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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成30年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

小長井 由雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/27/2018

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 ワサビ栽培の振興について                    
2 糸魚川―静岡構造線の活用について                
3 自動運転の実用化について                    
 (1) 公共交通機関の自動運転                    
 (2) EV化と関連産業の振興                     
4 再生可能エネルギーの普及と環境への配慮について         
 (1) 再生可能エネルギーの導入拡大                 
 (2) 太陽光パネル廃棄物の増加への対応                
5 リニア中央新幹線の工事に係る影響について            
6 放射性物質汚染対処特措法の本県への影響について     


午後一時三十分 再開   
○副議長(落合愼悟君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、三十六番 小長井由雄君。
       (三十六番 小長井由雄君登壇 拍手)
○三十六番(小長井由雄君) 私はふじのくに県民クラブ所属議員として、県政の諸課題について通告に従い、知事、副知事並びに関係部局長に一括質問方式にて質問します。
 初めに、ワサビ栽培の振興について伺います。
 静岡水わさびの伝統栽培が静岡の茶草場農法に次いで静岡県で二例目の世界農業遺産に認定されました。本県はワサビ栽培の発祥の地であり、県内の七市六町で四百年以上も伝統的なワサビ栽培が継承されてきました。
 二〇一六年に川勝知事を会長として設立した静岡わさび農業遺産推進協議会の世界農業遺産へ向けての申請書は、準備期間がわずか半年という短い時間で作成されたと聞いています。申請に当たり農林水産省世界農業遺産等専門家会議の委員から申請地域の範囲が広過ぎるという指摘を受け静岡地域と伊豆地域に絞ることになり御殿場市、小山町、富士宮市、浜松市が申請地域から外れることになりました。しかしこれらの地域の理解と協力もいただき県内のワサビ栽培地域、生産者、関係者の協力で認定されたものです。
 本県の二〇一六年の水ワサビ栽培面積は百二十一ヘクタール、ワサビ全体の産出額は四十億円と全国の産出額の七五%を占めています。しかし高齢化や担い手不足に加え定植苗の供給不足などにより生産量はピーク時の一九九五年の四百八十五トンに対し二〇一六年には二百三十八トンと半減しました。昨今の日本食ブームにより海外での需要は高まっていますが国内需要も満たせていないのが現状であり、喫緊の課題としてメリクロン苗とそれを親株にした二次増殖苗や優良な実生苗の供給体制の早急な整備が必要です。
 世界農業遺産認定を契機としワサビの生産振興や地域経済の活性化が期待できる一方、伝統的なワサビ栽培を継承、保全していくため地域一丸となった取り組みが必要であり、今後も全国一のシェアを続けるために抱える課題に迅速に対応することが重要です。
 そこで、静岡水わさびの伝統栽培を後世へ継承、保全し全国一のシェアを占め続けるための課題解決へ向けての取り組みと世界農業遺産認定の認知度を高めていくためどのような情報を発信していくのか伺います。
 次に、糸魚川―静岡構造線の活用について伺います。
 昨年の春、静岡市清水区西里の小判沢で日本列島中央部を横断し東北日本と西南日本を分ける延長二百五十キロメートルにも及ぶ糸魚川―静岡構造線の新たな巨大露頭が発見されました。今回発見された露頭の断層面は高さ二十メートル以上で長さ百メートル以上連続した県内最大のものです。専門家によると学術上極めて貴重なものだといいます。
 この断層は、竜爪山東側の穂積神社を通り新東名高速道路巴川橋から麻機団地、県立総合病院、駿府城公園を経て駿河湾に連続しています。二〇〇九年の静岡地震では、この断層沿いは震度階級が高く駿府城の石垣や民家の瓦屋根が被害に遭いました。糸静線の露頭は山梨県早川町で国の天然記念物になっています。また新潟県糸魚川市ではフォッサマグナなどを含めたジオサイトが日本で初めて世界ジオパークに認定されフォッサマグナミュージアムが開設されています。静岡市内で発見された露頭も他県のものと同様、文化財指定やジオパーク認定を視野に入れてもよい価値のあるものだと考えます。今後研究を進めれば学術や教育分野だけでなく観光、地域振興への活用なども期待できる非常に重要で大きな可能性を秘めたものです。
