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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成24年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 澄美 議員

質問分類

一般質問

質問日:

12/18/2012

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 がん患者の就労支援について
2 いのちを支える“ふじのくに”自殺総合対策行動計画(仮称)について
3 緑茶の消費拡大のための戦略について
4 市町における公共部門での県産材利用の促進について
5 富士山周辺の観光客の動線確保について


○副議長(大石哲司君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百三十四号から第百五十六号まで及び第百五十八号を一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、六番 鈴木澄美君。
       (六番 鈴木澄美君登壇 拍手)
○六番(鈴木澄美君) おはようございます。自民改革会議の所属議員として通告に従い、知事及び関係部局長に当面する県政諸課題について伺います。
 最初に、がん患者の就労支援について伺います。
 我が国では、生涯のうちにがんにかかる可能性は男性の二人に一人、女性の三人に一人と推計されており、本県においてはがん患者数は推計で約四万四千人、新たにがんと診断される患者数は年間約二万一千人で、がんは極めて身近な疾病であります。このような中で私の知り合いにも子育て中の若くて働き盛りの人が、ある日がんと診断され治療のためにやむを得ず仕事をやめることになった人がいます。現在は化学療法にしても入院ではなく外来治療がふえてきたことにより、治療のために頻繁に通院しなければなりません。このため仕事を休むたびに有給休暇はあっという間になくなってしまい、あとは通院するごとに欠勤扱いとなり、治療と仕事の両立は現実的には大変難しい状況になっています。一方、化学療法などの副作用や術後の後遺症に悩みながらも何とか頑張って仕事を続けていても、それでも仕事量は病気になる前と同じだけあり、結局このまま働き続けるのは無理と考えるようになり退職せざるを得なくなったという声も聞きます。
 また、会社に行けないのは治療を続けている間だけで治療が終われば元に近い状態に戻れるので復職のための支援が欲しかったという声や、勤めていた会社にがん患者を支援する就業規則がなく、治療を続けながら仕事をしている従業員に対してどのように対応したらよいのか、どれだけの仕事を与えたらよいのか、会社もよくわからないような状態だったという声も聞きます。結局仕事をやめることにより本人や家族が経済的に困窮状態に追い込まれ、これからどのように生活し家族を支えていけばよいのかと、現在はもちろん将来にわたって、がん患者とその家族は大きな不安や悩みを抱え込むことになります。
 このような中、本年六月に閣議決定された国のがん対策推進基本計画では、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策の実施を基本方針とし、働く世代へのがん対策の充実を重点的に取り組むべき課題の一つに位置づけ、新たにがん患者の就労を含めた社会的な問題に取り組み、がんになっても安心して働き暮らせる社会の構築を目指していくとしています。
 これに基づき、厚生労働省は働く世代への支援の初の具体策として、がん患者の就労支援を来年度予算の概算要求に約五億円を盛り込みました。新聞報道によれば、がん患者の治療と職業・生活の両立を支援する事業で、就労問題に詳しい専門家を雇用する病院に対して補助金を出すものであります。対象は全国のがん診療拠点病院で、労働関係の法律などに詳しい社会保険労務士や心の悩みにも対応できる産業カウンセラーらと契約して、定期的に院内で相談会を開くことなどを想定しています。
 現在、拠点病院の相談支援センターには、職場の仲間にどこまで病気のことを話すべきなのかといった質問も寄せられていますが、就労問題の専門家がおらず十分な対応ができていないため、今回の事業はこうした問題の解消につながるのではと期待されています。このように、がん患者や経験者が職場で就労を継続することや新たに就労するためには、がんという病気を事業者やがん患者本人が正しく理解することが大変重要であります。
