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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成21年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

佐野 愛子 議員

質問分類

一般質問

質問日:

09/28/2009

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 理想の静岡をつくるための教育改革について             
 (1) 静岡式三十五人学級の継承・発展                 
 (2) SPACの教育事業推進                     
 (3) 藤枝特別支援学校の狭隘化解消                  
 (4) 特別支援学級のあり方                      
2 理想の静岡をつくるための空港活用について             
 (1) 管制機能の充実                         
 (2) 就航先との交流促進                       
3 理想の静岡をつくるための食と農の改革について           
   魅力ある地域資源を活用した六次産業の創出            
4 理想の静岡をつくるための子育て支援について            
   安心こども基金の活用           



    ○副議長 (堀江龍一君)  これで藪田宏行君の質問は終わりました。
     次に、 二十六番 佐野愛子君。
            (二十六番 佐野愛子君登壇 拍手)
    ○二十六番 (佐野愛子君)  おはようございます。
     私は平成21所属議員といたしまして、 県当局の皆様に質問いたします。 よろしくお願いします。
     日本の歴史に残る政権交代を成し遂げた国民の期待を一気に受けた民主党政権。 ダム建設中止やCO2 削減など次々と打ち出す中、 その政策の実現を、 国民一人一人も各自治体もかたずをのんで見守っているところです。
     私は、 知事の提案している国民総幸福量の考え方に深く共感します。 現代日本社会は、 インフラ整備が進み、 あらゆる物にあふれ飽食の生活の結果、 環境破壊や交通事故、 生活習慣病、 心の病などが蔓延し、 本当の幸せから遠のいてしまった不自然さに気づき始めました。 現にフランスでもサルコジ大統領は、 国内総生産  GDPの算出に国民幸福量を加えるべきであると今度のG20会議で提案するそうです。 今こそ物ではない本当の心の豊かさが求められるときです。 県民が心から幸せを感じ静岡が日本の理想郷となるために、 私も川勝知事とともに県政を推進してまいりたいという観点から質問いたします。
     まず、 理想の静岡をつくるための教育改革について伺います。
     静岡の数ある宝の中でも最も大切にしなければならない宝は人材です。 教育こそがこれからの静岡をつくっていく最重要課題であります。 知事も委員を務めていらっしゃった理想の学校教育具現化委員会の提言の実現を期待しています。 その中でも、 知事のマニフェストにうたわれている八年の計画で全学年に実施するという静岡式三十五人学級の継承・発展について、 知事の決意のほどを伺います。
     これは、 子供たち一人一人の学びを保障して、 確実な学力をつけるために多くの期待が寄せられている施策です。 何よりも人手が欲しい、 子供たちとかかわれる時間が欲しいという切なる願いに希望を与えていただきたいと思います。
     また、 県では本年度、 三十五人学級を中学一年生から二年生にまで拡大しました。 この方式は、 始まって数カ月にもかかわらず、 該当した学校からは 「一人一人の子供の発表の場や活動の場がふえた」、 「個々の生徒に指導する時間がふえた」、 「一学級のゆとりができた」 という感謝の声が上がっています。 そして 「来年中三になってもとの編制になっては困る、 ぜひ続けてほしい」 という声が高まっています。 ある中学校区では、 保護者だけでなく地域住民も一緒になって署名を集めて学校へ提出したという話もあります。 これだけ県民から求められ成果を上げている事業こそ発展させていくべきだと考えます。 知事の御決意のほどを伺います。
     次に、 SPACの教育事業推進について伺います。
     青少年に文化芸術に触れる機会をふやすことの大切さを強調してる知事が就任し心強い限りです。
     静岡県が所有する劇団であるSPACは、 これまで世界的なレベルの舞台芸術作品を多数創作して国内外に情報発信をしてきました。 しかしながらその芸術性の余りもの高さに、 一般県民に親しむとか県民全体の芸術レベルを上げるという点では評価が分かれたところでもあります。 十九年度からは宮城聰総監督を迎え、 その活動方針も刷新され多くの県民を対象とした内容になっています。
