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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成20年2月静岡県議会定例会 質問


質問者:

前林 孝一良 議員

質問分類

代表質問

質問日:

02/29/2008

会派名:

公明党静岡県議団


質疑・質問事項:

1 知事の時代認識について                      
   人づくりの推進                         
2 平成二十年度当初予算について                   
3 航空消防体制の強化について                    
4 広報戦略について                         
5 ユニバーサルデザイン普及への取り組みについて           
6 地球温暖化防止のための県の率先行動について            
7 文化行政について                         
 (1) 県民参加の国民文化祭                      
 (2) 全国障害者芸術・文化祭                     
8 がん検診について                         
9 若者の就業支援策について                     
 (1) 就業支援相談の充実                       
 (2) 職業能力開発に向けた支援                    
10 豊かな森づくりの推進について                   
11 開港後の富士山静岡空港について                  
12 教育行政について                         
 (1) 教師の教育力                          
 (2) 力ある教師の養成                        
13 高齢者の交通事故防止策について



    ○議長(佐野康輔君) これより会議を開きます。
     議事日程により、知事提出議案第一号から第八十七号までを一括して議題とします。
     質疑及び一般質問を行います。
     通告により、三十二番 前林孝一良君。
            (三十二番 前林孝一良君登壇 拍手)
    ○三十二番(前林孝一良君) 皆さん、おはようございます。
     私は公明党を代表して県政の当面する諸課題について、知事並びに関係部局長、教育長、警察本部長に質問をいたします。明快かつ納得できる御答弁をどうかよろしくお願いいたします。
     最初に、知事の時代認識について伺います。
     昨年八月、県内中学生による平成十九年度「わたしの主張二〇〇七」静岡県大会が開催されました。県東部、中部、西部より代表十二名が堂々とみずからの考えを主張し、審査の結果、浜松市立可美中学校三年の横井香保さんが最優秀賞を受賞されました。お母さんが難病を患い大手術を受けたことをきっかけにして家族のきずなが深まったこと、またお母さんを救ってくれた医師への感謝の思いが将来医師を目指そうという夢につながったという、みずからの体験をもとにしたすばらしい内容の発表でした。青少年をめぐる暗いニュースの多い時代ではありますが、自分の考えをしっかり持って着実に成長している青少年もまた数多くいるということを改めて認識することができ、安心をいたしました。
     話は変わりますが、製造日偽装などが発覚して営業禁止処分を受けた伊勢市の老舗和菓子メーカーが、二月六日に約四カ月ぶりに営業を再開し伊勢参りの土産物の定番が復活いたしました。当日は朝五時の開店前から二百人以上の客が長い行列をつくったということで、開店と同時に商品を買い求める客でにぎわう様子がテレビで報道されました。「人のうわさも七十五日」と言いますが、これで一件落着なのか、この老舗メーカーのみそぎは終わったのだろうかと思った次第であります。
     平成十九年は食品偽装が相次いだ年でありました。私たちは「うそつきは泥棒の始まり」と教わりましたし、皆様と同様、子供たちにもそのように伝えております。残念ながら偽装は加工食品から始まって和菓子、洋菓子に広がり、果てには牛肉やウナギの産地偽装まで広い分野にわたって発覚しました。うそつきがあらゆる業界に蔓延していることに唖然とするとともに、怒りすら覚えました。消費者への謝罪が最優先されるべきであるにもかかわらず、「まともにやっていたらもうからない」とか、あるいは「御先祖様に申しわけない」との経営者の的の外れた発言にはがっかりさせられました。
     先日、新聞に掲載された記事にはっとさせられました。それは論語の一節を紹介したコラムでありました。「人生で最も大切なことを一字であらわすと何でしょうか」との弟子子貢の問いに、師匠孔子は「それ恕か」と答えたということです。「恕」――如来の「如」に下に「心」と書きますけれども――「恕」とは思いやりのことです。相手のことを思うこと、相手の立場に立ってみることです。今回の事件は、相手の立場を考えることなく自分の立場でしかものを考えることができなかった、そんな現代社会の寂しい一面がクローズアップされた出来事ではないかと考えます。
     私たちは、先ほど紹介した横井さんを初め私たちの後に続く青少年に夢を与え、かつ夢を実現できる社会づくりに取り組まなければならないと考えます。県では人づくり日本一を目指し、未来を開くため何かができる意味ある人づくりを進めています。青少年育成会議の会長でもある知事は、青少年の健全育成に関してどのように考察されているのかお考えを伺います。
     次に、平成二十年度当初予算についてお伺いします。
     二月二十二日、政府は、企業収益や雇用情勢の改善に足踏みが見られ企業生産と輸出で減速感があることから、景気はこのところ回復が緩やかになっているとの月例経済報告を発表しました。また経済の先行きについては、サブプライム住宅ローン問題を背景とするアメリカ経済の減速や金融資本市場の変動、原油価格の動向等から、景気の下振れリスクが高まっていることに留意する必要があるとしております。
     本県の場合、県税は平成十四年度を底として法人二税を中心に増収が続いてきたものの、さきに述べたような景気動向の先行き不透明感が強まっていることから、今後の税収の伸びは鈍化することが予想されます。また平成十六年度の地方交付税等の大幅な削減以降、税源移譲により一般財源総額は増加しているものの、大部分が義務的経費に充当され期待されるような地方の裁量は増加していないのが現状であります。一方、少子・高齢化の進展に伴い、介護保険、老人医療を初めとする社会保障関係経費の大幅な増加は本県にも大きな影響を及ぼしており、本県財政をめぐる環境は依然として厳しい状況にあると言わざるを得ません。
     こんな中、県は県民暮らし満足度日本一の実現に向けて戦略的に政策を展開していくための平成二十年度当初予算を発表いたしました。これに先立って我が会派では、限られた財源を有効に活用し徹底した事業の見直しや重点化を図るべく、一、効果的・効率的な行財政運営、二、元気なしずおかの構築、三、安全・快適しずおかの構築、四、未来の明るいしずおかの構築の四つの柱のもと、九十四項目にわたって県民の目線に立った予算要望を提出いたしました。私たちの要望はどのように検討され予算編成に反映されたのか、知事の御答弁をいただきたいと存じます。
     航空消防体制の強化について伺います。
     先日、愛知県内の用水池でおぼれ心肺停止状態になった三歳の男の子が、本県のドクターヘリで県立こども病院に運ばれ、四日後に意識を回復、その後無事退院したとの明るいニュースが報道されました。一月二十五日の衆議院予算委員会の席上、我が党の上田勇衆議院議員はこの出来事を取り上げ、ドクターヘリの全国配備の必要性を舛添厚生労働大臣に訴えました。ドクターヘリはその有効性が認められているものの、まだ全国では十四機しか導入されていないのが実情です。既に二機が配備されている本県の積極的な取り組みを誇りに思った次第であります。
     平成十九年度二月補正予算並びに平成二十年度当初予算に助成金が計上されておりますように、本年度には静岡市において、また来年度には浜松市においても救助消防ヘリコプターの導入が予定されております。静岡市では救助消防ヘリコプターの導入にあわせ高度な救助資材を装備し、特別な救助技術を兼ね備えた特別高度救助隊の創設も予定されており、救助消防力が強化されることを住民として大変頼もしく思うものであります。