 静岡県の次期がん対策推進計画は、平成二十五年度から五カ年を計画期間とし本年度計画の見直しが図られていると聞いておりますが、がん患者の就労支援についてどのように考えていくのか伺います。
 二点目は、いのちを支える“ふじのくに”自殺総合対策行動計画――仮称――について伺います。
 本年九月議会定例会の他会派の代表質問で取り上げられた自殺対策について、その答弁を踏まえて質問いたします。
 本県の自殺者数の状況は、全国的な傾向と同様に平成十年に急増し以来七百人台から八百人台で推移しています。年代別には五十歳代が最も多く六十歳代と四十歳代がそれに続いています。性別では男性が多く女性の約二倍となっています。死因順位では四十歳代で一位、五十歳代では三位と三大疾患に匹敵します。
 自殺企図者も精神状態調査では四六%に鬱病の気分障害が見られ、自殺と鬱病の関連が深くWHOも鬱病の早期治療が自殺防止に役立つと指摘しています。さらに鬱病にかかった人が医療機関などの適切な治療を受けていないことも判明しています。鬱病の九〇%以上の人から睡眠障害の訴えがあり、この兆候を鬱病のサインとして捉え、その対応策として専門医――薬剤師、かかりつけ医、精神科医などの連携による不眠に着目した鬱病の早期発見と治療につなげる紹介システムが富士モデルとして実施されています。しかし鬱病は自殺原因の一つではありますが、そのほかにも原因は多く存在します。これらへの対処を網羅することでの総合的な自殺対策が必要となります。
 県では、いのちを支える“ふじのくに”自殺総合対策行動計画を策定中とのことですが、今後の自殺対策の基本的な方向性と具体的な取り組みについて、法律、労働、医療、教育などさまざまな分野の関係者で構成する自殺対策連絡協議会において、平成二十四年二月から平成二十五年一月まで計四回の会議を開くと聞いています。
 実効性の高い計画とするためには、県がこれまで実施してきた鬱病の早期発見・早期治療を目指す富士モデル事業の検証に加え、九月議会の代表質問で答弁のあったゲートキーパー養成、自殺の実態調査・分析、若年層対策としての雇用の確保、教育委員会と連携したいじめ問題への対応を盛り込むとしています。
 中でも、自殺者が急増し始めてから十四年も経過し、特に対策のもととなる、しかしこれまで十分にされてこなかった自殺の実態把握は、ぜひとも行動計画に盛り込むべきと考えますが、今後はどう進めていくのか、県の所見を伺います。
 さらに、自殺に至るおそれのある悩みを抱えた方から、電話で相談を受けるいのちの電話についてであります。
 いのちの電話は、県の実施するこころの電話の平日夜間や休日などの時間外への対応について県から委託されています。いのちの電話相談員は専門性を持ったボランティアで、県はこの事業の重要性を認識し、平成二十三年度は相談員の研修事業に三百三十三万一千円の助成を行っています。いのちの電話の相談員は平日の夜間や休日も相談窓口を担っていますが、しかし基本的にボランティアであり報酬はなく交通費も自己負担、平日の昼間八時三十分から十七時までを担うこころの電話のような行政が対応する窓口ではないので、相談員に負担がかかることも懸念されます。何よりも自殺者を減らすための最前線の一つとして安定した相談体制を構築すべきではないでしょうか。
 自殺が午前零時から二時の間に最も多いとの統計もあることから、空白時間の生じる現在の相談体制の運営について県の所見を伺います。
 三点目は、緑茶の消費拡大のための戦略について伺います。
 このところ、茶の消費低迷に原発事故の影響が拍車をかけたことはまことに残念です。風評被害による国内外への影響は、はかり知れないものでありました。二年連続ではありましたが今後は収束していくことを期待し、改めて従来進めてきた茶の消費拡大を課題として考えていかねばなりません。
