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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成18年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

杉山 盛雄 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/29/2006

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長(芦川清司君) ただいまから会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第百二十六号から第百五十一号まで及び平成十七年度静岡県一般会計、特別会計、公営企業会計決算全部を一括して議題といたします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、五十九番 杉山盛雄君。
           (五十九番 杉山盛雄君登壇 拍手)
    ○五十九番(杉山盛雄君) おはようございます。
     私は自由民主党所属議員といたしまして当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。
     初めに、地方税一元化構想について伺います。
     県は、平成十七年一月に県税と市町村税の賦課徴収事務を一元的に処理する地方税一元化構想を提言し、同年三月には県と市町の税務職員等で構成する地方税一元化のあり方検討会を設置して約一年間にわたってそのあり方を検討してまいりました。その検討結果報告書を見ますと、平成二十年度には市町村税と県税の滞納事案のうち徴収が困難なものを引き受けて処理する機構を設置し、その後、賦課徴収の事務を完全に一元化して執行する組織への拡充を目指すとなっております。
     地方税につきましては、来年度から三位一体改革により国税である所得税から地方税である住民税に約三兆円の税源が移譲されますので、県民にとってより身近なところに税が集まることになるわけであります。総務省の試算では、本県の市や町が賦課徴収する個人の住民税の額は一気に約一千億円増額するということであり、地方の税務行政の重要性はますます増大する状況となっております。一方、現状を見ると市や町の税の滞納額は年々増加をしており、平成十年度には三百九十三億円だったものが平成十六年度には約一・三倍の四百九十八億円と百億も増加し、これに伴い県にかわって市や町が賦課徴収を行っている個人県民税の滞納額も増加をしており、県税全体では減少傾向にある中で個人県民税の割合はむしろ増加をしており、平成十六年度では総滞納額約百三十七億円に対し約七十三億円と五割以上を占める状況となっております。
     三位一体の改革により地方自治体の一般財源が増加しない状況にあり、歳入確保の観点からも税の確実な徴収は県と市町に共通する課題であり、両者が共同して滞納整理に取り組むことは極めて有効な手段であると考えます。特に徴収困難なものなどを集中して引き受ける機構を設置して強力に滞納の処理を進めることは、税の公平性の確保という観点からも滞納者に対してはもとより正しく税を納めている納税者にとっても意義のあることであります。
     この構想をより効果があるものとして実現していくためには県内の多くの市町の参加が不可欠であります。県は賦課徴収を含めた完全一元化の第一段階として平成二十年度までに滞納整理関係の機構を設置するとしておりますが、設置まであと一年半程度であります。市町の参加に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。 
     次に、児童虐待への対応について伺います。
     児童相談所における児童虐待の相談件数は、平成十七年度、全国で三万四千件を超えるなど依然として増加をしております。七月に発表された厚生労働省研究班の調査結果では小児科がある病院の半数近くが養育放棄、いわゆるネグレクトにより体調が悪化した子供の入院受け入れを経験し、入院した子供は四百人を超え、うち十二人が死亡、二十一人に重い後遺症が残ったとのことであり、また平成十七年の状況で見ると、一歳未満が二七%、一歳から三歳未満が二一%など乳幼児の割合が高くなっているとの内容でありました。
     県内でも親が子供を虐待し警察に逮捕されるケースが相次いでおり、幸いにしてまだ死亡という最悪の結果には至ってはおりませんが虐待が決して珍しいものではなくなっている状況にあります。各家庭から寄せられる育児に関する相談に応じる中で虐待の芽を摘むことが大変に重要であり、また疑いの段階から児童相談所が積極的な関与をすることが大切であると思います。
