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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成23年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

多家 一彦 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/28/2011

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 有識者会議のあり方について
2 沼津駅付近鉄道高架事業について
3 消防救急の広域化について
4 愛鷹広域公園の整備について
5 家・庭一体の住まいづくりについて
6 高齢者の生きがい活動・社会参加の促進について
7 高齢者の運転免許証返納制度について



    ○副議長(鈴木洋佑君) これで山本貴史君の質問は終わりました。
     次に、五十八番 多家一彦君。
           (五十八番 多家一彦君登壇 拍手)
    ○五十八番(多家一彦君) 川勝知事が就任されて二年余が経過しました。就任以来、知事は日本の理想郷ふじのくにづくりを提唱し、次々と知事の感性と識見に基づく話題を提供されてきました。富士山の日条例、富士見の祭典、三七七六訪中団、モンゴルとの友好提携、さらには医科大の誘致や新幹線新駅、空港ティーガーデンシティ構想などなど、県民にとっても夢を感じる話題ばかりであります。
     しかし一方で、東日本大震災という未曾有の国難を迎え、しかも国政では大いなる期待の中で行われた政権交代後の内閣への失望感の中にあって、今一人一人の国民、県民が求めているのは夢を語る言葉ではなく、夢を現実にする確かな政治であります。この意味で知事が語る言葉、提起する政策の確かな実行こそが求められるのであります。私は、昨年の十二月定例会での質問に際しても、為政者――政治家の言葉の重みということについて、また実現の道筋が示されない為政者の言動は政治不信を増すものであるとの私の思いを申し上げました。今、さらにその思いを強くする中で、知事が語る夢、思い、希望を具体的にどのように実現していこうとされているのでしょうか。私は、こうした観点から、県政の諸課題について、通告に基づく質問をいたします。
     まず、知事の政治姿勢についてのうち、有識者会議のあり方についてであります。
     川勝知事は、就任後、重要施策の推進に当たりさまざまな有識者会議や諮問会議を設置し、この会議には主に県外の学識経験者などが名を連ねてきました。全国区の学識経験者ということで知事の人脈の広さには感銘を受けましたが、一方で多額の経費を要してまで、こんなに多くの外部委員の組織が本当に必要なのか、疑問の声が上がっているのも事実であります。知事は政策課題の解決手法について、「有識者会議により見える化し、県民世論を喚起するとともに、全国区の人材により我が県を日本のモデルに押し上げようとしている」と、そのねらいを語られたと聞いたことがあります。しかし、そもそも特定分野では全国区の専門家でも、我が県の特色や政策の背景、県民世論への配慮まで期待するのは容易でなく、政策がとかく理想論となり、実行が難しいものになっていないか大変危惧されるところであります。またこうした会議の乱立は既存の行政組織の屋上屋を重ねるものであり、意志決定が煩雑化するなどの弊害も考えられるほか、各部に設置された政策監など本来企画立案すべき職員の存在を根底から覆すもので、これではチーム川勝の士気の低下につながらないかと懸念もしております。
     そこでまず、こうした有識者会議や諮問会議が県執行部にとってどのような位置づけで、最終的な政策決定機関である政策監を配した年度当初の組織定数の考え方と整合性が保たれているのか、見解を伺います。
     また、石川前知事の県政運営からの継続性も行政としては必要であると考えます。独自性を出して悪いとは言いませんが、こうした政策決定手法にチーム川勝の中では戸惑いや異論が出ていないのか心配であります。
     そこで、県の行政サービスの向上のためには職員のやる気の保持や高揚は大変重要な要素であり、人事管理や生きた組織の弊害となっていないのか、こうした政策決定手法を今後も継続していくつもりなのか、あわせて知事の所見を伺います。
     次に、沼津駅付近鉄道高架事業についてであります。
     先ほど公明党の代表質問で蓮池議員から、沼津駅周辺総合整備事業についての質問がありました。視点を変えて質問をいたします。