 静岡県における緑茶の消費拡大に向けた広報活動の現状を振り返りますと、最近では去る十一月十七日、十八日に掛川市で開催された第六十六回全国お茶まつりでは、さまざまな消費拡大イベントが開催されました。訪れた人たちにとっては、お茶への理解と期待が深まったと思います。静岡空港の呈茶コーナー、有楽町のシズオカ・マウントフジ・グリーンティープラザなどでは、日本茶インストラクターによる呈茶サービスを実施し急須で入れた緑茶の消費拡大をPRしています。県立大学の新成人学生を対象としたお茶講座や、秋葉原では本県のお茶アイドルグループCHA88を人気アイドルグループAKB48の本拠地に送り込み、お茶と音楽を楽しむイベントを通じて若者にリーフ茶の魅力を伝えました。小学生向けには、お茶の入れ方講座やお茶の知識や技能を争うT―1グランプリの実施や「こどもお茶小辞典」などを作成して啓発に努めています。
 また、テレビ番組に取り上げられた茶の効能を科学的に研究評価し、それが健康長寿に結びつく因果関係を伝えることで茶の消費が伸びることは正統派の戦略として大いに期待できます。
 民間では簡単にお茶が飲める製品開発も進んでいます。お茶を簡単に飲むための補助具には、ペットボトル用茶こし器や紙コップを応用した茶こし器などが開発されています。またティーバッグのほかにドリップ式のお茶など特別な道具を使わず簡単にお茶が飲めるものもあります。
 お茶は専門店で購入するだけではなく、専門店以外でもお茶を味わう機会がふえました。県内では茶専門店を中心に給茶スポットが二百カ所ほどあります。専門店は敷居が高いと感じる人も緑茶カフェでおしゃれに楽しむこともできます。菓子屋ではお茶とお菓子がセットで楽しめるところも出てきました。
 産業委員会の県外視察で訪れた鹿児島県の事例では、AKB48のメンバーで鹿児島県出身者にPRを依頼、またそのほかの出身俳優等にお茶大使を依頼し、その大使に手軽に飲めるお茶製品相当数を無償提供してお茶大使の周辺関係者に配布していただき、鹿児島茶ファンを拡大する試みなどを実施し消費拡大に努めています。国内外で一番人気のあるアイドル活用と試飲まで有名人にお願いすることで注目度が上がっている話を聞きました。
 海外における日本茶ブームの現状では、海外への日本茶の輸出量は確実に増加しているようで、その消費者は若い人、富裕層が多いと聞きます。日本茶のおいしさや健康によいことなど、また日本文化を味わうなど、その評価が上がっているようで、この現状を日本の消費者にどう反映するかも課題と言えます。
 さまざまな事例を紹介しましたが、茶の文化の基本は絶対に守ることを忘れてはいけないと思います。茶の消費を伸ばすためにさまざまな工夫が登場することは好ましいが、本来ある日本の茶の文化をしっかり守っていくことが重要であり、二本立てで茶の消費を伸ばすことが必要と考えます。緑茶の消費低迷が言われる中で、県ではお茶の消費拡大を図るためにさまざまな取り組みを行っていますが、それらの効果や成果を検証して新たな展開を考えることが重要と考えます。特に将来のお茶の消費を支えてもらう若者の嗜好を考えると、ペットボトルはライフスタイルとして定着していますが、一方急須は敬遠されており、簡単でおいしくおしゃれにお茶を飲んでもらう提案が必要と考えます。
 今後の緑茶の消費拡大の戦略について、県の所見を伺います。
 四点目は、市町における公共部門での県産材利用の促進について伺います。
 第三十六回全国育樹祭が、去る十一月十日に天城会場にて、十一日にエコパアリーナにて、皇太子殿下の御臨席のもと盛大にとり行われました。今大会のスローガンは、「木を植えて 育てて活かす 緑の力」でした。植林後五十年以上経過し伐期を迎えた森林の有効活用を強調したもので、十二月十日の知事の記者会見では、「緑の力を育てて活かす」とした今回の全国育樹祭の理念が森林活性化の転機になる、県産材を活用する取り組みにより森林関係者に明るい兆しが出ていると指摘したと新聞報道されています。私も、県産材利用が大変低迷している中にあって、この育樹祭により利用拡大に好転する転機になることを心から期待するものであります。
 静岡県は、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律――平成二十二年十月一日施行――に基づきふじのくに公共建築物等木使い推進プランを策定し、率先して公共部門での県産材の利用を推進しています。この計画では、公共部門における県産材の利用目標として平成二十三年度から平成二十七年度の五年間で八万五千立方メートルを設定し、県産材の利用推進する対象は公共施設整備と公共土木工事としています。昨年度は県営住宅や学校、福祉施設などのほか新東名高速道路の遮音壁など新しい利用も進めた結果、単年度目標である一万七千立方メートルの目標をほぼ達成することを本年六月議会による一般質問で明らかにしています。また今後の施策の進め方では県有施設での利用や市町への働きかけの強化により、公共部門での県産材の活用を積極的に進め民間部門での利用を支援するとしています。
