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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成16年12月静岡県議会定例会 質問


質問者:

鈴木 利幸 議員

質問分類

代表質問

質問日:

12/06/2004

会派名:

自由民主党


質疑・質問事項:



    ○議長 (奥之山 隆君)  質疑及び一般質問を行います。
     通告により、十七番 鈴木利幸君。
            (十七番 鈴木利幸君登壇 拍手)
    ○十七番 (鈴木利幸君)  おはようございます。
     私は自由民主党を代表して当面する県政の諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、 警察本部長に質問いたします。
     初めに、台風災害への対応と十二月補正予算についてであります。
     十月九日に本県に上陸した台風二十二号、十月二十日に本州を縦断した台風二十三号、さらに十一月十一日から十二日にかけての前線による局地的な大雨により、県内各地で多くの被害が発生しました。特に伊豆と東部地域では土石流災害と強風による住宅の全壊、半壊などが多く、また広範囲にわたり浸水被害が相次いだところです。さらに、道路、河川、港湾、漁港等の公共土木施設や治山、農地、農業用施設などのほか、農水産物などの被害も多く発生したことから、被災地の生活も大きな支障が生じました。
     我が党は台風二十二号により多くの被害をもたらした直後に、いち早く県当局に、被害状況の早期把握と被害を受けた住民の方々が一日も早くもとの生活に戻れるよう、早期復旧対策や生活再建の支援を申し入れたところです。
     国においても新潟県中越地震や大型台風の被害拡大を受け、災害復旧費確保のため緊急対応措置として今年度予算の予備費を活用するほか、来年度の通常国会で補正予算を提出すると聞いております。そこで今回の災害への対応として十二月補正予算を編成したところですが、どのような内容により、災害復旧や住民の生活再建の支援を行っていくのか伺います。
     次に、財政問題について伺います。
     まず、平成十七年度当初予算編成についてであります。
     最近の経済状況を見ますと、内需の柱である設備投資と個人消費に伸びが続いていることから、景気は堅調に回復しているとの見方が根強いようですが、政府の十一月の月例経済報告では、輸出が弱含み生産が横ばいとなっていることから、景気に一部弱い動きが見られるとして基調判断を下方修正しています。また原油価格や為替変動など、景気に悪影響を与える不安材料も見られますが、このような中で、来年度の税収見積もりの基礎となる本年度の県税収入をどのように見込んでいるのか伺います。
     また、核燃料税については、今回、税率を一〇%に引き上げ、課税期間を五年間延長するための条例案が提出されておりますが、今後五年間の税収はどの程度を見込んでおり、どのような事業を実施する予定であるのかあわせて伺います。
     さて、こうした財政環境の中、平成十七年度当初予算編成が始まっています。本年二月に公表した財政の中期見通しによれば、平成十七年度は四百三十億円から四百八十億円程度の財源不足が生ずるとの試算が示されています。景気動向については悪影響を与える不安材料も見られることから、急速な税収回復は期待できそうもありません。また県債残高は本年度末で一兆九千四百億円余との見込みであり、健全化の指標である二兆円程度を下回ってはいるものの発行は引き続き抑制していくことが求められています。さらに、国における三位一体の改革の今後の具体的な動向や年末に向けての地財折衝によっては、県の財政運営に大きな影響を与えることも十分に考えられます。
     このように非常に厳しく、また、かつてないほどの不透明な財政環境の中でありますが、少子・高齢化対策、東海地震対策など県民生活の安心・安全の確保のほか、元気な産業づくり、次世代を支える交流基盤の整備、本格化した市町村合併をさらに促進し、地方分権の推進を図るための的確な対応など喫緊の課題が山積しています。
     そこで知事は、こうした難題を前に、平成十七年度当初予算をどのような方針で編成していくのか伺います。
     次に、三位一体の改革についてであります。
     ことし六月の基本方針二〇〇四の閣議決定に基づく政府からの要請にこたえ、地方六団体は、国庫補助負担金改革等に関する改革案を八月二十四日、内閣総理大臣に提出しました。その後開かれた国と地方との協議の場などで、関係府省は地方案に反対の主張を繰り返し、また財務大臣からは平成十八年度までに地方交付税を七兆八千億円削減する提案が出るなど、地方分権改革の趣旨が骨抜きにされるような状況になりました。こうした状況の中ではありましたが、関係者が鋭意調整し、十一月二十六日、政府・与党は基本方針二〇〇四に基づく平成十八年度までの三位一体の改革の全体像について合意しました。
     今回の内容には国庫補助負担金については、平成十七、十八年度で三兆円程度の廃止、 縮減等の改革を行うこと、 税源移譲は平成十六年度で措置した額を含め、 おおむね三兆円規模を目指すこと、 地方交付税改革について、 十七、 十八年度は地方団体の安定的な財政運営に必要な交付税、 地方税等の一般財源の総額を確保することなどが明記されましたが、 決着が先送りされた項目も多く、 地方の権限と責任が大幅に拡大したのかどうか評価が分かれるところだと思います。
     そこで、 知事にお聞きしたいのですが、 政府・与党が合意した今回の内容について、 県財政に与える影響を含め、 どのように受けとめているのか、 また今後どのような取り組みをしていくのかあわせて伺います。
     次に、 事務所運営費問題等一連の不祥事についてであります。
     県は先月二十四日、 事務所運営費を横領したとの理由により、 職員三名を懲戒処分したところであります。 事務所運営費関係では既に七人の職員や元職員が逮捕、 起訴され実刑判決を受けている中で、 今回さらに免職、 停職といった非常に重い懲戒処分をせざるを得ないほどの不正行為を職員が行っていたことに対し、 ただただ驚き、 あきれるばかりであります。 さきに公表された簿外郵券の全庁特別調査結果を見ましても、 県職員の公金に対する認識の甘さや公務員としての倫理意識の欠如が、 これらの問題の根底にあると言わざるを得ません。  
     ついては、 昨年の事務所運営費問題に続く一連の不祥事について、 知事の認識と県民の信頼回復に向けた取り組みについて所見を伺います。
     次に、 地震対策についてのうち、 災害時における県と市町村の連携強化についてであります。
     十月二十三日夕刻、 新潟県中越地方で震度七を記録する大きな地震が突然発生し、 四十名の犠牲者を出しましたことは大きな衝撃でありました。 亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、 被災地の一日も早い復旧、 復興を願っております。 頑張ろう中越。
     今回の新潟の地震は、 東海地震に比べてその規模は小さいものの震源に近い新潟県の中越地域の複数の市町村では大きな被害が発生し、 道路や通信の途絶などから新潟県の災害対策本部に支援要請などがうまく伝わらず、 災害初期の混乱を大きくした可能性もあると報じられています。 市町村の避難所となった小中学校などには一時期には十万人を超える多くの避難者が詰めかけ、 水や食料の不足、 そして避難所の混乱の様子などがテレビや新聞で伝えられていました。
     静岡県も今回の地震の震源となった新潟県中越地方と同様に中山間地域を多く抱え、 道路網や通信の途絶が発生すると、 災害時には県と市町村の連携がうまくいかなくなる可能性もあるのではないでしょうか。 県では来年度から新たに防災専任の出先機関として地域防災局を設置し、 防災体制の充実強化を図ると伺っておりますが、 今回の新潟県中越地震の状況なども踏まえ、 災害時の県と市町村の連携についてどのような工夫をしながら充実強化を図っていく考えであるか伺います。
     次に、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 の推進についてであります。
     新潟県中越地震による木造住宅の倒壊などから多くの方々が避難生活を強いられた中、 テレビのインタビューを受ける被災者が口にする 「生きていてよかった」 の一言は、 まさに身に迫るものがありました。
     県は、 さきに開催したトップセミナーで切迫性が指摘されている東海地震から、 いかに生き延びることが大切であるかを訴えてきたとのことですが、 被災者のこの一言が県の訴えを身をもって代弁してくれていると思います。 被災地の惨状を目の当たりにし新潟県中越地震をはるかに上回るという東海地震が起これば、 事前の対策である住宅の耐震化を怠ると、 その被害は想像を絶することが明らかであると感じました。
