百七十六人の派遣団を送ると言ったからであります。 三千七百七十六人というのは、 本県の人口が三百八十万弱ですからちょうど一千分の一ということです。 だから本県の人口の千人のうちお一人が行かれる。 浙江省との交流を持っているということは、 やがて浙江省の皆様方にも大いに誇れることでございます。 五千万のうち千人に一人はお越しにならないと本当の友好にならないのではないでしょうかというような言い方もできるかもしれません。
そのように言えると同時に、 また本県が富士山を持っていると同じように中国の人々が最も愛している美しい景観、 それが西湖でございます。 杭州のまちの中に人々が公園として非常に大事にされておられるところであります。 あの西湖に富士山を映せばどれほど美しかろうと思うぐらいでありますが、 富士山と西湖がいわば恋人関係になるというようなことをだれかが詩で書けば、 これまた両方見るということが人生、 あるいは中国人、 日本人の喜びになるということで、 そういうことのためにも私どもは日中友好と、 あるいは本県と浙江省との関係を深めてまいりいたいと思いますので、 県議会の皆様におかれましては御支援、 御協力のほどをよろしく賜りますようにお願い申し上げたく存じます。
続きまして、 茶業の振興についてのうち、 本県茶業の将来展望についてでございます。
過去十年間におきまして、 お茶の消費量は一・四倍に伸びていると、 世界です。 しかしながら本県の茶業が衰退しているというのは本県に問題があるというふうに思います。 需要量がふえているにもかかわらず生産量が減って茶業界が呻吟しているという、 元気がないというのは、 やはり本県に問題がある。 その広がる需要にどのように食らいついていくかということに対する取り組みにおいて劣るところがあるのではないかというふうに思います。 しかしお茶というのが、 これからの健康志向において需要の増大が見込まれるので、 私は将来は楽観しております。
そもそもお茶自体は市場が広がってきました。 もともと雲南・アッサムでいわば団子茶のような形でそれが食されていた。 やがてそれが日本に来て、 栄西さんがこれは薬として、 文字どおり 「喫茶養生記」 として広まったものでございます。 それが禅寺において広まり、 やがて闘茶とかいうような遊びの世界に広まり、 それが体系化されて利休の茶の湯になりました。 その利休の茶の湯、 これは武家のたしなみになって、 武士社会 人口の七%に広まったわけです。 一方それが徐々に栽培されているものをだれもがいただけるということになりまして、 日常茶飯事になりました。
一方、 明治以降必ずしも広まったわけではありませんけれども、 これ輸出市場として広まった。 しかし日本国内で大きくお茶というものが楽しまれるようになりますのは、 いわゆるお茶を習うといいますか、 茶道というものを行儀見習いとして嫁入りの一つの作法として習うという、 そういう一つのプロジェクトが成功いたしまして戦後に多くの人が茶の湯を学ぶようになったわけですけれども、 このように大きく需要は国内でも広がってまいりましたし、 日本も世界の市場を開拓してきたという、 そういう歴史がございます。
しかしながら、 これからどうするかといったときに、 私はお茶というものが食前、 食中、 食後に楽しむことができる飲料であると。 コーヒーと比べますとコーヒーを食前に飲む人は余りいないと存じます。 食中にも余り飲まない。 食後に基本的にコーヒーを飲むと。 しかしお茶はそうではありませんで、 特に本県で最近発明されましたワインのボトルに入ったおいしい極めて高価なお茶は、 これは食中における飲み方の粋を出したものであります。
このように、 私は可能性があると。 それをどうするかが試されているので、 いわば食事の楽しみ方の競争がどこかでできないか。 お茶の飲み方、 楽しみ方がどこかでできないかと。 それはもちろん給食であるとかもありますけれども、 多くの人が見るところでやるのがいいというふうに思っておりまして、 差し当たって私は、 牧之原であるとか島田であるとか、 空港の周辺地域でそういう茶の湯の二十一世紀型の、 畳で正座してというのではなくて、 あるいは形式をきっちり踏まえた上で静岡風の現代風の、 あるいは国際的につぶしのきくような、 そういう茶の湯の文化をあの空港周辺から起こすことができないかと思っております。