 さて、ここで市町への働きかけの強化についてお尋ねします。
 先に触れましたふじのくに公共建築物等木使い推進プランの中で市町との連携については、県産材の積極的な利用は市町も積極的な役割を果たすことが求められる、市町は公共建築物木材利用促進法第九条により市町の区域内の公共建築物等における県産材の利用の促進に関する方針を作成することができるので県はその作成を支援する、また地域の特性に合った県産材利用の提案・普及及び市町等への取り組み要請等をするため農林事務所単位等で農林事務所、土木事務所等の県出先機関と市町等で組織する地域連絡会を設置するとなっています。
 市町の公共部門での県産材利用を推進するため、県では市町に対し法に基づく市町方針――木材利用方針策定を働きかけていますが、これまでのところ策定は七市町にとどまっています。七月時点では静岡、浜松、伊豆の三市だけでしたので、この数字は全国平均が二九%に対し県は九%と低迷しています。
 また、公共建築物等木使い推進プランの中では、副知事を会長として、経済産業部長を副会長、その他の全部長を委員とする木材需要拡大庁内会議を設置し、さきに触れた各市町が参加する地域連絡会から活動状況の報告を受け進行管理していくとあります。公共建築物は県産材利用のモデルであり、県民がこれを見たり触れることによりみずからの導入に誘導するお手本として身近な公共施設での普及は欠かせません。
 県は、市町の県産材の利用促進に向け、市町の木材利用方針策定の取り組みが進まない原因をどのように分析し支援していくのかを伺います。
 最後に、富士山周辺の観光客の動線確保について伺います。
 去る九月二十四日、伊豆半島が日本ジオパークに認定されました。また来年六月には富士山の世界文化遺産登録を控えています。これらを契機として、伊豆半島、富士山周辺地域では今後さらに交流人口の拡大が期待されます。伊豆半島には変化に富んださまざまな表情を持つジオポイントなどが、富士山周辺には文化的・歴史的価値の高い世界文化遺産を目指す富士山の構成資産などが点在しています。そのような脚光を浴びる二地域の間に存在する伊豆半島から富士山に至る沼津市、裾野市と富士市にまたがる愛鷹連峰は、地質学的には富士山が誕生した一万年よりもずっと古く、四十万年前に箱根火山と同時期に形成された越前岳を最高峰に九つの山が連なる日本二百名山の一つです。植物は、アシタカツツジに代表されるように特有な種が生息し、環境省の特定植物群落調査にも選定されたブナの原生林も存在します。ハコネサンショウウオも生息する自然豊かな地域です。
 この自然を求め、富士市に唯一存在する須津川渓谷から大棚の滝を経て愛鷹連峰を縦走し、富士山を正面に仰ぐ西側の国道四百六十九号沿いの裾野市十里木に至るコースは、ハイキングや登山に訪れる観光客に人気のスポットです。先日訪問した有楽町東京観光案内所では、東京在住の方からその魅力を聞かされるほど期待のかかる地域です。同時にその魅力を発信するための課題も指摘されました。地元の行政やまちづくり団体が地域を挙げて観光整備に取り組んでおり、富士山や伊豆半島だけでなく、その重要な地域を結ぶ動線の中に忘れてはならない愛鷹連峰の存在があります。
 さらに、今春開通した新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアも愛鷹山麓の南側に設置され、その景観のよさは多くの訪問者数が物語っています。愛鷹連峰西側からは鳥瞰図のような駿河湾と富士山が眺望できるあまり知られていない絶景です。須津川渓谷の上空五十メートルにかかる長さ百十メートルのアーチ橋の渓谷橋は平成十四年ごろ完成したもので、最新技術と言われた新東名富士川橋と類似の工法で新東名以前につくられました。富士山と愛鷹山をバックに目前を新幹線が通過する景色は既に三十年以上前から日本を代表するもので、四季を通じて多くの写真家たちが愛鷹山の麓を訪れます。初夢に見ると縁起のよいと言われている「一富士二鷹三茄子」の二鷹は、愛鷹山を指すという説もあり沼津に由来があるとも聞きました。
