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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和4年6月静岡県議会定例会 質問


質問者:

相坂 摂治 議員

質問分類

一般質問

質問日:

06/21/2022

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について
 o 知事の組織運営に対する考え方
2 熱海市土石流災害への対応と今後の盛土対策について
3 新型コロナウイルス感染症対応の総括について
4 ウイズコロナ時代の経済政策について
5 静岡市の海岸地域における一体的な魅力向上に向けた取組について


○副議長(和田篤夫君) 開議に先立ち、御報告いたします。
 本日は、説明者として難波静岡県理事が出席しておりますので御承知おき願います。

 ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第八十六号から第百五号までを一括して議題といたします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、三十九番 相坂摂治君。
       (三十九番 相坂摂治君登壇 拍手)
○三十九番(相坂摂治君) おはようございます。通告に従い一括質問方式で一般質問を行います。
 まず、知事の政治姿勢について、知事の組織運営に対する考え方を伺います。
 この六月議会では二件の人事案件が焦点となりました。一件は地域外交における非常勤特別職の人件費が補正予算案として提案されるはずでしたが、議会の反応を感じ取ったのかすぐに人件費部分は減額されました。そしてもう一件は後ほど追加提案される難波副知事の後任問題です。
 さて、この二件はいずれも今議会で審議される案件でありながら現時点ではいずれも議案ではないという奇妙な事態です。問題にしなくてはならないのはこれら人事案に該当するお二人の経歴等ではなく人事選考に対する県の姿勢です。
 知事の人脈から選考された余人を持って変え難い人物だと三月末で一度退任されていた東郷氏について推薦の説明を受けましたが、県からは地域外交における特別職の必要性についても語られず、他の候補を検討したという経緯もなかったようです。
 こうした人事案の提案や取下げは慎重に準備し着実に進めなくてはその方の人生を振り回すということになりませんか。法的な越権行為を指摘されその報酬額に議会の賛同が得られなかった県庁幹部職員の離職、業務実態と報酬額に整合性が得られず当初予算の人件費減額によって離職となった非常勤特別職、この二月議会はまだ僅か三か月前の出来事です。知事や人事担当の方々はこれをどのように受け止めていたのでしょうか。
 そして副知事の人事案です。思い起こしてみれば最後の県企画担当部長です。これから質問の本題に入りますが、質問のテーマはまさに企画立案部門の知事直轄組織からの独立です。
 さて、川勝知事、出野副知事以外の方はこの議場ではほぼ全ての方が新任です。県庁実務の全てのセクションの事務責任者であり決裁者である部長職が全て新任ということです。議会に臨む県の姿勢にも疑問を感じますし、これを会社に例えるなら経営陣総入替えという事態です。これを異常だと思わないほうが不思議です。
 こうなった理由は明白です。知事は側近の方が持つ個人的なスキルを信用するあまり公務員としての技術や精神の継承、組織の均質な高度化と成長にほとんど関心がないのではないかと感じます。一部の側近を知事直轄の要職に据え財政出動への決裁と総合政策の立案をそこに統合し、部長職は再任用の横並びで組織運営をした結果が今日の議場の事態です。
 私たち自民改革会議はこの数年間問い続けてきました。企画部の廃止によって部局横断型の課題への対応が遅くなり全組織的な政策立案能力が低下していないか。予算を使う総合計画と財政部門という財布とを知事の元に統合して予算案の作成や執行の優先順位に本当にチェック機能が働いているのか。屋上屋を積み上げるようなかつての副知事三人制は現場職員を統括する部長職の決裁権に過剰な影響を与えていないか。副知事が現場以上に特定のミッションに従事することが部長職相互の連携や会議における情報共有と意思形成を阻害していないか。