     県は、現在防災ヘリコプターオレンジアロー号による空からの救出救助活動を行っておりますが、静岡市、浜松市の救助消防ヘリコプター導入により複数機による効果的な活動が可能になります。ヘリコプターによる活動には県民の多くが大きな期待を寄せていると考えます。今後の県内の航空消防体制の強化についてどのようにお考えか、県の御所見を伺います。
     次に、広報戦略について当局のお考えを伺います。
     富士山静岡空港の開港を一年後に控え、静岡の魅力の発信の必要性がますます高まってきております。先日、あるテレビコマーシャルが期せずして耳に入りました。「日本ってどこにあるの。」これには大きなショックを感じました。戦後、経済成長を遂げアメリカ合衆国に次ぐ経済大国になったにもかかわらず、私たちが思っている以上に世界の方々の日本に対する認識は低いのかもしれません。
    「県庁新聞」第三十三号に静岡県ソウル事務所掛沢所長の報告が掲載をされておりました。韓国では静岡県の知名度はまだまだ低い、知名度の向上を図り多くの韓国人に本県を訪れてもらうため、県の魅力を積極的にPRする必要があるという内容でした。
     私が初めて韓国を訪問したのは一九九一年――平成三年のことです。その後何回となく韓国を訪問する中で、韓国人の国民性を知るようになりました。韓国人はまず旅行好きな国民であります。そして韓国東北部にあって韓国一人気のある山、ソラクサンに観光客が集中するように、登山やトレッキングなど自然との触れ合いを大切にする自然愛好家がたくさんいらっしゃいます。そんな韓国の皆さんが、富士山を初めとした風光明媚な静岡県のファンになっていただけることは間違いないと私は確信をいたします。韓国の皆さんに静岡県の本当の姿、魅力的な姿を知ってもらうためには、正しい情報を積極的に発信するしかありません。
     昨年三月二十九日、韓国向け静岡県PRウエブサイト「フレッシュしずおか」が開設されました。一年がたとうとしておりますが、アクセスの状況はいかがでしょうかまずお伺いいたします。また静岡空港開港を控え本県の情報発信が大変重要となりますが、今後国内遠隔地や海外に向けて広報戦略をどのように進めていくのか県の御所見を伺います。
     次に、ユニバーサルデザイン普及への取り組みについてお聞きいたします。
     昨年、国際アビリンピックが静岡市で開催されました。開催期間を通じて、選手と大会関係者の宿舎として静岡市とその周辺の十三施設で、ユニバーサルデザインに配慮した部屋が二百四十九室用意されたとの報告をお聞きしました。
     その中の一つである駿河区内のホテルを先日訪問させていただきました。このホテルのオープンは十年前でございますが、開館当初から障害者・高齢者用としてユニバーサルルームを設置しております。通常のツインルームよりもゆったりした部屋には、車いすでの移動がしやすいように段差が全くありません。また利用者に配慮して通常より低いベッドが置かれ、浴室、トイレも車いすで出入りができるように引き戸になっており、障害を持った方々への配慮が各所になされていました。
     この部屋のほか、今回のアビリンピックのために、障害のある方でも、また健常者でも利用できる部屋として十二室を用意したということでしたが、決して多くの費用をかける必要はなくちょっとした工夫でユニバーサルルームに改良できるということを教えていただきました。
     平成十一年、静岡県は他県に先んじてユニバーサルデザインの概念導入への取り組みを開始しております。平成十八年段階で県民のユニバーサルデザイン認知度は七〇%、概念はほぼ広まったと言えます。高齢化の進展の中、だれでも該当者になり得るという点で、また国際化の中、言語・文化の違う多くの外国人が本県に住んでいらっしゃるという点からも、まちづくり、住まいづくり等にますます導入されなければならないのがユニバーサルデザインです。だれもが暮らしやすい社会の実現に向けて、具体的な取り組みをさらに推し進めるべきであると私は考えます。
     しかし、企業や団体の取り組みがいま一歩という状況であります。来年の富士山静岡空港開港とともに外国人観光客が多く来県されることを考えれば、取り組みには猶予はありません。ユニバーサルデザイン先進県として国をリードしていく責任が本県にはあると思います。
     そこで、ユニバーサルデザイン普及への取り組みと、県の果たすべき役割についての御所見を伺います。
     地球温暖化防止のための県の率先行動についてお聞きします。
     本年に入って、県庁内で地球温暖化対策への取り組みとして二つの変化があったことに、私は気がつきました。一つは職員食堂で割りばしにかわって塗りばしが復活したことであります。ごみ箱にいっぱいになった使用済みの割りばしを見るたびに、リユースのできない割りばしの使用をやめることができないかと考えていただけに、ちょっとしたことかもしれませんけれどもうれしく思いました。
     二つ目は県庁本館の屋上に太陽光発電装置が設置されたことです。県有施設への導入は九カ所目、県庁への導入は初めてであるとお聞きしました。発電能力は本庁舎全体で使用する電力の〇・一%に満たないとはいうものの、県が地球温暖化対策に取り組んでいる姿勢を県民に示す事業として高く評価したいと思います。
     ことしは京都議定書の第一約束期間の開始年であります。しかし我が国の温室効果ガス排出量は平成十八年度時点で基準年度比プラス六・四%と、目標のマイナス六%の達成は厳しい状況にあります。洞爺湖サミットを半年後に控え福田首相は一月スイスのダボス会議で特別講演を行い、G8の議長の決意としてクールアース推進構想を提示し、地球温暖化対策への具体的取り組みを提案いたしました。本年は地球温暖化対策への取り組みが大きな関心を呼ぶ年になることは間違いありません。民間企業等でも原油高騰のあおりを受け、省エネ対策には一層関心が高まっております。この機を逃さず、県が率先して模範的な対策を講じ民間企業等普及啓発していくことが効果的であると考えます。
     そこで、二点お伺いします。県は静岡県庁地球温暖化防止率先行動計画を策定し、これに基づいて省エネ対策に取り組んでいるということですが、その成果についてまず伺います。また同計画に基づき、県庁舎エコオフィス推進事業の一環として本年度は太陽光発電を導入いたしましたが、来年度はどのような事業を計画しているのかあわせてお伺いします。
     次に、文化行政について二点お伺いします。
     まず、第二十四回国民文化祭・しずおか二〇〇九に向けた取り組みについてであります。
     国民文化祭もいよいよ明年秋に迫ってまいりました。愛称も「はばたく静岡国文祭」と決定したことが発表されましたが、富士山静岡空港開港と同じ年に開催される祭典にふさわしい愛称であると喜んでおります。
     文化芸術を愛好する者の一人として静岡国文祭に期待をし、勉強のつもりで福岡県、福井県、山口県そして昨年開催された徳島県と、四回の国民文化祭に参加をさせていただきました。それぞれお国柄を発揮し県の特徴を生かした文化祭が催され、十分に楽しませていただきました。当然、本県でも本県らしさをアピールするような文化祭を企画し準備が進んでいることと思いますが、ぜひ県民に焦点を当てた文化祭、県民参加の文化祭としていただきたいと希望いたします。参加選手が限定される国民体育大会――国体と違ってさまざまなジャンルに多くの県民がかかわることができるのが国文祭です。一人でも多くの県民が参加できるような国文祭を期待いたします。
     昨年末、グランシップで県民参加による第九コンサートが開催され、私も客席で楽しませていただきました。圧巻だったのは四人のソリストと六十人の合唱団による歓喜の歌でした。この合唱団は、年度当初の募集そして秋の募集に応じて参集したメンバーで構成されたもので、十代から七十代まで年齢幅のあるメンバーが練習に励んだということでした。まさに歓喜に満ちたメンバーの笑顔がとても印象的でありました。ことしの夏には、県文化財団がグランシップ大ホールを会場として、プロ、アマ合わせて総勢四百人の演奏によるコンサートを企画しているとの報道もありました。この一年をかけて、県民総参加の国文祭となるように機運を高めていただきたいと思います。
     ただ、平成十八年の調査によれば、本県の文化水準は高いと思う県民の割合は一五・五%にすぎません。現状では文化立県の言葉にはほど遠いと言わざるを得ません。一年後に控えた静岡国文祭に向けた県民参加への取り組みについて御所見を伺います。
     二点目は、全国障害者芸術・文化祭についてであります。
     先日、第二十四回国民文化祭と並行して、第九回全国障害者芸術・文化祭が開催されることが発表されました。全国初の同年度開催ということですが、どのような催しになるのか、またその開催に向けた取り組みについて御所見を伺います。
     次に、がん検診について伺います。