これはまだ決まったわけではありませんけれども、 スターバックスというコーヒースタンドがございますね。 そこがお茶のスタンドを建ててもいいと。 そうするとコーヒーについてはいろいろの種類がありまして、 自分は 「ブルーマウンテン」 だ、 あるいは自分は 「グアテマラ」 だと、 こういうふうに選ぶことができますが、 同じように本県におきましてもさまざまな種類のお茶の楽しみ方や飲み方がありますので、 そのお茶に対してこういう器が最もふさわしいというような、 そういう形で一つのスタイルをここから発信できますれば、 つくっている人たちのお茶の展示、 それは買うことができる。
一方でそのように飲むようなしゃれたティールームといいますか、 こうしたものもできるはずで、 まさにつくってよし、 使ってよしと、 その飲んでよしのところを飲み方における食文化を工夫すれば、 私は一点突破で一気にそれをまねするところが出てくるだろうと。 中国の人たちにもまねていただけるような、 そのような中国に学んで我々は茶の湯を発展させました。 その茶の湯をいわばイノベーションして、 刷新いたしまして、 新しいどこにでも成り立つような茶の湯というものをぜひ開発したい。
ちょっと余計なことを申しているかもしれませんが、 さらにつけ加えますれば二十一世紀の迎賓館が京都にできました。 その迎賓館は完全に和風です。 しかしそこは靴を脱がなくて済むという、 靴を脱いでいないということに気づかさせないような、 しかし完全和風のそういう迎賓館をつくっているんですね。 私は、 したがって今日足が正座できないようなそういう生活スタイルが広まっておりますので、 そうしたことを勘案していただいて、 旧来のお茶の作法にベースに置きつつも新しい現代風作法を提供する、 そういう試みを一緒にできないものかと思っておりまして、 需要がある以上供給はついていける。 需要は全体として世界的にふえております。
健康と作法という、 この両方の面を持っているお茶のこの文化を、 本県から静岡風茶の湯として何とかこの二、 三年でできないものかというふうに考えておりまして、 今度静岡文化芸術大学の学長先生にお迎えしました方は現代におけるそのような方面の日本の最高権威のお一人ですので、 この方と御協力を申し上げて、 しかもお茶の郷は彼が渾身の力を込めて設計し、 また知恵を入れられたところだと聞いておりますので、 産学官協働して、 ぜひ茶の文化を支援することによって供給者に元気を与えるという、 そういうやり方をしてまいりたいと思っております。
○副議長 (堀江龍一君) 岩瀬企画部長。
(企画部長 岩瀬洋一郎君登壇)
○企画部長 (岩瀬洋一郎君) 中国との交流促進についてのうち、 初めに若者の交流促進についてお答えをいたします。
人・物・情報などが国や地域を越えて行き交う時代となった今日、 海外諸国との交流、 特に隣国中国との良好な関係を築くことは、 地方においても重要でございまして、 次代を担う若者の相互交流を積極的に行う必要があると考えております。
本県では、 ふじのくにユースウィングやふじのくにユースリーダーなどの事業におきまして、 平成十四年度から昨年度までの七年間で延べ四百三十六人の青少年が浙江省を訪れ、 ホームステイや企業訪問などを通じて中国に関する理解を深めてまいりましたが、 今年度はさらに事業を一新いたしましてふじの翼グローバルリーダー養成事業といたしまして、 本県からの二十五人の派遣に加え浙江省からも二十二人を受け入れるなど、 新たに相互交流をスタートをいたしました。 また現在、 県内十六大学に一千百人余の中国人の留学生がおりまして、 ともに学ぶ県内の学生との相互理解や豊かな感性を磨く機会となっております。
さらに、 昨年度から県立大学など県内の二十三大学などと浙江理工大学など浙江省内の大学との間で、 相互に留学生を受け入れる短期留学生交流事業が実施されまして、 本年四月には有識者から成る留学生支援戦略研究会も立ち上がり、 受け入れ体制を含めた留学生の支援策が検討されておりまして、 年内には提言がまとめられることとなっております。
