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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成19年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

野澤 義雄 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/26/2007

会派名:

平成21


質疑・質問事項:

1 新公共経営の取り組みについて                   
2 東海地震対策について                       
 (1) 緊急地震速報                          
 (2) 浜岡原子力発電所の地震対策                   
  ア 耐震性                            
  イ 自主防災対策                         
  ウ 正確な情報提供                        
 (3) 災害派遣医療チームDMATによる医療救護活動          
 (4) 被災者の心のケア                        
3 天竜浜名湖鉄道について                      
4 富士山静岡空港について                      
 (1) 管理運営                            
 (2) 需要拡大への取り組み                      
5 高齢者の交通安全対策について                   
6 地球温暖化防止条例の施行状況について               
7 農業振興について                         
 (1) 農薬の適正使用                         
 (2) 農産物の流通の活性化                      
8 若者の離職対策について                      
9 浜名湖におけるプレジャーボート対策について            
10 景観行政について                         
11 教育委員会のあり方について                    
12 頼られ、 かつ親しまれる警察官の育成について



    ○副議長(吉川雄二君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、三十八番 野澤義雄君。  
            (三十八番 野澤義雄君登壇 拍手)
    ○三十八番(野澤義雄君) 私は平成21会派を代表して当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長にお伺いします。
     質問に入る前に一言申し上げます。
     石川知事におかれましては、一カ月ほどの療養が必要と聞いておりましたが順調な回復をもって、九月二十日からは早くも公務に復帰されましたことはまことに御同慶の至りです。これまで以上に県政のかじ取り役として御活躍くださることを期待しつつ、またどうか大切なお体ですから御自愛くださいますようお願いもいたしまして質問に入ります。
     初めに、新公共経営の取り組みについて伺います。
     本県の石川県政においては、これまでの節約型の行政改革ではなく、行政の生産性の向上を目標に掲げ、常に行革、県民本位、ゼロベースからの再設計を基本姿勢に成果を重視した目的指向型の行政運営に取り組んできたと承知をしています。このことは簡素で効率的な行政運営を目指すことはもとより、何よりも県民の皆さんが日々の生活の中から「このごろ随分よくなったな」と実感できるような県民生活を重視する政治の実現に向けての私たちの主張と一致するところであり、高く評価するとともに今後の取り組みに期待しているところであります。
     この本県が実施している行政手法――新公共経営は民間企業の経営理念や手法を取り入れることで効率化、活性化を図ろうという公共部門の改革であり、これまでにもひとり一改革運動、アウトソーシング、目的指向型の組織形態、業務棚卸表による行政評価など多くの取り組みを生み出し、課題を多く抱える地方自治体の行政運営の改善の特効薬のようにも言われています。
     しかし、一方では民間企業の手法の導入を急ぐ余り効率化を極端に追求した結果、逆に県民サービスの低下を招いてしまうこともあるのではないかと懸念しております。例えば、行政評価で示されている計画、実施、評価、改善のサイクルの中、評価においては議会の責任も極めて重大だと認識していますが、特に内部評価においては客観性を欠く、つまり手前みそに陥りやすくなるのではないかとの指摘もされているところです。また改善では、とかく数値目標の数字だけがひとり歩きして、毎年度、作戦書である業務棚卸表を作成するとはいうものの、目標達成のための有効な手段が展開できず施策が膠着状態に陥る心配はないのでしょうか。
     さらに、ひとり一改革運動については、この運動は提案件数も多く質も向上しており内外から注目されていると聞いています。今後もさらなる成果を期待しておりますが、そのためには職員の意欲を高める工夫が大切ではないかと考えます。職員一丸となっての改革の意欲を持続させる方法とはどのようなものがあるのでしょうか。
     これらの疑問に加え、これまで取り組んできた本県の新公共経営の取り組みの成果と今後どのように進めていくのかあわせて伺います。
     次に、東海地震対策についてのうち、まず緊急地震速報への対応について伺います。
     緊急地震速報は地震が起きたことを素早く検知し大きな揺れが到達する前に揺れの到達時間や予想震度などの情報を流すことができる仕組みでありますが、昨年から試験運用されており、今年十月一日からは一般国民への情報提供が開始されます。この緊急地震速報が今年七月に発生した新潟県中越沖地震の際に交通機関など一部機関で利用されましたが、混乱などはなく一定の成果があった模様です。
     気象庁の報告によれば、地震の検知から三・八秒後に緊急地震速報の第一報を発信し、長野県の松本市役所では揺れが到達する二十二秒前に速報を受信し十五秒前に注意を呼びかける館内放送がされたとのことです。また試験運用している鉄道各社においても、相模鉄道では一分三秒前に速報を受信し運転中の各列車を一たん停止させましたが、沿線の地震計においての最大値が震度三であったため運転を再開したとの報告もされています。一方で、震源に近い上越市では速報端末が作動しなかったことなどの課題も報告されています。
     緊急地震速報の運用は極めて高い効果が期待できる反面、東海地震の場合、県内では速報が間に合わない場合もあることや速報による二次被害への懸念などの課題もあると聞いています。  
     そこで、緊急地震速報の本格運用に向けた県の対応を伺います。
     次に、浜岡原子力発電所の地震対策についてであります。
     新潟県中越沖地震の規模はマグニチュード六・八。多くの建物の損壊と住民へ多大な被害をもたらしました。震源から十六キロメートルのところに位置する柏崎刈羽原子力発電所においては、燃料プールから放射能を含んだ水があふれて電線管を伝い外部に漏れ出したトラブルや、原子炉クレーンが破損したことが確認されています。また稼働中の三号機の変圧器で火災が発生し初期消火に失敗して二時間以上も燃え続けた映像も流され続けました。
     本県に立地する中部電力の浜岡原子力発電所は柏崎刈羽原子力発電所と同じタイプの沸騰水型の原子力発電所であり、まして東海地震の想定震源域内に立地していることからも、今回の柏崎刈羽原子力発電所で起きた事故の事例を貴重な教訓としなければならないと考えます。
     そこでまず、浜岡原子力発電所の耐震性について伺います。
     柏崎刈羽原子力発電所では今回の地震は設計に対して二から三倍の揺れがあり、想定外の地震との表現を使っていますが、幸いにも運転中のプラントや起動操作中のプラントに影響はなく安全に自動停止したと聞いています。また国際原子力機関――IAEAの現地調査においても、安全系は正常に作動し原子炉本体については今のところ問題となるような損傷はないとされています。
     中部電力では、浜岡原子力発電所の地震対策は東海地震はもとより過去に起きた最大の安政東海地震を超える地震を想定しながらも、最近は地震対策をより充実させるため全体を三割程度補強し一千ガルを目標とした対策工事を実施しているとの説明をしていますが、浜岡原子力発電所の地震対策について仮に中越沖地震程度の規模の揺れが浜岡原子力発電所を襲った場合、安全性は確保されるものかどうか、県の見解を伺います。
     次に、浜岡原子力発電所の自主防災対策について伺います。
     柏崎刈羽原子力発電所の事例では、原子炉建屋の外にある変圧器の火災とはいうものの発電所敷地内の火災ということで大きく報道され、また迅速に消火活動がなされなかったことが大きな問題となりました。その後、国の指示により原子力発電所の消防体制、設備の強化を求められる中で、中部電力においても幾つかの改善を図っているとの報道がありましたが、県としての見解を伺います。
     次に、浜岡原子力発電所における正確な情報の提供について伺います。
