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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



令和3年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 澄美 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/25/2021

会派名:

自民改革会議


質疑・質問事項:

1 令和三年度に向けた取組について  
  知事の政治姿勢  
ア コロナ禍における危機管理対応  
イ コロナ対応における東西隣接県との連携  
(1) 令和三年度当初予算要望の反映状況  
2 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック及び観光振興
 について  
(1) コロナ禍における東京二〇二〇オリンピック・パラリン
  ピックの成功に向けた取組  
(2) 観光産業の支援  
3 防災と感染症対策について  
(1) 県民の早期避難意識の向上  
(2) ウイズコロナ時代における災害時の避難環境の充実  
4 脱炭素社会に向けた本県の取組について  
5 安心して暮らせる健康と福祉について  
(1) フレイル対策  
(2) 障害のある方の地域生活への支援  
6 ポストコロナにおける本県産業の課題について  
(1) 中小企業の経営改善支援  
(2) 本県農林水産物の販売支援  
(3) 医療健康産業の基盤強化  
(4) 工業団地整備におけるこれまでの成果と今後の取組  
7 防災・減災、国土強靱化に向けた本県インフラ分野の取組
 について  
8 新県立中央図書館整備について  
9 本県警察行政の取組と課題について  
(1) 令和三年の本県警察行政の取組  
(2) あおり運転防止への取組


○議長(山田 誠君) ただいまから会議を再開します。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、四十三番 鈴木澄美君。
       (四十三番 鈴木澄美君登壇 拍手)
○四十三番(鈴木澄美君) おはようございます。
 質問に入る前に、新型コロナウイルス感染症において亡くなられた方々への哀悼の意と今も療養を受けている県民の皆様に早期の回復を願うものであります。また治療に当たる医療従事者やエッセンシャルワーカーとして県民を支える関係者の皆様の献身的な取組に心から感謝申し上げます。
 さらに、今定例会中には東日本大震災から十年が経過しますが、二月十三日夜には福島県沖で大震災の余震である震度六強の地震が発生し各地で大きな被害が発生しました。被害者の皆様には一日も早い安息の日々が訪れますよう心から願い、防災県を標榜する本県としてこの教訓を生かし備えを怠らないよう取り組んでいただくことを要望いたします。
 さて、私は自民改革会議を代表し県政の喫緊の課題について通告に基づき一括質問方式により知事、副知事、関係部局長、企業局長、教育長、警察本部長にお尋ねします。
 初めに、令和三年度に向けた取組についてであります。
 まず、知事の政治姿勢のうち、コロナ禍における危機管理対応について伺います。
 感染初期の新型コロナウイルス対策については、国はもちろんのこと都道府県知事の判断や情報発信が注目され評価されました。現場に近い地方自治体のほうが感染の広がりや医療提供体制の迫を切実に受け止めているからです。感染症がもたらした未曽有の事態が地方の視点で危機に対応することや首長の姿勢の重要性が問われました。
 川勝知事は、昨年四月政府の緊急事態宣言を受けて県内事業者に休業要請をするかどうかが問われた際、要請せずに市町に任せると表明していた方針を事態が深刻化したため一週間で転換し要請に踏み切りました。今年に入り一月七日に発令された一都三県の緊急事態宣言に関し知事は感染地域からの来訪者が怖いと述べていましたが、一方で首都圏に近い本県東部地域在住の県民はこの感染地域に通勤や通学をしているケースは少なくありません。往来を自粛したくてもそれがかなわず自らの感染リスクに困惑した方もいたようです。県民を守るためにまた思いやるために、県のトップとして発言すべき言葉として疑問が残ります。
 新聞報道では、他のケースですが地域を名指し来ないでと自治体が要請したことが差別助長懸念の声という記事もあり、その点も考慮すべきではなかったかと考えます。
 一月十三日には変異種新型コロナウイルスが県内で発生し、知事は感染拡大緊急警報を発令しました。国内初の感染例でもあり国と県の連携により慎重に対応したと受け止めています。
 知事は警報の発令に伴い県民に対し積極的に拡大防止に向け発信しましたが、それを県民がどれだけ受け止めていたか県民の声を聞くと懐疑的であり危機感を共有しているとは思えませんでした。さらに飲食業や宿泊業などでは自粛やキャンセルなどが急増し事業者からの悲鳴とともに支援を求める声が我が会派にも寄せられ大きな混乱を来しています。
 一月十八日には飲食業支援への緊急要望のため知事に会見を申し入れました。その際知事からは、制度融資などを活用し事業継続を促すことやゴー・トゥー・イートを活用し感染防止対策を講じながら家族や知人との外食を楽しむなど、またテイクアウト等の活用により飲食業支援も可能との考えを示しました。これは感染拡大緊急警報が発令された以降初めて明らかにしたものです。県民の一部では外食禁止と受け止めている方が多く知事が直接自らの言葉で発する効果は大きいと考えますが、その席では発信は担当者に任せるという発言があり知事自らの責任を果たす気構えは感じられませんでした。
 感染拡大を防ぐために、この事態で一番実現しなければならない県民の自主的な感染防止行動に訴えることができる知事の発声は大変重要と考えます。国の発信とは別に地方の視点で情報発信することが重要であり地方のリーダーの影響が大きいと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、コロナ対応における東西隣接県との連携について伺います。
 本県は、感染拡大が厳しい首都圏や中京圏に囲まれています。幸いにして本県の感染状況はそこまで深刻ではありませんが、その地域との人の往来が多い分感染拡大については慎重に見ていく必要があります。
 一方で、これらの地域と隣接する県境地域では本県内に緊急事態宣言がなくても時短要請や休業要請に伴う補償の有無等支援策における格差の影響が大きい現実があります。特に東部地域では神奈川県境に接する市町への影響が計り知れません。県境にある地域の感染対策では隣接県との綿密な情報交換も必要であり、それを感染拡大防止や経済対策に生かすべきだと考えます。
 県ではこれまでにバイ・ふじのくにとして感染症が比較的少ない山梨県等との連携を強めていますが、一方で感染状況が厳しい神奈川県や愛知県との感染症に関する連携の話題は聞いたことがありません。例えば本県は東海四県の一つであると理解をしていますが、こと新型コロナウイルス感染症に関して他県からは東海三県という言い方が使われ本県は含まれていません。感染症対策においてはこれらの県との連携も重要であり、なぜ本県が含まれないかは理解できません。
 そこで、コロナ対応における東西隣接県との連携について知事はどう認識しているかを伺います。
 次に、令和三年度当初予算要望の反映状況について伺います。
 二月一日に知事から説明を受けた予算要望への回答の評価について、我が会派が約半年をかけて県民から聞き取った要望を踏まえ取りまとめた令和三年度当初予算はおおむね要望どおりの結果と受け止めています。県内をくまなく回り寄せられた政党支部や業界団体、自治体からの貴重な要望は私たち会派の政務調査会で整理し分析され、既存事業の拡充や新規事業等二百三十項目の要望として取りまとめ昨年十二月十六日に知事に提出し実現に向けて働きかけてきたものであります。 また新型コロナウイルス感染症に関する要望も多くそれらも別枠として要望してきました。
 要望内容のうち、さらに五十七項目を重点要望として抽出し折衝を続けてきた結果関連事業は百を超える事業に上り、その中では新規事業のほか多くの既存事業で予算の増額が図られています。新型コロナウイルス感染症の影響による税収減など来年度当初予算の編成は例年になく厳しい環境でありますが、私たちと当局とで議論を交わしながら効果的な事業内容への工夫などを重ね県民の要望ができる限り実現できる策を練ってきた結果と受け止めています。
 そこで、 今回の予算編成に関し会派の要望がどのように反映されたのかを伺います。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック及び観光振興についてのうち、コロナ禍における東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向けた取組について伺います。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルス感染症により一年先延ばしとなりいよいよ今年それが実現することになりました。しかし最近の報道では感染症の影響で開催の見通しが厳しさを増し開催中止や無観客開催となる懸念があります。感染症の影響や不安は今後も続きますが今年の実現を目指して各方面が準備を整えています。
 政府は、昨年十二月二日に東京オリンピック・パラリンピック競技大会における第六回新型コロナウイルス感染症対策調整会議の中間整理で本県の自転車競技等の会場やラストマイルにおける会場周辺での感染症対策の方向性が示されました。この中では会場周辺ならではの観客と地域住民双方の安全・安心の観点からの検討が基本的な考え方として明らかにされており、この対策は自治体と連携して具体化を図る必要があります。