     私は先般、アメリカ合衆国の視察に行きましたが、かの国でも児童虐待の問題は深刻で、身体的、性的虐待、ネグレクトはもちろん、八歳未満の子供が一人で放置をされている場合や買い物に行かされている場合なども緊急事態として法律で認められた者が子供を緊急保護できることや虐待者に対する罰則も日本より相当厳しく設けられており、さらに日本との最大の相違点は二十四時間のコールセンターがあり、また相談所、警察、NGO等が緊密な連携体制を築いている点でありました。我が国の場合、ほとんどの問題点を児童相談所だけで判断をし、ほかの機関との連携が少ないように思われます。
     そこで、県内の児童虐待の現状はどのようになっているのか、またそれに対し県はどのような対策を行っていくのか伺います。
     次に、沼津港の利用促進対策について伺います。
     私は静岡県のため、また東部地域の発展のために夢とロマンを持ってさまざまな振興に取り組んでいきたいと考えており、観光等で訪れる方々がまた行ってみたい、住んでみたいと思えるようなまちづくりをしていきたいと考えております。
     現在、東部地域には第二東名自動車道を初めとして伊豆縦貫自動車道など道路の整備は着々と進んでまいりましたが、今後は東部地域と伊豆地域を結びつけた地域振興を強力に進めていく必要があり、そのためには狩野川や沼津港を活用した観光や物流の拠点都市をつくる必要があると考えております。これは私の構想でありますが、狩野川を活用して沼津港から修善寺の間に幾つかの川の駅を設け、沼津港に来た観光客が狩野川をホバークラフトで上流に上り、途中で柿田川を見せて最終的には伊豆の温泉でくつろぎ、東部の観光を満喫するといった構想をぜひ実現をしたいと考えております。そこで、この構想のもととなる沼津港の利用促進対策についてお聞きをいたします。
     沼津港は、富士山ろくを中心に先端技術産業の工場や研究所、研修機関などの進出が相次ぎ、ファルマバレーの形成が進行している地域であり、古くからこの地域の物流や水産の拠点としてあるいは伊豆地域への海の玄関口として地域住民の生活や観光等、経済の発展に大きな役割を担っており、近年は多くの方々が訪れて沼津市の観光の中心ともなっております。
     平成十四年に策定をされました沼津港港湾振興ビジョンに基づいて、平成十六年九月に三百六十度眺望を楽しむことのできる展望施設を持った大型水門「びゅうお」が、平成十七年十二月には沼津港周辺に来訪する観光客の対策として立体駐車場が完成し、さらに展望デッキや市場で競りを見学できる通路を持つ水産複合施設の建設も今年度中に行われる予定であり、ビジョンに沿った港の新たな魅力あるにぎわいが着々と生まれてきております。
     ライトアップが始まった「びゅうお」への入場者は当初の想定をはるかに超えた年間十四万人を数えるほどであり、平成十六年十二月のスマトラ沖地震による甚大な津波被害の後は津波対策の施設として国内外のメディアや政府関係者などの視察者が急増し、世界各国の方々に知っていただくことができ頼もしい限りでもあります。このように沼津港は千本松原から沼津御用邸を結ぶ海岸軸である潮の音プロムナードの拠点としての整備が進んでおります。
     一方、本港の平成十七年の港湾取扱貨物量は約四十七万トンであり主として砂・砂利、化学薬品、水産品などが取り扱われ、県内の地方港湾では唯一輸出品目のある港でありますが、低迷する経済情勢が反映をし取扱貨物量は平成九年の五十八万トンをピークに伸び悩んでおります。沼津港には県東部の拠点港湾として港湾の重要な機能である物流機能のポテンシャルを発揮することにより、CO2削減などの環境対策や物流コストの削減を実現することも求められております。
     そこで、整備が進むにぎわい施設と物流施設を活用し沼津港を一層発展させていくために、港湾管理者である県としてどのような対策をお考えなのかお伺いをいたします。
     次に、企業局における工業用地造成事業の今後の方向性について伺います。
     経済のグローバル化の進展の中で我が国の製造業の海外移転は、ひところ産業の空洞化が叫ばれるほどでありました。しかしながら最近では技術水準の高い技術者、研究者を求めて我が国への立地が志向されており、また企業戦略としても技術を残すことが重要と考えられるようになってまいりました。特に北九州の自動車産業などはアジア諸国と地理的に近いこともあり活発な工場立地が注目されていることから、本県もこのような動きを的確にとらえ激化する地域間競争を勝ち抜き、ものづくりのメッカとしての地位を不動のものにしていく必要があると考えております。
