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ここから本文です。

本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和元年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

廣田 直美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2019

会派名:

ふじのくに県民クラブ


質疑・質問事項:

1 知事の政治姿勢について  
(1) 次期総合戦略の策定  
(2) 令和二年度当初予算編成  
(3) リニア中央新幹線整備に関する静岡県の立場  
2 台風十九号の被害を踏まえた今後の災害対策について  
(1) 治水対策のあり方  
(2) マイ・タイムラインの推進  
(3) 地域における水防団の活動  
(4) 駿豆水道の水道管破損に関する対応  
3 建築物の耐震化推進について  
4 次世代に向けた環境政策の推進について  
5 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの円滑な運営
 に向けた輸送計画について
6 富士山静岡空港の就航促進と利用促進について
7 地域医療構想の実現に向けた取り組みについて
8 社会健康医学の県民への還元について
9 次期ふじさんっこ応援プランの策定について
10 地域と共生するメガソーラーの推進について
11 教員の授業力向上について
12 SNSを利用した児童の性被害抑止対策について


○副議長(中沢公彦君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を続けます。
 通告により、二十三番 廣田直美君。
       (二十三番 廣田直美君登壇 拍手)
○二十三番(廣田直美君) 私は、ふじのくに県民クラブの所属議員として分割方式で知事、副知事、関係部局長、企業局長、教育長、教育部長及び警察本部長に当面する県政の諸課題についてお伺いいたします。
 初めに、知事の政治姿勢についてのうち、次期総合戦略の策定についてお伺いいたします。
 平成三十一年一月に総務省が公表した住民基本台帳人口移動報告によれば、国内における静岡県の社会移動は五千五百八十三人の転出超過となり、日本人に限れば六千六百五十四人の転出超過となっています。一方東京都や神奈川県、埼玉県、千葉県といった首都圏の四都県では二十三年連続で転入超過となっており、東京一極集中に歯どめがかからず地方から首都圏への人口流出が全く抑制されていない状況が続いています。
 さらに、本県の転出の状況について細かく分析すると日本人の二十から二十四歳までの階層別の男女比では女性が男性の三・二倍となるなど特に若い女性の流出が顕著であることがわかります。その多くが大学等への進学を機に、東京を初めとする県外に出てそのまま本県以外で就職することが転出超過の大きな要因と考えられます。こうした点から人口減少対策のうち、特に人口減少の抑制戦略を推進する上では若い女性がいかに静岡県に戻ってきてくれるか、住み続けてくれるかという視点が非常に重要ではないかと考えます。
 また、社会の担い手として女性の社会進出の意識がますます高まり結婚、出産を望む若い世代が多い中、社会での活躍と出産や子育ての両立を可能とする環境の充実が求められております。私はよく、静岡県に愛着があり戻ってきたいけれども若い女性が働ける職場や魅力的な仕事が少ないという声を耳にします。こうした声に真摯に耳を傾けそのニーズに応えていくことが静岡県に住みたい、戻りたいと思われ、若い世代特に女性に選択される地域となることにつながるものと考えます。
 そこで、次期総合戦略において魅力的な雇用の場の創出や子育て環境の充実など静岡県が若い女性から選ばれるための施策をどのように展開していくのか、県の方針を伺います。
 次に、令和二年度当初予算編成についてお伺いいたします。
 静岡県の新ビジョンでは、生産性の高い持続的な行財政運営に向けた目標として収支均衡が掲げられ、財政調整用の基金に頼らない財政運営を目指していくものとされております。近年の予算の状況を見ると行政サービスに対する県民ニーズの多様化を踏まえた新たな施策の展開等に伴い、県の歳出規模は拡大の基調が続いています。一方歳入については、いわゆる骨太の方針で二〇二一年度まで地方の一般財源総額を同水準に据え置くとされており、今後も大幅な増加を見込むことは困難です。必要な施策を着実に実施していくことが求められる中で、歳入と歳出のバランスを図り基金に頼らない財政運営を達成するためには歳出の削減が必要不可欠であると考えます。
 県は、これまでも当初予算編成において歳出の見直しに取り組んできていますが実質的にシーリングなどによる歳出総額の調整が主体であり、また昨年度は新たに枠配分方式を導入したものの事業実施回数の縮減など部分的な見直しにとどまることも多かったと聞いており、抜本的な見直しや廃止に至っていないのが現状ではないかと考えます。
 こうした状況を受け、九月定例会の我が会派の田内議員が部局長のマネジメントによる事業見直しの徹底についての質問に対し、県当局からは来年度当初予算編成に向けエビデンスに基づく事業評価を強化するなど事業見直しの徹底を図るとの答弁がありました。さきに公表された令和二年度当初予算編成要領には新たに予算編成五箇条が示され、その中で優先度の高い事業はビルド・アンド・スクラップ  創造的破壊で選択するとされています。財政調整用の基金に頼らない財政運営の実現に向けては、新たに事業を立ち上げるのであれば既存事業の抜本的見直しをセットで行うことが不可欠となります。こうした観点から各部局の見直し内容について知事のもと、しっかりと検証することが重要であると考えます。
 そこで、令和二年度当初予算編成においてこのビルド・アンド・スクラップ  創造的破壊をどのように実践していくのか、県の所見をお伺いいたします。
 次に、リニア中央新幹線整備に関する静岡県の立場についてお伺いいたします。
 リニア中央新幹線の整備について大井川の水資源や南アルプスの自然環境への多大な影響が懸念される中、これまでJR東海と対話を継続してきました。昨年十一月の県環境保全連絡会議に専門部会を設置以降専門的な見地で議論を重ねてきたにもかかわらず、いまだJR東海からは十分な納得がいく回答がなく、むしろJR東海の対策の不備が次々と明らかになっていることに不安は一層増すばかりです。
 その一方で、県内ですら流域の八市二町の市町以外の地域からは、なぜ静岡県はリニア中央新幹線整備に反対しているのかといった声が聞こえてきます。他の都道府県においては議論の本質がほとんど正確に伝わっていないのが現状です。
 こうした状況の中、国土交通省もこれまでの見守る立場から一歩踏み込み交通整理役を担うと言っていますが、そもそもリニア中央新幹線の計画を認可した国土交通省が中立的な立場でこの問題に対峙してもらえるか心配しています。国土交通省が積極的に関与してくることで静岡県だけが事業に反対し進捗をおくらせているという世論が形成され、このまま対話が進んでいくことだけは避けなくてはなりません。
 ふじのくに県民クラブでは、リニアプロジェクトチームを立ち上げ勉強を重ねるとともに流域自治体議員や利水団体と意見交換を行い、流域に住む皆様の水に対する強い思いを共有いたしました。さらに十一月十三日にはリニア実験線のトンネル工事で水がれした山梨県上野原市に聞き取り調査に現場に行ってきました。この調査でトンネル工事後ではJR東海との交渉は極めてハードルが高いことを思い知りました。改めて流域六十二万人の命の水である大井川の水資源及びユネスコエコパークにも認定された日本の宝でもある南アルプスの自然環境を守るという静岡県の立場を、もっと世の中に理解してもらうべく取り組んでいかなければならないと考えます。
 今後は、静岡県対JR東海の対立構造といった世間一般の誤解を払拭し多くの人に本県の立場を理解していただくために県はどのように進めていくのかお伺いいたします。
 次に、台風十九号の被害を踏まえた今後の災害対策についてのうち、治水対策のあり方についてお伺いいたします。
 十月に伊豆半島に上陸した台風十九号は東北・関東・中部地方の広範囲で大雨となり、全国で百四十カ所の堤防が決壊するなど河川の氾濫や土砂災害などにより百名もの死者・行方不明者が発生し大きな被害をもたらしました。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに被災地の一日も早い復興を切に願っております。
 ことしの台風十九号による大雨にかかわらず、近年平成二十九年七月九州北部豪雨や平成三十年七月豪雨など過去に百年に一度というレベルで考えていた豪雨が頻発し、これまでの浸水想定の域を超えて水害被害が全国的に発生しております。