 しかし、感染症は今後も終息の見通しが立たず人の流れの抑制なども考慮に入れることもあり得るのではないかと思いますが、その場合は会場のある自治体だけでは対応し切れません。また大会開催による選手、観客等の来訪を契機に事前キャンプ受入れを通じ参加国との相互交流を図るホストタウンとして相手国との交流を図ろうとする市町もあります。
 県はどのように地元自治体を支援し観客と地域住民の安全の両立を果たしていくのか、所見を伺います。
 次に、観光産業の支援について伺います。
 感染症の影響により大きな打撃を受けた本県観光産業の早期回復に向け県では観光促進キャンペーン「今こそ!しずおか元気旅」を実施するなど幅広い観光産業の支援に取り組んだところであり、国のゴー・トゥー・トラベルとの相乗効果もあって県内観光産業は回復の兆しが見え始めていました。しかし昨今の第三波とも言われる感染拡大を受け年末年始には国は、ゴー・トゥー・トラベルを全国一斉で一時停止し、さらに一月七日に首都圏一都三県を対象に緊急事態宣言を発令、一月十三日には十一都府県へと対象を拡大したことにより県内の観光需要は再び大きく減退し、さらに変異種コロナウイルスの県内感染確認後は県独自の感染拡大緊急警報が発せられ頼みの綱であった残り少ない予約客のキャンセルもあって観光産業は危機的な状況にあります。
 観光地の人の流れは途絶え土日や祝日でも閑散としています。宿泊施設はその後の予約も入らず休館せざるを得ない施設も多数発生していると聞きます。さらに毎年多くの個人客や貸切バスを利用した団体客でにぎわう河津桜まつりをはじめ様々な行事やイベントが中止を余儀なくされ、観光関係事業者はいつこの状況から脱却できるのか将来への希望を失ってしまっています。こうした状況を踏まえると速やかに観光需要の喚起策に取り組むことが先決です。
 県は、昨日県民を対象とした県内観光促進策を準備していることを表明したところですが危機的な状況にある本県観光産業の早期回復をどのように図るのか伺います。また本格的な回復後をにらんで今から準備できる取組も行う必要があると考えますが、県の所見を伺います。
 次に、防災と感染症対策についてのうち、県民の早期避難意識の向上について伺います。
 十二月定例会では我が会派の河原崎議員の代表質問において地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の推進について減災効果の評価と今後の取組の方向性をただしたところ、ハード対策では避難時間と県民の財産保全向上のため計画された防潮堤の着実な推進と、ソフト対策では津波避難施設の設置効果を発揮し県民の命を守るため早期避難の意識醸成を推進することに関し答弁がありました。
 ハード整備は時間もコストもかかり、またハードだけでは災害の全てを防げるものではありません。ソフト対策の重要性を県民が理解しより確かな防災力を高めていく必要があります。
 近年増加する豪雨災害では早期の避難の在り方が問われており状況を正しく判断して早期避難行動をとるためマイ・タイムラインの普及も課題となっています。県民の防災に対して理解を深める情報発信の在り方や防災学習の機会を効果的に設けることが重要と考えます。何よりもそれが知識としてではなく実践されることにつなげなければならなりません。
 そこで、今後具体的にどのように早期避難意識の向上に取り組んでいくのかを伺います。
 次に、ウイズコロナ時代における災害時の避難環境の充実について伺います。
 ウイズコロナ時代における三密の回避など新しい生活様式に対応した避難所運営体制が急務となり、県は昨年七月に新型コロナウイルス感染症を踏まえた避難所運営ガイドラインを策定しました。しかしこのガイドラインを生かすべき十二月の地域防災訓練が県内各地で実施されましたが、感染症の影響により前年度に比べ参加者数は五分の一ほどに減少しました。訓練では各地域の特性に応じ、地震・津波災害のほか風水害やコロナ禍での避難所運営等のリスクを踏まえた訓練内容や感染防止対策の徹底を実践するなどコロナ禍にあるからこそ意味のある訓練であったと評価できます。
 最近他県で発生した豪雨災害時の避難では感染症拡大を懸念して避難者が避難所に入れないケースもありました。三密の回避という点では理解できるものの、それを理由に避難できないことがあってはなりません。避難所の在り方はウイズコロナに対応し避難者に配慮し多様な避難先の確保など避難環境をあらかじめ整備しておく必要があります。
 県は、避難所の設置に関わる市町に対し今後どのように支援していくのかについて、取組を伺います。
 次に、脱炭素社会に向けた本県の取組について伺います。
 政府は脱炭素とデジタル化を原動力に経済を成長軌道に乗せるとしています。また二〇五〇年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標をあらゆる政策手段を活用して実現することを明確にしました。
 地球温暖化対策等の環境対応は、経済成長の制約ではなく大きな成長を生み出すものであり行政は経済政策と環境政策を縦割りで分離することなく一体として進めていく必要があると考えます。
 全国では、二月九日時点で二百二十九自治体――二十九都道府県、百三十二市、二特別区、五十五町、十一村が二〇五〇年までに二酸化炭素排出実質ゼロを表明しており本県では静岡市、浜松市、富士宮市、御殿場市、牧之原市がその中に入っている一方で静岡県は表明していません。脱炭素社会の実現は国をはじめ地方も一体となって推進することが重要であります。
 本県は、国や県内自治体との連携における中核を担うことも期待されていると思われます。県は今後どのような目標を掲げ地球温暖化対策に取り組んでいくのかを伺います。
 また、企業にとって再生可能エネルギーや大規模蓄電池、水素の活用などの技術革新が求められ、その後押しとなるESG投融資にも関心が集まっています。県はこの分野での今後の取組についてどう考えているか伺います。
 次に、安心して暮らせる健康と福祉についてのうち、フレイル対策について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響で外出の機会が減り活動量が低下している高齢者のフレイル――心身虚弱状態への懸念が高まっています。
 東京大学高齢社会総合研究機構内のフレイル予防研究チームは、新型コロナウイルス感染症により地域在住高齢者に何が起こったのかについて調査研究をしています。それによると単なる感染リスクだけでなく高齢者への自粛生活長期化による健康二次被害としてフレイル化及びフレイル状態の悪化が明確に見えてきました。過剰な恐怖を背景とした自粛生活長期化により顕著な生活不活発及び食生活の乱れ、さらに人のつながりの断絶が見られたとしています。
 フレイル予防は高齢期を迎える前から取り組むことが望ましく、このコロナ禍がもたらす高齢者の健康への影響について、県としてどう取り組むのか伺います。
 また、オーラルフレイルは口に関するささいな衰えを放置したり適切な対応を行わないままにしたりすることで口の機能低下、食べる機能の障害、さらに心身の機能低下までつながる負の連鎖が生じてしまうことに対して警鐘を鳴らした概念であり、これを予防するプログラムを実施することにより県民が自ら食力を維持向上することで全身の虚弱や要介護の減少につながると言われています。本県として高齢者のオーラルフレイル対策についてどう取り組むのかについて伺います。
 次に、障害のある方の地域生活への支援について伺います。
 障害のある方の生活の場は本人の意思を尊重し本人の意思により選択されるべきものであり、障害者基本法では全ての障害のある人は可能な限りどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され地域社会において他の人々と共生することを妨げないこととうたわれています。様々な障害福祉サービスを活用しながら親しんだ地域で暮らしている方もいらっしゃいますが、重い障害のある方が地域で暮らし続けることはもちろん簡単なことではありません。親御さんにとって親亡き後に子供が地域で継続して生活することを不安に感じられることもまた事実であります。
 富士市大渕にあります県立富士見学園は、十八歳以上の知的障害のある中重度及び行動障害などの人が地域移行を目指すための通過型入所訓練施設であり、生活介護では食事、入浴、排せつ等の介護や日常生活上必要な支援を行い創作や体育の活動の機会を提供し地域生活への移行を目指すとしています。また自立訓練では、自立した日常生活、社会生活を営むことができるよう身体的機能や生活の能力の向上のために必要な支援、地域生活への移行を目指すとしています。
 同学園は、昭和三十九年二月に精神薄弱者救援施設として設置され平成元年三月に全面改築されました。その後平成二十一年四月には指定管理者制度が導入され、現在はあしたか太陽の丘により令和六年三月までの予定で運営されています。施設の老朽化が進んでいると承知しています。
 県は、障害のある方の地域生活への支援について富士見学園の今後の在り方も含めどのように対応していくのか伺います。
 次に、ポストコロナにおける本県産業の課題についてのうち、中小企業の経営改善支援について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の第三波による県内経済への影響は大変厳しい状況に陥っています。特に飲食業界や観光業などへの悪影響は計り知れません。私どもの会派にはこれらの関連業界団体から切実な支援を求める声が届きこれまでに知事にも緊急要望を伝えてきました。 緊急時の支援は迅速な対応が必要であり、またアフターコロナに向けた事業継続も重要な支援策です。