 そこで、今回発見された糸魚川―静岡構造線の断層面である巨大露頭は、将来的には伊豆半島ユネスコ世界ジオパークを参考にジオパーク認定も視野に入れるなど観光を通じた地域活性化のために活用を図るべきだと考えますが御所見を伺います。
 次に、自動運転の実用化についてのうち、公共交通機関の自動運転について伺います。
 現在、人工知能技術として最も進んでいるのは自動運転技術の分野だと言われています。近年世界の自動車メーカーがしのぎを削って開発を進めており、公道での自動運転の実証実験が重ねられていると報道されています。
 我が国においても、国土交通省による中山間地域における道の駅を拠点とした自動運転サービスの実証実験を初め全国各地で実験が行われています。政府は過疎地域等の公共交通において無人自動運転移動サービスを二〇二〇年までに導入する目標を設定し研究開発を進めています。近い将来の自動運転の実用化は現実のものとなることが期待されます。
 一方、県内の路線バス事業においては運転手不足が深刻です。加えて五十歳以上のバス運転手の割合は約五割を占め、運転手の高齢化がさらなる人手不足につながることが懸念されています。また高齢化社会の進展により免許返納後の高齢者の移動手段の確保が大きな課題となっています。
 このような課題に対処するため、県が主導して自動運転に係るプロジェクトを進めていくとの報道がありました。早期実用化に向けて期待しているところですが、本県においてこのプロジェクトを実施する意義について伺います。
 次に、EV化と関連産業の振興について伺います。
 自動車産業界では世界的にEV化や自動運転などの技術革新が急速に進んでいます。静岡経済研究所の独自試算では、EV化が普及した場合の自動車業界に与える影響度を示すEVショック度が本県は全国二位とされました。将来的には自動車部品出荷額が半減するおそれがあり、ガソリン車部品から転換するEVシフトという課題が示されました。
 昨年、ドイツのアウディが緊急時だけ運転手が操作するレベルスリーの機能を持つ自動車を世界で初めて発売しました。また先月にはEU委員会が二〇三〇年代に運転手が要らない完全自動運転の社会を実現するための行程表を発表するなど、世界で導入の動きが進んでいます。このように国内外で急速に普及拡大が進むEVや自動運転の分野は今後ビジネスチャンスの拡大が期待されます。
 この分野へより多くの県内企業が参入するために、県はどのような施策を講じていくのか伺います。
 次に、再生可能エネルギーの普及と環境への配慮についてのうち、再生可能エネルギーの導入拡大について伺います。
 再生可能エネルギーは、世界的には太陽光発電と風力発電が著しい成長を遂げております。中でも太陽光発電事業は他の発電事業と異なり参入障壁が低く、事業期間中の事業主体の変更も行われやすい事業であるためさまざまな事業者が参入しています。固定価格買い取り制度が導入されると太陽光パネルの一般住宅への普及が進み、土地価格の安い山間部などにおいては大規模に太陽光パネルを設置して大容量発電事業を行う事業者も多く見られるようになりました。
 その結果二〇一二年七月に買い取り制度が導入されて以降太陽光発電は八・六倍に増加しました。本県においても、恵まれた日照環境を生かした太陽光発電を中心に急速に導入が拡大しており、制度導入前に比べて八・一倍に増加しています。
 本県は太陽光のみならず豊富な水や森林、温泉など再生可能エネルギーとして活用可能な多様な地域資源を有しているとともに、エネルギー関連設備等の開発に必要な技術力を持った企業が多数存在します。地域が有する多様な資源と県内企業の技術力を活用しエネルギーの地産地消に加え経済的にも地元に還元する形での導入拡大を図るべきだと考えます。県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、太陽光パネル廃棄物の増加への対応について伺います。
 再生可能エネルギーは、拡大するに伴い施設設備等に関するトラブル、苦情も増加しています。その大半が域外資本の太陽光発電に対する雨水や土砂災害、景観、住民理解に対する苦情で、風力、バイオマス発電でも騒音や低周波の問題が発生しています。