     本県は、従来から輸送用機械を初めとする製造業の分野では西部地域の活躍が目立つものの、東部地域も首都圏に近接をしているという地理的な優位性もあり大手企業の研究機関が立地し、また県もファルマバレー構想を推進をしていることなどさらなる発展のポテンシャルのある地域であります。そうした中にあって、企業局では静岡がんセンターの北隣にファルマバレー長泉工業団地を造成し、また裾野市須山地区で約十九ヘクタールの新富士裾野工業団地の造成に着手したとの報道がありました。
     加えて沼津市では二〇〇七年ユニバーサル技能五輪国際大会が開催され、ものづくり県である本県の今後の発展に大いに寄与するとともにこの理念を引き継いだ大会跡地利用も大いに期待されております。企業局は従来から多くの工業団地づくりの実績を残しておりますが、このノウハウを今こそ本県のさらなる発展に生かすべきだと考えます。そのためには企業局が受け身の姿勢で市や町からの働きかけにこたえていくばかりでなく、今後はむしろ積極的に市や町を動かしていくことも必要であると考えます。
     そこで、このような製造業の国内回帰とも言える新たな動きの中で積極的な事業展開を図るべきと考えますが、企業局における工業用地造成事業の今後の方向性について伺います。
     次に、我慢する力の育成について教育長に伺います。
     本年六月議会の我が党の田島県議の質問に対し、新教育長の抱負として「これからの社会を生きていく上で大切な力として、子供たちに我慢する力をつけたい」との答弁がありました。
     私は以前から今の子供たちを取り巻く社会環境や家庭の状況を考えたとき、もっと厳しく育てなければ一人前の社会人に成長していかないのではないかと心配をしておりました。教育長から「我慢する力をつける」と聞き、しっかりと取り組んでいただきたいと期待をしているところであります。
     昔の子供は、どこの子供も同様に我慢したくなくても我慢をしなければ生きていけなかったし、親の方も自分たちだけでなく子供にも我慢をさせるのが当たり前の時代でありました。私が生まれたのは昨年公開され大ヒットした映画「オールウェイズ三丁目の夕日」の時代で東京タワーがつくられた昭和三十三年であります。同級生と連れ立って見に行きましたが、大変懐かしく昔話に花が咲いたわけであります。
     小学生までの我が家は十四人の家族が一軒の家に住んでおり、もちろんカラーテレビもなく白黒テレビが一台あるだけでした。テレビのチャンネル権は父親にあり、父がいない場合には次はだれと順番が決まっており、これを見たいあれを見たいと言っても見れるわけもありません。そのような環境で育つうちに子供として自然に父親の権限を認識したものであります。また食事にしても出されたものを文句言わずに食べるしかありませんでしたし、どこの親もみんな忙しい時代でしたので家にいると手伝いをさせられる。今と違いテレビゲームや家の中の遊びがないために小学生までは近所の餓鬼大将の後をついていき、中学校、高校に行けば部活動で先輩に鍛えられ、自分の意思に関係なく我慢するしかないという環境の中で育ってまいりました。
     私は、進んで我慢することは本当の我慢ではなく、嫌でも我慢しなければならないということが本当の我慢であると考えております。今の時代にそうした状況をつくることは大変に難しいことですが、そうしなければ本当の我慢する力は身につかないのではないかと思います。
     そこで伺います。教育長は我慢する力をどのようなものと考えているのか、また子供に我慢する力を育成するために具体的にどのような取り組みを考えているのかあわせてお伺いをいたします。
     最後に、地域警察官の職務執行力の強化について警察本部長にお伺いをいたします。
     私は、先ほど質問でも申し上げたとおり北米を視察してまいりました。十日間の視察日程は団長、団員の皆様に大変に恵まれまして非常に充実したものであり、とりわけニューヨーク市警の視察は大変な勉強になったわけであります。
     ニューヨーク市というのは犯罪の多い都市として世界的に有名でありましたが、十年ほど前から全米百万人以上の十大都市で一番犯罪が少ない都市に生まれ変わりました。市警察の説明によれば犯罪減少の要因は三つあり、まず割れ窓理論で、小さな犯罪を見逃していると犯罪が多発化、また凶悪化するということで小さな芽のうちに検挙するということであります。次にコムスタットで、これは各警察署は犯罪発生状況を分析しそれに応じた抑止対策を講じているということであります。そして最後は警察官の増員であったということであります。
     ニューヨーク市の警察官は、犯罪を減少させるため隣の家の牛乳箱に座ったなどというささいなことでも注意したり逮捕するという厳しさで職務執行し、当初は市民からの反感を買ったりしたそうでありますが、その職務に対する姿勢により頼りになる警察というイメージが徐々に市民に定着をし、さらに五年前の九・一一テロの際に献身的な救助活動を行ったことで市民の信頼をかち得たそうであります。
