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ホーム > 静岡県議会 > 本会議会議録 > 質問文書

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本会議会議録

質問文書

開催別知事提案議員別代表質問一般質問検索用



平成22年9月静岡県議会定例会 質問


質問者:

中澤 通訓 議員

質問分類

代表質問

質問日:

09/24/2010

会派名:

志士の会


質疑・質問事項:

1 富士山世界文化遺産について                   
 (1) 登録に向けた課題                       
 (2) 地方自治法六十周年記念貨幣の発行               
2 事業仕分けについて                       
3 国勢調査への対応について                    
4 大学生に対する就職支援策について                
5 耕作放棄地対策について                     
6 駿河湾港物流対策について                    
7 大規模太陽光発電所について                   
8 教育行政について                        
 (1) 全国学力・学習状況調査                    
 (2) 学校の二学期制、週五日制                   
 (3) 高校の校長在任期間                      
 (4) スポーツタレント発掘事業                   
9 警察行政について                        
 (1) 制限速度の見直し                       
 (2) 検視の現状と死亡時画像診断の活用



    ○副議長(岩瀬 護君) ただいまから会議を再開します。
     質疑及び一般質問を続けます。
     通告により、七十五番 中澤通訓君。
           (七十五番 中澤通訓君登壇 拍手)
    ○七十五番(中澤通訓君) 私は志士の会を代表して当面する県政の諸課題について、知事、関係部局長、教育長及び警察本部長に伺います。
     質問に入る前に、去る八月二十一日御逝去された同僚岡本信也議員の御冥福をお祈りいたします。
     また、九月八日、九日、県東部に集中豪雨をもたらした台風九号により被災された皆様にお見舞い申し上げ、一日も早い復旧をお祈りいたします。
     質問に入ります。
     初めに、富士山文化遺産についてのうち、登録に向けた課題についてお伺いします。
     このことについては、去る七月末までに国への推薦書原案が提出されいよいよ最終段階と思われていましたが、原案提出に必要な構成資産について国の文化財指定に申請する必要があり、山梨県側の権利者等から指定の同意が残念ながら得られなかったことなどから、提出見送りとなってしまいました。具体的には富士五湖を国の文化財に指定する必要があり、湖周辺の観光業者らの同意が得られなかったのであります。文化財指定に伴い、営業への規制強化を懸念し難色を示しているとのことであります。静岡・山梨両県にまたがる富士山でありますので、世界遺産への登録は両県が共同歩調で取り組む必要があります。年内解決に向けて山梨県側の体制強化が図られたとの話がありますが、取り組みに対して両県の間で温度差はないのか、また富士五湖の同意取りつけに当たっての今後の対応と見通しはどうなったかお伺いいたします。
     原案提出は年一回、七月となっており、今回の見送りで平成二十四年――二〇一二年登録は一年先送りになってしまいました。大変残念な結果です。あわせて残念だったのは、今回の原案には当初本県側で考えていた清水町の柿田川が構成資産から外れたことです。結果として原案提出が一年先送りになるならば、この間に課題を解決して次回の原案に構成資産として盛り込むべきだと考えますが県の考えをお伺いします。
     世界文化遺産登録は、とかく行政中心の運動になりがちですが、企業、団体、NPО、専門家、県民こぞっての運動の盛り上げが必要だと感じています。この一年を有効に使っていくためにも県の対応についてお伺いいたします。
     次に、地方自治法施行六十周年記念貨幣の発行についてであります。
     昭和二十二年に地方自治法が施行され、六十周年を機に地方自治の意義と重要性とを再認識することにより、地方自治の進展を期するようさまざまな行事が行われ、その一つにこの記念行事に合わせて平成二十年から二十八年にわたって、各都道府県のデザインした図柄による記念貨幣の発行があります。五百円と千円の二種類を一年に五から六の都道府県ごとに発行するとのことです。
     これまでの発行は、平成二十年北海道がトップで図柄は洞爺湖とタンチョウ、洞爺湖と北海道庁旧本庁舎、京都府は国宝源氏物語絵巻宿木、島根県は御取納丁銀と牡丹、銅鐸とその文様・絵図、二十一年長野県は上高地、善光寺と牛、新潟県はトキと佐渡島、トキと棚田、茨城県はHU型ロケットと筑波山、偕楽園と梅、奈良県は大極殿正殿と桜と蹴鞠、遣唐使船、二十二年高知県は坂本龍馬と桂浜、坂本龍馬の顔、岐阜県は長良川のウ飼い、白川郷とレンゲソウ、福井県は恐竜と東尋坊、恐竜となっており、本年後半にはまだ図柄は判明していませんが、愛知県、佐賀県、青森県、来年は富山県、熊本県、鳥取県が発行予定となっております。
     本県の予定は、富士山の世界文化遺産登録を期してと考えたのか二十四年の予定を目指していたようですが、推薦書原案提出見送りとなってしまいましたので、世界文化遺産登録に合わせようとすれば自動的にこちらも先送りとなってしまいますが、私はこれはこれで発行し世界文化遺産登録になったときはこれとは別に記念切手発行等を働きかけることを考えたらいいと思いますが、見解をお伺いします。またデザインについては、どのように考えるかもお伺いいたします。
     次に、事業仕分けについてお伺いします。
     昨年に引き続いての事業仕分けが本年も行われました。百三事業を対象にされ十六件が「不要」とされました。昨年は百一事業を対象に行われ十二件が「不要」とされましたが、本年度予算においては、職員向け県庁新聞のみが廃止で、他の事業は事業費を削減しての実施や内容を変更しての実施となっております。「不要」と判断された事業の関係者には刺激となるわけですが、昨年同様、ことしもこれらの判定に疑問を感じるものがありますので、具体的に述べてみます。
     例えばしずおか優良木材の家総合支援事業費助成であります。この事業は、県産財の消費拡大のために建築資材に県産材を使用する場合は一棟当たり三十万円を補助するものであり、四月から一月までの毎月三十棟分の抽せん決定をして助成するものであります。人気があり毎月予定数をオーバーしての申し込みがあり、川勝知事が就任してすぐに年間二百五十棟を三百棟に増額補正された事業です。この県事業にこたえて柱百本のプレゼントや居住自治体内の建築業者が請け負えば、補助金の上乗せがされるなど県下各自治体でも県産材の消費拡大施策が行われています。
     家を一軒建てるのには二千万円から三千万円かかるが、そのうちの三十万円で何の効果があるのか、三十万円が三百棟分で計九千万円、もっと有効なものがあるのではないか等の質問が出されたが、県側が的確に答えたかは疑問なのであえて答えさせていただければ、家が二千万円でも三千万円でもそれは住居に必要なすべてを含んでの話であり、電気、ガス、水道の配管からキッチン、照明器具、空調等、すべての合計額であります。住宅で木材そのものを使用する部分は構造体であって価格は二百万円前後、そのうちの三十万円は決して少ない額ではなく、仕分け人はこうした基礎的なことも知らなかったのではないかと思います。現在の補助があるから利用され、そしてその結果、山から木材が出され、乾燥度を高め優良品として市場に出そうと関係者が努力するのであって、もっと効果のあるやり方でというのならば、その代案を提出されて「要改善」の判定でよかったのではないか。
     さらに、月ごとの抽せんではなく申し込み順でとの意見もあったが、一時期に需要が集中してしまうことは安定供給とはならず、消費の急激な変動は生産コストのアップとなり、外材との競争に勝ち抜くための知恵でもあります。県が考えている木材生産量を現状の年間二十七万立方メートルから平成二十五年目標の四十五万立方メートルにするには、木材のほとんどが住宅建築用材で消費されることを考えると現状では最適なものであります。県産材に特化するからこそ、流通消費が伸びていく現状の理解が欲しいと感じます。
     次に、県営農業基盤整備事業の仕分け結果の「不要」についても大きな疑問があります。事業内容は多岐にわたっていますが、国、県の合計負担率が七五から八〇%と、多くの税金投入がなされているものであります。比率が高いと思われますが、農は国の基礎、基本でありこうした税配分となっているのではないかと思います。
     仕分け人からの疑問点は、農業生産物の流通経路の問題、国営と県営の線引き、事業の成果、方向性等であり、内容そのものの理解が全くないようにも感じた中での判定でありました。本県は立地上からも工業立地には適した場所で、早くから農地の工場への転換がなされてきた歴史的な経緯があります。こうした中では、農業においても労務の短縮化、高価格産品生産等が求められ、基盤整備は特に必要なことでもあります。