     がん、すなわち悪性新生物による死因が、脳血管疾患によるものを抜いて一位になったのは一九八一年――昭和五十六年のことでありました。この年からがんによる死亡者はふえ続け、平成十八年には約三十三万人、本県では九千三百六十四人、二九・三%の方ががんで亡くなっております。がんの死亡率を減らすために最も有効な手段は早期発見、早期治療につながるがん検診とされています。
     国は昨年、がん対策推進基本計画を策定し、五年以内にがん検診の受診率五〇%以上を目指すことを発表しました。この策定を受け、県は今後五年間の静岡県のがん対策の指針となるがん対策推進計画を策定している段階であります。
     最近、話題になっている「がんのひみつ」という本を出版した東京大学医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授は、日本はがん大国だが、実はがん対策後進国であるとし、がんについての知識をもっと広めなければならないと主張されております。米国、英国では、一九九〇年前後をピークとしてがん死亡率が減少しております。これはがん治療の進歩もありますが、がん検診の普及による効果が大きいと言われております。乳がん検診の受診率に限って言えば、二〇〇四年の日本の受診率は一九・八%であったのに対し英国では受診率は七五%に上り、意識の違いがうかがえます。
     がん検診については、国の世論調査でも検診が重要だとわかっていても積極的に受診するところまでいかないという結果が出ております。県のがん対策推進計画においては、がん検診についてどのような目標値を掲げ、いかにして検診の受診率を向上させようと考えているのか、特に市町が実施するがん検診の受診率向上のために県はどのような支援策を考えているのか御所見を伺います。
     若者の就業支援策について二点お伺いいたします。
     最初は、就業支援相談の充実についてであります。
     昨年十一月、待望のユニバーサル技能五輪国際大会が開催されました。第三十九回技能五輪国際大会では金十六個を初め二十四個のメダル、また同時開催された第七回国際アビリンピックでは金十二個を初め四十四個のメダルを獲得し、かつてない大きな成果をおさめることができました。会場の沼津市や静岡市には国内外から多くの方が来場し、来場者数は目標の二十万人を大幅に上回る二十九万人余と大きな盛り上がりを見ることができました。
     また、若者や障害のある選手が真剣に競技に向かう姿を通じて、大きな感動が広がったことも事実です。「入賞できなかったのは悔しい。これから自分のわざに磨きをかけて、将来、技術を教える立場になりたい」との選手の声や、「自分も人を魅了していくような仕事につきたいと思った」との来場者の声は、大会が大成功であったことを物語っています。一過性のイベントに終わることなく、小中学生を初めとして若年層に、ものづくりへの関心が高まるきっかけとなってくれることを期待したいと思います。
     県は我が党の強い要望を受け入れ、若者の就労支援事業として平成十六年六月一日、県内三カ所にヤングジョブステーションを開設いたしました。平成十九年度に、就職相談、キャリアカウンセリングなどを受けるために訪れた利用者は一月末で延べ一万三千六百八十七人で、前年比一四二・七%の実績を上げています。また結果として就職に至った若者は五百四十五人と前年同期比一一五・二%でありました。利用者、就職者とも順調に伸びており、ヤングジョブステーションは着実に成果を上げていると言うことができます。
     また、平成十八年度には、ニート対策として厚生労働省による若者自立塾が本県にも開設されました。県民から高い関心は寄せられましたが、残念ながら当事者である塾生がなかなか集まりませんでした。平成十九年度は積極的なPRにもかかわらず、参加希望者が一名だったため中止されたということで、就職困難者の指導の難しさを実感させられました。国による若者自立塾は本県では失敗したと言わざるを得ません。
     先日、ヤングジョブステーションでキャリアカウンセリングに当たっている方のお話を聞く機会がありました。「荒波にもまれた経験のない若者が社会の厳しさを知らな過ぎる。社会人として何が必要なのかを十分に伝える場がもっと必要である」との御意見をいただきました。高校、大学等ではなかなかできない現実的な指導の場が求められている現状であります。若者の就業支援相談の充実という観点から県の御所見を伺います。
     第二点目に、職業能力開発に向けた支援についてお聞きします。
     本県には、県立の技術専門校いわゆるテクノカレッジが、沼津、清水、浜松の三カ所に置かれています。このテクノカレッジの平成十八年度の求人倍率は四・八四倍、また就職内定者は一〇〇%とすばらしい実績で、企業に求められる人材養成機関として大きな役割を果たしております。
     しかるに、平成十九年度生の応募状況を見ると沼津校が〇・七五倍、清水校が〇・六三倍、浜松校が〇・五八倍という、いずれも定員を下回っております。一年生の定員充足率も、沼津六一・七%、清水三一・七%、浜松三八%といずれも寂しい限りであります。現代の若者のニーズ等さまざまな課題はあるのかもしれませんが、 就業支援という観点からは何とかミスマッチを解消すべきであると考えます。 県の御所見を伺うものであります。
     次に、 豊かな森づくりの推進についてお伺いいたします。
     昨年十一月三十日に、 県教委が主催するあすなろ夢講座21に参加をさせていただきました。 講師は静岡文化芸術大学学長の川勝平太氏で、 講演テーマは 「文化のチカラ、 地域のチカラで人材を育てる」 でした。 初めてお聞きする川勝先生の講演でしたが、 軽快な語り口とわかりやすい内容に魅了されました。 その後、 御著書を何冊か読ませていただき、 先生のお考えについて勉強させていただきました。
     先生は、 「生活の五五年体制」 という言葉を使っておられます。 一九五五年  昭和三十年以降の都市への移住、 2DKでの生活で日本人の生活様式が変わったというのです。 この時期から家は箱に変わり、 家庭から庭が失われました。 家と庭の分離が、 家庭の崩壊のみならず地域コミュニティーの崩壊をもたらしたというのが、 先生の主張であります。 そして、 その反省として日本人の生活には自然を取り込むことが不可欠であると、 みどりの復活を強調されています。
     本県では、 県民全体で森林を守り次世代に引き継いでいくという目的で、 平成十八年度からもりづくり県民税が導入されました。 県民一人当たり年間四百円、 法人は事業規模に応じて千円から四万円を徴収、 合計十年間で八十四億円が荒廃森林の整備に充てられることになりました。 この結果、 平成十八年度は八百七十七ヘクタール、 平成十九年度は千二百ヘクタール程度が整備される見込みで、 平成二十七年度までの十年間で民有林一万二千ヘクタールを対象として整備を実施する計画となっております。
     県民だより八月号の特集記事 「よみがえれ、 森の力!」 には、 六百十五通の県民意見が寄せられました。 「森林づくり県民税が有意義に使われていることを知り、 よかったと思いました」 との四十八歳の女性の意見を初め、 ほとんどが事業の意義を理解してくださっているとのことでした。
     C・W・ニコルという英国ウェールズ出身の小説作家がいます。 彼は二十二歳のときに日本の武道とその精神を学ぶことを目的として初来日、 何回かの来日の後、 日本に永住することを決意、 平成七年日本に帰化をいたしました。 自然を愛する彼は初来日のころ、 日記に次のように書いています。 「この国は子供の天国だ」。 当時子供たちは皆、 森を駆け回り、 川で泳ぎ、 さまざまな遊びに興じていました。 しかしその後、 日本は大きく変貌してしまいました。 彼は 「森林を初めとする豊かな自然環境が日本独自の文化とすばらしい芸術を生んだ」 と述べ、 「子供が伸び伸び遊べる豊かな自然環境を取り戻すことが、 私たち大人の務めだ」 と、 みずから森づくりに現在も取り組んでおります。
     本県でも、 荒廃の進んだ森林を復活する森の力再生事業が順調に進んでいます。 良質の木材生産を目指すことも必要ですし、 すべての動物が共生できるような森づくりに切りかえることも大切です。 県が実施したアンケートの結果を見ると、 森林所有者や森林づくり関係団体の理解がさらに必要と考えます。
     そこで、 今後この森の力再生事業の展開を通じて、 豊かな森づくりをどのように推進していくのか、 県の御所見を伺います。
     開港後の富士山静岡空港についてお伺いをいたします。
     待ちに待った富士山静岡空港の開港まで残すところ一年となりました。 多くの障害を乗り越えて一番機が飛び立つ日が近づいてきたと思うと感無量であります。 私ごとで恐縮ですが、 平成十二年三月、 韓国の仁川国際空港開港のその日に期せずして空港に居合わせ、 仁川国際空港発名古屋空港行きのアシアナ航空一番機に搭乗するという貴重な経験をいたしました。 今度はぜひ富士山静岡空港発仁川国際空港行きの一番機に搭乗するという経験を自分の新たな思い出にしたいと考えております。
