• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成27年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

相坂 摂治 議員

質問分類

一般質問

質問日:

02/25/2015

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 県と静岡市について                       
 (1) 県都における地方創生の方向性                 
 (2) アリーナの必要性                       
 (3) 日本平の山頂整備
 (4) 津波対策における静岡モデルの具体化
2 農協改革の県内農協への影響について               
3 大学コンソーシアムの将来像について 


○副議長(伊藤育子君) これで深澤陽一君の質問は終わりました。
 次に、十五番 相坂摂治君。
       (十五番 相坂摂治君登壇 拍手)
○十五番(相坂摂治君) おはようございます。通告に従い質問を行います。先ほどの深澤議員の質問の内容と重複するところがありますが、通告に従って進めてまいりたいと思います。
 県行政と静岡市との関係について、初めに、県庁所在地である県都静岡市における地方創生についてです。
 この議会でも、既に何名かの議員の皆さんから地方創生についての質問が行われてきましたが、私が指摘しておきたいのは、これまでのように東京に若者が集まり続けると日本の人口は減り国力は衰退するということです。東京で生活する女性の生涯の出生率は、わずか一・一三、本県においては一・五三で人口の自然減を食いとめることは決してできませんが、若年層の人口規模の違いを考慮すれば、東京の数値はまさに日本の危機的状況を加速していると言わざるを得ません。
 一九九五年、地方分権一括法が制定されて以来、全国どこでも自治体は権限の拡大を目指し市町村合併に取り組み、地域ブランドの確立とシティーセールスに傾注してきました。しかし東京への人口集中はとまらなかった。そして二〇二〇年の東京オリンピック。「週刊ダイヤモンド」に掲載された都内における巨大プロジェクト一覧には、この六年間で建設費一千億円を超える建設事業が八十五本も網羅されており、今後地方からの人材流出はますます加速されると言われております。
 地方創生が目指すものは、地方の独自性を発揮して人を集め物を生み出し仕事をつくり出すということである反面、これと同等以上に大切なことは東京にあって地方にないものをとりに行くという姿勢だと私は思っています。つまり若者が求める何を地方は東京にかわって今後担っていけるのか、真剣に考えるべき時だと思っているのです。
 さて静岡市は、単に県庁所在地であるというばかりではなく県土の中心に位置する地理的条件を備え、北は山梨、長野、新潟へとつながっており、県内有数の企業や教育機関が集積する県都であり、本県文化の源泉ともなる歴史の宝庫であります。県都静岡の力強い発展こそ本県全体の活力を引き出すものだと改めて申し上げたいと思います。
 さて、ここで日本を代表する他の地方都市についても触れておきたいと思います。北から札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、広島、福岡。京都を除けばいずれも人口の転入超過都市です。街の名前を聞くだけで、そこに何があるか、どんな歴史があったか、どれほどの人がいてどんな企業が集積されているか、そして駅前の風景から広がる都市の力というものを誰もが連想することができます。
 これらに比べ、昨年静岡市は残念ながら約一千人の転出超過となって、全国千七百十八市町のうち下から十三位でありました。早急に県都静岡の潜在力を引き出して攻めの人口流入戦略を打ち出さなくてはなりません。
 静岡では今、地方創生へとつながる幾つかのプロジェクトが動いています。一つは新東名高速自動車道の新サービスエリアから麻機遊水地へとつながる新たな北の玄関口づくり、東静岡地区の拠点整備、駿河区大谷地区で平成二十九年度末に供用開始となるスマートインターチェンジとその周辺百二十五ヘクタールに及ぶ開発とまちづくり。そして日本平山頂の整備に久能、三保へと広がるエリアを包含した観光資源開発の地区の創造です。私たちがちょうど十年前、互いに歴史を重ねてきた清水との合併に取り組み政令指定都市の実現へと奔走したのも、まさに日本を代表する都市の仲間入りをし、さまざまな経験を積んだ青年たちが県都静岡のためにその能力と可能性を発揮する街をつくるためであったはずです。そして県都静岡市のこの命題は本県の未来をも左右する重要なものであります。