     演劇は、 文学、 音楽、 美術などを統合した総合芸術です。 若いときこそ本物の芸術に接して、 理屈ではなく感受性で受けとめることが一生の財産となっていくと思います。 SPACがこれまで培ってきた舞台芸術に対するノウハウや成果を大いに活用して、 若者が参加したり、 触れたり、 体験したりする機会をふやしていくべきだと考えます。 これまでも延べ二万人を超える中学生を対象に舞台芸術鑑賞事業を実施しています。 昨年度からは、 さらに高校生も加えて 「ハムレット」 や 「ドン・キホーテ」 などを鑑賞し、 学校教育だけでは得られない貴重な体験となっています。
     私もSPACのけいこ風景を毎年見学していますが、 あの汗がほとばしる肉体の極限を使う様子をぜひ各学校の体育館に出向いて間近で見せてあげたいと思うのです。 子供のころ学校に巡回してきた劇団たんぽぽが、 多くの静岡県の子供たちに感動やあこがれを生んだように、 県民に根差したSPAC、 県民の財産となるSPACになるためにぜひ実施していただきたいと思います。 また中高生を対象とした鑑賞事業は、 市や町の教育委員会や県私学協会とも連携をとりながら、 学校現場に即した対応を進めることも必要であると考えます。 SPACの教育事業推進についての今後の取り組みを伺います。
     藤枝特別支援学校の狭隘化解消について伺います。
     人は宝、 障害がある子供たちへも十分な教育を受ける権利を保障すべきだということは言うまでもありません。 理想の学校教育具現化委員会の提言にも、 特別支援学校の児童生徒増加に対応するための教育条件の整備は優先度の高い施策とされています。 そして議会のたびに取り上げられ、 磐田や清水で開校のめどがついてきたことはありがたいことです。
     藤枝特別支援学校でも八教室が増築されました。 しかし開校時の児童生徒数百四十三人であったものが、 現在では四百三十一人、 教職員数百八十七人というまさに全国一位の大規模校にならんとしています。 教室、 作業室、 食堂などの数が絶対的に足りず、 給食をつくる厨房も限界です。 また登下校は、 五市二町にまたがる学区を大型のスクールバス六台が稼働しており、 三時間もかけている遠距離通学者もいます。
     これらの解消のために、 これまで提案してきたように榛南地域に新設校を設置することが一番望ましいのですが、 さまざまな事情から実現には時間がかかりそうです。 事態解決のための緊急措置として、 高等部の分校設置など早急の手だてが必要であると思われますが、 今後の対応を伺います。
     次に、 特別支援学級のあり方について伺います。
     だれもが住みなれた地域でその一員となって暮らしたい、 お年寄りや障害のある人もそれは当然の思いであり、 みんなが助け合って暮らす共生やインクルージョンという言葉が国民共通の理念となってきています。
     特に、 教育の場において、 小さいときから共生の意識をはぐくむことは大切なことです。 障害があっても普通学級を望めばそこに通学でき、 特別支援学級や特別支援学校を希望すればそこに通学できる、 それは当然認められるべきことです。 中でも各小中学校に開設されている特別支援学級は、 障害のある子も地元の学校に通い地元で育つことができる場として大切な存在です。 しかし県内で拠点校方式と呼ばれる市内の中心校へ特別支援学級を集中化する方式を採用する市がふえています。
     県の方針ということですが、 どのような理由で県はそのような方針を打ち出したのでしょう。 学区から離れた学校に通うには、 保護者の送迎が必要になったり時間的な不便が生じたりします。 何といっても地域や同級生から引き離して、 特別な環境に行かなければならないという不自然さが問題です。 現代の共生の理念とはまさに逆行しているとしか思えません。 特別支援学級は一人でも開設できるということはすばらしいと思うのですが、 障害のある子だけを集めて集団で指導するという拠点校方式は、 分けるとか隔てるという考え方ではないでしょうか。 障害者も健常者もともに生きる社会を構築するには、 小さいころからお互いに接すること、 なれることが第一です。 接していれば偏見も持たないで普通に助け合うこと、 受け入れることができるようになります。 大人になってから急に障害者雇用などと言っても戸惑うのも無理ありません。 教育とは心を育てること、 徳をはぐくむことであります。
     障害がある、 ないという枠を越えて、 どんな人間を育てたいか、 未来の社会をどのようにしたいかという視野に立って、 特別学級を設置すべきであると考えますが、 県の所見を伺います。
     次に、 理想の静岡をつくるための空港の活用のうち、 管制機能の充実について伺います。
     県民総意で待ち望んでいた富士山静岡空港が開港して四カ月がたちました。 今でも見学客が途絶えず、 県民の飛行機へのあこがれと空港に対する期待の大きさを実感します。 しかし開港が梅雨時だったということもあり、 霧による欠航やダイバートと呼ばれる目的地変更が相次ぎました。 八月までの就航率九五・九%という数字は決して高いとは言えません。 私は、 七月二十三日FDAの小松行き第一便に乗り石川県に行きましたが、 帰りは霧のため静岡空港には着陸不可能で名古屋空港に行ってしまいました。