     県では昨年九月に本事業について客観的かつ科学的見地から現計画を検証する有識者会議を設置し、六回にわたる会議での議論を経て、ことし六月に森地座長から知事に報告書が提出されました。この報告書では、鉄道高架事業は沼津市都心部が抱える交通環境や南北市街地の分断の問題を抜本的に解消し、県東部地域の拠点都市を形成するために効果的な事業であることとしております。また費用便益分析においても本事業の便益は費用を上回っており、社会経済的に合理性を有すること、貨物駅の移転先についても現計画の妥当性が確認されたことが明確に結論づけられております。このように知事が自信を持ってお集めになった有識者による議論の結果、沼津駅付近鉄道高架事業は効果的で合理性があり、かつ貨物駅の移転先は妥当だと判断されたのであります。この結論を受けいよいよ県は事業を実施すると思いきや、PIによる合意形成を行うという方針が示されたことから、事業構想段階から八百回を超える地域住民に対する事業説明を行っているにもかかわらず、なぜ今さらPIなのかと多くの市民は驚き、再度有識者によるPI委員会を設置して再び計画の妥当性の検証を行い、結論の先送りをするのかと事業の停滞を危ぶむ声が聞かれます。さらに八月に開催された沼津市での知事広聴では、原町に仮に貨物駅を移す必要がなくなったら何がよいかと市民に意見を求めました。その土地は沼津市が熱意を持って貨物駅の移転先として買収を進めてきたものであるにもかかわらず、あたかも不要となった県有地のような言い方であります。一体、原地区への貨物駅移転問題をどのように考えているのかと、市民は一様に不安を感じているところであります。このような状況は多くの市民に混乱を招き、今後の事業の進展について大変危惧を抱かせております。
     そこで、沼津駅付近鉄道高架事業の今後の進め方について、JR貨物との調整も含め伺います。
     次に、消防救急の広域化について伺います。
     本年三月十一日、東北地方を中心に大被害をもたらした東日本大震災において、自衛隊、警察、消防関係者が、救命救助はもとより被災者の支援で大活躍をしました。特に消防関係者は地域に根差した防災組織として、初動期には平常時の活動実績や豊富な地域情報をフル稼働させ、広域支援機関が現地入りするまでの間は警察等とともに初動態勢の中核を担っておりました。このように東日本大震災の例を挙げるまでもなく、防災を含む危機管理において地域防災力の中心となって地域住民の安全・安心を担う消防の役割は非常に大きいと再認識した次第であります。
     一方、我が国では国策として消防救急の広域化が全国的に進められております。平成十八年には消防組織法の改正が行われるとともに、それを踏まえた国の基本指針が地方に示されました。本県では、国の基本指針等を受け、県が地域の意向を聞き合意を得ながら県の推進計画を策定し、現在はこの推進計画に基づき各地域で広域化の実現に向けた協議が進められているものと承知しております。なお平成二十年三月に策定された当初の推進計画は、平成二十二年六月に県内八消防本部、六通信指令を内容とする計画に変更されております。こうした消防という防災組織の仕組み変更は地域防災力の中核を担う体制を変える意味で非常に重要であるだけでなく、多くのさまざまな事項を地域で検討、協議していく必要がある点でも大事業であると思います。例えばどの地域を対象に広域化していくのか、消防職員の処遇をどうするか、通信指令センターをどこに置くか、広域化に伴う財政負担はどうするのかなど、多岐にわたる事項について検討、協議が必要となります。また組織の統合、見直しを検討する際には、地域によっては既に一部事務組合方式で広域消防が行われてきた地域もあることから、現行体制の経緯や市町同士の日常生活面のつながりなどの観点から調整、配慮も必要ではないかと考えております。
     私の地元である沼津市を初めとする東部の各市町は駿東・伊豆地域として広域化に取り組んでおります。駿東・伊豆地域を構成する八市八町の管内人口は七十五万人弱で、静岡地域、西遠地域に次ぐ規模となっており、構成団体数十六市町は今回の広域化では最も多い地域となっております。こうしたことから、昨年七月に八市八町に設置した消防救急広域化研究協議会では現在制度設計など広域化の具体化に向けた検討、協議を進めていると聞いています。その中では南北に延びる管内区域への対応、各市町の財政負担のあり方など調整すべき懸案も少なからずあろうかと思います。また我が国の電波政策を受けた消防救急無線のデジタル化についても期限である平成二十八年五月に向け、具体化を迫られているものと承知しておりますが、市町等に生ずるであろう一定の新たな費用負担を危惧しております。
     以上、今の時期が県内各地域で協議や工夫を重ねながら消防救急の広域化に取り組む重要な時期と十分承知しておりますが、一部地域には現状に対して不協和音があるとも聞いており、私は地域のくくり方に無理があるのではないかと思っております。