 台風十九号では、特に狩野川流域で伊豆市湯ヶ島の観測所において狩野川台風を超える記録的な大雨となりましたが、狩野川本川は国で整備した狩野川放水路の効果により本川堤防の決壊や洪水氾濫を免れました。しかし狩野川の水位上昇や支川のバックウオーター現象により洪水を流す能力が限界に達し、内水ポンプで狩野川等へ十分に排水できずに浸水家屋千二百棟を超える内水被害が発生いたしました。
 今後、地球温暖化の影響によりさらに水害が頻発化、激甚化することが懸念されていることから、国では有識者による検討会を設立し十月十八日には気候変動による降雨量の増加を反映した治水対策に転換するよう提言がされたと聞いております。今後激化する豪雨に対して地域住民からは早急な治水対策を求める声が上がっており、本県における喫緊の課題だと考えております。
 今後激甚化する豪雨も想定される中、台風十九号の被害状況を踏まえ現在の減災への取り組みを伺うとともに今後の治水対策のあり方について、県の所見を伺います。
 次に、マイ・タイムラインの推進についてお伺いいたします。
 台風や集中豪雨時に風水害による犠牲者を一人でも減らすためには、県民一人一人が河川が氾濫する前に速やかな避難行動をとることが必要であると考えます。
 平成二十七年九月の関東・東北豪雨を契機に各地で導入が進められている個人個人の避難行動計画、いわゆるマイ・タイムラインの整備を促進することも重要な取り組みの一つと考えます。しかしながらマイ・タイムラインは整備するだけではなく、いざというときにマイ・タイムラインに従い実際に避難等の行動を実行してもらえなければ意味がありません。そのためには住民自身が水害がいつ起こってもおかしくない身近なものと認識し避難の必要性を自覚する必要があります。また個々の住民や家庭だけでなく地域の自治会等においても水害を地域の問題と捉え地域で中心となる防災リーダー等の人材を育成するとともに、その防災リーダー等を中心に水害に対する危険性の認知と危機意識を地域に啓発していくことが必要と考えます。
 そこで、住民の避難行動の実効性の向上のため住民の水害に対する危機意識の向上やマイ・タイムラインの整備促進に向けて県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 次に、地域における水防団の活動についてお伺いいたします。
 台風十九号が伊豆半島に上陸した際には、東部、伊豆地域の六市町に数十年に一度の大雨とも言われる大雨特別警報が発表されました。私の地元函南町では消防団が消火や救助に加えて水防団を兼任しており、地域防災のかなめとして昼夜の別なく献身的な活動をされております。台風十九号では多くの住宅が浸水被害に見舞われましたが、そのような激しい風雨の中消防団員の方々がそれぞれの地域において河川堤防の巡視を行ったり、住民の避難誘導に尽力していただいたと聞いております。このことは流域の住民にとって非常に心強く感じられ、水防団並びに消防団の活動には感謝とともに頭が下がる思いでいっぱいです。
 豪雨や台風による水害は毎年のように起こっており、これからも想定外の雨量により過去には氾濫することがなかった地域や河川においても氾濫が起こり被害が拡大する可能性が十分あります。地域の安全は地域が守るという水防の原点から考慮しますと、過去に水害の経験が乏しい水防団においても危機意識を高く維持した上で水防活動を充実し、継続していく必要があると考えます。
 住民はみずからの安全はみずからが守るという意識を持つことは当然のことですが、やはり身近にある水防団の活動が地域の安心につながることも確かです。
 そこで、今回の台風十九号における水防団の活動を生かし県は今後どのように市町の水防団の水防力の維持向上につなげていくのかお伺いいたします。
 次に、駿豆水道の水道管破損に関する対応についてお伺いいたします。
 台風十九号は、私の地元である函南町でも家屋の損害や床上・床下浸水の被害が数多く発生し伊豆の国市とともに災害救助法が適用となりました。さらに丹那地内では駿豆水道の水道管が破損し、熱海市及び函南町の一部で約一週間の断水が発生したのは記憶に新しいところです。水道は最も重要なライフラインであり、一たび断水が発生すると多大な影響を及ぼします。両市町によれば断水は八千六百戸に及び、特に今回の断水エリアは山間地が多く含まれていたことから高齢者の方々にとっては給水車からの飲料水の運搬等が大きな負担となりました。そのような状況の中で復旧工事に当たった企業局の取り組みにより当初の想定よりも工事期間を短縮して送水が再開されました。
 そこで、今回早期の断水解消に向けて復旧工事をどのように工夫して進めたのか、さらに断水期間中の利用者への支援についてどのような対応を行ったか伺います。また今回の水道管の破損は大雨により土砂が崩れ発生し、五十メートルにもわたり地盤が崩落したことに起因していると伺っております。私も現場を拝見しましたが、破断した直径九十センチの水道管の大きさに驚くとともに、ここから流出した水の量を想像すると今後起こり得る豪雨や台風などの災害への備えが一層重要になると改めて認識しました。
 そこで、今回のような水道管の破損に対して今後どのような対策をしていくのかお伺いいたします。
 次に、建築物の耐震化推進について伺います。
 県では、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき県内の建築物の耐震改修の促進を図るため静岡県耐震改修促進計画を策定し、令和二年度末までに住宅の耐震化率を九五%にするとしています。計画の終わりまで残り一年余りとなりますが直近の住宅の耐震化率は平成二十五年の八二・四%であり、過去の耐震化率の変遷や住宅着工戸数の推移からは八〇%後半程度にとどまっていると推察されます。
 これまでも、県では県民の命を守る施策として全国に先駆けて木造住宅の耐震補強に対する補助制度を創設し市町へ補助するなど耐震化率向上に向けて取り組んでこられました。耐震補強助成件数としては全国第一位の二万三千戸を超える実績であり防災先進県として大変誇らしいことではありますが、耐震化率の目標達成に向けては大変厳しい状況であると言わざるを得ません。また市町ごとの耐震化率を見てみると、平成二十五年時点で九〇%近くまで進んでいる市町がある一方で伊豆半島の市町においていまだ七〇%に達しない市町があるなど進捗に地域ごとの開きが見受けられます。
 県として、耐震化が進まないこれら市町における要因をどのように分析し今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。また住宅の耐震化もさることながら、耐震シェルターや防災ベッドなど命を守る方策を進めていくことも重要であると考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
 次に、次世代に向けた環境政策の推進について伺います。
 我が国は、人口減少、超高齢化、少子化やグローバル化の進行に加えAI、IoTなどの技術革新の急速な進展など社会が大きく変化し今後ますます予測困難な時代になると言われています。こうした中、環境問題を取り巻く状況は地球温暖化、気候変動対応、海洋プラスチック問題など日々状況が変化し新たな環境を取り巻く課題が顕著となっております。
 九月二十三日にニューヨークの国連本部で開催された六十カ国以上の首脳が気候変動対策の具体策を表明する気候行動サミットで、スウェーデンの十六歳の環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんが若者を代表して、未来の世代はあなたを見ている、私たちを裏切る道を選べば許さないと演説しました。県内でも九月に浜松開成館中学校・高校の生徒たちが浜松中心街で環境対策を訴え行進したり、浜松市長に環境に優しい社会づくりを求める提言を手渡しするなど子供たちの環境政策に対する意識は確実に高まってきていると感じます。
 このように、次世代を担う若者が自分たちの未来を案じ、環境政策について関心を持ち主張を行うようになってきています。誰一人取り残さない社会の実現を目指し経済、社会、環境をめぐる広範な課題に総合的に取り組む世界共通の目標、いわゆるSDGsの理念である持続可能な社会の実現に向けて環境政策も現在起きている事象への対策もさることながら、次世代に向けた環境政策を積極的に打って出る必要があるのではないでしょうか。県の見解をお伺いいたします。以上、答弁をお願いいたします。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 腹が減っては戦ができぬと言いますが、腹が減ると元気なしっかりとした代表質問もできませんが、しっかりとしたランチをおとりになったとみえて元気のいい代表質問ありがとうございました。私もしっかりとお答えしたく存じます。