 県の実態調査では県内の十市町でトラブル発生の事例があるということです。中でも太陽光パネルの耐用年数は二十年から三十年程度とされているので、寿命や修理交換に伴い二〇三〇年代半ばから使用済みパネルの排出量が急増することによる問題の発生が懸念されます。買い取り期間が終了し使用している太陽光パネルが耐用年数を迎えると投資対象としての魅力もなくなり、事業から撤退する事業者や投資家が一気にふえる可能性があります。そのときに一部の事業者が太陽光パネルをそのまま事業用地に放棄するなど不法投棄まがいの行為が行われることが危惧され、感電や土壌汚染につながるおそれもあります。
 これらの問題に対応するためには、太陽光パネルの廃棄に関する処理体制の構築が必要と考えますがどのように対応していくのか伺います。
 次に、リニア中央新幹線の工事に係る影響について伺います。
 リニア中央新幹線の静岡工区では、南アルプス地下のトンネル掘削により想定される大井川水系の流量減少と生態系への影響や残土処分地の安全性等、大井川水系を利用する八市二町六十二万人の生活とユネスコエコパークにも指定されている自然環境への影響等について問題が解決されていません。
 JR東海は、工事終了後には最大毎秒約二トンの水が減少すると試算しています。これは流域住民が使用する水道用水、あるいは流域で使用される工業用水の取水量と同程度の水量であり、下流域への影響ははかり知れません。この二トンの減水量の根拠をJR東海はどのように説明しているのか伺います。
 次に、南アルプスには多くの構造線が発達しており、その多くは破砕帯を伴い断層粘土に流出を抑えられた大量の地下水が帯水しています。さらにこの地下水は三百メートルから千四百メートルの土かぶりで被圧され強大な圧力がかかっています。そこへトンネル工事の掘削を行えば長時間かけて帯水した地下水が一気に噴出してしまい、渇水期でも一定量の水を安定的に供給している地下水源は枯渇し、JR東海が大井川へポンプアップして戻すという水それ自体がかれてしまうのではないかと危惧されます。
 丹那トンネル工事では芦ノ湖の三杯分の水が噴出したと言われ、将来にわたる水がれが起こりました。JR東海は、この水がれの可能性についてどのように説明しているのか伺います。
 仮に湧水があれば、その湧水全量大井川へ戻す設備を用意すると言っているようです。しかし椹島の工事用排水トンネルの出口上流の減水した地域や支流の沢などの生態系への影響についてはJR東海はどのように説明しているのか伺います。
 次に、発生土置き場について伺います。
 JR東海は、県内で発生する三百七十万立方メートルに上る発生土置き場として七カ所を計画しており、最大の場所が大井川と燕沢合流地点左岸になります。しかし地元に詳しい専門家によるとこの地点は崩壊危険地とされ対岸には山体崩壊を起こしている千枚崩れがあり、その崩壊による土石流が大井川を対岸側へと押し出す地形となっています。この千枚沢上流部には不安定土塊があり、集中豪雨で土石流の発生する危険が極めて高い場所だと言われます。不安定土塊が崩壊すれば大井川をせきとめる天然のダムができる可能性があり、その天然ダムが決壊した場合には下流域への影響はもちろんですが積み上げられた発生土を洗堀するおそれがあります。この点をJR東海はどのように説明しているのか伺います。
 また、専門家の現地調査で燕沢発生土置き場には二カ所の地すべりが存在すると指摘されています。JR東海から提出された資料ではこの点についての報告はされていないということですが、県の見解を伺います。
 次に、放射性物質汚染対処特措法の本県への影響について伺います。
 原子炉等規制法上、放射性廃棄物は原子力発電所や低レベル放射性廃棄物埋設センターで管理されることになっています。しかし福島第一原発の事故当時は放出された大量の放射性物質による環境汚染へ対処する法制度はありませんでした。
 そこで、大量に発生した災害廃棄物の処理を促進するため制定されたのが放射性物質汚染対処特措法です。この特措法では八千ベクレル以下の廃棄物は廃棄物処理法に従って処理を行うとしています。しかしこの八千ベクレルという基準は二〇〇五年から国内で適用され放射能基準値以下とされてきた百ベクレルの八十倍です。それにもかかわらず通常の廃棄物とほぼ同様の処理を可能としています。
 さらに、八千ベクレルを超える廃棄物は国が処理するものとして指定することになっていますが、二〇一六年四月に特措法の施行規則が改正され再度の測定で八千ベクレルを下回った廃棄物なら国が指定を解除できることになりました。しかし指定解除したものについての公表はしないとのことです。現状ではこの廃棄物も通常の廃棄物と同様に処理することができるため住民にとって大きな不安材料となります。
 県は、国に対し指定解除したものについて公表するように要望するべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。また県も独自に情報収集して一般に公表するべきではないかと考えますが、見解を伺います。