     このようにおくれたり欠航したり変わったりでは乗客に多大な迷惑がかかります。 韓国人の旅行者の皆さんが騒いで抗議したということも報道されていました。 このような場合の旅費や宿泊費が利用者負担では印象が悪くなるのも無理がありません。 空港を霧のあるお茶畑につくってしまったことが間違いだなど県民の不安や不満はいまだ根強いものがあります。 また海外で静岡空港は未完成の空港であるといううわさが立っているとも聞きます。 先月完全運用をしてILSが使用されるようになったのなら、 今後はこのようなことは改善できると言い切れるでしょうか。
     私は、 先日国内では最も精度が高いカテゴリーVbが導入されている熊本空港管制塔を視察してきました。 管制に関する事業は国の責任であり、 カテゴリーを上げるには多額の事業費がかかるために、 費用対効果が問題になることはよくわかります。 しかし乗客の安全・安心を第一にするためには、 県も今後必要に応じてランクを上げる要望をしていくべきと考えます。 確実な離発着を保証し、 安心で安全な静岡空港であるという確信をもたらせることが、 今後の発展と利用促進のためにも必要であると思うのです。 管制機能の充実に向けた今後の取り組みを伺います。
     次に、 就航地との交流促進について伺います。
     富士山静岡空港開港に伴い、 まさに大交流時代がやってきました。 国内外の就航先の都市が大接近してきたと同時に静岡県も各地に大接近してきています。 この運気を逃さず高めていくことが何よりも大切です。 そもそも空港は県民が豊かな生活を送るためにつくられた社会的基盤だと思います。 空港があることによって便利を感じ、 物もお金も時間も気分も豊かになれることが本来のねらいのはずです。 空港そのものを利用していかに搭乗率を上げるかということが目的ではないはずです。
     海の幸、 山の幸、 川の幸に恵まれた静岡県は豊かな食材にあふれています。 また元祖B級グルメと言える富士宮やきそばや焼津の黒はんぺん、 浜松餃子など、 全国に名が知れたメニューがあります。 これらをぜひ全国に発信したいという県民の願いは大きいことと思います。 また静岡といえば何といってもお茶どころです。 ふだん当たり前のように飲んでいる緑茶も他県から見ればぜいたくなことのようです。 金沢の料亭では、 しょうちゅうの緑茶割りを売り出したいという申し出がありました。 また藤枝市は石川県白山市と姉妹都市提携をしていることから、 市内の百軒余りの居酒屋が石川県フェアを始めることも投げかけるなど、 民間同士での交流が広がってきています。
     さらに、 就航先との提携も進んできました。 藤枝市は韓国楊州市との友好都市提携を調印して、 今後の文化、 スポーツ、 観光、 経済等、 広範囲の交流を深めてお互いの発展につなげることとしました。 今後は県が主導ではなくて民間や団体が主体となった交流、 物流が進んでいくことが求められてきます。
     これまで静岡空港の就航先には開港前からふじのくに交流団を何回も派遣して、 静岡の物産の紹介やPRをしてきました。 それらの成果を踏まえて、 さらに交流を促進し県民が豊かな生活を送るために、 今後県はどのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、 理想の静岡をつくるための食と農の改革として、 魅力ある地域資源を活用した六次産業の創出について伺います。
     私の地元である藤枝市の中山間地瀬戸ノ谷地区は多分に漏れず少子高齢化が進んでおり、 ここ二十年で人口が二五%も減少した上、 高齢化率三二%となっています。 この地区の全戸が会員となっている瀬戸谷生き生きフォーラムがアンケートをとった結果によると、 この地域に住んでよかった人の割合は九三%で深い愛着心を抱いています。 しかし八八%の人は地区外に通勤をしていることがわかりました。 中山間地にも身近に職場があることによって定住率は向上します。
     ところで、 せとやコロッケを御存じでしょうか。 瀬戸谷地域の特産品であるシイタケをふんだんに使ったコロッケのことで、 地区内三カ所の活性化施設でつくっています。 地域のおばさんたちがつくり地区内外のイベントに出かけて販売をして、 人気商品になっています。
     これまでの農作物は、 その物の出荷に終わっていましたが、 小規模でも生産、 加工、 販売まで一貫した産業とすることがさまざまな効果を生みます。 単品出荷より携わる人が多くなることによって収入がふえる、 自分たちのブランドをつくることによってやりがいがある、 地域内外とのコミュニケーションが活発となります。 しかしながら各所につくられた活性化施設は、 どこへ行っても手づくりみそ、 そば打ち、 コンニャクなど似通った加工品となって独自性を持たせることが難しく、 行き詰まっている施設が多いことも事実です。