     また、就農者の減少、高齢化を考えての農地の平坦化も必然的に求められてきました。先ごろ知事が視察された清水区庵原の新丹谷畑総事業区は、新東名から現東名への連絡路建設に当たって、急峻な農地の解消を目的として道路用地を地元負担金分として提供し、排出土砂を受益地内での高低の調整に使い優良農地を造成している場所です。大正期から植えられたミカンは、若い労働者がいた時代はよくても、価格が安くなり高齢化ともなれば農業労災の事故も多くなり、荒廃してしまうことを防ぎもっと働きやすい環境をと受益者が団結しての一大事業です。着手すれば造成、仮換地、植栽、収穫まで、お茶やミカンであれば七から八年間は収入ゼロを覚悟してのスタートであり、その間の農業環境の変化には内心はびくびくしているしかないのにもかかわらず、完成したときの喜びは何倍ともなります。
     この新丹谷地区事業は、平成九年に着手され来年完成で十五年かかることになりますが、政治の駆け引きで予算が急激に半減されたりすれば農家は大打撃です。知事は、現地に行く途中、数年前に完成した原地区を通って行かれたのですが、この原地区は受益面積百ヘクタールという全国一のモデル事業となったもので、同じJA管内の全域と原地区との成果を比べてみますと、十アール当たりの出荷量は一・八倍、収入は二倍となっています。平たん化により日照量が多く土壌条件が改善され、園地によるむらがなくなってよいものができています。防除時間はスピードスプレーヤーで労働時間はそれまでの十分の一、一人一日当たり収穫量は一・八倍となっています。
     二〇一〇年の農林業センサスが発表されましたが、農業就業人口は全国で二百六十万人で、五年前から七十五万人、二二・四%減と過去最大の減少率とのことですが、原地区、新丹谷地区とも担い手農家の規模拡大にあわせて農地流動化が進み、農業後継者も増加し耕作放棄地は皆無です。貯蔵ミカン品評会では二年続けて農林水産大臣賞を、中晩生柑橘品評会では関東農政局長賞、県知事賞を受賞するなど優良品種が育成されています。
     このように、多くの利点があるにもかかわらず、事業が「不要」と判定されることに理解しがたい思いです。二点を取り上げて見解を述べてみましたが、事業仕分けのあり方も含め県の考え方、今後の対応についてお伺いいたします。
     次に、国勢調査への対応について伺います。
     「現在ノ国勢ヲ詳明セザレバ政府則チ施政ノ便ヲ失フ 過去施政ノ結果ヲ鑑照セザレバ政府其政策ノ利弊ヲ知ルニ由ナシ」、「現在ノ国勢ヲ一目ニ明瞭ナラシムル者ハ統計ニ若クハ莫シ」これは、早稲田大学の創立者としても知られる大隈重信公が社会経済の実態を明らかにする統計の必要性について、明治十四年に建議した「統計院設置の件」の冒頭で述べた言葉です。つまり現在の国の情勢を詳しく明らかにしなければ、政府は政治をとり行うことができない。また過去の政策の結果を評価しなければ、政府はその政策のよしあしを知ることができない。現在の国の情勢を一目でわかるように明瞭にできるものとして統計に及ぶものはないということであります。
     翻って、今日の日本を見てみますと、我が国は少子高齢化が進行し、増加を続けてきた人口も二〇〇八年には減少に転じ人口減少社会に突入するなど、社会経済情勢は大きく変化しております。この過去に経験のない人口減少社会の中で、高齢者介護、医療の維持、年金・社会保障制度の安定化、経済活力の維持、高齢者の就業延長、若年層の雇用の安定化など多くの課題に取り組んでいく必要があります。
     国勢調査は、日本国内の人及び世帯の実態を明らかにし各種政策の基礎データになりますので、これらの課題に対処するための各種施策の立案のために大変重要な意義、役割を持っています。今年度は、富国有徳の理想郷“ふじのくに”の新総合計画の策定に取り組んでいますが、国勢調査の結果も一つの重要な指標として活用されています。また国勢調査は、国連の勧告で世界各国が参加する世界人口センサス計画の一環として行われるなどその重要性には疑いのないところですが、同時に調査結果は正確で信頼できるものでなくてはなりません。
     一方、国民の個人情報保護意識の変化、単身世帯や共働き世帯の増加、オートロックマンションやワンルームマンションの増加などに伴い、調査員が訪問してもなかなか面会できない、あるいは面会できても容易に回答いただけないケースが増加するなど、調査環境は年々悪化していると聞いております。このような傾向が今後も続けば、統計の正確性が低下し統計の利用に支障を来すおそれが心配されるわけですが、国勢調査を正確かつ円滑に実施するために、県民に正しい理解を深めすべての県民に安心して参加いただけるよう、県はどのような対応を図っていくのかお伺いいたします。
     次に、大学生に対する就職支援策についてお伺いします。
     かつては秋口になって就職活動の学生が動き出し、またマスコミでもその情報が取り上げられていたものでありますが、最近では一年じゅう、いわゆるリクルートスーツ姿の学生が町じゅうで見受けられます。就職協定があった時代は、大学卒業予定者は十月からの試験開始であり、一部青田刈りとして早目の決定を出す企業のことがマスコミに取り上げられたりしました。
     現在は、三年次の六月には学校での就職ガイダンスが始まり、十月には求人票の公開が行われ学生の会社訪問がスタート、随時試験が行われ四年次の四月から六月には大企業を中心に約半分が決定となり、その後中小企業の試験が始まりますが、昨今の厳しい経済情勢のもとでの就活は大変なもので、しかも長丁場となっている現状です。
     本年三月時点での大学・短大への進学者は六十九万一千人で、進学率は過去最高の五六・八%、反面、大卒の就職率は六〇・八%と前年度比七・六ポイントも減と過去最大の下げ幅となっております。大学卒業年限を迎えながら留年する学生が全国で少なくとも七万九千人で、卒業予定者五十六万八千人のうち七人に一人は留年している計算になります。就職浪人はこの留年者と卒業しても就職しなかった者を合わせて約十一万人で、ますます就職戦線が激化しています。過日の新聞には百社以上に応募、面接まで進めたのは十五社程度で、結局合格できずに卒業した学生のことが報道されていました。
     既卒者は新卒者に比べて不利な条件となることを防ぐため、日本学術会議からは卒業後数年間は新卒扱いとするよう企業側に求める提言がなされ、また政府も一定期間の試験採用に補助を出し、その後、正社員として雇用したときにも補助金を出すトライアル雇用を考えているとのことですが、早期の解決策が必要と痛感をいたします。一方、長期間の就活で学力レベルの低下はないだろうか心配です。
     県立大学、文化芸術大学ともにこうした状況においても就職状況はよい成績をおさめているとお聞きしますが、留年者の学費の軽減ができないか、企業の採用枠を拡大できないかなど歯どめがきかない早期・長期化している就職活動には、まだまだ問題点があります。
     こうした就職活動の大きな構造上の問題の影響を受けているのは、これから意気揚々と社会への第一歩を踏み出そうとしている大学生たちであります。彼らはたまたまこの時代に就職時期を迎えてしまっただけであり大変気の毒であります。こうした厳しい就職活動に追い込まれている大学生に対して、県としてどのような対応をとっているのか伺います。
     次に、耕作放棄地対策についてお伺いいたします。
     世界の食料需給は、中長期的には人口の増加、中国やインド等の所得水準の向上等に伴う食用・飼料用需要の拡大に加え、バイオ燃料の拡大による農産物の需要の増大、さらに異常気象などによる生産減少により今後とも需給が逼迫した状態が継続する見通しであります。こうした中、県民からは将来にわたり安全・安心な食料供給が求められており、その生産基盤となる農地を確保してその有効利用を図ることはますます重要となってきています。
     しかし、農林業センサスによると本県の耕作放棄地面積は約一万一千八百ヘクタール、耕作放棄地率は一八・五%に上りその率は全国第六位に相当すると聞いております。また耕作放棄地は、有害鳥獣のすみかにもなるなど周辺農地の営農に支障を来すとともに、農村景観の悪化にもつながることから、耕作放棄地の解消は地域の農業・農村振興にとっても喫緊の課題となっております。
     農家は代々農地を大切に守ってきましたが、今後も農業従事者の減少や高齢化に伴い農地の荒廃が進み、耕作放棄地は増加の一途をたどるのではないかと懸念しております。農地がもたらす豊かな農村環境は都市住民の憩いの場であり、治水の役割を果たすなど農地は県民にとっても大切な財産であります。
     県では、平成二十五年度までに二千ヘクタールの耕作放棄地の解消を目標とし、本年度から本格的に耕作放棄地対策をスタートさせましたが、目標達成に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
     次に、駿河湾港物流対策についてお伺いいたします。