 特措法の制定により静岡県にも大きな懸念材料が発生しております。それは天竜川上流の長野県上伊那郡宮田村の天竜川と大田切川が合流する氾濫原に、八千ベクレル以下でありますが放射性物質に汚染された廃棄物の埋め立てを前提として十二万二千四百立方メートルもの埋め立て容積の最終処分場の建設が二〇二〇年度中の稼働を目指して計画されていることです。建設予定地には三方向からの流れの強い地下水が存在し水位も高く、過去に何度も大水害を経験している地域で処分場の立地としては適さない場所だと言われています。放射性物質の拡散による新たな汚染の発生や地域の環境、経済へのはかり知れない影響、さらに下流域の人々や生態系へ影響を及ぼすおそれがあることから周辺住民は計画撤回に向けた十万人の反対署名を集めるなどの活動を行っています。また宮田村村議会も長野県へ基準・制限の確立を求める意見書を提出したと聞いています。
 環境省の安全性評価検討ワーキンググループでは、五千ベクレルの汚染土が百ベクレルまで減衰するのに百六十三年から百七十一年かかるとの試算が示されています。そのように長期間にわたって安全が維持され続ける廃棄物処理施設ができるのかは甚だ疑問です。
 天竜川は県西部の重要河川であり、その水系の利用は上水道で百八万人、用水では三方原用水など四つの農業用水と中遠工業用水道などの三工業用水、さらに発電用水としても十一カ所の利用があります。また夏場には鮎釣り人でにぎわう川でこの川の水は遠州灘、駿河湾へと流れ込んでいきます。
 そこで伺いますが、この処分場建設計画について県はどのように把握し、本県にどのような影響があると認識しているのかあわせて伺います。
 他県のことではありますが、環境への影響が県境をまたぐ建設計画がある場合には関係自治体が協議することもあると聞いております。流域一帯への影響の大きさを考えると、長野県や関係自治体との協議の場を早急に設ける必要があると考えますが御所見を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 小長井議員にお答えいたします。
 危機意識に照らされた現状認識、多く学ぶところがありました。
 私は、今回はワサビの栽培の振興についてお答えをいたします。
 このたび、環境に負荷をかけない農業システムと美しい景観、独自の食文化などが高く評価されまして静岡水わさびの伝統栽培が世界農業遺産に認定されましたことは本県のワサビ栽培の振興にとりまして大きな画期をなす出来事でございました。他方議員御指摘のとおり、近年ワサビの需要は高まりつつありますが苗の供給不足は深刻であります。平成二十九年の伊豆農業センターの調査によりますとワサビの苗全体の需要数が一千六百万本と、しかしながら不足数は二百万本、八分の七しか供給ができない状態ということでございます。あわせて生産者の高齢化や担い手の減少などにより生産量が落ち込む状況が続いています。とりわけワサビの苗の安定供給が喫緊の課題であると認識しております。
 このため、県では無病性――病気にかかりにくいことを特色とするメリクロン苗を使った苗の増産技術の開発に関心を持っておりまして、先般小長井議員と御一緒に有東木の現場を見せていただきましたけれども、そのような増産技術に関心を持っているところでございます。また従来からの種から育てる実生苗をふやす方法につきましても、花の苗の生産者とワサビの生産者が連携する生産体制の強化を図りワサビ苗の確保に努めているところであります。さらにAOI―PARCを活用いたしまして民間企業と協働して新しい育苗技術の開発に着手いたしました。
 担い手の確保につきましては、ワサビ田の保全と伝統的な栽培方法を後世へ継承していくため若手生産者を対象に畳石式ワサビ田の造成技術や栽培管理技術を習得する機会を提供するとともに、新規就農者への支援も積極的に進めているところです。
 あわせて、世界農業遺産として認知度を高めていくための情報発信につきましては来月二十三日に伊豆市におきまして生産者や商工観光業者、地域住民が一体となって農業遺産の価値を高め生かしていくための記念フォーラムを開催いたします。御尽力賜りました武内和彦先生に基調講演を賜ります。さらに関連商品の認定制度の創設や産地ならではの食文化を広く国内外に発信してまいります。
 県といたしましては、こうした取り組みを通しまして本県の高い品質を誇るワサビ栽培の一層の振興に努めてまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(落合愼悟君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 自動運転の実用化についてのうち、公共交通機関の自動運転についてお答えをいたします。