     二月四日、 五日の二日間、 静岡空港利活用推進議員連盟の一員として鹿児島県を訪問いたしました。 静岡市駿河区の我が家を出てから、 中部国際空港セントレアを経て鹿児島空港に到着するまで要した時間は約五時間でした。 もし静岡―鹿児島路線が実現すれば、 恐らく所要時間は半減するはずであります。 まだ決定しない鹿児島路線を含めて数多くの路線が実現すれば、 静岡県民に大きな利益がもたらされることは間違いありません。 富士山静岡空港の開港はスタートであってゴールではありません。 県民とともに力を合わせて一丸となって空港利用拡大を図り、 空港を育てていかなければならないと私は考えます。
     伊藤祐一郎鹿児島県知事からも、 「富士山静岡空港は可能性に満ちた空港であると思う」 とエールを送っていただいたところであります。 手をこまねいて待つのではなく、 最高の立地条件でスタートする空港をいかに育てていくのか、 戦略的に進める必要があると私は考えます。
     そこで、 今後の空港の利用拡大に向けてどのような考えでおられるのか、 また具体的に国内のどこの空港を目標に想定しているのか御所見を伺います。
     次に、 教育行政について二点伺います。
     第一点は、 教師の教育力についてであります。
     先月二十六日、 東京の杉並区立和田中学校で大手進学塾の講師による補習授業がスタートいたしました。 同中学校の実施計画に対して東京都教育委員会は義務教育の機会均等の観点から疑義があるとして中止命令を出しましたが、 石原都知事が 「学力低下に適切に対応」 と評価するコメントを発表したせいか、 二日後に一転して指摘した疑義はクリアされたと容認し補習授業がスタートすることになりました。
     成績上位の生徒を伸ばすことによって全体の学力向上を図ることができるという校長の発言は一理あるように聞こえますが、 成績上位者の教科指導を塾講師に任せたところに大きな問題があると私は考えます。 学校の中で教師がこなさなければならない仕事は山ほどあります。 教科指導、 生活指導、 進路指導、 部活動指導等、 その仕事量は勤務時間内で消化できないほどであることは教職員へのアンケート結果が示しています。 しかし、 幾ら忙しいといっても、 最も重要であるはずの教科指導を学校外の民間業者にゆだねてしまってよいものでしょうか。 進学指導は塾にという保護者の声に押し切られてしまって、 それで教師のプライドは傷つかないのでしょうか。 教師の力不足を承認することは塾講師に対する教師の敗北宣言にほかならないと私は思います。
     私は昭和三十年代後半から四十年代前半を小中学生として過ごしました。 この時代は、 いわゆる詰め込み教育の真っただ中でありました。 中学校ではテストのたびに生徒全員の成績順位が廊下に張り出されるという時代でした。 ただ、 塾に通う生徒はほとんどいませんでした。 私は普通の中学生として中学校生活をエンジョイしましたが、 高校進学後、 成績上位者の多くが塾に通っているという事実を知ってショックを受けたという思い出があります。
     塾の占める地位は時代とともに高まっていきました。 そして今、 高校受験に際して塾に通う生徒は少なくありません。 その背景には学校の授業だけでは高校受験に十分な学力はつかないという生徒、 保護者の考え方があると私は思います。 また大学受験を目指して塾、 予備校に通う生徒も少なくありません。 塾の力をかりなければ高校進学、 大学進学はできないのでしょうか。
     今回の和田中学校の補習授業の件では、 教師の教育力とは何なのかと改めて考えさせられました。 このケースを契機に塾講師による補習は全国に広がっていくことも考えられます。 学校教育外の活動ということで許容していいのでしょうか、 教育長の御所見を伺うものであります。
     次に、 力ある教師の養成という観点から伺います。
     教師の不祥事が発生するたびに教師の質の低下が問われます。 しかし九九・九%の教師は高い使命感を持って、 未来を担う児童生徒の成長を願って現場で頑張っていると私は思っております。 遠藤教育長におかれましては、 現場の教師を信じて本県の教育改革に全力で取り組んでほしいと望むものであります。
     本年四月から教職大学院が開設されることになりました。 力ある教育者を養成するという観点から考えて非常に大切なことと考えますし、 その効果を期待するものであります。 一方、 教師は現場でつくられるとの観点から、 現場で蓄積された教育のノウハウを伝授する場所の必要性を感じるものであります。
     教師の大量退職時代を迎える中で、 独自に人材育成の組織を立ち上げる自治体が各地に出てきました。 よこはま教師塾は昨年一月に開塾しました。 開塾に際して三百七十六人の応募者があり、 書類、 論文、 面接審査を経て塾生が選考されています。 九月末現在で塾生は百六人、 内訳は大学生が四十八人、 その他が社会人ということです。 活動は原則毎週土曜日で四クラスに分かれ、 教員OBが専任教授として各クラスに二名ずつ配置され、 この専任教授により授業づくりの方策を教わったり、 専任教授による模擬授業から学ぶ演習や横浜の地域性を知るための講義が行われるほか、 週に一回程度、 市内の小学校で授業の補助に当たるという現場体験が重視されているということです。
     横浜市が実施する教員採用試験は受験しますけれども、 特別選考枠があり塾生であることはそれなりに実績として評価されますが、 塾生だからといって必ず合格するとは限りません。 この四月から、 このよこはま教師塾を卒塾した一期生が教壇に立つことになります。 十四カ月間の成果が問われることになりますが、 横浜市の期待は大きいと思います。
     浜松市では、 来年度から教職五年程度の教員を対象として浜松教師塾をスタートさせるということです。 また静岡市も平成二十一年度の開設を目指して、 静岡熱血教師塾の準備費を二十年度予算に盛り込んだとの報道がありました。 静岡市の場合、 どのような内容になるのか、 まだ白紙の状態であるとのことですが、 このような教師養成機関について教育委員会としてどのように考えるのか教育長の御所見を伺います。
     最後に、 高齢者の交通事故防止策について警察本部長にお伺いいたします。
     昨年末、 静岡市葵区内で横断歩道を青信号で渡っていた歩行者三人がライトバンにはねられ重傷を負うという事故が発生しました。 運転していた男性は低血糖症という持病があり意識がもうろうとしていたにもかかわらず運転を続け、 事故を起こしたということです。 また昨年十一月には高齢者ドライバーによる高速道路の逆走事故が全国で四件続けて発生しました。 二十二日に起こった山陽自動車道のケースでは七十四歳の男性が運転する軽自動車が逆走し、 これを避けようとしてワゴン車が横転、 七人が重軽傷を負いました。 この男性は認知症と見られております。 高齢者がふえ続ける中で、 認知症を初め持病を持った高齢者ドライバーすなわち安全に車を運転する能力が低下したドライバーがさらにふえることが予想されます。
     先日、 平成十八年の都道府県別の高齢者の運転免許証返納状況が公表されました。 平成十四年の調査に引き続いて免許証返納率が全国第一位だったのが本県で〇・六九%、 二千五百十人が免許証を返納したということです。 調査を実施した新聞社では返納者を対象とした公共交通機関の料金割引制度の導入が効果を上げたと分析しておりましたが、 依然として高い率を占める高齢者の交通事故防止に全力で取り組む本県警察本部の皆さんの努力のたまものにほかならないと私は思います。
     高齢者の交通事故防止のためには、 安全運転の能力が低下している方に免許証の自主返納を促すことが一番です。 しかし交通の便のよい都市部に住む高齢者はともかく、 交通インフラの後退している地域の高齢者は運転をやめるということは生活の足を奪うことにつながります。 調査によれば、 「運転をやめると非常に困る」 と答えた高齢者は、 都市部の四割に対し中山間地では八割を超えたということです。 日々の生活のことを考えれば、 免許証の返納をちゅうちょせざるを得ないのが現状と言えます。
     高齢社会の進展とともに、 以上述べたような問題はさらに拡大していくものと考えます。 高齢者の交通事故防止に向けてどのような取り組みを進められるのか警察本部長のお考えをお聞きして、 ひとまず私の質問を終わります。 (拍手)
    ○議長 (佐野康輔君)  石川知事。
            (知事 石川嘉延君登壇)