     世界経済の落ち込みを強く受けている本県経済であり、工業製品出荷高の大幅な減少は港湾の貨物取扱量に響いています。こうした中、国においては港湾のハブ港化を目指し、拠点港を東京、川崎、横浜港を合わせた京浜港、神戸・大阪港の阪神港の二港に決定、また次年度以降も集中整備をする重点港湾には百三港ある重要港湾のうち四十三港に御前崎港が選ばれました。決定の条件として民間による管理体制の確立と物流貨物の増加があれば、第二バースの建設への投資が行われるとのことです。田子の浦港はこの選定に漏れましたが、清水港とともに国際バルク戦略港湾への選定に向け努力を重ねていくとのことです。特定重要港湾の清水港については今回の対象でありませんが、二バース目の大水深の岸壁を建設中であり、これまでの投資効果が生きてくるように努力することが義務づけられております。
     そこで、新規の直轄港湾整備事業の着手対象、いわゆる重点港湾となった御前崎港の今後の整備計画と、国際バルク戦略港湾の選定に向けての動向、可能性についてお伺いいたします。
     リーマンショックから二年が過ぎ、その後のギリシャの金融不安、急激な円高等で輸出産業立国の我が国の経済は、低成長から脱出できにくい状況でありいま一つはっきりしません。もっとも県内でのコンテナ貨物の状況を見てみますと、輸出で三八%、輸入で四六%が県外他港の利用であり、これらすべてが県内港を使ってくれればと港湾関係の人たちは願っているのですが、思うようにはいきません。知事は、今春、御前崎港のクレーン事故後に新規ガントリークレーン二基体制の方針を打ち出しましたが、災害時の危機管理体制も考え、清水、御前崎、田子の浦の三港を駿河湾港として一体的にとらえ整備、振興を図ると表明、コンテナ取扱比率を清水港七、御前崎港三の目標を述べたと報道がありました。清水、御前崎両港のコンテナ取扱比率は十対一であり、仮に清水港の貨物量をそのままとすれば、御前崎港は今の五倍の取扱高にしなければなりません。ポートセールスは、県を初め港湾関係者が長年にわたって努力を重ねているところでもあり、このための新しい策として何があるのかお伺いをいたします。
     次に、大規模太陽光発電所について伺います。
     地球温暖化対策として、再生可能エネルギーの導入拡大が強く叫ばれております。再生可能エネルギーは現時点でのコストや供給安定性の面で課題はあるものの、地球温暖化対策のほかエネルギー自給率の向上、エネルギー源の多様化、環境関連産業の育成等の観点からも導入を拡大することが重要であります。
     中でも太陽光発電については、昨年の十一月から始まった余剰電力買い取り制度など国の支援制度の充実もあり、一般家庭への導入が拡大しつつあります。また先ごろ清水港臨港地区の三保地域に中部電力が大規模太陽光発電所の建設を計画しているとの報道がありました。今後、国の補助制度である地域新エネルギー等導入促進事業の採択に向け、静岡市と共同申請を行う予定であるとのことであります。
     国内の電力十社は、二〇二〇年度までに全国で約三十地点、約十四万キロワットの大規模太陽光発電所を建設するという計画を発表しており、今回の清水港臨港地区内における建設計画は、これを受けて中部電力が検討を進めているものであります。この大規模太陽光発電所の建設によるメリットを県はどのように考えているのか、また建設に当たって今後どのような手続が必要となるのか伺います。
     次に教育行政についてのうち、全国学力・学習状況調査について伺います。
     国語と算数・数学で実施された小中学校の全国学力・学習状況調査の結果が報告されました。知識に関するA、活用に関するBの設問がなされ、本県の成績は小学校では国語Aと算数A、算数Bは全国平均以下、国語Bは全国平均を上回りました。新聞報道によれば国語は二十八位、算数は三十位とあります。中学校では国語、数学いずれも全国平均を上回り、国語は九位、数学七位でした。
     内容の分析がなされて二学期以降の学習に生かされると思いますが、それまでの過去三年間のテストは小六、中三の全員参加でありましたが、今回は抽出方式となり県内では小学校五百二十七校中八十七校、中学校は二百七十六校中九十校が抽出され、その結果が報告されたものであります。またそれ以外に、今後の指導に生かそうと希望利用した学校が、小学校二百五十三校、中学校百三校ありましたが、希望利用校は採点は独自で行うので集計対象とはならず、希望利用方式は何のために行われたか疑問に感じます。
     この調査方式について文部科学省は、都道府県教育委員会にアンケート調査を行った結果、全員参加方式を支持したのは三十三教育委員会、希望利用方式と抽出方式の併用を支持したのは十一教育委員会、抽出のみは二教育委員会となりました。
     また、文部科学省の公表結果からは、中学校数学で円の面積理解が進んでいないとの分析がありました。今回中学校調査で対象となった生徒は、平成十九年度に小学校六年生で調査対象となった児童です。この平成十九年度小学校調査において円の面積の求め方が間違っていた児童が九・三%いましたが、今回、中学校数学の調査において円柱の体積を求める際、同様の間違いをした生徒が一一・九%いました。このことは、円周や面積の見積もりをするときなど、目的によっては円周率πイコール三で扱ってよいとしたゆとり教育の弊害そのものではないかと私自身は思っております。円周率の扱いだけが円の面積理解の進捗度に影響したとは思いませんが、結果として中学校において小学校と同様の課題が見られ、改善していないことは残念であります。
     そこで、全国学力・学習状況調査の調査方式について本県教育委員会はどのように考えているのか、また調査結果に見られる中学校数学での円の面積理解が進んでいない状況などを踏まえ、静岡県の児童生徒をどのように教育すべきなのか、教育長の所見を伺います。
     次に、学校の二学期制、週五日制について伺います。
     学校週五日制が完全実施された二〇〇二年ごろから授業時間をふやそうと導入した学校が急増した二学期制ですが、果たしてその効果はどうだったかお伺いします。
     現在、公立小の四三・一%の二百二十四校、中学の三六・二%の九十六校が二学期制でありますが最近は漸減傾向です。当初予定していた幾つかのメリットはあったのか、デメリットとの関係は大きく上回っていたのかどうか、今後はどうするのかお伺いします。
     高校においては全日制五校、定時制三校のみの二学期制でありますが、義務教育とのこの開きは何に起因するものかお伺いいたします。
     週五日制とゆとり教育は時期を同じにしております。公立小中学校の学習量は、八〇年代にゆとりカリキュラムという新指導要領で一割減となり、九二年度に新学習観で一割減、〇二年度には新学習指導要領で二から三割減となりました。七〇年代の約半分の学習量がこの時期であります。ゆとり教育は最悪の指導要領と言われるゆえんであります。それまでの詰め込み教育から子供たちを解放し、子供たちの個性と想像力を豊かに育てようという理想主義的考え方からの発想であったと思われます。
     学校の完全週五日制実施に伴う新指導要領は、教科の時間を現行の七割程度に削減し内容も基礎、基本に絞るなど、詰め込み型の教育を改めゆとりの中で課題探究能力の育成を目指そうとしました。学校の裁量を大幅に拡大するとともに、小学三年以上には総合的学習の時間を新設、児童生徒が自主的に考え問題を解決する力を養うことや体験的な活動を重視するとして、その結果、授業時間の削減となりました。
     例えば、小学三年の国語は八〇年代は年二百八十時間だったのが年二百三十五時間に、算数は百七十五時間が百五十時間、社会、理科は百五時間が七十時間にそれぞれ短縮されました。中学校も同様です。減らされた時間は総合学習として、地域のことを調べたり自然体験、福祉のための老人ホーム見学等であり、これらが決してすべて悪いことではないが、授業時間を大きく削ってまでやる必要があったのか、その結果は学力の大幅な低下となったのであります。ОECD――経済協力開発機構の十五歳児の生徒の学習到達度調査でも明らかであります。
     ゆとり教育を受けた国公立の小学校児童は〇二年から〇九年まで千五百三十四万人です。四年までに教えていた内容を六年かけて教えていた、つまり三分の二の学習であったのであります。上位、下位の学力の二極化現象が起こり、ゆとりとは名ばかりで緩み教育であったと断言する人もいます。
     来年からは教科書の内容が大幅にふえていきます。この大変革に対処できるのかお伺いします。あわせて教科の位置づけはないが、小学五年、六年で外国語活動は週一こまの必修化が行われます。対応するための問題点は何か、そのための対処策はなされているのかお伺いします。
     学ぶ内容がふえていけば、それに伴って休みの短縮や行事の縮小などが余儀なくされます。週五日制を維持して授業時間をふやすことに絶対的な無理があります。小学校低学年から六時間授業では集中力が続きません。私学では土曜授業をやっていますが、公立でも週五日制を再考するときではないかと私は考えますが教育長の見解をお伺いいたします。
     次に、高校の校長在任期間についてお伺いします。
     公立高校の入試に当たり、各校がそれぞれ求める生徒像を打ち出しております。特にスポーツ面での入試枠をあらかじめ公表し、文武両道を目指していることが目立っています。これについては、校長がリーダーシップを発揮していると思われますが、その校長の在任期間のほとんどが画一的であるのは学校経営上問題ではないかと私は思います。私の高校時代には十年在任も珍しいことではなかったのですが、最近では長くて四年です。学校経営をしっかりと行い歴史に裏打ちされた校風を継承していくためにも、画一の在任期間は変えていく必要があると思いますが見解をお伺いいたします。
     次に、スポーツタレント発掘事業についてお伺いいたします。