 本県の路線バス系統数は、利用者の減少や運転手不足により平成二十八年度までの三年間で約一割減少したほか運行している系統の約三分の一が行政の財政支援を受けているなど、路線の維持は大変厳しい状況にあります。一方路線バスの抱える課題を解決するための一つとして現在自動車の自動運転への取り組みが世界規模で活発に展開されており、自動運転が実用化されれば公共交通を維持する上で有効な手段になると考えております。しかし自動運転技術の確立や法制度の整備、公共交通事業としてのビジネスモデルの確立などの多くの課題が存在をしております。
 このため、県では本年五月、自動車メーカー、大学、地図作成会社等と連携をして自動運転にかかわるプロジェクトを立ち上げました。自動運転の実用化に向けては車両、運転を制御するソフトウェア、走行のベースとなる地図などが必要となるため連携機関がこれらを準備し、県は道路の三次元座標データや実験場所を提供するほか関連法規制の確認や地域との意見交換を行うとともにプロジェクトの推進役を務めることとしております。
 公共交通機関の自動運転化に当たりましてはさまざまな道路状況において走行安全性が確保されていることが不可欠であることから、本プロジェクトではまず小型の電気自動車を用いて本年度小笠山総合運動公園付近で実証実験を行い、その後さらに県内各地で自動運転の走行実験を展開していきたいと考えております。また試験車両に乗車された方、地域住民の方々などを対象に自動運転に対する期待や不安、改善すべき点などについて御意見をお聞きし利用される方の視点から実用化に当たって必要となる諸条件を検証してまいります。
 近い将来の自動運転の実用化に向けて、速やかに県内で次世代モビリティーによる公共交通サービスが提供されるよう、県といたしましては新しい日本づくりのモデル、拠点を目指して関係機関とともに本プロジェクトに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 渡邉文化・観光部長。
       (文化・観光部長 渡邉眞一郎君登壇)
○文化・観光部長(渡邉眞一郎君) 糸魚川―静岡構造線の活用についてお答えいたします。
 昨年の春、静岡市内において地質学者で工学博士の塩坂邦雄氏により発見された糸魚川―静岡構造線の巨大露頭は県内最大で学術上極めて貴重な資源であるとの専門家の指摘もあり学術や観光、地域振興などへ活用できる可能性を秘めていると考えております。地質的価値に着目した伊豆半島におきましては地元七市八町が中心となり民間団体や地域住民を巻き込みながら研究員による学術的な調査研究を行う体制を整えるとともに、中央拠点施設ジオリアの開設、ジオガイドの養成やジオ教育の実践など観光資源としての魅力を高め広く情報発信していくためのさまざまな取り組みを行ってまいりました。こうした実績を積み重ねた結果が本年四月のユネスコ世界ジオパークの認定につながり、多くの人々が伊豆半島を訪れるようになっております。
 こうしたことから、糸魚川―静岡構造線の巨大露頭につきましても、地元静岡市を初め地域住民や研究者などの関係者が協力してその価値を保全し広く伝える活動等に取り組まれることにより地域の活性化に資するものになると考えております。
 県といたしましては、地域の関係の皆様に伊豆半島ジオパークへの支援を通じて培った知見や経験に基づいたアドバイスを行い観光誘客などに向けた地元での取り組みを促してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 天野経済産業部長。
       (経済産業部長 天野朗彦君登壇)
○経済産業部長(天野朗彦君) 自動運転の実用化についてのうち、EV化と関連産業の振興についてお答えいたします。
 世界で急速に進むEV化や自動運転化などの動きは本県の製造品出荷額等の四分の一を占める自動車産業に大きな影響を与えるものであり、産学官が共通の認識を持って迅速かつ的確に対応することが重要と考えております。一方で産業構造が大きく変化しようとするときは新たなビジネスチャンスが生まれる契機ともなります。
 このため、県では去る六月五日にEVなど次世代自動車への参入や他の成長分野への事業転換を目指す企業への支援を検討する静岡県EV化・自動運転化等対応研究会を立ち上げたところです。トヨタやスズキ、ホンダなどの国内主要自動車メーカーや県内部品メーカー、国、大学、産業支援機関など二十一企業、団体が参加し、第一回会合では各社の共通の基盤を生かすことで製品開発がスピードアップする、企業間でのシナジー効果に期待するなど活発な意見交換がなされました。今後十月までに研究会を四回程度開催して結果を取りまとめ具体的な施策に反映させてまいります。