 多彩で豊富な地域資源を観光客に満喫してもらうためには、伊豆半島、富士山周辺でそれぞれの地域内を周遊するルートの整備が重要でありますが、さらに両地域間を連絡する動線の確保が図られれば、伊豆半島と富士山周辺との相互の観光交流が促進すると考えます。地域内を周遊する役目を担うのが伊豆半島では海岸沿いの国道百三十五号、国道百三十六号、国道四百十四号及び現在整備中の伊豆縦貫自動車道であり、富士山周辺では国道百三十八号、国道百三十九号や国道四百六十九号であると考えます。しかしながら国道四百六十九号については、まだまだ狭隘な箇所や見通しの悪い箇所が残っています。愛鷹連峰西側の富士市勢子辻地区では、こどもの国から富士宮方面に道路が一直線に下っており大型車の交通が激しいため重大な交通事故発生が懸念されるところでもあります。この区間についてはL回するバイパスの土地買収も終了しており早期工事着手が望まれます。
 また、伊豆と富士山両地域間を連絡する役目を担うのが、現在整備中の東駿河湾環状道路であると考えますが、沼津岡宮インターチェンジから西側の区間についてはいまだ事業化されていません。
 そこで、国道四百六十九号の整備について県の考え方を伺います。あわせて東駿河湾環状道路の西側区間の整備見通しについて県の考え方を伺います。
 以上、五項目につきまして所見をお伺いし私の質問を終わります。(拍手)
○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木澄美議員にお答え申し上げます。
 初めに、がん患者の就労支援についてであります。
 静岡がんセンターが平成十五年に実施した調査によりますと、がんと診断された勤労者のうち何と三〇・五%の方が治療に専念するために依願退職をされています。そして四・二%の方が解雇されたという報告が出ております。こうした方々は、仕事を失うことによりまして治療費の支出に加えて収入源をも失うことになり、厳しい経済状況に追い込まれているのが実態でございます。議員御指摘のとおり、がん患者にとりまして就労と治療の両立は切実な問題でございます。私は、医療が進歩いたしましてがんという病気は治療ができる病気であること、それゆえに社会復帰が可能になってきたものだと認識しております。がんになっても働くことを諦めず、必要な休暇が取得でき元気になれば職場復帰することができるような社会にしていかなければならないと考えます。
 静岡がんセンターではよろず相談というのがございます。これは日本で最初の試みで、最初はいろいろとこうしたものについての懸念も表明されたのではございますが、十年たちましてことし朝日がん大賞に輝きました。全国に先駆けたがんよろず相談、相談支援センターのことですが、この十年の活動が評価されたものでございます。このよろず相談におきまして、これもまた全国に先駆けまして昨年四月から就労支援を実施するとともに、沼津法人会に御協力を呼びかけましてがん患者の就労希望情報を会員企業へと提供しております。患者と企業とのマッチングによる職場復帰への心強い支援が開始されたところでございます。
 また、がん患者が御家庭や社会へスムーズに復帰できるように、全国のがんセンターとしては初めてがんのリハビリテーションにも積極的に取り組んでいます。今後はこのような取り組みを県内のがん拠点病院を中心に広めてまいります。拠点病院というのは、この県立の静岡がんセンターを含む二十二ございます。
 県といたしましても、現在見直しを行っておりますがん対策推進計画にがん患者の就労支援を主要な柱の一つとして新たに位置づけて、がんになっても安心して働くことができる社会の構築に向けて取り組んでまいります。
 あわせて、社会全体ががんという病気を正しく理解してがん患者を温かい気持ちで応援していく機運を醸成していくよう、鈴木議員初め県民全体の御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 次に、緑茶の消費拡大のための戦略についてであります。
 嗜好が多様化してまいりました。そして若者にお茶を消費拡大するためには、県では「望」、「まちこ」などブランド茶をつくり上げることが大事だと。目下のところ九種類の新しいブランド茶をしずおか食セレクションとして認定いたしました。またふじのくに山のお茶百選として味、色、香りに特色のある銘茶を選定するなど、商品開発や販路開拓を支援しているところでございます。