    ○知事 (石川嘉延君)  前林議員にお答えをいたします。
     初めに、 私の時代認識についてであります。
     人づくりの推進についてでありますが、 社会全体の規範意識が低下をして、 さまざまなまゆをひそめたくなるような現象が発生していることは前林議員の御指摘のとおりであります。 どうしたらいいのかなといろいろ思いをめぐらしますけれども、 これをやれば解決するっていうような名案がなかなか浮かばないのも事実であります。
     このようないろいろな不祥事の多発に見られるような状態になりましたのも、 実は非常に長い年月かけてこのようなことが発生してきてるとも思えるわけでありますので、 これの立て直しには相当根気強く、 粘り強く、 いろいろな角度から、 これに取り組まなければいけないというふうに感ずるわけであります。 青少年につきましても、 不登校とか引きこもり、 あるいは有害サイトやいじめメールなどさまざまな問題現象も発生しております。
     そういう状況はさまざまな社会環境の中でこのような現象が発生しているわけでありますけれども、 そのような非常に青少年を健全に育成していく上で困難な環境の中でどうするかということでありますが、 結局は基本に立ち返るのが、 遠回りのようで近道であるというふうにも感ずるわけであります。 すなわち家庭、 学校、 地域、 これがお互いに連携をして、 もう一度青少年の健全に育つ環境あるいは人づくりに取り組むということに尽きると思うのであります。
     平成十年から、 そのような観点に立って人づくり百年の計委員会において体系的な人づくりの我が県における方策を検討してもらい、 それに基づいていろいろ取り組んでいるところでございます。 そういう中で、 例えばここ数年取り組んでまいりました地域住民が一体となって実行する通学合宿なども、 地域の教育力の向上に大きな成果が上がるということが確認をされておりますので、 こういう活動を全県に拡大、 定着をさせる必要があると考えて今年度の予算でもそのような予算を計上しているわけであります。
     また、 県青少年育成会議におきましても、 大人から青少年に進んで声をかける地域の青少年声かけ運動を積極的に進めております。 この運動が始まってもうかれこれ八、 九年になるわけでありますけども、 その声かけ運動を始めて以降、 青少年の少なくとも不法・違法行為については  刑法犯ですね  こういうものは減少傾向が見られるということもありますので、 この青少年声かけ運動だけが、 そのさまざまな問題現象を少なくしていく上でこれだけが効果があるというわけにはまいらないと思いますけれども、 その一助になっているということもうかがえるわけであります。
     前林議員が例としてお取り上げになりました昨年の中学生の意見発表を通じて、 非常に自分の考えをしっかり持って着実に成長してる青少年も多くいるというお話でありますが、 私も問題状況が一方にありながら、 実は私なんかの子供のころと比べるとはるかにはつらつと伸び伸びと自分の持てる力を発揮をし、 それをどんどん高めていく、 そういう青少年もいるということも一方で感ずるわけであります。
     昨年のユニバーサル技能五輪国際大会におきまして、 久しぶりに日本は大変優秀な成績をおさめました。 その中に本県からの選手も随分大勢出場の機会を得て大活躍をいたしましたけれども、 その人たちを含めて大会に参加した人たちの、 あるいはまた、 そこまで来なかった過程で  国内の予選あるいは地域の予選がありますけれども  そういうところへ参加していた青少年を見ますと、 非常にしっかりした考えを持って自分の行き先について見きわめながら着実に自分を向上させると、 こういうことをやっておるわけでありまして、 しかもその結果が、 世界大会で同じ年齢層で比べれば、 もうトップレベルに行く人たちがたくさん出たというようなことを見ましても、 将来、 悲観する要素ばかりではないということを強く感ずるわけであります。
     また最近、 日本は理工系の育成、 理工系を志す子供の育成に陰りが見られるという論説があります。 これではいけないということで、 科学オリンピックなどとか数学オリンピックなど世界の青少年を対象としたそういう競争、 競技会に、 日本からも積極的に子供を送るようになっております。 そういう中に本県からも科学オリンピックの際には全国五人ぐらいの選手の中に正選手一人と補欠が一人加わって、 しかも金メダルを取ってくるというような大変すばらしい能力を発揮しているケースもあります。
     これも単純に、 何というか、 そういう成果が出るわけじゃなくて、 地道な取り組みがあって初めてそのような高い成果が出てるわけでありますし、 また昨年の全国高校生ものづくり大会においては全七種目中三種目で静岡県の高校生が金メダルを取ってるわけですね。 しかも、 そのうちの一人、 静岡工高の旋盤の科目項目で金賞を取った子供は、 昨年は自分の同級生が金賞を取ったと、 自分はそれを取れなかったということで発奮して、 その自分の同級生を目標に一層励んだ結果、 今度は彼が一位になって去年一位を取ったのが次席だったというような、 非常にすばらしい、 切磋琢磨をしながら前進してるわけですね。 そういう子供たちも一方で数多く見られます。
     したがって、 我々は大人も悲観ばかりをするのではなくて、 大人自身も子供たちの未来を信じながら、 そして子供たちが未来に向かってチャレンジできるような機会とか環境とか、 これを用意をしてどんどんそれに追い込むといいますか、 誘引、 誘導する、 そういうことも必要ではないかというふうに思うわけであります。
     人づくりは一つの方策だけでは完結しない、 学校教育でも例えば朝の読書活動からあいさつ運動まで幅広くいろいろなことをやっておりますし、 また学力が定着するための体力づくりとかあるいは先生の質の向上なども盛んに今取り組んでおるわけでありますので、 網羅的、 全般的な方策を一斉に展開していくということが肝要であるというふうに考えます。 一層これからも努力をしていくつもりであります。
     次に、 平成二十年度当初予算についてであります。
     二十年度当初予算は、 大変厳しい財政環境のもと、 新公共経営手法を活用して行政の生産性を一層高める中で、 事業の重点化や再構築を徹底し健全財政の枠組みを堅持しながら、 県民暮らし満足度日本一の具体的な実現に向けた予算として編成をいたしました。 公明党から御提言がありました四つの柱につきまして、 順にどのような対応をしたか幾つかの例を挙げて御答弁申し上げたいと思います。
     まず、 効果的・効率的な行政運営への対応でありますが、 出先機関の総務事務の集中化、 アウトソーシングの拡大でありますとか、 静岡地方税滞納整理機構の業務開始など歳出のスリム化や歳入確保に努めるとともに、 個人事業税のコンビニ収納を開始するなど納税者の利便性の向上を図ることなどを計上しておりますので、 この効果的・効率的な行政運営への対応としては精いっぱいのことをお願いしておるというふうに存じます。
     また、 元気なしずおかの構築でありますけれども、 富士山静岡空港の開港に合わせて旅行商品の開発や販売支援、 大型観光キャンペーンの実施など観光交流の促進を図るとともに、 原油高対策として中小企業向け制度融資を拡充するなど中小企業の支援にも取り組んだところであります。
     また、 医療クラークの雇用助成対象の拡大や病院内保育所運営費助成への県単独加算措置の創設など医師、 看護職員の確保対策を初め、 地域子育て支援施設を利用する対象者の拡充など子育て支援施策の充実にも取り組むこととしております。
     三つ目の柱であります安全・快適なしずおかの構築でありますが、 これは県有施設の耐震化の推進やプロジェクト 「TOUKAI―0」 の支援メニューの拡大など東海地震対策を進めるとともに、 光ファイバー網の整備促進や鉄道駅のエレベーター設置に対する助成など都市的機能の充実に努めてまいります。
     さらに、 最後の未来の明るいしずおかの構築としては、 児童生徒増に対応した養護学校整備などの教育の充実や国民文化祭プレフェスティバルの開催、 草薙総合運動場硬式野球場の改修など、 文化芸術、 スポーツの振興にも取り組むこととしたところでございます。
     次に、 広報戦略についてであります。
     富士山静岡空港を核として、 東アジア地域と経済、 文化等の幅広い交流関係を形成していくことは、 今後の県政運営において大変重要であります。 本県との定期便就航が確実となりました韓国は、 昨年訪日旅行者が二百六十万人を超えたと言われております。 アシアナ航空の富士山静岡空港ソウル便に非常に期待を持っておるわけでありますが、 そのためにも韓国における広報充実が非常に重要だと。