 知事も経営管理部も現場の人事課もこうした指摘に耳を傾けませんでしたが、人事の引継ぎや情報共有、縦割りによる弊害は熱海市土石流災害に関する県の見解、対応でも何度も職員の意識改革、組織文化という言葉が繰り返されており、これは現場職員の問題であるばかりでなく県庁幹部の皆さんにも共通の課題ではありませんか。
 質問です。本県人事ではどのように職員の能力を評価しているのか。年功序列制を超えた実力主義が実現しているのか。各部長の決裁が知事直轄組織の決断で覆されるようなことはないのか。働きがいのある職場の実現、公正にその能力が評価される人事制度、再雇用によらず職員の技術や精神、行政課題や訓練経験がスムーズに後任者に継承される仕組みづくり、さらには今後の公務員定年延長に伴う新しい人事の在り方など静岡県庁の行政体制はこの過渡期に新たな指針を持つべきだと考えますが、知事の御所見を伺います。
 次に、熱海市土石流災害への対応と今後の盛土対策について伺います。
 昨年七月三日に発生したこの災害でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
 国が実施した全国の盛土総点検では、一千八十九か所に問題があったと今年三月に報告されました。うち百九十三か所が本県の事例です。一九九六年、一九九七年、二〇〇五年、再三にわたって県議会でも本県の土採取等規制条例などをより厳しく改正すべきとする趣旨の質問がなされてきましたが、熱海市での災害を経るまで実現することはなく問題を抱えたままの盛土箇所数にもこの結果が現れております。
 先月十三日、逢初川土石流災害に係る行政対応検証委員会から最終報告がなされました。同十七日には当時の難波副知事が報告書に対する県の見解・対応を示し詳細を説明されました。熱海市で行われている百条委員会は年内での取りまとめを目指しており、被害者遺族らが原告となっている損害賠償請求訴訟においては土地所有者ら被告から本県に対しても訴訟告知書が送られてきており、災害から一年いまだ解決の兆しはありません。
 県は、今後の対応として土採取等規制条例を改正し罰則の強化と許可制への移行を盛り込み来月一日から施行することとし、くらし・環境部に盛土対策課、経営管理部に困難事案支援チーム、関係諸機関の連絡調整の場の設置も示されました。こうした改善への取組には敬意を表したいと思います。
 しかし、検証委員会の最終報告、これに対する県の見解、対応、熱海市百条委員会の議事録、さらには県と市がそれぞれまとめた当時の関係職員からのヒアリング結果や公文書などの膨大な資料には不明瞭な箇所が数多く目につきます。
 まず指摘しておきたいのは最終報告に記載された委員からの提言についてです。
 第一に、届出書や申請書の受付審査、受理の厳格化。第二に違法状態を是正するために指導、命令、代執行などを遂行するに当たり担当職員が迷うことなく手続を進められる仕組みづくり、これらは今回得られた教訓として必ず実現しなくてはならない事項です。またこの災害に関するあらゆる資料を拝見すると一層疑問が深まる事項や課題がありますので、質問に入る前に三点指摘しておきたいと思います。
 一点目は、関わった職員の行動や足取りに不明瞭の点が多くなぜそれを行ったのか、あるいはなぜそれを行わなかったのかについて県の主張が周囲にほとんど理解されていないことです。特に市との間にある見解の違いは今後大きな争点になると思います。
 二点目は、県職員の実務に関する疑問です。打合せ記録、電話応対の有無、開催された会議の記録など公文書には不備が多く今回のヒアリング調査や百条委員会でも記憶に頼らざるを得ない状況となっており、議論が要領を得ず事実の検証すら示されておりません。改めて公文書や記録などの実務について手順やルールを確立していただきたいと思います。
 三点目は、組織運営上の問題です。県が示した業務引継ぎに関する資料では、この案件に関わっていた職員がごく一部に限られ直属の上司も把握していなかったり、事業者からの申出や報道機関からの指摘についても情報共有がなされず後任者への引継ぎからも消えております。
 以上の問題点から生じた県と熱海市との見解の違いは、森林法適用の是非、盛土行為の一体性の定義、市の措置命令発出の見送りに関する情報共有の有無などで争点となっており、こうした不明瞭さは今後被害者の方々の求めに誠実に応えていけるのか大きな疑問を感じさせます。こうした原因が重なって行為面積が一ヘクタールを超えていたか否かにかかわらず結果として逢初川の崩落箇所に七万立米にも及ぶ盛土を存在させたこととなり、最後までこの行為への対応を罰則僅か二十万円の法体系で対応しようとしたことはまさに痛恨の極みです。