     豊かな自然に恵まれた中山間地にある地域資源を活用して、 知事が提案した六次産業を創出していくことは、 地域を活性化し魅力を高めていくことにつながると思います。
     今回九月補正予算で新規事業を計上していますが、 中山間地域にとっても期待される事業であるため、 どのように取り組んでいくのか伺います。
     最後に、 理想の静岡のための子育て支援として、 安心こども基金の活用について伺います。
     先ごろ発表された二十一年度の県政世論調査の結果を見ると、 県に望む施策はという質問に対して、 一位は高齢者、 障害のある人への福祉対策、 二位が防災対策、 三位が健康づくり、 保健医療体制の整備、 四位が少子化・子育て支援対策という結果が出ています。 住民は行政に対して、 健康福祉に対しての安心・安全の施策をいかに求めているかという思いが伝わってきます。
     国もこれまで公共投資といえば、 道路や河川整備など建設部門にするという視点から、 福祉や子育てのために基金を設立するという観点に変わってきました。 福祉分野でも、 特別養護老人ホームや保育所の増設、 放課後児童クラブの整備など必要とされる基盤整備がたくさんあるのです。
     さらに、 医療現場での医師・看護師不足、 介護での介護士の処遇改善などのソフト部分でも、 根本的な投資をしていかないと解決できないことは明らかです。 そして少子化対策も同様であり、 国も安心こども基金制度を創出したということは、 時代の要求に応じた手だてであると考えます。
      「少子化が叫ばれている中、 若い世代の希望は 『二人から三人は子供を産みたい』 というのが現実です。」 と、 知事のマニフェストにも書かれています。 しかし総務省が八月に発表した人口調査では、 県の人口も昨年に比べ〇・〇五%の減少となり少子化対策は待ったなしです。 安心して子供を産み育てる環境づくりの整備は、 言われ続けてはいるものの、 なかなか追いついていかない現状です。
     県では、 総額六十二億円に上る安心こども基金をどのように効果的に活用していくかが重大です。 四月時点では前年度より五十四人増の三百六十四人の保育所待機児童がいるという結果が出ています。 経済不況のあおりを受け働きに出る母親がふえたことも影響していると思われますが、 女性が安心して社会の中で働き続ける環境を整えることは、 これからの時代の必然的な要求です。 保育所の整備などハードでクリアできることなら積極的に進めるべきです。 さらに子育ての不安や悩みなど社会で手助けできることも進めなければなりません。
     また、 少子化の中で幼稚園では園児減少が課題となっています。 認定こども園は、 幼稚園と保育園の問題点を解決できる期待された施設であるはずですが、 実際には余り整備が進んでいないのが現実です。
     子育ての環境や課題は、 地域や職場、 家庭、 さらには個人によって異なります。 それらのニーズに合った施策が求められます。 さらに乳児、 幼児、 学齢期など年齢によっても変わってくるため、 きめ細やかな対応が必要です。 今議会で提案された 「富2 (じ)、 3 (さん) っ子」 には、 各市や町のアイデアを求めて生かしていくという事業がありましたが、 現場に即した対応がなされるよい取り組みであると期待しています。
     静岡県の若者がみんな二人や三人は子供を持とうという希望に満ちた社会となるために、 二十二年度末までという限られた期限の中で、 県は安心こども基金をどのように効果的に活用していくのかを伺ってひとまず質問を終わります。 ありがとうございました。 (拍手)
    ○副議長 (堀江龍一君)  川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  佐野愛子議員にお答えいたします。
     初めに、 理想の静岡を実現するための教育改革についてのうち、 静岡式三十五人学級の継承・発展についてでございます。
     まず、 決意を問うということでございましたが、 私はこの三十五人学級の実現に向けて全力を投入するという決意をまずここで申し上げたい。 平成十六年度からいわゆる中一ギャップの解消を目的に導入いたしました、 少人数指導か少人数学級かを学校がみずから選択できる中学校一年生支援プログラムを、 本年度から中学二年生まで拡大して静岡式三十五人学級編制として実施しているところでございます。 議員御指摘のように、 該当の学校やその学校の保護者からは大変好評でございます。 それを中学校三年生へ拡大するようにという声も聞かれていることは重々承知しております。
     静岡式三十五人学級編制の拡大にどのように取り組んでいくか、 具体的にどうするかということでございますが、 まず三十五人学級編制のその成果を見据えたい、 そしてその課題を明らかにしたいということで検証する期間をちょうだいしたいと思っております。 といいますのも、 例えば規模の大きな学校では該当する学年が多くなりますために、 普通教室や特別教室の不足も予想されるということでございますので、 そうしたために段階的にこれを実現していくことが大切であろうと思っている次第でございます。 これを中学三年生のほうに持っていくか、 それとも小学校のほうに下げていくかということも含めて検討させていただきたいということでございます。