     ところで本県の情勢を見ますと犯罪の発生件数は警察と地域住民の犯罪抑止活動の成果によりここ三年連続して減少傾向にはありますが、治安に関する印象といたしましては本県だけでなく全国的にも公然と警察官に凶器を持って抵抗したり追跡を受けるとパトカーに自分の車をぶつけて逃走を図るなど、凶悪な犯人がふえたような気がして治安がよくなったという感じがしないわけであります。
     また、警察官がこうした凶悪犯人にけん銃を撃つケースが多くなっておりますが、私の周りではけん銃を撃った警察官を批判をする人は少なく、この背景には悪いやつらを圧倒し、些細なことでもびしびしと徹底的に取り締まる力強い警察であってほしいという県民の期待があるからだと思います。さらに、強い警察ということでいわゆる二〇〇七年問題を考えると、最大の問題点はこれまで国のため、社会のため、世のため人のために自分を犠牲にして働いたその世代の方々が退職をしてしまい、その後継者となる若い世代には自分のことしか考えない人がふえているというところにあると考えております。
     今後の警察官の採用につきましては、私は学力試験だけでなく抵抗する犯人を圧倒してしまう体力と気力を持った、できれば学生時代に武道やスポーツで鍛え先輩後輩の礼儀をわきまえた文武両道の人物が警察官にふさわしいというのが持論であります。いずれにしましても、県民は警察に犯罪の抑止だけでなく身近で発生する犯罪を素早く検挙する力強い活動を期待しております。とりわけ地域の治安の拠点である交番や事件現場に真っ先に駆けつけてくれるパトカーなど身近で活動している地域警察官に期待をし頼りにしているわけであります。
     県民の期待と信頼にこたえ治安の改善を実感できるよう地域警察官の職務執行力を一層強化していただきたいと考えますが、これにつきまして警察本部長はどのように取り組んでいくお考えなのかお伺いいたしまして、私の質問を終了とさせていただきます。
     御清聴ありがとうございました。(拍手)
    ○議長(芦川清司君) 石川知事。
           (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事(石川嘉延君) 杉山議員にお答えをいたします。
     初めに、地方税一元化構想についてであります。
     昨年一月に発表いたしました地方税一元化構想は、県税と市町村税の賦課徴収に係る事務全般を共同で一元的に処理しようとするものでありましたが、昨年三月から一年余りかけて静岡市、沼津市を含む県内の六つの市や町の税務担当課長にもメンバーに入っていただいた検討会で、論点の整理、組織体制や事務内容についてイメージをつくってもらいました。このイメージ作成を受けてことしの七月七日以降、県内のすべての市や町の担当部課長やさらに実務者にもお集まりいただいて、このイメージを実現に移すための具体的な検討を進めております。
     このような検討の過程で法制面での課題は整理され、構想については法制度的には可能であるという結論が現段階では得られましたが、実施に当たっての実務上のいろいろな問題点も指摘されました。その主なるものといいましょうか、主要なものは四つありますが、まず第一は、市や町でそれぞれ独自に行われている窓口サービスを質を低下させることなくどのように整備し処理するかということが第一。二番目は、その場合の窓口職員の身分をどうするのかということ。三番目は、徴税事務の業務が市や町にとって根幹的な事務であるため、そのための電算システムが古くから独自に整備されているだけにその統一をいかに進めるか。また四番目で、そのための費用と時間をどのように見積もるかというようなことが出てまいりました。
     特に、徴税関係の仕事はほとんど電算システムで処理をされているわけでありますが、この電算システムについては徴税業務だけじゃなくて、ほかのサービス業務なり庁内業務を全部一括した市町村ごとの独自のシステムになっているわけです。これを徴税の部分だけうまく取り出して全県一本のものにしようと思うとですね、素人が考えるほど簡単ではないわけでありまして、その証拠の一つとして平成の大合併、昨年までのですね、大合併の過程でも、この電算業務の統一化というのが非常にお金と手間を要するものでございまして、これがうまくいくかいかないかがむしろ合併の成否を決めかねないぐらいの大きなウエートを持っておりました。
     したがって、この電算システムというのが徴税の一元化に当たっても大変大きな障害というか難関になっておりまして、これを統一してシステムにするためには多額の経費がかかりますけれども、それをやって事務の合理化、それから収納率がアップする、そういうメリットですね、このメリットでもってこの膨大にかかるコストをどれくらいの期間で償却できるかと、こういうこととの対比で一元化するかどうかというものの結論が決まりかねないような形勢にあります。