     そこで、県内の消防救急広域化の取り組みの進捗状況と今後の見通しについて伺うとともに、この広域化を踏まえて、消防救急無線のデジタル化をどのように進めていくのかあわせて伺います。
     次に、愛鷹広域公園の整備について伺います。
     県内の県営の運動施設の立地状況については、中部地域には草薙総合運動場があり、野球場を初め体育館、陸上競技場、テニスコート、水泳場等の多くの施設を有しており、現在硬式野球場の改修や体育館の建てかえ等のリニューアル事業が進んでおります。中でも野球場では本年度、四年ぶりにプロ野球の公式戦が開催され、今後もグラウンドの拡張やLEDタイプのスコアボードへの改修、外野スタンドをいす席にかえるなどの整備が進められており、体育館では建てかえにより、バスケットボールの公式コートが四面取れるような多様な屋内スポーツ競技大会が円滑に運営できる規模を備えるとともに、ユニバーサルデザインを取り入れた、だれもが使いやすい施設にしていくと伺っております。
     また、西部地域には国際大会にも対応できるスタジアムやアリーナを有する小笠山総合運動公園エコパが平成十三年に供用されており、ニューわかふじ国体やサッカーの二〇〇二年ワールドカップが開催され、地域振興にも大きな成果が得られました。現在でもスタジアムでは毎年Jリーグの試合や国際陸上大会などが開催され、アリーナはバスケットの国際親善試合などの屋内スポーツ大会や有名タレントのコンサートが開催されております。また施設の整備の点では補助体育館――サブアリーナが平成二十年度に建設されており、ほかにも陸上の補助競技場等も有する立派な施設になっております。
     一方、東部地域には沼津市の愛鷹山ろくに野球場や陸上競技場、テニスコートを有する愛鷹広域公園があります。愛鷹広域公園は平成元年に供用開始されており、県東部地域を代表するスポーツの拠点として、県の高校総体や高校野球の大会開催、サッカーのU―15の大会などの場として活用され、地域に親しまれてまいりましたが、他地域に比べて施設数の少なさや施設の老朽化の進行などスポーツの拠点としては見劣りしているとの感が否めません。中でも野球場については供用から二十年余を経過したため設備の老朽化が進行し、特にスコアボードについてはいまだに選手名やスコアなど手書きするパネル式のものを使用しているため大変使い勝手が悪く、早急に電光表示式の設備に変更すべきだと考えます。
     また、県東部地域には中部地域の草薙総合運動場、西部地域の小笠山総合運動公園にあるような大規模な屋内スポーツ大会を開催できる県営の体育館がない点も挙げられます。平成十四年に藤枝市に建設されました県の武道館は、ニューわかふじ国体の剣道の競技会場として活用され、その後も全国区の武道大会が開催されるとともに、武道以外にもバレーボール、バスケットボール、卓球、バドミントンなど各種の屋内スポーツの大会会場として有効に活用されています。県東部地域のスポーツ振興という観点からも愛鷹広域公園の総合運動場としての整備が必要であると考えており、具体的には野球場のスコアボードの電光掲示板化や県営の屋内体育館や武道場などの整備を行ってスポーツの拠点としての機能を拡充し、同時に東部地域の活性化、地域振興にも役立てるべきであると考えておりますが、県の整備方針について伺います。
     次に、家・庭一体の住まいづくりについてであります。
     県は、新たに策定した総合計画において、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷を目指す姿として、豊かで美しい自然環境を最大限活用しながら、生活と自然が調和する広い庭のある家・庭一体の住まいづくりを位置づけました。住まいづくりといえば、高度成長期の都市部への労働者の集中に対応するため、一九五五年以降大量に供給された二DK住宅から成る集合住宅に代表される、いわゆる生活の五十五年体制があります。この体制において供給された大規模なコンクリートの建築群は画一的な居住環境や自然から隔離された無機質な都市景観を生み出し、また合理性が最優先されたため、庭や緑、勝手口がなく、玄関が唯一の出入り口となってしまったため、自然との触れ合いの機会や地域コミュニティーを希薄化させるなど、現代社会の抱える課題の根源の一つになっていると認識しております。県が推進しようとしている家・庭一体の住まいづくりは、この生活の五十五年体制のもと、長い間忘れられてきた向こう三軒両隣の近所づき合いを大切にした縁側と庭のある和の住まいであり、家づくりの基本ではないかと思います。