 まず、私の政治姿勢についてのうち、次期総合戦略の策定についてであります。
 私は、志の高い若者が県外あるいは海外に出て挑戦したいという意思は尊重するべきであると考えております。ひとり立ちをするという時期は必ずどの人にもやってくるでしょう。したがって県外に出ていくということを足を引っ張る必要はないという考えであります。
 その上で、知識や経験を蓄積した若者がその力を発揮し活躍する場として選択される地域をつくることが重要です。こういう視点に立って次期総合戦略でも新たな人の流れを呼び込む施策を総動員し、全県を挙げて取り組んでいるところであります。
 八月に開催しました県民会議では、住みやすい本県で就職する学生がいる一方で自分が望む活躍の場を求めて県外での就職を希望する女子学生も大勢いらっしゃいました。このため静岡産業集積クラスターの推進、グローバルに活躍できる観光産業の振興、ヘルスケアあるいはデザインといったサービス産業の振興など女性にとって、特に若い女性にとって魅力ある産業の振興と雇用の創出に注力いたします。
 県内の多くの若者は、結婚をし働きながら二人ないし三人の子供を産み育てたいという希望をお持ちです。一方で性別にかかわりなく個性と能力が発揮できる機会が確保されていると思う県民は女性ではわずか二五%にとどまっています。結婚、出産、子育てと社会で活躍したいという希望を両立することができる地域づくりが望まれております。
 このため、子育て環境の充実に向け公的保育サービスの拡充とそれを支える保育人材の処遇向上の取り組みを強化いたします。さらに地域の実情に応じた施策の拡充を図るため、市町レベルでの合計特殊出生率に影響を与える要因を再検証いたしまして若い世代の結婚、出産、子育ての希望がかなう施策を強力に推進いたします。
 また、テレワーク、フレックスタイム制の導入などライフスタイルに応じた働き方支援、ワーク・ライフ・バランスの実現、女性登用に向けた企業の計画策定支援による働きやすい職場づくりなど働き方改革を官民一体となって進めまして、性別にかかわりなく活躍できる社会の実現に向けた経営者の意識改革と現場の改善を図ってまいります。
 若者の皆様の声に真摯に耳を傾け、女性を初めとする若者に選択される魅力ある地域の実現に向けまして意欲的な施策を盛り込んだ次期総合戦略を策定するべく全力で取り組んでまいりますので、県議会の皆様の御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、令和二年度当初予算編成についてであります。
 本県では、新ビジョンに掲げる令和三年度の収支均衡の達成を目指して取り組んでいます。本年度当初予算編成におきましても、政策評価に基づく事業の見直しや未利用財産の積極的な売却などにより六十八億円の財源を生み出しました。来年度の当初予算編成に先立って行った収支試算では、本年度当初予算時の試算に比べ財源不足額が拡大することが残念ながら見込まれております。本県の直面する課題に対応する新しい施策を実施するためには既存事業を抜本的に見直し、財源を捻出することが不可欠であります。
 このため、予算編成の指針として新たに明示した予算編成五箇条  これは佐藤理事が考案したものでそれを皆が享受しているのでありますが  それに基づき事業を徹底検証し真に必要な事業を選択してまいります。特にシュンペーターの言う創造的破壊  クリエイティブディストラクションの考えは従来からも取り入れておりますけれども、この考え方に基づきまして優先度の高い事業をビルド・アンド・スクラップで選択してまいります。
 現在、各部局が中心となり施策・事業ごとにエビデンスに重点を置いた政策評価また事業評価を行い、最先端技術の活用による事業手法の改善、多様な主体との連携による推進体制の見直しなどを進めているところです。今後私自身が各部局長から御説明を受けまして内容を精査し、検証しさらなる事業の優先化、重点化を指示するなど徹底した見直しに取り組んでまいります。
 来年度当初予算では、世界のモデルとなる安全・安心で美しいふじのくにづくりを加速化するとともに健全財政の枠組みを堅持し、新ビジョンの目標である収支均衡への確かな道筋をつけてまいります。
 次に、JR東海が事業者として進められているリニア中央新幹線整備に関する静岡県の立場についてであります。
 JR東海と静岡県があたかもけんかしているかのごとく思われているのは全くの誤解です。昨年のデスティネーションキャンペーン、プレキャンペーンでございました。成功に終わりました。ことしも四月から六月、DCキャンペーンお互いに協力をして成功に終えました。あるいは昨日、ェ仁親王妃信子殿下がお成りになりましたが、その際静岡駅長中村さんからは鈴木議長とともに格段の御高配をかたじけなくしたほどであります。
 また、リニア中央新幹線についてでもありますけれども、私は一九九〇年代から国土審議会の委員をつい最近まで務めておりました。また一九九〇年代に既に大月―甲府間の実験線にも乗せていただいております。さらに個人的にはつい数カ月前、JR東海の広報部  ウエッジといいますけれども  そこから私の本まで出してくださっております。「日本の中の地球史」という本ですがそういう関係を見てもすぐおわかりのように、いわゆるけんかというのはよく見ればわかる、していないということがわかるはずです。いかにしてウイン・ウインの関係をつくり上げるかということがポイントであります。
 リニア中央新幹線につきましては、私は一度とすら反対したことはありません。むしろ推進する立場でございます。ただし大井川の源流部であり、豊かな生態系また生物多様性が保全されたユネスコのエコパークとも認定されたこの南アルプスの地に十分な水保全対策を実施することなくトンネル工事を行うことは、大井川水系の水が減少し自然環境だけでなく地域住民の皆様の生活、産業などさまざまな分野に深刻かつ取り返しのつかない重大な悪影響を及ぼすことになります。このことは決して看過されるべきことではありません。
 この懸念は、私個人というよりもむしろ大井川流域八市二町の首長の皆様方、議会の皆様方、さらに利水関係者の御懸念でもあります。その方たちのむしろ要請を受けてJR東海と向き合っているというのが実態です。
 大井川水系の水資源の確保及び水質保全等について、流域の関係者が一体となって対応するために昨年八月に大井川利水関係協議会を設置いたしました。この協議会と連携しながら環境保全連絡会議の専門部会におきまして、JR東海との科学的エビデンスに基づく対話を積み重ねているところであります。
 この十月には、流域の市町議会、商工会議所、商工会から、引き続きJR東海との調整にリーダーシップをとっていただきたいとの意見書が届けられております。実に多くの方々からエールをいただいております。先月には県内東部、西部、直接この大井川には恩恵に浴されていない環境団体のリーダーからもエールを頂戴いたしました。流域六十二万人の命の水である大井川の水資源及び世界に誇る日本の宝である南アルプスの自然環境を守るという本県の立場についての理解が広がってきたという実感を持っているところであります。
 本県の立場をさらに理解していただくために、引き続きいわば五箇条の御誓文の第三条と、おのおの志を遂げ人心をしてうまざらしめんことを要すというこの精神にのっとりまして全ての会議は公開で行う、会議資料や議事録につきましても公表するという方針でおります。県の広報媒体を通じた情報発信も強化いたします。
 難波副知事が九月には常葉大学で、今月三日には掛川市が主催するシンポジウムで大井川の水問題に関する科学的根拠に基づいた対話の状況を講演いたしました。またシンポジウムにも参加いたしました。このように県民の皆様に直接御説明する機会もふやしてまいります。来年の二月には南アルプスの生物多様性に関するシンポジウムを開催いたします。そして南アルプスの自然環境の大切さを訴えてまいります。
 こうした活動は、いわば法律に準拠して行っているのを御理解賜りたいと存じますが、平成二十六年  二〇一四年三月二十日参議院本会議、同二十七日衆議院本会議で水循環基本法というのが全会一致で可決成立し七月一日に施行されました。我が国が初めて制定した水の基本法であります。そこでは健全な水循環を維持し、または回復するための施策を包括的に推進するよう求めております。
 これを受けまして、静岡県では平成三十年  昨年静岡県地下水の採取に関する条例の一部を改正いたしました。その第二条におきまして地下水は県民共有の貴重な財産であると明確にうたっております。
 上流で表面を流れる川の水を採取すれば下流の水量が減るのは明白の理であります。同じように上流の地下水を傷めますと下流に流れてくる地下水が減るのも明白な理でございます。