 そこで伺いますが、この秋を目標に本県独自の地方人口ビジョンと地方版総合戦略を策定するという説明がありましたが、この計画策定に当たって県都である静岡市の地方創生の取り組みについてどのような期待をされているのか、お答えをいただきたいと思います。 
 先ほども議論となりましたが、次に静岡市におけるアリーナ整備の必要性についてです。
 県行政と静岡市では、川勝知事が就任されるまで東静岡地区の市有地に県費で多目的アリーナを建設するという方向で協議がなされてきました。しかし直近の知事の記者会見においても既にアリーナの議論は終了したとの見解が示されております。今回の本会議においては本年四月に完成を予定している草薙総合運動場敷地内の新体育館にこのはなアリーナという名称を命名し、これを多目的アリーナとして活用を検討していくとの考えも明らかになりました。この新体育館については、私も先日の完成見学会に参加して県産材を活用した見事な完成された姿を拝見してまいりました。フロア規模はバスケットコート四面分とかなりの大きさが整備されておりますが、観客席は常設二千七百席で、全国的に集客力のある多目的アリーナと比較すれば集客拠点としては小規模と言えます。またこれまでの草薙体育館の利用状況を振り返ると、土日はもっぱら県内各種スポーツ団体の大会で占められ、平常時は近隣住民や学生によるスポーツ振興が主な利用となっており、さらにことし一年間の土日は既に同様の優先予約でいっぱいとのことでした。確かにスポーツ競技が可能なフロアを客席で囲んでいるつくりというのは、単語としてはアリーナで間違いないようですが、草薙総合運動場内に用意されたこの新体育館は、これまでの歴史のとおり県民がスポーツに親しむ場として重点的に活用していくのが現実的であり、これまでのアリーナ議論と同列に扱うべきではないものと考えます。これまで草薙体育館を利用してきた多くの一般利用者にとっても多目的利用の優先予約ばかりが組まれては平時においてもスポーツ利用が制限されるということにもなるのです。これでは本末転倒ではないでしょうか。
 先ほども申し上げたとおり、これからの地方創生は東京にあって地方にないものを補って人材を呼び寄せるものでなければなりません。これまで静岡市には日本武道館や東京ドーム、埼玉アリーナやつま恋などのように一流のアーティストの祭典や全国クラス、国際水準の大会などはほとんど誘致された実績がないのが実情です。知事がアリーナ問題についてストップをかけるまでは、市民もまた本格的なアリーナ整備によって大都市と肩を並べる祭典が誘致され、これによって街ににぎわいと経済活力が呼び込まれるものと期待をしていました。そしてこの期待はいまだ市議会や市当局、市内産業界に残っています。全国的に見れば公設民営による興行型のアリーナの成功事例は多く、国際レベルのスポーツ大会、コンサートなどMICEを本当に次世代産業の一つと位置づけるならば、県都の立地や人口集積の優位性、商都の特性を生かしてさらなる拠点性を追求すべきものと考えます。
 そこで、改めて伺いますが、県都である静岡市に最適規模、効率的経営、経済波及効果など考慮した新アリーナの建設が必要だと考えますが、知事の御所見を改めて伺います。
 次に、日本平の山頂整備について伺います。
 日本平は、富士山を望む絶好のビューポイントであり景勝地であります。この日本平を会場として、ことし秋には日本・スペイン・シンポジウムの開催が決定し、来年はサミット関係閣僚会合の開催を目指して誘致活動が展開されております。日本平を舞台にこうした取り組みがなされるようになったのも、市が進めてきた日本平公園事業の計画が文化庁にも次第に認められさまざまな規制がある中で何ができるのかを市も懸命に具体化してきたからだと評価されております。しかしながら全体の進捗はおくれており、現在の山頂部は眺望はすばらしいものの市外、県外からたくさんのお客様を迎えるには十分とは言えない環境であります。一昨年までの本会議におきましても、政令市静岡市との政策連携の一つとして、日本平の山頂整備について質問を行ってきましたが、知事からは、日本平が文化・観光交流の拠点となるよう静岡市との連携を進める。展望回廊を夢殿と名づけてはどうかとの答弁もなされており、当時は他の提案もあわせて御答弁いただいたものですから一時は話題騒然となった点もありましたが、その後の展開については注目をしてきたところであります。