 質問に入ります。
 一点目、甚大な被害が発生したことに対する県の責任をどのように考えているのか。
 二点目、今回の災害を抑止できた機会は幾つもあったと思いますがなぜ防ぐことができなかったのか。
 三点目、県の見解・対応で記載された最悪の事態を想定するための職員のスキルの向上。
 四点目は、市町に移譲した事務について。特にこれらは土石流に限らず担当職員の技術、訓練の度合い、能力、機関の規模などを検証し県民の生命と財産につながる業務全般について現状に潜む課題を洗い出し担当の適正を改めて判断するべきだと感じます。この点検作業についてどこがどのようなスケジュールでどのように進めていかれるのでしょうか。
 五点目は、百九十三か所の不適切な盛土の是正に対する県の方針。
 六点目は、検証委員会の最終報告や県の見解・対応において示された過程や事柄について今後の裁判などにおいて異なる事項や記載されていない関与などが明らかになった場合県の責任はどのようなものになるのか、以上六点についてお答えください。
 次に、新型コロナウイルス感染症対応の総括について伺います。
 発生から二年半が経過して、新型コロナウイルス感染症はワクチン接種の世界的な普及、治療薬や医療現場などの経験の積み重ねによる治療手法の確立が功を奏してようやく一区切りを迎えたように見えます。日本政府もウイズコロナの社会対応へとかじを切りました。
 そこで、この二年半で体験してきたことを振り返り以下の観点に留意して総括したいと思います。
 第一に、知事及び県行政からの情報発信について県民生活や経済活動に必要な情報を十分に届け、また不安を抱える県民へ励まし勇気づけると同時に多くの行動規制への協力を求めてきたことについて十分なメッセージを発信できたのかどうか。
 第二に、保健所の機能を保持するために人材不足をどう補い民間の協力をどのように体系化できたのか。体調不良を訴える県民への窓口や電話対応、自宅などで療養する陽性者や濃厚接触者の容体の把握、医療機関への適切な患者の振り分け、そして濃厚接触者への検査の実施など保健所が担う事項は多岐にわたりました。
 第三に、医療機関や福祉施設での感染防護対策における人材、設備、備品などの不足への対応についてです。感染予防のためあらゆる階層が行動を自粛する中、医療・福祉の従事者は防護体制が万全ではなかった初期から休むことも許されず国民の予防と治療に貢献してくれました。しかしながらこうした機関での防護対策には予想以上の時間を要しました。
 第四に、迅速なワクチン接種の実現と接種率向上への課題についてです。これは今なお進行中の取組ですが、多くの県民が三回の接種を経て副反応の強さや感染力や重症化率の低下から今後の接種に消極的な声も聞こえてきます。こうした現状を踏まえて今後の感染症対策の課題として確立していかなくてはならない事項は何か、御所見を伺います。
 次に、ウイズコロナ時代の経済政策について伺います。
 昨年秋頃から欧米を中心にウイズコロナ経済への転換が始まり、我が国でもゴールデンウイーク明けから観光旅行への奨励支援が動き始め現在のエリア型観光から全国的な旅行への支援へと拡大することになりました。しかしウイズコロナへの転換は急激な生産・消費活動の拡大につながり物資の供給不足と連動する形で原油・資材の高騰を招く一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻がロシア産のエネルギーや資材の輸入禁止措置をもたらしこれらの価格高騰に一層の拍車をかける結果となりました。
 こうした中、県は今年三月に経済産業ビジョン二〇二二を示しました。ビジョンの構成は先端産業創出プロジェクトの八分野を中心にこれまでの施策を整理したものですが、政策目標を達成するための具体的な数値は記載されておらず施策の類型化にとどまり経済効果や成長戦略も明確には記されておりません。改めて、ウイズコロナ社会から本格的なポストコロナ社会への移行に際しては数値目標を明確に記載し社会全体で共有していただきたいと思います。