     しかしながら、私たちを取り巻く社会・経済情勢は大変厳しい状況にあり、例えば平成二十年のリーマンショック以降、本県の有効求人倍率は〇・五倍から〇・六倍と低い倍率にとどまっております。また、昨今の勤労者世帯の実収入は横ばいから減少の傾向にあり、一方可処分所得のうち住宅ローン返済額の割合は近年増加傾向にあり、住宅ローンのある世帯の消費支出も減少傾向にあるため、住宅取得経費は家計に大きな影響を与えております。このような社会・経済情勢において、多くの方が庭つき一戸建ての住宅を取得することは非常に困難な状況にあるということが実情ではないかと感じております。ましてや、知事のおっしゃっているような一反三百坪もの土地に住宅を建てるなど、夢のような話ではないでしょうか。また地価の高い市街地にこれだけのまとまった規模の土地は少なく、実現できそうなのは郊外などの一部に限られ、東海道沿線の市街地で実現することは一層難しいかと思われます。家・庭一体の住まいづくりの考え方は私も同感いたしておりますが、これを実現し普及させていくことは大変なことと思っております。
     そこで、家・庭一体の住まいづくりの構想が示されてから二年たちますが、どのように普及していこうとしているのか、県の所見を伺います。
     次に、高齢者の生きがい活動・社会参加の推進について伺います。
     私は昭和二十二年の生まれで、いわゆる団塊の世代のトップランナーです。これまで私たちいわゆる団塊の世代は日本の発展の中心を担ってきました。特に我々男性の多くはかつてモーレツ社員、エコノミックアニマルと言われるほど、家族によりよい生活を与えようと仕事第一で頑張ってきました。今、その団塊の世代が定年を迎え高齢者の仲間入りをしようとしています。退職を機に、これまでの生活が一変します。子供は独立し、妻は地域での友達や仲間がいて毎日忙しく生活している。仕事いちずに生きてきた男性は朝起きてもすることがなく、きょうは何をしようかという毎日を迎えてしまう方がいます。それは気楽な反面、これまでの充実した張りのある毎日から比べれば、物足りなく味気ない日々であり、自分にはもっとできることがあるのにという思いを持つ高齢者は多くいると思います。
     さて、内閣府が発行している平成二十三年版の高齢社会白書では、日本の高齢者と韓国やアメリカ、ドイツ、スウェーデンの高齢者の社会活動への参加状況と意識について比較しています。これによると、日本の高齢者は社会参加をしている方の割合は三一・三%と韓国に次いで低いものの、参加しない理由として、「関心がない」を挙げる方は一五・九%と、他の国に比べて極めて低くなっており、「社会活動に関心はあるが、理由があって参加できない方が多い」という結論が出ています。これを受けて白書では、「地域における高齢者の『出番』と『活躍』〜社会的孤立を超えて地域の支え手に〜」と題して、高齢者の社会的な活動を促進し、出番をつくっていくことで高齢者自身が地域社会の支え手として活躍することを今後の方向性としています。ここで言われているとおり、これからは、高齢者が地域を支えるということが、いやが応でも必要になってきます。そのために高齢者の社会参加を進めていく。そのときのキーワードは、「やりがい」であり「生きがい」であると私は思います。県でも、これまで多くの生きがいづくりの取り組みをしてきていますが、今後ますます進行する高齢化の中で、人間のよりどころである生きがいを持って生活できる社会を構築することは行政の責任であると思います。
     そこで、これからどのように高齢者の生きがい活動・社会参加の促進について取り組んでいくのか、県の考えを伺います。
     次に、高齢者の運転免許証返納制度について伺います。
     免許人口の高齢化が進むのに比例して、高齢者が当事者となった交通事故の件数が増加していると聞きました。高齢になると、どうしても視聴覚機能の低下や反応のおくれなどから、運転操作を誤ったりして事故につながることが多くなるようです。このような高齢者事故を防ぐため、高齢者の運転免許証返納制度があります。自主的に運転免許証を返納してもらい、事故当事者になることを未然に防止してもらおうという趣旨であると承知しております。またこの制度により、みずから運転するという交通手段を失った高齢者に配慮して、警察と静岡県タクシー協会、個人タクシー協会が連携し、協会加盟のタクシー会社または個人タクシーに乗車した運転免許証を返納した六十五歳以上の高齢者には、乗車運賃を一割引きする運転免許証返納割引制度を静岡県独自に行っていると聞いています。高齢者保護のための、とても有意義な制度だと思います。しかしながらこの割引制度を利用するために必要な運転経歴証明書の発行は運転免許証返納手続後一カ月以内に限られており、この期間を過ぎた場合には以後一切運転免許証返納割引が受けられないと伺いました。運転免許証返納割引制度を知らず、気がついたときには割引に必要な運転経歴証明書の発行を受けられないという方もいると聞いています。