     地震発生時に事故の有無、放射能の影響など迅速かつ的確に住民に知らせる仕組みを確立することは、周辺住民との信頼関係を築く上でも大切なことと考えます。柏崎刈羽原子力発電所では地震発生以降においても十分な状況報告がなされていないことから、一部風評被害なども出て混乱したとも聞いています。こうした場合、地元住民、自治体などに的確な情報を提供するためには県の的確な対応が求められますが、その対応を伺います。
     次に、災害派遣医療チーム――DMATによる医療救護活動についてであります。
     東海地震の第三次被害想定によれば、最悪の場合、死者五千八百人余、重傷者一万八千六百人余、中等傷者八万五千六百人余という多数の死傷者が発生されることが予想されています。一人でも多くの県民の命を救うためには、迅速な医療救護活動の開始や救命医療に精通した医療従事者による医療活動が必要なことは言うまでもありません。
     国は、災害発生時に迅速な派遣が可能な災害派遣医療チーム――DMATの養成を行っていると聞いており、また中越沖地震におきましては被災地内でのDMATによる医療救護活動が報道されています。東海地震の発生時におきましても県内でのDMATの活動が計画され、去る九月一日には総合防災訓練が行われていますが、県内での医療活動がどのように展開されていくのか伺います。
     次に、被災者の心のケアについてであります。
     新潟県中越沖地震の発生からの報道を見ますと、被害者の方々の心労や「子供が家に入りたがらない」とか「不安で眠れない」というような記事が目にとまります。災害被害者の心のケアは平成七年の阪神・淡路大震災以降、次第にクローズアップされてきました。道路、鉄道、電気、水道、ガス、電話などのライフラインも寸断され広範囲において全く機能しなくなり、都市生活者は一瞬にして被災者となり、その孤独、孤立が際立ったことから、より鮮明に心のケアの問題が浮かび上がったように思います。その後の各地の地震においても、被災者の将来への見通しが立たないことによる絶望感や身近な人がいないことからくる孤独感といった訴えが必ず報道されています。
     予想される東海地震では、東海道沿線の都市部を初め傾斜地を多く抱える中山間地まで広域にわたってかなりのダメージを受けると予想されることから、その復興過程での心のケアについても地域や状況に合った十分な対策を考えておくことが必要と考えますが、県の取り組みを伺います。
     次に、天竜浜名湖鉄道について伺います。
     天竜浜名湖鉄道は昭和六十二年に国鉄の旧二俣線を引き継ぎ、県が三九・七%の株を持つ第三セクターとして開業して以来、昨年二十周年を迎えました。県西部の住民からは天浜線の愛称で親しまれ、通勤や通学など沿線住民の生活路線として、また観光を初めとする地域産業を支える基盤として大変重要な役割を果たしています。
     小さな車両がのどかに走る天浜線の沿線にはただただ平凡な田舎の風景が広がっているだけで何もありません。しかしひなびた木造の駅舎に入ると途端に時間はゆっくりと流れ始め、田園地帯を走っていると思うと突然里山を通り抜けたり、清流にかかる鉄橋を渡ったり、さらには穏やかな浜名湖を望みながらと、次々と変化しながらもいずれも日本の原風景を思わせる中を走るこの鉄道に興味を持つ人たちは少なくないはずです。また沿線には手軽に訪れることができる観光地も数多く、近年では鉄道とセットになったウオーキングやハイキングも盛んになってまいりまして、私たちのかけがえのない地域資源であります。
     さらには、地球温暖化防止の観点から見ても、京都議定書や本県のストップ温暖化しずおか行動計画に定める極めて高い温暖化ガスの削減目標を達成するためにも、公共交通機関の維持は不可欠であり、今後この鉄道の役割はますます高まっていくものと考えています。
     実は、この天竜浜名湖鉄道についての質問は二回目になります。前回は平成十年三月で今回と同様のことを申し上げましたが、その後長期経営計画が示され、県、関係市町村のバックアップもあり、車両の更新や経営面でも各種フリー切符の販売、トロッコ列車、さまざまな誘客促進などこの十年随分努力してきたなという印象は持っていますが、少子化やマイカーへの移行、さらには燃料費の高騰なども加わり経営を圧迫していると聞いております。
     折しも、現在平成二十一年以降の新たな経営計画の策定に向け検討が本格化しているところであり、会社では、線路は行政が管理し鉄道会社が列車の運行のみを行う上下分離方式や新交通システムのDMVの導入など、さまざまな観点からの検討を始めたところであると伺っております。私は、この新しい経営計画を通じてこの鉄道が活性化されてまずは経営内容を好転させ、夢があり愛される鉄道として末永く後世に存続していけるよう、会社のみならず県や沿線の市町も協働で知恵を絞り計画策定に取り組むことが重要と考えています。
     そこで、県は今後の天竜浜名湖鉄道のあり方をどのように認識し、県と沿線市町がどのような役割を果たし取り組んでいくのか伺います。
     次に、富士山静岡空港についてのうち、まず管理運営について伺います。
     飛行場の整備については平成二十年十一月の工事完成予定日に向けて整備が進められており、また旅客ターミナルビルについては富士山静岡空港株式会社が設計作業中であり、この十一月には工事に着工する予定であると聞いています。このように開港に向けて空港施設の整備が進む中、就航路線についても当局、関係者の努力によって着々と路線・便数などが決まりつつあると聞いています。
     今後とも、より多くの路線・便数の確保に取り組んでいただくことはもちろんでありますが、利用者にとって使い勝手のよい空港となるよう乗り入れる航空会社と協議を進めていただくとともに、安全かつ円滑な管理運営体制の確立に向けた取り組みも着実に進めていただきたいと思います。
     富士山静岡空港の運営に当たっては、第三種空港で全国初となる純粋民間企業の空港ビル会社である富士山静岡空港株式会社に対して空港基本施設などの管理をできるだけ委託していく方針と聞いていますが、私は、民間ならではの効率的でサービス精神に富んだ運営はもとより、空港運営会社が空港周辺地域の経済活動を活性化させる起爆剤となることも大いに期待をしています。しかし空港の運営上、最も基本となる安全面についてはすべてを民間に任せることは適切でないと思いますし、おのずと航空法の制約もあろうかと考えます。
     そこで、開港まで一年半余りとなった現段階で、空港の管理運営に関する県と空港運営会社の役割とその分担について、県はその効果も含めどのように考えているのか伺います。
     次に、需要拡大への取り組みについてであります。
     去る七月には、全日空が新千歳、那覇の国内二路線での就航を表明したところでありますが、日本航空との協議も積極的に進め路線の確保に努めていただきたいと思います。また国際線につきましては、アシアナ航空から静岡と韓国との間で国際定期便を就航することが表明されました。
     新聞報道によれば、今回の就航表明に当たりアシアナ航空からは、利用者数の見通しについて「静岡県の平成十七年度の韓国行き出国者数六万五千人の三分の一程度の二万四千人が静岡空港を利用すれば、目標搭乗率七五%を達成できる」とし、「韓国から日本への訪問は急増しているが韓国での静岡の観光商品は皆無の状況。定期便の就航により韓国からも今以上の需要が見込まれるものと思う」と述べられたとのことであります。
     静岡県は観光立県と思っているものの、外国から見れば観光商品ゼロとは愕然といたします。しかし、いずれにしてもアシアナ航空にあっては静岡からも韓国からも十分に需要があるとの見込みのもとでの定期便の就航であり、今後需要が拡大すれば使用する航空機の大型化も視野に入れているとの発言もあったと聞いています。また台湾のエバー航空からはチャーター便運航の調査を始めたという親書が知事に届けられ、香港ドラゴン航空では開港時からチャーター便での運航の提案がされていると聞いており、各社がチャーター便の利用状況を通じて旅行需要を探っているのが今の状況と言えます。
     去る五月のアジア・ゲートウェイ構想の提言では、地方空港における国際定期便運航の原則自由化とあわせて定期便就航の前段階である国際旅客チャーター便を積極的に促進することについて、この提言に盛り込まれたところであり、今後航空分野においての規制緩和が加速されるものと思います。
     このような路線就航に向けた動きの中で県民にとって利用しやすい空港とするためには、まずは定期便の安定した運航の実現や定期便につながるチャーター便をより多く実現させることであり、そのためにも魅力ある旅行プランの提案や利用促進のための需要拡大が重要であると考えます。
     そこで、需要拡大に向けた現在の県の取り組み状況と今後の取り組みについて伺います。
     次に、高齢者の交通安全対策について伺います。
     本県の交通事故件数は二年連続で件数、死者数、負傷者数とも減少しており、第八次静岡県交通安全計画で定められた目標数値「平成二十二年度までに死者数二百人以下、件数三万九千件以下」の達成も視野に入ってきたとのことであり、安心・安全日本一の実現に向け着実な歩みを続けているものと認識しています。
     その一方で、高齢者の事故は一向に減少する気配を見せない状況であり、昨年の県内におけるその交通事故死者数は百十一人と全体の四割を占めており、県の高齢化率が約二割であることと比較しますと高齢者の交通事故死者数は著しく高くなっています。また高齢ドライバーに起因する事故もこの十年で倍増している状況です。