 こうした観点に立ちまして、地下水は共有財産、共有水であるという認識に立っております。県議会議員の皆様のお力もいただきながら、引き続き流域や県民の皆様の切実な思いである本県の立場をより多くの方に理解していただけるように取り組んでまいります。以上でございます。ありがとうございました。
○副議長(中沢公彦君) 難波副知事。
       (副知事 難波喬司君登壇)
○副知事(難波喬司君) 台風十九号の被害を踏まえた今後の災害対策についてのうち、治水対策のあり方についてお答えをいたします。
 県では、平成二十七年九月の鬼怒川や翌年の岩手県小本川における災害を契機に堤防などの施設では防ぎ切れない水災害は必ず発生するという認識に立ち、社会全体で支える水防災意識社会を再構築する取り組みを進めてまいりました。これまでに県内を八地域に分け大規模氾濫減災協議会を設置し、国や市町等との連携によるハード・ソフト一体となった対策を取り決めました。これに基づき昨年度からは国土強靱化のための三カ年緊急対策などを活用して河道掘削や樹木伐採を重点的に実施するなど減災対策に取り組んできたところです。
 このような中、国ではますます頻発化、激甚化する水害を受け有識者による技術検討会の検討を踏まえ、今後世界の平均気温が二度上昇することを前提とした降雨量の増加への対策につきまして速やかに検討を進め、全力を挙げて防災・減災対策に取り組むことになりました。
 県におきましても、国が行っている検討を注視しつつまずは台風十九号で浸水被害が発生した地区などを対象に早期に浸水被害の要因分析を先行的に進め、来年度末を目途に市町と連携をした効果的な対策を取りまとめ直ちに対策を講じてまいります。
 また、ハード対策といたしましては全国的に発生した堤防決壊による壊滅的な被害等を踏まえ効果がすぐに期待できる堤防補強対策や河道掘削等を速やかに実施してまいります。ソフト対策といたしましては、洪水ハザードマップの基礎資料となる洪水浸水想定区域を設定していない四百七十三の全ての県管理河川につきまして来年度末を目途に設定をしてまいります。
 県といたしましては、河川の早期改修とともに水災害リスクを考慮した土地利用など流域が一体となった総合的な治水対策に取り組むことにより安全で安心な地域づくりを進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 金嶋危機管理監。
       (危機管理監 金嶋千明君登壇)
○危機管理監(金嶋千明君) 台風十九号の被害を踏まえた今後の災害対策についてのうち、マイ・タイムラインの推進についてお答えいたします。
 台風十九号では全国で多くの方が犠牲となられたことから、マイ・タイムラインの重要性を再認識したところであります。
 県では、藤枝市青島自治会をモデル地区としてワークショップを開催し参加者の方々に水害リスクを踏まえた一人一人のマイ・タイムラインを作成していただきました。参加者からは早目の避難の必要性が理解できた、今後家族や地域でも話し合っていきたいなどの御意見をいただき有効性が確認できましたことから、この成果をまとめた手引書を作成してまいります。またマイ・タイムラインの普及を図るため手引書を活用した講習会を開催し市町職員や地域の防災リーダーの人材育成を図るとともに、災害の映像資料等を用いた出前講座などを活用して県民の皆様にマイ・タイムラインの作成を働きかけてまいります。
 県といたしましては、これらの取り組みにより県民の水害に対する危機意識の醸成を図り実効性のある避難行動につなげてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 宮尾交通基盤部長。
       (交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 台風十九号の被害を踏まえた今後の災害対策についてのうち、地域における水防団の活動についてお答えをいたします。
 水防団の活動は河川改修と並ぶ水害の拡大を防ぐ車の両輪として、県内では専任の水防団四団体及び消防団が兼任する三十四団体がみずからの地域をみずからの手で守る重要な役割を担っております。
 台風十九号では、狩野川に合流する支川の氾濫などにより住宅や農地に甚大な浸水被害が発生いたしましたが水防団による河川の逆流を防止するための水門操作、小型排水ポンプを用いた雨水排除さらには住民の避難所への誘導などの活動により人的被害の発生を防ぐことができました。このことは水防団の活動の大きな成果であると考えております。
 県は、水防法に基づき水防管理団体である市町が水防責任を果たすことができるよう支援を行う必要があります。このため先般の台風十九号における全ての水防団の活動内容や課題等について調査分析を実施し、その結果を各市町及び水防団とともに検証することにより課題の解決や水防力の向上に生かしてまいります。
 県といたしましては、このような取り組みに加え近年課題となっている水防団員の確保につきまして先進的な取り組み事例を研究するなど市町と連携して水防力の維持向上を図ることにより、水防に対して安全・安心な地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 松下企業局長。
       (企業局長 松下育蔵君登壇)
○企業局長(松下育蔵君) 台風十九号の被害を踏まえた今後の災害対策についてのうち、駿豆水道の水道管破損に関する対応についてお答えいたします。
 企業局では、このたびの町道の崩落に伴う水道管の破断により断水が発生したことを重大かつ深刻な事態であると受けとめ、人員と資材の投入を惜しまず情報は全て公開するという方針のもと二次災害を起こさないことを前提に一刻も早い断水の解消に向け全力で取り組みました。復旧工事に当たりましては企業局が独自に締結した四十六団体との災害応援協定を最大限に活用し復旧資材を迅速に調達するとともに、昼夜二交代で実施した配管工事において難工事であるため、通常は行わない両方向からの施工を熟練工や重機操作のベテランの高度な技術力によりなし遂げ、工期を当初の想定より二日半短縮して送水を再開いたしました。
 また、断水期間中は熱海市、函南町と昼夜連絡をとり合い情報を共有し、市町が求める全ての給水ポイントに給水車の派遣を柔軟に行うなど住民の皆様の声に寄り添った支援に努めました。
 今回の災害を契機に、新たに三団体と災害応援協定を結び資材調達のさらなる強化を図りました。あわせて約七百キロメートルに及ぶ水道管について土砂災害の危険の有無を現地に出向き確認作業を行い、その結果を踏まえ今後の管路更新において管材料の高強度化及び耐震化と水道管ルートの最適化を推進してまいります。
 今まで想定外とされた災害が想定内となりますよう、今後も市町や関係機関と一体となって災害対策の実効性を高めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 鈴木くらし・環境部長。
       (くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 建築物の耐震化推進についてお答えいたします。
 住宅の耐震化率は想定より建てかえ戸数が大幅に下回っていると見込まれること、高齢者世帯の多くが資金不足や跡継ぎがいないとの理由により耐震化に消極的であることなどから現状のままでは目標の達成は厳しいと考えております。特に高齢者世帯の割合が高い伊豆地域などで耐震化率が低い状況にあります。
 高齢者世帯に耐震化に取り組んでいただくため、昨年度から耐震補強助成額を最大百二十万円まで拡大いたしました。また遊びに来る孫たちの安全を確保したい、近所に迷惑をかけたくないなどの思いから耐震化に踏み出した高齢者の事例を紹介するリーフレットを活用し、補強設計を行ったものの工事には着手していない約三千世帯を中心に戸別訪問を実施いたします。地域のシニアクラブの活動場所に積極的に出向き耐震化の重要性の啓発も行ってまいります。
 県といたしましては、引き続き市町と連携し県民の生命と財産を守るため一軒でも多くの建築物の耐震化に取り組んでまいります。事情により耐震化が困難な場合には耐震シェルターや防災ベッドなどの代替措置も命を守るために有効なことから、これらの購入を促す市町の取り組みを支援してまいります。
 次に、次世代に向けた環境政策の推進についてであります。
 県では、地球温暖化の緩和と適応を気候変動対策の車の両輪としながら気候変動の要因とされる温室効果ガスの排出を減少させる低炭素社会の実現に向けて取り組んでおりますが、地球温暖化は過去に例を見ないほど急速に進行しております。
 近年、豪雨災害や農作物の品質低下、熱中症患者の増加などが顕著になっていることから、温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と森林等の吸収源による除去量との均衡のとれた脱炭素社会を実現することが次世代に向けた環境政策の重要な視点であると考えております。