本県では、 現在策定中の新しい総合計画の中でも、 戦略的取り組みの視点として世界、 アジア、 日本国内各地との交流拡大を図ることを掲げておりまして、 今後とも中国を初めアジア諸国の若者との交流拡大に積極的に努めてまいりたいと考えております。
次に、 地域における交流促進についてでございます。
本年六月に富士山静岡空港が開港いたしまして海外との交流基盤が整備をされましたことから、 県民の海外への関心が非常に高まっていることを感じております。
県では、 市町の海外自治体との友好交流を拡大するため積極的に支援に努めた結果、 議員御指摘のとおり菊川市と浙江省紹興県の間において、 本年七月に友好交流意向書を締結するに至りました。 さらに県内市町に対して中国の自治体との交流の意向を確認したところ、 四市一町からお茶の文化に係る交流、 あるいは中高生の文化・スポーツ交流などの意向が示されております。 また浙江省や上海市の自治体からも交流の意向が示されておりまして、 県内市町にも紹介をしているところでございます。
こうしたことを踏まえ、 現在浙江省や上海市の交流窓口や県の上海事務所などの協力を得ながら、 相互の交流希望先の自然や文化、 産業などの情報を提供するなど支援を行っているところでございまして、 今後も引き続き本県と中国各都市との友好交流の促進に努めてまいりたいと考えております。
○副議長 (堀江龍一君) 堀川産業部長。
(産業部長 堀川知廣君登壇)
○産業部長 (堀川知廣君) 観光振興についてのうち、 初めに本県の観光の現状と今後の展望についてお答えいたします。
日本のシンボルである富士山を有し伊豆半島や浜名湖を初めとする美しい自然や、 我が国を代表する景観である茶園、 温泉など豊富な観光資源を有する本県は、 首都圏に隣接し交通アクセスのよい立地を生かしまして我が国有数の観光地として発展をしてきました。
一方で、 団体から個人や小グループへの旅行形態の変化、 外国人観光客の増加、 国内外を問わない観光地間の競争の激化など環境変化の中で、 議員の御指摘にもありましたように、 本県の観光交流客数は横ばいながら、 地域経済への寄与度の大変大きい宿泊客数は平成三年度をピークにして長期の減少傾向が続いております。
こうした中、 富士山静岡空港が開港しました。 新たな観光マーケットの創出を可能にするものであり、 六月以降、 北海道、 九州、 沖縄などの遠隔地からの観光客の割合がふえていることから、 国内外の就航先におけるキャンペーン、 旅行業者が行う商品造成や販売の支援などに引き続き積極的に取り組むことにより、 本県の観光マーケットを大きく変えることが期待されています。
先ほど議員から御紹介がありましたように、 「ドゥーラーラ」 のロケが行われておりますけども、 きょうから十四日まで中国の衛星放送がゴルフ場のロケに県内に来るという話で、 今伺ってます。
今後は、 空港を活用した国際コンベンションの誘致、 自然の保全と活用を目指すエコツーリズム、 本県のものづくり産業の特徴を生かした産業観光、 新たな観光分野にもこれまで以上に取り組むことに加えまして、 富士山を初め地質学的にも特異な伊豆半島や多彩な食材を使った食などの豊富な観光資源の魅力を発信し続けることによりまして、 訪れてよしの日本一の観光県を実現してまいります。
次に、 世界に誇れる観光地づくりについてであります。
農林水産業や商工業など多くの産業と関連する観光産業の発展は、 地域経済の活性化に大きな役割を果たすことから、 その振興に地域が一体となって取り組むべきものであります。
このため県では、 地域の自然や景観、 文化、 祭りなどの資源を生かした観光商品づくりの促進、 メディアへの観光情報の発信、 みずから観光資源を磨き商品を企画できる観光人材の育成などに積極的に取り組むことなどにより、 広く県内の観光地全体のレベルアップを図っております。 また食品の製造過程の見学や山間地でのそば打ちや遠州の古い由緒あるお寺でのお坊さんの修行の体験などが大変人気を博しておりまして、 旅行者の旅行形態が体験型、 それから目的指向型へ変化することに対応しました新しいツーリズムの推進にも努めているところであります。
ますます激しくなる観光地間の競争に勝ち抜いて世界に誇れる観光地を創出していくためには、 広域的なエリアで観光に関係するさまざまな事業者や行政関係者が一体となった観光地づくりの取り組みが重要であります。