 さて、ビジョンの至るところで見られるのが新たな産業インフラの登場です。これまでのファルマバレープロジェクトやフーズ・ヘルスケアオープンイノベーションプロジェクトのような特定の産業分野での成長ばかりではなく、今後はIoTの活用による技術連携から産業の効率化を促進したりAI利用による省力化の実現と生産革命、SDGsの理念に沿った産業構造への転換が新エネルギーの導入を拡大し新しいモビリティーや情報技術が多様な分野の連携を実現するなど、あらゆる産業の発展を後押しする産業インフラとも言うべき分野がこれからしばらくの間のニュービジネスになると言われています。こうした新しい技術が県内の様々な産業と結びついていくための仕掛けをどうするかというのが本県経済の当面のテーマだと思います。
 本県の強みでもある企業誘致活動がこうした分野に挑戦している地元中小企業のビジネスチャンスにつながるような支援の在り方、まちづくりにおけるリノベーションにおいてこれらの技術が活用されるための支援などは市町任せにせず、より大きな財源を有する県が総合的な産業政策として実現してほしいと思います。民間の投資意欲を引き出すような支援メニュー、コロナ禍で顕在化した地元企業の業態転換への意欲、これらに応えるための一層の支援策の充実などを視野に入れ県が重点を置く新しい産業への県の方針を伺います。
 次に、静岡市の海岸地域における一体的な魅力向上に向けた取組について伺います。
 静岡市には東の蒲原地区から西の石部地区まで延長約二十九キロの海岸線が延びています。県が示した清水港の長期構想では日本第十位の貿易港として新興津・興津・袖師・江尻地区などの整備が注目されてきましたが、折戸湾から三保地区にかけても新しい動きが見られるようになってきました。
 折戸湾では、豪華ヨットを迎え入れる桟橋の整備や遊歩道整備によるにぎわい創出とともに海上レストランなどの民間の構想が検討されており、三保の内浜ではプロのウインドサーファーが中心となってにぎわいの拠点づくりに取り組んでおり、昨春廃屋となっていたホテルをリニューアルして教育旅行を誘致したり水上バスの待合スペース用に改装したり、さらにこの夏には一階にはレストラン、二階にはキッチン付の豪華な宿泊施設が入る商業施設を開業させる予定だと伺っています。
 ここから西にかけて三保の松原、東海大学海洋学部の学生の集積と陸上養殖、駒越地区では大規模な商業モールも定着し久能のいちご街道と久能山東照宮、大谷地区では区画整理事業で新たなまちづくりが計画中です。さらに旧マッケンジー邸の修繕に伴う市有地へのにぎわい拠点整備や市営大浜プールも民間提案により大規模なリニューアルが検討されており、安倍川を越えた長田地区の用宗では温泉施設や海水浴場前の商業施設、古民家をリノベーションした高級ホテルも登場し沿岸部では隙間なく新たな挑戦が続いています。
 しかし、こうしたまちづくりの取組はまだそれぞれが独立して単独で動いている点にすぎません。私はこれらの点の動きを線につないで面に広げ、一人の成功が他の成功を呼び込み全体の成功がさらにプレイヤーを集め成長していく大きな流れになることを期待しています。
 そして、この沿岸部には県の取組もあります。
 一つ目が、二〇一五年から整備が始まり昨年度末で延長の約五三%の完成まで進んだ静岡海岸の防潮堤の整備で、既に多くの市民が生活の一部に取り込みランナーやウオーカー、サイクリストなどが日常的に見られるようになりました。
 第二に、久能山麓にある果樹研究センターの跡地利用。過去県議会本会議でも地域からの要望が紹介されたり知事発案のロープウエー構想などが登場したこともありましたが、いまだその活用は決定しておりません。
 そして三つ目が、清水港長期構想に位置づけられた折戸湾での官民連携による新たな挑戦や地域の美化のために様々な方々が協力してきた三保の内浜の活用などの清水港南部における地域と一体となった取組です。
 そこで伺いますが、静岡市海岸線におけるこれらの県事業について市と連携した地域振興の観点から県として今後どのように取り組んでいかれるのか、県の方針を伺います。以上、答弁を求めます。
○副議長(和田篤夫君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 相坂議員にお答えいたします。
 私の政治姿勢についてであります。
 私の組織運営に対する考え方についてでありますが、まず人事評価制度につきましては本県では平成二十八年度から職員が職務の遂行に当たり発揮した能力や業績に着目した人事評価制度を導入しております。この評価結果を人事配置に反映して若手職員も積極的に登用するなど能力及び実績に基づく人事管理に努めているところでございます。