     県は東海地震から県民の命を守るため、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 を立ち上げて、 木造住宅の耐震化を積極的に推進しており、 本年度の十月までの補強補助の活用実績は、 既に昨年一年間の実績を上回り着実に伸びてきているとのことですが、 目標の一万棟からするといまだしの感があります。 今回の地震の教訓からも住宅の倒壊は住民の命に直接つながるだけでなく、 震災後の避難所生活を長引かせコミュニティーの崩壊につながりかねないことから、 住宅の耐震化は絶対に必要なことであると改めて認識いたしました。
     そこで、 新潟県中越地震を踏まえて、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 のさらなる推進が必要と考えますが県の所見を伺います。
     次に、 静岡空港の整備推進についてであります。
     静岡空港の早期開港に向けて着実な事業促進を図るため、 知事は去る十一月十二日、 交渉が難航している未取得用地について、 土地収用法に基づく事業認定申請を行うことを県民に表明したところであります。
     今回の決断は空港用地問題について、 これまで一貫して話し合いによる円満な解決を唱えてきた知事にとって、 熟慮に熟慮を重ねた上での大変難しい、 ぎりぎりの決断であったことと推察いたします。 しかしながら空港整備は昭和六十二年の建設予定地の決定から既に十七年という長い年月が経過し、 平成十年から始まった建設工事の進も、 既に現時点では全体事業の約七割、 今年度中には八割近くに達する状況にあります。
     こうした中、 今や多くの県民が生活の利便性や産業発展の可能性を促進する不可欠な社会資本として、 静岡空港の一刻も早い開港を今か今かと待ちわびているのが現状であります。 特に用地に関しては、 これまでに二百十八世帯の方々が、 さまざまな思いで本県の一層の発展と地域の将来のためにと貴重な先祖伝来の土地を提供してくださっており、 県はこうした方々の気持ちに誠実に、 そして速やかにこたえていく責任があります。 また空港周辺対策として大規模な農地造成や茶園経営の効率化などの生活生業対策、 またさまざまな環境保全対策など、 地元地域が受ける負担を最小限にするため、 これまでに可能な限りの対応がとられてきました。
     こうしたことを考えれば今回の知事の決断は、 残る四世帯の本来地権者に対し、 これまで進めてきた任意の買収交渉が全く進展せず、 本年九月には呼びかけさえも拒否されるという万策尽きた状況の中で、 膠着した用地問題の進展を図るためやむを得ない英断であり、 私は必ずや県民の理解を得られるものであると確信しております。
     そこで、 まず今回、 土地収用手続に着手することを決断された知事の御所見を改めてお伺いします。 また、 これから進められる土地収用にかかわる手続については、 法律にのっとり今後粛々と進めていくべきだと思いますが、 県からの事業認定申請を受けて国がどのような判断を下すかが当面の焦点になると考えられます。 そこで、 国における土地収用法の事業認定の見通しはどうなのか。 さらに知事は今回土地収用法の手続に着手したことにより、 工事完成予定期日を現行より二年おくれの平成二十年十一月一日に変更されたことについて、 その影響と開港時期をどのように考えているのかあわせて伺います。
     次に、 県の将来像についてのうち、 これからの社会資本の整備のあり方についてであります。
     国の一般会計に占める公共事業関係費は、 バブル崩壊直後である平成五年度の十三兆七千億円をピークに減少に転じ、 平成十六年度には七兆八千億円とピーク時の半分近くにまで落ち込んでいる状況にあります。 近年のこうした公共投資の著しい落ち込みは、 長期化する景気の低迷で税収不足が拡大する中で財政赤字の削減や効率的な財政運営を求める世論が高まり、 また公共事業の民間投資や消費の拡大に対する呼び水効果が、 近年はこれまでのような効果を持ち得なくなったことが主な理由だと考えられます。
     本県においても平成十二年度から三つの数値目標を定めて財政の健全化に取り組んでこられ、 投資的経費は平成十年度の五千五十五億円をピークに、 平成十六年度十二月補正現計で二千六百四十二億円、 率にして五二%の縮減となっております。 確かに厳しい財政状況が続く中、 健全な財政運営に努めることは当然であります。 しかし本県の将来をしっかり見据えて、 豊かな県民生活を実現し、 さらにこれを世代を越えて維持していくためには、 活力のある産業や快適な生活の基盤となる社会資本の整備を今後とも着実に、 そして計画的に進めていく必要があります。
     かつて財政にゆとりがあったころは、 即効性のある景気対策として投資的経費の予算措置が十二分になされていました。 しかし、 税収の減少により財政が迫し、 それが望み得ない現在の状況にあっても、 限られた予算を効果の高い社会資本の整備に効率的に引き当てていくことは重要なことであります。 これからの社会資本の整備のあり方について知事の御所見を伺います。
     次に、 県際交流の推進についてであります。
     本県は、 神奈川、 山梨、 長野、 愛知の四県と隣接し歴史的に見ても、 それぞれの地域において、 人・物・情報の交流が頻繁に行われてきました。 加えて最近では市町村合併による行政圏域の拡大、 また都道府県の再編議論に関係して、 県境を越えたさまざまな取り組みや研究なども行われるようになっています。 このように、 隣接県との交流や連携が深まる中で本県の魅力や特色をいかに効果的に伝えていくかということが、 これからの課題になっているように思います。
     この点について私は観光やビジネスを問わず、 本県を訪れる皆さんを迎える玄関口である県境の地域で、 本県の魅力を積極的にPRすることが本県への印象を高め、 さらに将来の静岡ファンの獲得にもつながる大変有効な方策だと考えています。 さらに、 隣接県の皆さんを中心に日常的に本県に来ていただくいわゆるリピーターをどれだけ多く確保できるかも、 県境を越えて最初に出会う玄関口で受ける印象によるところが大きいと言えます。
     道路交通で見た場合、 本県への玄関口は、 熱海、 三島、 御殿場または小山、 富士宮、 水窪、 三ケ日、 そして湖西の七カ所です。 かつて京都では洛中と洛外を分けた御土居に丹波口、 鞍馬口、 伏見口など、 いわゆる七つ口が設けられていました。 これらになぞらえて、 いわば静岡県への七つ口を他県からの訪問客を気持ちよく迎えるにふさわしく、 にぎわいと活気のあるよう磨き上げることは、 その地域だけではなく県全体の利害にかかわる重要な課題であります。
     そこで、 県際交流について知事はどのようなお考えをお持ちなのか、 また県際交流の今後一層の推進を図るため、 県境の玄関口を今後重点的に磨き上げていくことについて知事の御所見を伺います。
     次に、 東部地域における県立大学の新たな展開と多様な学習ニーズへの対応についてであります。
     本県の東部地域では、 現在、 健康や医療に係る先端的な研究開発に向けたファルマバレー構想が推進されており、 来年度には、 構想の具体化に大きな影響を与える静岡がんセンターの研究所が新たに開設されます。 この研究所には静岡がんセンターの研究部門に加え早稲田大学など県外から三つの大学が参画し、 医療と工学の連携による先駆的な研究事業が行われ本県を代表する新たな研究拠点の形成が期待されております。 このような話を聞くにつけ、 私は本県の学術研究の中核である静岡県立大学も、 こうした構想に積極的に参画し、 その中心的な役割を担っていくべきではないかと考えます。
     県立大学には全国的に評価が高かった静岡薬科大学を前身に持つ薬学部や、 さらには食品栄養科学部があり、 また現在既に大学院の看護関係の研究科においては、 がんセンターと連携した研究や教育活動の取り組みが進められるなど、 県立大学がファルマバレー構想に貢献できる余地は十二分にあると考えます。 県立大学にとっても、 県内外のすぐれた研究者との交流や先端的な研究への参画は、 これから大学の研究教育活動をより一層進展させていく上で大変大きなチャンスであります。
     ところで、 県東部地域においては、 質の高い看護人材を供給することや多様化する生徒の高等学校に対するニーズヘの対応と社会人を含めた、 いつでも、 だれでも学べる学校づくりのために、 高校の再編、 再配置やあり方を見直しすることなど、 教育や人づくりの面でも大きな課題が指摘されております。
     私は東部地域における静岡県立大学の新たな展開と多様な学習ニーズへの対応は、 ファルマバレー構想や大学自身の発展に寄与するものであり、 また地域が抱える課題である教育や人づくりについても、 解決に向けた一定の道筋をつけるものだと考えます。 さらに県立大学の東部進出に当たって高等学校の再編整備とあわせ総合的に検討することにより、 新たな展開が期待できるのではないかと考えますが知事の御所見を伺います。
     次に、 花博の成果とガーデンパークの整備についてであります。
      「花・緑・水〜新たな暮らしの創造」 をテーマに開幕した浜名湖花博は、 目標を上回る五百四十四万人余の来場客を迎え大きな感動を生みながら、 十月十一日盛況のうちに閉幕しました。 ことしは例年になく台風の上陸が多く夏の猛暑も殊のほか厳しかったにもかかわらず、 六千品種、 五百万株というこれまでにないスケールで閉幕まで花壇や庭園の美しさを保ち続けたことは、 関係者皆様の努力のたまものであり心より敬意を表します。