 県といたしましては、こうした研究会での議論や産業界の現場の声をしっかりと受けとめまして急速に進むEV、自動運転の分野により多くの県内企業が参入できるよう浜松地域イノベーション推進機構の次世代自動車センターなどと連携をしながら幅広いプラットホームを構築していくことで本県経済を支える自動車関連産業の力強い成長を支えてまいります。
 次に、再生可能エネルギーの普及と環境への配慮についてのうち、再生可能エネルギーの導入拡大についてであります。
 県では、エネルギーの安定供給と地域経済の活性化を目指しふじのくにエネルギー総合戦略に基づき再生可能エネルギーの導入拡大と地域企業によるエネルギー関連産業への参入促進に取り組んでおります。
 具体的には、中小企業等が行う小水力、バイオマス、温泉熱等の利活用設備の導入に対する助成等の支援を行うとともに、昨年度からは食品廃棄物をエネルギー源として有効活用するため県工業技術研究所が開発した安価で小型なメタン発酵プラントの実用化に向け地域の食品加工事業者やプラントメーカー等と連携し実証事業を進めているところであります。また地域企業によるエネルギーをつくる創エネ、エネルギーをためる蓄エネに関する技術開発や事業化を促進するため、この七月にも産学官金による協議会を設立いたしまして講習会の実施や大学、試験研究機関とのマッチング等の支援を行ってまいります。
 今後も、本県が有する多様な地域資源と地域企業の高度な技術力を最大限に生かしましてエネルギー産業の振興による地域経済の活性化を図りながら再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 再生可能エネルギーの普及と環境への配慮についてのうち、太陽光パネル廃棄物の増加への対応についてお答えいたします。
 再生可能エネルギー固定価格買取制度の導入などにより急激に普及した太陽光発電につきましては、パネルの処理費用が制度上確実には担保されていないことにより今後大量に生じる使用済みパネルの放置や不法投棄による土壌汚染などの環境への影響が懸念されております。
 このため、県では他の都道府県と連携して自動車リサイクル法と同様に処理費用が確実に担保されるシステムの導入を関係省庁に要望し、国においても使用済みパネルの適正なリサイクル、処分のための施策のあり方について法整備を含め検討を進めているところであります。
 県といたしましては、太陽光発電事業者が事業終了後適切な処分を確実に行うよう国と連携して適正処理の周知に努めるとともに、より実効性のある処理体制が早期に導入されるようあらゆる機会を通じて今後も引き続き国に働きかけてまいります。
 次に、リニア中央新幹線の工事に係る影響についてであります。
 環境影響評価手続において、JR東海は最大毎秒二トンの減水量の根拠については地形や地盤、水循環、トンネル掘削状況をもとに地下水への影響を予測するプログラムにより算定した結果としています。地下水の水がれそのものの可能性についてJR東海は言及しておりませんが、地下水の水位への影響については、県内のトンネル区間全般としては小さいものの破砕帯等の周辺の一部においては水位に影響を及ぼす可能性があると予測しています。
 椹島の導水路トンネル出口上流の地域や支流の沢の生態系への影響につきましては、JR東海は沢水に依存する動物について、トンネル区間全般では影響は小さいものの破砕帯等の周辺の一部においては影響を及ぼす可能性があるとしています。
 燕沢の発生土置き場の危険性につきましては、JR東海は擁壁の位置や形状、盛り土の工法等を考慮すれば土石流の拡散、減速の役割は果たせるものと考えており、今後発生土置き場の位置や形状等による下流域への影響についての検討を行い適切な計画を作成していくとしています。
 地すべりが存在するとの指摘につきましては、県では土石流、地すべり等の大規模な土砂移動なども想定し生態系全体や景観への影響も考慮した十分な調査を実施した上で対策を講じるようJR東海に求めております。今後これらの調査結果に基づき提出される発生土置き場管理計画等により発生土置き場の状況や適性等を確認し意見を述べてまいります。
 県といたしましては、JR東海に対し環境への影響が回避されるよう確実な環境保全措置を引き続き求めてまいります。
 次に、放射性物質汚染対処特措法の本県への影響についてであります。
 東日本大震災により発生した放射性廃棄物については、放射性セシウム濃度が一定以上の廃棄物を国が指定し厳格な管理基準のもと保管されておりますが、人の健康に影響がなくなったレベルのものについては国が指定解除をすることにより家庭ごみと同様の処分ができるようになっております。