     オリンピックを初めワールドカップサッカー、世界陸上など、大きなスポーツイベントはテレビ視聴率も高く多くの国民が注目をします。レベルの高いプレーや新記録に大きな感動を覚えるものであります。しかしこれらのスポーツの興味も、視聴率の高い一部の種目のみに傾斜しがちであり、競技人口の少ないスポーツは関心度が低くなる傾向にあります。オリンピック競技にしても、二十八競技で個人団体別、男女別、体重別などメダル数もかなりの数になっております。先天的に早い時期に頭角をあらわすことができたり、環境に恵まれ早くから技術指導が行われ、一つの種目に特化できる人もいますが、それは極めてまれで、ほとんどの競技者は単純に好きだから、誘われたからといつの間にか種目を決めてしまうもののように思われます。本人の運動能力に合致した種目が早い段階でわかり、そのためのトレーニングを行うことができれば、より高いレベルへの挑戦が可能となります。
     数年前、福岡県立スポーツ科学情報センターを視察した際に、県体育協会と県立スポーツ科学情報センターが主体となって、県教育委員会と共催で行っているスポーツタレント発掘事業を知りました。この夏、二度目の視察を行いました。「すべての子どもたちにスポーツへの夢と可能性と感動を!」とサブタイトルで訴え、隠れた逸材の発掘に努力をしていました。
     まず小学校四年生から中学一年生までを対象に、体力・運動能力調査のために測定会への参加を呼びかけます。五十メートル走、立ち幅跳び、ソフトボール投げなど走力、瞬発力、敏捷性、投力、持久力を調べ、すぐれた部分や改善すべき課題、発育、発達や栄養など個人に応じたさまざまなアドバイスを記した評価表を渡します。すぐれた者には二次選考会で競技団体の指導者から、競技適性の情報や体験教室の案内などの情報提供が行われます。同様に三次選考会を経て、一年間を通じて多くの競技での体験を積みながら、最終的に指導者、本人、保護者の三者面談によって種目を決めていくものです。
     身体能力開発・育成プログラムは、本年度は、小学生はソフトボール、器械体操、セーリング、スケートなど九競技を、中学生は水球、レスリング、アーチェリーなど十二競技を経験するカリキュラムであり、社会性を高めるプログラムも並行して行われます。将来、国際大会での日本代表の半分以上を福岡県出身者で占有していこうとの高い目標を持って行われている事業であります。
     中学、高校進学時には大胆な種目変更をも決定していくとのことで、その後、各種大会で活躍してくれることは本人の可能性が花開くことであり、福岡県民に夢と感動を与えることにもなり、今年で七年目を迎え高校生で早くも国際大会入賞者が出ているとのことです。
     本県ではこうしたシステムはなく、中学でかなりのレベルで将来楽しみと思われても他県へ進学している例も多く見られます。福岡県のシステムは、国立スポーツ科学センターの協力を得て同様な方向で長野、東京など十一カ所で実施をしております。とかくメジャースポーツのみに注目が行きますが、競技人口の少ないスポーツでも本人の特性と指導方法によってはトップへ伸びていく可能性は大きいものです。国体では天皇杯二十位前後と成績が振るわず、この静岡県にも新しい対策を講じていく必要があると思います。教育長の考え方をお伺いいたします。
     最後に、警察本部長に伺います。 
     警察行政についてのうち、初めに制限速度の見直しについてであります。
     警察庁は、このほど高速道路や自動車専用道路の速度基準を四十二年ぶりに見直し、実態に即した速度に引き上げられるようにしたとのことです。高速道路の制限速度は、これまで建設前に予測したインターチェンジ間の交通量などをもとにほぼ画一的に決められております。必ずしも実勢速度と一致していないとの指摘もあったとのことです。見直し基準の変更点はどのようなものかお伺いします。
     また、県内で予想される該当路線はどこなのか、いつごろから変更されるのかお伺いいたします。
     制限速度の緩和が事故の誘因であってはなりませんので、実際に施行されるときには県民への事前PRの徹底、見やすい交通標識の設置等も必要と思われます。それらについてもお伺いをいたします。既に一般道においては逐次実施されておりますが、その実施状況についてもお伺いいたします。
     次に、本県の検視の現状と死亡時画像診断の活用についてお伺いします。
     三年前の平成十九年、大相撲の時津風部屋の力士暴行死事件は、当初、警察が病死と判断、しかし遺族が解剖を要望したことから事件となり、その後も埼玉、鳥取での不審死をめぐる捜査などで死因究明には関心が高まっています。
     通常、変死があれば警察官、医師の立ち会いで事件性の有無が判断され、司法解剖が行われることもあります。近年、司法解剖に携わる病院、医師が少なく、日本での異常死解剖は先進国では最低の一〇%ほどにとどまっています。監察医制度がある東京二十三区と横浜、名古屋、大阪、神戸の四市を除いて、大学医学部がこれらを担っていて大学の地域貢献に頼っている状況であります。
     国公立大学は独立行政法人化され補助金が削減されている中、その善意の協力だけに頼ってはいられないと感じます。国の医学部行政のあり方、予算配分の改正はもちろんですが、現状のような綱渡り的な運用であれば、十年後には法医解剖システムそのものが崩壊するとの警鐘もあります。
     そこで、最近ではCT、МRIでの対応も行われているとのことであります。死亡時画像診断オートプシー・イメージング――Aiと省略されていますが――このCT、МRIによっての死因究明方法のことです。CTで死因の約三〇%、МRIで約五〇%、解剖で約七五%の診断がつくといわれています。日本では解剖率が低くAi実施は今こそ必要な方法と思われます。千葉大法医学教室では、平成十八年からCT検診車を常駐させ司法解剖する遺体の全例撮影を行っており、群馬大大学院では、二十年からAiセンターを開設、捜査や検視と組み合わせての活用をしています。石川県、長崎県でもそれらに対する動きもあるようですが、本県の検視の現状と検視におけるいわゆるAiの活用についてお伺いし、私の質問をひとまず終わります。(拍手)
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 中澤通訓議員にお答えいたします。
     初めは、富士山世界文化遺産についてのうち、登録に向けた課題についてであります。
     ことしの七月に推薦書原案を文化庁のほうに申請申し上げる予定になっていたところ、七月の下旬になってそれがかなわないということがわかりましたのは、まことにもって残念の一言に尽きました。静岡・山梨両県では、平成十七年に両県及び関係十七市町村で構成する富士山世界文化遺産登録推進両県合同会議を設置いたしました。以来、相互に連携して登録推薦書原案の作成や広報活動などを行い、早期登録に向けて一体となって取り組んできたのではあります。
     この富士五湖の文化財指定につきましては、山梨県におきまして八月に世界遺産推進課の中に対外調整室を設置するということで体制を強化され、地権者などからの同意取得作業の年内完了に向けて全力で取り組んでいるというように承っております。それに差し当たっては強い期待をしております。しかし一方で、私自身も懸案の場所に出向きまして、地権者、あるいは利害関係者の方の生業と文化遺産登録とが両立するということについて、私なりに御説明申し上げるような機会があればと存じておりまして、来年の七月には間違いなく推薦書原案が提出できるようにということで全力を尽くすつもりでございます。
     柿田川につきましては、後世に残していく貴重な財産であることは言をまちません。私自身も、柿田川を世界文化遺産の構成資産として登録するべきだという意見を持って学術委員会に臨んでおりました。今回の構成資産の選定は、現在の学術委員会で厳密に審議された結果で、これは尊重しなければなりません。学術委員会においてその評価が、柿田川がその考え方において、その考え方といいますのは、富士山が人類共通の財産として唯一無二の存在であることを強固に証明するという、そういう考え方において不可欠な資産であるという、このような評価を得られなければなりません。
     新しく静岡県の学術委員会の副委員長として加わられました安田喜憲先生が、近々、柿田川をその御専門の観点からじっくり御視察されるとのことですので、この一年間、ある意味で柿田川の件で本県側としては猶予ができたとも考えられますので、そのような委員の評価結果なども参考にして、柿田川の保存管理計画の策定、また国の文化財指定に向けた作業を進めたいというふうに考えております。
     登録推進に向けての県民運動の盛り上げにつきましては、学校や企業を対象とした出前講座の開催や、さまざまな団体等が主催するイベントへの参加などを通じて一層の機運醸成を図ってまいりますが、やはり県民運動といいますか国民運動が大切でございまして、二月二十三日を富士山の日と制定いたしましたのも、そのような運動の一環でございます。そうしたことを県民の皆様におかれましては十分に御理解を賜りまして、富士山の世界文化遺産に向けた山梨県と本県との共同作業並びに県民挙げてのそういう運動の盛り上がりに御協力を賜りたいと、官民一体となった活動の輪を広げてまいりたいと考えております。
     次に、地方自治法六十周年記念貨幣の発行についてでございます。