     今後、高齢化の進展に伴い高齢者の免許保有率が増加すれば、高齢ドライバーによる事故は増加することが予想されます。 とりわけ、自家用車以外に交通手段のない山間部に暮らす方々にとっては、買い物や通院などでの車の運転は生活していく上でなくてはならないものであり、高齢者を含めた交通安全対策が今後ますます重要になってくると思われます。
     国では今年の六月に道路交通法を改正し、今後認知検査の導入や七十五歳以上の高齢運転者について高齢運転者標識いわゆるもみじマークの表示が義務づけられることとなりました。高齢者事故を防止するためには法律の制定や取り締まりによる規制を強化することも大切ですが、もともと安全運転を心がけてきた人たちですから、頭ごなしの戦力外通知的なものより、今後ともより一層の安全運転を心がける意識を高める機会をつくることにより予防策を講じたり、加齢による運転能力や判断力の減退を自覚し注意深い運転を心がけることなどの意識の改革が大切とも考えます。
     高齢者の交通安全対策として安全教育や県民への呼びかけなど具体的にどのような事業を展開していくのか伺います。
     次に、地球温暖化防止条例の施行状況について伺います。
     今年の夏は各地で記録的な暑さが続き、浜松では八月の真夏日が何と三十日、天竜では気温三十九・六度Cを記録するなど、まさに猛暑でありました。国外に目を向けましても、七月下旬にヨーロッパのルーマニアやハンガリーが多数の死者を出すほどの熱波や猛暑に襲われる一方で、英国では六十年ぶりの大洪水に見舞われました。こうした異常気象を体験したり報道に触れるときに、誰もが真っ先に思い浮かべるのは地球温暖化がその原因ではないかということだと思います。
     今年二月に公表された気象変動に関する政府間パネル第四次報告書第一作業部会報告書では、気象システムに温暖化が起きていると断定しており、また同じく第二作業部会報告書では、温暖化によって既に生じている影響に熱波による死亡を挙げています。近年の異常気象が温暖化の直接の影響によるところとの明言はできませんが、私たちは温暖化の脅威を重く受けとめるとともにその対策に取り組む時期が既に来ているとの認識を持つべきと考えます。
     さて、本県では今年三月に静岡県地球温暖化防止条例を公布し七月から施行しておりますが、都道府県レベルでは全国五番目の制定でありますことから、私は本県が温暖化防止対策に積極的に取り組む姿勢を県内外に示したものと評価しているところです。この条例では一定規模以上の事業者に温室効果ガス排出削減計画書の提出を義務づけ提出された計画書を公表することとしており、県ではこの条例の施行前に理解を求めるために対象事業者への説明会を開催したり、パンフレットを配布したりと相当のPR活動を行ったとのことです。
     本来、民間事業は経済活動の中で利潤の追求を是とするものでありますが、この計画書制度では場合によれば一定の制限を加えることにもなりかねず、事業者の負担も軽いものではなくなることから、私は制度が円滑にスタートすることができるのか心配しております。
     そこで、現時点における温室効果ガス排出削減計画書の提出状況及び計画書の公表に向けた今後の課題について伺います。
     また、ただいま述べましたように、事業者にとりましてこのことは決して簡単なことではないと考える一方、温室効果ガスの排出削減に積極的に取り組むことにより企業のイメージアップにつながるというメリットもありますので、大切なのは事業者の意識の転換かなとも思います。
     そこで、温暖化防止に向けての条例の実効性を高めるためには事業者の取り組み意欲を高める仕組みが必要であると考えますが、県の対応を伺います。
     次に、農業振興についてのうち、農薬の適正使用について伺います。
     食の安全が叫ばれる中、農産物やその加工食品などの食品に残留する農薬成分については昨年の五月にポジティブリスト制度が導入され、残留基準が定められていない農薬についても食品に含まれる残留濃度が原則〇・〇一ppmを超えた場合、その食品の流通が禁止されることとなりました。この制度導入後の一年間で輸入食品からは六百件もの違反が見つかり、中国産の野菜を初めとした輸入食品の実態が明らかになってまいりました。国内食品に目を向けますと当初はこのような厳しい制度がクリアできるのかなと心配しておりました。本県のように一定のエリアに花卉、野菜、果樹など、いろいろな作物が栽培されているケースも多く、また水田でのヘリコプターなどによる防除なども定着してきている中で、飛散した農薬が基準に定められていない作物に付着するのを防止することは容易なことではない。こんな心配をしていましたが、これまでの関係者の取り組みの成果もあって国内食品からの違反は十五件にとどまっていると報告されています。
     国内食品での違反発生の原因としては農薬の散布時の飛散によるものはなく、農薬ラベルの確認の不徹底、防除器具の洗浄の不徹底などが報告されていますが、食品の製造に携わる関係者には安心・安全に向けて一層の努力が求められることは言うまでもありません。生産現場である産地においては、たとえ一件であっても残留基準を超える農薬の検出は、生産者一人一人の問題を超えて産地全体の栽培管理体制や出荷体制への安全性、信頼性を傷つけ、ひいては県内で生産される農産物の競争力の低下につながるのではないかと心配します。
     そこで、安心・安全な農産物を生産するため農薬の適正使用の一層の徹底が必要と考えますが、県の取り組みを伺います。
     次に、農産物の流通の活性化について伺います。
     小売業の大型店舗化が進み、さまざまな業界において中小の小売店が店を閉める現象が多くなってきています。青果においてもその現象は顕著で、最近では町中で八百屋を見かけることは珍しくなってきました。消費者が利便性から購入先として量販店を選択することが直接的な要因ではありますが、私は流通過程にも原因があるように思います。
     青果の主たる流通経路である卸売市場においては、競り売りと卸売業者と相手方が一対一で取引を行う相対取引があります。近年は量販店の取扱量が大きくなってきたことにより、この相対取引の割合が大きくなってきています。相対取引においては量販店がいい品物を先取りして大量に安く仕入れるケースもあり、結果として生産者は安く買いたたかれ、競り売りの参加者である八百屋などは思ったような仕入れができない状況も生じています。こんなところにも強い者のひとり勝ち、いわゆる格差社会の一端をかいま見ることができるのではないでしょうか。それでも消費者が安く買うことができればそれでいいではないかといった意見もありますが、それほどには小売価格に反映されておらず、むしろ近年の農産物の出荷価格と小売価格の比率は年々広がってきているという調査結果もあります。全体としては、量販店が安く販売をしようとするしわ寄せは生産者である農家が安く買いたたかれているという構図が生じているように感じます。
     このように、以前に比べ量販店の影響力が強くなり卸売市場の価格形成機能が相対的に低下している状況の中で、農産物が適正な評価を受け取引されるためには、産地直送やファーマーズマーケットなどのように農家自身が直接販売する仕組みを充実することが必要です。またそれにも増して、依然として流通の主流を占める卸売市場の価格形成機能が適正に働くことが重要なことと考えます。卸売市場の価格形成については農産物や産地のことをよく理解している卸売業者が主導権を握っていくことが重要でありますが、近年多くの卸売市場の取扱高は低下する一方であり、加えて平成二十一年には手数料の自由化を控え、経営環境は厳しいものがあります。
     こうした状況を踏まえ、県では卸売市場のあり方や流通の活性化に向けてどのように対応していくのか伺います。
     次に、若者の離職対策について伺います。
     県内の有効求人倍率は一・二倍台で推移し平成十八年の完全失業率は二・八%となるなど、雇用情勢全般を見れば改善の動きを続けております。また新卒者の就職率は本年三月の県内高校卒業者が九九・九%、県内大学でも九三・六%と新卒者に対する企業の採用意欲は大変旺盛で、売り手市場の様相を強めています。しかし正社員の有効求人倍率は〇・七倍台と一倍を大きく下回っており、特に若者の完全失業率が高どまりしているなど若者を取り巻く雇用環境は依然として厳しい状況にあります。
     こうした中で、「七五三」と言われるように若者の就職後の定着率は低く、平成十五年三月卒業の県内高校生が三年以内に離職した割合が四三・三%、大学生が三四・二%と高い比率になっております。みずからのキャリアアップやよりよい労働条件を求めての転職など離職のすべてが悪いわけではありませんが、新社会人として希望に胸を膨らませて就職した職場をすぐにやめてしまうのは本人にとっても企業にとっても大きな損失ではないでしょうか。
     若者の早期離職の一因として、静岡労働局の調査では仕事の内容を十分知らずに就職する若者が多いことが挙げられています。若者は職業意識が希薄であると言われているように若者に全く問題がないとは申しませんが、職場定着率を向上させるためには企業が安定した就業環境や自己啓発、能力開発の仕組みをつくることと同時に、行政が早い段階から勤労観を育成するための取り組みなどを進めることが大切であると考えます。