     そこで、高齢者の運転免許証返納制度の概要と実施状況、周知のための広報実施状況について伺います。あわせて運転免許証返納割引制度の概要と利用条件の緩和等について、どのように考えられているのかについても伺います。以上で私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 多家議員にお答えいたします。
     多家議員とは同世代の六十有余年を生きてまいりまして、御質問あるいはお示しになられました御見識に共感するところが多うございます。
     まず初めに、有識者会議のあり方についてでありますが、調べてみましたところ、なるほど有識者会議とか外部委員会というものが十三ございまして、その中に県外の学識者などが主だというふうに御指摘でございますが、計算しましたところ県外が六割、県内が四割ということでございます。これを多いと見るか少ないと見るかということですけれども、今評判のテレビのNHKで「坂の上の雲」というのをやっていますけれども、そこで愛媛の秋山好古が十六歳のときに大阪に出てまいりまして、そして十八歳以上でないと受けることのできない小学校の先生に合格してしまうわけです。そして、そこで司馬さんが述べていることは、当時日本の知識人は、鹿児島から津軽に至るまで日本じゅうに、いわば田舎といいますか地方にすぐれた有識者がいたと。むしろ大阪は、町人のまちとして、「これほどレベルが低いのかと好古は思った」と語らせています。しかし今、我々のこの時代になりまして、有識者はどこにいるかというと大阪や京都や特に東京にいるということになっております。
     そうした中で、私は本県が一九六〇年代の、特に新幹線ができてから、あれは東京と名古屋と京都、大阪を結ぶためにつくられたものでございましたので、ここは通過する形になったと。それがやはり、多くの人がここにとどまる機会が少なくなったということではないかというふうに思っております。中心のあるところというのは魅力のあるところで、魅力あるところは人がたくさん来ます。東京にしても京都にしてもそうでございますが。ところが、ここはとまらないので人が来にくいということがございまして、私は一たんここにわらじを脱げばいかに魅力的であるかということはすぐわかるということもございまして、多くの方々にお声をかけたところ、いろいろなえにしで、例えば有馬先生が理事長になられたり、熊倉先生が学長になられたり、松井孝典先生が理事になっていただいたり、芳賀徹先生が美術館の館長になってくださると。このようにそれなりの仕事をして本県のPRの広告塔になっていただいているわけですが、一方、日本の有識者もこちらに来て議論をすることを通して、県内の有識者の方々への大きな刺激になっていることは間違いありません。支出が多額に上ると言われておりますが、もちろん県内、県外で差別はありません。若干の交通費が余計かかっているかとは存じますけれども、私はその額が県民の負担を強いるほどの額であるとは到底思っておりません。むしろ薄謝であるとすら思っているわけでございます。
     石川県政におきましても、「富国有徳 創知協働」というふうに言われておりましたが、その富国有徳を継承しております。そして、創知協働という言葉は使っておりませんが、創知、知をつくるという、そして創業というところに結びつけたいと思っているわけです。知識集約型の産業、あるいはどういうことについても科学的、技術的、あるいは経験的知識というものが必要で、それを創業に結びつけたいということで、今までの、いわゆるこちらの有識者の方々はもう名前が決まっているぐらい固定化していた、だからそこに新しい結合を入れて、そしてそれを県政に生かしていくということが今必要なのではないか。そして、今はお頼みして来ていただいているということではございますけれども、知らぬうちにこちらに、いわば全国レベルの人たちが蟻集しているという状況がつくり出せれば私はしめたものだというふうに思っておりまして、日本の最高の英知を結集して、だれにも恥ずかしくない、そういう地域づくりをすることができるというように思っております。多くの方々が、ほとんど二つ返事でお引き受けいただくのは、やはりこれまで持っていたこの駿河や遠州や伊豆半島の伝統というものがしからしめる力であろうというふうに思っておりまして、北海道でそういうようにしようたって、僕は来てくださるとは思いませんね。やはり、この東海道のど真ん中で、万葉集の時代以来、歌い継がれ、語り継がれてきたいろいろな伝統文化というものが、今二十一世紀型に脱皮しようとしているということで、しばらくこの成果が出るまで見守っていただければというふうに存じます。
     次に、家・庭一体の住まいづくりについてでございます。