 県は、後者の支援に対し地域企業の状況をよく知る金融機関と綿密に連携し企業の売上げ回復に向けた経営改善の取組などで支援をしています。中小企業の事業継続に大きな役割を果たしたのは資金繰り融資であり政府系金融機関や民間金融機関と連携し県制度融資新型コロナウイルス感染症対応枠により多くの県内企業を支えています。
 本県は、古くから産業の裾野の広いものづくりの盛んな県でそれを支えているのは中小企業者です。これまでもリーマンショックや東日本大震災により製造業の海外現地生産化や大手企業の県外転出による産業の空洞化などによる影響をまともに受けてきた経緯があります。それを県は金融機関等と連携し創業支援や経営改善支援、事業承継支援等で支えてきました。しかし昨年から続く新型コロナウイルス感染症拡大を受けて景況感は急速に悪化しており、中小企業者は以前にも増して厳しい経営環境に置かれています。
 県信用保証協会によると、本県では保証利用企業の返済緩和残高と代位弁済額の高止まりが続いておりこの改善が課題となっているといいます。今後感染症の影響により今回支援した県制度融資においても三年間の利子補給期間や五年間の返済据置期間の終了とともに経営状況の悪化に陥る企業が拡大することが懸念されます。この課題に対し創業支援や事業承継支援をはじめとした企業のライフステージに応じた各種支援に加えコロナの影響を見越した支援策にどう取り組むのかについて、県の所見を伺います。
 次に、本県農林水産物の販売支援について伺います。
 コロナ禍は本県農林水産物にも大きな影響を与えており、イベントや外出の自粛により花卉類、ワサビやメロン等の青果類、畜産物及び水産物の価格が大きく低下し農家の経営を圧迫しました。しかし一方で内食や中食需要が高まり国産や食料安全が改めて注目されているとともに、政府が推奨する新しい生活様式により働き方や生活スタイルが急速に変化し地方回帰の動きも見られます。
 県は、感染症防止対策と社会経済活動の両立を図るためにGDPの五割以上を占める個人消費の動向が鍵であるとし、県民が積極的に県産品の購入や県内施設を利用するバイ・シズオカの取組を三密に配慮した非接触、遠隔型の取組から段階的に推進することにより着実に県内経済の回復を図っていくとしています。
 四月補正予算では非接触型、遠隔型による県産品の販売促進として通販サイト――ECを活用した販路拡大を目指しJA静岡経済連しずおか手しお屋での販売促進やウェブ上での仮想店舗での県産品販売などの事業を実施しています。さらに六月補正予算ではふじのくに静岡・山梨県産品販売促進連携事業、九月補正予算ではバイ・山の洲くに県産品販売促進事業などを展開しています。これらの事業は一定の効果があったと関係者からの評価がある一方で一部の農林水産物では新型コロナウイルス感染症の第三波による影響はこれらの効果が薄れてしまうほど大きいとの声も聞かれ事業のさらなる促進を期待する声も少なくありません。
 そこで、県は市場の動向をどのように捉え事業の促進等を図っていくのかを伺います。ライブコマースなど新たなツールへの関心も高まる中でデジタル化社会におけるこれらへの取組についても伺います。
 次に、医療健康産業の基盤強化について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大によりマスクや人工呼吸器等の海外依存が高いなど日本の医療健康産業の脆弱化が明らかになりました。
 県は、補正予算によりマスク等生産設備への助成や医療機器産業基盤強化のための初期投資を支援する助成制度を創設し、社会課題の解決と新たなビジネスチャンスとして新分野に取り組む地域企業を支援してきました。支援した企業においては既にマスクを生産し県内で販売する企業や浮遊するウイルスを高速、高効率に回収する装置を開発した企業もありその成果が出てきています。また緊急時に医療用ガウンを生産する体制を構築するために実証実験を実施していると承知しています。
 しかしながら、コロナ禍における本県産業の課題を解決し本県経済を活性化するためには医療機器をはじめとする医療健康産業のさらなる基盤強化が必要です。 また基盤強化の取組に際しては現在第四次戦略計画を策定しているファルマバレープロジェクトがその中核を担うと考えています。
 戦略の策定において、検討委員から医療に特化した強力な製品の開発や山梨県をはじめとした広域連携によるネットワークの強化などの提言を受けており、 今まで以上に地域企業の技術力を高めていくことが重要です。
 そこで、県は医療健康産業の基盤強化についてどのように取り組んでいくか、県の所見を伺います。
 次に、工業団地整備におけるこれまでの成果と今後の取組について伺います。
 企業局の地域振興整備事業は、バブル景気崩壊による経営状況悪化を踏まえ平成十四年度以降は進出企業が確定してから造成を行うことによって投下資金を確実に回収できるオーダーメード方式による事業展開を行ってきました。平成二十五年度末には新東名高速道路などの新たな交通インフラを生かし、内陸のフロンティアを拓く取組を企業誘致の面から推進するためのモデル事業として十三年ぶりのレディーメード方式となる富士山麓フロンティアパーク小山に着手したものと承知しています。
 その富士山麓フロンティアパーク小山は、関連部局で構成する庁内横断組織である国内産業振興プロジェクトチームに加え東京、大阪事務所、さらには小山町も連携した積極的な企業誘致の結果、先日の新聞報道にあったように最後に残った区画五の分譲契約が行われ全十区画を完売しました。また私の地元である富士市大渕で昨年十月に着工したセミ・オーダーメード方式で造成中の富士大淵工業団地も企業からの関心が高まっていると聞きます。
 工業用地の造成から供給までは相当長い期間を要するため、コロナ禍の大変な時期にある今こそ企業局による積極的な取組が必要ではないかと考えます。
 そこで、企業局としてコロナ禍における対策をどのように考えるのか、富士山麓フロンティアパーク小山の総括とそれを踏まえた今後の地域振興整備事業の取組について伺います。
 次に、防災・減災、国土強靱化に向けた本県インフラ分野の取組について伺います。
 国が示した令和三年度以降の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策では、重点的に取り組む対策として激甚化する風水害や切迫する大規模地震災害等への対策や予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進を挙げています。このうち激甚化する被害防止等については人命・財産の被害を防止、最小化するための施策として流域治水対策や港湾における津波対策等が該当し交通ネットワーク、ライフラインを維持し国民経済、生活を支えるための対策には市街地等の緊急輸送道路における無電柱化対策等が盛り込まれています。
 本県は、今年度が最終年度となる国の防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策に呼応し一般公共事業で道路、河川、治山設備等の防災・減災対策を実施することに加え、県単独事業として重要インフラの緊急点検に対応する緊急自然災害防止対策や災害等予防保全緊急対策などを進めてきました。また今年度から二か年にわたる県土強靱化対策事業を創設し事前防災への取組が進められています。
 このような中、 昨年から続く新型コロナウイルス感染症は様々な分野に影響し新しい生活様式に対応すべき環境整備が期待される一方で、税収減など財政も厳しい状況に置かれ限られた財源で最大限の効果が得られる事業内容の工夫も必要かと考えられます。
 そこで、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に向けて本県は令和三年度以降どのようにインフラ分野の防災、減災、国土強靱化に向けた施策を展開していくのかについて伺います。
 次に、新県立中央図書館整備について伺います。
 県立中央図書館整備は、県民にとって本県を代表する知と学びの象徴として期待のかかる大型事業であります。今年度はこれまでに策定した新県立中央図書館基本構想等に基づきより具体的な整備内容を整備計画として策定中であると承知しています。
 我が会派のプロジェクトチームが取りまとめた新県立中央図書館建設に向けた提言は、去る十一月十一日に教育長に提出し説明をさせていただきましたが整備計画におおむね反映されているものと理解をしております。今後も関心を持って整備計画の内容に注目をしていきたいと考えています。
 施設整備の発注に関しては、近年の県の施設では富士山世界遺産センターや日本平夢テラス、静岡空港などはデザインなどにおいて大変評価の高い施設と認識していますが、設計段階で大幅なコスト増が生じたり入札不調を招いたりしたりすることを思うと設計者の選定は大変重要であります。特に図書館は利用形態が多岐にわたる施設のため利用者にとって使いやすい建物であることが最も重要であり、どこに力点を置くべきかを十分考慮すべきと考えます。
 昨今の新型コロナウイルス感染症による厳しい財政下においては、限られた財源で最大限の機能とデザイン性を追求することは重要と考えており設計者の提案を生かしながらコスト管理を意識した設計を行っていく必要があります。この点については会派の要望の中でも指摘していることであり我が会派として高い関心を持っています。
 教育委員会では、アフターコロナ時代に対応した新しい図書館の実現と県負担抑制の両立を目指すとのことでありましたが、これらの点も踏まえ今後の実現に向けどのような取組を行っていくのかについて伺います。
 次に、本県警察行政の取組と課題についてのうち、令和三年の本県警察行政の取組について伺います。