     また、離職した若者の選択肢がフリーターやニートしかないのでは、職業的に自立できず、結婚し家庭を持つことができない若者をふやし、ひいては少子化に拍車をかけるばかりで何度でも再チャレンジが可能な社会とはほど遠いものとなってしまいます。このようにならないためにも早期離職した若者が円滑に再就職できるための支援がぜひとも必要であると考えます。
     そこで、若者の離職を防ぐため、また離職した若者の再就職を促進するため、どのように取り組んでいくのか伺います。
     次に、浜名湖におけるプレジャーボート対策について伺います。
     浜名湖は豊かな自然と資源に恵まれ、漁業活動の場としてはもちろん、観光レクリエーションの場としても多くの人に親しまれ、私たちの貴重な財産となっています。近年は海洋性のレクリエーション志向の高まりにより浜名湖においてもプレジャーボートが普及しましたが、これらのプレジャーボートの多くは不法係留状態にあり、流水の阻害、沈廃船の発生、漁船とのトラブル、ごみの放置等の問題が生じていました。
     浜名湖に約九千六百隻あったプレジャーボートのうち、三分の二に当たる約六千五百隻が不法係留といったありさまでしたので、県は湖の秩序ある利用の実現を図るため、係留保管の適正化を図る条例を制定するとともに、恒久係留施設の整備とあわせ平成十二年度までに浜名湖全域に約四千六百隻分の暫定係留施設を整備してすべての不法係留船を収容しました。これにより不法係留状態は解消されましたが、暫定係留施設の占用許可期間は十年とされており平成二十二年度中に期限が到来することから、それまでに現在暫定係留施設に係留されている船艇をマリーナ等の恒久係留施設に移動させなければなりません。果たして平成二十二年度までに恒久係留施設の整備が間に合うのでしょうか。受け入れ先が決まらないと再び不法係留状態が発生しないとも限りません。
     県は本年三月に浜名湖におけるプレジャーボートの適正な利用に関する推進計画を策定したと聞いていますが、その計画はどのような内容であり、また今後浜名湖のプレジャーボート対策についてどのように取り組むのか伺います。
     次に、景観行政について伺います。
     魅力あるしずおかの実現を図るためには、美しく恵み豊かな環境の中で快適な生活ができることが求められると本県の総合計画二〇一〇年戦略プランにあり、美しく良好な景観づくりは基本構想、基本計画にもそれぞれに掲げられ、自分が住んでいる地域の景観を誇りに思う県民の割合七五%以上の最終アウトカム指標を掲げている県の重要施策の一つだと認識しています。
     しかしながら、実態を見ると道のりなお遠しの感は否めません。景観の阻害要因としてまず第一に挙げられるのは、我が物顔で無秩序に張られている政治家のポスターだとの声も聞こえてきますが、表札からビルの屋上の巨大な看板に至るまで多種多様な屋外広告物は違反広告物がはんらんしていると聞いています。
     国において平成十六年に景観法が成立され、その施行に伴って屋外広告物法も大幅に改正されました。これらの法改正を受けて、県も屋外広告物条例を改正をし、平成十七年からは屋外広告業者の登録制度が始まりました。これらの法令、制度を受け、県は違反屋外広告物に対してどのような取り組みを行ってきたのか、今後の取り組みとあわせて伺います。
     また、電線なども良好な景観を阻害する要因として指摘されていますが、そのつもりで改めて市街地を見ますと電線の多さに驚きますし、せっかくの美しい建物や街路樹などの景観が損なわれているのに気がつきます。外国の美しい町で記念写真を撮ったとしても多分そこには電線は写っていないはずです。どこにも負けず、静岡県の町並みは美しいと言われるよう電線の地中化を進めていくことも大きな課題だと思いますが、所見を伺います。
     次に、教育委員会のあり方について伺います。
     昨年十二月に教育基本法が約六十年ぶりに改正され、新しい時代に求められる教育理念が法律上明確になったことを踏まえ、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、教育職員免許法及び教育公務員特例法のいわゆる教育三法がそれぞれ一部改正されました。
     昨今の小中学校でのいじめ問題や高校の未履修問題などは本県においても例外ではなく、これらへの対応をめぐり全国の教育委員会や学校に対する信頼は大きく損なわれ、一部の教育委員会に至ってはこうした問題にうまく対処できず機能不全に陥っていることも明らかになっています。こうした背景から教育委員会への批判や改革論議が高まり、中央教育審議会や教育再生会議の議論を経て教育三法の改正につながっていったものと考えます。
     この教育三法のうち、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正では、教育委員会の責任体制の明確化や体制の充実、教育行政における地方分権の推進など、教育委員会のあり方と地方教育行政に対する国の責任の果たし方などが骨子となっています。具体的には教育委員会の活動状況の点検・報告の実施、教育委員の研修の実施、教育に関する事務を首長部局で担当できる特例などを初め国の責任の果たし方については、教育委員会の法令違反や怠りにより緊急に生徒らの生命を保護する必要が生じた場合における文部科学大臣の是正指揮権や、生徒らの教育を受ける権利が侵害されていることが明らかな場合は文部科学大臣の是正要求ができる旨の規定が新たに設けられています。この改正の一部は国の関与が強化され地方分権に反するとの意見も聞かれますし、また教育委員会の任意設置化の意見も少数ながら出ているとも聞いています。
     こうした改正や意見等も踏まえ、今後の教育委員会のあり方について教育長の所見を伺います。
     最後に、頼られ、かつ親しまれる警察官の育成について伺います。
     警察官というのは、悪と対峙するときは毅然とした態度と強い執行力すなわち力強い警察を身をもってあらわすことが求められることは言うまでもありません。しかし、警察官が接する大半の県民、市民は善良な人々であり、時には犯罪などの被害で困ったり悩んだりしながら恐る恐る警察の門をたたく場合もあるのです。
     そのようなことから、県民、市民が望んでいる警察官の姿、あり方は、犯罪者や他人に迷惑をかける一部の人間に対してそれを許さない強くて怖い存在であってほしいと願い、同時に大多数の善良な人々や助けを求めている人々には頼りがいのある存在、親しみを持って接してもらえる存在であってほしいと願っています。善良な人々、助けを求める人々に接する際の警察官には、その期待と信頼にこたえられる態度、丁寧な言葉遣いや接し方が当然にして求められており、その結果得られた警察官に対する信頼や親しみなどが安全・安心な社会の実現にもつながっていくのだと考えます。
     警察は強い権限を持つ組織でありますが、それは県民、市民の負託によって与えられたものであるはずです。その権限を行使する上は警察官は人々から頼られ、親しまれる存在でなければならず、その育成に向けた指導、教養は大変重要であり、その重要度は悪に対する強さを養う指導、教養と同等であるべきと考えます。
     この質問を今回のテーマでいこうと決めた先月、新たに就任した吉村博人第二十一代警察庁長官も、あるべき警察官の姿として「頼りがいのある、信頼される警察」を掲げていました。一人一人の警察官が県民、市民から頼られ親しまれる存在となるように育成するため、県警ではどのような指導、教養に取り組んでいくのか原田新本部長に伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    ○副議長(吉川雄二君) 石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事(石川嘉延君) 野澤義雄議員にお答えをいたします。
     お答えの前に、私の手術後の健康保持に向けましていろいろお気遣いをいただきましたこと、感謝申し上げる次第であります。術後は今まで以上に健康保持に注意をして、県民の皆様に御迷惑をおかけしないようにやってまいりたいと考えております。
     さて、初めに新公共経営への取り組みについてであります。
     本県では、県民の立場に立って施策を推進し、成果を追求することを基本方針の一つとして新公共経営の取り組みを実践しているところであります。具体的には業務棚卸表を活用した行政評価、これが大変重要な意味を持ってくるわけでありまして、毎年その結果を県民に公開をいたしますとともに県議会の決算特別委員会において審議をしていただいた上で、それらの結果などをもとに翌年度の予算や組織に反映させるなど、常に県民の視点による行政改革に努めているところであります。
     したがって、NPMのそういう手法のもとでは、評価に客観性が欠けたりあるいは数値目標がひとり歩きをするという現象がそもそも発生をしないというか、そういうことに歯どめをかける仕組みになっているわけですね。県民に公開をする、したがって、それに対して意見がいろいろ直接いただけるということ、あるいは議会の審議にもこれが反映される。予算もNPM手法で業務棚卸表を活用した予算編成を行い、予算の段階での議会の審議にも従来とは違う角度からいろいろ議論いただけるようになっているし、決算も同様になっております。
     したがって、このNPMは常に目標にしても、あるいは目標を達成するいろいろな仕事のやり方、あるいは投入している人員とか予算、それらをすべて含めて常に評価をし、この評価も行政内部の評価だけではなくて議会、県民の評価をいただきながら改善し前進する、次のステップに進んでいくという、そういう仕掛けがずっと循環するようになっているわけでありますので、より県民満足度向上に寄与し得る仕組みだというふうに考えております。