     そして、 教員定数に関しましても、 国加配を活用してもなお不足するというふうに試算されておりますが、 この不足する分は県単独加配の措置もしてまいりたいというふうに考えておりますが、 ともかく目下のところは導入する学年につきまして、 静岡式三十五人学級編制を適用した学年や、 小学校一年生学級支援事業を実施している学校の成果を見据えまして課題を明確にして、 そして各学校の現場に即した要望等を踏まえて、 実現可能な案を段階的に検討してまいるというように考えております。
     次に、 日本の理想を静岡においてつくるための食と農の改革についてでございます。
     魅力ある地域資源を活用したいわゆる六次産業の創出についてでありますが、 本県は富士山に象徴される美しい自然、 高品質で多彩な農林水産物、 歴史に培われてきた豊かな食文化、 日本を代表するものづくりの技術、 そして報徳の思想を実践するすぐれた経営者に恵まれているということでございますので、 まさに 「日本の理想郷―ふじのくに」 を実現するにふさわしい場の力を備えている地域であると考えております。
     とりわけ中山間地域には、 人々が訪れてみたくなるような景観  緑豊かな森林、 整然と手入れされたお茶畑、 大切に守られている棚田、 ミカンやワサビといった農芸品など、 農業や林業が営まれていることによってはぐくまれてきた数多くの地域資源が存在しております。
     そうしたことから、 これまでも中山間地域においては、 第一次産業を中心に地域の振興が進められてまいりました。 今後はこれまでのこのような取り組みに加えまして、 そこに暮らされている人々が中心になって、 その地域資源を最大限に活用しようという、 そういう姿勢を西から東から南から北まで持っていただきたい。 そして各種の団体、 企業と連携をしていただけるように県が仲立ちをいたしまして、 一次産業、 二次産業、 三次産業を自在に組み合わせた六次産業を創造していくというように考えております。 それは供給地から消費地までを踏まえるということです。 それをふじのくに全体で完結するというふうに考えるということです。
     そういう観点から言いますれば、 フードマイレージ  食料の重量と運ばれる距離数を掛けたもの、 この値をなるべく小さくすると。 それはフードだけではなくて第一次産品ですから木材もございます。 あるいは花もございましょう。 そうした物のこの地域で旬の物が楽しめると、 季節のものが楽しめるようにフードマイレージ、 ウッドマイレージ、 それを小さくするということが実は六次産業を高めていくための基本になるというふうに思います。
     第一次産業は、 新しい二十一世紀のフロンティアになると私は確信しております。 そしてそれは食料安保あるいは水資源を大事にするということも踏まえて、 これからの二十一世紀の時代の必ずモデルにこの地域がなれるというそのような大きな目標を持って、 私はこの食と農の改革を進めてまいりたいと思うわけでございます。
     六次産業の創造というのは、 単に異なる分野の事業者が連携をするということだけではありませんで、 やはり起業家精神とやる気ですね。 新しいことに挑戦するというアントレプレナーシップというのを持っていただく必要があります。 そして本議会にお諮りしております補正予算での感動を呼ぶものづくり道場。 これは何か新しい物がつくれたと、 それで新しい市場を生み出して売れた、 そして皆様方に喜んでいただいたというそういう感動を呼ぶものづくりというものが、 このふじのくにに満ち満ちているというようなそういう形をつくり上げるために、 私みずからが道場主となりまして、 中山間地域を含む県内のチャレンジ精神のあふれる経営者の皆様、 農林漁業者の方々にも参加していただきまして、 ふじのくにづくりを実現するための、 ふじのくにづくりの基礎としての六次産業をつくり上げまして、 そうした先進的な取り組み事例についてその道場におきまして情報交換をいたしまして、 そして同時に幅広いネットワークをつくり上げていくと、 それをもって日本のモデルとしたい。
     そのようないわば新しい日本の産業の形、 経済の姿というものを具体的にイメージできるように、 見ればわかるように、 県民の皆様とともにつくってまいりたいと考えております。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長 (堀江龍一君)  丸山県民部長。
            (県民部長 丸山康至君登壇)
    ○県民部長 (丸山康至君)  理想の静岡をつくるための教育改革についてのうち、 SPACの教育事業推進についてお答えいたします。
     感性豊かな青少年が、 演劇鑑賞を通じて多様な世界や考え方を知ることは、 人格形成に役立ち、 また実際に演技を体験することは表現力を豊かにして、 コミュニケーション能力の向上にも寄与すると言われております。 このためSPACでは、 これまでも学校に出向いて高校の演劇部を指導する活動や、 コミュニケーションが苦手な子供たちに表現する喜びを体験させるワークショップなど、 教育事業の充実に努めてまいりました。