     議員も御指摘なさいましたけれども、高度経済成長が臨海工業地域で始まりました。このとき以前、いやさらに言えば、第一次大戦以前は、日本において、江戸や大坂やあるいは京都と他の城下町と、差はありません。いわゆる皆、家・庭一体の住まい方をしていたわけです。ところが第一次大戦以降、特に高度経済成長になります戦後になりまして、都市に人々が集まり、そこは過密問題が生じ、そしてそれ以外のところは過疎問題が生じまして、今例えば北海道のある村などは、ただでもいいから、この土地を使ってくださるならそれをしてくださいというぐらい過疎問題が深刻になっております。そうした中で私は、生活の五十五年体制、これは自由党と民主党の自民党結成の五十五年体制以上に、日本人の暮らしの立て方に本当に大きな、いい意味でも悪い意味でも影響を与えたと思っております。特に議員も御指摘のように、これは自然との接触をなくし、従来のライフスタイルを根本的に崩すものであった。家、庭が分離することによって、家庭崩壊ということすらつくり上げたのではないかと思っております。そうしたものの中で、多摩ニュータウン、あるいは千里ニュータウンというところのニュータウンが、一緒に住めないものですから、三世代が、オールドタウンになっているという大問題も発生してきております。
     そうした中で、どのようにすれば幸せな生活ができるかということを考えますときに、私はまずは所有から利用へという考え方を持つべきだと。これは御承知のように、長い間日本の農業、これは農民が江戸時代、百姓というふうに言われる方たちが八、九割を占めていたわけです。その人たちは、土地は天からの授かりものである、しばらく預かっているという観念を強く持っていました。もちろん土地の売買もされておりましたけれども、土地それ自体について排他的所有権というものを持っていなかった。しかし戦後になって、いわゆる農地法で独立自営農民といいますか、土地を所有するということをベースにした農業が行われて、その結果、土地本位主義と言われるほどのすさまじい土地への執着というのが行われ、そしてそれが高い、したがって不動産を取得するというのが大変になって、土地というものは所有するものだと、借地や借家が本当に消えてしまいました。だけど、農地法も改正されまして、所有から利用へということでいろいろな企業が農業に参入できる条件が今整いつつあります。私はさらに農業だけでなくて、大地というものは水や空気と一緒でこれはしばらく預かっているということがあるので、やはり大地に対してお金を投じて、それに縛られるということがなるべく少なく済むようにするにはどうしたらいいかを考えるべきだと思っております。
     そうした中で、新東名が内陸部にできたと、内陸部の多くはこういう都会性というよりも、むしろ豊かな自然を持っております。そうしたところに、県が、あるいは準公共団体が土地を所有者からお借りをして又貸しをする、すなわち借地権を設定いたしまして、それを東京は国が五十年と言いましたところ、七十年にしております。五十年じゃ短いという考え方が、今多くの利用者にございますので、それを長くすることに変えまして、ライフスタイルにおいて都会が好きな人も田舎が好きな人も、あるいは都会が好きな人生段階も、そうでない段階もございますから、選択肢をふやすという、そういうモデルをつくり上げたいということで、くらし・環境部の松浦部長をリーダーとしまして、今いろいろモデルづくりに入っているところでございます。
     そうしたことで私は、生活の五十五年体制が悪いとは一概には言えない、そうしたものを、自分の人生において、それしか知らない人はそうしたスタイルをまた繰り返されると、それは当然のことだと存じます。しかし選択肢をふやす必要があるだろうと。日本の長い歴史の中で、一九五五年以前、あるいは第一次大戦以前においては、日本においては家・庭一体というのが当たり前であったと。そうしたものを選択肢の一つとして提供できるだけの、そういう条件が静岡県には十分にそろっています。これをお見せすることを通して、不動産に大きなお金を投じないで、しかし仮にリストラに遭って行くところがなくても、そこに土地があって差し当たっては食べるものには困らないというような安心感のあるライフスタイルを提供するということが大事であるというふうに思っております。
     これはさらに、防災の観点からも仮設住宅をどこに建てるかといったときに、沿岸地域は土地が限られているということになれば、どこにするかということがございます。そういう観点からいたしましても、新東名というインフラを活用した安心感が持てて、場合によっては仮設ではなくて長く住まえるような、そういう土地を確保するということも大切でございます。そうした観点を入れまして、私は議員御心配の、今不動産への投資というのは人生における一大事業でございますが、そうしたことが割と簡単にできるような制度づくりを始めたというところでございます。