     また、このNPMの中でまた一つ重要な要素になっておりますひとり一改革運動でありますけれども、これはより件数と言いましょうか職員の意識を高める意味で、優秀事例の表彰やその優秀事例についての定例幹部職員会議における事例発表などを通じまして、職員へのねぎらいと取り組み成果の周知、またそれらを通じて職員一人一人が達成感を感じながら意欲的にこの運動に取り組めるように工夫をしてまいりました。これまでの経過を振り返りますとそのねらいが十分に実現してきているという感じを受けます。
     これまでの新公共経営の取り組みによって、一般行政部門の職員を平成十年度から十年間で千三十四人を削減することができました。もともとスタート時点の職員数対比でいきますと一五%近い達成率になるわけでありますけれども、この職員の削減があったればこそ、他方で県民の安心・安全に貢献する病院部門や警察部門の職員を人件費総額のさしたる増額なく増員をすることができました。その間にベースアップその他もありましたから人件費総額は削減ということまではいきませんでしたけれども、このような職員数のスクラップ・アンド・ビルドによって人件費の総額増大を極限まで抑制することができたと。
     しかも、この千三十四人の一般行政職員の削減も、まあさしたる騒動と言ったら適切な表現じゃないかもしれませんが、内部で非常にぎすぎすしたこれをめぐるいろんな反対とかそれを阻止する動きがあって非常に難航したというようなこともなく、スムーズにこれが実現されました。実はこれに対する猛反対運動が起こって、私が一喝のもとでこれを実現したというような劇的な何か現象があれば行革知事として褒められたかもしれませんけれども、逆に余りにもスムーズにいったために意外にこのことが気がつかれていないというのは皮肉な現象でありますけども、私は静岡県の行革の誇るべき点ではないかというふうに感じているところでございます。
     今後に向けましても、このNPMによってさらに一層徹底した一般行政職員の生産性向上を実現して、さらにまだ改善の余地があると、合理化の余地があるということも見込まれてきておりますので、そういう面でも大変効果が上がってきたと思います。
     それからまた、一改革運動などについても私は大変職員の意識が徹底してきておると常にいろんな提案を見て思うんですけれども、その中の一つを御紹介しますと、昨年の提案の中でこういうのがありました。県は旅券の発給事務を外務省から委託を受けてやっております。県下九つの旅券センターで申請を受けて、これを県の中部の旅券センターが一括して集めてここで発給業務を行ってまた戻して、それぞれの九カ所の窓口を通じて申請者に交付差し上げるわけであります。
     こういう業務の過程で、ある事務所から申請が上がったものが一通交付されないという事態がありました。期限が来てもパスポートが発給されないと。こちらの方では発給した。しかし相手方の事務所の方では受け取っていない。これがもしそのセンターからある交付センターのところへ中央から行く過程でどっかに漏れ出たということになれば、これは個人情報の保護はもとより大変なことになりかねないわけであります。そこで九カ所のセンター挙げて大騒動になったわけでありますけれども、結果的には別なセンターに送るべき場所でないところに間違って送付されておったということがわかってですね、その限りでは事なきを得たわけであります。
     そこで、こういう事例が起こった場合に、NPMなりひとり一改革なりこういうものが徹底する以前の状態でありますれば、私の長い公務員経験でいきますと、大体はそれぞれの部署の責任者、所長とかあるいはそういう部署の係長とかそういう責任ある管理者が職員を集めて、こういう事例があったと、いいか、これからこういうことのないようにみんな気合いを入れてもうちょっとしっかりやれと、そう言って大体終わるのが普通なんですね。
     ところが、今回はある担当の一人の職員が絶対間違えないような仕組みを考えようといって、それを提案し実現したわけですね。これは何かというと、要するに九つありますから九色で――九つの色にそれぞれセンターを色づけして、すべてのセンターの色はそこから中央に来る、あるいは戻すものも全部それぞれのセンターごとの色分けを行うと。そうしますと違う色が混じっていればこれはどっかへ間違って届いたということがすぐわかるわけですし、発送の段階でもこれは間違った処理だということがわかりますね。これを行ったわけです。
     実現してみれば、そんなもの当たり前じゃないかと思うわけでありますが、そこがやっぱりコロンブスの卵の、コロンブスの偉いところなんですね。ですから、私はこの職員をコロンブスの卵を実現したコロンブス、職員がそういうとこまで考えて実行までいったと。従来ならばそういうアイデアを持つ人はいるんだけども、それを九つにもまたがる組織全体のことでありますから提案をして実行するということにまでなかなか従前はいきにくかった。しかしこれを一担当の職員がそこに気づいて実現までしたと。これは非常にすばらしいことだと私は思って、民間の方々にもこんなことで我々の一改革はこういうレベルになっているというように話をしたら、これはなかなかやるじゃないかと。民間企業の例でも要するにそういうことを含めても、おびただしい数の気づき、気づいたことをどんどん実現するということが行われていると、かなりのレベルだなというような反応もいただいたりして、私も自信が持てたわけでありますけども。そういうレベルにまで本県の職員の意識が来ているということでありますので、これから県民の皆様にも実感ができるようないろんなものが出てくると思います。
     その前兆現象として、例えば全国組織で各種分野のいろんな協議会とか研究会がありますけれども、昨年、一昨年あたりは本県の職員の提案が全国で特別賞をもらうとか大賞をもらうというようなことも随分出てまいりまして、それらもこの成果の一つではないかと思っておるところであります。
     このような実績を背景に、来る十月十九日には「しずおか新公共経営シンポジウム二〇〇七」というものを開催をいたしまして、県内の市や町の関係者に対して本県の新公共経営の取り組みを紹介する一方、県内の民間企業の優秀事例として紹介されたものについても直接関係者に出席をしていただいて参考事例の発表をしていただく、こういうことを考えておるところであります。これらのことを通じて、県のみならず県内全般にわたって生産性向上への機運を高めていくように努めてまいりたいと考えております。
     次に、天竜浜名湖鉄道についてであります。
     天竜浜名湖鉄道は、平成十一年度からの長期経営計画に基づいて県や沿線の市、町の支援によって安全対策や施設整備を実施してきました結果、大きな事故もなく運行を続けておりますけれども、経営状況はどうかというと赤字基調で来ていることは事実であります。しかしながら、天竜浜名湖鉄道は地域の住民の通勤や通学、また沿線の自然や歴史を訪ねる観光客の交通手段として重要な役割を果たすとともに、地域の交流を促進し沿線の活性化に大きく寄与する重要な財産であると考えております。
     経営の赤字の内容あるいは利用者の動向を見ておりますと、沿線地域の人口減少を反映して残念ながら沿線の住民の利用数、これは右肩下がりで減ってきております。それを補う意味で交流人口による損失カバー、これができないかずっと関係者努力をしているわけでありますが、若干の交流人口によると思われる利用がふえつつあるように見込まれますけれども、もともとの沿線の基盤となります住民の利用減をカバーするところまでいっていないというところが赤字の主たる原因になっております。
     したがって、今後沿線の市、町あるいは各種団体等を網羅して、できるだけ利活用の促進に資するようなさまざまな地域展開を考えていく必要があると思いますし、一方で数は減りつつあるとはいっても沿線の住民にとってみますと、やはりまだ依然として重要な交通手段であることは間違いありません。したがって単純に赤字だから廃止をするというような結論にはなかなか至らないわけであります。
     これは第三セクターでありますけれども、沿線の市や町あるいは県におきましても公共の利用に供するためにつくったいろんな俗に言う公共施設ですね、公共施設についてすべて赤字黒字理論で仕切られているかといえばそうではないと。なかなか黒字になりがたいからこそ公的に設置をしてその維持をして住民のサービスに供しているという種類の公共施設が大部分でありますから、この天竜浜名湖鉄道についてもそのような位置づけも必要ではないかというふうに思うんです。
     合併前の沿線の市町村長とのいろいろな会合を通じての議論はそのような認識で支えていこうということでありましたけども、その後、平成の大合併によって構成市町村の数もがっと減り、従来と比べるとこの問題への各沿線の市町の認識にも若干変化が見られます。したがって、改めて新しい関係者と県とでもう一度この辺の問題、突っ込んで話し合いをして、新たな合意のもとに、共通認識のもとにこの問題将来どういうふうにしていくのか、方針を定めていかなければいけない時期にあるというふうに認識しております。
     次に、富士山静岡空港についてのうち、まず管理運営についてであります。