 次に、事務決裁における知事戦略局の関与についてでありますが、重要な施策につきましては政策調整会議、あるいは知事戦略会議などの場で関係者が一堂に会しまして開かれた場での議論を経て方針を決定した上で静岡県事務決裁規程における決裁権限に従って適切に処理をしております。
 最後に、県の行政体制に関する指針についてでありますが、高度化、また多様化する行政課題に迅速かつ的確に対応するとともに、新たに導入される定年引上げ等の考え方も十分に踏まえた上で人材育成や毎年度策定しております組織改編、人事異動に関する基本方針を時代の変化に適合したものへと見直しを行ってまいります。
 県といたしましては、地方公務員制度の大きな変革期におきまして役職定年制を適正に運用し組織全体としての活力維持を図るとともに、六十歳を超えた職員の豊富な知識、技術、経験などの若手職員への継承を促し組織全体のパフォーマンスを高めることでこれまで以上に生産性の高い行政経営を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。
○副議長(和田篤夫君) 出野副知事。
○副知事(出野 勉君) 新型コロナウイルス感染症対応の総括についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症への対応は三年目を迎えております。この間の対応といたしまして、まず情報発信につきましては定例記者会見の場において知事から直接県民の皆様に感染拡大防止の呼びかけを続けてまいりました。また全ての県民の皆様に御理解頂けるようSNSやインターネットの動画配信も活用しながら、科学的根拠に基づく情報発信と丁寧な説明を常に心がけてまいりました。
 保健所の機能の保持につきましては、第五波以降の爆発的な流行の際に逼迫した保健所業務に対応するため全庁からの職員の応援や人材派遣の活用などの体制を構築するとともに、自宅療養者への健康観察や食料の支援、パルスオキシメーターの配付などについて可能な限り民間事業者への委託により効率化を図ったところであります。
 医療機関や福祉施設における対応につきましては、簡易陰圧装置など感染防護機器の整備への支援やクラスターが発生した福祉施設への職員の派遣体制を構築するとともに、流行初期におきましてはマスク、ガウン、消毒液等の感染防護資材が大変不足いたしましたので県での一括購入や国から供給される資材の施設への円滑な配付に努めたほか、マスクについて県内の生産会社と優先供給協定を締結したところであります。
 ワクチン接種につきましては、三回目接種の全世代の接種率は六割を超えておりますが二十代から三十代の接種率はいまだ五割を下回っております。このため県といたしましては大規模接種会場において接種券なし、予約なしの接種や企業等の団体接種を行うとともに、受付終了時間を延長するなど若年層が接種しやすい環境を整えてまいりました。またこれまでのワクチンに比べ副反応が少ないとされるノババックス社製ワクチンの予約枠を増やすなどの対応を進めているところであります。
 こうした県民の皆様への丁寧な情報発信や保健所機能保持のための効率化などの対応はこれからの感染症対策にも引き継いでまいりますが、一方で今後に向けた課題も明らかになってまいりました。まず医療関係者と連携し適時適切な感染症対策を推進するため司令塔部門が必要となります。また的確な情報発信のためには保健所、医療機関などが感染状況や病床の状況を共有できるICTを活用した情報プラットフォームが欠かせません。さらに感染症への対応力を上げるためには専門人材の養成も進めていく必要があります。
 これらの課題の解決のため、来年四月に向けて仮称ではありますがふじのくに感染症管理センターの開設準備を進めております。今回の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ将来の感染症に備えるため司令塔機能の確保、情報プラットフォームの構築、人材の育成、この三つを大きな柱として運営していくこととしております。
 県といたしましては、県内医療機関や県医師会、県病院協会、県看護協会等の関係団体、国立遺伝学研究所等の研究機関など様々な機関と連携しながらこれまでの経験を生かして本県の感染症への対応力を強化し防疫先進県を目指してまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 難波静岡県理事。