 県では、放射性廃棄物の指定は国が行ったものであることから指定の解除情報の提供も国がみずから行うべきものと考えており、国に積極的に要望してまいります。また指定を解除された廃棄物は人の健康に影響がないレベルのものであり、指定されていない放射性廃棄物との均衡からも国と同様情報提供は考えておりません。
 天竜川上流の長野県宮田村における最終処分場の建設計画につきましては、地元住民と事業者との間で話し合いが続いており、施設設置の許可権者である長野県への具体的な計画協議がいまだ行われておらず現時点では本県への影響を確認できる段階にはありません。
 県といたしましては、県民の安心を確保するため引き続き長野県や宮田村からの情報収集を行い事業の進捗状況に応じて長野県と協議し施設の安全性を確認してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 小長井由雄君。
       (三十六番 小長井由雄君登壇)
○三十六番(小長井由雄君) それでは要望と再質問をさせていただきます。それぞれお答えいただきありがとうございました。
 ワサビ栽培につきましては、AOI―PARCを活用しての苗をつくっていくというようなお答えをいただきましたが、生産農家の皆さんはやはり優良なメリクロン苗が県内で栽培されるということを望んでおりますのでまたぜひその辺のところも検討していただきたいとそのように思います。
 次に、太陽光パネル廃棄物の増加についての対応についてでございますが国も法整備の検討を始めたということでございます。特に危惧するのは近い将来使えなくなった、使わなくなった太陽光パネルが放置されたり放棄されるとそれがそのまま残ると。特に中山間地ではこういう問題が起こりやすいのではないかなと思いますが、そういったことがないように国と連携してというようなお話もございましたが今のうちから県としても対策を検討していただくようにお願いをしたいと要望いたします。
 それから、放射性物質の汚染対処特別法の影響についてでございますが、八千ベクレルは人の健康に影響がないというような言い方に聞こえましたが八千ベクレルで人の健康に影響がないということは実証されたものではないというふうに私は認識をいたしております。
 それから宮田村の最終処分場の建設計画でございます。これはまだ長野県への計画協議が行われていないということ、それは承知しております。それは地元及び周辺の住民が反対運動をしている。この反対が非常に強いからということも一つあるからだなとそういうふうに思います。この施設は高い濃度の放射性物質に汚染された廃棄物を埋め立てるということでございますので、将来にわたり安全が本当に確保されるのかどうなのかということは疑問があります。静岡県も長野県へそのような懸念を伝えていただくと、機会を捉えて伝えていただくということを要望していただきたいというふうに思います。
 それでは、再質問させていただきます。
 糸魚川―静岡構造線についてでございますが、ユネスコ世界ジオパークに認定されている周辺の新潟県内の区間はジオサイトとなっています。このジオサイトを静岡県まで拡大してもらうということは可能ではないかなと考えます。
 新潟、長野、山梨、静岡、この四県にまたがるジオサイトを働きかけていくそして将来は観光利用そしてまた糸静線のミュージアムを建設するとそういうことも可能だと思いますが、県の考えをお伺いしたいと思います。
 次に、リニア中央新幹線の件でございます。
 水の問題、二トンの減水の根拠というのが、この算定は平成二十五年九月の環境影響評価準備書資料編で示された算定方法による算定で毎秒二・〇三トンの減少という数字が出たものと思います。しかし算定数値は透水係数がモデルの入力条件によって変わるものであります。南アルプスには多くの断層がありましてそれぞれの透水係数が違います。その調査を現場でやったとの報告は聞いておりません。したがってこの入力数値は、条件は一般的なもの、あるいは仮定のものではないかなと考えます。算定結果は入力条件によっていかようにもなるものでありまして、トンネル掘削による二トンの減水という根拠にはならないというふうに考えます。
 また水がれの問題、JRは触れていないということでございますがこの最初に言った二トンの減水ということは仮定のものであるなら、この水がれということももしかしたらかなりのもの、水がかれてしまう後に残らないとそういう状況も現出されているものと思いますが、それぞれ県の見解をお伺いをいたします。
 さらに椹島の排水口の上流部、これの影響は小さいというようなことでございましたが先ほどと同じ理由で二トンの減水についての説明は納得できないものであります。南アルプスエコパークの更新にも大きな影響が出るのではないかなというふうに危惧しますが、県の見解をお伺いをいたします。