 さて、今回の議会に上程されている来年度当初予算案には、新規事業予算として日本平山頂施設整備検討事業費が盛り込まれてまいりました。北に南アルプス、東に富士山、南には広大な駿河湾という絶景の景色を誇るこの日本平の山頂は、その整備の内容いかんによってはまさに県都静岡市の地方創生へとつながる世界から人を呼ぶ丘の創造へと発展を期待するものであります。
 伺いますが、来年度予算に計上された新規事業予算の内容と今後の日本平山頂整備の方針について、市との役割分担も含めどのように展開されていくのか御所見を伺います。以上の質問について御答弁をお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
 県と静岡市についてのうち、県都における地方創生の方向性についてであります。
 三つ御質問があったわけですけれども、全体として市当局への御質問というように受け取りました。ともあれ県では、地方創生の動きを先取りした総合計画後期アクションプランの中で、静岡市をエリアとする中部地域の地域づくりの基本方向について、求心力のある都市機能、交流機能の強化、フーズ・サイエンスヒルズを初めとする活力ある産業づくりなどにより、ふじのくにの県都にふさわしい中枢都市圏の形成を目指すこととしております。また過日御策定になられた静岡市の第三次総合計画基本計画におきましても、定住人口の増加、交流人口の拡大、地域経済の活性化と雇用の拡大により、中枢都市として求心力の高いまちづくりを目指していくと位置づけられております。この意味では県と静岡市の目指す姿の認識は一致していると考えております。
 喫緊の課題である地方創生の取り組みにつきましては、来年度早々、県、静岡市に加え市内のさまざまな機関、団体等との連携のもとで地域会議を設置いたします、首都圏からの移住・定住の促進や、中部横断自動車道や清水港などを生かした産業の創出・集積、グランシップやツインメッセの活用による交流人口の拡大など地方版総合戦略に盛り込むべき静岡市の特性を生かした施策の具体化をともに進めてまいります。こうした取り組みや市の第三次総合計画の着実な推進を通じて静岡市が活力ある県都としての求心力を高め、人口減少克服と地域活性化の牽引役となられるように強く期待しているところであります。
 次に、日本平の山頂整備についてであります。
 日本武尊の名に由来する日本平は世界遺産富士山、伊豆半島、南アルプスなど三百六十度の絶景が広がる日本を代表する景勝地であります。東静岡から三保松原にかけての歴史的・文化的資産や学術・文化・芸術関連の施設が集積するエリアの中心であるという認識を持っております。
 こうした場の力を生かして、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けまして国内外からの観光客の増加が見込まれますので、霊峰富士を仰ぐ日本平山頂部に日本の伝統や文化、日本平の価値を情報発信でき、周囲の絶景と調和し品格のあるおもてなしの心にあふれた施設の早急な整備が望まれております。
 このため、県では静岡市と連携いたしまして、日本の象徴でもある富士山を望むことのできるこの日本平山頂部に、静岡市、本県、さらには日本のシンボルとなり国内外からのお客様をお迎えするにふさわしい展望施設を整備することといたしました。今後、県・市地域政策会議で静岡市との役割分担を決めるとともに、来年度早々に有識者会議を立ち上げまして静岡市にも御参加をいただき、建物の機能や規模、コンセプト、整備スケジュールなどを基本構想として取りまとめ、できるだけ早期の完成を目指してまいります。
 日本平の山頂部には静岡市が整備なさる予定の施設もございます。進捗状況が極めておくれているというのは議員の御指摘のとおりでございます。そうした中ではございますけれども、市の公園計画との調整や文化財保護法などの法規制への対応などの課題などもございます。展望施設の実現に向けまして市と十分に連携をとりながら互いに協力して取り組んでまいらねばなりません。富士山の眺望を望むことができるこの展望施設が本県、そして日本の文化、観光、交流の拠点として多くの人々でにぎわう場となり、日本平がまさに世界の人々の憧れを呼ぶ地となるよう、静岡市とともに取り組んでまいる所存であります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 白井企画広報部長。
       (企画広報部長 白井 滿君登壇)
○企画広報部長(白井 滿君) 県と静岡市についてのうち、アリーナの必要性についてお答えいたします。