 本年六月、国はSDGsやパリ協定の目的である持続可能な社会を達成するため地球温暖化対策の長期戦略を閣議決定いたしました。技術革新を推進させ最終到達点として、今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現することを目指すとしております。
 県といたしましては、次世代に向けた環境政策を令和四年度からスタートする次期環境基本計画へ反映することを目指し、まずは脱炭素社会に向けた勉強会を立ち上げます。環境審議会や有識者の御意見を伺いながら温室効果ガスの排出量と除去量の現状分析、排出量と除去量との均衡に向けた手法や県が担う施策等について検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 廣田直美君。
       (二十三番 廣田直美君登壇)
○二十三番(廣田直美君) それぞれ御答弁いただきましてありがとうございます。一点要望させてください。
 リニア中央新幹線整備についてでございます。
 皆さん御存じだと思います。丹那トンネル工事が十七年の歳月をかけて完成したことを。この工事では犠牲者も出ました。そして六億トンの水が流出し、渇水したということがございました。このようなことは二度と起きてはいけないと思っております。そのときから技術も飛躍的に進歩したと思います。しかしながら流域六十二万人の命の水を守る、この姿勢を貫き通していただきましてJR東海から納得のいく回答がいただけるまで対話を続けていただきたいと思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの円滑な運営に向けた輸送計画についてお伺いいたします。
 さきに開催されたラグビーワールドカップのエコパスタジアムでの試合はシズオカ・ショックと称され、世界中に静岡の名を知らしめ県民に多大な勇気を与えてくれました。感動を呼んだ試合内容もさることながら、輸送を初めとする観客等の受け入れ対応についても大きな混乱が生じることなく大会全体が大成功をおさめました。
 いよいよ来年、県の東部・伊豆半島地域で開催されますオリンピック・パラリンピック自転車競技においても外国人を含め国内外から多くの観戦客が訪れることが予想され、万全の受け入れ対応が求められます。
 県では、今年度のロードレース及びマウンテンバイクのテストイベントにおいて、通常観客を入れずに行われる組織委員会主催の大会にモニターを募集して開催することで輸送やおもてなしのシミュレーションを実施したと聞いております。その結果大きな問題はなかったようですが、大会本番で想定される観客数はテストイベントにおけるモニター数の比ではありません。過去に経験がない多くの人数をテストイベントと同じ体制で本番でも問題なく対応できるか心配しています。
 特に、伊豆半島地域においてはオリンピック・パラリンピック自転車競技が開催される夏季は観光のハイシーズンに当たり、平時でも幹線道路は常時どこも渋滞しているのが現状です。大会の開催によりさらに多くの車両が流入してくることが予測されることから、地域住民は交通への影響に不安を抱いています。
 県として、地域交通への影響の緩和と住民の不安解消のためにどのような交通対策を行っていくのか今後の取り組みについてお伺いいたします。
 次に、富士山静岡空港の就航促進と利用促進についてお伺いいたします。
 富士山静岡空港は、平成二十一年六月の開港から十年が経過しことし四月からは公共施設等運営権制度を活用した新たな運営体制に移行いたしました。運営権者である富士山静岡空港株式会社は空港の管理運営業務を一元的に行うとともに、提案に沿って旅客数倍増という目標の達成に向けみずからの経営判断と創意工夫で空港を経営していくことになりました。運営権者が発表したマスタープランによりますと旅客利用者数を令和五年度に百一万人とする目標を掲げています。富士山静岡空港の利用者数については昨年度は七十万人を突破し、ことし十月までの利用者数も前年同月を上回るなど確実に伸びています。またことし十月末からの冬ダイヤでは中国の南昌線が新たに運航開始されたほか、本県と友好関係にある浙江省の省都杭州との路線が週九往復に増便となるなど航空ネットワークの拡充が進んでいます。
 しかし、利用者数百一万人の目標を達成するには就航促進はもとより利用促進においてもさらなる取り組みが求められます。この百一万人の目標達成に向けた今後の取り組みについて、県の考えをお伺いいたします。
 次に、地域医療構想の実現に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 県では、人口減少や高齢化が進行する中、いわゆる団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年に向けて、効率的で質の高い医療提供体制を構築するため平成二十八年三月に地域医療構想を策定しました。構想区域ごとに各医療機能の将来の必要量を推計し、その区域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携を推進しています。地域の医療需要に的確に対応し持続可能な医療提供体制を構築するためには地域医療構想を確実に実現していかなくてはなりません。
 しかしながら、平成三十年度の病床機能報告の集計結果を見る限りでは二〇二五年における病床の必要量の達成に向けては厳しい状況にあると思われます。令和元年九月二十六日厚生労働省は公立・公的医療機関等が策定した二〇二五年に向けた対応方針の再検証を要請する医療機関名を公表いたしました。その選定方法は機械的であり地域の実情は全く考慮されておらず、平成二十九年度の古い診療実績データを用いているなど手法としては不備の多いものであります。しかし厚生労働省がこのような取り組みを行った背景の一つには、地域医療構想が期待どおりに進んでいないことがあると感じます。構想の実現に向けては構想区域ごとに設置された地域医療構想調整会議において関係者による協議が行われていますが、各区域にふさわしいバランスのとれた医療提供体制を二〇二五年までに構築するためには、これまで以上に調整会議での議論を活性化させることが必要であると考えます。
 そこで、地域医療構想の早期の実現に向けてこれまで地域医療構想調整会議の中でどのような協議を行ってきたのか、そして二〇二五年に向けて具体的にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお伺いいたします。
 次に、社会健康医学の県民への還元についてお伺いいたします。
 県は、十月下旬に構想をしてきた静岡社会健康医学大学院大学の認可申請を文部科学省に行いました。この大学院大学は従来の公衆衛生学を発展させた社会健康医学の教育、研究に取り組み県民の健康寿命の延伸に寄与することを目的としています。九月定例会の委員会審議の中で施設整備費に約三十三億円、年間の運営費に約九億円という報告がありましたが、多額の経費をかけて整備するこの大学院大学にはこれを上回る成果、効果を求めていかなければなりません。
 昨年度末にまとめられた社会健康医学大学院大学の設置に係る基本構想では、知と人材の集積拠点として位置づけるとされ、人材育成と研究に力点を置くとしています。これは至極当たり前のことであり、何よりも重要なことはこの大学院大学での研究成果をいかにして県民に還元するかが問われます。県民への還元ということでは、現在も県民の健康寿命の延伸に向け保健指導の実施やふじ三三プログラムの取り組みなどが行われていますが、実際に一人一人の県民に指導しているのは保健師、栄養士などの健康づくり実務者です。この現状からも社会健康医学の研究成果を県民にしっかり還元するためには、その知見を健康づくり実務者に植えつけ健康指導に取り入れていくことが必要であります。
 そこで、開設する大学院大学では健康づくり実務者に具体的にどのようなカリキュラムを要しているのか、また県及び市町の健康づくり実務者に対しても社会健康医学の知見を修得させるなど人材育成を行う必要があると考えますが、どのように取り組むのかお伺いいたします。
 次に、次期ふじさんっこ応援プランの策定についてお伺いいたします。
 子供は地域の宝であり、未来を担う子供たちとその子供を育てようとする全ての人を社会全体で支えていくため、県は平成二十七年二月にふじさんっこ応援プランを策定しました。この計画が令和元年度で満了することから、今後五年間の次期計画を作成していると伺っております。現行の計画を策定するのは、ちょうど子ども・子育て支援法が施行されたばかりであり、保育の必要性の要件の緩和など子育て支援制度が大きく変わったときでした。あれから五年が経過しましたが、待機児童は減少傾向にあるものの目標としているゼロは達していません。さらに十月からは幼児教育、保育の無償化が始まり保育ニーズのさらなる高まりも予想されます。