     今後は、 県内の中学生、 高校生を学校単位で劇場に招待する公演の拡充や、 新たに子供たちが国際的に活躍する振りつけ家と協働で創作して、 かつ出演するダンス作品の巡回公演など、 青少年が舞台芸術に親しむ機会の一層の充実を目指しておりまして、 県といたしましても、 SPACの教育事業推進の取り組みを教育現場と十分に調整をしながら支援してまいりたいと考えております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  理想の静岡をつくるための教育改革についてのうち、 初めに藤枝特別支援学校の狭隘化解消についてお答えいたします。
     知的障害者を対象とする特別支援学校在籍者数の増加傾向は全県的なものであり、 特に志太榛原地域は他地域に比べて増加が著しく、 藤枝特別支援学校においては平成二十年度に当面の対応として八教室の校舎増築を行いましたが、 狭隘化解消には至っていないと認識しております。
     また、 去る九月十五日には、 志太榛原地域特別支援学校設置実行委員会及び静岡県立藤枝特別支援学校PTAの方々から、 特別支援学校設置に関する要望書と二万人を超える賛同者の署名を受け取りました。 提出にお見えになった保護者の方々からは、 特別支援教室の不足により普通教室が多目的室化しており、 作業机で日常の学習をせざるを得ないこと、 自閉症の子供にとっては、 教室の使い方が次々と変わるため落ち着いて学習に取り組めないことなど、 学校の窮状を伺いました。
     今回の要望では、 榛原地域への対応だけでなく、 志太地域から通う高等部生徒の増加や、 幅広い実態や教育的ニーズに対応できる教育環境の整備についても言及がなされていることから、 必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
     次に、 特別支援学級のあり方についてであります。
     議員御指摘のとおり、 これからの社会にあっては、 共生の理念のもと障害の有無にかかわらず、 お互いが認め合い支え合いながら生活していくことが大切であると同時に、 地域の子供は地域で育てるという意味においても、 障害のある子供もできる限り地域で教育を受けられるようにすることが重要であると考えております。
     しかしながら、 特別支援教育の本来の目的を考えたとき、 学校は集団教育の場であることから、 同世代の子供たちがともに学び合うことにより、 自立の基礎となる社会性やコミュニケーション能力、 他を思いやる心等がより高まるものと考えておりますので、 一人開設、 すなわち子供一人に対して先生一人という状況は子供の成長や発達にとって必ずしも好ましいものとは言えず、 特別支援学級の設置につきましては複数の子供で学級をつくることを中心に進めてきております。
     したがいまして、 本県では、 原則的には拠点校方式をとっておりますが、 子供の障害の程度や家庭環境、 生活する地域の地理的条件等を踏まえた上で、 必要と認められた場合には一人でも特別支援学級の開設を可能としておりますので、 今後ともその子その子に合った適切な教育環境を確保するよう努めてまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  岩ア空港部長。
            (空港部長 岩ア富夫君登壇)
    ○空港部長 (岩ア富夫君)  理想の静岡をつくるための空港活用についてのうち、 初めに管制機能の充実についてお答えいたします。
     六月四日の開港以来、 天候不順のため欠航や目的地変更が生じましたことは、 自然現象によることであるとはいえ、 利用者の皆様にはまことに申しわけない事態であったと認識しております。 八月二十七日の完全運用をもちまして、 それまで暫定運用のため使用できなかった航空機の進入角度を示す装置を含め計器着陸装置が完全稼働することになり、 就航率の向上に寄与するものと期待しているところであります。
     しかしながら、 今回の完全稼働によっても就航率を一〇〇%とすることは困難でありますことから、 さらに就航率を向上させる手法としては、 議員御指摘のとおり計器着陸装置の高カテゴリー化が考えられます。 計器着陸装置の高カテゴリー化には、 国が整備する無線施設や気象施設、 県が整備する航空灯火の双方の改良が必要となりますが、 事業化に当たっては事業の必要性、 緊急性の説明が不可欠でありますことから、 開港直後の気象状況だけでなく、 今後費用対効果の分析とあわせ気象状況や欠航状況の一定期間の実績を積み上げた上で、 必要に応じて国に働きかけてまいりたいと考えております。
     次に、 就航先との交流促進についてであります。