     地方自治法施行六十周年記念貨幣の発行時期につきましては、サミットなどのような国際的、歴史的に重要な行事があったり、あるいは世界遺産など国際機関からの指定認定を受けるものを考慮するという国の考え方がございまして、これに基づきまして各県からの要望を踏まえて決定されているところでございます。
     本県では、山梨県と連携の上で富士山の世界文化遺産登録に合わせた記念貨幣の発行を希望してまいりました。また郵便事業株式会社から地方自治法施行六十周年記念切手が同時期に発行される予定ということで運動を進めてまいったわけでございます。富士山世界文化遺産登録と同時期に記念貨幣と記念切手が発行されることは、富士山の文化や自然環境、景観を保全し、人類共通の財産として後世に継承していくための大きなメッセージにつながることは言うまでもありません。またそれは高い相乗効果もあると考えられます。この点につきましては引き続き山梨県と連携を深めまして、目下のところ世界文化遺産登録と合わせた記念貨幣の発行を希望しているということにつきまして、どのような柔軟な対応ができるのか協議を進めてまいりたいと、こう思っております。
     しかしながら、機運を醸成する運動をするにはいろいろな方法があると思いますが、議員御指摘のデザインにつきましては、発行時期が決定された後に造幣局等と調整した上で決定していくということになっていますけれども、県民から広く意見を募集する方法というのもございますので、このようなデザインの募集ということにつきましては、この間にやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
     次に、耕作放棄地についてであります。
     農産物を生み出す農地は、長い年月をかけまして農家の方々によって開墾され、耕作が続けられることによって維持されてきた貴重な資源でございますから、耕作放棄地は本来の農地として活用できるよう一刻も早く再生するべきものと考えております。このため県におきましては、現在、一万二千ヘクタールにも及ぶ耕作放棄地のうち、いろいろな条件の中で耕作放棄地がございますので、草刈りや整地などを実施すれば耕作可能なのが二千ヘクタールということでございますので、その解消を目標に取り組んだということでございます。平成二十一年度には、約百二十ヘクタールを解消いたしました。さらに本年度は五百ヘクタールの解消に取り組んでいるところでございます。
     具体的には、耕作放棄地を確実に解消するために、市町単位で耕作放棄地解消を進めるための協議会を設置するとともに、各農林事務所におきまして規模拡大を希望する農業者や企業を把握し、地元の市町や農業委員会、JAと連携をいたしまして、耕作放棄地を所有している農家を戸別訪問し、耕作放棄地ごとに貸借が進むように取り組んでいるのが現状でございます。今後も、規模拡大を目指す農家や新規に農業に参入する企業を求めていくという運動をしてまいりたいと思います。また市民菜園ないし市民農園というものの普及も図ってまいりたいと思っております。
     さらに、一校一農園という運動をこれまで県はやってまいりましたけれども、これももう少し具体的に一校一反――三百坪、一千平米。一校につき一反を持つという運動を進めるように今、構想しておりまして、そして一反で十品と。違う農作物――お花でもいいと存じますけれども――いろいろな農作物を十品、それぞれ学校の生徒たちが先生の御指導、あるいはその地域の農家の方々の御指導を賜りながら、一反で十品をつくるということをして、本県には実は二百十九にもなんなんとするそういう食材があると、そのうちの十品を我々はつくっているんだという、そうしたことで土に親しむ機会を広げてまいりたいと思っております。
     さらに、耕作放棄地というところは当然太陽がさんさんと当たるところにございまして、したがってこれは太陽エネルギーというのがそこに当たってるわけですが、それによって草がぼうぼうになったり木が生えたりしてるという、それを取り込まない方法はないだろうということで、そういうところを、例えば太陽光パネルで覆ってみるということもできるかもしれません。しかしこれは国――農水省のお考え方もございましょうから、これにつきましては私といたしましては耕作放棄地でほうっておかれているところは太陽光パネルを置くと。そうしますと雑草が生えませんね。で、エネルギーが得られると。太陽のエネルギーを得て栽培植物が育つというやり方もあるでしょうし、そのエネルギーを本県の新エネルギーとして活用するというやり方もあるかと存じます。
     ともかく耕作放棄地をなるべく早く全部解消したいというのが基本的なねらいでありまして、二千ヘクタールは差し当たって手入れをすれば耕作可能というところでやってますけれども、ねらいは一万二千ヘクタール全部です。こういう形で使いたい人、使える人に耕作放棄地を活用してもらい、今申しました太陽光発電といった新機軸も視野に入れながら、できるだけ早い耕作放棄地の解消に取り組んでまいります。
     さらに言えば、この間、新丹谷並びに原地区に参りました。非常に急峻なところでたまたま新東名と東名との連絡道路の建設ということがあったことで、そういう急峻なところの土地の使い方が新しく見直されることになって、土地の方々が見事なそういう農作地に変えられて、その現場を見まして大変感動いたしました。そうしたことも、本来ほうっておけば場合によっては耕作放棄地になりかねなかったところが、大きく人々のコミュニティーの結束力を強めて、さらに収穫の喜び、あるいは新東名、東名を使った新しい食の都づくりのようなものの拠点にもなるということでございまして、私はこの農業、あるいは水産業、林業、こうした第一次産業につきましては、必ず日本の新しいフロンティアになると。先生が言われました食料問題というのは、地球温暖化の問題とのかかわりにおきまして必ず問題化してくるというふうに思っておりますので、これは防災という観点からも、あるいは食料の安全保障という観点からも、農業は極めて重要であるというふうに思っております。以上でございます。
     次に、駿河湾港物流対策についてであります。
     港湾は、本県の目指す一流のものづくりを支える重要な物流拠点の一つであると認識しております。このために本県経済の発展、県民生活の充実が図られますように、清水港、田子の浦港、御前崎港の三港を駿河湾港としてとらえる構想のもとで、機能分担、相互補完を図りつつ一体的な整備運営を推進するという方針を出しております。その具体的方策を駿河湾港アクションプランとして取りまとめるように、地方港湾審議会において現在議論をお願いしているところでございます。
     この構想の一環として、いわゆる重点港湾として選定されました御前崎港につきましては、今回、二基目のガントリークレーンの更新を行うとともに、今後、貨物量の増加に応じて必要な整備を計画的に進めていくことが重要であると考えております。
     現在、御前崎港と清水港とのコンテナの取扱量はなるほど一対十でございますが、御案内のように名古屋港、あるいは横浜、東京港というところから県内にかかわるコンテナが輸出入されてるということで、それが四割前後に達してるということでございます。したがいまして現在、五万TEUという取扱量を、これを五倍にするということは二十五万TEUということでございますけれども、これは決して不可能ではありません。
     そのために、例えば西部支援局長は、この仕事を最重要課題として取り組むようにということで、西部におけるコンテナにかかわる荷物を名古屋に持っていくのではなくて御前崎に持っていく、そのための道路整備も今、着々と進みつつあるわけでございます。実際、御前崎から金谷に至るまでの道路整備は、前国交大臣の前原さんの御理解もございまして、飛躍的に道路事情もよくなってまいりますので、一号を使えば通行料なしに御前崎まで持っていけると。その逆も真なりということでございます。東名につきましては今年中に結びつくということで、浜松のコンテナ基地と御前崎が結びつくということでございますので、特に西部の関係企業におかれましてはそのような県の意向もしっかりと受けとめていただいて、この御前崎港の発展にかけている県の、駿河湾港をつくり上げていく県の、この方針を御理解賜り御協力をいただきたいと願っているものでございます。
     また、清水港におきましても、この間、興津に見てまいりましてこのバースがさらに広げられるということもわかりました。ここも清水から上越に行く、そのいわゆる中部横断自動車道のうち東名までは連絡道路がありますので、非常に有効な、陸と海とが一体になるような道路でございますので、こうした高速交通ネットワークとの連携をセールスポイントといたしまして、田子の浦港におきましては国が進める国際バルク戦略港湾に応募しまして、年末の選定に向け計画の熟度を一層高めまして、本県の優位性をアピールしてまいるつもりでございます。
     県内コンテナ貨物のうち、県外の港湾を利用している四割の貨物を取り込むために、企業を絞り込んだ効果的なポートセールスに取り組み、入港料や岸壁使用料の減免など実効性のあるインセンティブのあり方について、現在検討しております。県といたしましては、このような取り組みを通じ、国際競争にたえ得る港に育ててまいります。