 昨年の県内における治安情勢についてでありますが、治安抑止対策については官民協働による犯罪の起きにくいまちづくりを推進した結果刑法犯認知件数は一万五千三百七十件と記録が残る一九七七年以降最少を七年連続で更新しています。しかし巧妙化する特殊詐欺への対策や凶悪事件の早期解決、暴力団対策などの課題もあることから引き続き治安の向上に向けた取組を推進する必要があります。また子供の安全対策にも引き続き重点的に取り組んでいく必要があるほか、新型コロナウイルス感染症に伴う新たな犯罪への対応が必要です。
 交通事故防止については、関係機関と連携した各施策を推進した結果人身交通事故件数は二万六百六十七件に減少、死者数は百八人と昨年を上回りましたが減少傾向で推移しています。しかし重大事故に直結する飲酒運転がいまだに根絶に至っていないほか悪質なひき逃げ事故も発生している状況にあり、交通事故死者の約半数を高齢者が占めている状況から高齢者に対する交通安全教育を着実に行っていく必要があります。
 本年はこれらの課題に対して引き続き取り組んでいただくとともに、特に東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に伴うテロ対策は完遂を求めるところであります。
 そこで、令和三年の本県警察の取組について伺います。
 次に、あおり運転防止への取組について伺います。
 あおり運転は、平成二十九年六月神奈川県の東名高速道路において追越し車線上に無理やり停止させられたワゴン車に後続の大型貨物車が追突し清水区居住の一家四人が死傷した事故を契機に社会問題化し、あおり運転への厳しい対処を求める声が強くなりました。これを受けて昨年六月十日に公布された道路交通法の一部を改正する法律により妨害運転に対する罰則が創設され、六月三十日から他の車両等の通行を妨害する目的で急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行う行為に対して妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は懲役刑などに処せられるとともに運転免許が取り消されることとされました。
 県内では改正法効果もあり、県民のあおり運転に対する意識が高まっていると感じていますが私自身も運転者の一人としてあおり場面に遭遇した経験があります。その状況を思い出してみるとあおる加害者側に非があることは当然ですが被害者の運転行動、一例を挙げればウインカーが遅く直前に割り込む行為、また高速道路の追越し車線を走り続ける行為などがきっかけとなってトラブルに発展することがあると考えています。私はこのような実態を運転者が理解しトラブルに発展しない安全運転に努めるための啓発が有効と考えており、他県警察ではあおられないことに主眼を置いた啓発活動を実施しているところもあると聞きます。
 そこで、本県はあおり運転の未然防止に向けどのような対策を講じていくのかについて伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 鈴木澄美議員にお答えいたします。
 令和三年度に向けた取組についてのうち、私の政治姿勢についてであります。
 コロナ禍における危機管理対応についてでありますが、先頃新型インフルエンザ等対策特別措置法などが改正され感染拡大防止対策のための知事の権限強化や要請に応じない方への行政罰等が新設されました。しかしながら改正は限定的であり憲法が保障する個人の権利と自由の尊重並びに公衆衛生上の公益性の両立の中で引き続き国民の良識に依拠した感染拡大防止が選択されたものと考えております。
 コロナ禍におきましては、国民が危機意識を共有するためには政治的指導者の丁寧な説明や情報提供が不可欠であります。とりわけ地域ごとの感染状況が異なる中では知事や市町村長が果たす役割は重大であります。このため私は科学的根拠や専門家の知見を重視し様々な県民の皆様の声を踏まえて本県の方針を決定した上で全ての方に御理解頂けるように丁寧な説明を心がけてまいりました。
 現場に精通する市町の首長と連携し地域の実情に即した施策の展開を図ります。それとともに感染拡大防止の施策は県民の皆様の高い民度への信頼を基礎としてきたということでございます。
 昨年四月の緊急事態宣言では、毎日の感染状況の監視並びに分析によりまして感染経路不明割合の急増を把握し臨機応変に方針変更し県の一律の休業要請と地域の実情を反映した市町独自の取組による二段構えで対応することといたしました。
 本年一月の緊急事態宣言では県外への移動や飲食時にマスクをつけずに会話をすることなどが感染リスクにつながることから、それらの場面での感染拡大防止に向け科学的根拠に基づく情報発信に努めました。また感染者や医療、福祉の従事者などへの誹謗中傷や差別がなくなるよう常に県民の皆様へ理解と協力を呼びかけております。
 変異株の感染者の発生に際しましては感染拡大緊急警報を発令し県民の皆様に注意を喚起するとともに、今までと同様の感染防止行動の徹底を改めてお願いをいたしました。公衆衛生上の必要性や社会的な混乱の回避などを考慮し国と調整の上適切な情報発信に努めたところであります。
 第二波以降の政府対処方針では感染拡大防止と社会経済活動の両立が示されておりますが、国のゴー・トゥー事業の中断や再度の緊急事態宣言により飲食業、観光業、その他関連業種などは多大な影響を受けました。県では自民改革会議の御要請も踏まえまして資金繰り支援や事業補助の強化、域内消費を促進する施策のほか、地域の実情に精通する市町と連携し多様な業種を対象とする新たな支援事業を創設するなど苦境に置かれた業種の皆様のお力になれるよう施策を実施しております。
 こうした内容につきましては、県民の皆様に共感と理解を深めていただけますように記者会見等を通じて私自らが直接呼びかけを行っております。ワクチンの先行接種が始まりましたがコロナ禍はいましばらく続きます。引き続き危機管理を県政の一丁目一番地として県民の皆様の生命と財産を守るため、大所高所での適切適時の判断に全身全霊を傾けて取り組んでまいります。
 次に、コロナ対応における東西隣接県との連携についてであります。
 新型コロナウイルス感染症対策は、感染拡大防止と医療提供体制の確保を重視し社会経済活動との両立に配慮しながら対応をしております。感染拡大状況は地域ごとに異なりますことから全国や近隣県の感染状況や対策動向を把握しつつ都道府県が主体となって適切な感染拡大を防止することが重要であります。
 コロナ感染症は、人の移動や交流に伴う人から人への飛沫感染等により感染が拡大いたします。このため人と人との接触機会が多い大都市圏での感染拡大が顕著になっているのが実情であります。本県は現在緊急事態宣言の対象となっている都府県に東西で近接ないし隣接しておりますことから、近隣県の感染状況や感染防止対策を把握した上で本県の対策を実施する必要があります。
 このため関東地方知事会、また中部圏知事会におきまして知事同士で政策課題を議論するほか近隣県の対策本部と連携、また情報を交換し感染動向や感染拡大防止対策の対処方針や具体的な対策について関係情報の共有を図っております。
 また、感染症対策における隣接県の動向や感染情報は極めて重要であります。例えば東側のお隣の神奈川県では感染が拡大し、一月九日から保健所業務の増大が著しいために医療機関と社会福祉施設を除いて感染者の感染経路並びに濃厚接触者の追跡を行わないという方針となりました。このことは神奈川県内の市中に無症状の感染者がいる可能性が高いということを意味します。
 本県は東西に広い県土を有し、東部のみならず感染拡大地域からのウイルス流入による感染が顕著であります。このため毎週本県独自のふじのくにシステムに基づき監視、分析を行い適時適切に県民の皆様に注意喚起を行っております。また緊急事態宣言対象地域への移動の回避など人の移動や交流による感染リスクを低減させる対策を講じてまいりました。
 一方、伊豆半島、浜名湖などの観光地は首都圏、中京圏に多くの顧客を抱えており、また東西の県境の地域を中心に通勤通学などの社会経済的な交流も盛んであります。 感染終息が見通せない現時点では一定の行動の制約はやむを得ない状況にあります。当面は市町と連携して地域の実情を踏まえた経済対策を支援いたしますとともに、今後アフターコロナを見据えた県同士の連携につきましても検討をしてまいります。
 次に、令和三年度当初予算要望の反映状況についてであります。
 令和三年度当初予算につきましては、県税収入が前年度を四百億円下回る大変厳しい状況下での編成となりました。その中におきまして自民改革会議の皆様から頂きました御要望、また御意見につきまして真摯に受け止め当初予算案に可能な限り盛り込んだところであります。
 別枠で御要望がございました感染症対策につきましては、感染患者の病床確保、PCR検査・抗原検査の実施、軽症者の療養施設の確保等々医療提供体制の維持に万全を期してまいります。今後本格化するワクチン接種につきましては市町と十分に連携し速やかで円滑に実施できる体制を構築いたします。また保育所職員等への慰労金の支給につきましては二月補正予算に計上し先議頂いたところであります。
 社会経済活動の再生につきましてはウイズコロナ、アフターコロナ時代を見据え中小・小規模事業者の資金繰り、ビジネスモデルの転換、デジタル化等々年度を越えて切れ目なく支援してまいります。また深刻な打撃を受けておられる観光事業者、鉄道・バス等の交通事業者に対しましてもしっかりと支えてまいります。
 さらに、県民の皆様の生活に身近な道路や河川等のインフラ整備を図るため県単独事業として四百億円を計上いたしました。激甚化する風水害に対応するとともにコロナ禍におきましても暮らしやすい県土づくりを進めてまいります。
 このほか私立高等学校等における教育費負担の軽減を図るため授業料の減免支援の対象世帯を年収七百万円から七百五十万円まで引き上げるほか、ドクターヘリを運航する病院への補助金の増額や地域包括ケアシステムの拡充などに要する経費も盛り込んだところであります。