     今回のような長期間にわたる国際イベントの成功は、 本県の実力を改めて全国に示したばかりか、 これまで数々のイベントを成功させてきた本県にとっても、 新たな貴重な経験として大きな財産になったと考えます。 とりわけボランティアや地元住民、 また各種団体や企業など多くの民間の方々との協働の取り組みは、 花博成功の要因として強く県民の心に刻まれ今後の県行政の運営にも多くの示唆を与えるものでありました。
     そこで、 まず今回の花博の成果を知事は、 どのように考えておられるのか伺います。
     また、 会場となった広大な敷地は、 花博開催の理念を引き継ぎながら、 今後、 都市公園として整備を進められると承知しております。 今回の花博を契機に会場周辺地域では、 浜名湖新橋の開通などの道路整備が進められ交通アクセスが飛躍的に向上しました。 このため地元では、 会場跡地が周辺地域のさらなる発展の拠点として整備されることへ期待が高まっています。 そこで、 今後どのような都市公園を目指そうとしているのか、 その整備と方針や計画について知事のお考えを伺います。
     次に、 国際観光の振興についてであります。
     去る九月十五日に、 中国の訪日団体観光ビザ解禁地が、 それまでの二市一省から三市五省に拡大され隣国に巨大な観光市場が出現いたしました。
     国境を越えて移動する旅行者は、 現在約七億人から二〇一〇年には十億人、 二十年後には十六億人を突破すると予測される中、 成功裏に閉幕した浜名湖花博へも多くの外国観光客が訪れ、 国際観光推進の必要性を実感したところであります。 また十一月には知事を団長とする友好訪中団、 県議会友好訪中団、 さらには観光産業経済団体関係者、 県民の皆様で構成する民間訪中団など、 多数の方々が浙江省を訪問いたしました。 この機会を活用し知事は本県の観光プロモーションを初め、 現地マスメディアへの出演など本県のPRに努めていただいたと伺っております。
     経済発展著しい中国からの訪日客は、 ビザ解禁を契機として今後急激にふえていくものと期待されます。 しかしながら、 国際観光振興機構の調査によれば、 二〇〇二年の中国人訪日旅行者数約四十五万人のうち、 本県への訪問率は六・二%、 推計訪問者数二万八千人となっており、 隣の愛知県の三〇・三%、 十三万八千人、 神奈川県の二七・四%、 十二万四千人と比較すると、 大きく見劣りするものであります。
     少子・高齢化の進展による人口の減少社会への移行や観光地間競争の激化など、 観光を取り巻く環境が厳しくなる中、 観光立県を目指す本県が、 今後、 中国を中心とした国際観光の振興にどのように取り組んでいかれるのか伺います。
     次に、 環境森林行政に関して、 二十二世紀に向けた新しい森づくりについてであります。
     地球温暖化など地球規模の環境問題がクローズアップされる中、 循環型社会の構築に向けた取り組みは一層重要性を増しております。
     森林は水源の涵養はもとより二酸化炭素の吸収など、 県民の生活にとってかけがえのないものであります。 森林の持つ多面的機能は、 これまで森林資源を循環利用しながら発揮されてきました。 しかし、 県内の素材生産量を見ますと昭和五十五年度に六十八万四千立方メートルあったものが、 約二十年後の平成十五年度には半分以下の三十万一千立方メートルに減少しております。 このことは、 林業活動による森林の管理が行われなくなってきていることを示していると思います。
     過日、 静岡県森づくり百年の計委員会は、 これまでの検討結果を県に提言しました。
    提言では、 「健全な森林を維持するためには、 林業活動という経済を主体とした従来の森林整備のシステムでは限界があり、 森林・林業に対する組織の再編強化や新しい人材の育成、 森林への公的関与の拡大に取り組み、 新しいシステムをつくるべき」 としています。 森林を育てるためには五十年、 百年といった長い年月と地道な努力が必要であります。 森林の持つ多面的機能が将来にわたって発揮できるよう、 森林を管理していくためには、 現在から将来まで森林資源を継続的に生かしていける仕組みが必要です。
     県は地球温暖化が原因と言われる異常気象や土砂災害が頻発している今こそ、 新しい森林整備の仕組みづくりに向けて大きく一歩を踏み出すことが重要と考えますが、 県当局の取り組みについてお聞かせ願います。  
     次に、 静岡県ゼロエミッション事業について伺います。
     一九九二年六月にブラジルで開かれた地球サミットにおきまして、 環境と開発に関するリオ宣言やアジェンダ21が採択され、 循環型社会の構築が喫緊の課題として確認され、 はや十二年がたちました。 この間、 我が国では循環型社会形成推進基本法を柱とする法整備を進め、 県におきましても資源循環に向けてさまざまな取り組みをしてきました。
     しかしながら本県のごみ状況を見ますと、 一般廃棄物は約百四十万トン、 産業廃棄物は約一千百万トンと今なお排出量は高水準で推移し、 さらに一般廃棄物の場合、 約八割が焼却されて出てきた灰は埋め立てられているというのが実態であります。
     県は、 こうした課題を解決するために、 県内で発生するごみを対象として埋め立てをしないで資源として再利用するための施設整備をする静岡県ゼロエミッション事業を大井川町と連携して取り組んでいるとのことであります。
     私はこれが実現いたしますと今世紀最大の課題である資源の循環という難題に大きな光を与える画期的なものになると考え、 高く評価をしているところであります。 十二月末には企業を決め、 平成二十一年度操業を目指していると聞いております。
     そこで私は、 二点について知事の御所見を伺います。 一つ目は、 市町村や企業から資源化するための廃棄物を事業者に長期的、 安定的に供給することが必要であり、 このことについて、 どのような方策を考えているのか伺います。 二つ目は、 ゼロエミッション事業の効果が確実に発揮できるよう、 事業者が事業開始までに必要な許認可等の手続と安定経営に対する県の支援が必要と考えておりますが、 どのような考えを持っているのか伺います。
     次に、 生活習慣病予防対策についてであります。
     我が国は今や世界有数の長寿国となっていますが、 人口の急速な高齢化とともに疾病全体に占める生活習慣病の割合は増加しており、 これに伴って要介護者等の増加も深刻な社会問題となっています。 我々壮、 中年期になりますと健康が気になり、 生活習慣病が顕在化してまいりますが、 言うまでもなく、 その生活習慣の基本的な部分は子供のころに形成されるものであります。
     最近、 文部科学省が発表した平成十五年の体力・運動能力調査では、 子供の体力は低下の一途をたどっていることがわかり、 また、 その結果に、 朝食と睡眠、 適度な運動といった規則正しい生活の基本となる要素が大きく影響しているといった報道を目にし憂慮にたえないところであります。 健康は、 豊かで充実した人生を送るための基本であり、 これには子供のころから高齢期まで、 そのライフステージに応じた健康づくりに配慮する必要があります。 中でもとりわけ我々の生活習慣を基礎づける子供のころからの健康づくりが、 生活習慣病の予防を初め生涯を通じて健康な生活を送るためには非常に重要ではないかと考えるところであります。
     そこで、 そのような観点から、 本県においては、 子供のころから生活習慣病予防対策をどのように進めているのか伺います。
     次に、 新産業創出に向けた取り組みの強化についてであります。
     我が国経済はアメリカや中国などの好調な海外経済の牽引により、 輸送用機器や電気機器などの産業が好調で、 本県においても西部地域の輸送用機器や電気機器を中心に、 大手メーカーが設備投資を活発化させております。 こうした状況の中で本県への企業立地件数も本年上半期も全国第一位となるほど、 本県の持つ立地優位性に加えて、 高度な技術・技能を持つ中小企業や人材などの高いポテンシャルが県外からの企業誘致につながっているものと思われます。
     一方、 中長期的に見ると我が国の少子・高齢化がもたらす影響として、 労働力人口や国内消費の減少、 高齢者の増加に伴う貯蓄の取り崩しによる投資資金の減少などが懸念されます。 このため、 労働力や資金面でゆとりのある今こそ次世代の産業振興を図るため付加価値の高い製品づくりのための技術開発や技術・技能の伝承を図り、 世界を一歩リードできる基盤技術を創出することが重要だと考えます。
     経済のグローバル化が進む中で国際的な分業体制が進行しており、 我が国の産業界は、 他国の追随を許さない技術や製品を創出していくことを求められております。 このため、 県内企業においても、 日夜、 付加価値の高い新製品づくりのために血のにじむような努力をしていると伺っております。 しかしながら、 こうした努力も企業単独では限界もあり、 他の企業との連携や何よりも大学や公設試験研究機関の持つ研究開発能力を結集して大きな成果を上げる必要があると考えます。
     そこで、 新産業創出に向けた取り組みを今後どのように進めていこうとされているのか県としての所見を伺います。