     富士山静岡空港の基本施設等の管理運営については、可能な限り空港運営会社に委託をして民間主導によって効率的な、そして利用者にとって非常に良好なサービスが実現することを期待をしてるわけでありますが、一方で野澤議員の御指摘のように空港の設置者責任といいましょうか、設置者は県でありまして、現行の制度では設置者として責任を直接担わなければいけない業務、施設があるということになっておりますので、国とも現在協議しながらどこまで県が直接やらなければいけない施設、空間であるのか、業務であるのか、民間に委託できる業務、施設、空間はどこまであるのか、これを今整理をしておるところであります。
     具体的には、航空法に基づく権限の行使、空港の安全を確保するための許可や処分、事故、災害に備えた体制の整備や維持など、空港の設置者責任に及ぶ業務はこれは県が行わなければいけない、こういうことになってきております。一方で施設の軽易な補修や改良、施設の保守点検や清掃、警備、鳥害防除などの業務は包括的に空港運営会社にゆだねることが適当であると考えて、今仕分けをしているところであります。
     県といたしましては、空港運営会社による一体的な管理運営によって、先ほど申し上げました効率と顧客満足度の両方を達成し得ると期待をしておりますので、民間に委託する部分については具体的には指定管理者制度が適当であるというふうに考え、業務委託よりも指定管理者制度による委託の方がいいと考えて対応する考えであります。
     次に、需要拡大への取り組みについてであります。
     この需要拡大には、各航空会社に対するアピールとそれから県内各方面への利活用への意識の啓発と航空需要への結びつけ、これが大事だと思います。
     まず、航空会社へのアピールの問題でありますけれども、国内線については五月末の北海道に続いて、この九月中旬には福岡県へ観光、産業関係者などで構成されたふじのくに交流団を派遣いたしまして、大変それなりのアピール効果があったというふうに感じておるところであります。今後も鹿児島県や沖縄県への交流団を派遣するなど国内遠隔地との双方向での交流促進に努めてまいります。
     また、国内遠隔地からの観光誘客を図るために、JALグループとの連携によりまして札幌、福岡から中部国際空港を利用して本県を訪れる旅行商品を開発をして、九月から販売を開始いたしました。さらに平成二十年三月――来年には現地の旅行エージェントを招いて本県の観光業者と具体的な商談を行う販売促進会議を開催することとしております。すなわち札幌、福岡からは今本県直行便がありませんので、セントレアを介して、少なくとも今まで余り直接両地域から静岡県への観光客がありませんでしたので、便法としてセントレアを利用して今行っておるわけでありますが、さらに具体的な商品開発についてもやっていこうということであります。
     国際線の需要拡大につきましては、県民の皆様に現地を実際に見ていただくことが効果的でありますことから、今回でチャーター便の派遣としては二十一回目になります浙江省へのチャーター便を利用しての派遣、これは友好提携二十五周年記念ということを名乗っておりますが、チャーター便ということでいきますと二十一回目になりますがこれを派遣いたしまして、海外の航空会社等と連携して県内の旅行エージェントを対象とする需要拡大セミナーやチャーター便運航の勉強会を開催するなど需要の掘り起こしを図ってまいります。
     また、海外からの誘客促進を図るために教育旅行の誘致すなわち日本流で言うと修学旅行ですね、その種の形態の教育旅行の誘致にも取り組むとともに、ビジット・ジャパン・キャンペーンとの連携も図りながら、韓国や台湾の旅行エージェントの招聘などを通じた新たな旅行商品の開発などを進めてまいります。
     このような取り組みとあわせて、富士山静岡空港就航促進協議会などの県内の各団体等との連携を密にしながら、利活用促進に向けた効果的な支援策の検討を進めて航空需要の拡大に努めてまいります。
     高齢者の交通安全対策についてであります。
     交通事故全体は減少してきておりますものの、高齢者の交通事故は増加を続け大変憂慮すべき状態にあります。このため県といたしましては、高齢者事故ストップ作戦として、県内の交通事故の多い十の市や町において高齢ドライバーを対象とした体験型の講習会を開催するとともに、県内の小学三年生から祖父母などに交通安全を願うはがきを送る交通安全シルバーレター作戦を実施をしております。
     また、もみじマークの表示を一層促進するため、スーパーマーケットや公共施設にもみじマーク表示車両優先駐車枠の設置を働きかけるとともに、テレビやラジオのコマーシャルでももみじマークへの理解を呼びかけております。さらに最新の安全技術の展示や参加体験型のアトラクション等を通じて、高齢者を初め多くの県民の皆様に交通安全に対する意識を高めていただくために、本年度新たにふじのくに交通安全県民フェアを十一月に開催することとしております。
     今後とも警察や市や町、関係団体と連携いたしまして、高齢者に対する効果的な交通安全対策を実施してまいります。
     次に、若者の離職対策についてであります。
     新規学卒就職者に占める三年以内の離職者の割合は依然として高水準で推移をしておりますが、その主な原因として若者の職業意識や意欲の不足、労働条件など職場環境への不満などが挙げられます。
     このため県といたしましては、県教育委員会や静岡労働局等と連携して早い時期から職業意識の醸成を図るよう小中学校においてWAZAチャレンジ教室を開催するとともに、企業の実務に精通した就職相談員の高校への派遣、高校生や大学生等を対象とした職場見学会の開催やインターンシップの普及に取り組んでいるところであります。また若者が生き生きと働くことができる職場環境を確保するため、企業の人事労務担当者を対象とした研修会の開催等を通じて労務改善の取り組みを企業に働きかけております。
     さらに、離職した若者に対しては、早期再就職を促進するため県内三カ所のヤングジョブステーションにおいて就職相談や職業紹介、職業人として必要な基礎能力を付与するための講座の開催など総合的な支援を行うとともに、就職面接会の開催や技術専門校における職業訓練の実施など、個々人の適性に合ったきめ細かな就職支援を行っているところであります。今後とも引き続き県教育委員会や静岡労働局等と連携し若者の離職対策に取り組んでまいります。
     これらをやるに当たって、基本的に従前というか一昔どころか二昔より以前の段階での若者の意識と、今の若者の職業に対する意識が非常に変わってきてるということが、三年以内の離職の多発にもつながってるんじゃないかというふうに感ずるわけであります。それはどういうことかといいますと、就職して自分の思った想像していたこととちょっと違うと、すぐこれはもうだめだと、あるいはこれはもう嫌いだと、おれの希望に合っていないということで、すぐやめる決断をしてやめてっちゃう、そういう傾向が非常に見られるわけですね。
     多くの人、自分の若いころのことを振り返って考えてみれば、どういう分野でも最初から自分がこの分野が大好きで得意で、もうこれにのめり込んでいったら立派な一人前になれると、そういうことをわかっている若者というのは全体で見れば非常に少ないわけですね。むしろ、嫌でも辛抱してやってると自分が気づかなかった能力がそこで発現してそれで生きがいを感ずる、自分の使命を感ずるというケースもまた、最初からわかっている人、それ以上に多いわけですね。
     ですから、どこで見切りをつけるかということも重要でありますけれども、それにしては今の若者は余りにも見切りをつける時期が早過ぎると、そういう嫌いがあります。したがって、今日企業においても、従来リストラとか効率を上げるという過程で新入社員への教育訓練、これに従前とは違って手抜かりがどうもあったんじゃないかということから、最近多くの企業では新人教育にまたいろいろ取り組むようになってる。
     それからまた、職場の一体感を醸成するためのさまざまな取り組み、何だ、もう何十年も前にやっていて、あれはだんだん今の時代に合わなくなってやめたんじゃないかと思うような催し、例えば、職場ぐるみの飲み会だとか、カラオケ大会だとか、運動会だとか旅行だとか、そういうものが今復活しつつあるわけですね。そういうことによって職場の一体感を醸成する。そして先輩が後輩に何くれとなく面倒見ると。それが度が行き過ぎると非常に拘束を感じて、縛りを感じて嫌になるということもあるんでしょうけれども、その辺が昔とは違った形で新しい職場の共通の一体感を醸成できないかというそういう取り組みも始まってきております。
     一方で、今度は学校教育の現場でももう少し職業というものについて、あるいは自分の能力の発見について、そう簡単に何かちょっとやってみたらすぐわかるというものではないと。じっくり我慢をしてでも何か一つのことにずっと取り組んでみるとか、そういう日常の教育活動を通じての意識づけですね、こういうものも必要ではないかと。こういうものの上に立って、さまざまな公的ないろんな機会、相談業務とか、あるいは教育訓練の場を設置する、これが初めて生きてくるんじゃないかと思うんですね。基礎的にもうじっくり取り組むという気持ちがない人間を幾ら相手にしても、これは「ぬかにくぎ」みたいな話になっちゃうわけで、そういうふうに思っておりますので、若者対策は社会を挙げて総合的にいろいろやっていって初めて効果が上がるんじゃないか。企業社会においても、今そういう反省が見られるということもありますので、希望を持ちながら行政としてやれることはできるだけ濃密にやっていきたいと、こう考えているところであります。