     県では、 就航先との交流人口を拡大し地域振興や産業振興に結びつけるため、 幅広い県民の皆様の参加を得て、 開港前から国内外の就航予定地に県民交流団やふじのくに交流団を派遣し、 富士山を初めとする本県の魅力を発信してまいりました。 この結果、 静岡市と鹿児島市の商店街の間で友好提携が結ばれ、 また聖一国師を御縁とする福岡県の産業界との交流や、 北海道と本県の旅館のおかみさん同士の交流が生まれるなど、 民間レベルでの交流が盛り上がってきております。
     また、 本年度は就航先との草の根交流を行う市町や団体等を支援する補助制度を創設し、 議員御紹介の藤枝市と韓国楊州市との姉妹都市交流や、 御前崎市の農業関係者による韓国蔚珍郡との交流、 福岡路線を利用した下田市民と山口県萩市民の交流などを支援しております。 交流団の派遣は草の根交流のきっかけづくりという効果もありますことから、 県といたしましては今月初めの熊本、 福岡に続き、 仁川世界都市祝典でにぎわう韓国や石川県にも交流団を派遣する予定でありますが、 このような取り組みとあわせ補助制度の活用による支援などを通じて、 さまざまな分野で民間レベルの交流が拡大するよう努めてまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  大須賀厚生部長。
            (厚生部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○厚生部長 (大須賀淑郎君)  理想の静岡をつくるための子育て支援についてお答えいたします。
     安心こども基金の活用についてでありますが、 この基金は、 待機児童の解消に向けた保育所整備を中心に、 すべての子供と家庭への支援、 一人親家庭対策の拡充、 社会的養護の充実により、 子供を安心して育てることができる体制整備を目指すために設置したものであります。
     県では、 この基金を活用いたしまして、 子育て支援センターや放課後児童クラブなどにおいて子育て経験者等に応援隊として活躍していただいたり、 保育ママ事業の促進や県民一人一人が子育てを応援する意識の啓発など、 地域ぐるみで子育て支援体制を強化することとしております。
     これら県が実施する事業に加えまして、 市町の自由な発想による地域の実情に応じた子育て支援策に対しましては、 二億円の助成枠を確保するとともに、 地域の創意工夫による好事例等を情報提供するなど基金の積極的な活用を働きかけているところであります。 既に市町からは、 就学前児童を含んだ三世代交流や高齢者による児童見守り支援などのすぐれた計画が提案されておりまして、 大変期待をいたしております。
     県といたしましては、 基金を活用した事業を契機といたしまして、 子供を二人から三人産みたいという若い世代の希望にこたえられるよう、 県民や市町村と連携して子育てを地域全体で支える環境づくりに努めてまいります。
    ○副議長 (堀江龍一君)  二十六番。
            (二十六番 佐野愛子君登壇)
    ○二十六番 (佐野愛子君)  御答弁ありがとうございました。
     知事の六次産業にかける熱い思い、 そして起業家もやる気を持ってチャレンジしなければならないという感動ある道場が楽しみです。
     少し質問が左右しますが、 私が質問した特別支援学級のあり方の共生の社会について知事はどのように考えているか、 少し知事からのお考えを聞きたいと思います。 特別支援学級のあり方、 教育長が答えていただきましたが、 目指す障害を持つ子も持たない子もともに暮らす共生という事例について、 知事はどのように考えているか、 よろしいでしょうか。
     質問がまたあれですが、 教育長にお伺いします。
     今後、 静岡三十五人学級、 継承・発展という御確約はいただきましたが、 やはり県立高校には一人一台パソコンのIT化等、 物の支援が県でできるわけです。 義務教育の小中学校に対しては、 やはり人材をそろえるということが県としてできる大きな支援であると思います。 ぜひとも、 これから支援員、 また加配等どうしても三十五人学級をやるには、 少人数学級の部分を教員が加配のクラス増のほうに回るため、 現場では苦しい学校運営となっています。 加配についての教育長の御所見を伺いたいと思います。
    ○副議長 (堀江龍一君)  川勝知事。
            (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事 (川勝平太君)  障害を持っている子供たち、 あるいは障害を持たれている大人の方々、 こうした方々は、 社会の中でいられるのは当たり前のことでございますので、 その人たちを排除するとか、 あるいはその人たちを差別するようなことがあってはならないというふうに考えております。 もし自分の子供が障害を持っている、 あるいは自分がもし障害を持つような状況になったということを思えば、 周りの人たちが支えてくれて自分の力を出せるようにしてくれるということがいかにうれしいかと。 そしてまた、 その感謝されるということが助ける側にとっていかに幸福を感ずることになるかというふうにも思いますので、 特別支援学校を含めた障害を持っている方々に対して、 その人たちが社会の一員として、 そしてそれぞれの持っている能力と、 場合によっては  チャレンジドというたしかNPOがあったかと思いますけれども  社会に貢献して税金を払いたいというような自立の志向、 こうしたものを持っていただけるように、 共生の生き方をこの社会に根づかせまいりたいと……。