 来る四月二日、県都静岡市に立地するスポーツの聖地、草薙総合運動場に新体育館このはなアリーナがオープンいたします。公式バスケットボールコート四面がとれるメーンフロアや二千七百席の固定観客席、サブフロアを備え多様な屋内スポーツ競技大会が円滑に運営できる規模、機能を備えた本県を代表する総合運動公園の中核施設であります。こけら落としとして開催される大相撲富士山静岡場所のほか、バスケットボールのWリーグ、バレーボールのVリーグの試合の開催が予定されるなど早速さまざまな利用の申し込みをいただいております。
 県民スポーツの拠点としての利用に加え、スポーツイベントや木に包まれた大規模空間を活用した展示会など各種イベントにも対応できるアリーナ施設として多くの皆様に御利用いただけるものと考えております。今後、近接するグランシップやツインメッセなどの集客施設も効果的に活用することによりまして県都にふさわしい大型イベントや大会などを誘致し、にぎわいと活力を呼び込むことができるよう静岡市と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 新たなアリーナの必要性につきましては、静岡市がこのはなアリーナの導入効果等を踏まえ施設整備の適否を検討され、市民の皆様に方針を示す必要があるものと考えております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 十五番 相坂摂治君。
       (十五番 相坂摂治君登壇)
○十五番(相坂摂治君) それぞれ御答弁をいただきました。二点要望をさせていただきます。
 まず、日本平の山頂整備については県と市が連携をしてということで、逆に言うと県がこれまでああしたらどうか、こうしたらどうかという提案、あるいは注文をつけていましたけれども、ようやく予算化をしてこれに踏み出したということで、これは例外的にこうして進んでいるのだなというふうな印象を受けています。こうした事例がこのような形でスタートしていけるのであるならば、さまざまな議論もこの観点から立って、ここは県都であるという、ここに県民の方々を集約をしてこの多くの県民の方々が県都静岡を目指して、ここで教育を受けたい、ここで働きたい、あるいはここから地元にいろんなものを持ち帰りたい、そういう県都であるために県は何ができるかということを議論させていただきたいと思ったわけであります。
 日本平についての要望ですけれども、知事が御答弁いただいたとおり法規制がかなり厳しく書かれております。この山頂整備も含めて、今公園整備をやっている中でこの法規制を解除をしていけるような、あるいは解除をしなければ効果が得られないようなものであるならば、その際には県のまた強力なリーダーシップを発揮をしていただいて、文化庁その他関係機関への働きかけ等も含めて御検討いただければというふうに思っています。
 それから、アリーナについてでありますが、大変厳しい御答弁をいただきましたけれども、これは先ほど申し上げたとおり、この県都の静岡の中に、私も草薙体育館の説明を受けましたが、先ほどの御答弁だとここをいろんな目的に使っていくアリーナにということで御答弁がありましたけれども、例えばアリーナの中で一番集客がとれる、採算がとれるものはアイススケートだと言われております。しかしながら県産材を中に使ったために、ここでは氷を敷くことはできないという説明を受けました。つまりここは通常の、今までの前例に倣った体育館として整備をされたにすぎないと私たちは思って、感じています。その上で、この政令指定都市、あるいは県都静岡の集客力の拠点性を高めるためにはやはりアリーナが必要だと。これについても改めて今市のほうでということがありましたが、過去の議論を改めて整理をして県の中でも再度御協議をいただけることを御要望しておきたいと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、津波対策における静岡モデルの具体化について伺います。
 平成二十五年六月、県は第四次地震被害想定を公表し、あわせて想定される被害をできる限り軽減するため地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を策定、計画期間の十年間で犠牲者の八割を減少させることを目標に掲げました。このプログラムの中には、レベルワンの津波については防潮堤の高さを確保すると同時に津波の勢いによっても壊れないよう粘り強い構造へと強化することが示されております。さらにレベルワンを超える津波に対しても既存の防災林、砂丘等のかさ上げや補強などによって安全度の向上を図り、これを静岡モデルと名づけて全県で整備していく方針をも示してきました。