     現在、モンゴルの運輸大臣からも、もし港があるならモンゴルで持っておられる鉄鉱石や石炭、運んでいいという、そういう親書が来ておりますので、これも即、現在の国交大臣馬淵さん、そして前の国交大臣の資源外交を重視される前原さんにも渡っております。今、それも動いておりますので、私はいろいろなルートを通じまして駿河湾港を一体的に、一つのところに集中すれば、もし危害が生じた場合、何か災害が生じた場合に被害も大きくなる、役割分担しつつ補完的機能を担えるような、そういう港湾づくりをしてまいりたいというふうに思っております。
     その他の御質問につきましては、関係部局長、教育長から御答弁申し上げるというところでございますが、先ほど、本来教育長が答えるべきところに、議員の先生方から知事に答えろというようなこともございました。教育は単に教育長だけのものではないという、そういう御理解があっての御質問ではなかったかと思いますが、中でも議員の御指摘の中にスポーツタレント発掘と、例えばこの間の中学の陸上全国大会におきまして、百メートル、二百メートルで全国一、日本新記録を打ち立てた少年がいます。タレントです。この少年、日吉克実君は本県の学校に行きたいと言ってる。じゃ、グラウンドは十分かっていうことがありますね。
     ですから、一般論として育てるんではなくて、既に育っている青年がいるとすれば、そうしたところにはしっかりと育てるために、スターを育てるためのそういう援助といいますか、協力もしてまいりたいというふうに強く思っておりまして、学力だけではなくて体力、心身ともにバランスをとれる文武芸三道鼎立という、そういう本県のバランスのとれた教育環境づくりには、教育委員会のみならず全県を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
     答弁が長いということでおしかりも受けておりますけれども、こればかりはどうしても申し上げたいということでお許しを願って終わります。どうもありがとうございました。
    ○副議長(岩瀬 護君) 丸山経営管理部長。
           (経営管理部長 丸山康至君登壇)
    ○経営管理部長(丸山康至君) 事業仕分けについてお答えをいたします。
     まず、しずおか優良木材の家総合支援事業費助成につきましてですが、全国的に住宅着工戸数が落ち込む中、この助成制度への応募棟数は増加をし県産材の消費の拡大と林業の振興に大きな成果を上げていると考えておりますが、事業仕分け人のほうからは、県産材の需要をふやすことに対しては否定しないが、目的達成のためよりよい手段を検討すべきであるなどの御意見をいただきました。
     また、県営農業基盤整備事業につきましては、農業就業人口が大幅に減少する中、意欲ある経営体への農地集積が促進されるなど力強い農業構造の実現に大きく貢献していると考えておりますが、一方で、事業仕分け人からは目標や事業効果が不明確であるなどの御意見をいただいたところでございます。
     これらの事業につきましては、限られた時間内で十分な説明や議論を尽くすことができず、厳しい判定となったものというふうに考えておりますが、これらの事業も含め「不要」とされた事業については結果を真摯に受けとめ、いただいた御意見についてまずは関係部局において再度検討を行い、県民の皆様にその後の見直しの方向性についてわかりやすく丁寧に説明をしてまいります。また予算編成の中でも十分に検討、調整を行った上で最終的に知事が判断をし、議会にお諮りをしてまいります。
     さらに、事業仕分けの進め方につきましてもさまざまな御意見をいただいていることから、事業仕分けを含め効果的な事務事業の見直しの手法について、新しい行財政改革大綱の策定を進める中で検討してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 大須賀企画広報部長。
           (企画広報部長 大須賀淑郎君登壇)
    ○企画広報部長(大須賀淑郎君) 国勢調査への対応についてお答えいたします。
     今回の国勢調査は我が国が人口減少社会を迎えて初めて実施する調査でありまして、日本の未来を考えるために欠くことのできない極めて重要な統計情報を提供するものであります。したがいまして実施に当たりましては、対象を漏れなく把握するとともに、正確な内容調査を行う必要があるものと考えております。このため昨今のプライバシー意識の高まりや昼間不在がちな世帯の増加などの課題を踏まえまして、今回の調査から封入提出方式の全面導入や郵送提出も選択できるなど、調査方法の改善が図られました。
     また、本県では本年二月にオートロックマンションの管理者や外国人支援団体など、調査対象や地域の状況に詳しい関係者で構成する静岡県協力者会議を開催し、理解、協力を求めるとともに、四月には庁内関係部局から成る国勢調査静岡県実施本部を設置するなど万全な体制で取り組んでいるところであります。
     さらに、国勢調査の県民への周知を図るため、先般の静岡駅での街頭キャンペーンを皮切りに、一般県民向けには新聞やテレビ・ラジオCMを、若者や外国人向けには携帯メールやインターネットラジオなどを活用したメディアミックスによる広報を集中的に実施いたしております。今後とも実施主体である市町と緊密な連携を図りながら、関係の皆さんの御協力も得て円滑な調査の実施に努めてまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 堀川経済産業部長。
           (経済産業部長 堀川知廣君登壇)
    ○経済産業部長(堀川知廣君) 大学生に対する就職支援策についてお答えいたします。
     厳しい雇用情勢が続いている中で、議員御指摘のとおり大学生の就職支援は大変重要な課題であると認識しております。このため県といたしましては、雇用者側、経営者側に対しましてことし三月に、県内企業の経営トップ百二十名の方々を対象に新規学校卒業予定者の採用拡大を要請し、またこの六月には、知事が先頭に立ちまして経済団体を訪問し、採用拡大を強く要請したところであります。
     また、これに加えまして大学生側に対しましては、五月から県内三カ所にあるヤングジョブステーションにおきまして、なかなか採用内定が得られない学生を対象に内定獲得セミナーを実施していますほか、八月からは就職活動中の学生が自分の適性に合った職種や業種を見つけるための企業見学会を実施をしております。また多くの企業が内定を出します十月になっても内定を得られない学生に対しましては、昨年度に引き続き県内三カ所で就職の面接会を実施することとしています。
     さらに、大学生の雇用の創出と安定した雇用の確保につながりますよう、環境、医療・福祉、航空宇宙、ロボット、農林水産業など成長が見込まれる分野へ進出する企業に対して支援をしてまいります。今後とも大学や産業界、ハローワークなどと十分に連携し、大学生の内定の獲得に結びつきますよう、機動的できめ細やかな就職活動の支援に取り組んでまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 松浦くらし・環境部長。
           (くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
    ○くらし・環境部長(松浦敏明君) 大規模太陽光発電所についてお答えいたします。
     清水港臨港地区に計画されています大規模太陽光発電所の出力規模は八千キロワットであり、想定年間発電量は一般家庭の約二千三百世帯分の使用量に相当することから、二酸化炭素の排出削減に寄与するものであります。
     本県では、ふじのくに未来のエネルギー推進会議から、今後十年間で新エネルギー等の導入率の倍増を目指すよう提言を受けておりまして、年度内に策定する次期新エネルギー等導入戦略プランにおいて、この施設を太陽光発電の先導的な取り組みとして位置づけてまいりたいと考えております。またこの施設を実際に見て学べる場として活用することにより、県民の皆様の新エネルギーへの理解促進や家庭への太陽光発電の導入促進も期待されるなど、建設によるメリットは大変大きいものと認識しております。今後の県への手続につきましては、施設の設置予定箇所が臨港地区内であることから、港湾法等に基づく申請や届け出が必要になるものと考えております。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 教育行政についてのうち、初めに全国学力・学習状況調査についてお答えいたします。
     調査方式につきましては、全員調査は集計等に時間がかかり、返却された結果を児童生徒の指導に十分生かせないといった課題が見られたため、本県としましては抽出調査と希望利用方式の併用が望ましいと考えております。抽出調査は全員調査に比べ早い時期に課題が把握でき、課題解決の時間を確保できるという利点があり、さらには希望利用方式を併用することで、市町教育委員会や学校が、必要に応じて児童生徒一人一人の実態把握や自校の教育活動の検証を行うことができると考えております。
     小学校における課題が引き続き中学校でも見られることにつきましては、例えば円の面積を求める際、ただ単に公式を暗記させるのではなく、図や教具などを活用し子供が公式の意味を実感を持って理解できる指導を行うことで確実な習得を図ったり、小中学校の指導内容を体系的、系統的にとらえて指導を進めたりすることが大切であると考えております。このため教員用指導資料や静岡県版カリキュラムを指導主事の学校訪問等で活用することにより、教員の授業指導力を高め子供たちの確かな学力の育成に努めてまいります。