     その他の御質問につきましては、他の部長及び教育長から御答弁を申し上げます。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 沼津駅付近鉄道高架事業についてお答えいたします。
     鉄道高架事業に関する有識者会議では、鉄道高架事業は効果的であり貨物駅の移転先についても現計画は妥当との判断が示されましたが、一方で貨物駅の移転先について、関係者間の徹底した合意形成の必要性も指摘されております。県では沼津市と連携し、これまでも地域住民への説明に努めてまいりましたが、一部市民の根強い反対もあることから、有識者会議の報告を踏まえ改めて貨物駅の移転先についてパブリックインボルブメント、いわゆるPI方式を導入して徹底した合意形成を図ることとしたものであります。
     PI実施に当たりましては、市民と合意形成におけるプロセスの透明性、客観性、公平性を確保するため、まずPI委員選考委員会――これは去る九月十四日に開催してございますが――これによりPI委員を決め、第三者で組織しますPI委員会を十月にも設置し、今年度中にPIの手続や進め方を定める実施計画を策定する予定であります。来年度からは、この実施計画に基づきましてPI委員会の監視や助言のもと、市民との具体的なコミュニケーションを重ね、時間管理の概念を持ちながら合意形成を目指してまいります。市民とのコミュニケーションの過程において貨物駅の配置計画の見直しなどの専門的な議論が生じた場合には、必要に応じ、JR貨物を初めとする関係機関と調整を進めてまいります。
     次に、愛鷹広域公園の整備についてであります。
     愛鷹広域公園は野球場、多目的競技場を有する県営都市公園であり、県東部地域を代表するスポーツの拠点として平成元年に供用開始いたしております。中でも野球場は高校野球や社会人野球の大会会場などに幅広く利用され、県東部地域の中心的な野球場となっておりますが、平成元年の供用開始から二十年以上が経過し老朽化が目立ってきております。県では本年度中に公園施設について、計画的な維持修繕によるコスト縮減を図るため公園施設長寿命化計画を策定することとしており、愛鷹広域公園についても、今後はその計画に基づき適切な維持修繕や施設の更新を行ってまいります。野球場のスコアボードにつきましても、長寿命化計画の中で更新時期や必要性を含め検討してまいります。
     また、議員御指摘の体育館や武道場などにつきましては、県内各地の施設の設置状況や大会の開催状況を踏まえ整備を進めているところであり、愛鷹広域公園におけるさらなる施設の整備につきましても、今後そのあり方につきまして検討してまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
           (危機管理監 小林佐登志君登壇)
    ○危機管理監(小林佐登志君) 消防救急の広域化についてお答えいたします。
     県では、平成二十年三月に静岡県消防救急広域化推進計画を策定し、東部・中部・西部の三圏域に分けて、三消防本部・三通信指令センターとする計画を市町に提示をいたしました。この計画について各市長、町長から意見を伺ったところ、八消防本部・六通信指令センター体制に計画を変更することで意見の集約が図られましたので、それを尊重することとして、平成二十二年六月に県の推進計画を変更しまして消防救急の広域化を推進しているところであります。現在各地域では多少の紆余曲折はありますが、協議、検討を行う組織を立ち上げまして構成市町の数、地理的条件、地域の歴史などを踏まえまして、新たな消防本部の位置や各市町の費用負担のあり方など具体的な制度設計を行っているところであります。県では各地域が設置をいたしました協議会に調整役として参画し、静岡地域では平成二十八年度から、また駿東伊豆などその他の地域では平成二十五年度から新体制へ移行できるよう努めております。
     また、消防救急無線のデジタル化につきましては、国が定めた期限でございます平成二十八年五月末までに整備を完了させることを目指しまして、県と各消防本部との間で整備方法などについて協議を進めております。これまでの協議の中で、各消防本部の無線機器などの整備に当たっては共同で行うことが、コストを削減する上でも極めて有効であることが判明しましたので、今年度からできるだけ共同整備を取り込む方針で基本設計に取り組んでおります。今後は平成二十四年度に実施設計を、二十五年度から二十七年度に機器整備を行いまして、国が示した期限までにデジタル化を完了する予定となっております。なお消防救急の広域化や消防救急無線のデジタル化につきましては市町に多額の財政負担を強いることになりますので、引き続き国に積極的な支援を求めてまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 池谷健康福祉部長。