○静岡県理事(難波喬司君) 熱海市土石流災害への対応と今後の盛土対策についてお答えをいたします。
 六点の御質問項目につきまして私から一括してお答えをいたします。
 一点目の災害についての県の責任の受け止めでありますが、今回の災害につきましては県の行政対応は裁量の範囲内であったと認識しておりますが、結果として甚大な災害の発生を防げず多くの方々の生命財産を守ることができなかったことについて誠に申し訳なく深く反省をしております。
 二点目の抑止する機会が幾つもあったがなぜ防ぐことができなかったのかについてです。県の行政対応において災害の発生を抑止できなかった要因を考えるときは、職員や組織の行動自体を見るだけではなくなぜそういう行動を取ったのかという行動の根底にあるものを見ることが必要だと考えます。根底にあるのは大きくは二つです。最悪の事態の想定ができなかったことと自分が所管する法令の権限の範囲内での事務にとどまったことです。そのさらに根底にはそのような行動となってしまう組織の行動習慣があると考えます。この結果盛土の大崩落という事態を想像できず、県民の生命財産を守るために自分の権限の範囲を超えるものも含めてありとあらゆる方法を尽くすという行動に至らなかったものと考えております。
 三点目の最悪の事態を想定するための職員スキルの向上につきましては、スキルとは技術的な能力と言えますがそこで言う技術や能力においては事務処理能力よりもむしろ職員の意識、問題に取り組む姿勢、ものの見方、考え方、こういったもののほうがさらに重要であると言えます。職員一人一人が県民の生命と財産を守ることが自らの使命と認識し、そんなことは起こらないだろうとか多分大丈夫だろうとか思わず万が一、起きたら大変なことになるという最悪の事態を想定することが重要です。その上で個人任せにせずこれを組織として共有し、組織的に対処するという習慣を定着させることが重要です。
 このため、新規採用職員から上級管理職員に至るまで職員研修や日常業務の中など様々な機会を捉え、熱海土石流災害の事例を教訓とした意識改革と行動変容の徹底に繰り返し繰り返し継続的に取り組んでまいります。
 四点目は、市町への権限移譲事務の点検に向けた取組についてです。
 市町への権限移譲事務の点検につきましてはこれまでも毎年改善や見直し等を行ってまいりました。今年度はとりわけ県民の生命や財産に影響が及ぶおそれのある土木・建築等の技術的判断を要する事務に重点を置いて、各法令等を所管する県の担当課において事務処理状況の実態の点検を行います。既に作業には着手しており年内をめどに点検結果を取りまとめる予定です。
 その結果を踏まえ、事務要領等の改善を行い説明会等を通じて市町職員への周知、助言を行います。また市町への技術的支援も強化してまいります。また市町と協議の上、必要な場合は県への事務返還を検討するなど権限移譲の適正化に取り組んでまいります。
 五点目の不適切な盛土の是正に向けた対応についてです。
 生命の安全に関わる法令に関しては、法令違反があり住民の生命財産に影響が及ぶおそれがある場合には断固たる措置をちゅうちょなく取るということが大事です。
 このため、これまでの盛土総点検で問題のあった百九十三か所だけではなく今後盛り土一一〇番を通じて情報提供のあった盛土など新たな不適切な盛土に対しても部局横断的に設置する盛土等対策会議において情報を一元化し、案件ごとに行政処分等の方針を決定することによって組織全体で適切かつ厳正な行政処分等を行ってまいります。
 その際には、指導に従わない事業者あるいは行政指導を巧妙に回避しようとする事業者など行政対応が困難な事例があります。これらについても法令に基づく適切な行政対応ができることが必要です。このため経営管理部に設置した困難事案支援チームが法令の専門知識に基づき担当部局等に助言や指導などを行い事案の解決につなげてまいります。
 最後に、六点目の行政対応検証委員会の最終報告書等に記載された事項とは異なる事項等が今後明らかになった場合の県の責任についてです。
 行政対応検証委員会の検証は、その時点で得られていた情報を基にその時点での検証がなされたものです。行政対応検証委員会の役割はその時点で果たされたと言えます。