 また、若者に人気のある刑事ドラマ「踊る大捜査線」――鈴木議員もうなずいておられますので見てられると存じますけれども――この劇場版が公開放映されまして主人公が高級茶の代表として静岡産のリーフ茶を紹介する場面がございます。これはこちらがお願いしたわけではありません。本県出身のプロデューサーが郷土愛をその映画において表現されたということで大変我々は感謝をいたしまして、この本県出身のプロデューサーや主演俳優に、県茶業関係団体がCHA88とともに静岡茶を贈呈したところでございます。今後もあらゆる機会を捉えて静岡茶の魅力を伝えてまいりたいと存じます。
 さらに、先ごろ沼津で花・緑タウンフェアを開催いたしました。そこでは画廊を会場にいたしまして静岡の緑茶とお花、クラシック音楽を組み合わせた花カフェを実施いたしました。おしゃれな楽しみ方も今考案しつつ進めているところでございます。
 これらに加えまして、先月ふじのくに交流会を東京で開催いたしましたが、この交流会におきまして各界の著名人等に有楽町のシズオカ・マウントフジ・グリーンティープラザの招待券をお分けいたしました。なかなかおしゃれな空間になっております。その空間で急須に入れられた静岡茶とお菓子を首都圏の皆様に直接味わっていただくとともに、その利用促進にも努めているところでございます。
 さらに、お茶の主要な購入先である大手量販店に対しましては、茶業関係者と一体となって若い世代を対象にした静岡茶のPRイベントの企画を売り込むなど、新しい販路の開拓にも取り組んでまいります。
 来年第五回世界お茶まつりが開催されます。そこでは「O―CHAを愉しむ」をテーマに、初めて春と秋の年二回にわたって開催することになりました。その結果今までは秋だったわけですが、新緑のもえ出る茶畑を眺める茶会であるとか茶摘みも企画されております。お茶と器、お菓子などおしゃれなお茶の楽しみ方も提案する予定でございます。
 静岡を茶の都としてPRする。茶どころとして狭山茶、宇治茶などと並称されてまいりましたけれども、狭山茶があるからといって埼玉県を茶の都とは言いません。宇治茶があるからといって京都を茶の都と言うわけではありません。しかし本県は、西は浜松から東は御殿場、北は天竜川の北から大井川の北に至るまで全県にわたってお茶が栽培されておりますので生産量四割、消費量六割、全国平均の二倍のお茶の消費量があるということでございまして、文字どおり茶の都だということで、「山は富士 お茶は静岡 茶の都」としての静岡をPRしてまいりたいと。これを国内のみならず世界に向けても発信して、静岡茶の一層の消費拡大を図ってまいろうと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) いのちを支える“ふじのくに”自殺総合対策行動計画――仮称――についてお答えをいたします。
 自殺の原因には、さまざまな社会的、個人的要因が複雑に関連すると言われており、これらの要因をできる限り分析し施策に反映していくことが重要だと考えています。こうしたことから現在策定中の行動計画には、自殺の実態を明らかにする調査研究の推進を主要な柱として盛り込み、県民の意識や心の問題などの調査、自殺未遂者の実態把握、各地域の社会経済状況などの指標と自殺との関連性についての調査分析を実施することとしております。
 また、いのちの電話についてでありますが、悩みを抱え相談相手がいない人にとって、いのちの電話相談は大きなよりどころになっていると認識しており、県ではこれまで相談員の研修費用への助成や時間外の電話相談の委託により団体の活動を支援してまいりました。議員御指摘のさらなる時間延長につきましては、運営団体の方々も意欲をお持ちですが相談員の確保が課題となっており実現に至っておりません。
 県といたしましては、引き続き団体の皆様と協力しながら相談員の確保と相談時間の延長に向けて努力してまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 吉林経済産業部長。
       (経済産業部長 吉林章仁君登壇)
○経済産業部長(吉林章仁君) 市町における公共部門での県産材利用の促進についてお答えをいたします。
 県では、公共部門での県産材利用を促進しており、近年市町においても、浜松市の天竜区役所や静岡市の清水船越老人福祉センターなど県産材を多く利用した建築物が建てられてきております。