 既に浜松市で動き始めた静岡モデルは、延長十七キロに高さ十三メートルの強固な防潮堤を建設するというもので、住宅街に浸水する二メートルを超える津波の九七%を防ぐことができるといったものです。一方、県の静岡モデル検討の方針を受けて現在静岡市が沿岸域で進めているレベルツーの津波に対する対策は避難タワーなどの避難施設の整備を中心とするもので、地震発生からわずか十数分で到達すると言われている津波から本当に逃げることができるのか、いまだ住民には不安が残っております。もちろん、県行政と静岡市とは静岡モデル推進検討会を設置してその検討を行っているところではありますが、現時点では静岡市の沿岸部が大規模な防潮堤を整備する立地条件にないために避難以外の方法は提案もなされておりません。静岡市の沿岸部の構造は海岸線におよそ六メートルの防波堤が整備されているばかりで、この防波堤に自転車道と国道百五十バイパスが隣接、並行して整備されているために防潮堤を建設していく土地を確保できないという状況にあり、具体化がなされていないのです。
 さて、県民にとっては、今後発生する地震・津波がレベルワンであろうがそれを超えたものであろうが、最大限の対策を講じてほしいと願うばかりです。行政サイドではあくまで予算上の制約からより頻度の高いレベルについて対策を講じているわけですが、この課題を何とか克服してほしいというのが沿岸部に暮らす全ての県民の願いであります。
 今後、静岡市は津波防災地域づくりに関する法律に基づいて推進計画を策定することになりました。私はこの推進計画の中に静岡市型の静岡モデルについて具体的なプランを盛り込まなくてはならないと考えております。そしてこれまでの検討の経過や地元沿岸域の構造を考えれば、国道百五十号バイパスの四車線化工事にあわせて道路のかさ上げを行うこと、河口から津波の襲来がシミュレーションされた区域では河川堤防の強度化や河川沿線道路のかさ上げ、さらには沿岸部にある公園敷地内や港湾敷地内における防潮壁の整備など主として市が進めていく事業の中に、レベルワンを超える津波への対策をも盛り込んで実現の道を探るしかないと、私から御提案を申し上げたいと思います。
 そして、市が定める推進計画に位置づけられた静岡モデルについても、今後県はできる限りの支援策を講じていくことが望ましいものと考えますが、県は県内全域における静岡モデルの具体化、実現についてどのように進めていくお考えなのか御所見を伺います。以上の質問について御答弁をお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 県と静岡市についてのうち、津波対策における静岡モデルの具体化についてお答えいたします。
 県では、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づきレベルワンを超える津波から人命、財産を守るため、既存の防災林、砂丘等のかさ上げや補強等を行う静岡モデルの整備を進めております。静岡市の沿岸域では、昨年六月から国、県、市で構成する静岡モデル推進検討会においてレベルワンを超える津波に対する防護のあり方について検討を行ってまいりました。これまでに警戒避難体制の整備により人的被害をなくすことを基本とし、これに加えて用宗漁港周辺、中島地区など津波到達時間が短く避難が困難である地域においては静岡モデルにより津波を防護することとしたところであります。
 今後は、静岡市が実施する推進計画の策定過程において静岡モデルに求められる役割がより明確になることから、引き続き静岡モデル推進検討会において既存の防災林や防潮堤のほか道路のかさ上げ等を視野に関係機関と調整し、静岡モデルの整備手法等の早期具体化に取り組んでまいります。
 県といたしましては、静岡市と連携して人口、資産が集中する沿岸域における静岡モデルの整備を推進し、住民の皆様が安全で安心して暮らせる地域づくりの実現に努めてまいります。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 十五番 相坂摂治君。
       (十五番 相坂摂治君登壇)
○十五番(相坂摂治君) 御答弁ありがとうございました。一点だけ御要望しておきたいと思います。