     平成の大合併が終わった後でもまだ完全に電算システムが一本化されていないようなところとか、組み立ててしまった直後のところがまたもう一遍やり直しということになると、非常にそこでいろんなコストの重複とかむだが多いとかいろんな議論も出てまいりまして、今それらが問題点として整理をされこれを今後どう乗り越えるか、これをさらに検討していこうというそういう段階に入ってまいりました。
     そういう中で少なくとも県、市町を通じて一番難点であります滞納整理、これを対象にまず一元化する。ここはかなりの程度合意が得られそうな情勢になってまいりましたから、ここのところを先頭に突破口にして平成二十年度からその業務処理を共同化するという方向で行けないかということで、今議論が煮詰まりつつある段階であります。今後、その打ち合わせ、協議を積極的に進めて、県民にとってみて本当に行政サービスの向上とそれからコストの縮減、そして県や市や町にとってみると収納率のアップ、こういうメリットが十二分に生かせるような仕組み構築に向けて一層努力をしていきたいと、こう考えております。
     次に、児童虐待への対応についてであります。
     この児童虐待はきちんとした統計をとり出したのが今からちょうど十年前、平成八年度からであります。昨年は六百一件でありまして、この十年間に四・三倍に件数が伸びております。そしてことしに入って第一・四半期、四、五、六の三カ月間で二百二十三件でありますから、このままの勢いでいくと年間九百件くらいになるということで、物すごい勢いでやはりこの不幸な事例がふえているということでございます。またこれまでの相談事例とか問題事例の中で死亡事例は平成十二年度以降十三件起きているわけでありまして、深刻な状態になっているというふうに認識をしております。
     このため県では、児童相談所を中心に市や町、警察及び学校などの関係機関と連携し虐待の予防、早期発見、保護等に取り組んでおります。市町における新生児訪問、一歳六カ月健診時の育児相談のほかに、去年四月から設置をいたしましたこども家庭相談センター総合支援部では虐待リスクが高いと言われている発達障害児への支援も行っておりまして、このような取り組みが虐待の予防や早期発見につながっていくものと考えております。
     また、休日・夜間の通告に対応するために、児童相談所の職員が緊急携帯電話を所持するなど、曲がりなりにも二十四時間体制で一時保護の措置がおくれることのないように対応しておりますけれども、これは直接とにかく問題事象を発見したり気がついたりした人が二十四時間三百六十五日、いつ何どきでも通報できるというそういう体制ではありませんので、今後そのような相談窓口体制、これの構築も急がなければいけないと関係部局に指示を出したところであります。
     しかし、この児童虐待が発生する背景を考えますと、これは対処療法では相済まない、それでは解決しないわけであります。
     そこで、児童相談所等の関係機関の専門性の向上に努めるほか虐待防止ネットワークの機能を充実させて、県民や関係機関に虐待に係る通告制度の一層の徹底を図る必要がありますし、さらに拡大して広く県民一般のこういう問題についての啓発と、それからこういう現象が起こらないような親のあり方とか、我々の若い世代への啓発、これも重要な課題だと思いますので子育て支援の拡充の中でもそのような視点もさらに盛り込んでやってまいりたいと考えております。
     その他の御質問につきましては関係部局長、教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長(芦川清司君) 古川土木部長。
           (土木部長 古川博一君登壇)
    ○土木部長(古川博一君) 沼津港の利用促進対策についてお答えいたします。
     沼津港については議員御指摘のとおり多彩な産業が集積する県東部地域の物流、観光交流、防災の重要な拠点として整備してまいりましたが、県東部地域がより活力のある地域となるためには港の一層の発展が重要であります。
     このため、港湾振興ビジョンに基づき臨港道路や水産複合施設などの整備を進めているところでありますが、さらに災害時の緊急輸送に対応できる施設や新型防波堤の実証実験を踏まえた波よけ堤の延長など新たな課題にも取り組んでまいります。また港湾の充実と利用促進を図り港を中心とした地域の活性化や振興を促進するため、港湾関係者、地元経済団体、観光団体、行政関係者など官民一体となった組織である沼津港振興会を本年度中に設立すべく準備が進められているところであります。
     今後、県といたしましては振興会が主体となって行う新たな荷主の開拓、西伊豆への海上観光ルートの充実などについて支援し沼津港の利用促進を図ってまいります。
    ○議長(芦川清司君) 山田企業局長。
           (企業局長 山田 寧君登壇)
    ○企業局長(山田 寧君) 企業局における工業用地造成事業の今後の方向性についてお答えをいたします。