     次に、 農薬の適正使用についてであります。
     まず、 地域特産作物の農薬登録適用拡大に対する取り組みであります。 国では一昨年の無登録農薬問題を受け、 食の安全・安心に対する消費者の信頼を確保するため、 平成十五年三月に農薬取締法の一部を改正し新たに農薬使用者が遵守すべき農薬使用基準を規定し、 それぞれの作物に登録されていない農薬を使用すれば、 罰則の対象となることになりました。 また農薬使用基準遵守の猶予期間が二年間の経過措置を経て、 平成十七年三月をもって終了すると聞いております。
     生産量が少ない地域特産作物は、 各作物に対応した登録農薬が極めて少ない状況にあるため、 全国各産地では、 農薬登録適用拡大に向けた取り組みが緊急的に行われています。 本県でもJAを中心に、 野菜など多種多様な地域特産作物の農薬登録の適用拡大に取り組んでいると聞いておりますが、 この取り組み状況はどのようになっているのか。 また農薬登録の適用拡大については、 今後も継続して取り組んでいくことが必要と考えますが県の考えを伺います。
     次に、 臭化メチル対策であります。 臭化メチルは、 現在、 土壌病害虫の防除に使用されておりますが、 モントリオール議定書締約国会議におきましてオゾン層破壊物質として、 フロン、 ハロンなどに続いて追加され平成十七年に生産が全廃することが決定されました。 本県におきましても臭化メチルは、 イチゴ、 トマトなどの野菜や花卉類を中心に使用され重要な生産資材となっております。
     そこで、 臭化メチル全廃を目前に控え、 これら農作物の生産を持続し安定的に供給していくことが望まれている中、 県として臭化メチル代替技術の普及や不可欠用途に対してどのように取り組んでいるのか伺います。
     次に、 教育行政について教育長に伺います。
     この春、 元文部大臣有馬朗人氏を座長とした有識者による確かな学力育成会議から、 静岡の子供たちにこれだけは身につけさせたい力を明確にした静岡県版カリキュラムを作成するよう提言を受け、 本年度、 県教育委員会ではその作成に取り組んでいます。
     先日の新聞報道によると先般その概要をインターネット上に公表し、 県民の意見募集を行ったとのことであります。 ここでの意見は、 静岡県版カリキュラムに反映させていくと聞いております。 この全国初の取り組みから、 教育における地方分権が進む中、 地方の子供にとって最もふさわしい教育を推し進めようとする教育長の意気込みを感じるとともに、 完成前に県民の意見募集を行い、 その意見を反映するということから、 県民の学力低下に対する不安の解消に積極的に対応をしていこうとする姿勢を感じます。
     ところで、 静岡県版カリキュラムを活用するのは、 学校の授業で子供たちを教える先生方であり、 県内のすべての学校に短期間に普及、 浸透させることは大変なことであると思います。 そこで、 静岡の子供に確かな学力を身につけさせるために、 どのような静岡県版カリキュラムを目指しているのか、 そしてそれをどのように普及、 浸透させていくのか教育長に伺います。
     最後に、 警察行政について警察本部長に伺います。
     昨年の県内の治安情勢は、 凶悪犯罪が多発し過去最悪を記録した平成十四年に比べ刑法犯全体の認知件数が減少する一方で、 検挙件数は増加し検挙率が上がりました。 本年も同様の傾向が続いており、 二年連続して刑法犯認知件数は昨年対比マイナスとなり、 急増傾向にあった犯罪の発生が抑止されていると伺っております。 これは平成十五年を治安回復元年と位置づけ、 急増する街頭犯罪、 凶悪化している少年犯罪等の抑止、 検挙等に県警一丸となって進められた結果のあらわれであると考えます。
     しかし一方で、 犯罪の凶悪化が進み、 強盗、 放火等といった悪質な犯罪は多発し、 中でも強盗の発生は十年前の約三倍に達しているといいます。 犯罪の発生の総数が二年連続して減少してきていても、 県民の感じている治安に対する不安感はぬぐい切れないのが現実であります。 本年七月、 県が実施した県政世論調査の結果においてもこのことがあらわれており、 犯罪の発生が多くなったと感じている人が八三・八%、 犯罪の被害に遭うのではないかと不安を感じている人が七五・五%もあると報告されております。
     県警では平成十三年度からの四年間に六百五人の警察官を増員し、 治安の第一線である交番等の警戒力の強化を図るとともに、 本年一月には、 これら厳しい治安情勢に対処し犯罪の増加基調に歯どめをかけ、 県民の安全と安心を確保するため今後三年程度を目途に緊急かつ重点的に取り組むべき治安対策を総合的に取りまとめた静岡県警察緊急治安対策プログラムを策定されました。
     また六月には本プログラムの実現に向け、 さらに具体的に推進すべき施策と目標項目を策定し、 進捗状況や成果等を逐次検証していくこととしております。
     静岡県防犯まちづくり条例も制定され、 犯罪を減らすためには警察活動に頼るだけでなく県民一人一人が防犯意識を高め、 犯罪に遭わないように行動するという県民の防犯意識も高まりを見せております。 しかし、 県民の抱える不安感を取り除き真に安全で安心な地域社会を築いていくためには、 治安のプロ、 責任者として、 警察が前面に立って県民の活動を牽引していくという姿勢が必要と考えます。
     そこで、 策定後一年が過ぎた緊急治安対策プログラムの推進状況と今後の取り組みをお聞きするとともに、 県民の抱える治安に対する不安感を取り除く方策について、 警察本部長の所見をお伺いし私の質問を終わりにします。
     御清聴ありがとうございました。 (拍手)
    ○議長 (奥之山 隆君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  鈴木利幸議員にお答えをいたします。
     初めに、 一連の台風、 大雨災害への対応と十二月補正予算についてであります。
     県では台風二十二号に関し直ちに災害救助法や被災者生活再建支援法の適用を決定しまして、 被災者の救援、 救助のための態勢を整えますとともに、 災害復旧費や融資制度などの既計上予算を活用しながら迅速な対応を図ったところであります。 さらに、 台風二十三号及び十一月十一日から十二日にかけての局地的な大雨による被害への対応も必要となりましたことから、 これらの災害関連経費の不足額を予算措置するため、 今回、 十二月補正予算をお願いしているところでございます。
     具体的には、 被災した公共施設等の復旧を図るため、 道路、 河川等の公共土木施設、 治山施設、 農業用施設及び県立学校などの災害復旧費を計上いたしております。 また伊東市の応急救助経費に対する災害救助法に基づく負担金のほか、 災害弔慰金の支給や被災世帯への融資を行う市町村への補助金や貸付金なども措置をしております。 引き続き各種制度の活用や災害復旧事業等によって、 被災施設の早期復旧と被災者の皆様の一日も早い生活再建が図られますよう、 全力を挙げて取り組んでまいります。
     また、 被災者の本格的な住宅再建支援については、 予想される東海地震を考えますと国における制度化がまず第一義でありますことから、 これまで全国知事会等を通じて制度化の要望を精力的に行ってきましたが、 今後もさらにそれを強化する考えであります。
     しかしながら、 一方で既に被災された方々への迅速な対応ということを考えますと県独自の支援策も必要かと感じます。 そこで、 国で制度化されるまでの間の暫定的な措置として高齢者世帯など住宅再建が真に困難な方々に対し、 市町村と連携して支援できる仕組みについて、 今回の一連の災害の被災者に適用できるように制度を検討していきたいと考えております。
     次に、 財政問題についてのうち、 平成十七年度当初予算の編成についてであります。
     編成方針でありますけれども、 本県財政を取り巻く経済環境は、 企業収益の改善や個人消費の増加は見られますものの、 原油価格や為替レートの動向が内外経済に与える影響が心配されるなど、 先行きが不透明な状況にあります。 また介護保険給付費や老人医療費負担金等の義務的経費の言うなれば当然増経費も見込まれるほか、 特例債を除く県債残高につきましてもピークは過ぎてはおりますけれども、 平成十六年度末見込みでは一兆九千四百億円と依然高い水準にありまして、 財政見通しとしては厳しい状況が続いております。 加えて現在進められております三位一体改革において地方交付税の総額の削減も取りざたされており、 その具体的な内容によっては財源不足の一層の拡大も予想されるところでございます。
     こうしたことから、 平成十七年度の当初予算については、 引き続き財政健全化を着実に推進し限られた財源を有効に活用することを基本に編成することといたしました。 このため業務棚卸表を活用した行政評価に基づいて事業の重点化と優先化を徹底し、 目的志向型の機動的な行政運営や、 めり張りのある施策展開を図るなど、 新公共経営の考え方に基づく戦略的な予算編成に努めてまいります。
     次に、 三位一体改革についてであります。