 先ほども申し上げたとおり、構造上、静岡市の沿岸部は強大な防潮堤をつくることができません。さらに今ある、防潮堤と呼んでいいものかどうかわかりませんが、防波壁になっているものも非常に厚みが薄く、これをレベルワン対策として高く上げていこうとすれば、その両側に基礎を打ち込んだりという工事が必要になるはずです。このための土地の確保も極めて困難な状況にあるというのが静岡の沿岸部だと、私たち地元の方々も含めて認識をしているところです。これであるならば、レベルワンの高さ対策もそれほどの困難な状況であるならば、先ほど部長が御答弁をいただいたとおりレベルツーも視野に入れた対策の中でこれを包含していくという手法をぜひ御検討いただきたいというふうに思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは次に、農協改革の県内農協への影響について伺います。
 農協改革を進める政府は、今後五年間を農協改革集中推進期間と位置づけ、農協に自己改革を促すとともに、中央会制度や農協の営農指導事業のあり方などについて抜本的に見直すことにしています。そもそも国が示した今回の改革を見れば、その目指すところは単位農協の自立性の確保や理事構成の改革によって専門性を高め、農作物の販売力や経営力を高めることで農家所得の増加を図ろうとするものであるようです。現在の本県農業を取り巻く環境は農業者の高齢化、担い手不足、農家所得の低下、耕作放棄地の増加などに加え鳥獣被害対策のおくれ、茶などの特産物生産の現場の荒廃など実に多くの課題を抱えております。
 さて、県行政では、県内農業の方向性として六次産業化の推進による農業経営の安定化に加え、攻めの農業として輸出をも視野に入れた成長産業化を示してきました。全国的に見れば作物の種類によっては既に輸出によって売り上げを伸ばしつつあるもの、農地の集約によって大量生産に成功し大規模な市場への一括納品によって安定した高収入を実現したもの、さらには加工を工夫して商品化を図り消費者と直接の販路をつなげて所得を上げてきたものなど、既に現場では改革が起こりつつあります。
 さて、私自身は青年層にとっての産業とは何か、改めてはっきりとした姿を提示することが大切だと思っています。自分の仕事に誇りを持つこと、その報酬で立派に家族を養っていけること、そしてその産業の将来性が約束されていることであります。こうした観点でこれからの農業構造を考えれば、他の産業と同じように綿密な市場調査を行って需要の伸びている作物が何かを見定め、品質を確保しながら加工やブランド化による付加価値をつけて生産現場の所得を向上させていくという綿密なマーケティングを根拠にした戦略が必要だろうと思っています。そしてこうした県内農業の産業化への取り組みの鍵を握っているのは地域風土に精通した単位農協であり、地域に根差した独自性とリーダーシップを発揮して土地集約の機運を高めるとともに、人材の確保と育成に全力を傾注する体制を期待したいものです。 
 さて、今回の改革の主な内容は中央会制度の見直しですが、これは農協法で義務づけられていた全国農業協同組合中央会による地域農協の指導監査権限を廃止し、監査部門の分離と一般社団法人へと移行するというものであり、この通常国会に農協法改正案が提出される見込みとなっております。
 そこで、全国農業協同組合中央会の指導監査権限が廃止された場合に県内の農協にどのような影響があるのかを伺います。
 さらに、今後の県内農業の発展、強化については地域の農協がどのような役割を担い、どんな具体的な取り組みを行っていくべきなのか、県当局の期待するところを伺うものであります。
 最後に、大学コンソーシアムの将来像について伺います。
 今年度、県内全ての大学や県、市等が参加してふじのくに地域・大学コンソーシアムが設立され、共同公開講座や高校への出張講座の開催、複数大学による共同事業の実施などが始まったものと聞いております。現在、大学コンソーシアム京都を初めとして全国には既に約五十カ所にも及ぶコンソーシアムが設立されており、単位互換や地域への教育開放などの実践、地域に根差した学問等も確立されてきております。こうした中、本県のコンソーシアムが全国の事例以上に特徴的で地域への貢献度が高く学生たちに必要とされる機関となっていくためには、今の運営方法にどのような肉づけが必要でしょうか。静岡県で毎年高校を卒業する学生数が約三万六千人であるのに対し県内大学と短大の定員数は九千九百程度。これに国内の大学、短大への進学率はおおむね六〇%であることを考えあわせると、約一万人の学生が進学を理由に必然的に県外へと転出している状況にあります。今回の本会議でも随分人口転出の問題が指摘されておりますが、当局からの説明はUターン、Iターンの議論ばかりであり、なぜ学生を失わない議論をしようとしないのか、私は不思議でなりません。