     そこで、 お尋ねの韓国向けのインターネットの本県のPRウエブサイトの利用状況でありますけども、 昨年三月末に開設をいたしまして以来この一月までの十カ月間でアクセス件数が二万三千件程度でありました。 そこで二月に韓国の有名検索サイトへのバナー広告の掲載や会員募集などのキャンペーンを開始をいたしましたところ、 アクセス件数が一挙に月間五万件に増加いたしました。 これを見ましても、 創意工夫によって大変広報効果が上がりそうだということを感じましたので、 一層これから静岡県の認知度向上に向けて内容の充実など工夫を凝らしてまいる考えであります。
     また、 その他の国に向けての広報でありますけれども、 それぞれの国の特性に応じた広報手段、 これが必要だと思いますが、 中国におきましては、 韓国同様インターネット利用が急速に進みつつあるということでありますので、 韓国同様ウエブサイトを中心とした広報を実施してまいる考えであります。
     また、 国内遠隔地におきましては、 就航先である北海道、 福岡県及び沖縄県と引き続き就航を働きかけている鹿児島県、 この四県に向けて現地のテレビ・ラジオコマーシャルや新聞広告、 ポスターなどの媒体を効果的に活用して、 情報が行き渡るよう積極的に取り組んでおります。
     富士山静岡空港開港を間近に控えた広報戦略は、 国内外に知名度の高い富士山を軸として本県のさまざまな魅力を発信するため、 広報のタイミングやターゲットを的確に見据えるとともに全庁的な連携体制のもとに展開をしてまいります。
     次に、 ユニバーサルデザイン普及への取り組みについてであります。
     少子・高齢化の進展等によりまして、 だれもが暮らしやすい社会づくりが求められている中で、 ユニバーサルデザインを県民生活全般に定着させていくためには、 行政はもとより事業者や県民一人一人の一層の理解とその自主的な取り組みが不可欠であります。
     このため、 これまで開催してきました先進的な取り組み事例の発表会に加え、 来年度は静岡文化芸術大学との連携によるシンポジウムの開催のほか、 前林議員からも御紹介がありました宿泊施設におけるユニバーサルルームの整備等、 県内のさまざまな実践事例をまとめた冊子を作成し普及啓発に努めてまいります。 そういう点で、 昨年のユニバーサル技能五輪国際大会は非常にいい実例といいましょうか、 経験が見受けられましたので、 これらを大いに県内に普及していきたいと考えております。
     また、 ことし九月にカナダで世界高齢者団体連盟世界会議というのが開かれます。 私に、 ここに出席をしてユニバーサルデザイン先進県としての本県の取り組み内容の発表を行ってほしいという招請がありましたので、 私も日程調整をできたら、 した上でやってまいりたいと考えております。
     この世界高齢者団体連盟世界会議は大変多くの人たちが集まる会議で、 コンベンションとしても非常に魅力があるということを聞いておりますので、 できるだけ近い機会に、 本県でもこれを開催できるように誘致も働きかけております。 まだ決まっておりませんけれども、 できるだけ早い時期にこの会議も誘致をして、 ユニバーサルデザインの啓発とそれからコンベンションとしてのメリットですね、 こういうものも獲得できたらなあと思っておるところであります。
     今後とも、 いろいろな手段、 方法によって、 ユニバーサルデザインの理念の普及や情報発信、 具体的な取り組みへの支援を充実しつつ、 全庁的な取り組みのもとにしずおかユニバーサルデザイン行動計画の着実な推進を図って、 その結果としてだれもが暮らしやすい魅力あるしずおかの実現に結びつけていきたいと考えております。
     次に、 開港後の富士山静岡空港についてであります。
     県内企業の競争力強化や県民の利便性向上などに不可欠な基盤施設である富士山静岡空港の機能を十分に発揮できるか否かは、 ひとえに就航する路線と便数にかかっております。 開港前はもとより開港後も継続して利用拡大に向けた取り組みを強力に推進することが重要となります。
     この取り組みに当たっては、 まず第一に、 行政のみならず経済界、 観光・旅行業者、 教育・文化関係者、 県民等が一丸となって、 言うならば県を挙げて利用拡大に取り組んでいくことが重要であります。 このため今後も富士山静岡空港就航促進協議会との連携を強化していくほか、 就航先に事業所等を有する企業への訪問を通じた利用促進や、 個々の県民の皆様に空港利用のリピーターとなっていただくための取り組みなどを進めていくこととしております。
     こうした中で、 先ごろ浜松商工会議所が音頭取りになりまして県西部地域の各分野の方々に呼びかけをいただいて、 富士山静岡空港の利活用について、 これから協力して、 協働して取り組んでいこうと、 こういう会合を持っていただいたことは大変我々にとってもありがたい話で、 将来に先々に期待が持てる動きとして歓迎する気持ちでおるところであります。
     それから次に、 取り組みとしては、 県内の市町村相互はもとより  県内はもとよりですね、 本県に隣接する県、 さらには富士山静岡空港と他空港といった形で広域的に連携しながら、 利用拡大に取り組むことも重要であります。 このため、 まず県内の関係は、 ことし一月に県内市町村の相互連携を促すための研究会を設置をして動きを始めましたし、 また昨年十月の静岡県と山梨、 神奈川三県知事のサミットで、 三県が連携した観光誘客の取り組み強化について本県から提案をし合意をいただきました。 今後、 これらに基づいて四月の下旬には私も三県共同の上海におけるキャンペーンに出かけてまいりたいと考えておるところであります。
     第三に、 開港当初は富士山静岡空港の潜在力を顕在化させることが重要でありますが、 そのためには呼び水も必要であると。 これは他空港の例から見ましても感ずるわけでありまして、 そこで旅行会社や空港利用者への支援策を適時適切に講ずる考えであります。 このため、 まず来年度の当初予算案におきましては、 個人や団体の旅行を促進するパック旅行助成及び団体利用送迎バス補助を、 また旅行会社の商品開発を促進するチャーター便運航支援及び広報費補助を計上し、 議会にお諮りしているところであります。
     他の地方空港の中には開港後五年程度で利用客数を倍増させた例がございます。 例えば福島空港とか岡山空港であります。 これらの空港では支援策などを効果的に活用するとともに、 関係者が一丸となって利用拡大に取り組んでおりますことから、 引き続きこれらの先進事例を参考にしてまいります。
     富士山静岡空港は大都市圏に隣接するというメリットもあり、 その潜在力は非常に大きいものでありますので、 今後も開港に向けた諸準備を着実に進めるとともに開港後の利用拡大に全力を挙げて取り組んでまいります。
     その他の御質問につきましては、 関係部局長、 教育長から御答弁を申し上げます。
    ○議長 (佐野康輔君)  藤原総務部長。
            (総務部長 藤原通孝君登壇)
    ○総務部長 (藤原通孝君)  航空消防体制の強化についてお答えいたします。
     本県では、 今まで県の防災ヘリコプターによりまして、 水難事故、 山岳遭難における救助活動や林野火災における消火活動を行い市町村の消防活動の支援等を行ってまいりました。
     御指摘のありましたとおり、 このたび静岡市と浜松市が政令指定都市へ移行したこともあり消防ヘリコプターを導入し、 静岡市では平成二十年十月から、 浜松市では平成二十二年の早い時期に運航を予定しておりますので、 県と両市で協議を進めまして三者による相互応援について協定を締結し、 実質的な共同運航体制を構築したいと考えております。
     この協定におきましては、 定期点検等でのヘリコプター運航不能時や一つの災害に複数ヘリコプターを必要とするとき、 また同時期に複数の災害が発生したときなどに相互応援を実現いたしまして、 三機体制で県内全域をカバーすることで本県の航空消防体制の強化を図ることとしております。 また両市のヘリコプターにはドクターヘリを補完するような機能を備えるということを伺っておりまして、 本県の空の救急体制もさらに充実するものと期待しているところでございます。
    ○議長 (佐野康輔君)  稲津県民部長。
            (県民部長 稲津成孝君登壇)
    ○県民部長 (稲津成孝君)  地球温暖化防止のための県の率先行動についてお答えいたします。