舘山寺地域では、 宿泊業者が中心となって地元の漁協と協働したトラフグのブランド化や花の農家を訪ねる商品づくりなど、 環浜名湖の観光振興に地域が一体となって精力的に取り組みました結果、 国際競争力の高い広域的な観光地づくりを推進する国の観光圏の認定に至りました。 現在では、 これまでの事業に加えまして浜名湖を周遊するパスの発売、 多言語のホームページによる情報発信など観光客の滞在を促進する取り組みが始まっております。
今後も、 伊豆などのほかの地域におきましても、 この観光圏整備に向けた取り組みを積極的に支援することによりまして、 世界に誇れる観光地づくりを推進してまいります。
次に、 県の体制づくりについてであります。
県は、 これまでおもてなし満足度日本一を目指しまして、 平成二十二年度までを計画期間とします観光しずおか躍進計画に基づいて、 国や他県と連携して外国人観光客の誘致の拡大や人材育成など広域的・政策的な取り組みを推進するとともに、 地域のやる気のある観光地づくりの取り組みを支援してまいりました。 また県の観光協会では、 市町の観光協会から提供されます観光情報をウエブサイトや富士山静岡空港の観光案内所などを通じまして発信をし、 旅行会社への営業活動を行うほか、 県と一体となりまして国内外での誘客キャンペーンの中心的な役割を果たしています。
このほか、 観光関係者と協力して、 観光資源を磨き上げ地域の魅力を情報発信する地域の観光協会、 それから地域の特性を生かした旅行商品を販売する旅行業者、 それに訪れる観光客に最善のサービスを提供している宿泊あるいは観光施設など多くの事業者が観光産業に携わっております。 県や県の観光協会とこれらの事業者が一丸となって、 観光立県しずおかの形成に取り組んでいくことが重要であると考えております。
県といたしましては、 静岡の自然や風土、 文化、 ものづくりの場などの観光資源を訪れた人が心から楽しんで、 再び訪れたいと思っていただけるよう、 地域の主体的な動き、 これを尊重するとともに、 これまで以上に広域的な視点に立った観光戦略が展開できるような体制づくりに努めてまいります。
次に、 茶業の振興についてのうち、 まずお茶の新品種の導入についてであります。
県では、 ライフスタイルが多様化する中で消費者の嗜好に合ったお茶づくりを進めるため、 「やぶきた」 以外の産地が選定した戦略品種への改植を支援しておりまして、 川根本町の 「おくひかり」、 掛川市の 「つゆひかり」、 藤枝市の 「藤かおり」 など、 これらの地域では味や香りに特色のある新しい品種の栽培面積が増加しております。
また、 売れる 「しずおか新銘茶」 づくりという事業を推進しておりまして、 牧之原市のこれは 「山の息吹」 や 「さえみどり」 という品種を使って、 栽培や製法を工夫して緑色のきれいなお茶づくりの取り組みをされておりますし、 さらに静岡市でのこれまで埋もれていた品種を使いました桜の葉っぱの香りのするお茶づくりなどの取り組みなど、 新しいお茶づくりの取り組みを支援しているところであります。
県は、 今後も中国からの品種の導入につきましても粘り強く交渉するとともに、 茶業研究センターにおいて新たな品種の開発を進めるとともに、 こうした品種の導入が各地域で進みますよう基盤整備や茶の改植、 新品種の食品見本市への出展の支援など、 関係団体と一体となって積極的に取り組んでまいります。
次に、 お茶の新たな需要の創出についてであります。
お茶の需要を創出していくためには、 多様化する消費者のニーズにこたえるお茶を提供するとともに、 これまでのお茶の利用の範囲を超えるような新たな消費を生み出す新商品の開発が必要であると考えております。
このため県では、 生産者と消費者が連携して、 マーケティングに基づいた新しいお茶づくりの取り組みや、 香りや機能性を前面に打ち出したお茶の新商品の食品見本市への出展を支援しているところであります。 また本年度から富士山静岡空港の就航先であります北海道、 石川県、 沖縄県の観光や食品関連業者と連携しまして、 お茶を使ったこれまでにない商品づくりに取り組んでおります。 例えば北海道では、 北海道の牛乳に静岡のお茶の機能性を加えた新たな商品の開発を進めているところであります。