     いわゆる弱肉強食というのではだめだということであります。 弱肉強食というのは人間社会におけるマルサスの社会観察をダーウィンが動物社会に適用して、 それがいわゆる進化論の基礎に置かれたものでありますが、 この国が独創的に出した考え方というのはすみ分けというものであります。 それぞれが生きる場所を持ってお互いに共生していくと。 これが動物の社会であり人間の社会でもあろうと。 動物から謙虚に学びなさいというような今西錦司の生物哲学もございます。 そうしたことからお互いの命を大切にするということでございます。
     答弁するべき内容ではありませんが、 さらにつけ加えて申し上げますれば、 ダイバートを避けるためにカテゴリーをTから上げていくと。 これを費用対効果という観点から述べるのは本当に正しいかどうか。 これは安全にかかわる問題であります。 ですから最初からカテゴリーVを目指すべきではないかと思いますね。
     私も熊本に参りました。 先ほど藪田議員のとき、 私、 手を挙げたんですが議長先生の目にとまらなくてですね、 そうしたこともございますのであわせて御答弁申し上げますと、 熊本は高台の百九十メートル余りのところに空港をつくりました。 本空港は百三十二メートルです。 向こうはさらに高いために、 熊本空港開港当初はダイバートがもう引きも切らない状態で、 その都度大変に不評を買ったということでございますが、 今はカテゴリーVにした。 そうするとあちらこちらでダイバートをせざるを得ないような飛行機が熊本空港に着陸してくるという、 今、 事態になっております。
     私は費用で考えるべきかどうかと。 既に九六%という就航率だと。 そして二千五百メートルでILSをカテゴリーTで導入したと。 だれがカテゴリーTと決めたんですか。 国交省のなるほど認可が要ったでしょう。 国交省がカテゴリーTと言ったのか。 それともこちらの空港部がそういうふうに言ったのか。 費用で考えるべきなのか。 カテゴリーTだと五十億だと。 カテゴリーVだと八十億だと。 三十億を節減するのは何の考えによってなのか。
     もちろん経費を節減するということは大切な仕事です。 しかし七十六人乗りの、 もし飛行機が激突でもするようなことがあったらこれは大変な事故になります。 その補償をどうしますか。 その補償をしなくて済むように、 そのような事故に遭わないようにすることが本来の空港のILSの目的であるはずです。 ですから私は部長と同様にカテゴリーの高度化を目指します。 熊本空港がそうしてるようにカテゴリーVを目指す。 しかししばらくは、 これからのダイバートの状況を見ていかなくちゃならない。 つまりダイバートがあればあるほどカテゴリーを上げられることができる。 あたかも目的地変更があることが望ましいというふうな本末転倒した議論になりかねません。
     ですから、 基本的に命を大切にするという観点から、 カテゴリーVをありとあらゆる手段を使いまして、 これから目指してまいりたいというふうには思っておりますが、 しかし一たんILSカテゴリーTという形でスタートしておりますために、 その手続というものは尊重しなくちゃなりませんが、 私の命尊重と、 そしてまた障害者を含めた方々と共生して生きていくというのは、 これは共通する考えに基づいております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  三十五人学級編制についての加配についての再質問にお答えいたします。
     加配につきましては、 国からの加配を上手に使って三十五人学級編制をやれれば一番いいわけですけれども、 先ほどの知事の御答弁にもありましたが、 なかなかそれだけではやりおおせないというところについては当然県の単独ということも考えざるを得ないかと思いますが、 まずは国に対して三十五人学級編制が望ましいんだということを、 いわゆる全国の教育長協議会もきちんとした形で要望を出しておりますので、 まずは国に定数の改善措置に向けての働きかけをしていくというのが一番かなというふうに思っております。
     三十五人学級編制ができて、 かえって学校が忙しくなったとか、 マイナスが出てきたというふうなことが決してあってはならないと思います。 ですので今行われている加配について、 十分に私たち学校の実情を見ながら、 適切に配置してまいりたいというふうに思っております。
    ○副議長 (堀江龍一君)  これで佐野愛子君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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