 先ほど私は、地方創生には東京にあって地方にないものを呼び寄せることが必要だと申しましたが、教育機関こそその代表的なものであると思っています。少子化の時代に新たな大学を設立することは極めて困難ですから、この大学コンソーシアムに単位互換制度を導入して首都圏にある高度な大学との連携から始め将来的には特定の学部の移転へとつなげていくことはできないか、ぜひとも御検討をいただきたく御提案を申し上げたいと思います。
 さらに、もう一つは大学コンソーシアムの拠点性の確保です。先ほどの知事の御答弁からも大学コンソーシアムの拠点を東静岡にということがありましたが、このコンソーシアムに参加している県内大学は東西に広く点在しており、学生が県内を横断的に日ごろから移動し続けるということはとても現実的とは言えません。県は、かねてから東静岡駅周辺を学住一体のまちとして整備するとしてきましたが、この東静岡エリアは県立大学を初めとする文教関係機関の集積エリアであり教育交流の拠点となり得る地域です。
 現在静岡市は、静岡駅周辺、清水駅周辺、そして東静岡駅周辺の三地点を拠点にまちづくりを進めており、それぞれが違ったターゲットを目標に異なるコンセプトによって役割分担していくことが求められております。文化、スポーツの殿堂に位置づけられた東静岡拠点に新たに学生という担い手が集積すれば、ビジネス街の静岡、物流、港湾、ウオーターフロントの清水へと人材を輩出していくことができます。
 その他産業誘致や地域振興のために複数の大学が連携して調査研究を行うなど産業界や地域へ寄与していくことなども踏まえ、この大学コンソーシアムの将来像について県はどのように見据えていらっしゃるのか御所見を伺います。以上、御答弁をお願いします。
○副議長(伊藤育子君) 土屋経済産業部長。
○経済産業部長(土屋優行君) 農協改革の県内農協への影響についてお答えいたします。
 まず、全国農業協同組合中央会の指導監査権限につきましては、改革案では農協の自由な活動を確保し競争力を高めるため全国中央会の指導監査権限を廃止し、農協は監査法人の会計監査を受けることとなります。今後、国は今国会に農業協同組合法の改正案を提出する予定と承知しており、その審議の過程において全国中央会、県中央会、農協の関係について明らかになると理解しております。また本県の農協は、これまでも水田地域や中山間地域など地域の状況に応じた営農指導、販売対策の農業関連事業に取り組んできたところであります。こうした中、本県JAグループは本年一月に営農指導部門などへ投入するヒト・モノ・カネ等の経営資源を向こう五年間で三〇%アップすることを自己改革案の基本方針として打ち出しました。その実行に当たっては、重点地域での面的農地集積の加速化や販売活動の強化等による茶業の再生など農協がそれぞれ創意工夫して効果的に行うものとしております。
 県といたしましては、今後これらの農協独自の取り組みが着実に推進され農業の成長産業化を実現することで、農家の所得向上、地域の農業の活性化につながることを期待しております。以上であります。
○副議長(伊藤育子君) 伊藤文化・観光部長。
○文化・観光部長(伊藤秀治君) 大学コンソーシアムの将来像についてお答えいたします。
 ふじのくに地域・大学コンソーシアムは、県内の大学が特色を生かしつつ大学間や地域との連携を進め、本県の高等教育機関全体の教育研究力の向上と地域の発展を目的として昨年三月に設立されました。間もなく設立後一年を迎えますが、地域課題の解決に取り組む大学のゼミ活動への支援や大学の垣根を越えて授業が受けられる単位互換事業などを実施し、静岡ならではの取り組みとして本県の地域資源について学際的、国際的な見地で研究を行う、新たな地域学ふじのくに学の創設に向けた検討も始めております。来年度に向けては静岡県留学生支援ネットワークの統合や組織の公益法人化を図るなど基盤強化を図りつつ、事業の着実な展開に取り組んでいくこととしております。今後、事業効果の検証や新たな事業の開発などを行いながら連携強化や運営の自立を図るとともに、連携や交流の場となる拠点の形成につきましても検討することとしております。
 県といたしましては、コンソーシアムが大学間相互、また大学と地域の連携強化を図りつつ、積極的な事業展開を進め、本県の高等教育はもとより魅力ある静岡県づくりの核として自立的に発展していくよう支援してまいります。以上でございます。
○副議長(伊藤育子君) これで相坂摂治君の質問は終わりました。
 議事の都合により休憩します。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3482

ファックス番号:054-221-3179

メール:gikai_giji@pref.shizuoka.lg.jp