     十一月二十六日、 政府・与党が合意した改革の全体像は、 基本的な方向に関しては一定の評価はできますものの、 義務教育費国庫負担金の取り扱いを初め国庫補助負担金の具体的な見直しの内容や工程が示されておらず、 重要な部分が先送りされたほか、 国民健康保険の都道府県負担の導入など予期せぬ内容が盛り込まれるなど、 地方分権の推進という観点からは到底満足できる内容とはなりませんでした。 また地方団体の財政運営上重要な柱である地方交付税の見直しも具体的な内容が示されておらず、 このまま地方交付税の総額決定が年末の国の予算編成までずれ込むと昨年に引き続いて、 地方団体の予算編成に重大な混乱、 影響を与えるおそれがあります。
     このため、 今後の国の対応を注視するとともに地方団体が一致団結して地方六団体の改革案の実現に向けた取り組みを進めていくことが重要であると考えますので、 全国的な運動に加え、 十一月に本県の地方六団体で設立した自治体代表者会議や地方分権推進連盟などを通じて、 引き続き政府、 国会など関係方面に対し強く働きかけてまいります。
     次に、 事務所運営費問題等一連の不祥事についてであります。
     事務所運営費問題により県の職員が逮捕、 起訴されたことに続いて、 今回、 多額の簿外郵券等の存在が明らかになったことにつきましては、 部下職員を管理監督する立場にある私自身、 その責任を痛感しているところであり、 改めて県民の皆様、 県議会の皆様に深くおわびを申し上げます。
     一連の責任の所在を明らかにするため、 私を含む三役及び教育長の給料を減額する条例案を本議会にお諮りしているところでございます。
     県では、 これまで予算執行の弾力化や職員の倫理研修の実施のほか、 内部監察組織や内部通報制度の設置、 公認会計士による監査業務の強化などにより公金の適正執行に努めてまいりました。 その結果、 平成九年度以降においては新規の事務所運営費の捻出とか、 あるいは多額の郵便切手等の簿外化などの新規の発生は見られておりません。 しかし、 過去にいろいろ行われた行為の清算というか、 結末がついていなかったことに伴う今回の一連の不祥事は、 まことに遺憾なことでありますので今回新たに従来のさまざまな措置に加えまして、 仮称でありますけれども静岡県コンプライアンス委員会を設置をいたしまして、 弁護士や民間有識者など、 県庁の外の専門家のアドバイスを受けながら職員の法令遵守の徹底と不正違法行為の未然防止を図るなど、 綱紀粛正と再発防止に向けた取り組みを強力に進めてまいる考えでございます。
     次に、 地震対策についてのうち、 災害時における県と市町村の連携強化についてであります。
     東海地震を初め各種災害において災害応急対策を的確に実施するため、 県において被害状況や市町村からの支援要請情報を迅速に把握することが何よりも重要であります。 このため情報収集手段として、 県と全市町村との間で地上系と衛星系の回線が相互に補完するような形で防災行政無線網を整備をしております。 また非常用電源を確保するとともに、 衛星移動中継車や可搬型衛星地球局、 携帯無線機等の移動用通信装置による応急的な通信手段の確保など、 災害時における情報の途絶防止対策を講じております。
     さらに、 大規模地震が発生した場合、 市町村は住民の救助や避難所開設等多くの業務を直ちに実施する必要が生じまして、 県への情報伝達がおくれることも心配されますので、 県では、 あらかじめ指定した職員を市町村情報収集要員として各市町村に派遣し、 市町村の被害状況などを県に連絡することとしております。
     これらの対策に加え、 来年度から災害時における災害応急体制の充実強化を図るため防災専任組織として県内四カ所に、 仮称でありますけれども地域防災局を設置することとしております。 この地域防災局では、 平常時には市町村地域防災計画の指導や防災訓練の支援、 自主防災組織の活性化支援など、 地域の防災力向上に積極的に取り組むこととしております。 また災害時には方面本部として地域の災害対策の中核を担うとともに、 必要に応じて市町村災害対策本部の運営支援を担う職員を派遣することにより、 地域防災局の設置によって県と市町村の一層の連携強化が図られるものと考えております。
     次に、 静岡空港の整備推進についてであります。
     まず、 土地収用手続に着手することの決断についてでありますが、 事業用地の確保については、 平成八年の七月に設置許可をいただいて、 その年の十一月には地権者会の皆様と買収に当たっての基本的な項目について協定が締結され、 暮れから翌十二月から買収に入りました。
     その間あくまで円満な話し合いによる取得、 これに全力を挙げてまいったわけでありますけれども、 八年経過した今日その努力がある意味では実りまして、 対象となりましたもともとの地権者二百二十二世帯のうち、 九八%強に当たる二百十八世帯の方々からは円満に土地を譲っていただくことができ、 工事もことしの三月末では飛行場本体で言いますれば六一%、 来年三月になりますれば七割近い出来高にまで進展することができるようになりました。
     しかし残念ながら、 二百二十二世帯のうち四世帯、 率にして二%弱でありますけれども、 この方々からは相変わらず御理解がいただけないまま今日に至りました。 この方々の同意が得られませんと予定いたしました平成十八年十一月一日の工事完成、 平成十九年の春開港、 これが見込めない状況にもなってまいりましたし、 買収開始十年、 実は静岡空港よりも後に設置許可申請をした石川県の能登空港は、 既にもう昨年の四月開港しておりますし、 そしてまた中部国際空港も静岡空港におくれて建設が始まりましたけれども、 既に来年の二月には開港予定というような状態でございます。
     いろいろ世の中の事情が非常に速いスピードで変化する今日において、 仮に予定どおり開港しても設置許可を受けてから十一年近くかかるというようなことそのものも、 非常に心苦しく思っていたところでありますけれども、 ここにおいて土地の収用手続を行わなければ、 それはさらに先に延びてしまう。
     一方で用地を提供していただかなければいけない二百二十二世帯の方々の状況を見ますと、 二百十八世帯の同意された方々の中には、 家屋の移転を必要とされた方が十八世帯ありました。 これも円満に移転をしていただきました。 そしてまたこの方々二百十八世帯の農業経営面積に占めます対象事業用地の比率は四二%、 非常に大きな影響を受けるわけでありますけれども、 このような大きな影響を受けるという状態であっても、 我々のいろいろな説明を十分吟味されて承知をしてお譲りいただいて今日に至っております。
     しかるに反対をずっと表明されている四世帯の方々は、 住宅の移転は必要ない方であります。 加えて自分の経営する農地への事業対象用地の面積割合は六・九%であります。 六・九%だから自分の経営に全然影響ないとは言いませんけれども、 四二%の影響を受ける方々と比べて、 私は何かきちんとお話を聞いていただいたら、 六・九%の影響は代替農地の提供も今まで我々既に二百十八世帯の方々には申し上げて、 しかもその結果、 非常に従前よりはいい経営をされておると喜んでおられるように私は聞いております。
     そういうことから考えましても何とか御理解いただけないかと、 そういうお話し合いをしたいと思ってもですね門前払いの状態をずっと続けてこられたわけであります。 加えて、 その方々は民主的な手続を経て、 しかも私は三回の選挙で空港建設を訴えて当選してきた。 そういう経過を踏まえた空港事業であるにもかかわらず、 空港の建設をやめなければ話に応じないというような、 そういう条件をずっと提示されてきたわけでございます。 つい先ごろに至って、 ちょっと何か条件を変えると土壇場になってですね、 そのようなことを言ってこられた。 それでは話し合いのしようがないわけであります。 したがって、 この際収用手続に訴えざるを得ないという状態になったわけであります。
     しかし、 収用法の適用申請し仮に権原取得を二年ぐらいかかると思いますけれども、 その間にそういう手続が仮に順調に私どもの希望のように進行しても、 話し合いの窓口はあけて、 いつ何どきでも話し合いをしたいと、 そのための努力もまた重ねてまいります。 ぜひそういうことが実現するように、 関係方面の方々の努力も御理解もいただきたいものでありますが、 そういう状態でございます。
     土地収用法の事業認定の見通しでございますけれども、 事業認定の実際実施する部署は国土交通省中部地方整備局が国土交通大臣の権限を委任されて判断を下す立場にございます。 私としては静岡空港は本県の発展に不可欠な社会資本であり、 これが十分な公益性を有している旨、 必ずお認めいただけるものと確信をしているところでございます。
     次に、 工事完成予定期日の変更による影響と開港時期についてでありますが、 これは残念ながら事業認定から県の土地収用委員会の裁決が下されるまで、 二年近い歳月を要するものと推測をいたします。 そういうことを踏まえて現在これまで予定しておりました工事完成予定期日、 平成十八年十一月一日を二年延期をせざるを得ないという判断に立って先ごろ手続をしたところでございます。 そうなりますと開港の予定も平成十九年春が、 二年先の平成二十一年春というふうに一応今日としてはなる。 しかし今後のいろいろ事態の展開によって、 これを縮めることは絶対不可能とも思えませんので、 最大限の努力をして事実上の開港は一日も早くなるように努力をしていきたいと思います。