 今年度は、子供を巻き込む痛ましい事件や事故が幾度となく発生しており児童虐待のニュースも後を絶ちません。私は次期計画は現行の計画をそのまま引き継ぐのではなく、こうした社会の動きや新たな課題への対応を十分盛り込んだものでなければならないと考えます。
 県は、次期ふじさんっこ応援プラン策定に当たり、どのような考えを持って臨むのかお伺いいたします。
 次に、地域と共生するメガソーラーの推進についてお伺いいたします。
 資源エネルギー庁が公表している太陽光発電設備の市町村別認定・導入量によると、太陽光発電設備の市町村別導入容量の全国一位は浜松市となっています。その浜松市で発電設備の不適切な管理が問題になっています。また伊豆地域においては地域住民が南伊豆沖での洋上風力発電の計画に反対の声を上げているほか、伊東市と函南町では大規模な太陽光発電設備の導入計画に反対運動が起きています。
 固定価格買い取り制度に基づくメガソーラーの認定、稼働状況によれば、伊豆地域、函南町含むの設備認定済件数五十七件のうち未稼働件数が三十五件あります。この数字は、伊豆地域では今後も伊東市や函南町のようなメガソーラーの問題が新たに発生する懸念があるということを示しています。固定価格買い取り制度が適用される設備を整備する事業者が守るべき国の事業計画策定ガイドラインでは、土地開発の設計に当たっては土砂災害等に配慮して設計すること、太陽光発電設備の設計に当たっては電気事業法を遵守するとともに防災、環境保全等を考慮して設計すること、また事業実施中の点検、保守や事業終了後の設備撤去等の遵守など地域との共生を図るための適切な事業実施等を規定しています。
 しかしながら、県内で大きな被害をもたらした台風十九号のような風水害が発生したときは土砂崩れによる太陽光パネルの崩落やめくれといった事例が多く全国から報告されています。またメガソーラーが計画されている地域で森林の開発が進み、保水力をなくした山に降った雨が一気に河川に流れ込めば河川の決壊や越堤などにより住宅地や農作物に甚大な被害が出る可能性もあり、地域住民は不安を抱いています。本来推進するべき再生可能エネルギーとは、県民の命と財産が守られた上で推進するべきと考えます。
 県内には地域と共生できているとは言いがたいメガソーラー計画が進められていますが、地域と共生するメガソーラーを推進するために県はどのように対応していくのか、見解をお伺いいたします。
 次に、教員の授業力向上についてお伺いいたします。
 教育のICT化の進展や児童生徒や保護者の教育に対する考え方、社会で求められる人材など教育を取り巻く環境は刻々と変化しています。子供たち、特に小中学校の子供たちにとって基礎的な学力は学校の授業により培われます。多くの小中学校の教員は子供たちが学習に興味関心を持ち理解しやすいように、授業で用いる教材等を工夫したりパソコンやプロジェクターなどのICT機器を活用したりして授業を行っています。実際に私も何校か小学校の授業を拝見したことがありますが、ある教員はプロジェクターで実物の写真を投影したりアプリケーションを通じて児童の意見を瞬時に集約するなど工夫を凝らした授業を行っており、児童も授業に意欲的に取り組んでいました。
 一方で、ただ教科書に書いてあることを説明するだけの授業では明らかに集中を欠いている児童も見受けられ、授業のやり方によっては子供たちの学びに大きな差が生じていると感じております。児童生徒が学習に主体的に取り組み、内容を理解し学力向上につなげていくためには教員の授業力の向上が求められていると考えます。
 そこで、児童生徒に確かな学力を身につけさせるために教員の授業力を向上させる方策について、教育委員会としてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
 最後に、SNSを利用した児童の性被害抑止対策についてお伺いいたします。
 近年、ソーシャルネットワーキングサービスを介し犯罪やトラブルに巻き込まれる児童が増加しています。警察庁によると平成三十年中、全国でSNS利用に起因して犯罪被害に遭った児童  十八に満たない者の数は前年と比較し減少したものの千八百十一人に上り、五年前の一・四倍と高い水準です。またフィルタリングの利用状況が明らかとなった被害児童の九割が被害時にフィルタリングを利用していない状況であり、その多くが児童買春や児童ポルノ法違反などの性被害であると聞いています。
 この犯罪へ巻き込まれるきっかけは、児童がツイッターなどを利用し援助交際の相手を募集する書き込み、家出中に泊めてくれる人を探す書き込み、自己紹介や友達募集などの投稿に大人が目をつけ接近するケース、自撮り画像を送付するケースなどさまざまであると報道されています。その要因としてはスマートフォンの普及により保護者の目が届きにくいことや、IDなどを容易に交換できることから面識のない利用者同士が交流サイトにアクセスしやすい環境が挙げられます。
 このような中、愛知県警察では昨年十月から性被害に発展するおそれのある児童の投稿に対して公式アカウントから直接、「見ず知らずの相手と会うことは、誘拐や殺人などの重要な事件に巻き込まれるおそれのある大変危険な行為です」などとメッセージを返信して注意や警告を促す取り組みを開始し、一定の効果が得られていると聞いております。
 県警察では、平成二十九年子供の性被害根絶プログラムを策定しさまざまな対策を推進していると承知しております。この種の犯罪は将来ある児童の心身に有害な影響を及ぼすだけでなく人権を著しく侵害する行為であることから、警察では取り締まりを強化していただくとともに関係機関、団体等と連携した被害児童の早期発見や支援、広報啓発をさらに推進するべきと考えます。
 そこで、本県におけるSNS利用に起因した性被害に係る児童の現状及び子供の性被害根絶プログラムへの取り組み状況について、警察本部長にお伺いいたします。以上、答弁をお願いいたします。
○副議長(中沢公彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 富士山静岡空港の就航促進と利用促進についてお答えいたします。
 本年五月にチェジュ航空が新規就航をいたしました。また七月には西安線が新設されました。十月には南昌線が新設されるとともに杭州線が週九往復に増便されるなど、富士山静岡空港の航空ネットワークは着実に拡充しております。これはこれまでの県内市町、経済団体等と連携した利用促進の取り組みに加えまして給油タンクの増設、また搭乗ゲートの増設等々運営権者である富士山静岡空港株式会社が新たに実施した受け入れ体制の強化による成果と考えております。
 運営権者が目標とする令和五年度の搭乗者数百一万人を達成するためには、県を含めた関係団体がこの目標を共有しそれぞれの強みを生かしながら連携して取り組む必要があります。このため県、運営権者、富士山静岡空港利用促進協議会の三者で構成する富士山静岡空港航空営業戦略会議を開催いたしまして就航促進、利用促進はもとより観光振興も含め、戦略の共有化を図りながら取り組みを進めてまいります。
 この航空営業戦略会議におきましては、今後五年間の営業戦略やこれに基づく取り組みをアクションプログラムとして取りまとめることとしております。具体的には積極的な路線誘致、アクセスバスの新たな路線開設、インバウンド、アウトバウンド双方の需要拡大を図るためのプロモーションの実施、旅行商品の造成支援等々さまざまな施策を効果的に展開いたしまして搭乗者数百一万人の達成に向けて一丸となって取り組んでまいります。
 富士山静岡空港が、県民の皆様はもとより国内外の皆様にも選ばれるふじのくにの空の玄関口にふさわしい活力と魅力あふれる空港となるよう、全力で取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの円滑な運営に向けた輸送計画についてお答えいたします。
 夏季の観光シーズンには、東部地域及び伊豆半島地域の各所において交通渋滞が多発しておりますことから、オリンピック・パラリンピック大会期間中における円滑な交通輸送は最重要課題の一つであると認識しております。
 このため、県では万全の対応を図るべく大会組織委員会、道路管理者、交通事業者、地元市町等で構成する静岡県輸送連絡調整会議を設置し、選手や観戦客などの確実な輸送はもとより地域経済活動や観光需要との両立を目指した交通対策について検討を進めているところであります。
 具体的には、地域住民、事業者、観光客に対し広報チラシや各種メディア、SNS等を活用し渋滞の箇所や時間帯の予測情報、迂回ルート等の事前情報を提供することで混雑を回避していただけるよう促してまいります。また静岡県道路公社と連携して主要な輸送ルートからの交通量の分散を図るため、オリンピック開催期間中に伊豆スカイラインの料金無料化を実施するほか局所的な渋滞箇所である伊豆中央道江間料金所のブースを増設することとし、必要となる経費について本議会にお諮りしているところであります。