 国難とも言うべき危機を乗り越えていかなければなりません。実施すべき対策は全て当初予算案に盛り込みました。当初予算の確実な実行により感染症対策、社会経済活動の再生、さらには県政の喫緊の課題の解決に全力で取り組み、アフターコロナ時代においても持続可能な県土づくりを進めてまいります。
 次に、脱炭素社会に向けた本県の取組についてであります。
 二十一世紀は環境の世紀であります。化石燃料に大きく依存する現在の経済社会を今世紀のできる限り早い段階で持続可能な脱炭素社会に転換していくことは次世代にもつながる大きな目標であります。
 本県は、国と歩調を合わせ二〇五〇年までに温室効果ガスの排出量を吸収量と均衡させて実質ゼロとする脱炭素社会の実現を目指します。脱炭素社会の実現には省エネルギーの徹底や地域資源を生かした再生可能エネルギーの導入の拡大はもちろん、水素の利活用や二酸化炭素を回収し貯留する技術の実用化などさらなる革新的技術の開発が不可欠であります。技術革新により目覚ましい経済発展が引き起こされてきたことは歴史が証明しているところであります。脱炭素社会への移行を通じ環境と経済の好循環が実現されるように取り組んでまいります。
 先月、県内の経済団体や企業の皆様方に本県が脱炭素社会の実現を目指すことについての御意見を伺いました。回答を得た四十の団体並びに企業の全ての皆様から御賛同を頂きまして脱炭素社会の実現において先端産業の多い本県の優位性を確立するチャンスであり積極的に取り組んで欲しい、あるいは非常にチャレンジングな目標であるが前向きに取り組むべきである等々の貴重な御意見を頂いたところであります。
 また、今月開催した県民や事業者の皆様と市町の関係団体等で構成する静岡県地球温暖化防止県民会議におきましても脱炭素社会を目指す基本的な方向性について御了承を頂いたところであります。
 こうしたことを踏まえながら二〇五〇年までの脱炭素社会の実現を見据え、来年度おおむね十年後となる二〇三〇年度までの目標を掲げた新たな地球温暖化対策実行計画を策定いたしまして産業や交通など様々な分野に関わる地球温暖化対策に関係部局が一体となって県民や企業の皆様と連携しながら取り組んでまいります。
 また、先日開催した産業成長戦略会議におきましてSDGsやESG金融に取り組むことがビジネスを進めていく上で非常に重要であるとの御意見を頂きました。ESGというのは聞き慣れない言葉でありますが、Eはエンバイロンメント、Sはソサエティー、Gはガバナンスの頭文字でございます。近年拡大している環境、社会、企業のガバナンスに対する取組を評価基準として投融資を行うといういわゆるESG金融につきましては令和元年八月に金融機関や経済団体、行政で構成する静岡県SDGs・ESG金融連絡協議会が設置されました。ESG金融の理解促進のための講演会や意見交換会を実施しているところでありまして来月には環境省の講師によるセミナーが開催されます。
 県ではESG金融の重要性を認識しており、来年度には同協議会と連携し新たに環境ビジネスコンテストの開催などの取組を行い県内企業によるESG金融の活用促進に努めてまいります。
 次に、安心して暮らせる健康と福祉についてのうち、障害のある方の地域生活への支援についてであります。
 障害のある方が、将来にわたり住み慣れた地域で自立し安心して暮らすことは御本人や御家族の共通した願いであります。県ではこれまで市町や福祉関係者と連携し御本人の高齢化や親亡き後に備えるとともに、入所施設を退所し地域での生活ができるように障害のある方を支援する地域生活支援拠点並びに生活の場となるグループホームの整備に努めてまいりました。
 こうした中、県立富士見学園では重い障害のある方などに五年程度の生活訓練を行うことで地域への移行を進めており、直近の十年間で百人以上の方が地域で生活されております。一方利用者を取り巻く生活環境の変化や施設の老朽化に伴い、より長期的な視点での学園の在り方が検討されねばなりません。これをするために昨年度福祉関係者や学識経験者をメンバーとする検討会により、利用者の特性に応じたよりよい支援や施設整備等について御議論を頂いたところであります。
 検討会からは、民間が有する経験と創意工夫を生かすことが重要であり地域生活への移行機能を維持しつつ建て替えによる環境改善を含め民間による運営を目指すことが適当であるとの御提言を頂きました。この御提言を受けまして県では民間法人による利用者の地域生活を見据えた環境改善を図るための施設整備とともに、利用者の状況変化への対応や生涯を通じた個別支援が可能となる通所事業所、グループホームなど幅広い事業展開による支援の充実を目指し公募による社会福祉法人への移譲を進めてまいります。
 県といたしましては、今後も市町や福祉関係者と連携し地域全体で障害のある方の生活を支える体制を構築することにより、誰もが身近な地域で安心して暮らすことのできる共生社会の実現を目指してまいります。
 その他の御質問につきましては、副知事、関係部局長及び教育長から御答弁を差し上げます。ありがとうございました。
○議長(山田 誠君) 難波副知事。
○副知事(難波喬司君) 防災・減災、国土強靱化に向けた本県インフラ分野の取組についてお答えをいたします。
 政府が昨年十二月に閣議決定した防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策では、重点的に取り組む災害対策や老朽化対策などの施策と併せて令和七年度までにおおむね十五兆円程度の事業規模が示されております。これにより中長期的な見通しの下で抜本的な防災、減災対策の推進が可能になったと認識をしております。
 県では、国の五か年加速化対策に呼応して静岡県国土強靱化地域計画に基づき激甚化する風水害に備える流域治水対策や切迫する大規模地震に備える津波対策、災害時の人流、物流を確保する道路ネットワークの機能強化対策などを加速化してまいります。また橋梁等の老朽化対策として中長期管理計画に基づく予防保全型管理を着実に実施することにより持続可能なメンテナンスサイクルの実現を図ってまいります。
 あわせて国庫補助事業等の対象とならない小規模な護岸整備や道路のり面対策などの事前防災対策につきましても緊急自然災害防止対策事業を令和四年度まで延長し引き続き推進してまいります。こうした取組に加えまして地域住民の安全・安心で暮らしやすい生活基盤を形成するため、来年度からの二か年で緊急的に実施する治水対策事業及び道路環境整備事業につきまして本議会でお諮りしているところであります。
 これらの事業により、要配慮者利用施設の立地状況や過去の被害状況などを踏まえたきめ細かな対応や新しい生活様式を踏まえた安全・快適な道路環境整備を実施してまいります。
 県といたしましては、これらの事業により最大限の効果を得るためには円滑で着実な実施が極めて重要です。このことから国や市町と連携しインフラ整備を担う建設産業の生産性向上や担い手確保を図りながら県土強靱化を強力に進めることにより安全で安心なふじのくにを実現してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 植田スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(植田基靖君) 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック及び観光振興についてのうち、コロナ禍における東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの成功に向けた取組についてお答えいたします。
 県では、安全・安心な大会の実施に向け東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック静岡県推進本部に新型コロナウイルス感染症対策ワーキンググループを設置し、 国や大会組織委員会における方針や検討状況に対する対応策について整理等を進めております。これらの情報や対応策につきまして自転車競技の開催市町はもちろんのこと広域的な対応に備え、県内全市町との迅速確実な情報共有に努めているところであります。
 観客の安全確保に関しましては、聖火リレーやロードレース沿道等における三つの密の回避のための事前広報やマスク着用の呼びかけ、ライブサイト会場入り口での検温の実施など地元自治体と連携し的確な感染症対策を行ってまいります。
 また、地域住民の安全の確保も重要であります。事前キャンプ地等に安心して選手団を迎え充実した交流が実現できるよう、市町が作る受入れマニュアルへのアドバイスや感染症対策を徹底した交流イベントの実施への協力など市町の取組を支援してまいります。
 県といたしましては、コロナ禍においても安全・安心な環境を確保することを最優先に国や大会組織委員会、関係機関と緊密に連携し市町を強力に支援することで観客と地域住民の安全の両立を図ってまいります。
 次に、観光産業の支援についてであります。
 観光産業は、宿泊施設や観光施設をはじめ仕入れや土産物を扱う事業者など裾野が広く本県経済にとって大変重要な産業でありますことから、現在の危機的状況からの一刻も早い回復が不可欠であります。このため県民の皆様を対象とした県内観光促進事業の実施準備を進めていることにつきまして昨日知事から表明したところであり、県内の感染状況等が落ち着いてきた段階から開始いたします。
 まずは、繰越しを御承認頂きました本年度予算を活用し割引制度による宿泊施設や観光施設等の利用促進策を年度を越えて切れ目なく展開してまいります。さらに関係する事業者の方々に幅広く効果が及ぶよう交通事業者が実施する周遊切符の販売やDMO等の団体が取り組む体験企画などへの支援を行うとともに、感染状況等を注視しながら対象を県内から近隣県、さらには全国へと段階的に拡大するなど本県観光産業の早期回復とその後の本格的な回復が確かなものとなるよう様々な施策を展開してまいります。