           (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
    ○健康福祉部長(池谷享士君) 高齢者の生きがい活動・社会参加の促進についてお答えをいたします。
     本県の六十五歳以上の約八五%の方は介護保険を利用せず生活されており、全国的に見ても元気な長寿者が多くいらっしゃいます。また昨年度実施いたしました意識調査結果からも友人や知人と過ごすことに生きがいを感じる方が多く、また今後やってみたいことに趣味やスポーツがふえるなど、周囲の方とかかわり合いを求める社交的な長寿者がふえていることがうかがえます。
     そこで、今年度策定いたします第六次静岡県高齢者保健福祉計画では、団塊の世代を中心として多くの元気な長寿者の方々が、これまで培ってこられた経験や知識、技能を生かして社会の中で活躍し続けていただくことを施策の重要な柱として位置づけたいと考えています。特に人生経験豊かな長寿者の方が、地域における子育て支援や文化伝承、居場所づくりなどの活動に積極的に参加していただくことを期待しております。
     県といたしましては、これまでの老人クラブの取り組みに加え、市民団体、地元企業、NPO等による取り組みに対しても支援をするとともに、これらの活動を広くお知らせすることにより、多くの長寿者の出番づくりやそのきっかけづくりに取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 高齢者の運転免許返納制度についての二つの質問にお答えいたします。
     初めに、運転免許返納制度の概要等ですが、身体機能の低下等により運転免許を返納したい方の要望にこたえるため、平成十年に法制化され、本人からの申請による免許の取り消しとして自主返納ができることとなりました。返納制度の実施状況については平成二十二年中の自主返納件数は二千三百七十二件、運転経歴証明書交付件数は六百十三件でありましたが、本年については一月から八月末までの自主返納件数は三千五百四件で、昨年同期と比べ二・三倍の増加、運転経歴証明書交付件数は二千五百八十四件で七・二倍の増加であります。この返納制度の広報実施状況については、ホームページへの掲載、警察署窓口へのポスターの掲示のほか、免許窓口では返納申請から運転経歴証明書の交付までの流れを説明し、あわせてバス、タクシーの公共交通機関の割引制度について案内しております。
     二点目の運転免許返納割引制度及びその利用条件の緩和等についてですが、免許を自主的に返納した方に対して、バスの高齢者優遇定期券の購入対象年齢の引き下げや購入料金の割引、またはタクシー料金が一割引きになるなど、公共交通機関による割引制度が設けられており、運転経歴証明書を提示することにより、これらのサービスが受けられます。しかしながら確かに議員御指摘のとおり、運転経歴証明書の発行を受けなかった方は割引サービスが受けられない現状にあります。
     そこで私は質問通告をお受けしてから、何らかの手だてができないかということで部下に指示しましたところ、運転経歴証明書にかえて運転免許を返納した際に発行しております申請による運転免許の取消通知書、これは申請があれば再発行可能でありますので、この取消通知書でも同様のサービスが受けられるのではないかということで、バス及びタクシー協会などに対して最近働きかけを実施したところであります。現在、それぞれ協会において検討されているということでありますが、改めて議員の高齢者への温かいまなざしに敬服いたしました。私は常に県民への仁愛の気持ちということを強く部下に求めておりますので、今後ともその観点から運転免許返納割引制度をより実質化させるための努力をしてまいりたいと考えております。以上であります。
    ○副議長(鈴木洋佑君) 多家一彦君。
           (五十八番 多家一彦君登壇)
    ○五十八番(多家一彦君) 石川知事は、「論より実践」。議場で必ず質問に答えて、そんなふうに言いました。耳に残っております。政治は、夢、希望、未来を語るわけですから、当然県民、国民にとって追えるような夢が必要だと思います。しかしそれを現実に実現していく、そのことが政治の力だと思います。ぜひそんなことをお願いしながら、意見として申し上げます。以上です。(拍手)
    ○副議長(鈴木洋佑君) これで多家一彦君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     九月二十九日午後一時、会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれにて散会します。

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