     その他の御質問につきましては関係部長、教育長から御答弁申し上げます。
    ○副議長(吉川雄二君) 藤原総務部長。
            (総務部長 藤原通孝君登壇)
    ○総務部長(藤原通孝君) 東海地震対策についてのうち、初めに緊急地震速報についてお答えいたします。
     緊急地震速報は議員御指摘のような課題もありますものの、そうした課題を認識した上で適切に利用することにより地震対策として十分活用できるものというふうに考えております。しかしながら県が六月に実施いたしました東海地震に対する県民意識調査では、緊急地震速報について正しく認識している方が約三割、気象庁が九月に実施いたしましたインターネットによる全国調査でも適切な回答を選択した方が約五割という結果でございまして、その認知度はいまだ十分ではないという状況にあるものでございます。
     十月一日から一般の利用者への情報提供が開始されますけれども、何よりも県民一人一人がいかに正しくこの情報を認識して的確に対応できるかということが重要であります。このため県では、県内全戸に配布しております自主防災新聞の本年八月号に緊急地震速報の利用の心得を掲載しましたほか、気象台と協力して七月と九月に防災講演会を開催するなど、その広報啓発に努めてきたところであります。
     今後とも、気象台や市や町と連携を図りながらさまざまな機会をとらえ、速報に対する県民の理解を深め情報の適切な利活用を働きかけてまいりたいと考えております。
     次に、浜岡原子力発電所の地震対策についてであります。
     先般の新潟県中越沖地震におきます柏崎刈羽原発あるいは東京電力の対応、対処につきましては、幾つかの異なる種類といいますか、局面の問題があったんだろうと考えております。
     まず第一には、これは原発にとって何よりも重要な一定規模以上の大きな地震動がありましたときに、安全に自動停止装置が働き、きちっととめる、原子炉本体の安全の確保という課題でございました。ここは想定どおりといいますか、きっちりとまったということでございます。
     さらにそこから先の話として、原子炉本体ではないにせよ原発内の施設であります、議員からも御指摘のありました変圧器の火災であるとか、そういった課題への対処、さらには自主防災体制あるいは情報提供を含めたソフト面の問題、それぞれの局面における、できたことできなかったことというのがありまして、それを一つ一つ冷静に分析した上で浜岡の場合に置きかえ、我々として改善すべきところは改善していただくように働きかけ、あるいはまた改善をしていただかなくてはならないということであろうかと考えております。
     そこで、まず最初の浜岡原子力発電所の耐震性でありますけれども、これまで浜岡原子力発電所では安政東海地震を超えるマグニチュード八・五の地震を想定いたしまして、さらに一千ガルを目標とした耐震裕度向上工事を実施しております。県といたしましては、この工事が完了すれば同発電所の耐震安全性はさらに向上し十分な耐震性を確保できるものと認識をいたしております。
     また、今回の新潟県中越沖地震を受け、中部電力では柏崎刈羽原子力発電所で観測されたデータをもとに浜岡原子力発電所の設備に与える影響について概略の検討を行いました。去る九月二十日、この揺れに対しましても浜岡原子力発電所の安全は確保されるとの結果を国に報告しております。国では、今後この報告について確認を行うというふうに伺っておりますので、現在審査が行われております新耐震設計審査指針に基づく三、四号機の耐震安全性の評価とあわせて国の見解を伺い、浜岡原子力発電所の耐震性を改めて確認いたしまして、必要があればさらなる改善を求めてまいります。
     次に、自主防災対策についてであります。
     浜岡原子力発電所では、国から消防体制や設備強化の指示を受けるとともに、県からも柏崎刈羽原子力発電所で起きた事象を調査し、それを踏まえて浜岡原子力発電所に必要な対策を講ずるよう要請を行ったところでございまして、中部電力では七月二十六日、自衛消防体制の強化などの改善計画を発表いたしました。その後、浜岡原子力発電所ではこの計画を踏まえ、地元消防署との合同訓練あるいは九月一日の総合防災訓練を行っておりますが、県といたしましては今後とも施設の不燃性を高める努力とともに、防災体制を充実強化するよう中部電力に求めてまいります。
     次に、正確な情報提供についてであります。
     浜岡原子力発電所で事故等が発生した場合には、中部電力から安全協定の通報要領に基づきまして、まず県、市に通報があります。これを受け、県、市では発電所周辺で監視をしている環境放射線のデータとあわせて地域防災局など関係機関や報道機関への連絡を行うとともに、情報の重要度に応じて地域の住民の皆さんや県民の方々への情報提供を行うこととしております。
     今回の地震では、発電所で発生した事象の正確な情報の発表がおくれたことで住民の不安や風評被害が生じたということでありまして、本県としても原子力安全・保安院に対しまして、柏崎刈羽原子力発電所の情報伝達を含めた一連の事象の評価と保安院としての見解を早急に国民に示すよう要請したところであります。
     原子力発電所の事故あるいはトラブルというのはこれはあってはならないことではありますけれども、万が一の事態に的確に対応するためには、議員御指摘のとおり関係機関が連携してより迅速に適切な情報を地域住民や県民の皆様に発信できることが何よりも重要であると考えております。今回の事象を教訓として、関係機関と検討を行い体制の検証や改善を行ってまいります。
    ○副議長(吉川雄二君) 藁科厚生部長。
            (厚生部長 藁科一仁君登壇)
    ○厚生部長(藁科一仁君) 東海地震についてのうち、初めに災害派遣医療チーム――DMATによる医療救護活動についてお答えいたします。
     東海地震発生時には県内だけの医療機関で多くの負傷者に対応することは困難であり、県を越えた広域的な医療救護支援体制が必要となります。そのため、平成十七年に東海地震応急対策活動要領に基づく静岡県広域受援計画を策定し、東海地震発生時には被災地外のDMATを受け入れ、広域搬送拠点における仮設救護所の運営や搬送用ヘリコプターへの同乗などの広域医療搬送活動、災害拠点病院における医療救護活動等について支援を受けることとしました。
     九月一日に行われました総合防災訓練においては、航空自衛隊浜松基地を初め県内三カ所の広域搬送拠点に三十六チームのDMATを受け入れ、県内病院から広域搬送拠点さらには県外の受け入れ病院までを通した実際に近い形での広域医療搬送実動訓練を行い、連携体制を確認したところであります。県といたしましては、今後ともDMATとの連携を深め、発災時に適切な医療救護活動ができるよう努めてまいりたいと考えております。
     次に、被災者の心のケアについてであります。  
     災害により、なれ親しんだ土地家屋、家財を失った悲しみや将来に対する強い不安、地震そのものに対する恐怖感など、被災者が感じる無力感や絶望感ははかり知れないものがあります。被災後できるだけ早く生活を立て直すために、被災者に対し早期に専門的な心のケアを行うことが極めて重要であると認識しております。
     実際に心のケアを行う際には市や町が中心となり、被災の状況等に合わせて医療機関、地域活動支援センター、健康福祉センター等関係機関で連携を図りながら行うことが重要であります。このため県といたしましては、平成十八年三月に被災後の関係機関の活動内容を時系列で整理した「災害時の心のケア対策の手引」を作成し、能登半島地震に赴いた県のチームの活動や中越地震等で救援活動を行った日赤や新潟県の職員の報告を踏まえた研修会を開催し、関係機関の職員に周知を図っております。
     また、県内に精神科医師を中心とした九つのチームがあり、東海地震の発生時には被災地の市や町に派遣し、救護所や仮設住宅などでの医療の提供、専門相談を実施することとしており、さらに多くの応援が必要と見込まれる場合には国、他県等に応援チームの派遣を要請することとしております。今後とも関係機関の連携を強化し、被災時に県内各地域の状況に合わせたきめ細かな心のケア活動を行うことができるような体制整備に取り組んでまいります。
    ○副議長(吉川雄二君) 稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長(稲津成孝君) 地球温暖化防止条例の施行状況についてお答えいたします。
     本条例に基づく温室効果ガス排出削減計画書の本年度の提出期限は十月末日ですが、既に対象となる約七百の事業所等の一割強に当たる九十七の事業所等から計画書が提出されており、この計画書制度はおおむね順調に動き出したところであります。 計画書の公表に当たりましては、個別の企業活動に影響を及ぼさない範囲でかつ県民にもわかりやすい内容としたいと考えており、現在、十二月の公表に向けて関係団体と調整を進めているところであります。
     温室効果ガスの排出削減対策を実効性あるものとするためには事業者の理解と協力が何よりも大切であります。このため、この条例に基づき地球温暖化の防止に著しく貢献した事業者につきましてその業績を公表するとともに、環境月間に開催する県民大会において表彰することとしております。さらにこうした事業者の取り組みについて、県のホームページによる効果的な広報を行うなど今後ともさまざまな機会をとらえて、事業者の取り組み意欲の向上を図ってまいります。