     県では静岡県庁地球温暖化防止率先行動計画に基づき、 みずからの事務事業に伴い排出される温室効果ガスの排出量を平成二十二年度までに京都議定書の基準年度である平成二年度に比べ六%削減することを目標として、 部局単位の具体的な削減計画を作成し職員の省エネルギー対策や新エネルギー導入を進めております。 これまで照明やOA機器の節電対策、 クールビズ・ウォームビズの徹底、 公用車のエコドライブ励行、 節水対策などの取り組みを進めてきた結果、 昨年度の排出量は平成二年度に比べ五%減少したところであります。
     本年度から、 太陽光発電装置とともに廃棄文書のうち焼却処理していたものを再生紙原料として活用する文書リサイクルシステムを導入し、 さらに来年度は建物の断熱性向上によって冷暖房効率を高める県庁本館の屋上緑化工事と公用車の燃費向上を図るハイブリッド車の導入拡大を行うこととしております。 今後とも県が率先して具体的な施策を実施することにより県民や事業者などの地球温暖化防止の取り組みを促してまいります。
     次に、 文化行政についてのうち、 県民参加の国民文化祭についてであります。
     平成二十一年に開催する第二十四回国民文化祭・しずおか二〇〇九は、 県民が自分の住む地域の文化を見直し文化の創造活動に積極的に参加するとともに、 それらを支える活動にかかわる絶好の機会であります。 このため国民文化祭をより身近に感じていただくように、 愛称や公式ポスター、 テーマソングの歌詞や歌唱者の公募を初め、 オープニングフェスティバル、 演劇などへの出演あるいは美術展への作品の出品など、 広く県民に参加を呼びかけてまいります。
     このほか、 県民みずからが事業を企画実施する創造支援工房しずおかを募集するとともに、 各事業の中に観客として来場した県民にも文化の体験ができるワークショップなどの企画を盛り込んでまいります。 また広報活動を初め、 さまざまな運営に携わるボランティアを広く県民から募集し静岡ならではのおもてなしが図れる体制づくりを進め、 県民総参加のにぎわいのある国民文化祭としてまいります。
    ○議長 (佐野康輔君)  藁科厚生部長。
            (厚生部長 藁科一仁君登壇)
    ○厚生部長 (藁科一仁君)  文化行政についてのうち、 全国障害者芸術・文化祭についてお答えいたします。
     この祭典は、 芸術文化活動への参加を通じ障害のある方の自立と社会参加を促進することを目的に平成十三年度に第一回大会が開催され、 本年度で第七回を迎えます。
     本県では、 平成十年度から毎年静岡障害者芸術祭を開催しているほか、 障害のある方々の施設や団体等による芸術文化活動が盛んに行われており、 議員御指摘のとおり全国初の取り組みとして国民文化祭と同時期に全国大会を開催することにより、 障害のある方々の能力、 個性、 可能性について静岡県から全国に発信できるものと考えております。 具体的には平成二十一年十一月十三日から十五日までの三日間、 グランシップで開催する予定としております。
     また、 開催前年度に当たります平成二十年度には全国大会に向けての機運を盛り上げるため、 県障害者芸術祭と県内の関係団体が実施している芸術文化イベントを統合し、 プレ大会として開催するとともに県として積極的な広報活動を展開してまいります。
     次に、 がん検診についてであります。
     静岡県がん対策推進計画では、 国の計画目標である今後十年間で七十五歳未満における年齢調整死亡率の二〇%減少の達成に向け、 市町村が実施するがん検診以外の職場での検診などを含め、 今後五年間でがん検診の受診率を国と同様に五〇%以上とすることを目標といたしました。
     平成十七年度の地域保健・老人保健事業報告によれば、 市町村が実施するがん検診受診率は本県においては大腸がんが三一・九%、 肺がんが四五・七%と比較的高率なものがある一方、 胃がんが一八・八%と低率なものもあります。 がん検診は市町村の業務とされておりますが、 受診率五〇%以上の目標達成のためには、 県といたしましても市町村の取り組みを支援する必要があると考えております。
     そのため、 県といたしましては、 市町村が独自に実施する土日の検診や、 特定健診を初め他の健診と同時に行う人間ドック型健診など、 受診機会の拡充や啓発の強化に対して助成することとしております。 さらに、 がん検診に対する県民意識調査を実施し市町村などが行うがん検診の実態を把握することにより、 検診の状況と課題を踏まえた県独自の広報啓発やイベントなどを実施し受診率向上を図ってまいります。
    ○議長 (佐野康輔君)  杉山産業部長。
            (産業部長 杉山栄一君登壇)
    ○産業部長 (杉山栄一君)  若者の就業支援策についてのうち、 初めに就業支援相談の充実についてお答えいたします。
     若者に対する就業支援は、 将来を担う人材の育成や社会の活力を維持していくという観点からも大変重要であると認識しております。 このため県では三カ所のヤングジョブステーションを中心にきめ細かな就職相談や情報提供など総合的な就業支援に取り組んでおり、 利用者アンケートによると八割を超す相談者から相談内容に満足しているとの回答を得ております。
     ヤングジョブステーションの機能をさらに充実させるため、 本年度は利用者の増加に伴う就職相談員の増員、 勤労観をはぐくむための職場体験の実施、 高校に出向いての出張相談の拡充に取り組むとともに、 NPO等の就業支援機関を掲載した冊子を作成し支援機関相互の連携の強化にも努めたところであります。
     さらに、 最近では発達障害などさまざまな問題を抱え、 なかなか就職に結びつかない若者の存在が目立っておりますことから、 来年度は心の問題を専門に扱う臨床心理士をヤングジョブステーションに新たに設置することとしております。 また福祉や教育関係者、 有識者等から成る研究会を設置し、 より効果的な若者の就業支援策について検討をしていくこととしております。
     次に、 職業能力開発に向けた支援についてであります。
     県では、 各技術専門校において新たに技能労働者になろうとする若者を対象に時代に即した技能を付与する職業訓練を実施し、 即戦力となる人材を育成しているところでありますが、 近年応募者が減少しております。
     一方、 若年者コースの修了生に対する企業からの求人は年々増加しており、 技術専門校に対する期待は大きいことから、 引き続き高等学校への訪問や各種イベントなどさまざまな機会を通じて技術専門校のPRに一層努めてまいりますとともに、 ヤングジョブステーションと連携してフリーターやニートと呼ばれる若者にも積極的に訓練情報を提供してまいります。 またものづくりに携わる人材育成の新たな試みとして、 来年度から浜松工業高校の定時制生徒を浜松技術専門校に受け入れ実習を行うこととしております。
     今後とも、 技術専門校が技能者育成の中核的な機関としての役割を担えるよう訓練内容の充実を図るとともに、 入校者の確保に努めてまいります。
    ○議長 (佐野康輔君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  豊かな森づくりの推進についてお答えいたします。
     本県には、 天竜美林に代表される林業地帯、 広葉樹を中心とした伊豆の山々など多彩な森林があり、 水を蓄え、 災害を防ぎ、 木材などの資源を供給し、 同時に生命と文化をはぐくんでおります。
     こうした森林を県民全体で支える仕組みの一つとして、 森の力再生事業を県民の皆さんの御理解と御協力のもとに着実に実施しているところであります。 本事業は土砂災害防止や水源涵養機能の回復を主な目的としておりますが、 荒廃した人工林に光を入れ広葉樹の自然発生を誘導し、 森林の多様性を向上させることにより、 子供たちや野生生物にとっても魅力ある豊かな森づくりの実現にも寄与しております。
     県といたしましては、 今後とも自治会組織を活用して不在村  これは地元に地権者が在住しておられないところを不在村と言っておりますが  こういう不在村や小規模な森林所有者の参加を促進するとともに、 新たに整備者として参画した企業やNPOなどの定着を図るなど森林と人とのかかわりを強化していきます。 さらにわかりやすい森林地理情報の公開や森林共生行動宣言の普及及び森林県民円卓会議の活動を通じて、 より多くの県民の森林価値の共有や参加を促すことにより、 環境、 社会、 経済のバランスがとれた豊かな森づくりを推進してまいります。
    ○議長 (佐野康輔君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  教育行政についてのうち、 初めに教師の教育力についてお答えいたします。