また、 国の大型研究事業であります地域結集型共同研究開発プログラムというのがありますけども、 これによりまして茶業研究センター、 それから工業技術センター、 県立大学、 民間企業等が連携しまして、 「静岡発 世界を結ぶ新世代茶飲料と素材の開発」 という研究開発に取り組んでおりまして、 カテキンを効率的に摂取できて、 なおかつおいしくて安全、 世界じゅうで飲まれるような新しい緑茶飲料の研究開発を行っているところであります。
県といたしましては、 今後もこうした取り組みによって生まれる新商品を国内外でPRするとともに、 産地が取り組む新しいお茶づくり、 これを引き続き支援することによりまして、 お茶の新たな需要の創出に積極的に努めてまいります。
○副議長 (堀江龍一君) 五十番 渥美泰一君。
(五十番 渥美泰一君登壇)
○五十番 (渥美泰一君) 御答弁いただきました。 新しい静岡の茶文化。 いいですね、 早くしないとつぶれちゃいますので、 よろしくお願いいたします。
私は、 県の事業推進体制、 仕事の仕方について一番気になっているんですね、 問題にしてます。 そういったことで、 これについてはちょっと答弁もあれと思いますが、 それに関連してやっぱり県の職員の育成、 やっぱり専門職をつくるということが必要ではないかと思います。 特に県の出先機関であります上海事務所、 三年でやめたじゃどうしようもないです。 ぜひ人材育成、 職員の育成について、 上海事務所の職員を含めまして、 これについて御答弁いただきたいと思います。
○副議長 (堀江龍一君) 大村総務部長。
(総務部長 大村慎一君登壇)
○総務部長 (大村慎一君) 人材育成という御質問いただきました。 まさに先生御指摘の視点、 知事からも指示ありまして、 今までローテーション原則三年ということを基本にいたしておりましたが、 原則五年ということで延ばしまして専門性を目指す人材育成ということに留意してまいりたいと思います。 もちろん職員個々のいろんな事情がありますので、 その点も十分勘案してそういった方向で進めてまいりたいと考えております。 よろしくお願いいたします。
○副議長 (堀江龍一君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事 (川勝平太君) 今の答弁で話の半分でございまして、 議員御指摘の上海事務所、 すなわちこれから海外のお客様がお越しになるということに照らしますと職員の国際化も図らねばなりません。 ただ上海事務所のために弁護しておきますと、 今回、 「ドゥーラーラ」 がこちらにロケを選ぶにつきましては、 上海事務所の所長とその副所長、 お二人の獅子奮迅の働きがございまして 若田部さんと石田さんですが、 この御両氏の尽力がございまして実現したのであります。
ただ御指摘のように三年で交代ということはぐあいが悪いので、 これからは中国語なり、 あるいは韓国語、 あるいは少なくとも英語ぐらい……。 海外子女といいますか、 海外の経験の長い人をあえて採ると、 この方が必ずしも国際交流に携わるかどうかは別にいたしまして、 そうした人事の方針もこれから立てまして、 やはり県それ自体の国際化といいますか、 これも図っていかなければならないと今考えているところでございます。
もう一つ。 県が仲介いたしまして竜泉市と川根本町との交流も実現しそうです。 日本一のお茶を世界一のお茶わんで飲むという。 日本一のお茶、 緑茶ということは世界一の緑茶ということでございます。 それを世界一の竜泉のお茶わんで飲むという話を川根本町の広聴会でいたしましたところ、 きょうの新聞だったか、 昨日の新聞で、 佐藤町長さんがそれを議会で諮られたようで、 それを推進してまいりたいと言われておりますので、 私どもが仲介になりましてそういう友好関係が生まれればいいという、 今、 段階に入っております。 以上です。
○副議長 (堀江龍一君) これで渥美泰一君の質問は終わりました。
以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
次会の議事日程を申し上げます。
十二月十日午前十時三十分会議を開き、 質疑及び一般質問を行います。
本日はこれで散会します。
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