 今後、報告書や県の見解・対応に掲載された事項とは異なる事項や新たな事実が判明した場合は県が責任を持って公正かつ客観的な視点を持って内容を精査し、県としての検証結果やそれに対する県の見識、対応を改めて取りまとめて公表することなどにより真摯に対応をしてまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 増田経済産業部長。
○経済産業部長(増田始己君) ウイズコロナ時代の経済政策についてお答えいたします。
 本県経済は新型コロナウイルス感染症に加え原油価格・物価高騰等の影響により不透明感が続いております。成長軌道への回復に向けては、これらの危機に対応しながらデジタル化や脱炭素化の急速な進展等を経済活動の制約ではなく好機と捉え積極的に推進していくことが重要であります。
 こうした認識の下、県では本年三月に新たな経済産業ビジョンを策定しウイズコロナ時代における持続的な成長を目指し中小企業支援に取り組んでいるところであります。
 具体的には危機に強い事業や業態への転換を図る取組に対し助成を行っております。制度を創設した令和二年度以降、オンラインを活用した新たなサービスの提供など千件を超える新たな挑戦が生み出されております。また本議会では物価高騰等の中にあっても民間の投資意欲を引き出すため助成経費の増額をお諮りしているところであります。
 これまで、県はファルマバレープロジェクト等を進めることで中小企業の参入や事業化を促してまいりました。加えて新しい技術を県内の様々な産業と結びつけるため今年度新たにIoT導入推進コンソーシアムや企業脱炭素化支援センターを設置いたしました。これらのプラットフォームを通じ中小企業単独では取り組むことが難しい人材育成や計画策定、設備投資に向けた支援を進めてまいります。
 県といたしましては、県内事業者が相互に刺激し合い新たな投資機運を高めることで経済産業ビジョンに掲げた製造業の一人当たり付加価値額四%増などの指標を着実に達成し、県内総生産の早期回復と持続的発展を図ってまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 土村経営管理部長。
○経営管理部長(土村暁文君) 静岡市の海岸地域における一体的な魅力向上に向けた取組についてお答えいたします。
 静岡市用宗地区から静岡海岸、三保松原、清水港にかけてのエリアは美しい景観、豊かな食材、多彩な歴史・文化資源を生かした観光施設、飲食施設、商業施設等に加え物流機能も備えた全国に例を見ない本県と静岡市が誇るウオーターフロント地域であります。
 当地域における県の事業のうち第一の静岡海岸の防潮堤については、市の参画を得て静岡方式により防潮堤の整備を進めるとともに防潮堤の一部がナショナルサイクルルートに位置づけられ、市と共に国内外への情報発信等を行っております。
 第二の果樹研究センターの跡地利用につきましては、地域の活性化につながる有効活用が図れるよう市との情報交換を積み重ねております。
 第三の清水港については、清水港長期構想に基づき市の協力を得ながら折戸湾や三保内浜においてマリンスポーツやにぎわいを創出する海辺の空間づくりを進めてまいります。
 県といたしましては、今後もソフト・ハードの両面から市との連携を強化しこうした取組を推進するとともに、知事と静岡市を含む中部地域の首長が直接意見交換を行う中部地域サミットの場などを活用し駿河湾沿岸地域全体の魅力を高めるための広域的な連携を深めるなど、静岡市の海岸地域における一体的な魅力向上に向けて取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(和田篤夫君) 三十九番 相坂摂治君。
       (三十九番 相坂摂治君登壇)
○三十九番(相坂摂治君) それぞれ御答弁を頂きました。
 要望を二点、再質問を一点申し上げます。
 まず、柑橘試験場の跡地についてです。
 暫定的な利用で結構ですから早急に御検討をお願いしたいと思います。
 知事のロープウエー構想発言によるものなのか、他の利用方法について検討した過程をほとんど伺うことがありませんでした。知事の政治姿勢に関する質問でも申し上げたとおり、企画部がなくなったために所管を決定する前段階で政策を練り上げる部署がなくなって柑橘試験場の跡地利用も全く進展がありません。もはや塩漬け状態です。恐らく県内にはこうした事例がほかにもあるはずです。知事直轄組織で検討して一定期間方針が定まらなかったものは、企画部門を復活してそちらで現場の職員の知恵を絞って政策を練り上げたらいかがかと思います。