 また、本格的な回復後に向けて本年夏の中部横断自動車道の山梨県内での全線開通を契機に山梨県、長野県、新潟県と連携して富士山周辺の周遊企画や教育旅行の誘致などに取り組むほか、「鎌倉殿の十三人」、「どうする家康」と二年続けて放映される本県ゆかりの大河ドラマを好機として本県の歴史や文化、食、自然などの豊かな魅力を全国に発信するなど積極的に誘客を進めてまいります。
 県といたしましては、国のゴー・トゥー・トラベル事業との相乗効果も図りながら観光需要を一層喚起するとともに、近隣県等との連携による観光分野の経済圏づくりを進めるなど県内観光産業の早期回復と持続的な発展に向け地域や関係団体等と一体となり全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 防災と感染症対策についてのうち、県民の早期避難意識の向上についてお答えいたします。
 南海トラフ地震から県民の皆様の命を守るため、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき防潮堤や津波避難タワーなどの施設整備のほか自主防災組織の育成や避難訓練などハード・ソフトの取組を市町と連携して実施し自助、共助、公助の強化に努めてまいりました。この結果想定される犠牲者の八割減少の目標に対しまして昨年度末時点で七割の減災効果が見込まれております。
 減災目標を達成するためには、県民の皆様の早期避難意識をさらに高めることが不可欠であります。このため昨今の風水害の激甚化を踏まえ県が策定を推進してきたマイ・タイムラインに加え、地震・津波、土砂災害など様々な災害への対応を盛り込んだ県民一人一人のわたしの避難計画の策定に取り組むこととしております。
 具体的には、県内八か所のモデル地区での御意見等を踏まえ災害種別に応じた簡易で使い勝手のよい避難計画のひな形を作成いたします。令和四年度にはこのひな形を基に各市町が地域の実情を踏まえた避難計画を策定し住民の方々に個々の計画づくりを促してまいります。
 県といたしましては、これらの取組とともに新聞、テレビ等の広報媒体も積極的に活用し県民の皆様の早期避難意識の向上を図ってまいります。
 次に、ウイズコロナ時代における災害時の避難環境の充実についてであります。
 大規模災害が発生するたびに避難所での生活環境の不備や災害関連死などの課題も指摘されております。またコロナ禍での感染拡大を防止するため避難所の受入れ可能数が大幅に減少しており、新たな避難先の確保と避難環境の充実は喫緊の課題と認識しております。
 新たな避難先の確保につきましては、県は市町と連携して在宅避難を基本に親戚・知人宅、ホテル・旅館など地域の実情に応じた多様な避難を推奨しておりますが、市町等からは諸事情により避難先の確保に苦慮している等の御意見を頂いております。
 これらの課題に対応するため、市町が地域の公民館を発災時の避難所と位置づけ防災コミュニティーセンターとして整備する取組を支援する制度を創設いたします。具体的にはトイレ、調理施設、和室等の生活環境や非常用電源等の防災対策に配慮した施設とし地域の自主防災組織による運営を想定しております。また既存の避難所につきましてはトイレや居住関連の備品など生活環境の改善に必要な資機材の整備に対し補助率を二分の一にかさ上げして支援してまいります。
 県といたしましては、県民の皆様が日常生活に近い環境で安心して避難生活を送ることができますよう市町と連携して精力的に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 藤原健康福祉部長。
○健康福祉部長(藤原 学君) 安心して暮らせる健康と福祉についてのうち、フレイル対策についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響で自粛生活が長期化し生活が不活発となる中、高齢者が自立した生活を続けられるよう運動機能や認知機能、口腔機能の低下を防ぎ心身虚弱状態であるフレイルを予防する取組が重要であります。このため県では県民の運動機能や認知機能の低下を防止するため自宅でできる運動や食生活に関する情報を発信するとともに、市町や関係団体と連携してオンラインによる新しい形のつながりを創出するモデル事業を実施しております。
 高齢者の通いの場や認知症カフェをインターネットを利用して開催したところ久しぶりに友人の顔を見て会話を楽しめたなど参加者に好評であったばかりでなく運動機能の向上といった成果もありましたので、今後も引き続きコロナ禍でのフレイル予防の手段としてオンラインの活用による健康づくりの普及を図ってまいります。
 また、そしゃくや嚥下などの口腔機能の維持増進は様々な病気の予防や認知機能の向上、高齢者の自立促進にもつながることからオーラルフレイルの予防は非常に重要であります。
 県では、オーラルフレイル予防を促進するため県歯科医師会や八〇二〇推進員と連携して県民の皆様への啓発に取り組むとともに、保健師をはじめ栄養士、ケアマネジャーなど健康づくりや介護に携わる幅広い関係者を対象とした研修を実施してまいりました。今年度は新たに地域にある高齢者の通いの場に歯科衛生士や管理栄養士を派遣して口腔保健指導や栄養相談などを行う取組を九つの市町で実施しており今後県内全市町に拡大してまいります。
 県といたしましては、コロナ禍における高齢者のフレイル対策を進めるとともに高齢期の健康につながるよう若い世代からの健康づくりにも取り組み健康寿命のさらなる延伸を図ってまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) ポストコロナにおける本県産業の課題についてのうち、中小企業の経営改善支援についてお答えをいたします。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で需要が一気に消失した昨年の二月以降、雇用調整助成金と並んで実質無利子、無担保の国連携型の県制度融資などが苦境に陥った県内中小企業の事業継続を支え続けております。感染症終息の見通しが立たない中、議員御指摘のとおり商工団体などからは今後元金の返済が始まる頃には返済に窮する事業者も出てくるのではないかとの懸念の声も聞かれております。
 このため、県では去る二月六日に開催された全国知事会におきましても国に対し持続化給付金や家賃支援給付金の再給付などとともにアフターコロナを見据えた事業者の資金繰り支援に万全を期すことなどを強く求めているところであります。現在金融機関や商工団体はそうした事態にできる限り陥らないように中小企業の本業支援に全力で取り組んでおります。
 県でも、本年度危機克服チャレンジ支援事業補助金を創設しコロナ禍で打撃を受けた中小企業のデジタル化や業態転換などを積極的に支援しております。来年度はさらに各企業がコンソーシアムを組んで新しいビジネスモデルに取り組む場合などに支援を拡充し県内中小企業の成長支援に重点的に取り組んでまいります。
 一方、新型コロナの感染拡大により廃業や解散を検討する企業が増加しつつあり事業承継が喫緊の課題となっております。このため県では一定の要件の下、保証料の事業者負担を最大ゼロとする補助制度を創設し企業の承継に係る負担軽減を図っているほか商工団体、金融機関とM&A大手企業との連携などにより事業承継の一層の促進に取り組んでいるところであります。
 加えまして、廃業と表裏の関係を成す創業につきましても商工団体による創業塾の開催支援や創業資金の保証料負担をゼロとする開業パワーアップSなどにより取組を強化しております。
 県といたしましては、こうした取組により中小企業の生産性向上や新たな価値を生み出す事業展開を積極的に支援しその構造改革を促進することで将来にわたり本県の中小企業の持続的な成長を全力で後押ししてまいります。
 次に、医療健康産業の基盤強化についてであります。
 新型コロナ危機では、国民の命に関わる医療用の重要機器や資材が深刻な不足状態に陥りました。それらの多くは海外からの調達依存度が高く国内での生産基盤の強化が大きな課題となっております。
 我が国の医薬品、医療機器は約四兆円の輸入超過の状態であり、 国におきましても緊急性の高い機器等の生産や部品調達網の増強に注力しているところです。
 こうした中、本県の医薬品、医療機器の合計生産金額は年間一兆二千億円を超え十年連続で全国第一位となっております。県ではこの場の力を生かし県内企業によるマスク等の生産設備の導入やコロナ対策のための新たな技術や機器開発への助成、医療現場で迫した医療用ガウンの県内生産体制の構築などを進めているところであります。
 医療機器等の国産化を推進するため来年度は県内企業による初期投資から研究開発、事業化までを一貫して支援する助成制度を創設いたします。また県内製紙企業に実証委託した不織布を用いまして約一万着の医療用ガウンを生産し県内医療機関に提供することで緊急時に確実に供給できる体制を構築してまいります。
 医療機器等の国内生産基盤の強化やワクチン、治療薬などの国内開発は極めて重要な課題であります。県では医療健康産業をアフターコロナのリーディング産業と位置づけ、本県の持つ産業集積のポテンシャルを生かして県内企業の研究開発から事業化、販路開拓までの総合的な支援スキームを確立してまいります。来年度から第四次戦略がスタートするファルマバレーなどの産学官金のプラットフォームを最大限に活用し研究開発へのDXの導入や大学や研究機関等との共同研究の促進、山梨県との広域連携強化などを図り医薬品・医療機器開発の国産化、さらには輸出産業化へとつなげてまいります。