 県産材の利用を一層促進するためには、全ての市町で木材利用方針を策定することが重要であると考えております。本年八月以降方針を策定していない市町を訪問し、公共部門での県産材利用の意義や効果について説明するなど働きかけを行ってまいりました。その結果今年度末には、策定済みの市町を含め二十八の市町で方針が策定される見込みとなっております。
 しかしながら、県産材利用のコスト、製品の情報不足などの理由から策定に消極的な市町もあります。このため県では、製品の規格や品質、価格などに関する手引を作成、配布いたしますとともに、県産材を活用した建築物や製品を紹介する講習会を開催いたしますなど、市町に対する県産材利用の普及に取り組み木材利用方針の策定を促進してまいります。
 今後とも、木材利用施設等事例集の作成や施設整備への助成などを通じまして、市町における公共部門の県産材利用の促進に一層努めることで、県民の皆様が木に触れそのよさを理解する機会をふやし民間部門での利用にもつなげてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 長島交通基盤部長。
       (交通基盤部長 長島郁夫君登壇)
○交通基盤部長(長島郁夫君) 富士山周辺の観光客の動線確保についてお答えいたします。
 国道四百六十九号につきましては、特に幅員が狭く大型車のすれ違いに支障のある富士市勢子辻から富士宮市山宮までの区間や、富士山こどもの国へのアクセス区間などを優先的に整備するとともに、“安全・安心の道”緊急対策事業により裾野市須山などで部分的な道路拡幅を進めております。本路線は、世界文化遺産登録に期待が膨らむ富士山周辺地域の観光振興や産業の活性化に重要な役割を果たすことから、渋滞解消や交通安全の確保、観光施設へのアクセス性向上などの効果を検証した上で、今年度末までに道路の規格や優先度などの整備方針を取りまとめ事業を推進してまいります。
 また、東駿河湾環状道路の沼津岡宮インターチェンジから西側の区間につきましては、平成二十五年度に全線開通予定の東側区間と一体となって環状道路を形成することにより、国道一号の渋滞緩和や産業振興等に多大な効果が見込まれるため、関係市町や経済団体と連携し早期事業化を国に対して積極的に働きかけているところであります。
 県といたしましては、引き続き道路ネットワークの強化を図ることにより観光客の動線を確保し、観光交流人口の拡大につなげてまいります。以上であります。
○副議長(大石哲司君) 六番 鈴木澄美君。
       (六番 鈴木澄美君登壇)
○六番(鈴木澄美君) 御答弁ありがとうございました。幾つかの要望をしてまいりたいと思います。
 まず最初に、知事が御答弁いただきましたがん患者の就労支援につきましては、本県が比較的、こういう質問した内容について先駆的な取り組みをしているということは説明いただいてわかりました。現実的にはやはり患者あるいは患者の家族は厳しいということがありまして、すごく進んでいるということはわかりますけれども、やっぱり患者側が、家族側が実感をするような仕組みにしていかなければいけないと思うので、その制度の周知とかそういうものをしっかりやって、そしてまた企業に対しても再就職ができるような体制というものは、さらに一歩後押しをしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、いのちを支える“ふじのくに”自殺対策ですが、質問の中でも申し上げましたように自殺者が急増してもう十四年もたっているんですね。ここで改めて調査ということなんですが、さまざまなこれに対する対応策はとってきたということですけれども、ぜひともこれは十四年間逆に何をやってきたんだという話にもなりかねないので、このあたりをもう少しどんなふうな形で展開していくのかということについて、その調査の内容あるいは原因についてなぜ十四年間こういう状況だったのかということについて、どのような分析をしているのか御答弁をお願いしたいと思います。
 それから、電話相談員の関係はですね、二、三日前の新聞によればやっぱりこの相談員って非常に大きな効果が出ている。ことしはどうも幸いにして自殺者が三万人を切るんじゃないかというふうな話もあるということなので、その効果の中に国の自殺予防総合対策センターでも電話相談による効果があったというふうな見方もしているようですから、ぜひともこのあたりはしっかりとフォローしていただいて、二十四時間そして相談員のもう本当に体制をしっかりとっていただくということを行政からも――やっているのは民間団体なんですけれども――ぜひとも強くお願いをしたいと思います。