     次に、学校の二学期制、週五日制についてであります。
     二学期制には、始業式、終業式の回数が減り、授業時数が確保できるなどのメリットがありますが、一方で成績をつける間隔があくために、児童生徒の学習状況を総合的にとらえることがおくれるなどのデメリットがあるという声を聞いております。このようなメリット、デメリットを踏まえて教育課程をどのように編成するかにつきましては、各学校が児童生徒や地域の実態に応じて判断していくものと考えております。
     一方、高等学校では、九月に実施される就職試験への対応や長期休業中に個々の生徒の学習状況に応じた指導などを行っており、このためには長期休業前に成績をつけることが必要であることから、二学期制を実施しにくい状況になっているものと考えております。
     教科書につきましては、発展的な内容やコラムなども含まれており記載内容も豊富になっておりますが、教科書は学習指導要領に示された内容を教えていくための教材であり、教員が児童生徒の実態に応じて工夫して扱うことが大切であると考えております。
     また、小学校外国語活動の実施につきましては教員の指導力を高めていくことが大きな課題でありますので、二年間にわたり外国語活動の趣旨を徹底し、指導案の作成や模擬授業を行うなど実践的な研修を実施し、この研修内容を各学校で共有化することにより指導力の向上を図っているところであります。
     学校週五日制につきましては、新しい学習指導要領により標準授業時数がふえましたが、各学校が長期休業期間を短縮するなど年間の指導計画や一日の時間割を工夫することによって対応できるものと考えております。
     次に、高校の校長在任期間についてであります。
     議員御指摘のとおり、これからの校長には時代の変化に対応しながら学校や地域の状況、課題を的確にとらえ、自主的、自立的な学校経営をリーダーシップを発揮して、組織的かつ機動的に行うことが求められております。
     最近の三年間では、異動した校長の平均同一校在任期間は、平成十九年度、二十年度末が二・九年、平成二十一年度末が二・八年であり、在任期間が六年の校長が一人、五年が六人、四年が十二人という状況であります。校長の配置につきましては、各学校の特色づくりや抱えている教育課題への対応等に校長がそのリーダー性や指導力を十分に発揮することができますよう、同一校の在任期間が画一的にならないように努めてまいります。
     次に、スポーツタレント発掘事業についてであります。
     先ほど知事から力強い御答弁をいただきましたので、施設設備の充実については積極的に進めていきたいというふうに考えております。
     さて、全国では国立スポーツ科学センターの協力のもと、福岡県を初め十一カ所で行われておりますタレント発掘事業では、多くの競技の中から自分の能力に適した競技を選ぶタイプや、特定の競技に適した才能を発揮するタイプなど、その地域の実情に即した方法で才能の発掘、育成が行われております。
     本県では、各競技団体がジュニア育成・強化事業において地区別に練習会を実施し、能力の高い選手を県選抜としてトレーニングし、さらにレベルアップを図る選抜型のタレント発掘を行っており、また県体育協会では、小学五、六年生の希望者を対象に体力測定会を行うとともに、比較的競技人口の少ない競技を体験する教室を設けて、才能の発掘や普及啓発を行っております。さらにすぐれた才能を発見し、育て花開かせるには、各年代において優秀な指導者による一貫した指導が重要であるとの観点から、上級コーチなど指導者資格の取得に対する支援に加え、本年度からすぐれた指導法を学ぶ実践研修会の実施を推進しているところであります。
     今後は、各競技団体における指導者養成を引き続き支援するとともに、福岡県などのタレント発掘事業の状況を調査し、本県の実情に即した才能の発掘、育成の方策を検討してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安村警察本部長。
           (警察本部長 安村骼i君登壇)
    ○警察本部長(安村骼i君) 初めに、速度規制基準の見直しについてお答えいたします。
     先般、警察庁が高速自動車国道や自動車専用道路の規制速度の基準を変更いたしました。主な変更点は、従来、高速道路等における速度規制につきましては、原則として設計速度を基準に決定しておりましたが、今回の改正では車線の幅員やカーブの大きさなどの道路構造データや交通事故及び渋滞の状況等を勘案して規制速度を決定することとなりました。このため県警としても新基準をもとに、県内を走る東名高速道路のほか自動車専用道路十二路線を対象に平成二十二年中に見直し路線を選定し計画を作成したいと考え、現在検討を進めております。
     議員御指摘のとおり、規制速度の引き上げによる交通事故の増加なども懸念されることから、関係する道路管理者とよく協議するとともに、県民に対する事前広報や道路標識の大型化など見やすい道路標識の設置も検討したいと考えております。
     一般道路における規制速度の見直しにつきましては、これまでも逐次、車線数や中央分離帯の有無など道路構造や交通事故の発生状況、地元住民の意見などを踏まえ、積極的に見直し作業を進めてきたところであり、昨年度は磐田市鮫島地先の国道百五十号バイパスが拡幅されたことに伴い規制速度を引き上げるなど、県下で十四区間、おおむね十五キロメートルの見直しを実施いたしました。
     次に、検視の現状と死亡時画像診断の活用についてお答えいたします。
     まず、検視の現状についてお答えいたします。
     本県警察が取り扱う検視は年々増加しておりまして、平成二十一年中は過去最高の四千六百三十六体に上り、十年前の年間三千四体に比べますと約一・五倍に増加しており、非常に活発になってきていると言えようかと思います。死亡原因別内訳を見てみますと病死が全体の約七二%、自殺が全体の約一九%と両者を合わせて約九一%を占めており、事件性を認める死体は約一%となります。
     Ai、つまりオートプシー・イメージングの活用についてでありますが、これは議員がおっしゃられているとおりCT検査、MRI検査等を含めたいわゆる死亡時画像診断のことであり、例えば頭蓋内や胸腹部内の損傷や出血などを確認する必要を認めた場合には当該検査を実施しております。八月末現在、本県ではCT検査のみで百四十件、前年に比べ約二・一倍の画像検査を行っており、犯罪死体を見逃すことのないよう努めております。
     警察が取り扱う検視は年々増加しておりますが、本年は検視官の増員も行っており一体の犯罪死体も見逃すことのないよう、また誤認検視の絶無も期すためにAiの活用など医学的な死因究明手法を駆使して、今まで以上に緻密かつ適正な検視業務を推進してまいります。以上であります。
    ○副議長(岩瀬 護君) 七十五番。
           (七十五番 中澤通訓君登壇)
    ○七十五番(中澤通訓君) 幾つかの点で再質問いたします。
     まず、大学生の就職活動ですが、それぞれのところに今までも御努力いただいてより一層の求人のお願いをしてるんですが、それだけではやっぱりだめなんですね、これは、この制度は。結局、全国的にきちっと統一しないと、一部大手の商社もこれによって弊害が大きいということで四年に入って初めてという試験の時期を外しつつ、そういう動きもあります。ただそれは一部であって統一しないと学生が困ってしまう。私は、これをやっぱり全国的に直していただくには、知事が全国知事会などできちっと発言していただいて、国の政策としてこうするということをしなければ、学生は常にそれに追いかけられて勉強もおろそかになって、結果的には人材を生かしていかないことになりますので、ぜひそういうことができるならやっていただきたいと思っていますのでお答えいただきたいと思います。
     ポートセールスについては、それぞれのところで御努力いただいてるんですが、入港料とか岸壁使用料は、そこの海貨業者等が、それから船がいただくインセンティブなんですが、荷主に対しては何にもないんですよ。やっぱり荷主は今までいろんな経過で清水港、御前崎港があってもなかなか使わなかったっていうのは、いろんな縁で使わないということですから、それ以上のプラスを相手に感じさせない限りは新しく荷物がそこには動きません。もう何十年もそんなことやってるんです。結果的に、荷主が直接メリットがあるっていうことを感じれば私は荷物が動く可能性がある。しかもそれについては西部の支援局長でもありがたいんですが、知事みずからのトップセールスしかないと思うんです。そういうこともする必要がある、今、この時代では。そんなこともむしろ相手に対してはすごいインパクトがあることだと思っていますので、ぜひその考え方についてお考えがあれば伺いたいと思っています。確かにいろんな形のお互い、道路等、そしてまたインセンティブ等がいろんな形で出てますけども、より一層のプラスにするにはそういうことが必要だと思います。
     教育長に最後にお伺いいたしますけども、結果的にゆとり教育のときの象徴的にあったことは、「円周率を三で教えても構いません」、当時の教育長はそう言いました。「ただし、現場の熱心な先生方は、皆さん三・一四と最低教えます」と言いました。しかし結果的に多分教えてないと思うんです。今回の解答率が悪かったのは円周率関係してるんですよね。そうするとやっぱりそこらあたりが新しく制度として変わってきたときに、可能性があるのを変えているのか、現実に変わっていくのか、むしろそういうことを踏まえてこの試験の結果で新しく方向転換するのか、ぜひそのところについても結論として出していただければと思います。