 県といたしましては、コロナ危機後の経済社会を取り巻く大きな環境変化を見据えましてDXなどのデジタル技術による変革やコロナ禍による三つの密の回避、在宅介護ニーズに対応する介護機器開発への支援なども含めまして本県の医療健康産業の基盤強化に注力してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(志村信明君) ポストコロナにおける本県産業の課題についてのうち、本県農林水産物の販売支援についてお答えいたします。
 新型コロナ感染症の拡大は、本県の農林水産業に大きな打撃を与えた一方で新しい生活様式による巣籠もり需要やECなどの非接触、遠隔型サービスの利用が拡大するなど食に関する消費者等の行動様式やビジネスモデルは大きく変容いたしました。また首都圏市場に過度に依存することのリスクが顕在化し戦略的に市場を一定程度分散させることの重要性も分かってまいりました。こうした市場の動向に対応するためにはデータとデジタル技術を徹底活用したDX――デジタルトランスフォーメーションの導入による需要の変化に対応できる新たな供給システムの構築や首都圏市場に続く新たな広域経済圏の形成が必要であると考えております。
 このため、DXの導入による新たな供給システムの構築につきましては来年度食のデジタルカタログを活用したオンライン商談会の開催やしずおか手しお屋など御当地ECサイトを集約したポータルサイトの開設、さらには全国的なECサイトと連携したミールキットの開発などを進めてまいります。実施に当たりましては生産者が消費者等の反応を直接知り情報を分析して改善できるライブコマースなども積極的に活用してまいります。
 また、新たな広域経済圏の形成につきましては、中部横断自動車道の全線開通や卸売市場法の改正に伴い首都圏市場を経由せずに産地から直接消費者に届けることが可能となりますことから、こうした劇的に変化する物流環境を活用して山梨県のスーパーでの水産物等の販売など本県の強みを生かした取組を長野県、新潟県へと延伸することで新たなサプライチェーンを構築してまいります。
 県といたしましては、こうした取組を通じて本県の多彩で高品質な農林水産物の販売を支援しコロナ禍で影響を受けた生産者の所得の向上に努めてまいります。 以上であります。
○議長(山田 誠君) 松下企業局長。
○企業局長(松下育蔵君) ポストコロナにおける本県産業の課題についてのうち、工業団地整備におけるこれまでの成果と今後の取組についてお答えいたします。
 企業局では、市町のまちづくりやブランド化の早期実現を目指しスピード感と最大の経済効果を生む事業用地の供給をミッションとし、特にコロナ禍におきましては市町を力強くサポートし積極的な先行用地造成に取り組むことが重要だと考えております。リーマンショックからのV字回復が求められ一刻も早い意思決定が必要であった富士山麓フロンティアパーク小山では、レディーメード方式を採用し県外の成長産業を本県に呼び込むため二・五ヘクタール以上の大区画を中心に整備し売り切るためのあらゆる創意工夫を行い造成完了から二年四か月で完売いたしました。大区画の整備効果は大きく食料品、化粧品、医療器具などの成長分野の業種を中心に本県初進出の七社を含む県外企業八社の誘致に成功し新規雇用五百九十一人、直接投資額二百六十九億円が計画されているほか、魅力の高い業種でありますことから若者や学生のUターン推進に寄与するものと確信しております。また経済波及効果は初期投資により約四百億円、さらに操業による事業活動効果は毎年約二百二十億円が見込まれ本県経済へ大きく貢献することが期待されております。
 今後の取組につきましては、富士山麓フロンティアパーク小山の高い経済効果を取り込む一方、造成完了から二年四か月を要した完売までの期間短縮を狙い市町とリスクを分担するセミ・レディーメード方式を採用しコロナ後の需要に備えた用地造成に着手いたします。
 具体的には、新たな高規格幹線道路の事業進やインターチェンジからの距離などを考慮した上で県外から成長力のある企業の誘致を可能にするポスト富士山麓フロンティアパーク小山の候補地選定を県際に位置する湖西市などで進めてまいります。
 企業局といたしましては、コロナ禍における対策として市町のまちづくりを支え地域の大いなる飛躍に通じる産業基盤づくりを自らが先頭に立ち推進してまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 新県立中央図書館整備についてお答えいたします。
 新県立中央図書館につきましては、県議会の皆様からの御提言などを踏まえ県立中央図書館としてふさわしい蔵書と専門性の高い機能を拡充するとともに、全国に先駆けたアフターコロナ時代の新たな総合図書館を目指して本年三月を目途に施設整備計画の策定を進めているところであります。整備計画に基づいて来年度から設計に着手してまいりますが完成は令和八年度を予定しており事業費の総額は百八十億円程度を見込んでおります。
 施設整備に当たりましては、議員御指摘のとおり機能性とデザイン性を両立させながらコスト管理を意識していくことは重要な視点であります。このため広く意見やアイデアを募るとともに、コストと性能の確実性を担保できる方式により設計者の公募を行ってまいります。
 昨年十二月から行ったアイデアコンペでは、高校生から一般の方まで幅広い年代の方から二百十五件の応募がございました。応募作品には静岡県ならではの夢のある図書館をイラストで表現したものや回転ずしのように本が回る図書館、ウエブ会議のできる個室など時代を捉えた様々な提案があり、頂いたアイデアにつきましては整備計画に反映させるなど今後の整備の参考としてまいります。
 また、設計に当たりましては事前に建物に必要となる機能を洗い出すとともに、コストの算定を行って仕様を見直すなど設計のための条件を整えるプレデザインの手法を用いて条件を整理いたします。設計者の公募に際しましては提示した条件を踏まえた上で創意工夫を凝らした提案を求めてまいります。
 県教育委員会といたしましては、新しい県立中央図書館が未来にわたり県民の誇りとなり機能的で使いやすく多くの県民の皆様に親しまれる図書館となるよう県議会の皆様の御意見を伺いながら整備を進めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 山本警察本部長。
○警察本部長(山本和毅君) 本県警察行政の取組と課題についてのうち、まず令和三年の本県警察行政の取組についてお答えをいたします。
 県警察では、本年も「県民の期待と信頼に応える警察〜正・強・仁〜」を運営指針と定めた上でこの指針を達成するための重点目標として新たに人の生命身体の安全を脅かす事案への迅速的確な対応と特殊詐欺被害防止対策の推進、地域住民の身近な不安を解消する街頭活動などの推進、 高齢者と子供の交通事故防止対策の推進、凶悪な犯罪や暴力団などによる組織的な犯罪の徹底検挙、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けたテロ対策の推進、大規模災害などの緊急事態対策の推進、警察力を最大限に発揮するための警察運営に向けた取組の推進の七点を掲げたところであります。
 特に、開催まで五か月を切った東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては県内でも聖火リレーや自転車競技が行われ多くの方々が本県を訪れることが予想されます。またこれまでの大会では聖火リレーでの飛び出しなど様々な形で妨害事案が発生をしております。テロ対策はもとより交通の安全円滑の確保や各種事件事故の防止に官民連携の下県警察の総力を挙げて取り組んでまいります。
 とりわけテロなどの違法行為を未然に防止するためには、県民お一人お一人の目と耳が重要な情報源となります。不審な物を発見した際に迷わず通報していただけるよう様々な機会を通じて地域の方々に協力をお願いしてまいりたいと思います。
 また、給付金詐欺などコロナ禍に乗じて発生する新たな犯罪や依然として後を絶たない特殊詐欺、昨年増加に転じた交通死亡事故など県民の身近な安全を守るための対策についても関係機関や県民の皆様と力を合わせた各種取組を強力に推進してまいります。
 県警察としましては、本年も関係機関や地域住民などと緊密に連携し安全・安心な静岡県の実現に向け全力を尽くしてまいります。
 次に、あおり運転防止への取組についてであります。
 いわゆるあおり運転は、交通の安全と円滑を阻害し重大な交通事故につながる極めて悪質、危険な行為であります。県警察では昨年十月創設された妨害運転罪を適用し国道一号バイパス上にて約二キロにわたってクラクションを鳴らしながら車両を異常に接近させるなど進行を妨害した上相手方車両に衝突させた被疑者を検挙しております。
 こうしたあおり運転を未然に防止するためには、交通指導取締りはもとより議員御指摘のとおり全てのドライバーにおいてあおり運転を誘発しない運転の必要性について理解を深めていただくことが必要であると認識をしております。具体的には周りの車に対する思いやり、ゆずり合いの気持ちを持ち十分な車間距離を保つとともに、右左折時ウインカーを早めに出す、急な進路変更をしないなど交通ルールの遵守とマナーの実践に努めていただくよう運転免許証の更新時など様々な機会を通じて指導啓発を行ってまいります。
 また、被害者側にも通行帯違反などの道路交通法違反が認められる場合には、これを検挙することとしております。
 県警察としましては、今後とも交通指導取締りを徹底するとともにドライバーの交通安全意識の高揚に努めあおり運転などの悪質、危険な運転行為の未然防止に努めてまいります。以上であります。
○議長(山田 誠君) 鈴木澄美君。
       (四十三番 鈴木澄美君登壇)
○四十三番(鈴木澄美君) それぞれ丁寧な御答弁ありがとうございました。