     企業局は地域振興整備事業に着手して以来、二十九団地、約四百六十ヘクタールの工業用地の造成を通じて本県の力強い産業基盤づくりに貢献をしてまいりました。また最近では昨年度に造成を完了しましたファルマバレー長泉工業団地に続き、本年度から湖西市西笠子地区及び裾野市須山地区で新規の工業用地の造成に取り組んでいるほか、沼津市も含め幾つかの市や町と開発に関する協議を行っております。
     企業局といたしましては、地方公営企業の経営原則である経済性の発揮と公共性の確保を踏まえつつ、本県の高い市場性と技術力、立地優位性等の魅力をさらに高め激化する地域間競争を勝ち抜くための基盤となる工業用地を造成することは大変重要であると認識をしております。このため、今後の工業用地造成事業につきましては、計画段階から事業完了に至るまでの地元の市や町との役割分担のほか進出企業との調整等を内容とする事業採択指針を策定するとともに、市や町とこれまで以上に密接な連携を図りながら総合計画が掲げる産業活力日本一の達成を目指して事業を実施してまいりたいと考えております。
    ○議長(芦川清司君) 遠藤教育長。
           (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長(遠藤亮平君) 我慢する力の育成についてお答えいたします。
     私は、我慢する力とは思うようにならないことやできないことがあってもそれに耐え乗り越えようとする力であり、その努力が子供たちを成長させ将来社会の中でたくましく生きていくことにつながるものと考えております。このような力は学校における毎日の集団生活の中で意図的に育成することが大切でありますが、家庭、地域など生活のあらゆる場面においても子供自身が周囲の人々や物事にかかわり合いさまざまな体験を積み重ねることによって培われるものであります。
     本年度県内百カ所以上で取り組んでいる通学合宿は、異なる年齢集団での共同生活の中で規則正しい生活習慣を初め社会性やモラルなど議員御指摘の我慢する力を育てるよい機会であると考えております。今後とも各種の体験活動や文化活動、スポーツ活動等を通じた切磋琢磨の機会の一層の充実を図るとともに、家庭における教育への支援などにより子供たちに我慢する力を育成してまいりたいと考えております。
    ○議長(芦川清司君) 五十嵐警察本部長。
           (警察本部長 五十嵐邦雄君登壇)
    ○警察本部長(五十嵐邦雄君) 地域警察官の職務執行力の強化についてお答えをいたします。
     近年、警察官に対する公務執行妨害事案が増加するなどその職務執行を取り巻く環境が悪化している中で、ここ数年の警察官採用数の増加に伴い地域部門における経験の少ない若手警察官の比率が加速度的に高まるなど人的構成も変化しつつあり、精強な第一線警察の構築、殊に地域警察部門の職務執行力の強化が喫緊の課題となっております。そのため、警察官の採用に当たっては、柔・剣道有段者を対象とした武道採用の実施や腕立て伏せ、反復横跳びなど体力検査の一次試験への導入など、職務執行に必要な気力、体力を備えた、議員御指摘のような文武両道に通じた人物の採用に心がけているところであります。
     そうした中で、増加する若手警察官の現場執行力強化策といたしまして、職責を自覚させるための教養を初め実践現場を想定した疑似体験型の教養に主眼を置いた職務質問技能伝承塾や職務質問競技会などによる技能の向上、あるいは自信に裏打ちされた職務執行を行わせるため苦手意識の強い交通事故処理、司法書類の作成等、日常的に取り扱う機会が多い事案を想定した実務能力向上実践塾等を積極的に実施しております。このほか、現場で積極果敢な職務執行を行うためには気力、体力を初め術科技能の充実が前提でありますので、実践的な逮捕術訓練や現場に即したけん銃射撃訓練など術科訓練の強化を図り、精強な執行力を備えた地域警察の構築に努めているところであります。
     また、空き交番の解消を図りながら指揮、指導体制を確立するため、経験豊富なベテラン警部補を指導係長として十八の警察署に三十六人を配置し、日常的な業務管理指導のほか事件事故発生時の現場指揮と若手警察官の指導育成に当たらせる一方、昨年の夏以降、若くやる気のある各級昇任者百五十八人を第一線警察署の交番に配置し職務執行力の強化に努めております。
     大量退職、大量採用がここしばらく続きますが、若手警察官は知識経験に乏しい反面、若さと行動力があり確固たる意志を有しているという特性もございますので、次代を担う警察官としての成長を期待し組織的な育成を図り、より一層精強な第一線警察を構築してまいりたいと考えております。

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