     一方、 なぜ開港を急ぐかというと、 開港をした場合には年間の本県経済への影響といいますか、 経済効果は五百億円プラスアルファと見込まれております。 雇用機会の増大が八千人とも見込まれております。 このような大きな効果が見込まれる事業、 これは一日も早い開港こそ必要であるわけでありまして、 これに向けて全力を傾ける考えでございます。
     次に、 県の将来像についてのうち、 まずこれからの社会資本の整備のあり方についてであります。
     私は就任以来、 空港、 道路などの社会資本や良好な自然環境、 医療・福祉・教育など生活に密着した社会システム、 社会の仕組みの整備充実など、 県民が活躍するための基盤整備を着実に進めていくことは、 豊かな生活を実現し維持する上で極めて重要であるという考えに基づいて県政運営に取り組んでまいりました。
     一方、 これまで公共事業は、 ここ七、 八年を振り返ってみますと景気回復の手段として大規模かつ頻繁に活用されました結果、 財政の悪化を招いた元凶として、 いわば悪者扱いのように指弾を浴びまして、 そのために社会資本整備の縮減が盛んに行われてきました。 本県でもそういうふうにせざるを得ませんでした。 しかし、 浜名湖花博の開催に向けた集中的な道路整備が、 アクセスの向上はもちろん地域の活性化にも大いに効果を上げており、 社会資本整備の重要性を改めて痛感しているところでございます。
     財政を取り巻く環境は依然として厳しい状況にありますけれども、 今後、 県が担うべき社会資本の整備については、 県民生活の安心・安全のための地震や災害への対応はもとより、 空港、 広域道路網や高度情報通信基盤の整備などに加えて、 広域的な都市づくりの視点に立った国内外の人・物の流れを受けとめる高次都市機能の整備を市、 町と協働して進めていく必要があると考えております。
     整備に当たりましては限られた財源のもとで英知を結集し、 選択と集中をなお一層徹底しながら、 県民の皆様の御理解が得られるように、 効果的かつ効率的に進めてまいりたいと考えております。
     次に、 県際交流の推進についてであります。
     大交流時代を迎える中で都道府県や市町村といった行政単位の枠を越えて、 さまざまな分野、 レベルで交流を進めていくことが必要になっております。 また都道府県合併や道州制が現実に議論され始めていることから、 他県、 特に隣接県との交流は極めて重要な課題であると考えます。 このため県においては、 これまで県境地域における道の駅の利用促進とか、 県際交流促進道路の整備、 さらに、 交流拡大のための隣接県との意見交換などを行ってきたところであります。
     今後もこうした取り組みに加えて、 富士箱根伊豆地域におけるSKY圏構想、 これは静岡、 神奈川、 山梨の頭文字をとってSKY圏構想と三者で言いならわすことになっておりますが、 SKY圏構想など、 隣接県とのさまざまな共同事業の展開や県境地域における国や民間等の施設と連携した新たな情報発信、 さらに、 県境を越えて人・物が円滑に流れるための交通基盤の整備促進など、 県際交流の活発化と県境地域の魅力づくりに向けて検討を行ってまいります。
     特に、 県境を結ぶ交通基盤の整備促進は極めて重要なテーマだと思います。 このために、 これまでも三遠南信自動車道、 中部横断自動車道あるいは国道百三十八号バイパス、 これは御殿場と富士吉田を結んでいる国道のバイパス整備、 これにも力を注いでまいったわけでありますが、 この中で例えば三遠南信自動車道につきましては、 現在、 佐久間町から愛知県を通って引佐、 三ケ日までの三遠自動車道の事業が今着工中であります。 将来構想としては、 これをさらに南に下しまして、 三ケ日、 湖西を経由して愛知県の渥美半島を縦断する伊勢湾口道路の構想があります。 これも三遠南信自動車道に引き続いて、 その実現に愛知県と一緒になって努力をしてまいりますが、 そういう道路網が整備されてくるということになりますと、 今度はその道路と伊勢湾口道路というか三遠自動車道の南伸部分といいましょうか南へ延びる部分と実は浜松の中心部とを結ぶ道路のネットワーク、 これが非常に重要になってまいります。
     幸い浜名湖花博で、 はまゆう大橋ができまして浜松の中心部から庄内半島との行き来は非常に利便性が高まってまいりましたので、 もう一息踏ん張れば、 湖西、 三ケ日の地域へ橋をかけることによって、 この地域の道路のネットワークは一応の完成形を見るのではないかと思うので、 こういうことも今後は視野に入れて取り組んでまいりたいと考えております。
     次に、 東部地域における県立大学の新たな展開と多様なニーズの対応についてであります。
     県立大学におきましては、 当面する課題である公立大学法人化へ向けて早期に対応を図ることとあわせまして、 大学機能の一層の充実を図っていく必要があると考えております。 こうした中、 東部地域におきましては、 県がんセンターと連携大学院協定を締結をしております県立大学の看護学研究科が、 新たに医看工、 医学と看護学と工学、 けしからんという 「いかんこう」 でなくて、 医看工の連携の一翼を担うことが期待されてまいりますし、 薬学や食品栄養科学の分野で培ってきた高度な知見をファルマバレー構想推進に生かしていくことなどが期待をされておるわけであります。
     また、 東部地域においては、 高等学校教育に対する多様な学習ニーズへの対応の一環として、 静岡市内にあります中央高校タイプの単位制高校の設置が課題となってきておりましたが、 県教委においては、 地元関係者からの要望と東部地域全体を見回した利便性を考慮して、 三島駅前の県教委が今使っております三島分館、 三島駅の北側にあります県教委の三島分館の場所に長泉高校を移転、 改編する形で設置をしていく考えに固まってきたと承知をしております。 私もその推進を願うものであります。  こういうことになってまいりますと県立大学につきましては、 法人化への転換とあわせまして、 この大学機能の充実について私ども県の当局と大学との間で十分な協議、 検討して内容を固める必要がありますので、 来年度は県と大学との協議機関を設けて具体化に向けた協議調整を進めていきたいと考えております。
     こういう中で県立大学の東部地域への新たな展開については、 長泉高校の用地を活用するなど、 展望が開けてまいりますので県教委の長泉高校の移転、 単位制高校への改編整備のスピードといいますか進行に合わせて、 この跡地といいますか施設の活用、 これも含んで検討して結論を出したいと考えております。
     次に、 浜名湖花博の成果とガーデンパークの整備についてであります。
     初めに、 花博の成果についてでありますが、 五百四十四万人もの来場者をお迎えできましたこと、 そして、 来場者のどこから来たかというものを分析いたしますと県内と県外ほぼ同数になっております。 これは観光産業を初め地域経済に大きな波及効果をもたらした上に、 なおかつ本県のイメージアップにも相当貢献できたんじゃないかというふうに感じます。 また長年の懸案でありました道路整備等が地元の皆様の協力により順調に進められた結果、 周辺地域の利便性向上にも大きく寄与いたしました。
     さらに、 これまでにない質と規模の花博でありましたから、 これを通じて本県の園芸・造園産業の振興や技術力の向上が図られたと考えております。 特に長期にわたる大規模な国際イベントの成功によって、 本県の底力を示すとともに、 これらの成果はボランティアや団体、 企業など民間の方々にとっても大きな自信になり、 県民共通の財産となったものと確信をしております。 今後はこれらの成果を力として、 さまざまな分野で本県の地域づくりに生かしてまいりたいと考えております。
     次に、 ガーデンパークの整備でありますが、 花博跡地の利用については、 これまで県議会を初め、 地元市町や関係者から、 さらにまた浜名湖ガーデンパーク懇話会の場を通じて幅広く御意見を伺ってまいりました。 これらの御意見を踏まえて、 東側エリアは来年六月開園するという目標で、 モネの庭や国際庭園など花博の施設を生かしながら、 県民の参加と協働によって多様なレクリエーションの場や園芸等の産業振興にも寄与できる場を目指して整備をしてまいります。 また西側エリアは、 当面多目的に利用できる緑地スペースとして整備することとしております。
     今後とも花博の成果を継承するとともに、 地域づくりや長期的な視点に立って民間の方々の御意見を伺いながら、 浜名湖地域のシンボルとしてガーデンパークの魅力を高めてまいりたいと考えております。
     次に、 国際観光の振興についてであります。
     私は、 先月、 県議会議長や各会派代表の皆様とともに浙江省杭州市及び上海市を訪問して、 観光プロモーションや現地メディアへの出演など、 本県の観光PRを行ってまいりました。 杭州市の観光説明会には、 浙江省内すべての訪日旅行指定会社が参加をするなど、 現地観光関係者の熱い熱意を感じてまいりました。