    ○副議長(吉川雄二君) 杉山産業部長。
            (産業部長 杉山栄一君登壇)
    ○産業部長(杉山栄一君) 農業振興についてのうち、初めに農薬の適正使用についてお答えいたします。
     昨年五月のポジティブリスト制度の施行を受け、県では農薬の適正使用を確保するため、農業者に対し効果的な防除方法の講習会や散布履歴の確認などの立入検査を行うとともに、最新の農薬の使い方や農薬の飛散防止技術について県のホームページを利用して迅速に公開しております。本年度はこうした取り組みに加え、六月から八月の三カ月間を農薬危害防止運動強化期間として定め、県の農薬取り締まり職員による約三千五百戸の農家への巡回指導を初め、農薬の適正使用を啓発するチラシを全農家に配布したほか、農業団体と連携して農業者に対し防除器具の十分な洗浄方法や農薬の適切な管理方法など、改めて農薬の適正使用について周知したところであります。
     今後、今回の巡回指導の結果等を踏まえ、農協職員や生産組織の代表者さらに農薬販売店などを対象にポジティブリスト制度のもとでの農薬使用についての研修会を開催するとともに、引き続き農薬取り締まり職員による巡回指導により農薬の適正使用を一層徹底してまいります。
     次に、農産物の流通の活性化についてであります。
     卸売市場は、産地からの農産物の円滑な集荷や消費者への安定供給、適正な価格の形成など流通のかなめとして大きな役割を果たしておりますが、近年の市場外流通の増加による取扱量の減少や平成二十一年からの販売委託手数料の自由化などにより、その経営環境は大きく変化しております。
     このような状況を踏まえ、県では卸売市場の整備と経営体質の強化を図るため、平成二十二年度を目標年度とする第八次静岡県卸売市場整備計画を平成十七年十二月に策定したところであり、この計画に基づき東部、中部、西部の三つの流通圏ごとに、地域拠点市場を核とした卸売市場の再建整備や周辺市場との共同集荷など効率的な流通システムの構築を進めております。
     また、農産物の流通を活性化するためには、卸売市場の再編整備等とあわせファーマーズマーケットなどでの直接販売や量販店、外食産業等との契約販売などの市場外流通に対応していくことも重要でありますことから、生産者の新たな流通経路の開拓にも積極的に支援してまいります。
    ○副議長(吉川雄二君) 衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長(衛門久明君) 浜名湖におけるプレジャーボート対策についてお答えいたします。
     県では平成八年度に約六千五百隻の不法係留船を公共と民間で協力して解消するための係留施設整備計画を策定し、順次整備を進めてきたところであります。
     対象となる船艇の減少など、計画策定当時から大きく状況が変化してまいりました。このため平成十九年三月、新たに「浜名湖におけるプレジャーボートの適正な利用に関する推進計画」を市や町、民間マリーナ団体、漁業関係者、地域住民等の合意を得て策定したところであります。この計画では、平成十八年十月時点で暫定係留施設に係留されている約三千六百隻の船艇の受け入れ先として、平成二十二年度末までに県で約一千八百隻分、市や町で約一千百隻分、民間マリーナで約七百隻分の恒久係留施設を分担して整備するとともに、暫定係留施設からの船艇の移動を行うこととしております。
     県といたしましては、今後も市や町、民間マリーナとの連携を一層強化して恒久係留施設の整備を進めるとともに、暫定係留施設の利用者等に対する説明会の開催や広報誌、ホームページへの掲載などにより計画の周知に努め、恒久係留施設への船艇の移動が期限である平成二十二年度末までに確実に完了するよう取り組んでまいります。
     次に、景観行政についてであります。
     まず、屋外広告物対策につきましては、従来から取り組んでおります個別の是正指導と重点地区、重点期間を設定した集中的な違反取り締まりに加えて、本年四月からは屋外広告業者に対する指導監督の措置基準及び事務処理要領を施行したところであります。法令違反を繰り返す悪質な業者などに対して厳正かつ公正な措置を行うことにより、違反広告物の一層の削減に努めてまいります。
     また、電線の地中化に関しましては、昭和六十一年度から平成十五年度までに約百十二キロメートルの無電柱化を実施してきたところであり、さらに平成十六年度からの静岡県無電柱化推進計画に基づき本年度末までに約二十七キロメートルを整備する予定であります。今後も地域の意見を聞きながら、地中化のほか裏配線、軒下配線など多様な手法による無電柱化を進め、安全な歩行空間の確保や美しい町並みの形成等を図ってまいります。
     県といたしましては、景観法の活用などにより市や町の景観まちづくりを支援していくとともに、さまざまな景観阻害要因の解消に向けて景観行政を推進してまいりたいと考えております。
    ○副議長(吉川雄二君) 遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長(遠藤亮平君) 教育委員会のあり方についてお答えいたします。
     今回の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正は地方公共団体における教育行政の基本理念を明確化し、地方公共団体における教育行政の中心的な担い手である教育委員会がより高い使命感を持って責任を果たしていくことができるようにする趣旨から行われたものと理解しております。
     県教育委員会ではいち早く目的指向型行政経営を取り入れ、教育計画に数値目標を設定したり、業務棚卸表を活用して点検、評価を実施したり、県民の意思を反映するための移動教育委員会を開催したりするなど、今回の改正の趣旨を先取りした取り組みを既に行ってきているところであります。今後は、これらに加え教育委員会における意思形成の透明性を高めるため会議録のホームページ公開を進めるとともに、時宜にかなった教育課題を委員が互いに議論する場の充実等を図ることによって一層の活性化につなげてまいりたいと考えております。
     県教育委員会といたしましては、教育行政における中立性、安定性、継続性を確保するため、知事部局から独立した行政委員会としての存在価値を一層高めるよう今後も努めてまいります。
    ○副議長(吉川雄二君) 原田警察本部長。
            (警察本部長 原田宗宏君登壇)
    ○警察本部長(原田宗宏君) 頼られ、かつ親しまれる警察官の育成についてお答えいたします。
     警察の活動は県民の皆様の理解と協力が必要不可欠であり、その理解と協力を得るには、議員御指摘のとおり警察官一人一人が県民から頼られ親しまれる存在でなければなりません。そのためには、個々の警察官が県民の要望や期待にこたえようとする使命感や思いやりと、それを実行できる執行力を身につけていなければなりません。
     このため、まず第一に、警察官の採用に当たっては教養試験の結果だけに左右されないよう一次試験に体力検査を導入するとともに、適切な面接試験を推進して人物、適性を重視した、より警察官としてふさわしい者を採用しようと努めております。
     警察官の教養は県警察の指針であります「県民の期待と信頼にこたえる警察」、警察官の基本姿勢「正・強・仁」を体現する警察官を育成することを柱としておりますけれども、警察学校では「真に職責を自覚させ、使命感を培い、警察活動に必要な基礎知識、技能の習得及び気力、体力の錬成」を目的とした教養を行っております。また県教育委員会から教育主事の配置を受けたり部外の教育専門家を招くなどして、倫理、社会常識、情操教育等の教養を強化しております。
     さらに、警察署等の各所属での教養につきましては、困っている方が警察を訪ねてくる相談業務等各種機会を通じて常に日ごろから幹部が県民の期待と信頼にこたえる姿勢を示すほか、関係法令を研さんするなどして実務能力の向上に努めあるいは警察OBや部外の有識者を招いて講話を聞くなど、適時職場教養を行うよう努めております。
     初めに申し上げましたように、真に頼りがいのある警察官たるには日々発生する事件事故等に対し迅速かつ的確に対処できる実力が必要です。今まさに大量退職、大量採用期を迎え第一線現場での現場執行力の低下が懸念されていることから、以上申し上げてまいりましたことに加えまして、ベテラン警察官のきめ細かい指導による若手警察官の早期育成、経験豊富な警察官による捜査技術等の伝承教養を強力に推進して、個々の警察官の実力を向上させてまいりたいと考えております。
     今後もこれらの施策を継続いたしまして、県民の皆様とふだん接するときは親切丁寧、有事の際には迅速・適切に職務を遂行し得る実力を備えた、県民から頼られ、かつ親しまれる警察官を育成してまいりたいと考えております。
    ○副議長(吉川雄二君) これで野澤義雄君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     九月二十七日午前十時半、会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれにて散会といたします。

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