 次に、熱海土石流災害への対応についてです。
 今回の本会議でも難波理事が担当として御答弁を頂きましたが、他部局にまたがる問題だとしても本会議では私は各部長が答弁するべきだと思います。それぞれの部で担当職員の現場の正直な意見を聞き担当課同士の見解をすり合わせ部としての答弁を作り上げ、その過程で部の中で意見の食い違いが生じたり他の部署に押しつけ合うようなことも起こるでしょう。しかしこの違いを明確にしてなぜ自分の部署でこれを処理しようとしなかったのかを、今それぞれのセクションの使命に照らし合わせてぶつけ合うことこそ私は犠牲になられた方々への誠意だと思います。
 現場の職員の方々にはもっと現場で感じている生の体験があるはずです。それを政策にする、そこから業務の効率化や改善を図る、組織にも現場主義が必要なのです。幹部職員の個のスキルへの依存体質から脱却して県民本位の意思決定、事務遂行を実現してください。
 再質問です。
 難波理事からは最悪の事態を想定する力、姿勢、意識、これが最も重要だと、これは県の対応・見解でも再三理事から述べられました。しかし私は様々な資料を拝見して、今回もっと焦点を当てなければいけないのは実務的なミスです。記録のなさ、共有のなさ、引継ぎのなさ。再質問で伺いたいのはこれらの実務的なミスと災害そのものの因果関係について知事はどう受け止めておられますか。再質問をお願いします。
○副議長(和田篤夫君) 質問者は知事に答弁を求めておりますので、知事いかがですか。
 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 熱海土石流に関する再質問についてのお答えをいたします。
 私も検証委員会の中身を拝見いたしました。それと併せて難波、当時の副知事の下でなされたそれぞれの県職員の行動履歴をつぶさに表になっておりますので見ました。その中で固有名詞は挙げられておりませんけれども、実際現場に赴いた人はお一人でした。技監の方でございましてその方は現場に行って判断は、これは崩壊の危険があるという認識を持たれたわけです。その後この方は昇進されましてナンバーツーになられました。そしてやはり現場に行かれまして崩壊の危険性があるという認識を持たれました。そのときは所長も持っております。ところがその方が恐らく定年で退職され、また所長さんもお代わりになってそのことが引き継がれなかったと。これは痛恨の極みであるというふうに思っておりまして、もちろん重要案件は必ずこれは引き継がれます。しかし重要案件につきましては引継ぎのときに現場にそこに言わば学ぶべきものがありますので、皆でそれを見ればどうすればいいか、あるいはどういう危険があるかといことが分かるはずです。ですから書類だけで見てきた結果重要案件は継承されつつもですね、残念ながらこの災害を防ぐことができなかったということで、ただこういう現場を見た人がした御判断は結果的に正しかったということがございまして、そこから学ぶのが一番大事であるというのが私の意見でございます。感想でございます。
 以上でございます。
○副議長(和田篤夫君) 三十九番 相坂摂治君。
       (三十九番 相坂摂治君登壇)
○三十九番(相坂摂治君) 御答弁を頂きました。
 最後にコメントだけして質問を終わりたいと思います。
 二〇一一年の夏頃からだったと思いますが、この熱海土石流の問題は県庁では東部福祉センターがほとんど一本で対応をしていたという事実に変わっていきます。しかしながらこれ以降数年の、この十年ほどの間の中でこの工事に携わった社員の方から県のあるセクションに崩落の危険を伝える連絡が入ったり、あるいは報道機関からも問合せがあったりしてきました。しかしなかなかこうしたことに対する共有が図られたりということは、報告書等でも指摘をされてありました。
 私が最後に申し上げておきたいのは、熱海市の百条委員会やあるいはこうした報告書等の報告、検証委員会等の第三者機関や他の機関からの指摘で様々なことに答えるのではなく、今知事がおっしゃったように自らの検証作業を通じて、この案件が県庁自ら自浄作用を発揮して他との食い違いがないように誠実にこの問題に対処していただくことを御要望申し上げたいと思います。以上で質問を終わります。
○副議長(和田篤夫君) これで相坂摂治君の質問は終わりました。(拍手)

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