 残土処分地の問題でございますが、この地点は燕沢、大崩壊地でありまして擁壁の位置とか形状あるいは工法等を考慮するということでございますが、それで耐えられるような土砂の量ではないというふうに私は聞いておりますがその辺のところ県はどのように考えるのか見解を聞かせていただきたいと思います。
 それから、発生土置き場についての地すべりが二カ所あると。この件についてもこれから正式に決まった段階で県としてはしっかりと対処していただくということだというふうに思いますので、これは意見でございますが決まった段階ではしっかり対応していただきたいとこんなふうに思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 渡邉文化・観光部長。
○文化・観光部長(渡邉眞一郎君) 糸魚川のジオパークについて、これを拡大してはどうかというふうな夢のあるお話をいただきました。ありがとうございました。
 これにつきまして、ジオパークの設定ということになりますとこちらにつきましては明確なエリアを決めていくということになります。伊豆半島の場合には七市八町と。糸魚川の場合には糸魚川市市域全体が指定ということになります。そしてルール上これを一割以上拡大するということになりますと、これは変更とかそういった手続ではなくて改めて新たに申請をし直すということになるというふうに承知しておりますので、先生御指摘のような形で中部地域における全体のジオというふうな形になりますとこれは新たな申請をしていくという形になろうかと存じます。そういたしますと、先ほども答弁いたしましたが学術調査でありますとか広く周知を図るための情報発信ですとかそういったことにつきまして地元の市町あるいは地元の方々と連携をした活動の積み重ねこういったものがやはり求められてこようかと思います。また隣県様にお声をかけていくということに関しましてもまずは膝元、地元静岡の活動というものが動き出しがございませんとなかなか広めていくのも難しいかというふうに思っております。
 以上から、先ほどの繰り返しにはなりますものの、まずは私ども伊豆半島ジオパークこれで培いました経験等々これをアドバイスというふうな形で地元にお示しをしていきましてそういった動きというものを促してまいりたいこのように考えております。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線の工事に係る影響に関する再質問にお答えいたします。
 まず、大井川の減水量最大毎秒二トンというものは水量減少の環境影響評価における環境への影響予測のために解析したものでありまして、県としましては不確実性が高いものであり、技術的に可能な最大限の湧水を大井川に戻す対策をとることを求めております。
 それから水がれの問題と椹島のあたりの生態系の影響への懸念でございますけれども、JR東海が述べております地下水の水位への影響の小さいということは影響面積が小さいことを述べておりまして、地下水の水位への影響や生態系への影響につきましてはモニタリングを定期的に実施しその結果を県等に報告し対策措置の実施を現在求めております。
 それからエコパークの登録、更新に影響があるんじゃないかというお話がございましたけれども、県としてはそのような事態を招かないようにリニアの影響を最大限低減できるようにJR東海と自然環境保全協定等を締結しながら環境保全を図っていきたいと考えております。
 次に、燕沢の発生土置き場の危険性についてでございますが、県では土石流、地すべり等の大規模な土砂移動などを想定して調査を実施しその対策を講じるようにJR東海に求めております。
 今後、この調査から成ります発生土置き場管理計画等において発生土置き場の状況や適性等を中央新幹線環境保全連絡会議というようなところで確認してまいりたいと考えております。以上です。
○副議長(落合愼悟君) 小長井由雄君。
       (三十六番 小長井由雄君登壇)
○三十六番(小長井由雄君) ありがとうございました。
 昨日、塚本議員への御答弁で河川流量の減少の程度を計測や解析によって特定することは現在の技術力では不可能だというふうなお答えがあったかと思います。私もそのとおりだと思います。やってみないとわからない。
 今回の質問では大井川、天竜川、県内の重要河川の二河川について質問を取り上げました。川に関することはその流域全体で考えなければいけないと思っております。その中心となるのは県であり、県の役割の重要さを私自身も改めて再認識したところでございます。流域に不利益をもたらす事案には今後も毅然として対応していくことをお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

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