 こうした取り組みを通じて地域の経済活動や市民生活への影響を最小限とすることで、住民の皆様の不安の解消に努めるなどオリンピック・パラリピック大会の成功に向け万全の交通輸送対策を進めてまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 地域医療構想の実現に向けた取り組みについてお答えいたします。
 地域医療構想では、高齢化に伴う疾病構造の変化に対応し急性期から在宅まで一連の医療サービスが地域で適切に提供されるよう、二〇二五年の医療提供体制の目指すべき姿を県内八つの区域ごとに示しております。県では構想の実現に向け病院や医師会、市町等で構成する地域医療構想調整会議において区域の特性に応じた各医療機関の方針を尊重しつつ、将来の方向性を明確化するための協議を行ってまいりました。
 この結果、今後不足が見込まれる回復期病床が構想策定時から千六百二十八床増加するなど、構想で示した県全体の病床の必要量に着実に近づいております。今後は区域ごとに医療機関の役割分担と相互連携のあり方、稼働していない病床の活用などの課題について議論を深め病床の機能転換等をさらに加速化することが重要となります。
 このため、静岡県病院協会の協力を得ながら関係病院間の一層の調整を図り、その成果を地域医療構想調整会議の議論に反映させ地域医療介護総合確保基金などを活用して機能分担と連携を進め、県民の皆様に安心して暮らしていただける地域の実現に努めてまいります。
 次に、社会健康医学の県民への還元についてであります。
 静岡社会健康医学大学院大学で養成する人材といたしましては、地域の医療のリーダーとなる高度医療専門職、長期かつ継続的に研究する研究者、そして健康づくり実務者を考えております。
 健康づくり実務者は、議員から御指摘いただきました医療や介護等に従事している保健師や栄養士などを想定しており、社会健康医学の研究で得られた科学的知見に基づく健康増進活動や疾病予防対策を県民の皆様の生活に反映することができる能力として身につけ現場で発揮できるよう育成してまいります。
 このため、大学院大学の教育課程におきましては疫学、医療統計学など公衆衛生の五つのコア領域を履修した上で、医療ビッグデータを活用しながら県民の皆様がみずからの健康増進のために具体的な行動をとれるように導く手法や、対象者の特性を踏まえたリハビリテーションなどの企画、立案ができる能力を習得し、卒業後には地域の課題に応じた効果的な健康づくり施策を実施できるよう、専門性を磨くことのできるカリキュラムを提供してまいります。
 また、大学院大学では社会人聴講生や科目等履修生として興味や関心のある授業科目を学ぶことのできる制度を設けるほか、県が行う研修会等において社会健康医学の研究成果を提供し現場で活用していただくことでより多くの保健師、栄養士等の保健指導のレベルアップを図り、大学院大学の研究成果を県民の皆様に還元して健康寿命の延伸につなげてまいります。
 次に、次期ふじさんっこ応援プランの策定についてであります。
 次期ふじさんっこ応援プランにつきましては、子供の貧困や子供が被害者となる事件事故の発生など昨今の社会状況や環境の変化を踏まえて子育てはとうとい仕事を基本理念に据え、三つの基本目標を掲げて策定を進めております。
 第一は、結婚や出産の希望がかなえられる社会の実現であります。
 未婚化、晩婚化が進む中、若い世代の経済的な自立や結婚を望む方への出会いの場の創出を初め結婚から妊娠、出産までの切れ目ない支援を行ってまいります。
 第二は、安心して子供を育てることのできる社会の実現であります。
 核家族や共働き世代が増加する中、仕事と子育ての両立や待機児童の解消に向けた保育環境の充実に加え子供が悲惨な事故や犯罪に巻き込まれることのないよう安全対策に取り組んでまいります。
 第三は、全ての子供が大切にされる社会の実現であります。
 児童虐待やDVの防止はもとより、外国につながる子供を対象とした支援を行うとともに、子供の貧困対策計画を一体的に策定することにより取り組みの充実を図ってまいります。
 今後パブリックコメントを実施し、広く県民の皆様から御意見を伺いながらプランを策定し、市町を初め家庭、地域、学校、企業などと連携して取り組むことによりオール静岡で「生んでよし 育ててよし」のふじのくにづくりを実現してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 地域と共生するメガソーラーの推進についてお答えをいたします。
 太陽光発電は、再生可能エネルギー導入拡大の原動力として重要な役割を果たしております。しかし近年大規模な発電施設、いわゆるメガソーラーの建設に伴う森林伐採等による災害の発生や環境破壊、景観への影響などの懸念が高まっております。
 このため、県では昨年十二月、地域の特性に応じて太陽光発電を適正に導入していくための市町向けのモデルガイドラインを作成いたしました。その中で事業の計画・立案段階から撤去、処分に至るまで事業者に求める手続や遵守すべき事項を盛り込み市町のガイドライン策定を支援しております。あわせて市町からの問い合わせにワンストップで対応する窓口をエネルギー政策課内に設け、対応を強化しているところであります。
 また本年三月、太陽光発電所の建設が環境の保全等に配慮した上で行われるよう条例に基づく環境影響評価の対象を拡大し、二十ヘクタール以上の森林伐採を伴う事業等を新たに追加いたしました。加えて本年十月から、原則五ヘクタール以上の土地の区画形質を変更する場合に適用される県の土地利用事業の適正化に関する指導要綱に新たに太陽光発電設備の設置を事前指導の対象としたところであります。
 メガソーラーの建設は、伊東市や函南町などに見られるように特に森林地域への計画も多く、森林伐採等による災害の発生や環境破壊などへの懸念や不安から各地域で反対運動が起こっております。このため県では森林法に基づく林地開発許可に際し、事業者に対して土砂の流出防止などの防災対策に万全を期することや周辺住民の懸念や不安を真摯に受けとめ、事業計画や事業の進捗に応じた説明会の開催等理解が得られるよう努めることなどを条件に加え、これらの条件が的確に遵守されるよう現地調査や行政指導を行っているところであります。
 林地開発許可は、平成十二年度の改正地方自治法の施行により都道府県の自治事務とされておりますが、各都道府県は地方自治法に基づき林野庁が発した技術的な助言をベースに審査基準を定め対応しているのが実態であります。メガソーラーの建設に伴う問題が全国的に顕在化する中、国におきましてもこの技術的な助言の見直しを進めております。
 県では、土砂災害の発生や景観の悪化などへの地域住民の懸念や地域との合意形成手続などの課題につきまして林野庁に直接伝え、林地開発許可の審査基準のあり方に関する検討を求めているところであります。メガソーラー建設などの大規模な開発行為が人々の生活等へ及ぼす影響につきましては森林法に係る問題にとどまらず、環境影響評価や宅地造成の規制等、土地利用政策全般にかかわる問題であります。
 県といたしましては、関係部局間さらには国の関係省庁、地元市町などと連携を一層強め地域の皆様の生命財産を守り、地域との共生を実現しながら太陽光発電など再生可能エネルギーの適正な導入が図られるよう、事業者に対する指導も含め的確に対応してまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 教員の授業力向上についてお答えいたします。
 社会環境が急激に変化する中で子供たちが生き抜く力や確かな学力を身につけるためには、学校におきまして主体的、対話的で深い学びを実践することが必要であります。そのため授業づくりが重要であります。
 各学校におきまして、教員同士の授業参観を通して子供たちの主体的な学びへの導き方やICTを活用したわかりやすい授業のあり方につきまして日ごろから話し合い、授業改善に取り組んでおります。また県教育委員会では授業力や教育業務遂行力など教員に求められる資質、能力を定めた教員育成指標を策定し、これに基づき研修の充実を図っております。授業の組み立て方や評価のあり方などの授業力向上のための研修を行うとともに、プログラミング教育など新学習指導要領に対応した新たな研修を実施しているところであります。
 さらに、総合教育センターでは主体的、対話的で深い学びを実現するためのポイントや授業実践例を示した研修資料を作成し各学校に提供しておりますほか、教育事務所の指導主事が各学校を訪問し授業力向上に向けた支援を行っております。今後はICTなどの情報技術がさらに進展し、教育環境が大きく変わっていくことが想定されます。