     杉並区の和田中学での取り組みは、 保護者等の要望を踏まえつつ、 これまで公立の学校では必ずしも十分に行われてこなかったとされる成績上位層の生徒の学力をさらに伸ばそうという試みであります。 優秀でやる気のある生徒を教えることについて現場の教員は十分にその能力を備えておりますが、 今回の取り組みは、 いかんせん教員が余りに多忙で指導に当たれないためにとった窮余の方策であることにも注意しなければなりません。
     このたびの和田中学校の取り組みは公教育のあり方に一石を投じたものでありますが、 その手法につきましては、 義務教育の機会均等や学校施設の公共性、 非営利性等、 公教育の原則に照らしたとき、 検討すべき課題が多々あるものと言わざるを得ません。 県教育委員会といたしましては、 教員の多忙な状態を解消し、 教員が生徒と向き合って指導できる時間の確保が急務であることを改めて痛感した次第です。
     次に、 力ある教師の養成についてであります。
     教育委員会の役割は教師として採用した者の資質向上を図ることにあり、 教師を志す者の養成は本来大学や大学院の役割でありますので、 県教育委員会が主体となっていわゆる教師養成機関なるものを開設することは現状においては考えておりません。
     しかしながら、 教員を養成するための大学における教育実習への協力を初め、 より高度な実践力を持った教員を養成する教職大学院への協力につきましては、 本県の教育課題に的確に対応し得る教員が養成されるよう積極的に連携を図ってまいります。
     また、 教員の採用に当たっては、 学生や社会人、 さらには他県の現職教員、 臨時講師などから幅広く優秀な人材を確保できるよう、 採用試験の工夫改善に取り組んでおります。 採用後は教員のライフステージに応じた計画的、 体系的な研修の充実を図ることにより教師力の向上に努めるとともに、 来年度からは授業アドバイザーを学校に派遣するなど授業力や生徒指導力の向上が図られるよう、 積極的に教員を支援してまいります。
    ○議長 (佐野康輔君)  原田警察本部長。
            (警察本部長 原田宗宏君登壇)
    ○警察本部長 (原田宗宏君)  高齢者の交通事故防止策についてお答えいたします。
     高齢者が自主的に運転免許を返納する制度に関しましては、 高齢運転者事故防止の有効な対策の一つとしてとらえ、 県下各警察署の免許窓口での積極的な広報、 働きかけなどにより、 平成十六年から十八年までの返納数は全国一となっております。
     一方、 自動車を運転しない高齢者の足の確保についても、 本県においてはバス事業者七社が高齢者に対して優遇定期券を販売するなどの取り組みが行われていることや、 過疎地域を中心に自家用自動車を使った外出支援サービスが一部の市や町で行われていることと承知しております。
     警察では、 平成二十年も高齢者事故防止対策を交通事故抑止重点対策の一つとしてとらえ、 特に高齢運転者対策として、 運転適性検査器材を活用した身体機能の低下を理解してもらう講習会の開催、 運転に不安を持つ高齢者が自主的に運転免許を返納できる申請取り消し制度及び運転経歴証明書交付制度の周知徹底、 信号灯器のLED化や道路標識の大型化、 夜間でもわかる道路標示の高輝度化に加え、 道路照明や視線誘導のための反射装置等の整備について道路管理者への働きかけを行うなど、 高齢化社会に適応した、 見やすく確認しやすい交通環境の整備等の諸対策を講じているところであります。
     また、 生活のため車の運転をやめることができずにいる中山間地の高齢者世帯を訪問し、 運転に際してのアドバイスを行うなど訪問指導による交通安全教育にも取り組んでいるところであります。
     本年は、 これまで七十歳以上の方の努力義務とされていた高齢運転者標識の表示を七十五歳以上の方に義務づける高齢運転者対策に係る改正道路交通法が六月までに施行される予定であり、 表示の徹底及び表示している車両への保護意識の高揚に取り組んでまいります。 今後も市や町を初め行政機関と連携し、 効果的な高齢者交通安全対策を行ってまいりたいと考えております。
    ○議長 (佐野康輔君)  三十二番 前林孝一良君。
            (三十二番 前林孝一良君登壇)
    ○三十二番 (前林孝一良君)  御答弁ありがとうございました。 二点再質問をさせていただきます。
     一点は、 建設部長の御答弁に対して質問させていただきます。
     私は、 もりづくり県民税が、 森林づくりでなく、 もりづくり県民税と名前がついていることに非常に大きな意義を感じるものでございます。 そういう意味では、 現在、 木材生産等に向けていわゆる林業を守る立場の事業が非常に大きく行われているわけでございますけど、 やはりもう一つ、 森をどう再生していくかという部分も大事ではないかと思っております。 そんな中、 データを見ますと、 どうもいわゆる森林の再生事業は進率がいいんですけれども、 里山づくりに対する部分の進が非常に低いという状況を見ているわけでございますけれども、 その辺についてもう一度、 建設部長、 これからの取り組みについて質問をさせていただきます。
     二点目は、 教育長でございます。 力ある教師の養成ということで話をさせてもらいました。 御答弁ありがとうございました。
     一方、 学校の教師というのは教諭と講師がおります。 教諭に対しては採用試験があるわけで、 採用試験を通った方々に対するいろんな指導があるわけですけれども、 講師は本県の場合は登録制でございます。 登録制でその状況に応じて任用してくわけですけれども、 そういう意味では講師の採用基準がない。 何らかの形でも資質を維持するためには、 この講師についてもやはり採用試験をやるとか、 あるいは採用試験の、 いわゆる教員採用試験の一次合格者に限るとか、 そういう意味ではある程度の資格のようなものを設ける必要があるのではないかと思いますけれども、 その点について教育長の御答弁をお願いいたしまして、 私の質問を終わります。
    ○議長 (佐野康輔君)  衛門建設部長。
            (建設部長 衛門久明君登壇)
    ○建設部長 (衛門久明君)  森の力再生事業のうち、 特に里山の対策についてでございますが、 議員御指摘のとおり、 全体で十カ年の計画のうち二カ年がほぼ終了いたしまして、 全体で約一八%の進率となっておりますが、 里山の整備につきましては一〇%ということで、 全体の進率から比べますとまだ低い状態にございます。 これは一つには風倒木対策のための森林整備を重点的にやってきたというようなこともございますが、 そのほかにもまだいろいろ原因等があろうかと思います。 今後は進がおくれておりますこのような里山の整備について重点的に取り組んで、 より整備を進めていくように努めてまいりたいと考えております。
    ○議長 (佐野康輔君)  遠藤教育長。
            (教育長 遠藤亮平君登壇)
    ○教育長 (遠藤亮平君)  前林議員の御質問にお答えしたいと思います。
     本県は講師の採用については登録制であって、 採用基準がないというお話でありました。 講師というのは、 教員が病気やいろいろな状況でいなくなったとき、 もしくは年度末に来年度の授業で一部分教員の数が足りなくて、 それを補わなければいけないというふうな状況のときに講師としての必要が生じてくるわけですけれども、 学校現場は、 実は講師を確保するのが今大変な状況であります。 多くの講師の方がおられて、 その中から選ぶというふうな状況でない状況なんですね。 したがいまして講師を求めるときに何らかの形で採用試験みたいなことをやるというのは、 今の状況ではちょっと考えられないことかなと思っています。
     現実に講師を採用するに当たって、 県立高校では教員免許を持っている者に対して校長が面接をすると。 義務教育については市町村の教育委員会の方で、 課長とか  まあ教育長がやることはないかもわかりませんが  面接をして適任であるかどうかを判断しているということであります。
     ですが、 議員御指摘のとおり生徒にとっては本物の教員も講師の先生も先生であるということに変わりはありませんので、 講師の方の力量アップというのは必要不可欠なことだというふうに思っています。
     したがいまして、 常勤講師については今、 義務教育においても県立高校においても研修会等を設けておりますが、 非常勤講師において残念ながらそういう機会がありません。 したがいまして、 これから講師の力量アップについてどんな方策が考えられるかということについて研究してまいりたいなというふうに思います。
    ○議長 (佐野康輔君)  これで、 前林孝一良君の質問は終わりました。
     議事の都合により休憩します。

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