 緑茶の消費拡大につきましては、若者に人気のあるアニメやアイドル消費拡大ということを、今回若者に少し強調を置いた形での質問をしましたのでぜひとも、若い人たちはこれから消費を伸ばしていくために大きな市場ですから、行政としてはなかなか声をかけにくい分野かもしれませんが、先ほど映画の話をされましたけれども、ぜひとも若い人たちにもそのアイドル、CHA88がありますけれどもさらにもっと有効なツールを使っていただいて消費拡大につながるような形にできればありがたいなと。何かありましたら知事にあと一言、後押しの言葉をいただければありがたいと思います。
 市町の公共部門におきます木材利用につきましては、県のほうでバックアップをするということで、ぜひとも県と同じように市町のほうでもっと拡大が進むような形のものはまだまだ取り組みが遅いかなという感じがいたしますので、ぜひとも積極的な支援をお願いしたいと思います。
 富士山の周辺の観光客の動線確保につきましては、道路事情をもう一度しっかりと見直していただいて、用地確保のところがもうできているのでできるところから対応をとっていただきたいということをお願いしまして、私からの質問を終わります。以上です。(拍手)
○副議長(大石哲司君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) お茶の消費拡大にかかわる再質問についてお答えいたします。
 あるとき川根本町におきましてボトルでお茶を飲んだんです。そうすると町の人たちから叱られまして、知事たる者がそのような行儀の悪い飲み方をすると若い人に影響が出るということで、以来私は――移動するときはやむを得んときがございますけれども――常に急須でいただくというふうに心がけてきました。したがって若者に対する影響というのは、実は日々の我々の行動の中で何かできることがあるということでございます。
 また、掛川の深蒸し茶が全国でPRされたときに、学校の給食の時間に子供たちがお茶は急須に入れておいしくいただくのが当たり前だというふうにしておりまして、そのことも大きく全国にアピールできたことと存じます。
 ですから、子供のときから静岡の煎茶をおいしくいただくというこの煎茶文化を広めるために、学校という場はとても大事であると同時に、また言うまでもなく家庭においてそのようにお茶をいただく、茶の文化としてお茶をおいしく美しくいただくということをしていくことが、若者への最大のPRになるというふうに存じます。
 一方で、いろいろなイベントを通しましてもお茶を若者に向けてPRしていくということで、またお知恵をお貸しいただければと存じます。以上でございます。
○副議長(大石哲司君) 池谷健康福祉部長。
       (健康福祉部長 池谷享士君登壇)
○健康福祉部長(池谷享士君) 自殺対策の関係の再質問にお答えをいたします。
 これまで自殺の統計といいますのは、厚生労働省と警察統計から二つ出てきておりまして、その中で警察統計において、その自殺された方の遺書等からその背後に経済的要因ですとか健康的な問題ですとか家庭的な要因ですとかそういう分析は出てきましたが、そのさらなる細かいところまでは中身が出ていなかったというのが実情であります。そういうことからなかなか的を射た対策が、これは国もそうですし全国でもそうでした。
 そういう中で静岡県では、平成十八年、十七年ですか、鬱病といいますか不眠に着目をした鬱病対策を一つのきっかけとして富士モデルというのを始めました。また今回我々はもう少し自殺の要因の背景を探ろうと、特に地域の社会生活の指標と少し関連があるのではないかということで、今回例えば世帯人員ですとかひとり暮らしであるかどうかですとか、あとは市町村の職員数ですとか病院の数ですとかそういう幾つかの項目と自殺の関連を少し頑張って分析をしてみたいと思っています。それらがどういう結果になるのかというのはこれからになりますけれども、それで分析ができましたら、その地域地域ごとにそれぞれの健康福祉センターが中心になって市町とその地域に合わせた自殺対策がとれるんじゃないかというように我々は推定をしています。それに向かって今後頑張っていきたいと思っております。以上です。

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