     一方、 一般的な中国の人々にとっては富士山以外での本県の認知度はそれほど高くないと言われておりますので、 今後、 現地の新聞、 雑誌での富士山紹介に加えて、 温泉や海、 産業など、 本県の特色のPRや現在作成中の観光PRビデオ、 DVDなどを活用して、 エージェントへの波状的な誘客活動を展開してまいりたいと考えております。 またビジット・ジャパン・キャンペーンの展開や愛知万博の開催などによって東アジアを初めとする多くの外国人観光客の来訪が予想されますので、 案内標識の外国語表記など受け入れ態勢の整備にも積極的に取り組んでまいります。
     次に、 新産業創出に向けた取り組みの強化についてであります。
     経済のグローバル化や高齢化など社会情勢の変化の中で本県が今後も全国有数のものづくり県として発展していくためには、 社会のニーズに対応した技術、 製品等の研究開発により、 既存産業を活性化するとともに新たな産業を創出することが重要であると考えております。
     このため県では、 今後、 成長が見込める健康、 医療、 食品などでの産業の集積を目的といたしまして三つの事業を推進しております。
     まず、 東部地域の健康産業の集積、 いわゆるファルマバレー構想、 中部地域の食品、 化成品産業の集積、 いわゆるフーズサイエンスヒルズ構想、 そして西部地域の光と電子技術を融合した新しい技術産業の集積、 すなわちフォトンバレー、 この三つの構想を進めております。 これを俗に 「静岡トライアングルリサーチクラスター形成事業」 と呼ばれるようにしたいと思って今提案しているところでございます。 これはノースカロライナ州のトライアングルリサーチパーク、 これをもじったものでありますけれども、 こういうものを推進中であります。
     既にそれぞれの三つの推進事業においては、 産学官連携の大型共同研究開発事業が鋭意進められております。 中でも例えば西部地域においてはエックス線画像のカラー化など、 次世代の産業の種となるような研究成果も出ております。 今後とも産学官の共同研究開発事業をより一層充実させるとともに、 財団法人しずおか産業創造機構などとの連携を強化し、 企業への技術移転、 資金調達の円滑化、 人材育成など幅広い支援を行うことによって新産業の創出に一層努めてまいる考えであります。
     なお、 その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (奥之山 隆君)  橋本総務部長。
            (総務部長 橋本嘉一君登壇)
    ○総務部長 (橋本嘉一君)  財政問題についてのうち、 平成十七年度当初予算編成について、 お答えいたします。
     税収見通しと核燃料税の延長についてでありますが、 まず税収見通しにつきましては、 本年十月末の県税の調定状況は、 前年同期比九九・九%と、 ほぼ前年並みとなっております。 これは主要税目の法人二税で企業収益の改善により前年をやや上回る一〇〇・四%となっているものの、 個人所得の減少、 税制改正の影響などにより、 個人県民税や自動車税などが前年を下回っていることによるものであります。
     今後につきましては景気判断に一部弱含みがあり、 原油価格や為替動向の影響も懸念されますが企業収益の改善傾向などを背景に、 法人二税や地方消費税が堅調に推移し、 また、 現在、 大きく落ち込んでいる利子割県民税が満期を迎える定額郵便貯金の増加により回復が見込まれることなどから、 当初予算に計上した四千二百五十億円は確保できる見通しであります。
     また、 核燃料税の延長につきましては、 平成十七年度以降五年間の財政需要の総額や他県の課税状況などを踏まえ、 現行七%を一〇%として延長する条例案をお諮りしているところであります。
     向こう五年間の税収は約九十四億円と見込んでおり、 この税収をもとにして浜岡原子力発電所周辺地域における環境放射線センターの運営や緊急防災資機材の整備などの原子力安全対策、 沿岸漁場や農道の整備などの生業安定対策、 避難路となる幹線道路の整備などの民生安定対策を実施し地域の安全と振興を図ってまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  田邊都市住宅部長。
            (都市住宅部長 田邊義博君登壇)
    ○都市住宅部長 (田邊義博君)  地震対策についてのうち、 プロジェクト 「TOUKAI―0」 の推進についてお答えいたします。
     新潟県中越地震では多くの住宅や住民が被災し中でも倒壊した住宅の多くは、 古い住宅や道路側に大きな開口のある住宅で耐震性が低いと言われるものでありました。 また犠牲となった方の三割が住宅の倒壊で亡くなられたほか、 非常に多くの方々が自宅を離れた避難生活を強いられたことからも、 住宅の耐震化は命を守る上でも早期の地域復興を図る上でも重要であり、 この地震を教訓として未曾有の被害が予想される東海地震から県民の命を守るには、 耐震補強にまさる手だてはないと強く認識いたしました。
     耐震補強補助の活用は、 十月末現在、 千四十六件となっておりますが、 県といたしましては、 新潟県中越地震による県民の防災意識が高まっているこの機会をとらえ、 新たに新聞広告の掲載やテレビコマーシャルの放映等により、 住宅の耐震化の必要性を訴えてまいります。
     県民に東海地震から生き延びることの大切さと東海地震の規模、 想定される被害を再認識していただき、 耐震補強補助の活用が一層図られるよう、 市町村とともに積極的に推進していきたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  花岡環境森林部長。
            (環境森林部長 花岡志郎君登壇)
    ○環境森林部長 (花岡志郎君)  環境森林行政についてのうち、 初めに、 二十二世紀に向けた新しい森づくりについてお答えします。
     森林を良好な状態で維持し災害防止を初め、 地球温暖化防止などの多面的な機能が十分発揮されるためには、 従来の施策だけでなく森林整備における公的関与の拡大や県民の皆様の参加などの視点を加えた、 新しい森林整備の仕組みが必要と考えております。
     昨年三月以来、 二年近く検討を重ねていただきました森づくり百年の計委員会から、 これからの森林整備への取り組みについて林業を担う体制と組織を初め、 人材の育成や荒廃森林の再生に対する新たな県民負担などの御提言をいただいたところであります。
     このため県といたしましては、 森林資源を循環利用し豊かな環境を創造する二十二世紀に向けた持続可能な森林整備システムを構築するため、 御提言をもとに具体的な施策の展開について現在検討を行っているところでありますが、 中でも森林は県民共有の財産でありますので、 森林・林業の関係者のみならず、 県民の皆様の積極的なかかわりを軸とした新しい仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。
     次に、 静岡県ゼロエミッション事業についてであります。
     この事業は廃棄物を資源として有効に利用する新しい廃棄物処理システムの一環として、 民間による廃棄物資源化施設を設置するものであります。
     県といたしましても事業が確実に進められるよう、 現在見直し中の静岡県廃棄物処理計画に本事業を位置づけるとともに、 県及び全市町村で構成する廃棄物リサイクル推進連絡会などで資源化する廃棄物の安定的な確保についても取り組んでいるところであります。 さらに既存の最終処分場から掘り起こした焼却灰などを資源として活用するため、 来年度から具体的な仕組みづくりについて検討を進めてまいりたいと考えております。
     また、 本年四月に事業推進に係る諸手続が円滑に進むよう、 大井川町を初め関係部局による静岡県ゼロエミッション事業の推進体制を整えたところであり、 施設が安定的に運営されるための支援策についても、 現在、 検討を進めているところであります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  川口健康福祉部長。
            (健康福祉部長 川口正俊君登壇)
    ○健康福祉部長 (川口正俊君)  生活習慣病予防対策についてお答えいたします。
     健康で生き生きとした人生を送るためには、 子供のころから食生活を初め正しい生活習慣を身につけることが大切です。
     こうしたことから県では、 平成十一年度から食育に取り組み、 学校やPTA、 地域の健康づくり食生活推進協議会等と協働した子供の食育教室や保育士、 養護教諭等を対象とした研修を行い、 昨年度は食育教室で七千五百六十四人、 研修で延べ六百三十九人の方々に御参加いただきました。
     また、 昨年度実施した子供の生活実態調査では、 朝食を毎日食べる小学生が八九・七%、 中学生が八二・二%と平成十二年度の全国調査の結果に比べ、 よい状況でありましたが、 運動不足や睡眠のとり方、 家族からの受動喫煙などの問題があることも明らかになりました。
     このため県では、 新たにNPOと連携した自然の中での運動教室や高校生が自主的に運営する思春期健康展などを実施するとともに、 健康づくりを県民総参加で進めるフォーラム21と連携し、 今年度は十代の健康に焦点を当て朝食や運動などをテーマに、 新聞、 テレビを活用したキャンペーンを展開しております。