 若干の意見、要望とそれから再質問を三点ほどさせていただきたいと思いますが、まず令和三年度に向けた取組についてのうち、知事の政治姿勢でございます。
 危機管理という捉え方の中で様々な取組について具体的な事例をお示しされました。私は知事が県民に対してこの危機的な状況をどこまで共有していただいたかという受け身の立場で質問をしていると思っています。つまり行政側として、あるいは行政のトップとしてこの状況をお支えしているということは説明の中でよく分かりましたが、最初の説明の中で私も触れましたが県民の皆さんにはこの危機的な状況を共有しているのかどうかというところを聞くと、やはりそこまでは行ってないなというふうに感じたのでこの質問をしているわけでございます。
 医療崩壊と言われた旭川の赤十字病院ですけども、ここはその立ち直りの過程において院長さんのほうから北海道知事の発言が強く影響し道民の理解と協力が得られた結果でこの危機を乗り越えたというふうなコメントがありました。多分国内では同じようにこのトップの言葉によって県民あるいは道民の方たちが、いろんな形でそれに対して自分たちがこうして自分たちで何とかしなきゃいけないというふうな危機感を抱いた結果が得られたものも多くあろうかというふうに感じています。
 感染拡大を防ぐために一番実現しなきゃいけないのは、県民の自主的な感染防止行動に訴えることだということは申し上げてきました。そういう意味では知事の発言は大変重要だというふうに考えています。
 何を伝えたかというよりはどう伝わったか、どう受け止めたかというところをどういうふうな形で検証するのか。今回このコロナまではそれが感染症の状況に反映されるというふうに考えているわけで、また県民の皆様もそれに対して様々な言葉を発してどういう危機感を持っていただいているのかというところは確認していく必要があるかなというふうに思っています。
 私は知事がいつもいろんな形でコロナだけではなくていろんな発信をされていますけれども、知事が持つ絶大な発信力、そこの部分は行政のトップとしてあるいは政治家としてぶれることなくですね、例えば当初の説明の中で私どもが知事のところに要望書を持ってきたときの参考例をお話ししましたけれども、知事が私が県民に向かってこういうふうな発言をするんだという強い意思を示していただけるのかなということを期待して私も自分の口で知事のほうにお願いをしたつもりでございますけれども、あのときは担当の方に説明をさせるというふうな御答弁でありました。
 やはり一歩踏み込みがこの危機管理については知事はまだ足りないんではないかなというふうな印象を持っています。そういう意味では誰がというよりはもう県民全体でオール静岡でこの危機的な状況を乗り越えていかなきゃいけないのでぜひともそこの部分は知事にもう一度考えていただきそして発信していただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから要望の二つ目ですけれども、中小企業の経営改善支援でありますけれども感染症の影響により今回支援した県制度融資における三年間の利子補給期間や五年間の返済措置期間の終了に伴う経営状況の悪化に陥る企業支援ということで三年、五年という単位での様々な課題があるということは先ほど触れました。ぜひとも危機感を持って国にもというふうな話もありましたけれどもここは三年先、五年先というのが時間があるのかないのか、県の、静岡県の企業の置かれている状況というのは決してほかの県に比べても厳しい状況がコロナでなくてもあるということをもう一度再認識しながらですね、それに対する支援策をしっかり考えていただきたいなと思います。
 質問に移ります。
 防災と感染対策についての県民早期避難意識の向上でありますけれども、先ほど「わたしの避難計画」ということで新しく取り組むという説明がありました。既にマイ・タイムラインということで取り組んでいるわけでありますけれどもこのマイ・タイムラインの普及の状況がどうなのか、これにおける課題なんかもしっかり生かして、それを今回の事業に普及といいますか実際県民の皆さんが実現していただけるようにお願いしなきゃいけないと思ってますがこのあたりの取組についてどうしているのかについて、まずお聞きします。
 それからウイズコロナ時代における災害時の避難環境の充実でありますけれども、感染症対策として三密を避けるために避難所指定を受けたというふうに理解をしておりますけれども、新たな避難所を設置するに当たりまた避難計画を作成する上でどのくらいの避難所が必要なのか県内市町との情報交換やそれに基づく確保数についてのめど等についてどのように考えているのかお聞きします。
 そして三つ目は、脱炭素社会に向けた本県の取組ですけれども先ほど知事の説明の中にも県地球温暖化防止県民会議の中での説明の中で脱炭素に向けた県内団体、 企業の見解や県民意識の調査結果も公表されてその内容等を参考にしていくというふうな説明でありましたけれども少し具体的に、この部分どんな内容でどんなことを参考にしていくのかについて答弁を求めたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(山田 誠君) 金嶋危機管理監。
○危機管理監(金嶋千明君) 防災と感染症対策についてのうち、まず県民の早期避難意識の向上についての再質問にお答えいたします。
 マイ・タイムラインの普及とその結果を生かして「わたしの避難計画」の上に生かしていくかということでございます。
 マイ・タイムラインにつきましては、藤枝市等においてモデル地区を選定しましてそこで具体的に、台風接近時等の事前準備から実際に雨等によって河川水位が上がった場合にどのように避難していくかというのを時系列的に整理した個別の避難計画をつくるひな形をつくってございます。これを各市町に横展開するということで考えてございましたがこれは水害を想定しております。今後水害以外にも地震、津波、それから土砂災害あらゆる様々な災害が発生することも想定されますのでその災害ごとに災害種別に応じて具体的にどのようなタイミングで避難するかとかどこに避難するかということを明確にした避難計画をつくるため、要は今までの風水害からより多くの災害種別に対応できるような県民一人一人の個々の避難計画をつくるということで「わたしの避難計画」を来年度策定していくということでマイ・タイムラインの検討結果も踏まえてですね、県民の皆様に分かりやすくかつ作りやすいような避難計画のひな形を来年度、先ほど答弁いたしましたのは県内八か所でですね、ワークショップ等を開いて作りましてそれを各市町に横展開広げて、県民の皆様に個別計画を作っていただくように取り組んでいきたいと考えております。
 二つ目の再質問につきましては、ウイズコロナ時代における災害時の避難環境の充実についての再質問についてお答えいたします。
 現在、議員も御指摘のとおりコロナ禍において避難スペースが足りないとかそういう問題もございまして、現在各市町においてコロナも踏まえて地震・津波あるいは風水害等想定される災害の状況を踏まえて新たに必要となる避難場所の確保について今現在検討を進めておりますので、どの程度現在県内で不足しているかというのはまだそこまでの把握は至っておりません。ただ現在各市町と検討を進めているというお話を伺っている中で実際には避難所、現在大体学校の体育館等が避難所になっていることが多いんですがそれだけではとても足りない、 半分ぐらいもう不足するのではないかというお声も頂いておりまして、そういった中でただそうは言ってもなかなか場所が確保できませんよというそういう御意見も頂いておりますので、 今回各自治会の避難所等も自治会の公民館等もですね、避難所として活用するようなことはできないかという御要望も踏まえまして来年度そういう各地区の公民館を一定の生活環境と防災機能を備えたものを防災コミュニティーセンターとして整備する取組を、支援制度を設けます。これによってかなりの部分を学校の体育館が今まで指定避難所となっていた学校の体育館だけでは足りない部分をここの部分でかなり吸収というか避難できるような形に進めていきたいと思っていますのでこの辺も各市町がつくる避難数の不足分をどのように埋めていくかということを各市町と連携して来年度進めていきたいと考えております。以上であります。
○議長(山田 誠君) 市川くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(市川敏之君) 脱炭素に向けた取組の再質問について、お答えいたします。
 まず、二月の十二日に開催いたしました地球温暖化防止県民会議でございますが議題の内容としては省エネに加えまして再生可能エネルギーの導入の促進あるいは森林吸収を高める方策、排出量自体はそんなに多くはないんですが温室効果の高い代替フロンの回収を徹底していかなければいけないとかそういう議題が様々な御意見を頂きました。
 また、この会議に先立って意見照会もしておりまして、そちらのほうでは二〇五〇年の脱炭素社会は一気に実現できるものではなく移行期としての取組など時系列を意識してのロードマップ策定をお願いしたいことですとか事業者や県民の皆様への意識づけが重要であるなどなどの御提案を頂いているところでございます。
 こうしたことを受けまして、県といたしましては一応来年度計画策定してまいりますが引き続き御意見を伺いながらいろんな方がちゃんと広く御理解頂いた上で産業界はじめ地域の皆様と一緒に取り組めるような計画を策定してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○議長(山田 誠君) これで鈴木澄美君の質問は終わりました。(拍手)
 議事の都合により休憩します。

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