     タレントについては、競技団体に任せるだけじゃなくて競技団体というのはむしろセクトですから、福岡方式はそれぞれの団体の人たちが自分の競技にとらわれなくてこの選手はこの競技のほうがいいと、そういうランダムにやるんですね。そのことによって子供が自分の新しい種目を決められると、タレント性を伸ばしていける、そういうことなんです。セクトだけに任せるんじゃなくて全体を包含した中で新しい方向を見つけていく、それがタレント発掘だと思ってますので、そのことについてもよくお考えをいただければありがたいと思います。
     事業仕分けについては、優良木材の使用については、結局、先日県の森林組合連合会の榛村会長が総会のときに、何ゆえこのことが、木材建設奨励策が何でだめなんだと、私はどうしても納得できないと、そこをほかにかわるものがあるのかということを強く総会で言われたということを聞いておりますが、やはり全体的な仕分けの制度そのものはいたし方ありませんけども、余りにも刺激的というか、正しく伝わっていない、その政策が理解されてない中で事業仕分けという名目のもとに一刀両断されるということは、今のやり方は必ずしもいいというふうに私は感じませんが、そのことも含めて今後ともお考えいただきたいと思っています。
    ○副議長(岩瀬 護君) 川勝知事。
           (知事 川勝平太君登壇)
    ○知事(川勝平太君) 事業仕分けに関する再質問についてお答えいたします。
     なるほど、議員御指摘の県の優良材に対する支援、県材を使用することについての支援、それからもう一つ農業の基盤整備、これに関しまして、これを「不要」とされることに対して同じような気持ちを持っております。しかしそのことから事業仕分けそれ自体が無用であるとは思っていません。私は、これは、そこでのやりとり、それから判定ということを通してそれにかかわる我々の認識を新たにするという効果もあると思っております。
     それから、県の事業仕分けは、今、百三のうち二つについて言われたわけですけれども、ことしで二回目を経験いたしまして、私としましてはこの県の事業仕分けを、何も構想日本、すべていつもお頼みするということである必要はないということから、構想日本に県の有力な職員を送り込みまして、この九月から構想日本のノウハウを、一年も必要でなかろうということで半年間で全部取ってきてもらおうと思っております。県の中でも幾つかの市町で事業仕分けをなさっておられて、それがマスコミ等を通して報じられ、その結果、市民、町民の方々の、県のほうにおきましては県民の皆様方のこうした県の事業についての御理解が高まっているかと存じますけれども、そうした機運に水を差すことなくむしろさおを差すということをいたしまして、静岡型の事業仕分けをできる人を県内に持ちたいと、プロフェッショナルをこちらで持ちたい、事業仕分けという国をも巻き込んだ大きなプロジェクト、これをその心臓部に入ってしっかりとノウハウを取ってきてもらうために、実質二人派遣しております。
     他の質問は部局長の方でお伺いしますけれども、ポートセールスもやっておりますあの御前崎に関しましては、幾つもの利害関係者が入り込んでいるので大変ややこしい問題になってますけれども、国交大臣が御視察のときに民間の視点でもってやるようにということで、関係業者のほうに働きかけまして、荷主ももちろん含めてのことでございますけれども、持ってきやすいように環境づくりをするようできる限りの運動をしております。
     就職につきましては、これは景気に左右されるということがございますが、就職のために勉強ができないということであってもならないと思っております。どんな状況にあっても勉強するということはするんだと、学生の本分を果たすんだというような、そういう大学の校風もはぐくまねばならないというふうに思っておりまして、就職がその人にとって極めて重要であるということは言うまでもありませんけれども、一方で大学の授業もそれにふさわしいものがされているかどうかということがございまして、何も、何ていいますか、企業の側だけに原因があるとは思いません。我々も中澤先生のころから青田買いであるとかいろんなことが起こり、不況になると学生が困り、好況になると今度はもう青田買いで、それによってかえって学生がもう三年のときに就職先が決まってあとは遊びほうけてるということさえありますから、これは一概に全国知事会でこうこういう基準をつくればいいというところでもないと。
     ただし、今おっしゃってる意味はようくわかった上でこういうことを申しておりますが、一生、ずうっと勉強できると、その中で勉強できるという、そういう幸運を持っているのは大学の四年間、いわば青春貴族です。働きもすることを、アルバイトをしてる学生もたくさんいますけれども、物を使うということをお父さんやお母さんの仕送りを得ながら、それがいかに恵まれてるかということをしっかりと自覚してもらうこともございますので、私は、教育は大学のそこのところだけで見るべきものではなくて就職も人生の階梯の中の一つだと。寄り道があってもいいとすら思っております。そして結果的に寄り道はないというふうにも思っておりまして、就職、それ自体を自己目的にするがごとき、そういう教育システムをつくろうというふうには思っておりません。しかしこれは関連の部局のほうで答えるということになっておりますので。またいやなことを申しました。とりあえずお答えいたしました。
    ○副議長(岩瀬 護君) 安倍教育長。
           (教育長 安倍 徹君登壇)
    ○教育長(安倍 徹君) 二つ再質問があったかなと思います。
     まず最初、πの問題でございますけども、私は円周率πを三にしたということが学力低下を招いたというふうには、個人的には考えていません。と申しますのは、私は数学教育が専門ではありませんけれども、数学にはやはり数学的な証明とそれから大ざっぱに見積もってどのぐらいかという、そういう予想を立てるという二つがあろうかと思います。そういう意味では半径と半径を掛け合わせた正方形のおよそ三倍が、その円の面積になるんだといったときのπを三に使うっていうのは、私は子供たちにとっては非常に具体的なイメージとして頭の中に入っていくのかなというふうに思ってます。ただそれが発達段階の中でいつまでもπを三に使うっていうことはできませんので、そういう数学的な裏づけの中では三・一四、さらには、三・一四一五とかですね、さらに続いていきますけれども、そういうものを使ってより正確を期して数学的証明をするという、私はその二本柱でいかなければいけないかなというふうに思っておりますので、これからはπは三・一四なんだけども、時と場合によっては三として使ってもいいんだよという、そういう二つその使い方を臨機応変に分けながらやっていくというのが、私は数学教育の中で必要かなと思います。
     それからもう一点、スポーツタレント発掘事業に関連してでございますけれども、確かに本県の場合には競技団体にお任せするところがあろうかと思いますけども、一つの競技団体の中で子供は一生懸命やっていても、そこにもし適性を十分見出せない、ただ資質能力は非常にあってほかの競技団体に行ったほうが伸びるんではないかということがあれば、やはりそれは競技団体同士での密接な連携の中で、その子供の将来を見据えて何が一番適切なのかを考えていく、そういう方策が必要かなというふうに思いますので、そういう意味でも全国十一カ所で行われております事業を私たち視察をさせていただきながら、その中でいい方策を見出していきたいというふうに思います。以上でございます。
    ○副議長(岩瀬 護君) 森山交通基盤部長。
           (交通基盤部長 森山誠二君登壇)
    ○交通基盤部長(森山誠二君) 再質問のうち、ポートセールスについてお答えいたします。
     ポートセールス活動につきましては、知事の答弁にもありましたようにこれまでも知事を先頭に、県、地元市、港湾団体が一緒になりまして積極的に取り組んできているところであります。
     また、航路をできるだけ誘致するためには、基本的には荷主さんの貨物が必要だということでございます。そのためには議員お話のとおり、入港料、岸壁使用料以外にも荷主さんに対するインセンティブが必要だというようなことは全く同感でございまして、現在、港湾の背後圏の市町と連携した活動を強化して荷主企業のリサーチを行い、県外の港湾を利用している貨物をターゲットに絞ったポートセールス活動ですとか、またアクセス道路の一日も早い開通、また現在、総合特区制度を利用しまして荷主さんに対する税の減免ですとか、そういったことも現在応募しているところでございます。そういった施策を総合的に使いまして、効果的なポートセールスということにつなげていきたいというふうに考えてございます。
    ○副議長(岩瀬 護君) これで中澤通訓君の質問は終わりました。
     以上で本日の質疑及び一般質問を終わります。
     次会の議事日程を申し上げます。
     九月二十七日午後一時、会議を開き、質疑及び一般質問を行います。
     本日はこれで散会します。御苦労さまでした。

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