     今後とも子供を初め、 県民が各ライフステージに応じて生活習慣病予防のための食習慣や運動が実践できるよう、 幅広い情報の提供と市町村に対する支援の充実などに努めてまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  北村農業水産部長。
            (農業水産部長 北村正平君登壇)
    ○農業水産部長 (北村正平君)  農薬の適正使用についてお答えいたします。
     本県では、 ミツバ、 セルリーなどのさまざまな地域特産作物が栽培されておりますが、 こうした作物に使うことのできる農薬は極めて少なく、 その確保が求められております。 このため、 各産地から要望があった百七十五薬剤のうち、 他の県とも連携し百十一薬剤について登録拡大の試験に取り組んでおります。
     また、 残りの薬剤のうち、 ワサビで使える安全な農薬の確保や将来必要となる農薬の拡充に向けて、 試験の実施やデータの収集などを支援するとともに、 ハーブ類などについては、 新たなグループ化による登録拡大ができるよう、 国に対して引き続き要望してまいります。 なお経過措置の承認を受けている薬剤は、 試験に着手していれば平成十七年四月以降も引き続き使用が認められることとなりました。
     臭化メチル対策につきましては、 蒸気消毒と散水を組み合わせた防除方法や代替薬剤として有効なクロルピクリンなどを農作物病虫害防除基準に掲載するとともに、 土を使用しない高設栽培の導入も含め、 これらの早期定着を図っているところであります。 また臭化メチル以外に防除方法がないものにつきましては、 代替技術の試験研究が進められておりますが、 産地からの要望を受け不可欠用途として例外的な使用が認められるよう国に申請を行っております。
     県といたしましては、 今後とも安全・安心な農作物の安定生産が図られるよう、 関係機関が一体となり農薬の適正使用の推進に努めてまいります。
    ○議長 (奥之山 隆君)  鈴木教育長。
            (教育長 鈴木善彦君登壇)
    ○教育長 (鈴木善彦君)  教育行政についてお答えいたします。
     静岡県版カリキュラムについてでありますが、 これは、 静岡の子供たちに身につけさせたい内容を明確にし、 各学校、 各教員の学習指導上の指針とすることをねらいとしたものであります。
     具体的には学習指導要領をもとに、 特にこれだけは確実に身につけさせたい内容や発展的な学習内容を示すほか、 例えば、 お茶やミカンなどの特産物についての調べ学習の展開例を示すなど、 静岡ならではの内容を取り入れる工夫も施して構成しております。
     先日公表した概要版に対して、 県民の皆様からいただいた八十件余の御意見や本年度実施した全国規模の学力調査の結果等を踏まえて、 現在、 より充実した県版カリキュラムに仕上げるための作業を行っており、 来年二月には各学校に配布したいと考えております。
     今後、 できるだけ短期間のうちに、 この静岡県版カリキュラムを活用した授業が可能になるよう、 各種研修会を通して周知、 浸透を図る一方、 指導主事等による学校訪問の回数を大幅にふやすなどして、 確かな学力の育成を目指す本県教員の授業実践力と水準の向上を図ってまいりたいと考えております。
    ○議長 (奥之山 隆君)  高石警察本部長。
            (警察本部長 高石和夫君登壇)
    ○警察本部長 (高石和夫君)  警察行政についてお答えをいたします。
     初めに、 緊急治安対策プログラムの推進状況でございますが、 この一年間の全体にわたる成果につきましては現在集約中でございますので、 その第一の柱でございます犯罪抑止のための総合対策の推進状況につきまして、 本年十月末の犯罪統計などをベースにお答えをさせていただきます。
     まず、 刑法犯認知件数でございますけれども、 総合対策におきまして抑止の重点といたしました窃盗犯につきましては、 昨年同期と比べまして二千二百十二件減少いたしましたけれども、 おれおれ詐欺あるいは架空請求詐欺といったような、 身近な知能犯罪が七百四十七件増加いたしました結果、 刑法犯認知件数全体といたしましては、 昨年の同期と比べまして千七百二十八件、 三・三%の減少にとどまっているところでございます。
     他方、 社会的な反響の大きい凶悪犯罪につきましては、 強盗が百四十六件と昨年同期比二十二件の増加、 放火も七十件と同じく十件の増加となっておりますけれども、 その検挙率も向上しておりまして、 強盗が五四・一%で昨年同期比二・五ポイントの増加、 放火も七〇%で同じく一三・三ポイントの増加となっております。
     なお、 これらの統計につきましては、 認知件数はほぼリアルタイムで計上されますのに対しまして、 検挙件数は、 捜査を尽くしてから計上されるということでのタイムラグが生じることになります。 したがって、 ただいま申し上げました数字の中には、 先日沼津警察署が検挙いたしましたスーパーなどを対象といたしました十数件の連続緊縛強盗事件、 これの検挙件数は含まれておりませんので、 強盗の検挙率は、 実際にはもっと高くなるというふうに思っております。
     このように、 刑法犯の認知件数全体が減少し、 また多発傾向にある凶悪犯罪の検挙率が向上しております背景には、 昨年十二月に新設いたしました犯罪情勢を分析するセクションがございまして、 これが県下の街頭犯罪あるいは侵入犯罪などの発生状況を常時把握しておりまして、 犯罪の多発する地域あるいは時間帯に関する分析情報というものを各警察署に通報することによりまして、 交番勤務員あるいはパトカーが、 より重点的で効果的なパトロールをすることが可能になったということが一つあると思います。
     また、 三つの大規模警察署に設置いたしました、 検挙専門部隊であります署長直轄捜査隊というのがございますが、 例えば浜松市内では、 スクーターを利用して犯行を重ねていたひったくり犯を検挙し、 静岡市内では、 連続的に発生しておりました忍び込みの常習窃盗犯を検挙し、 沼津市内では、 先ほど触れました連続緊縛強盗事件の被疑者を割り出すといったような成果を上げているということが二つ目。
     さらには、 静岡県防犯まちづくり条例の施行などによりまして、 自治体や関係機関団体との連携協力体制が一層強化されまして、 地域住民の方々の自主防犯活動が進展してきたといったようなことが功を奏しているんではないかと考えております。
     次に、 緊急治安対策プログラムの今後の取り組みにも大きくかかわります、 県民の方々が抱える治安に対する不安感を取り除く方策ということについてお答え申し上げます。
     その一つ目は、 制服警察官による街頭活動の強化でございまして、 交番相談員を引き続き増員配置いたしまして、 不在交番の解消を図りますと同時に一人でも多くの制服警察官をパトロールなどの街頭活動に送り出しまして、 犯罪の抑止や検挙に努めますとともに、 その姿を見せることで住民の方々に安心感を持っていただけるような運用を図ってまいりたいと思っております。
     その二つ目は、 犯罪を早期かつ確実に検挙していくことでございまして、 来年早々には犯罪の広域化、 スピード化に対応するための緊急配備支援システムというものが本格運用されます。 それによりまして自動車を利用して敢行されます広域的な強盗、 あるいは窃盗犯といったようなものの早期検挙が可能となるというふうに、 大きく期待をしているところでございます。
     それから三つ目には、 地域社会あるいはボランティア団体などとの連帯を着実に進め、 地域住民の方々と一体となった治安回復のための取り組みを強化してまいるということでございまして、 警察といたしましては、 静岡県防犯まちづくり条例に基づきまして地域住民の方々の自主的な防犯活動、 あるいはそのための組織づくりというものに対するきめ細かな支援を行ってまいりたいと考えております。
     具体的には、 来春運用開始となります地理情報システムというものを活用いたしまして、 それぞれの地域における犯罪の発生状況、 あるいは防犯対策に関する情報を提供申し上げたり、 あるいは自主防犯組織のリーダーに対する講習、 あるいは防犯訓練の開催、 合同パトロールなどの実施といったような活動があるわけでありますが、 これを強化してまいりたいというふうに考えております。
     さらには、 犯罪に強い環境づくりを進めるために、 街頭犯罪の多発地域にはスーパー防犯灯であるとか、 あるいは子供緊急通報装置などを整備するというようなことで、 ハード面での支援にも取り組んでまいりたいと考えておりますので御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。
    ○議長 (奥之山 隆君)  これで鈴木利幸君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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