 県教育委員会といたしましては、これまでの取り組みに加えAIなど先端技術を活用した個々の習熟度、理解度に応じた学習、いわゆるアダプティブラーニングにより子供たち一人一人の創造的かつ自立的な学びを広げる授業づくりが実践できるよう、ICT活用能力を初めとした教員の授業力の向上を目指して積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 小嶋警察本部長。
○警察本部長(小嶋典明君) SNSを利用した児童の性被害抑止対策についてお答えします。
 初めに、本県におけるSNS利用に起因した性被害に係る児童の現状についてでありますが、十月末現在SNSの利用に起因して強制性交、強制わいせつのほか児童ポルノ、児童買春、県条例の淫行等の性的搾取事犯の被害者として県警察で認知した児童は二十七人で、前年同期に比べ四人減少しております。
 態様別では、県条例の淫行が十一人、児童ポルノと児童買春がそれぞれ八人となっております。
 学職別では、中学生が二十人と最も多く、次いで高校生が六人、無職少年が一人となり中高校生が全体の約九六%を占めております。また被害児童二十七人のうち二十五人が有害情報を遮断するフィルタリングを利用しておりませんでした。
 次に、子供の性被害根絶プログラムへの取り組み状況についてであります。
 県警察では、サイバーパトロールを実施するなどして児童の性的搾取事犯に係る取り締まりを強化するとともに、被害児童の精神的ダメージの軽減を図るため少年サポートセンター職員による被害児童の立ち直り支援活動を推進しております。また教育委員会や学校と連携して児童生徒を対象とした非行防止教室や保護者対象の啓発講座を開催することなどにより、SNS利用に起因した子供の性被害防止を推進しております。
 加えて、少年警察ボランティアと連携して携帯電話販売店に対するフィルタリングの利用促進のための啓発活動についても強化しております。また愛知県警察が取り組んでいるSNS上の不適切な書き込みに対する注意喚起メッセージの投稿につきましては、県警察においても今月から実施することとしております。
 県警察といたしましては、今後もこうした取り組みを強化し児童の性被害抑止対策に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 廣田直美君。
       (二十三番 廣田直美君登壇)
○二十三番(廣田直美君) 御答弁いただきましてありがとうございました。
 それでは、再質問させていただきたいと思います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの円滑な運営に向けた輸送計画についてでございます。
 江間料金所にブースを増設ということで御答弁いただきました。この期間、そしてブースの数等、今現時点で詳細な計画があれば教えていただきたいと思います。
 そして、地域医療構想の実現に向けた取り組みについてでございます。
 着実に機能転換は近づいているという御答弁でございました。しかしながら今後も機能転換は必要であるという御答弁でもございます。
 そういった中、二〇二五年、プランを策定した病院の中で既に病床機能転換を決め、病院の立て直しを図る計画を進めているところがございます。その病院では医療病床機能の転換するには、やはりどうしても医療従事者、その人材確保が必要だという強い要望がございます。そういった要望等は調査会議ではなかったのか、あったのか。あればどのように、こういった医療従事者の人材確保をどのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
 そして、地域と共生するメガソーラーの推進でございます。
 やはり課題認識は県当局も一緒だと思います。だからこそ国に対しまして太陽光発電施設の特性を踏まえた林地開発許可の審査基準のあり方について、関する検討ということを要望されたと御答弁がございました。こちら、国のお考え、どのように把握されているのか教えてください。以上、答弁をお願いします。
○副議長(中沢公彦君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 東京オリンピック・パラリンピックにつきましての再質問にお答えいたします。
 江間の料金所なんですけれども、上下線とも現状二ブースから三ブースへの増設を考えております。期間はオリンピック期間中の十七日なんですが、もちろん撤去しないで、その後についてはまた道路公社等ともどうやって運用するか検討していきたいと思います。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 地域医療構想の実現に向けた取り組みについての再質問についてお答えいたします。
 医療従事者の確保がという声が出ていないかという御質問でございますけれども、これはどこの地域でも出てくる意見でございまして、特に東部地域についてはこういった意見が多く出されております。
 それへの対策でございますけれども、現在行っております医学修学研修資金の今議会でお諮りしております議案でございますけれども、原則六年借りていただきまして九年返還期間を設けるということで、この九年間の間に県内各地で就業していただくということで人員の確保を図っていきたいと考えております。
 それから、地域枠の増設につきましても力を入れていきたいと考えておりますので、そういった点で対応していきたいと考えております。以上でございます。
○副議長(中沢公彦君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) メガソーラーの関係の再質問にお答えをいたします。
 国に対しては、私自身が林野庁に行って林野庁の幹部と話をしてまいりました。当然、今学識経験者を入れた会議の中間報告なんかも出ておりますが、国としてそれらを踏まえまして最終的に基準等をどういうふうに見直していくかということを今やっているところでございます。
 その中で、我々はやはりその基準の見直しにつきましては例えば自然斜面の設置基準を考えることであるとか、例えば雨量強度の問題ですね。そういったものであるとか地域との合意形成に関するものについて要望いたしました。国は一応これらについてもお話を聞いていただきましたが、実際には森林法だけではなかなか限界があって土地利用政策全体で考える必要があるというような御回答もございました。
 といいますのは、例えば今、西日本豪雨以降このような豪雨災害が頻発してくるようになりまして、従前の国土交通省が中心となって定めております雨量強度ですね。五十年に一回、三十年に一回といろんな基準がありますけれども、こういったものが現在のままでいいのかどうかというようなところも含めまして、やっぱり検討をしていっていただかなきゃいかんということになりますと宅造規制法とか、やはり森林法だけではなくて宅造規制法のほうは住家がやっぱり近い、あるいは住家を建設するとかですね、そういった形になりますのでより問題は深刻であるということでございます。
 ですから、我々も県全体関係部局が連携して土地利用政策全体の中でこの問題を検討、対応していこうとしておりますが、国においてもそれを、関係省庁間の連携を密にしていただいてこの問題の解決に一歩でも二歩でも前進していただけるように要望し、そのような回答をいただいたところでございます。以上であります。
○副議長(中沢公彦君) 廣田直美君。
       (二十三番 廣田直美君登壇)
○二十三番(廣田直美君) 東京二〇二〇輸送計画についてでございます。
 ブース増設三、そしてとりあえず東京オリンピック・パラリンピック期間中はブースは確保していただけると、その後は未定ということでございます。ぜひとも残していただきたい。本当にあの料金所は本当に渋滞の原点だと私は思います。あそこの先から以降が本当に渋滞するとなっているような状況でございますので我々地域住民のため、そして静岡県に訪れていただける人のためにもぜひ残していただきたいと思います。
 そして太陽光発電でございます。
 やはり問題意識は本当に共通していると思います。しっかり、でもその上で土地利用政策をしっかりやっていかないと、なかなかこういった問題というのは抜本的な解決にならないということだと思います。ぜひとも連携を密にして今後も取り組んでいっていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
 以上で私の質問を終わりにします。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中沢公彦君) これで廣田直美君の質問は終わりました。
 以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。

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